JPH09318459A - 溶湯温度センサー用保護管 - Google Patents
溶湯温度センサー用保護管Info
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- JPH09318459A JPH09318459A JP16078696A JP16078696A JPH09318459A JP H09318459 A JPH09318459 A JP H09318459A JP 16078696 A JP16078696 A JP 16078696A JP 16078696 A JP16078696 A JP 16078696A JP H09318459 A JPH09318459 A JP H09318459A
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- Japan
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- iron alloy
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- iron
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐酸化性と耐食性を兼ね備えると共に、酸化
防止層と本体層との接合強度が高く、容易に両者が剥離
することのない溶湯温度センサー用保護管を提供する。 【解決手段】 高融点金属とセラミックスの結合したサ
ーメット層18を有する溶湯温度センサー用保護管17
において、サーメット層18の少なくとも外表面側に前
記高融点金属と鉄とを有する鉄合金層19が配置され、
鉄合金層19に酸化防止層20が接合配置されている。
防止層と本体層との接合強度が高く、容易に両者が剥離
することのない溶湯温度センサー用保護管を提供する。 【解決手段】 高融点金属とセラミックスの結合したサ
ーメット層18を有する溶湯温度センサー用保護管17
において、サーメット層18の少なくとも外表面側に前
記高融点金属と鉄とを有する鉄合金層19が配置され、
鉄合金層19に酸化防止層20が接合配置されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融金属等の溶湯の
温度を連続的に測定する熱電対等の温度センサーの保護
のために使用される、耐酸化性、耐食性に優れた溶湯温
度センサー用保護管に関する。
温度を連続的に測定する熱電対等の温度センサーの保護
のために使用される、耐酸化性、耐食性に優れた溶湯温
度センサー用保護管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶銑や溶鋼等の溶融金属の溶湯の
温度を測定するために、白金ロジウム系熱電対の測温部
を石英あるいはアルミナ質等のセラミックス製の保護管
によって保護された消耗型温度計が使用されていた。前
記の消耗型温度計では、溶銑や溶鋼等にその熱電対保護
管を浸漬すると極めて短時間の内に保護管が溶融し、使
用不能となる欠点を有していた。この消耗型温度計を使
用する場合、短時間で測温を終了しなければならず、し
かも、測定一回毎に熱電対を交換しなければならないと
いう問題があった。このため、溶銑、溶鋼等の溶融金属
の品質や操業の管理が困難であり、かつ測温コストも高
くなることから、長時間連続して測温できる温度計の開
発が強く望まれていた。
温度を測定するために、白金ロジウム系熱電対の測温部
を石英あるいはアルミナ質等のセラミックス製の保護管
によって保護された消耗型温度計が使用されていた。前
記の消耗型温度計では、溶銑や溶鋼等にその熱電対保護
管を浸漬すると極めて短時間の内に保護管が溶融し、使
用不能となる欠点を有していた。この消耗型温度計を使
用する場合、短時間で測温を終了しなければならず、し
かも、測定一回毎に熱電対を交換しなければならないと
いう問題があった。このため、溶銑、溶鋼等の溶融金属
の品質や操業の管理が困難であり、かつ測温コストも高
くなることから、長時間連続して測温できる温度計の開
発が強く望まれていた。
【0003】このような溶鋼温度センサー用の保護管の
耐用性を高めるものとして、溶融金属に対して高耐食性
を示すジルコニウムボライド(ZrB2 )系、窒化ボロ
ン(BN)系あるいはモリブデン−ジルコニア系サーメ
ット等の保護管を有する溶融金属測温装置が使用されて
いる。例えば、特開平1−321326号公報には、ジ
ルコニウムボライドを主成分とし、炭化珪素(SiC)
及び窒化ボロンを副成分とする保護管の内表面側に、ジ
ルコニウムボライド及び二酸化珪素(SiO2 )からな
る被覆層を形成し、かつ前記本体の外表面側にガラス層
を設けたジルコニウムボライド系の熱電対保護管が記載
されている。また、実公平5−27256号公報には、
窒化ボロンが50wt%以上、窒化アルミニウム(Al
N)が50wt%未満である窒化ボロン系の保護管が開
示されている。
耐用性を高めるものとして、溶融金属に対して高耐食性
を示すジルコニウムボライド(ZrB2 )系、窒化ボロ
ン(BN)系あるいはモリブデン−ジルコニア系サーメ
ット等の保護管を有する溶融金属測温装置が使用されて
いる。例えば、特開平1−321326号公報には、ジ
ルコニウムボライドを主成分とし、炭化珪素(SiC)
及び窒化ボロンを副成分とする保護管の内表面側に、ジ
ルコニウムボライド及び二酸化珪素(SiO2 )からな
る被覆層を形成し、かつ前記本体の外表面側にガラス層
を設けたジルコニウムボライド系の熱電対保護管が記載
されている。また、実公平5−27256号公報には、
窒化ボロンが50wt%以上、窒化アルミニウム(Al
N)が50wt%未満である窒化ボロン系の保護管が開
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記サ
ーメット材料、及び前記特開平1−321326号公報
に記載のジルコニウムボライド系の材料を用いる場合に
は、溶融金属、特に溶鋼に対して極めて高い耐食性を示
すものの、溶鋼、スラグあるいは雰囲気中の酸素に対し
て金属成分及び硼化物であるジルコニウムボライドが酸
化され易いという欠点を有している。そして、このよう
な酸化を防ぐために保護管の内外表面にそれぞれ被覆
層、ガラス層を設けているが、ガラス層の酸化物と保護
管本体の金属間、あるいは酸化物と硼化物間の接合面に
おけるそれぞれの親和性が乏しく、両者間の接合強度が
低いために、使用中に被覆層、ガラス層が剥離し易く、
保護管本体の酸化防止効果が不充分であるという問題点
があった。さらに、このガラス層は化学的活性の高いス
ラグに対しては低融化して、スラグ中に溶出するためガ
