JPH09313174A - 耐熱性グルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ及びその製造法 - Google Patents

耐熱性グルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ及びその製造法

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JPH09313174A
JPH09313174A JP8156336A JP15633696A JPH09313174A JP H09313174 A JPH09313174 A JP H09313174A JP 8156336 A JP8156336 A JP 8156336A JP 15633696 A JP15633696 A JP 15633696A JP H09313174 A JPH09313174 A JP H09313174A
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glucose
enzyme
phosphate
phosphoric acid
nadp
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Seiji Murakami
成治 村上
Motoo Nakajima
基雄 中島
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Kikkoman Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】補酵素NADPに対する特異性が高く、耐熱性
の優れた新規なグルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−
ゼを得ること。 【解決手段】ペディオコッカス属に属し、補酵素NAD
Pに対する特異性が高く耐熱性の優れたグルコ−ス−6
−リン酸デヒドロゲナ−ゼ生産能を有する微生物を栄養
培地に接種培養して、該培養物より該酵素を分離採取す
る。 【効果】従来補酵素NADPに対する特異性の高いグル
コ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼは耐熱性を示さ
ず、反対に耐熱性を示すものは補酵素NADPと共に補
酵素NADに対しても特異性が高いため、反応系に測定
誤差を招来する副産物NADHが生成する欠点を有して
いる。本酵素はNADPに対してのみ特異性を有するた
め反応系にNADHの副産がなく、また耐熱性を有する
ため温度による利用範囲の制限を受けることもない。そ
して、臨床検査の分野で生体成分であるグルコ−ス、グ
ルコ−ス−6−リン酸、ヘキソキナ−ゼ、クレアチンキ
ナ−ゼ等を精度よく分析することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規かつ有用なグル
コ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ(以下、G6PD
Hということがある)、特に酸化型ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチドホスフェイト(以下NADPとい
う)に特異的であるが酸化型ニコチンアミドアデニンジ
ヌクレオチド(以下NADという)には作用しない性質
を有し、しかも耐熱性を有するグルコ−ス−6−リン酸
デヒドロゲナ−ゼ(以下本酵素ということがある)及び
その製造法に関する。本酵素は、臨床分野において生体
成分であるグルコ−ス、グルコ−ス−6−リン酸、ヘキ
ソキナ−ゼ、クレアチンキナ−ゼ等の定量分析試薬、診
断試薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】グルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−
