JP3255354B2 - セラミックス構造体 - Google Patents
セラミックス構造体Info
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Description
ル複合焼結体と、窒化物焼結体又は酸窒化物焼結体との
多層構造体からなる、耐熱衝撃性、耐溶損性、耐酸化
性、熱伝導性に優れたセラミックス構造体に関するもの
であり、例えば溶鋼等の溶融金属の治具として好適なも
のである。
護管、ノズル、ガス吹込み管、ブレークリング等におい
て、耐熱衝撃性や溶融金属に対する化学的安定性が要求
される場合に、窒化硼素(BN)材、窒化硼素/窒化珪
素(BN/Si3 N4 )系複合材料、窒化硼素/窒化ア
ルミニウム/アルミナ(BN/AlN/Al2 O3 )系
複合材料が使用されている。
1000℃以上の温度下で溶融金属に接触すると、溶融
金属やスラグ成分との長時間の化学的反応による溶損に
加えて、溶融金属の対流による激しい摩耗作用を受け、
組織強度の弱いBNは欠落してしまい、充分な耐溶損性
が得られないという問題があった。
/Si3 N4 /AlN/Al2 O3系複合焼結体(特開
昭60−96575号公報)、BN/AlN/MgO系
複合焼結体(特開平7−277830号公報)、更には
BN/Si3 N4 系複合材料又はBN/サイアロン系複
合材料に、アルミナ(Al2 O3 )、ジルコニア(Zr
O2 )、MgO(マグネシア)、スピネル(MgAl2
O4 )のうちから選ばれる1種以上を焼結させた表面層
で被覆してなるBN系複合材料(特開平4−28088
7号公報)が提案されている。
の複合焼結体では、溶融金属に浸漬した際に焼結体表面
に存在するBNが欠落して耐溶損性の改善効果が充分で
なくなり、測温用保護管やガス吹込み管では、管の内壁
が高温で大気に曝されるためBNが酸化してB2O3 を
生成し、熱電対が断線したり、B2 O3 の蒸発によるガ
ス発生や、B2 O 3 により低融点ガラス質が形成される
ことによる短寿命化などの問題がある。また、後者の複
合材料では、長時間の浸漬や熱衝撃が加わる状況におい
ては、表面層が基材から剥離して耐溶損性が不足し、そ
の用途が測温用保護管やガス吹込み管である場合には、
前2者と同様な問題がある。しかも、表面層の熱伝導性
が低いため基材の良好な熱伝導性が有効に活かせないた
め、測温用保護管の熱応答性が悪くなるなどの問題があ
る。そこで、溶融金属の治具に好適な、耐熱衝撃性と耐
溶損性に優れ、しかも耐酸化性、熱伝導性にも優れたセ
ラミックスの提供が待たれていた。
は鋭意検討した結果、以下のことを見いだし、本発明を
完成させたものである。 (a)BNとスピネル(MgAl2 O4 )を適量含む焼
結体は、耐熱衝撃性と耐溶損性のバランスに優れた材料
となる。 (b)BNとスピネル(MgAl2 O4 )を適量含む上
記複合焼結体を溶融金属に浸漬した際に、その表面にス
ピネル(MgAl2 O4 )を主成分とする密着性の極め
て高い被膜が形成され、耐溶損性が一段と優れたものに
なる。 (c)上記複合焼結体と、窒化物焼結体又は酸窒化物焼
結体との多層構造体、特に窒化硼素(BN)/サイアロ
ン複合焼結体との多層構造体は、耐熱衝撃性と耐溶損性
に加えて、耐酸化性と熱伝導性にも優れたものとなり、
測温用保護管やガス吹込み管の用途に対しても充分に対
応が可能となる。
0重量%とMgO・Al2 O3 スピネル90〜10重量
%とからなる窒化硼素(BN)/スピネル複合焼結体
と、窒化物焼結体又は酸窒化物焼結体との多層構造体か
らなることを特徴とする溶融金属の治具用セラミックス
構造体であり、特に窒化物焼結体又は酸窒化物焼結体が
窒化硼素(BN)/サイアロン複合焼結体からなるもの
である。また、本発明は、これらの溶融金属の治具用セ
ラミックス構造体において、窒化硼素/スピネル複合焼
結体が、その表面にMgO・Al2 O3 スピネル質を主
成分とする被膜が形成されてなるものである。
る。
との複合焼結体について説明すると、本発明で用いられ
るBN/スピネル複合焼結体は、六方晶窒化硼素10〜
90重量%と、MgO・Al2 O3 スピネル90〜10
重量%とからなるものであることが好ましい。六方晶窒
化硼素が10重量%未満では、耐熱衝撃性と機械加工性
が低下し、また90重量%を超えると耐溶損性が低下す
る。スピネルが90重量%を超えると耐熱衝撃性と機械
加工性が低下し、また10重量%未満では、耐溶損性が
低下する。
上、原料粉末等から不可避的に混入する、SiO2 、C
aO、MgO、Fe2 O3 、Al2 O3 、Na2 O、A
lN、Si3 N4 、ZrB2 、ZrO2 、SiC等が含
まれていても差し支えない。これらの割合は、少ないほ
ど好ましいが、合計で10重量%まで許容できる。特
に、AlN、Si3 N4 の混入は、それらがスピネルの
Al2 O3 分と反応してAlON、SiAlON等の酸
窒化物を生成し、耐溶損性を低下させるので注意が必要