ラス層を長時間維持するのが困難であった。実公平5−
27256号公報に記載の窒化ボロン系保護管の場合に
は、耐熱衝撃性に優れているものの、前記ジルコニウム
ボライド系の材料よりもさらに耐酸化性に乏しく、酸素
の多いスラグ中では著しく酸化されるという欠点があっ
た。本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、
耐酸化性と耐食性を兼ね備えると共に、酸化防止層と本
体層との接合強度が高く、容易に両者が剥離することの
ない溶湯温度センサー用保護管を提供することを目的と
する。
ーメット材料、及び前記特開平1−321326号公報
に記載のジルコニウムボライド系の材料を用いる場合に
は、溶融金属、特に溶鋼に対して極めて高い耐食性を示
すものの、溶鋼、スラグあるいは雰囲気中の酸素に対し
て金属成分及び硼化物であるジルコニウムボライドが酸
化され易いという欠点を有している。そして、このよう
な酸化を防ぐために保護管の内外表面にそれぞれ被覆
層、ガラス層を設けているが、ガラス層の酸化物と保護
管本体の金属間、あるいは酸化物と硼化物間の接合面に
おけるそれぞれの親和性が乏しく、両者間の接合強度が
低いために、使用中に被覆層、ガラス層が剥離し易く、
保護管本体の酸化防止効果が不充分であるという問題点
があった。さらに、このガラス層は化学的活性の高いス
ラグに対しては低融化して、スラグ中に溶出するためガ
ラス層を長時間維持するのが困難であった。実公平5−
27256号公報に記載の窒化ボロン系保護管の場合に
は、耐熱衝撃性に優れているものの、前記ジルコニウム
ボライド系の材料よりもさらに耐酸化性に乏しく、酸素
の多いスラグ中では著しく酸化されるという欠点があっ
た。本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、
耐酸化性と耐食性を兼ね備えると共に、酸化防止層と本
体層との接合強度が高く、容易に両者が剥離することの
ない溶湯温度センサー用保護管を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の溶湯温度センサー用保護管は、高融点金属とセラ
ミックスの結合したサーメット層を有する溶湯温度セン
サー用保護管において、前記サーメット層の少なくとも
外表面側に前記高融点金属と鉄とを含む鉄合金層が配置
され、該鉄合金層に酸化防止層が接合配置されている。
請求項2記載の溶湯温度センサー用保護管は、請求項1
記載の溶湯温度センサー用保護管において、前記高融点
金属がモリブデンであり、前記セラミックスがジルコニ
アである。請求項3記載の溶湯温度センサー用保護管
は、請求項1又は2記載の溶湯温度センサー用保護管に
おいて、前記酸化防止層が、シリコンアルコキシドの加
水分解物により結合された酸化物、炭化物、窒化物の1
種以上の骨材からなる結合組織である。請求項4記載の
溶湯温度センサー用保護管は、請求項1〜3のいずれか
1項に記載の溶湯温度センサー用保護管において、前記
鉄合金層の厚さが0.02〜0.5mmである。請求項
5記載の溶湯温度センサー用保護管は、請求項1〜4の
いずれか1項に記載の溶湯温度センサー用保護管におい
て、前記酸化防止層の上に耐火被覆層が設けられてい
る。
記載の溶湯温度センサー用保護管は、高融点金属とセラ
ミックスの結合したサーメット層を有する溶湯温度セン
サー用保護管において、前記サーメット層の少なくとも
外表面側に前記高融点金属と鉄とを含む鉄合金層が配置
され、該鉄合金層に酸化防止層が接合配置されている。
請求項2記載の溶湯温度センサー用保護管は、請求項1
記載の溶湯温度センサー用保護管において、前記高融点
金属がモリブデンであり、前記セラミックスがジルコニ
アである。請求項3記載の溶湯温度センサー用保護管
は、請求項1又は2記載の溶湯温度センサー用保護管に
おいて、前記酸化防止層が、シリコンアルコキシドの加
水分解物により結合された酸化物、炭化物、窒化物の1
種以上の骨材からなる結合組織である。請求項4記載の
溶湯温度センサー用保護管は、請求項1〜3のいずれか
1項に記載の溶湯温度センサー用保護管において、前記
鉄合金層の厚さが0.02〜0.5mmである。請求項
5記載の溶湯温度センサー用保護管は、請求項1〜4の
いずれか1項に記載の溶湯温度センサー用保護管におい
て、前記酸化防止層の上に耐火被覆層が設けられてい
る。
【0006】高融点金属とは、クロム、モリブデン、タ
ングステン等の融点が1600℃以上の金属をいう。セ
ラミックスとは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、カル
シア、マグネシア等の酸化物、炭化珪素、炭化硼素等の
炭化物、及び窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウム
等の窒化物をいう。サーメット層とは、前記セラミック
ス及び高融点金属の粒子あるいは粉末に結合剤を添加し
て混合し、該混合物を型に入れて加圧成形した後、焼結
して得られる耐食性及び耐磨耗性に優れた溶湯温度セン
サー用保護管の本体部分をいう。シリコンアルコキシド
の加水分解物とは、シリコンアルコキシドからなるゾル
を部分的あるいは全面的に加水分解することにより固形
化して粘着力を付与した結合剤であり、焼成加熱後にガ
ラス状態あるいは結晶状態の二酸化珪素(シリカ)を生
成するものである。鉄合金層とは、前記高融点金属と鉄
との合金相を含み、セラミックスの粒子が分散されてな
る耐食性及び強度に優れた複合組織をいい、前記サーメ
ット層に溶融した鉄を浸透あるいは被覆することにより
前記高融点金属と接触させて形成させることができる。
前記鉄合金層の厚さが0.02mmより薄いとサーメッ
ト層に形成される鉄合金層が薄くなり過ぎるために不完
全な部分が生成して、この不完全な部分に形成される酸
化防止層が剥離して、この部分から酸化が進行するので
好ましくない。また前記鉄合金層の厚さが0.5mmよ
り厚い場合、鉄合金層自体の強度がサーメット層の本体
に較べて低くなるために、鉄合金層、及び酸化防止層が
機械的衝撃、あるいは熱的衝撃に対して剥がれ易くな
る。前記耐火被覆層とは、酸化物、窒化物、炭化物等の
セラミックス粉末を、セメント、水ガラス等の無機質結
合剤により結合してなる耐火組織をいう。
ングステン等の融点が1600℃以上の金属をいう。セ
ラミックスとは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、カル
シア、マグネシア等の酸化物、炭化珪素、炭化硼素等の
炭化物、及び窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウム
等の窒化物をいう。サーメット層とは、前記セラミック
ス及び高融点金属の粒子あるいは粉末に結合剤を添加し
て混合し、該混合物を型に入れて加圧成形した後、焼結
して得られる耐食性及び耐磨耗性に優れた溶湯温度セン
サー用保護管の本体部分をいう。シリコンアルコキシド
の加水分解物とは、シリコンアルコキシドからなるゾル
を部分的あるいは全面的に加水分解することにより固形
化して粘着力を付与した結合剤であり、焼成加熱後にガ
ラス状態あるいは結晶状態の二酸化珪素(シリカ)を生
成するものである。鉄合金層とは、前記高融点金属と鉄
との合金相を含み、セラミックスの粒子が分散されてな
る耐食性及び強度に優れた複合組織をいい、前記サーメ
ット層に溶融した鉄を浸透あるいは被覆することにより
前記高融点金属と接触させて形成させることができる。
前記鉄合金層の厚さが0.02mmより薄いとサーメッ
ト層に形成される鉄合金層が薄くなり過ぎるために不完
全な部分が生成して、この不完全な部分に形成される酸
化防止層が剥離して、この部分から酸化が進行するので
好ましくない。また前記鉄合金層の厚さが0.5mmよ
り厚い場合、鉄合金層自体の強度がサーメット層の本体
に較べて低くなるために、鉄合金層、及び酸化防止層が
機械的衝撃、あるいは熱的衝撃に対して剥がれ易くな
る。前記耐火被覆層とは、酸化物、窒化物、炭化物等の
セラミックス粉末を、セメント、水ガラス等の無機質結
合剤により結合してなる耐火組織をいう。
【0007】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の第1の実施の形態に
係る溶湯温度センサー用保護管を使用する溶湯温度セン
サーの断面図、図2は同溶湯温度センサーの分解図であ
る。本発明の第1の実施の形態に係る溶湯温度センサー
用保護管17を備えた溶湯温度センサー10は、図1、
及び図2に示されるように、熱電対15を挿入したアル
ミナ絶縁管12、該アルミナ絶縁管12を内蔵するアル
ミナ保護管11、及び該アルミナ保護管11が挿入され
る溶湯温度センサー用保護管17を有しており、端子箱
14に装着されたステンレス保護管13を介して、溶湯
温度センサー用保護管17が保持されるようになってい
る。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図1は本発明の第1の実施の形態に
係る溶湯温度センサー用保護管を使用する溶湯温度セン
サーの断面図、図2は同溶湯温度センサーの分解図であ
る。本発明の第1の実施の形態に係る溶湯温度センサー
用保護管17を備えた溶湯温度センサー10は、図1、
及び図2に示されるように、熱電対15を挿入したアル
ミナ絶縁管12、該アルミナ絶縁管12を内蔵するアル
ミナ保護管11、及び該アルミナ保護管11が挿入され
る溶湯温度センサー用保護管17を有しており、端子箱
14に装着されたステンレス保護管13を介して、溶湯
温度センサー用保護管17が保持されるようになってい
る。
【0008】熱電対15は白金−白金ロジウム等の熱電
対であり、2種の互いに組成の異なる導線が極細筒状の
アルミナ絶縁管12により互いに絶縁された状態で配置
され、前記2種の導線の先端部を溶接してなる測温部1
6がアルミナ保護管11の内底部に配置されている。ア
ルミナ保護管11は、アルミナ粉を含むスラリーを成形
型に鋳込んで成形し、これを焼成して、アルミナ純度が
95wt%以上の焼結体としたものを用いる。そして、
溶湯温度センサー用保護管17は、図5に示されるよう
にサーメット層18と、該サーメット層18の表面に配
置される高融点金属と鉄とを合金化してなる鉄合金層1
9、及び該鉄合金層19の上に接合配置される酸化防止
層20とを有している。
対であり、2種の互いに組成の異なる導線が極細筒状の
アルミナ絶縁管12により互いに絶縁された状態で配置
され、前記2種の導線の先端部を溶接してなる測温部1
6がアルミナ保護管11の内底部に配置されている。ア
ルミナ保護管11は、アルミナ粉を含むスラリーを成形
型に鋳込んで成形し、これを焼成して、アルミナ純度が
95wt%以上の焼結体としたものを用いる。そして、
溶湯温度センサー用保護管17は、図5に示されるよう
にサーメット層18と、該サーメット層18の表面に配
置される高融点金属と鉄とを合金化してなる鉄合金層1
9、及び該鉄合金層19の上に接合配置される酸化防止
層20とを有している。
【0009】次に、前記溶湯温度センサー用保護管17
の作成方法について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。サーメット層18は以下のようにして作成する。ま
ず、セラミックスの一例であるジルコニアの粉末25w
t%、及び高融点金属の一例であるモリブデンの粉末7
5wt%からなる混合粉末に、ポリビニルアルコール
(PVA)等の有機結合剤を添加混合する。この混合物
を、例えば成形型に入れて静水圧加圧成形あるいは圧縮
成形により成形し、該成形体をアルゴン等の不活性雰囲
気中あるいは真空中で焼成して図3に示すような焼結体
を得る。このような焼結体は、高融点金属であるモリブ
デン中にジルコニア粒子が分散してなる複合組織であ
る。
の作成方法について、図面を参照しながら詳細に説明す
る。サーメット層18は以下のようにして作成する。ま
ず、セラミックスの一例であるジルコニアの粉末25w
t%、及び高融点金属の一例であるモリブデンの粉末7
5wt%からなる混合粉末に、ポリビニルアルコール
(PVA)等の有機結合剤を添加混合する。この混合物
を、例えば成形型に入れて静水圧加圧成形あるいは圧縮
成形により成形し、該成形体をアルゴン等の不活性雰囲
気中あるいは真空中で焼成して図3に示すような焼結体
を得る。このような焼結体は、高融点金属であるモリブ
デン中にジルコニア粒子が分散してなる複合組織であ
る。
【0010】次に、以下のようにしてサーメット層18
の表面に鉄合金層19を形成させる操作を行う。まず、
粒径44μm以下の鉄粉とポリビニルアルコール等の有
機結合剤、及び水等の混和剤からなる混合物を前記サー
メット層の表面に塗布しあるいは、スプレーガン等によ
り吹き付けて、乾燥固化させて所定厚さとなるコーティ
ング層を形成させる。次に、約1500℃の温度に設定
した高温炉中に前記コーティング層を形成させたサーメ
ット層18を所定時間保持する。この加熱処理により、
鉄粉が溶融して、サーメット層18の表面の金属モリブ
デンの部分に浸潤して、サーメット層18の表面部にモ
リブデンと鉄を含む鉄合金層が形成される。このような
合金化反応は、金属モリブデン中への鉄原子の拡散によ
り進行し、前記サーメット層18の表層部では、表面か