ゼは動植物界に広く分布し、動物組織では副腎皮質、
脾、授乳中等に、また微生物では酵母、ロイコノストッ
ク・メセンテロイデス、アゾトバクタ・ビネランジ−、
シュ−ウドモナス・フルオレッセンス等にその存在が知
られている(「酵素ハンドブック」、赤堀四郎監修、朝
倉書店、1982年12月1日)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来知ら
れているグルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼはそ
の殆どが耐熱性がなく、45℃、30分間処理において
は、処理前の酵素活性に対して半分以下の残存活性とな
り、50℃、30分間処理においては、その殆どが失活
してしまうため、利用温度範囲が限定される欠点を有し
ている。一方60℃、30分間処理において、処理前の
酵素活性に対し80%以上の残存活性を有する耐熱性グ
ルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼが知られている
(特公平3−995)が、この酵素は、NADPと共に
NADに対しても特異性が高いため、以下に詳述するよ
うに反応系に測定誤差を招来する副産物が生成する欠点
を有している。
【0004】即ち、臨床検査の分野では、生体成分にデ
ヒドロゲナ−ゼ(脱水素酵素)とNADP(酸化型)を
反応させ、酸化還元反応を利用して、該NADPをNA
DPH(還元型)に転換し、該NADPHを波長340
nmにおける吸光度で測定することにより、生体成分を
定量する方法が通常用いられている。例えば生体内に存
在するグルコ−ス−6−リン酸を測定する場合、これに
NADPとグルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼを
反応させ、NADPHの増加を波長340nmで測定す
る方法が通常用いられている。しかしながら、この方法
に使用されるグルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ
が、NADPに対してばかりでなくNAD(酸化型)に
対しても特異的である場合には、該デヒドロゲナ−ゼが
生体内に存在するNAD(酸化型)にも作用して、酸化
還元反応によりNADH(還元型)を副生する。この副
生するNADHは、NADPHと同一波長の吸収を有す
るため、NADPHの正確な定量ができず、そのため目
的とする生体内のグルコ−ス−6−リン酸の定量誤差を
招来するという欠点を有する。このようなことから、グ
ルコ−ス−6−リン酸の定量にはNADPには特異的に
作用するがNADに対しては作用しない、すなわちNA
DPに特異的な補酵素要求性を有する酵素が望まれてい
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
観点から、NADPに特異的で、しかも耐熱性の優れた
性質を有するグルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ
を求めて鋭意研究を続けた結果、ペディオコッカス属に
属する1菌株が上記の性質を有するグルコ−ス−6−リ
ン酸デヒドロゲナ−ゼを生産する能力を有することを見
出し、本発明を完成した。即ち、本発明は50℃、30
分間処理において、処理前の酵素活性に対して90%以
上の残存活性を有し、且つ次の理科学的性質(1)〜
(6)を有する耐熱性グルコ−ス−6−リン酸デヒドロ
ゲナ−ゼである。 (1)作用:D−グルコ−ス−6−リン酸+NADP+
←→D−グルコノ−S−ラ クトン−6−リン酸+NA
DPH+H+ (2)基質特異性:D−グルコ−ス−6−リン酸に特異
的で、またNADPに特異的であるがNADには作用し
ない。 (3)至適pH:7.5〜9.0 (4)至適温度:60℃ (5)pH安定性:6.0〜9.5 (6)分子量:178,000(ゲル濾過法) また本発明はペデイオコッカス属に属し、50℃、30
分間処理において、処理前の酵素活性に対して90%以