である。
又は粒子塊の大きさは、BN、スピネル共に100μm
以下であることが好ましい。BNの粒子又は粒子塊の大
きさが100μmを超えると耐摩耗性が低下し、またス
ピネルの粒子又は粒子塊の大きさが100μmを超える
と耐溶損性が低下する。特に好ましいBN及びスピネル
の粒子又は粒子塊の大きさは50μm以下である。ここ
で、「粒子又は粒子塊」とは、BN/スピネル複合焼結
体においては、BN又はスピネルのそれぞれの単一粒子
又はその単一粒子が偏析した多粒子の塊を意味し、その
焼結原料である混合粉末においては、それぞれの一次粒
子とその凝集塊のことである。
硼素粉末、MgO粉末及びAl2 O 3 粉末の混合粉末、
又は六方晶窒化硼素粉末とスピネル粉末の混合粉末を原
料とし、常圧焼結又は加圧焼結(ホットプレス、HIP
等)によって製造することができる。
結体は、上記方法で製造されたようなBNとスピネルと
の複合焼結体であってもよいが、望ましくはこの複合焼
結体をコア部とし、その表面にMgO・Al2 O3 スピ
ネル質を主成分とする数〜数百μmの被膜(シェル部)
が形成されたものである。このようなコアシェル構造
は、BNとスピネルとの複合焼結体を溶融金属に浸漬す
ることによって形成させることができ、耐溶損性が一段
と高まったものとなる。なお、コア部及びシェル部に
は、上記した不可避不純物の混入は許容される。
(シェル部)は、一般的に多孔質であること、スピネル
同士が連続的に粒接合していること、コア部のスピネル
粒子に比べて緻密化していること、コア部の界面では被
膜とコア部のスピネル同士がこれまた粒接合していて密
着性が大であること、これらの理由から熱衝撃が加わっ
たり溶融金属中に長時間浸漬されても良好な耐溶損性を
示すこと、更にはたとえ被膜が剥離したとしても溶融金
属と接触している間はコア部から新たな被膜が再生され
ること、等において、特開平4−280887号公報等
のような従来の焼結型被覆層とは異なっているものであ
る。
は酸窒化物焼結体としては、BN、Si3 N4 、Al
N、TiN、AlON、SiAlON等の焼結体、及び
これらを成分とする複合焼結体をあげることができる。
これらは、使用目的に応じて適宜選択することができ
る。例えば、溶融金属と直接接触する部位は、BN/ス
ピネル複合焼結体として耐熱衝撃性、耐溶損性を付与
し、特に耐酸化性が必要な部位にはSi3 N4 、Ti
N、AlON、SiAlON等を、また特に熱伝導性を
必要とする部位にはAlN、BN等を組み合わせた構造
とする。耐酸化性と高熱伝導性が必要な場合は、BN/
サイアロン複合焼結体が最適である。
ピネル複合焼結体と窒化物焼結体又は酸窒化物焼結体と
の2層構造を備えたものであれば、3層構造体又はそれ
以上の多層構造体からなるものであってもよい。その場
合の構成層としては、BN/スピネル複合焼結体や、B
N、Si3 N4 、AlN、TiN、アロン(AlO
N)、サイアロン(SiAlON)、TiB2 、ZrB
2 、SiC、TiC、C等の焼結体及びこれらを成分と
する複合焼結体、更にはAl2 O3 、SiO2 、ZrO
2 、MgO、CaO、ムライト(3Al2 O3 ・2Si
O2 )、フォルステライト(2MgO・SiO2 )等の
酸化物焼結体及びこれらの成分を適宜組み合わせた酸化
物複合焼結体が使用される。
厚みなどは任意である。例えば、放射温度計を用いて溶
融金属の測温を行う保護管では、外管に肉厚2mm程度
のBN/スピネル複合焼結体、内管に該複合焼結体のB
N成分の酸化を抑制し良好な熱伝導性を確保するため、
肉厚1〜2mm程度のBN/サイアロン複合焼結体を用
いた構造体とする。また、肉厚5mm程度のBN/サイ
アロン複合焼結体のパイプの内側に、肉厚5mm程度の
黒鉛パイプを挿入し、更にその内側に肉厚10mm程度
のBN/スピネル複合焼結体のパイプを挿入してなる構
造体では、その黒鉛パイプに通電し発熱させることによ
って、BN/サイアロン複合焼結体のパイプ中に溶融金
属を流す導管などとして使用することができる。この場
合において、最外郭のBN/サイアロン複合焼結体から
なるパイプを測温することによって、温度調節を行うこ
とができる。各構成層同士は、接着層を介して接合され
ていてもよく、また接着剤を用いないで嵌合状態で一体
化されていてもよい。
具体的に説明する。
ネル粉末を40重量%配合し、ボールミルを用いて3時
間均一混合し、黒鉛ダイス中に充填して、1700℃で
ホットプレス焼結を行い、BN/スピネル複合焼結体を
製造した。この複合焼結体を外径12mm、長さ150
mm、先端部のR=6mm、肉厚2mmの試験管形状に
加工し、2重管構造からなる測温用保護管の外管とし
た。
N粉末、Al2 O3 粉末、Si3 N 4 粉末を合計40重
量%〔但し、サイアロン(Si6-Z Al8 OZ N8-Z )
のZ値が2となるように配合〕をボールミルを用いて3
時間均一混合し、黒鉛ダイス中に充填して、1700℃
でホットプレス焼結を行い、BN/サイアロン複合焼結