ら内部に向かって鉄濃度の勾配が生じるために、生成す
る鉄合金層19中の鉄濃度が傾斜した、いわゆる傾斜材
料とすることが可能である。このため、鉄合金層19と
サーメット層18の界面と、鉄合金層19の表面との間
では熱膨張率、比熱等の熱的性質あるいはヤング率、強
度等の機械的性質が緩やかに変化しており、熱衝撃、あ
るいは機械的衝撃に対する緩衝帯を形成させることがで
きる。
の表面に鉄合金層19を形成させる操作を行う。まず、
粒径44μm以下の鉄粉とポリビニルアルコール等の有
機結合剤、及び水等の混和剤からなる混合物を前記サー
メット層の表面に塗布しあるいは、スプレーガン等によ
り吹き付けて、乾燥固化させて所定厚さとなるコーティ
ング層を形成させる。次に、約1500℃の温度に設定
した高温炉中に前記コーティング層を形成させたサーメ
ット層18を所定時間保持する。この加熱処理により、
鉄粉が溶融して、サーメット層18の表面の金属モリブ
デンの部分に浸潤して、サーメット層18の表面部にモ
リブデンと鉄を含む鉄合金層が形成される。このような
合金化反応は、金属モリブデン中への鉄原子の拡散によ
り進行し、前記サーメット層18の表層部では、表面か
ら内部に向かって鉄濃度の勾配が生じるために、生成す
る鉄合金層19中の鉄濃度が傾斜した、いわゆる傾斜材
料とすることが可能である。このため、鉄合金層19と
サーメット層18の界面と、鉄合金層19の表面との間
では熱膨張率、比熱等の熱的性質あるいはヤング率、強
度等の機械的性質が緩やかに変化しており、熱衝撃、あ
るいは機械的衝撃に対する緩衝帯を形成させることがで
きる。
【0011】このようにして、図4に示すようにサーメ
ット層18の表面部に厚みが約0.05mmの鉄合金層
19を形成させる。この鉄合金層19の厚みの制御は、
前記コーティング層の厚み、コーティング層中での鉄含
有量、鉄粉の粒度、及び前記高温炉中の保持時間、保持
温度等を必要に応じて変化させることにより行うことが
できる。なお、高温炉を用いることなく、前記コーティ
ング層が形成されたサーメット層18の表面を燃焼バー
ナあるいは酸素バーナ等により直接加熱して、鉄粉を溶
融させることにより鉄合金層を形成させることも可能で
ある。以上の加熱操作により、以降の操作における酸化
物から構成されるガラス質の酸化防止層20とサーメッ
ト層18の表面に形成された鉄合金層19との親和性が
向上して、両者間の接着強度を高めることができると共
に、両者の熱膨張率等の物性の差を緩やかに変化させ
て、温度変化等に伴う酸化防止層20の剥離現象を抑制
する効果が生じる。
ット層18の表面部に厚みが約0.05mmの鉄合金層
19を形成させる。この鉄合金層19の厚みの制御は、
前記コーティング層の厚み、コーティング層中での鉄含
有量、鉄粉の粒度、及び前記高温炉中の保持時間、保持
温度等を必要に応じて変化させることにより行うことが
できる。なお、高温炉を用いることなく、前記コーティ
ング層が形成されたサーメット層18の表面を燃焼バー
ナあるいは酸素バーナ等により直接加熱して、鉄粉を溶
融させることにより鉄合金層を形成させることも可能で
ある。以上の加熱操作により、以降の操作における酸化
物から構成されるガラス質の酸化防止層20とサーメッ
ト層18の表面に形成された鉄合金層19との親和性が
向上して、両者間の接着強度を高めることができると共
に、両者の熱膨張率等の物性の差を緩やかに変化させ
て、温度変化等に伴う酸化防止層20の剥離現象を抑制
する効果が生じる。
【0012】ガス不透過性となる酸化防止層20は、酸
化物等の耐火骨材(骨材)からなり、該骨材をガラス形
成材料等で結合して形成させることができる。前記耐火
骨材には、ジルコニア、カルシア、イットリア、アルミ
ナ、マグネシア、シリカ、クロミア等の酸化物の他に、
炭化珪素、炭化硼素等の炭化物、ジルコニウムボライ
ド、窒化硼素(BN)等の硼化物、あるいは窒化珪素、
窒化アルミニウム、サイアロン等の窒化物を用いること
ができる。なお、非酸化性の雰囲気中で溶湯温度センサ
ー用保護管17を用いる場合には、黒鉛あるいはカーボ
ン(炭素)等を用いることもできる。そして、前記骨材
の結合材料としては、金属アルコキシドの部分加水分解
物、水ガラスあるいは高温でガラス化するフリット等の
酸化物が用いられる。具体的には、前記骨材の2種以上
からなる混合物に前記結合材料を添加して、さらに必要
に応じて有機結合剤又は無機結合剤を添加し、これに水
あるいはアルコール等の溶剤を用いて混合スラリーを作
成する。なお、前記耐火骨材として、CaOを含有する
粒径が44μm未満の安定化ジルコニアを用い、前記結
合材料にはシリコンアルコキシドの部分加水分解物を使
用した。
化物等の耐火骨材(骨材)からなり、該骨材をガラス形
成材料等で結合して形成させることができる。前記耐火
骨材には、ジルコニア、カルシア、イットリア、アルミ
ナ、マグネシア、シリカ、クロミア等の酸化物の他に、
炭化珪素、炭化硼素等の炭化物、ジルコニウムボライ
ド、窒化硼素(BN)等の硼化物、あるいは窒化珪素、
窒化アルミニウム、サイアロン等の窒化物を用いること
ができる。なお、非酸化性の雰囲気中で溶湯温度センサ
ー用保護管17を用いる場合には、黒鉛あるいはカーボ
ン(炭素)等を用いることもできる。そして、前記骨材
の結合材料としては、金属アルコキシドの部分加水分解
物、水ガラスあるいは高温でガラス化するフリット等の
酸化物が用いられる。具体的には、前記骨材の2種以上
からなる混合物に前記結合材料を添加して、さらに必要
に応じて有機結合剤又は無機結合剤を添加し、これに水
あるいはアルコール等の溶剤を用いて混合スラリーを作
成する。なお、前記耐火骨材として、CaOを含有する
粒径が44μm未満の安定化ジルコニアを用い、前記結
合材料にはシリコンアルコキシドの部分加水分解物を使
用した。
【0013】次いで、前記サーメット層18に作成され
た鉄合金層19に前記混合スラリーをスプレー又は刷毛
塗り等の手段により塗布した後、乾燥固化させて、図5
に示すように酸化防止層20を形成させる。そして、酸
化防止層20が形成された溶湯温度センサー用保護管1
7を、必要に応じて酸化雰囲気中で焼成して、酸化防止
層20中の前記結合材料を融解し、SiO2 系のガラス
相を生成してガス不透過性の酸化防止層とする。このよ
うに形成される酸化防止層20と鉄合金層19の接合面
においては、高融点金属と酸化物間の接合の場合より
も、化学的親和性、及び接合強度が高くなり、両者の剥
離を抑制することができる。次いで、この溶湯温度セン
サー用保護管17の開放された端部を、熱電対15を内
蔵するステンレス保護管13の下端に挿入して、モルタ
ル、あるいは耐熱性接着剤等で接合して、図1に示す溶
