JPH10197353A

JPH10197353A - 溶湯温度測定用センサー

Info

Publication number: JPH10197353A
Application number: JP1462997A
Authority: JP
Inventors: Ichirou Yachie; 一郎谷内江
Original assignee: NIPPON THERMOTEC KK
Current assignee: NIPPON THERMOTEC KK
Priority date: 1997-01-09
Filing date: 1997-01-09
Publication date: 1998-07-31

Abstract

(57)【要約】【課題】サーメット保護管の耐酸化性を高めて、その
耐用性を向上することのできる溶湯温度測定用センサー
を提供する。【解決手段】熱電対１１を保持する内部保護管１３
と、内部保護管１３を収納するサーメット保護管１４
と、サーメット保護管１４の外周に配置される炭素含有
耐火物からなる耐火スリーブ１５とを備えた溶湯温度測
定用センサー１０において、耐火スリーブ１５の外側表
面の一部又は全部を、炭素含有耐火物の酸化を抑制する
金属製筒状体１６で被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は耐用性、特に耐酸化
性に優れた溶湯温度測定用センサーに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、銑鉄、鋼及びその他の金属の溶湯
温度を測定するに際しては、アルミナ又はシリカを主成
分とする絶縁管及び保護管によって白金ロジウム系等の
熱電対を保護した消耗型温度計が使用されていた。前記
の消耗型温度計では、溶銑や溶鋼等にその熱電対を内蔵
する保護管を浸漬すると短時間の内に保護管が損耗し、
使用不能となるという欠点を有していた。また、このよ
うな消耗型温度計を使用する場合、短時間で測温を終了
して、測定毎に熱電対を頻繁に交換しなければならなか
った。このため、溶銑、溶鋼等の溶融金属の品質や操業
状態を時系列的に管理することが困難であり、かつ測温
のコストも高くなることから、長時間連続して測温でき
る溶湯温度測定用センサーが望まれていた。

【０００３】このような溶湯温度測定用センサーの耐用
性向上を図る方法として、溶融金属に対して高耐食性を
示し、かつ耐熱衝撃性の高いモリブデン−ジルコニア系
サーメットを外部保護管として前記保護管（内部保護
管）の外側に配置する方法が知られている。しかし、こ
のサーメットからなる材料は、スラグ浸食、あるいは空
気酸化に対する抵抗性が低いという欠点を有し、また価
格的にも高価となるため、図４に示すようにサーメット
保護管５３の周囲に耐スラグ浸食性の高い耐火スリーブ
５１を配置した溶湯温度測定用センサー５０が使用され
ている。前記耐火スリーブ５１には、耐スラグ浸食性及
び、溶鋼耐食性に優れたアルミナ炭素質、ジルコニア炭
素質あるいはマグネシア炭素質等の炭素含有耐火物が採
用され、該炭素含有耐火物の耐酸化性の欠点を補うため
に、その表面にガラス質の酸化防止被膜層５２を形成し
たものが使用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
質の酸化防止被膜層を形成させる従来の方法では、酸化
防止被膜層自体の機械的強度が低いために、周囲のスラ
グ流あるいは溶鋼流に対して簡単に洗い流されてしま
い、炭素含有耐火物からなる耐火スリーブの酸化を効果
的に防止することが困難であるという問題があった。本
発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、サーメ
ット保護管の耐酸化性を高めて、その耐用性を維持、向
上させることのできる溶湯温度測定用センサーを提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載の溶湯温度測定用センサーは、熱電対を保持する内
部保護管と、該内部保護管を収納するサーメット保護管
と、該サーメット保護管の外周に配置される炭素含有耐
火物からなる耐火スリーブとを備えた溶湯温度測定用セ
ンサーにおいて、前記耐火スリーブの外側表面の一部又
は全部を、前記炭素含有耐火物の酸化を抑制する金属製
筒状体で被覆している。請求項２記載の溶湯温度測定用
センサーは、請求項１記載の溶湯温度測定用センサーに
おいて、前記炭素含有耐火物が、炭素２〜２０ｗｔ％を
含むアルミナ炭素質又はジルコニア炭素質の耐火物であ
る。請求項３記載の溶湯温度測定用センサーは、請求項
１又は２記載の溶湯温度測定用センサーにおいて、前記
耐火スリーブが、該耐火スリーブの内面及び／又は外面
に配置されたモルタル、キャスタブル等の接着材を介し
て前記サーメット保護管及び／又は前記金属製筒状体に
固定されている。請求項４記載の溶湯温度測定用センサ
ーは、請求項１〜３のいずれか１項に記載の溶湯温度測
定用センサーにおいて、前記耐火スリーブが、不定形炭
素含有耐火物の流し込み施工体である。請求項５記載の
溶湯温度測定用センサーは、請求項４記載の溶湯温度測
定用センサーにおいて、前記金属製筒状体の上部に前記
不定形炭素含有耐火物を封止するフランジが設けられ、
該金属製筒状体の側面部に空気排出孔が設けられてい
る。