体(BN/サイアロン重量比=60/40)を製造し
た。この複合焼結体を外径8mm、長さ148mm、先
端部のR=4mm、肉厚1.5mmの試験管形状に加工
し、測温用保護管の内管とした。
管を作製した。この測温用保護管を1500℃の溶銑に
浸漬して、測温管内側底部の温度を放射温度計で10分
間測定し、溶銑から引き上げた。この操作を20回繰返
し行った際の、測温状態と保護管の状態を調べ、その結
果を表1に示した。また、測温試験後の内管には異常は
認められなかった。
/Si3 N4 複合焼結体(BN/Si3 N4 重量比=6
0/40、密度2.5g/cm3 )からなる外管を用い
たこと以外は、実施例1と同様にして測温用保護管を作
製し、評価を行った。
=60/40、密度2.5g/cm3 )の外管のみから
なる測温用保護管を作製し、実施例1と同様な評価を行
った。
ミナ焼結体からなる内管を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして測温用保護管を作製し、評価を行った。そ
の結果、保護管の状態は、実施例1と同程度と良好であ
ったが、測温状態は、実施例1のものは溶銑浸漬後1分
以内に測定温度が安定したが、比較例3のものは測定温
度が安定するまでに5分以上かかった。
3 N4 焼結体(密度3.2g/cm3 )からなる内管を
用いたこと以外は、実施例1と同様にして測温用保護管
を作製し、評価を行った。その結果を表1に示す。ま
た、測温試験後の内管には小さなクラックが発生してい
た。
アロン焼結体(密度3.2g/cm3 、Z値=2)から
なる内管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして測
温用保護管を作製し、評価を行った。その結果を表1に
示す。また、測温試験後の内管にはクラックが発生して
いた。
漬して、その表面にスピネル質被膜を形成させた後、測
温を行い、評価を行った。その結果を表1に示す。ま
た、測温試験後の外管の肉厚は、実施例1では約1mm
薄くなったのに対し、実施例4では約0.5mm薄くな
った。
に優れ、しかも耐酸化性と高熱伝導性をも併せ持つセラ
ミックス構造体が提供される。本発明のセラミックス構
造体は、溶融金属の治具として好適なものであり、特に
測温用保護管、ガス吹込み管に最適である。
Claims (3)
- 【請求項1】 六方晶窒化硼素10〜90重量%とMg
O・Al2 O3 スピネル90〜10重量%とからなる窒
化硼素/スピネル複合焼結体と、窒化物焼結体又は酸窒
化物焼結体との多層構造体からなることを特徴とする溶
融金属の治具用セラミックス構造体。 - 【請求項2】 窒化物焼結体又は酸窒化物焼結体が、窒
化硼素/サイアロン複合焼結体であることを特徴とする
請求項1記載の溶融金属の治具用セラミックス構造体。 - 【請求項3】 窒化硼素/スピネル複合焼結体が、その
表面にMgO・Al2 O3 スピネル質を主成分とする被
膜が形成されてなるものであることを特徴とする請求項
1又は2記載の溶融金属の治具用セラミックス構造体。
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---|---|---|---|
JP26840497A JP3255354B2 (ja) | 1997-10-01 | 1997-10-01 | セラミックス構造体 |
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Publications (2)
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JPH11105198A JPH11105198A (ja) | 1999-04-20 |
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JP26840497A Expired - Fee Related JP3255354B2 (ja) | 1997-10-01 | 1997-10-01 | セラミックス構造体 |
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JP (1) | JP3255354B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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HUP0104140A3 (en) * | 1998-11-19 | 2003-05-28 | Vesuvius Crucible Co | Composite material |
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1997
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