湯温度センサー10とした。
た鉄合金層19に前記混合スラリーをスプレー又は刷毛
塗り等の手段により塗布した後、乾燥固化させて、図5
に示すように酸化防止層20を形成させる。そして、酸
化防止層20が形成された溶湯温度センサー用保護管1
7を、必要に応じて酸化雰囲気中で焼成して、酸化防止
層20中の前記結合材料を融解し、SiO2 系のガラス
相を生成してガス不透過性の酸化防止層とする。このよ
うに形成される酸化防止層20と鉄合金層19の接合面
においては、高融点金属と酸化物間の接合の場合より
も、化学的親和性、及び接合強度が高くなり、両者の剥
離を抑制することができる。次いで、この溶湯温度セン
サー用保護管17の開放された端部を、熱電対15を内
蔵するステンレス保護管13の下端に挿入して、モルタ
ル、あるいは耐熱性接着剤等で接合して、図1に示す溶
湯温度センサー10とした。
【0014】そして、この溶湯温度センサー10の先端
部、即ち溶湯温度センサー用保護管17の先端部を、連
続鋳造用タンディッシュに保持される約1550〜14
80℃の溶鋼中に浸漬して、端子箱14に設けられた端
子間に生じる熱起電力の大きさを継続して測定した。こ
のような連続鋳造用タンディッシュにおいては、溶鋼の
表面上にCaO−Al2 O3 −SiO2 系等のスラグが
浮いており、溶鋼中のみならず、スラグとの接触部にお
ける溶湯温度センサー用保護管17が酸化あるいは溶損
される。第1の実施の形態においては、約50分に亘る
連続鋳造期間において継続して熱起電力の測定を行った
が、連続鋳造終了後にも酸化防止層20、及びサーメッ
ト層18の酸化、及び溶損による損傷は、鉄合金層を有
しない従来の溶湯温度センサー用保護管に較べて少な
く、耐用性を向上できることが分かった。
部、即ち溶湯温度センサー用保護管17の先端部を、連
続鋳造用タンディッシュに保持される約1550〜14
80℃の溶鋼中に浸漬して、端子箱14に設けられた端
子間に生じる熱起電力の大きさを継続して測定した。こ
のような連続鋳造用タンディッシュにおいては、溶鋼の
表面上にCaO−Al2 O3 −SiO2 系等のスラグが
浮いており、溶鋼中のみならず、スラグとの接触部にお
ける溶湯温度センサー用保護管17が酸化あるいは溶損
される。第1の実施の形態においては、約50分に亘る
連続鋳造期間において継続して熱起電力の測定を行った
が、連続鋳造終了後にも酸化防止層20、及びサーメッ
ト層18の酸化、及び溶損による損傷は、鉄合金層を有
しない従来の溶湯温度センサー用保護管に較べて少な
く、耐用性を向上できることが分かった。
【0015】続いて、本発明の第2の実施の形態に係る
溶湯温度センサー用保護管について説明する。本発明の
第2の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保護管21
は、図6に示されるように、サーメット層22と、該サ
ーメット層22の表面に鉄粉を溶融させることにより形
成される鉄合金層23と、該鉄合金層23の上に接合配
置される酸化防止層24、及び該酸化防止層24の上に
接合配置される耐火被覆層25を有する。
溶湯温度センサー用保護管について説明する。本発明の
第2の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保護管21
は、図6に示されるように、サーメット層22と、該サ
ーメット層22の表面に鉄粉を溶融させることにより形
成される鉄合金層23と、該鉄合金層23の上に接合配
置される酸化防止層24、及び該酸化防止層24の上に
接合配置される耐火被覆層25を有する。
【0016】前記サーメット層22は以下のようにして
作成する。まず、セラミックスの一例であるジルコニウ
ムボライドと炭化珪素の混合粉末25wt%、及び高融
点金属の一例であるモリブデンの粉末75wt%からな
る混合粉末に、ポリビニルアルコール(PVA)等の結
合剤を添加して、これを成形型に入れて静水圧加圧成形
する。そして、前記の成形体をアルゴン等の不活性雰囲
気中あるいは真空中でモリブデンの溶融温度即ち262
5℃以下の温度で焼成することにより、ジルコニウムボ
ライドあるいはモリブデンが焼結して、高融点金属であ
るモリブデン中にジルコニウムボライド、及び炭化珪素
の粒子が分散してなる分散強化型の複合組織を形成させ
ることができる。次に、前記サーメット層22の表面に
粒径が10μm以下の鉄粉を含有するコーティング層を
形成して、これをを約1500〜1700℃の高温空気
雰囲気に設定した高温炉中に所定時間、例えば1時間保
持する。これにより、前記サーメット層22の表面の金
属モリブデン、炭化珪素、ジルコニウムボライド、及び
鉄粉の一部が酸素ガスにより酸化されると共に、溶融し
たコーティング層の鉄がサーメット層22の組織中に浸
透して強固なモリブデンと鉄の合金を含む鉄合金層23
を生成させることができ、後述する酸化防止層24との
親和性を高めることができる。従って、前記鉄合金層2
3とサーメット層22の界面と、鉄合金層23の表面と
の間では熱膨張率、比熱等の熱的性質あるいはヤング
率、強度等の機械的性質が緩やかに変化しており、熱衝
撃、あるいは機械的衝撃に対する緩衝層を形成させるこ
とができる。
作成する。まず、セラミックスの一例であるジルコニウ
ムボライドと炭化珪素の混合粉末25wt%、及び高融
点金属の一例であるモリブデンの粉末75wt%からな
る混合粉末に、ポリビニルアルコール(PVA)等の結
合剤を添加して、これを成形型に入れて静水圧加圧成形
する。そして、前記の成形体をアルゴン等の不活性雰囲
気中あるいは真空中でモリブデンの溶融温度即ち262
5℃以下の温度で焼成することにより、ジルコニウムボ
ライドあるいはモリブデンが焼結して、高融点金属であ
るモリブデン中にジルコニウムボライド、及び炭化珪素
の粒子が分散してなる分散強化型の複合組織を形成させ
ることができる。次に、前記サーメット層22の表面に
粒径が10μm以下の鉄粉を含有するコーティング層を
形成して、これをを約1500〜1700℃の高温空気
雰囲気に設定した高温炉中に所定時間、例えば1時間保
持する。これにより、前記サーメット層22の表面の金
属モリブデン、炭化珪素、ジルコニウムボライド、及び
鉄粉の一部が酸素ガスにより酸化されると共に、溶融し
たコーティング層の鉄がサーメット層22の組織中に浸
透して強固なモリブデンと鉄の合金を含む鉄合金層23
を生成させることができ、後述する酸化防止層24との
親和性を高めることができる。従って、前記鉄合金層2
3とサーメット層22の界面と、鉄合金層23の表面と
の間では熱膨張率、比熱等の熱的性質あるいはヤング
率、強度等の機械的性質が緩やかに変化しており、熱衝