【０００６】サーメット保護管とは、耐食性及び耐磨耗
性に優れたサーメットからなる外部保護管をいう。該サ
ーメット保護管は、セラミックス粉及び高融点金属粉末
に結合剤を添加、混合して、その混合物を成形型に入れ
て加圧成形した後、これを焼結させることにより得られ
る。炭素含有耐火物とは、炭素粉、黒鉛及び有機樹脂等
の炭化物を含有する耐火物をいう。例えばアルミナ炭素
（黒鉛）質、ジルコニア炭素質、マグネシア炭素質等の
定形耐火物あるいは不定形耐火物が含まれる。炭素含有
耐火物の炭素含有量が２ｗｔ％より少なくなると、溶鋼
との濡れ性が大きくなって溶損傾向が大きくなると共
に、耐熱衝撃性を低下させるので好ましくない。一方、
炭素含有量が２０ｗｔ％を越えると、耐火スリーブの機
械的強度、及び酸化抵抗性が著しく低下する要因とな
る。金属製筒状体とは、スチール（鋼）、ステンレスス
チール、鉄、銅等の金属からなる円筒であり、これを前
記サーメット保護管の溶鋼面となる位置に配置して用い
られる。

【０００７】

【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。図１は本発明の第１の実施の形態に
係る溶湯温度測定用センサーの断面図である。溶湯温度
測定用センサー１０は、図１に示されるように、熱電対
１１が封入されたアルミナ絶縁管１２、該アルミナ絶縁
管１２を内蔵する内部保護管１３、及び該内部保護管１
３の挿入されるサーメット保護管１４を有して、溶湯温
度測定時におけるサーメット保護管１４の溶鋼面２２に
相当する位置には、空気、スラグ２１及び溶鋼に曝され
る表面側を金属製筒状体１６で被覆された耐火スリーブ
１５が装着されている。そして、端子箱１８に接続して
設けられたステンレス保護管１９を介して、前記サーメ
ット保護管１４が保持されるようになっている。熱電対
１１は白金−白金ロジウム等の熱電対であり、２種の互
いに組成の異なる金属導線がアルミナ絶縁管１２により
互いに絶縁された状態で配置され、前記２種の金属導線
の先端部を溶接してなる測温部がアルミナからなる内部
保護管１３の底部に配置されている。

【０００８】内部保護管１３は以下のようにして作成す
る。まず、アルミナ粉等のセラミックス粒子を水中に分
散、懸濁させたスラリーを先端が閉じられた細長い円柱
状の石膏鋳型内に流し込んで、石膏鋳型壁に該セラミッ
クス粒子からなる着肉層を形成させ、余剰のスラリーを
排出した後、該石膏鋳型を取り外して先端が密封された
円筒状の成形体を得る。次いで、これを乾燥、焼成し
て、所定の化学組成を有する内部保護管１３を得ること
ができる。なお、内部保護管１３の表面に必要に応じ
て、金属アルコキシドの部分加水分解物からなる結合剤
により結合したアルミナあるいはジルコニア等のセラミ
ックス粒子の層を形成しておくこともできる。このよう
なセラミックス粒子の層を被覆しておくことにより、内
部保護管１３にかかる熱衝撃を緩和して、内部保護管１
３の熱応力による亀裂の発生を抑制する効果が生じる。
前記セラミックス粒子の層、例えばジルコニア粒子の層
を内部保護管１３の上に形成させる手順を以下に示す。
まず、シリコンアルコキシドの部分加水分解物からなる
ゾルを所定量の安定化ジルコニア粉末と混合する。次
に、これらの混合物からなるスラリー中に前記内部保護
管１３を浸漬させ、前記スラリーの着肉層を形成させ
る。そして、内部保護管１３をスラリー中から引き上げ
て、乾燥して、所定厚みと成分を有するジルコニア粒子
の層が設けられた内部保護管１３が得られる。

