JP4741270B2 - 熱安定性に優れたポリオール脱水素酵素およびその製造方法 - Google Patents

熱安定性に優れたポリオール脱水素酵素およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、補欠分子族としてピロロキノリンキノンを含むポリオール脱水素酵素(以下、PQQ依存性PDHとも称する。)を化学修飾することにより熱安定性に優れたPQQ依存性PDHを製造する方法、及び該PDHを用いたグリセロール定量法に関するものである。
従来から、試料中のグリセロールは、下記式で示すように、補酵素としてNADを利用するグリセロールデヒドロゲナーゼを用いて定量されてきた。
Figure 0004741270
しかしながら、NADは高価であるため、より安価で簡便なグリセロール測定法が求められてきた。その結果、人工電子受容体を利用できるピロロキノリンキノン(PQQ)依存性グリセロールデヒドロゲナーゼが研究されてきた。従来から、PQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼとして酢酸菌由来のものが報告されているが(非特許文献1)、該酵素は細胞膜結合型酵素であり、疎水性が高いために水溶媒系では不安定であり、また、熱安定性も低い。特許文献1において、可溶化および安定化に界面活性剤やグリセロールを必要としない、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)TE3493由来のPQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼが報告されているが、50℃、10分間処理で残存活性は40%程度であり、熱安定性が十分であるとはいえない。
測定用試薬に使用される酵素は、保存時の安定性が高いこと、凍結乾燥などによっても失活しないことなどが求められ、このような改良を目的として酵素に化学的修飾を行う技術も開発されている(特許文献2、3)。
特許公報3041840号 特開平1−309687号 特許公報3143050号 Ameyama et. al.Agric.Biol.Chem.,49,1001−1010(1985)
測定用試薬に不安定な酵素を用いると、反応液中および保存中に失活が起こり、結果として測定結果の精度に悪影響を与える。そのため、用いる酵素は特に、熱安定性に優れていることが要求される。しかしながら、上記非特許文献1記載のグルコノバクター属由来のPQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼおよび特許文献1記載のPQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼは熱安定性が十分でない。また、該特許文献1記載のPQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼは、特定の微生物から得られる酵素であり、入手が困難であるなどの問題がある。さらに、特許文献2、特許文献3で対象とする酵素は、いずれも水溶性の酵素を対象としたものであり、非特許文献1に記載される細胞膜結合型酵素、すなわち疎水性が高い酵素に対する効果は不明である。
このような状況のもと、本発明は、熱安定性、反応溶液中での安定性に優れるPQQ依存性PDHの製造方法を提供するものである。
加えて、本発明は、上記PQQ依存性PDHを用いた正確なポリオールの定量方法を提供するものである。
本発明者らは、上記従来の問題点に鑑みPQQ依存性PDHについて鋭意研究した結果、酢酸菌の一種であるグルコノバクター属から得られるPQQ依存性PDHに対して化学修飾を行えば、NADなどを補酵素とする酵素よりも安価なポリオール定量用酵素となること、該PQQ依存性PDHは疎水性が強いため水溶性酵素と同じ条件で架橋処理を行うと、酵素が凝集して架橋反応が均一に起こらないが、界面活性剤の存在下、2価性架橋試薬で化学修飾することにより酵素の凝集を抑制でき、その結果、極めて該酵素の熱安定性が向上すること、また、界面活性剤、2価性架橋試薬および酵素の濃度などを制御することにより、架橋後の酵素も凝集および不溶化しないことを見出し、本発明を完成させた。
本発明の方法によれば、安価かつ簡便に熱安定性に優れるPQQ依存性PDHを製造することができる。本発明の方法で得られるPQQ依存性PDHは、架橋により酵素の立体構造が強固になり、熱安定性が向上したため、再現性よく、また精度も高くポリオールを定量することができる。