撃、あるいは機械的衝撃に対する緩衝層を形成させるこ
とができる。
【0017】そして、前記サーメット層22の表面部に
厚みが約0.1〜0.3mmの鉄合金層23を形成させ
た後、この鉄合金層23の上に、溶湯温度センサー21
による測定時においてガス不透過性となる酸化防止層2
4を形成させる。なお、ここで酸化防止層24における
耐火骨材には、アルミナとシリカの混合粉末を使用し、
前記耐火骨材の結合材料には、高温度でガラス化するフ
リットを用いた。前記混合粉末、及びフリットを含むス
ラリーを作成して、前記鉄合金層23の上に塗布して酸
化防止層24を形成した。酸化防止層24の上に形成さ
れる耐火被覆層25は以下のようにして作成する。ま
ず、アルミナ、シリカ、マグネシア、炭化珪素、黒鉛等
の耐火性骨材に高アルミナセメント、水ガラス等の無機
系バインダーあるいはフェノール樹脂等の有機バインダ
ー水等を添加、混合する。そして練土状とした混合物を
酸化防止層24の上に所定厚さとなるように塗布あるい
は吹き付け、これを乾燥硬化させて、図6に示すような
溶湯温度センサー用保護管21を形成することができ
る。次いで、これを必要に応じて焼成処理した後、溶湯
温度センサー用保護管21の開放された端部を、図2に
示す熱電対15を内蔵するステンレス保護管13の下端
に挿入して、モルタル、あるいは耐熱性接着剤等で接合
して、図1に示すような形態の溶湯温度センサーとし
た。
厚みが約0.1〜0.3mmの鉄合金層23を形成させ
た後、この鉄合金層23の上に、溶湯温度センサー21
による測定時においてガス不透過性となる酸化防止層2
4を形成させる。なお、ここで酸化防止層24における
耐火骨材には、アルミナとシリカの混合粉末を使用し、
前記耐火骨材の結合材料には、高温度でガラス化するフ
リットを用いた。前記混合粉末、及びフリットを含むス
ラリーを作成して、前記鉄合金層23の上に塗布して酸
化防止層24を形成した。酸化防止層24の上に形成さ
れる耐火被覆層25は以下のようにして作成する。ま
ず、アルミナ、シリカ、マグネシア、炭化珪素、黒鉛等
の耐火性骨材に高アルミナセメント、水ガラス等の無機
系バインダーあるいはフェノール樹脂等の有機バインダ
ー水等を添加、混合する。そして練土状とした混合物を
酸化防止層24の上に所定厚さとなるように塗布あるい
は吹き付け、これを乾燥硬化させて、図6に示すような
溶湯温度センサー用保護管21を形成することができ
る。次いで、これを必要に応じて焼成処理した後、溶湯
温度センサー用保護管21の開放された端部を、図2に
示す熱電対15を内蔵するステンレス保護管13の下端
に挿入して、モルタル、あるいは耐熱性接着剤等で接合
して、図1に示すような形態の溶湯温度センサーとし
た。
【0018】そして、この溶湯温度センサーの先端部
を、連続鋳造用タンディッシュに保持される約1550
〜1480℃の溶鋼中に浸漬して、熱電対に生じる熱起
電力の大きさを継続して測定した。この連続鋳造用タン
ディッシュにおける溶湯温度センサー使用時の温度上昇
により、前記酸化防止層24の結合材料の一部が溶融し
て、ガラス相からなる被膜を形成し、ガス不透過性とな
ってサーメット層22の酸化を防止すると共に、このガ
ラス相は鉄合金層23との化学的親和性に優れているた
めに酸化防止層24自体の耐用性が高められる。また、
酸化防止層24の上層には耐火被覆層25が設けられて
いるので、酸化防止層24が溶鋼あるいはスラグに対し
て保護され、さらに耐用性を向上できる。第2の実施の
形態においては、連続鋳造終了後にも耐火被覆層25、
酸化防止層24、及びサーメット層22の酸化、及び溶
損による損傷は、鉄合金層23を有しない従来の溶湯温
度センサー用保護管に較べて少ないことが分かった。
を、連続鋳造用タンディッシュに保持される約1550
〜1480℃の溶鋼中に浸漬して、熱電対に生じる熱起
電力の大きさを継続して測定した。この連続鋳造用タン
ディッシュにおける溶湯温度センサー使用時の温度上昇
により、前記酸化防止層24の結合材料の一部が溶融し
て、ガラス相からなる被膜を形成し、ガス不透過性とな
ってサーメット層22の酸化を防止すると共に、このガ
ラス相は鉄合金層23との化学的親和性に優れているた
めに酸化防止層24自体の耐用性が高められる。また、
酸化防止層24の上層には耐火被覆層25が設けられて
いるので、酸化防止層24が溶鋼あるいはスラグに対し
て保護され、さらに耐用性を向上できる。第2の実施の
形態においては、連続鋳造終了後にも耐火被覆層25、
酸化防止層24、及びサーメット層22の酸化、及び溶
損による損傷は、鉄合金層23を有しない従来の溶湯温
度センサー用保護管に較べて少ないことが分かった。
【0019】続いて、本発明の第3の実施の形態に係る
溶湯温度センサー用保護管について説明する。本発明の
第3の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保護管26
は、図7に示されるように、サーメット層22と、該サ
ーメット層22の表面に配置される鉄合金層23と、該
鉄合金層23の上に接合配置される酸化防止層24、該
酸化防止層24の上に形成される耐火被覆層25及び溶
湯温度センサー用保護管26の使用時におけるスラグメ
タル界面位置に耐火スリーブ27を設けたものである。
溶湯温度センサー用保護管26は、前記第2の実施の形
態に示した溶湯温度センサー用保護管21の耐火被覆層
25の上にさらに耐火スリーブ27を付加した構成であ
るので、サーメット層22、鉄合金層23、酸化防止層
24、及び耐火被覆層25等の同一の構成要素について
は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
溶湯温度センサー用保護管について説明する。本発明の
第3の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保護管26
は、図7に示されるように、サーメット層22と、該サ
ーメット層22の表面に配置される鉄合金層23と、該
鉄合金層23の上に接合配置される酸化防止層24、該
酸化防止層24の上に形成される耐火被覆層25及び溶
湯温度センサー用保護管26の使用時におけるスラグメ
タル界面位置に耐火スリーブ27を設けたものである。
溶湯温度センサー用保護管26は、前記第2の実施の形
態に示した溶湯温度センサー用保護管21の耐火被覆層
25の上にさらに耐火スリーブ27を付加した構成であ
るので、サーメット層22、鉄合金層23、酸化防止層
24、及び耐火被覆層25等の同一の構成要素について
は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0020】耐火スリーブ27は、アルミナカーボン質