【０００９】サーメット保護管１４を作成する場合に
は、例えばジルコニアの粉末２５ｗｔ％、及びモリブデ
ンの粉末７５ｗｔ％からなる混合粉末に、ポリビニルア
ルコール（ＰＶＡ）等の有機結合剤の適量を添加、混合
する。次に、この混合物を成形型に入れて、静水圧加圧
成形あるいは一軸加圧成形により成形して、該成形体を
アルゴン等の不活性雰囲気中あるいは真空中でモリブデ
ンの融点（２６２０℃）以下の温度で焼成して図１に示
すような外径３０ｍｍ、長さ約２００ｍｍの焼結体を得
る。このような焼結体は、高融点金属であるモリブデン
にジルコニア粒子が分散してなる複合組織（サーメッ
ト）となる。

【００１０】耐火スリーブ１５は、以下のようにして作
成する。原料となるアルミナ粒子８５ｗｔ％、黒鉛１３
ｗｔ％を含む混合物に所定量のフェノール樹脂等の結合
剤、硬化促進剤及びメチルアルコール等の溶剤を添加し
て、これらの混合物をパン型混練機を用いて加圧混練す
る。そして該混練物を、中心部に棒状の芯金が配置され
た円筒状ゴム型の中に投入して該ゴム型を密封した後、
静水圧加圧成形機を使用して、該ゴム型の周囲から所定
圧力で加圧することにより略円筒状の成形体が得られ
る。次いで、この成形体を還元雰囲気下で焼成又は乾燥
し、必要に応じて切断、切削加工を施して、外径５５ｍ
ｍ、内径３５ｍｍ、長さ１００ｍｍの円筒状スリーブに
仕上げる。

【００１１】金属製筒状体１６は、厚み１ｍｍ、外径６
０ｍｍ、長さ１００ｍｍのステンレス製の円筒であり、
その上部には厚み１ｍｍ、外径５８ｍｍ、内径３０ｍｍ
のフランジ１７を有している。なお、フランジ１７を必
要に応じて省略することも可能である。金属製筒状体１
６は、ステンレス板の深絞り加工、あるいはステンレス
板の切断及び溶接加工等により作成することができる。
次に、前記耐火スリーブ１５に金属製筒状体１６を、ま
た前記サーメット保護管１４に耐火スリーブ１５を、そ
れぞれ無機質の接着材２０を介して装着、固定する。前
記無機質の接着材２０としては、アルミナセメント、珪
酸ソーダ又は高分子樹脂等を結合剤とするモルタル又は
キャスタブルが使用でき、予め該接着材２０を耐火スリ
ーブ１５の外側又は金属製筒状体１６の内面に塗布して
おき、これらを互いに圧着することにより全体を一体的
に固定する。最後に、前記熱電対１１が内蔵されたアル
ミナ絶縁管１２、内部保護管１３、前記耐火スリーブ１
５が接着材２０を介して装着されたサーメット保護管１
４をそれぞれ順に挿入して、端子箱１８及びステンレス
保護管１９と共に組み立て、溶湯温度測定用センサー１
０とする。

【００１２】この溶湯温度測定用センサー１０を予熱あ
るいは予熱しない状態で、図１に示すように、連続鋳造
用タンディッシュに保持される約１４８０〜１５５０℃
の溶鋼中に浸漬して、端子箱１８に設けられた端子間に
生じる熱起電力の大きさを継続的に測定した。連続鋳造
用タンディッシュにおいては、溶鋼の表面上にＣａＯ−
Ａｌ₂Ｏ₃−ＳｉＯ₂系等のスラグ２１が浮いていて、
溶鋼及びスラグ２１との接触により、溶湯温度測定用セ
ンサー１０の金属製筒状体１６の部分が溶損される。し
かし、溶鋼面２２より上の高温空気に曝される部分で
は、金属製筒状体１６の表層部だけが酸化されるに留ま
り、高温空気から耐火スリーブ１５が遮断されて炭素含
有耐火物の酸化が抑制される。また、連続鋳造用タンデ
ィッシュの使用時には、溶鋼の飛沫が溶湯温度測定用セ
ンサー１０に付着するが、金属製筒状体１６が配置され
ているので、この溶鋼の飛沫が炭素含有耐火物に直接接
触することがなく、飛沫の凝固した地金部分を容易に除
去することができる。従って、使用後の地金除去作業に
伴って発生する溶湯温度測定用センサー１０の損傷を最
少限度に抑制できる。