さらに本発明の方法によれば、PQQ依存性PDHを凝集および不溶化させることなく架橋することができる。
本発明の第一は、補欠分子族としてピロロキノリンキノンを含むポリオール脱水素酵素を、界面活性剤の存在下、2価性架橋試薬で化学修飾することを特徴とする、熱安定性に優れる前記ポリオール脱水素酵素の製造方法である。
従来から、酢酸菌由来のPQQ依存性PDHが知られていたが、酵素自体が疎水性であり、また不安定であることからポリオールの定量に使用されなかった。また、水溶性のPQQ依存性グリセロールデヒドロゲナーゼもあるが、特定の細菌から単離されたものであるため入手が困難であり、また、熱安定性が低い。本発明は、入手が容易なグルコノバクター属に属する細菌の膜画分から得られるPQQ依存性PDHを用いるため、利用しやすい。また、界面活性剤存在下、2価性架橋試薬を用いてPQQ依存性PDHを化学修飾するだけで熱安定性を向上させることができ、しかも反応性は低下しない。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で化学修飾させる補欠分子族としてPQQを含むポリオール脱水素酵素としては、従来公知の酵素をいずれも好ましく使用することができる。該酵素は、例えば、グルコノバクター属、シュードモナス属など様々な細菌が生成することが知られており、これらPQQ依存性PDH生産菌が生産するいずれのPQQ依存性PDHも好適に使用することができる。これらの中でも本発明では、特にグルコノバクター属に属する細菌の膜画分に存在するPQQ依存性PDHを好適に使用することができる。さらに、入手の容易さから、グルコノバクター属、特には、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)NBRC 3171、3253、3258、3285、3289、3290、3291、グルコノバクター・フラテウリ(Gluconobacter frateurii)NBRC 3251、3260、3264、3265、3268、3286、グルコノバクター・セリナス(Gluconobacter Cerinus)NBRC 3262等を使用することができる。このような微生物の代表菌株として、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)NBRC 3291がある。
架橋構造を導入するPQQ依存性PDHを調製するには、具体的には、上記PQQ依存性PDH生産菌を栄養培地に培養し、該培養物からPQQ依存性PDHを採取すればよい。PQQ依存性PDH生産菌の培養にあたって使用する培地としては、使用菌株が資化しうる炭素源、窒素源、無機物、その他必要な栄養素を適量含有するものであれば、合成培地、天然培地いずれも使用できる。炭素源としては、例えばグルコース、グリセロール、ソルビトール等が使用される。窒素源としては、例えばペプトン類、肉エキス、酵母エキス等の窒素含有天然物や、塩化アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の無機窒素含有化合物が使用される。無機物としては、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等が使用される。また、PQQ依存性PDHの生産誘導物質として、ポリオールを培地に添加しておくことが望ましい。培地は通常、振とう培養、あるいは通気撹はん培養で行う。培養温度は20〜50℃、好ましくは20〜40℃、培養pHは5〜10の範囲で、好ましくは6〜9に制御するのが良い。これら以外の条件下でも使用する菌株が生育すれば実施できる。培養期間は通常1〜5日が好ましく、菌体内にPQQ依存性PDHが生産蓄積される。なお、これらのPQQ依存性PDHは、上記培養によって得られた酵素でも、PQQ依存性PDH遺伝子を大腸菌等に形質導入して得られた組換え酵素であっても良い。
次いで、得られたPQQ依存性PDHを精製する。精製方法は一般に使用される精製法を用いることができ、例えば、抽出法には超音波破砕、ガラスビーズを用いる機械的な破砕、フレンチプレス、界面活性剤などいずれを用いてもよい。さらに抽出液については、硫安やぼう硝などの塩析法、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどの金属凝集法、プロタミンやポリエチレンイミンなどの凝集法、さらにはDEAE(ジエチルアミノエチル)−セファロース、CM(カルボキシメチル)−セファロースなどのイオン交換クロマト法などにより精製することができる。またこれらの方法で得られた粗酵素液や精製酵素液は、例えば、スプレードライや凍結乾燥により粉末化できる。