等の耐火材料からなる円筒状のスリーブれんがであり、
粒度調整してなるアルミナ、及びカーボン又は黒鉛の混
合物にフェノール樹脂等の有機結合剤、及び硬化剤を添
加して混練し、これを成形型に入れて、加圧成形して成
形体を作成し、還元雰囲気中で焼成するか、あるいはそ
のまま乾燥硬化させることにより得られる。また、耐火
セメントなどを含むキャスタブル、モルタル等の不定形
耐火物を成形型に流し込んで、これを乾燥あるいは加熱
により硬化させて作成することもできる。この耐火スリ
ーブ27をモルタル、水ガラス等の無機接着剤を介して
前記耐火被覆層25の上に装着固定して、図7に示すよ
うな溶湯温度センサー用保護管26とすることができ
る。そして、このような耐スラグ溶損性に優れた耐火材
料からなる耐火スリーブ27がスラグメタル界面に配置
されているので、溶湯温度センサー用保護管26の耐用
性を飛躍的に高めることができ、従来のサーメット層の
みからなる溶湯温度センサー用保護管に較べて1.5倍
の耐用時間を達成することができた。
等の耐火材料からなる円筒状のスリーブれんがであり、
粒度調整してなるアルミナ、及びカーボン又は黒鉛の混
合物にフェノール樹脂等の有機結合剤、及び硬化剤を添
加して混練し、これを成形型に入れて、加圧成形して成
形体を作成し、還元雰囲気中で焼成するか、あるいはそ
のまま乾燥硬化させることにより得られる。また、耐火
セメントなどを含むキャスタブル、モルタル等の不定形
耐火物を成形型に流し込んで、これを乾燥あるいは加熱
により硬化させて作成することもできる。この耐火スリ
ーブ27をモルタル、水ガラス等の無機接着剤を介して
前記耐火被覆層25の上に装着固定して、図7に示すよ
うな溶湯温度センサー用保護管26とすることができ
る。そして、このような耐スラグ溶損性に優れた耐火材
料からなる耐火スリーブ27がスラグメタル界面に配置
されているので、溶湯温度センサー用保護管26の耐用
性を飛躍的に高めることができ、従来のサーメット層の
みからなる溶湯温度センサー用保護管に較べて1.5倍
の耐用時間を達成することができた。
【0021】また、図8に示す第4の実施の形態に係る
溶湯温度センサー用保護管28は、図7に示す第3の実
施の形態に係る溶湯温度センサー用保護管26の耐火被
覆層25を省略した例であり、このような場合にも充分
な耐用性を示すことが分かった。
溶湯温度センサー用保護管28は、図7に示す第3の実
施の形態に係る溶湯温度センサー用保護管26の耐火被
覆層25を省略した例であり、このような場合にも充分
な耐用性を示すことが分かった。
【0022】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては鉄合金
層、及び酸化防止層をサーメット層の外側に形成させる
例について説明したが、アルミナ保護管11が挿入され
る内側面にも鉄合金層、及び酸化防止層を形成して酸化
に対する抵抗性を高めることができる。また、鉄粉を含
むコーティングをサーメット層に配置した後、さらに酸
化防止層となるコーティングを施して、これを高温に保
持することにより、サーメット層と酸化防止層の間の鉄
粉を溶融させて鉄合金層を形成させると共に、前記酸化
防止層を緻密化させることも可能である。
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては鉄合金
層、及び酸化防止層をサーメット層の外側に形成させる
例について説明したが、アルミナ保護管11が挿入され
る内側面にも鉄合金層、及び酸化防止層を形成して酸化
に対する抵抗性を高めることができる。また、鉄粉を含
むコーティングをサーメット層に配置した後、さらに酸
化防止層となるコーティングを施して、これを高温に保
持することにより、サーメット層と酸化防止層の間の鉄
粉を溶融させて鉄合金層を形成させると共に、前記酸化
防止層を緻密化させることも可能である。
【0023】
【発明の効果】請求項1〜5記載の溶湯温度センサー用
保護管においては、サーメット層の少なくとも外表面側
に前記高融点金属と鉄とを含む鉄合金層が配置され、該
鉄合金層に酸化防止層が接合配置されているので、酸化
防止層と鉄合金層、及び鉄合金層とサーメット層との化
学的親和性を高めて接合強度を増すことができる共に、
酸化防止層とサーメット層間における熱膨張率等の変化
を緩やかにして、機械的、及び熱的衝撃を緩和すること
ができる。従って、溶湯温度センサーの使用時におい
て、溶湯温度センサー用保護管の酸化防止層が容易に剥
離することがなく、耐用性を向上させることができる。
特に、請求項2記載の溶湯温度センサー用保護管におい
ては、高融点金属がモリブデンであり、前記セラミック
スがジルコニアであるので、さらに耐用性の向上を図る
ことができる。
保護管においては、サーメット層の少なくとも外表面側
に前記高融点金属と鉄とを含む鉄合金層が配置され、該
鉄合金層に酸化防止層が接合配置されているので、酸化
防止層と鉄合金層、及び鉄合金層とサーメット層との化
学的親和性を高めて接合強度を増すことができる共に、
酸化防止層とサーメット層間における熱膨張率等の変化
を緩やかにして、機械的、及び熱的衝撃を緩和すること
ができる。従って、溶湯温度センサーの使用時におい
て、溶湯温度センサー用保護管の酸化防止層が容易に剥
離することがなく、耐用性を向上させることができる。
特に、請求項2記載の溶湯温度センサー用保護管におい
ては、高融点金属がモリブデンであり、前記セラミック
スがジルコニアであるので、さらに耐用性の向上を図る
ことができる。
【0024】また、請求項3記載の溶湯温度センサー用
保護管においては、酸化防止層が、シリコンアルコキシ
ドの加水分解物により結合された酸化物、炭化物、窒化
物の1種以上の骨材からなる結合組織であるので、シリ
コンアルコキシドより生成するガラス相により酸化防止
層のガス不透過性が確保され、さらに耐用性を高めるこ
とができる。請求項4記載の溶湯温度センサー用保護管
においては、鉄合金層の厚さを特定範囲としているの
で、鉄合金層の上に接合配置される酸化防止層を安定的
に保持することができる。請求項5記載の溶湯温度セン
サー用保護管においては、酸化防止層の上に耐火被覆層
が設けられているので、酸化防止層が損傷、損耗するこ
となく保持され、溶湯温度センサー用保護管の寿命をさ
らに延長することができる。
保護管においては、酸化防止層が、シリコンアルコキシ
ドの加水分解物により結合された酸化物、炭化物、窒化
物の1種以上の骨材からなる結合組織であるので、シリ
コンアルコキシドより生成するガラス相により酸化防止
層のガス不透過性が確保され、さらに耐用性を高めるこ