【００１３】前述のように、第１の実施の形態において
は、周囲の空気を遮断する金属製筒状体１６を耐火スリ
ーブ１５上に配置しているので、耐火スリーブ１５の炭
素含有耐火物の酸化を効果的に抑制し、しかも地金除去
に伴う損傷を軽減することができる。その結果、溶湯温
度測定用センサー１０の耐用回数を５〜１０回とするこ
とができた。因みに、金属製筒状体１６を有しない図４
に示すような従来の溶湯温度測定用センサー５０におい
ては、耐火スリーブ５１上に形成されるガラス質からな
る従来の酸化防止被膜層５２が流出したり、溶鋼の飛沫
により剥離したりして、充分な酸化防止効果を発揮する
ことができず、また、溶湯温度測定用センサー５０使用
後の地金除去に伴う損傷が大きいために、溶湯温度測定
用センサー５０の耐用回数は１〜３回と低レベルであっ
た。

【００１４】続いて、本発明の第２の実施の形態に係る
溶湯温度測定用センサーについて説明する。図２に示す
ように第２の実施の形態に係る溶湯温度測定用センサー
２３は、前記第１の実施の形態に係る溶湯温度測定用セ
ンサー１０とは、耐火スリーブ及び金属製筒状体の組
成、構造が異なるのみでその他の構成は同一であるの
で、同一の部分は同一の符号を付して、その説明を省略
し、耐火スリーブ２４及び金属製筒状体２５の構成につ
いて詳述する。金属製筒状体２５によって被覆される耐
火スリーブ２４は以下のようにしてサーメット保護管１
４に装着される。金属製筒状体２５の作成に際しては、
ステンレス製のパイプを使用するか、もしくは厚み１．
２ｍｍのＳＵＳ３０４等のステンレス板を素材として、
外径６０ｍｍ、長さ１５０ｍｍのステンレス製の円筒を
作成する。そして、該円筒の上部に外径５８ｍｍ、内径
３０ｍｍのステンレス製のフランジ２６を取付けると共
に、該円筒の側面に直径２〜３ｍｍの空気排出孔２７を
適当に分散させて十数個配置して、金属製筒状体２５と
する。

【００１５】次に、金属製筒状体２５にサーメット保護
管１４を挿入して、金属製筒状体２５の長さの中心位置
が、その使用時において溶鋼面の位置となるように固定
配置する。そして、金属製筒状体２５とサーメット保護
管１４とで形成される空隙部に、不定形炭素含有耐火物
の一例であるジルコニア炭素質のキャスタブルをサーメ
ット保護管１４の先端側から流し込んで、これを乾燥、
硬化させることにより金属製筒状体２５で被覆された耐
火スリーブ２４を形成させる。なお、不定形炭素含有耐
火物と水等の混和材からなる混練物を鋳型に流し込んで
耐火スリーブ２４を形成して、この予め作成された円筒
状の耐火スリーブ２４をサーメット保護管１４に装着す
ることもできる。ここで、金属製筒状体２５の側面部の
複数箇所に空気排出孔２７が設けられているので、施工
中に巻き込まれた空気がキャスタブル中に残留すること
がなく、空洞等の欠陥の少ない耐火スリーブ２４が得ら
れると共に、効率的な流し込み施工が行え、しかも空気
排出孔２７を通してキャスタブルの水分が蒸発するの
で、乾燥時間を短縮することもできる。そして、熱電対
１１が内蔵されたアルミナ絶縁管１２、内部保護管１
３、耐火スリーブ２４が装着されたサーメット保護管１
４をそれぞれ順に挿入して、端子箱１８、ステンレス保
護管１９と共に組み立てることにより図２に示すような
溶湯温度測定用センサー２３とする。