上の残存活性を有し、且つ前記した理化学的性質(1)
〜(6)を有する耐熱性グルコ−ス−6−リン酸デヒド
ロゲナ−ゼ生産能を有する微生物を、栄養培地に接種培
養し、該培養物から該グルコ−ス−6−リン酸デヒドロ
ゲナ−ゼを得ることを特徴とする耐熱性グルコ−ス−6
−リン酸デヒドロゲナ−ゼの製造法である。
【0006】
【発明の実施の態様】以下本発明を詳細に説明する。本
発明に使用する微生物としては、ペデイオコッカス属に
属し、50℃、30分間処理において、処理前の酵素活
性に対して90%以上の残存活性を有し、且つ前記した
理化学的性質(1)〜(6)を有する耐熱性グルコ−ス
−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ生産能を有する微生物で
あれば野性株、変異株のいずれも使用することができ
る。本発明に用いる微生物の好適な例としてはペディオ
コッカス・ペントサセウス(Pediococcus
pentosaceus)IFO 3892が挙げられ
る。なお、この菌株は公知微生物であって、財団法人
発酵研究所(INSTITUTE FOR FERME
NTATION,OSAKA)に寄託されている。
【0007】本発明に使用する培地組成としては使用菌
株が資化しうる炭素源、窒素源、無機物、その他必要な
栄養素を適量含有するものであれば、合成培地、天然培
地、半合成培地等のいずれも使用できる。また公知の培
地、例えば「M−17培地」等を用いてもよい。
【0008】上記培地組成として、炭素源としてはグル
コ−ス、サツカロ−ス、澱粉、グリセロ−ルリン酸2ナ
トリウム等が、窒素源としては塩化アンモニウム、硝酸
ナトリウム、イ−ストエキス、ポリペプトン、肉エキ
ス、トリプトン、ソイトン等が、無機物としてはMgS
4等が、その他必要な栄養素としては、各種ビタミ
ン、アスコルビン酸等が挙げられる。
【0009】培養は静置培養あるいは深部攪拌培養など
微生物が生育できる環境であれば良く、好ましくは通気
を抑えた状態が良い。培養温度は通常23〜40℃の範
囲、好ましくは30℃付近、pHは5〜10の範囲、好
ましくは6.0〜8.5に制御するのが良い。これら以
外の条件でも、菌株が生育すれば実施することができ
る。
【0010】培養期間は通常1〜4日間行い、菌体内に
耐熱性グルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼが蓄積
される。
【0011】本酵素の精製法は一般に使用される精製法
を用いればよい。例えば、培養後、遠心分離により菌体
を回収した後、この菌体を緩衝液に懸濁した後、本酵素
の抽出操作を行なう。抽出操作は、超音波、ガラスビ−
ズ、フレンチプレス等を用いる機械的な破砕処理、界面
活性剤処理、リゾチ−ムなどによる溶菌処理を行い、本
酵素を菌体外に抽出して粗酵素溶液を得、精製操作を行
なう。精製操作は、粗酵素溶液を公知の硫酸アンモニウ
ムや芒硝等のを用いる塩析法、塩化マグネシウムや塩化
カルシウム等を用いる金属凝集法、プロタミン等の凝集
法、DEAE(ジエチルアミノエチル)セルロ−ス、C
M(カルボキシメチル)セルロ−ス等のイオン交換クロ
マト法及びゲル濾過法(HPLC)などを、単独で又は
組合わせて行なう。
【0012】このようにして得られる本酵素の理化学的
性質及び活性測定法は、以下に示す通りである。 (理化学的性質)50℃、30分間処理において、処理
前の酵素活性に対して90%以上の残存活性を有し、且
つ次の理科学的性質(1)〜(6)を有する耐熱性グル
コ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ (1)作用:D−グルコ−ス−6−リン酸+NADP+
←→D−グルコノ−S−ラ クトン−6−リン酸+NA
DPH+H+ (2)基質特異性:D−グルコ−ス−6−リン酸に特異
的で、またNADPに特異的であるがNADには作用し
ない。 (3)至適pH:7.5〜9.0 (4)至適温度:60℃ (5)pH安定性:6.0〜9.5 (6)分子量:178,000(ゲル濾過法)