とができる。請求項4記載の溶湯温度センサー用保護管
においては、鉄合金層の厚さを特定範囲としているの
で、鉄合金層の上に接合配置される酸化防止層を安定的
に保持することができる。請求項5記載の溶湯温度セン
サー用保護管においては、酸化防止層の上に耐火被覆層
が設けられているので、酸化防止層が損傷、損耗するこ
となく保持され、溶湯温度センサー用保護管の寿命をさ
らに延長することができる。
【図1】本発明の実施の形態に係る溶湯温度センサー用
保護管を使用する溶湯温度センサーの説明図である。
保護管を使用する溶湯温度センサーの説明図である。
【図2】同溶湯温度センサーの分解図である。
【図3】サーメット層の断面図である。
【図4】鉄合金層が形成されたサーメット層の断面図で
ある。
ある。
【図5】第1の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保
護管の断面図である。
護管の断面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保
護管の断面図である。
護管の断面図である。
【図7】第3の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保
護管の断面図である。
護管の断面図である。
【図8】第4の実施の形態に係る溶湯温度センサー用保
護管の断面図である。
護管の断面図である。
10 溶湯温度センサー 11 アルミナ
保護管 12 アルミナ絶縁管 13 ステンレ
ス保護管 14 端子箱 15 熱電対 16 測温部 17 溶湯温度
センサー用保護管 18 サーメット層 19 鉄合金層 20 酸化防止層 21 溶湯温度
センサー用保護管 22 サーメット層 23 鉄合金層 24 酸化防止層 25 耐火被覆
層 26 溶湯温度センサー用保護管 27 耐火スリ
ーブ 28 溶湯温度センサー用保護管
保護管 12 アルミナ絶縁管 13 ステンレ
ス保護管 14 端子箱 15 熱電対 16 測温部 17 溶湯温度
センサー用保護管 18 サーメット層 19 鉄合金層 20 酸化防止層 21 溶湯温度
センサー用保護管 22 サーメット層 23 鉄合金層 24 酸化防止層 25 耐火被覆
層 26 溶湯温度センサー用保護管 27 耐火スリ
ーブ 28 溶湯温度センサー用保護管
Claims (5)
- 【請求項1】 高融点金属とセラミックスの結合したサ
ーメット層を有する溶湯温度センサー用保護管におい
て、 前記サーメット層の少なくとも外表面側に前記高融点金
属と鉄とを含む鉄合金層が配置され、該鉄合金層に酸化
防止層が接合配置されていることを特徴とする溶湯温度
センサー用保護管。 - 【請求項2】 前記高融点金属がモリブデンであり、前
記セラミックスがジルコニアであることを特徴とする請
求項1記載の溶湯温度センサー用保護管。 - 【請求項3】 前記酸化防止層が、シリコンアルコキシ
ドの加水分解物により結合された酸化物、炭化物、窒化
物の1種以上の骨材からなる結合組織であることを特徴
とする請求項1又は2記載の溶湯温度センサー用保護
管。 - 【請求項4】 前記鉄合金層の厚さが0.02〜0.5
mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
項に記載の溶湯温度センサー用保護管。 - 【請求項5】 前記酸化防止層の上に耐火被覆層が設け
られていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
項に記載の溶湯温度センサー用保護管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16078696A JPH09318459A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 溶湯温度センサー用保護管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16078696A JPH09318459A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 溶湯温度センサー用保護管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09318459A true JPH09318459A (ja) | 1997-12-12 |
Family
ID=15722427
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16078696A Pending JPH09318459A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | 溶湯温度センサー用保護管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09318459A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000329619A (ja) * | 1999-05-18 | 2000-11-30 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 流体の温度測定装置 |
JP2005227277A (ja) * | 2004-02-11 | 2005-08-25 | Heraeus Electro-Nite Internatl Nv | 溶融金属温度の測定方法及び装置 |
CN114150200A (zh) * | 2021-11-25 | 2022-03-08 | 北京首钢股份有限公司 | 一种保护管及其应用和测温装置 |
-
1996
- 1996-05-31 JP JP16078696A patent/JPH09318459A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000329619A (ja) * | 1999-05-18 | 2000-11-30 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 流体の温度測定装置 |
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JP2011169917A (ja) * | 2004-02-11 | 2011-09-01 | Heraeus Electro-Nite Internatl Nv | 溶融金属温度の測定装置 |
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