【００１６】この溶湯温度測定用センサー２３を約３０
０℃に予熱した後、鋳鉄製の鋳造鋳型に保持される約１
４８０〜１５５０℃の溶銑中に浸漬して、端子箱１８に
設けられた端子間に生じる熱起電力の大きさを継続的に
測定した。この鋳造鋳型における測温においては、溶銑
面より上の高温空気に曝される部分では、金属製筒状体
２５によって高温空気が遮断され、炭素含有耐火物の酸
化が抑制される。また、金属製筒状体２５が配置されて
いるので、溶銑の飛沫が付着しても、容易に除去でき、
使用後の地金除去作業に伴って発生する溶湯温度測定用
センサー２３の損傷を最少限度に抑制できる。

【００１７】このように、第２の実施の形態において
は、金属製筒状体２５によって被覆された耐火スリーブ
２４が不定形炭素含有耐火物の流し込み施工によりサー
メット保護管１４上に配置されるので、溶湯温度測定用
センサー２３の作成が容易であると共に、耐火スリーブ
２４の炭素含有耐火物の酸化を効果的に抑制し、しかも
地金除去に伴う損傷を軽減して、溶湯温度測定用センサ
ー２３の耐用回数を増加させることができる。

【００１８】続いて、本発明の第３の実施の形態に係る
溶湯温度測定用センサーについて説明する。図３に示す
ように第３の実施の形態に係る溶湯温度測定用センサー
３０は、図示しないがアルミナ絶縁管が内蔵されるアル
ミナ質の内部保護管３１、内部保護管３１が挿入され、
モリブデン−ジルコニア質からなるサーメット保護管３
２、サーメット保護管３２の外側にアルミナセメント３
３を介して配置され、アルミナ黒鉛質からなる略円筒状
の耐火スリーブ３４、耐火スリーブ３４の外周に装着さ
れ、ステンレスからなる金属製筒状体３５、及び耐火ス
リーブ３４、サーメット保護管３２とを結合させるため
の基端部側に配置されたステンレス保護管３７を有して
いる。なお、耐火スリーブ３４の上端部にはフランジ３
６が配置され、耐火スリーブ３４とステンレス保護管３
７の中心軸を互いに一致させるようになっている。前記
アルミナ絶縁管には熱電対が内蔵され、前記ステンレス
保護管３７には端子箱等が配置されているが、図面が煩
雑になるため、これらの構成を省略している。このよう
に本実施の形態においては耐火スリーブ３４の外側表面
の一部を金属製筒状体３５で被覆しているので、特に機
械的強度、耐酸化性の要求される耐火スリーブ３４にお
いて、その上端部側の酸化を防止することができる。

【００１９】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、金属部
分をモリブデンとして、モリブデン中にジルコニアの粒
子を分散させたサーメット保護管の場合について述べた
が、金属部分には、タングステン、コバルト、ニッケ
ル、鉄、クロム、ニオビウム等の金属及びそれらの合金
が使用可能であり、それに分散させるセラミックス粒子
としては、アルミナ、炭素、炭化チタニウム、炭化ジル
コニウム、炭化硼素、炭化ニオビウム、炭化タングステ
ン等も使用できる。

【００２０】

【発明の効果】請求項１〜５記載の溶湯温度測定用セン
サーにおいては、炭素含有耐火物からなる耐火スリーブ
の外側表面の一部又は全部を、炭素含有耐火物の酸化を
抑制する金属製筒状体で被覆しているので、溶湯温度測
定用センサー周囲の空気によって炭素含有耐火物が酸化
されることがなく、また使用中に溶融金属の飛沫が付着
しても、金属製筒状体によって耐火スリーブが保護さ
れ、耐火スリーブの損傷が抑制され、溶湯温度測定用セ
ンサーの耐用性を向上させることができる。特に、請求
項２記載の溶湯温度測定用センサーにおいては、炭素含
有耐火物が、特定量の炭素を含むアルミナ炭素質又はジ
ルコニア炭素質の耐火物であるので、スラグあるいは溶
鋼等に対する耐食性が所定レベルの範囲に維持されて、
さらに溶湯温度測定用センサーの耐用性を高めることが
できる。また、請求項３記載の溶湯温度測定用センサー
においては、耐火スリーブが、耐火スリーブの内面及び
／又は外面に配置されたモルタル、キャスタブル等の接
着材を介してサーメット保護管及び／又は金属製筒状体
に固定されているので、サーメット保護管、耐火スリー
ブ及び金属製筒状体を簡単に接合して、強固な構成とす
ることができると共に、サーメット保護管、耐火スリー
ブ及び金属製筒状体の形状又は寸法に多少の誤差が生じ
ても、これを接着材の厚みで調整することができ、金属
製筒状体及び耐火スリーブ等の加工コスト等を削減でき
る。