【0013】(活性測定法) (試薬) A 55mM Tris−HCl緩衝液、pH7.8
(3.3mMのMgCl2を含む) B 600μM NADP水溶液 C 0.1Mグルコ−ス−6−リン酸水溶液 D 酵素希釈液(0.1%牛血清アルブミンを含む50
mM Tris−HCl緩衝液 pH7.8)
【0014】(手順) 1 下記反応混液をキュベット(d=1.0cm)に調
製し、30℃で約5分間予備加温する。 2.7ml Tris−HCl緩衝液(pH7.8) 0.1ml NADP水溶液 0.1ml グルコ−ス−6−リン酸水溶液 2 酵素溶液0.1mlを添加し、混和後水を対照に3
0℃に制御された分光光度計で340nmの吸光度変化
を4〜5分間記録し、その初期直線部分から1分間当り
の吸光度変化を求める(△test)。盲検は酵素溶液
の代わりに酵素希釈液を0.1ml加え、上記と同様に
操作を行なって1分間当りの吸光度変化を求める(△b
lank)。
【0015】(計算式) A=6.22×1.0×0.1(ml) B=△OD/min(△test−△blank)×
3.0(ml)×希釈倍数
【0016】本酵素はNADPに対する特異性が高く、
かつ優れた耐熱性と溶液安定性を示し、臨床分野におい
て生体成分であるグルコ−ス、グルコ−ス−6−リン
酸、ヘキソキナ−ゼ、クレアチンキナ−ゼ等の定量分析
試薬、診断試薬として好適に用いることができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示
す。 実施例 1 (「M−17培地」の調製)β−グリセロ−ルリン酸2
ナトリウム 20g、D−グルコ−ス 10g、トリプ
トン 5g、ソイトン 5g、肉エキス 5g、イ−ス
トエキス 2.5g、アスコルビン酸 0.5g、Mg
SO47H2O 0.25g、を水に溶解、5N−HCl
又は5N−NaOHにてpH7.0に調整し、水で1l
に調製した。同培地40mlを綿栓付き太試験管に移
し、オ−トクレ−ブにて120℃、20分間の加熱殺菌
を行ない、室温まで放冷し、培地を調製した。
【0018】(微生物の培養・菌体の回収)この培地
に、ペディオコッカス・ペントサセウス IFO 38
92株を、一白金耳接種し、30℃で2日間静置培養し
て、同微生物の種培養液を調製した。一方、容量25リ
ットルのガラス容器に前記で調製した培地18リットル
を入れ、120℃、20分間の加熱殺菌を行い、室温ま
で放冷したものを2個用意し、それぞれに、前記で調製
した種培養液40mlを接種し、30℃で2日間静置培
養した。培養後、遠心分離により菌体を回収した後、こ
の菌体を緩衝液A(50mMTris−HCl緩衝液
pH7.8、5mM EDTA含有)にて菌体を洗浄し
た。この洗浄菌体を、再び緩衝液Aに懸濁し、菌体懸濁
液を得た。
【0019】(本酵素の精製) (第一精製工程)上記菌体懸濁液に、終濃度が6.25
重量%となるようにリゾチ−ムを添加し、室温にて2時
間放置後、リン酸アンモニウムを終濃度で0.25Mと
なるように加え、さらに2時間放置し、菌体を溶菌させ
た。溶菌処理後の懸濁液を8000rpmで30分遠心
分離し、上澄液を回収することにより、粗酵素液835
ml(活性1.39u/ml、総活性約1160u、蛋
白量2750mg)を得た。
【0020】(第二精製工程)上記粗酵素液全量に46
8.4gの硫酸アンモニウムを徐々に加え、完全に溶解
させた後、4℃で一晩静置した。沈殿を遠心分離で回収
し、前述の緩衝液Aに溶解させ、ホロファイバ−(旭メ
ディカル社製)を用いて濃縮しながら、緩衝液Aにて希
釈し、混在する硫酸アンモニウムを除去した酵素液64
0ml(活性1.66u/ml、総活性1060u、蛋
白量2260mg、回収率91%)を得た。
【0021】(第三精製工程)緩衝液Aであらかじめ平
衡化したイオン交換カラム(Q−Sepharosef
ast flow;ファルマシア社製)に上記酵素液を
通じ、緩衝液Aでカラムを洗浄後、塩化ナトリウムの0