本発明で使用する2価性架橋試薬は、PQQ依存性PDHに含まれるアミノ基などと反応して架橋構造を導入できるものであれば特に制限はなく、固定化酵素の分野で酵素の架橋剤として使用できるジアルデヒド化合物、ジカルボン酸化合物、ジイソシアネート系化合物、イミデート化合物などを好適に使用することができる。ジアルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒド、スクシンジアルデヒド、アジピンアルデヒド等があり、ジカルボン酸化合物としては、アジピン酸、ジメチルアジピン酸等があり、ジイソシアネート系化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどがあり、イミデート化合物としては、ジメチルスベルイミデート、ジメチルピメルイミデートなどがある。本発明では、上記2価性架橋試薬の中でも、グルタルアルデヒドが特に好ましい。
本発明では、2価性架橋試薬による化学修飾を行うが、得られるPQQ依存性PDHは酵素同士を相互に架橋するものではなく、酵素の立体構造を強固にすることで熱安定性を向上させるものである。したがって、酵素同士の架橋を防止するため、一般には上記酵素濃度を0.1〜30mg/ml、好ましくは0.2〜20mg/ml、特に好ましくは0.5〜15mg/mlに溶解した溶液に、上記2価性架橋試薬を濃度0.01〜20(W/V)%、好ましくは、0.05〜10(W/V)%、特に好ましくは0.05〜3(W/V)%となるように添加して、架橋させることが好ましい。0.1(W/V)%を下回ると架橋量が少ないため、熱安定性の向上効果が低い。一方、30(W/V)%を超えると、架橋率が向上し過ぎて酵素の失活を招く場合がある。反応を行う緩衝液は、pH6〜8のリン酸緩衝液、pH6.5〜8のMOPS緩衝液などがある。
本発明では、PQQ依存性PDHを含む溶液には、界面活性剤が含まれていることが好ましい。界面活性剤の存在下、2価性架橋試薬により疎水性酵素を凝集させることなく架橋でき、酵素の立体構造が安定に保持され、熱安定性が向上するためである。このような界面活性剤としては、一般的に膜タンパク質の可溶化に用いられているものであればなんでもよく、トライトンX−100、オクチルグルコシド、コール酸ナトリウムなどがある。界面活性剤の濃度は、0.01〜10w/v%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5w/v%、特に好ましくは0.1〜1w/v%である。なお、PQQ依存性PDHに含まれるPQQとPDHは、界面活性剤の存在により分離もしくは変性する可能性がある。しかしながら、上記範囲の界面活性剤濃度であれば、PQQとPDHとが一体化したPQQ依存性PDHを変性することなく調製することができ、後記する実施例に示すように熱安定性が向上し、グリセロールなどの安定化剤の使用を回避できるためポリオールの定量を行うことができる。
架橋反応時の反応温度は、用いる2価性架橋試薬によって適宜選択することができるが、一般には0〜40℃程度で行うことが好ましく、反応時間は1分〜4時間、好ましくは5分〜2時間程度、特に好ましくは5分〜1時間である。1分を下回ると架橋が十分でなく未架橋酵素量が多くなり、一方、4時間を越えると架橋率が上がりすぎ酵素の活性が失われる場合がある。
本発明のPQQ依存性PDHが基質とするポリオールとしては、グリセロール、ソルビトール、アラビトール、マンニトールなどがある。2価性架橋試薬による架橋の際に、例えばグリセロールを基質とする場合には、上記溶媒にグリセロールを添加すれば、基質との結合部への架橋構造の形成を回避することができる。
架橋反応は、グリシン溶液またはトリス塩酸緩衝液のような停止剤を加えて反応させることで停止させることができる。上記架橋処理後、未反応のグリシン、2価性架橋試薬、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、および停止剤と2価性架橋試薬との反応物は、透析法、クロマトグラフィー法、限外濾過法等を行うことで除去することができる。本発明では、特に透析法を行うことが好ましい。その理由は、操作が簡便であり、コストがかからないためである。
上記方法で得られるPQQ依存性PDHの至適pHは8である。また、該PQQ依存性PDHを所定のpHの緩衝溶液中で4℃、16時間保存してその残存活性を測定したところ、安定pHは6〜9であった。また、50℃で10分間インキュベートした後の残存活性は、80%であった。