【００２１】請求項４及び５記載の溶湯温度測定用セン
サーにおいては、耐火スリーブが、不定形炭素含有耐火
物の流し込み施工体であるので、サーメット保護管、耐
火スリーブ及び金属製筒状体が一体となった高強度の溶
湯温度測定用センサーとして、さらに耐用性を向上でき
る。特に、請求項５記載の溶湯温度測定用センサーにお
いては、金属製筒状体の上部に不定形炭素含有耐火物を
封止するフランジが設けられているので、不定形炭素含
有耐火物の流し込み施工時にサーメット保護管を金属製
筒状体の中心位置に確実に位置付けて、しかも流し込ま
れる不定形炭素含有耐火物を封止することができる。そ
して、金属製筒状体の側面部に空気排出孔が設けられて
いるので、金属製筒状体とサーメット保護管との間に流
し込まれる不定形炭素含有耐火物を円滑に充填すること
ができ、不定形炭素含有耐火物中に巻き込まれる空気を
減少させて、空洞あるいは亀裂等の欠陥の少ない耐火ス
リーブとすることができ、さらに耐用性を高めることが
可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態に係る溶湯温度測定
用センサーの使用時における断面図である。

【図２】同第２の実施の形態に係る溶湯温度測定用セン
サーの断面図である。

【図３】同第３の実施の形態に係る溶湯温度測定用セン
サーの一部省略断面図である。

【図４】従来例に係る溶湯温度測定用センサーの断面図
である。

【符号の説明】

１０溶湯温度測定用センサー１１熱電対１２アルミナ絶縁管１３内部保護
管１４サーメット保護管１５耐火スリ
ーブ１６金属製筒状体１７フランジ１８端子箱１９ステンレ
ス保護管２０接着材２１スラグ２２溶鋼面２３溶湯温度
測定用センサー２４耐火スリーブ２５金属製筒
状体２６フランジ２７空気排出
孔３０溶湯温度測定用センサー３１内部保護
管３２サーメット保護管３３アルミナ
セメント３４耐火スリーブ３５金属製筒
状体３６フランジ３７ステンレ
ス保護管

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】熱電対を保持する内部保護管と、該内部
保護管を収納するサーメット保護管と、該サーメット保
護管の外周に配置される炭素含有耐火物からなる耐火ス
リーブとを備えた溶湯温度測定用センサーにおいて、前記耐火スリーブの外側表面の一部又は全部を、前記炭
素含有耐火物の酸化を抑制する金属製筒状体で被覆した
ことを特徴とする溶湯温度測定用センサー。
【請求項２】前記炭素含有耐火物が、炭素２〜２０ｗ
ｔ％を含むアルミナ炭素質又はジルコニア炭素質の耐火
物であることを特徴とする請求項１記載の溶湯温度測定
用センサー。
【請求項３】前記耐火スリーブが、前記耐火スリーブ
の内面及び／又は外面に配置されたモルタル、キャスタ
ブル等の接着材を介して前記サーメット保護管及び／又
は前記金属製筒状体に固定されていることを特徴とする
請求項１又は２記載の溶湯温度測定用センサー。
【請求項４】前記耐火スリーブが、不定形炭素含有耐
火物の流し込み施工体であることを特徴とする請求項１
〜３のいずれか１項に記載の溶湯温度測定用センサー。
【請求項５】前記金属製筒状体の上部に前記不定形炭
素含有耐火物を封止するフランジが設けられ、該金属製
筒状体の側面部に空気排出孔が設けられていることを特
徴とする請求項４記載の溶湯温度測定用センサー。