〜0.5Mの直線濃度勾配により、目的のグルコ−ス−
6−リン酸デヒドロゲナ−ゼの活性画分を溶出した。こ
の活性画分をホロファイバ−で濃縮後、緩衝液Aを用い
脱塩し、酵素液1010.0ml(活性0.370u/
ml、総活性370u、蛋白量97.8mg、回収率3
2%)を得た。
【0022】(第四精製工程)脱塩処理後の酵素液を緩
衝液Aで平衡化したBlue−Sepharose(フ
ァルマシア社製)カラムに供した。カラムを緩衝液Aに
て洗浄後、塩化ナトリウムの0〜0.6Mの直線濃度勾
配により吸着画分を溶出した。溶出液を分画し、本酵素
の活性画分を回収し、前述と同様に濃縮、脱塩して、酵
素液204ml(活性2.17u/ml、総活性441
u、蛋白量4.59mg、回収率38%)を得た。
【0023】(第五精製工程)上記酵素液を緩衝液Aで
平衡化した2’5’ADPSepharose(ファル
マシア社製)カラムに供し、5mMのAMPを含む緩衝
液Aにて洗浄後、0.44 mMのNADPを含む緩衝
液Aにて吸着画分を溶出した。溶出液を分画し、本酵素
の活性画分をホロ ファイバ−及びセントリコン−10
(アミコン社製)を用いて濃縮し、酵素液53ml(活
性2.97u/ml、総活性157u、蛋白量0.72
mg、回収率14%)を得た。
【0024】(第六精製工程)上記酵素液を0.3Mの
塩化ナトリウムを含む緩衝液Aにて平衡化したTSK−
gelG3000SWXL(東ソ−社製)を用いたゲル
濾過HPLCに供し、酵素液8ml(活性13.8u/
ml、総活性110u、蛋白量0.32mg、回収率
9.4%)を得た。本酵素の収量は0.32mgであ
り、比活性は約345u/mgであった。
【0025】(本酵素の理化学的性質:単一性)上記の
方法により得られた酵素標品はSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動による分析を行なったところ、電気泳
動的に単一であることが判明した。また、この酵素標品
をTSK−gelG3000SWXL(東ソ−社製)を
用いたゲル濾過HPLCにより分子量を求めたところ1
78000であることが判明した。
【0026】(補酵素要求性)この酵素標品(本酵素)
は、NADPに対しては特異的に作用しそのKm値は、
7.2×10-6Mであり 、一方NADに対しては作用
しないことが判明した。 また、この酵素標品は、グル
コ−ス−6−リン酸に作用するが、D−グルコサミン−
6−リン酸、D−フルクト−ス−6−リン酸、D−マン
ノ−ス−6−リン酸、D−グルコ−ス−1−リン酸、D
−ガラクト−ス−6−リン酸、6−ホスホグルコン酸及
びグルコ−スには作用しない。本酵素はNADPに特異
的であるがNADには作用しないため、反応系にNAD
が含まれていても、反応系に測定誤差を招来する副産物
の生成がなく、生体成分の定量分析ができるという、酵
素的に非常に有利な特徴を備えている。
【0027】(至適pHの測定)前述の「活性測定法」
において、「Tris−HCl緩衝液 pH7.8」を
用いる代わりに「Tris−HCl緩衝液 pH7.8
〜9.5」、「リン酸緩衝液 pH6.0〜8.0」、
「HEPES緩衝液 pH7.0〜8.0」、「TAP
S緩衝液 pH8.0〜9.0」、「MES緩衝液 p
H5.5〜7.0」、「Bis Tris Propa
ne緩衝液 pH6.5〜9.0」、及び「炭酸緩衝液
pH9.0〜11.0」を用いる以外は同様にして本
酵素の活性を測定した。その結果を図1に示す。なお、
活性の測定結果は相対値で示した。図1の結果から、本
酵素の至適pHは、7.5〜9.0であることが判る。
【0028】(pH安定性)本酵素を、「MES緩衝液
pH5.5〜7.0」、「Bis Tris Pro
pane緩衝液 pH6.5〜9.0」、及び「炭酸緩
衝液 pH9.0〜11.0」に溶解し30℃で1時間
保持後、その残存活性を測定した。その結果を図2に示
した。図2の結果から、本酵素のpH安定性は、6.0
〜9.5であることが判る。
【0029】(熱安定性)本酵素を、酵素希釈液(0.
1%牛血清アルブミンを含む50mM Tris−HC
l緩衝液 pH7.8)で10容量倍に希釈溶解し、こ
の溶液を20℃、30℃、40℃、45℃、50℃、5
5℃、60℃の各温度において30分間熱処理後、その
残存活性を測定した。その結果を図3に示した。図3の
結果から、本酵素は至適pHの緩衝液中50℃、30分
間処理において、処理前の酵素活性に対して90%以上
の残存活性を有していることが判る。
【0030】
【実施例2】 (本酵素と市販の酵素の熱安定性の試験例)実施例1で
調製した本酵素と比較のため公知のグルコ−ス−6−リ
ン酸デヒドロゲナ−ゼとを用い、熱安定性の比較試験を
行なった。公知のグルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ
−ゼとしては、ベ−リンガ−社製酵素(ロイコノストッ
ク属由来)、シグマ社製酵素(トルラ属由来)、オリエ
ンタル酵母社製酵素(酵母由来)、同(ロイコノストッ
ク属由来)を用いた。熱安定性の試験は、各種酵素標品
を終濃度で1500u/lになるように100mMイミ
ダゾ−ル緩衝液(pH6.6、2.0mM NADPを
含む)に溶解し、45℃で所定時間熱処理を行い、20
分毎にその残存活性を測定した。その結果を図4に示
す。
【0031】また、本酵素と公知酵素との特徴を比較対
照して、調べた結果を表1に示す。
【0032】 表1 (本酵素と公知酵素との特徴比較一覧表) 補酵素要求性 耐熱性 特 徴 NADP NAD 耐熱性を有するため 利用温度範囲が広い。 本酵素 + − + 酵素反応系にNAD が含まれていても利 用できる。 シグマ社製 耐熱性がないため、 酵素(トルラ属由来) + − − 利用温度範囲が制約 を受ける。 オリエンタル酵母社製 酵素(酵母由来) + − − 同上。 ベ−リンガ−社製 酵素(ロイコノス トック属由来) + + − 同上。 オリエンタル酵母社製 酵素(ロイコノス トック属由来) + + − 同上。 特公平3−995記載 耐熱性を有するため の酵素(ラクト 利用温度範囲が広い バチルス属由来) + + + 酵素反応系にNAD 由来 が含まれると利用で きない。
【0033】図3(本酵素の熱安定性を示す図)、図4
(本酵素と市販酵素の熱安定性を示す図)及び表1(本
酵素と公知酵素との特徴比較一覧表)の結果から、本酵
素は耐熱性を有するため利用温度範囲が広いことが判
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本酵素の至適pHを示す図。
【図2】本酵素のpH安定性を示す図。
【図3】本酵素の熱安定性を示す図。
【図4】本酵素と市販酵素の熱安定性の比較一覧図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】50℃、30分間処理において、処理前の
    酵素活性に対して90%以上の残存活性を有し、且つ次
    の理化学的性質(1)〜(6)を有する耐熱性グルコ−
    ス−6−リン酸デヒドロゲナ−ゼ (1)作用:D−グルコ−ス−6−リン酸+NADP+
    ←→D−グルコノ−S−ラ クトン−6−リン酸+NA
    DPH+H+ (2)基質特異性:D−グルコ−ス−6−リン酸に特異
    的で、またNADPに特異的であるがNADには作用し
    ない。 (3)至適pH:7.5〜9.0 (4)至適温度:60℃ (5)pH安定性:6.0〜9.5 (6)分子量:178,000(ゲル濾過法)
  2. 【請求項2】ペデイオコッカス属に属し、50℃、30
    分間処理において、処理前の酵素活性に対して90%以
    上の残存活性を有し、且つ次の理化学的性質(1)〜
    (6)を有する耐熱性グルコ−ス−6−リン酸デヒドロ
    ゲナ−ゼ生産能を有する微生物を、栄養培地で培養し、
    該培養物から該グルコ−ス−6−リン酸デヒドロゲナ−
    ゼを得ることを特徴とする耐熱性グルコ−ス−6−リン
    酸デヒドロゲナ−ゼの製造法。 (1)作用:D−グルコ−ス−6−リン酸+NADP+
    ←→D−グルコノ−S−ラ クトン−6−リン酸+NA
    DPH+H+ (2)基質特異性:D−グルコ−ス−6−リン酸に特異
    的で、またNADPに特異的であるがNADには作用し
    ない。 (3)至適pH:7.5〜9.0 (4)至適温度:60℃ (5)pH安定性:6.0〜9.5 (6)分子量:178,000(ゲル濾過法)
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