上記方法によって得られたPQQ依存性PDHは、ポリオールと電子受容体とを、対応する脱水素物と還元型電子受容体とに変換することができる。本発明のPQQ依存性PDHが好適に使用できる電子受容体としては、フェリシアン化カリウム、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCIP)、Wurster's blue、ニトロテトラゾリウムブルー等がある。
本発明の第二は、上記方法で得られる補欠分子族としてピロロキノリンキノンを含むポリオール脱水素酵素を用いた、ポリオール測定試薬である。また、本発明の第三は、上記方法で得られるポリオール脱水素酵素をグリセロールと反応させることを特徴とする、グリセロールの定量法である。本発明のPQQ依存性PDHは、ポリオールの定量性に優れ、ポリオール測定試薬として使用することができる。また、本発明のPQQ依存性PDHは補欠分子族としてPQQを有するため、あえてPQQを反応系に添加することなく、ポリオールを定量することができる。
本発明のポリオール測定試薬は、本発明のPQQ依存性PDHを含み、ポリオールを測定するために使用する試薬である。ポリオール脱水素酵素として本発明のPQQ依存性PDHを使用する点に特徴があり、例えば特許公報3041840号、特許公報3450911号、特許公報3494398号などに記載されるポリオール測定で使用するポリオール脱水素酵素に代えて本発明のPQQ依存性PDHを本発明のポリオール測定試薬として使用することができる。
本発明の定量法において、ポリオールを含む試料としては、食品、血清、血漿や全血等がある。また本発明のPQQ依存性PDHは血清や血奬、全血等の中性脂肪測定にも使用することができる。すなわちこれらの試料に含まれる中性脂肪は、例えばリポプロテインリパーゼにより遊離脂肪酸とグリセロールに分解されるが、ここで生じたグリセロールを本発明のPQQ依存性PDHを使用して、定量することができる。中性脂肪測定時には精神病治療患者、透析患者では遊離グリセロールが問題になるが、本発明のPQQ依存性PDHを用いればグリセロールを予め消去するか、もしくはその量を測定しておくことで真の中性脂肪値を求めることが可能である。本発明のPQQ依存性PDHは溶液中に界面活性剤を含んでいてもポリオールを正確に定量することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(酵素活性)
PQQ依存性PDHの酵素活性は、50μM DCIP、0.2mM 5−メチルフェナジニウムメチルスルファート(PMS)、400mM グリセロールを含んだ0.2%トライトンX−100を含む10mMリン酸緩衝液pH 7.0中に、酵素溶液を加え、酵素と基質の反応をDCIPの600nmの吸光度変化によって追跡し、その吸光度の減少速度を酵素の反応速度とした。1分間に1μmolのDCIPが還元される酵素活性を1単位(U)とした。なお、DCIPのpH7.0におけるモル吸光係数は16.3mM1とした。
(実施例1)
ソルビトール2質量%、酵母エキス0.3質量%、肉エキス0.3質量%、コーン・スティープ・リカー0.3質量%、ポリペプトン1質量%、尿素0.1質量%、KHPO0.1質量%、MgSO・7HO0.02質量%、CaCl0.1質量%、pH7.0よりなる培地400mlを調製し、500ml容の坂口フラスコに一本あたり該培地100mlずつを移し、121℃、20分間オートクレーブした。
上記培地に、種菌として、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)NBRC 3291を一白金耳植菌し、30℃で24時間培養し、種培養液とした。
次に上記と同じ組成で調製した培地6.6Lを10L容ジャーファーメンターに移し、121℃で20分間オートクレーブを行い、放冷後、種培養液400mlを移した。これを、750rpm、通気量7L/分、30℃で24時間培養した。
培養液を遠心分離して集菌し、蒸留水で懸濁後、フレンチプレスにより菌体を破砕した。破砕液を遠心分離(5,000g、20分、4℃)し、得られた上清を超遠心分離(40,000rpm、90分、4℃)して、膜画分を沈殿物として得た。
この膜画分を10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁し、終濃度が1質量%となるようにトライトンX−100を加え、4℃で2時間撹拌した。超遠心分離(40,000rpm、90分、4℃)し、上清を0.2質量%トライトンX−100を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で一晩透析し、これを可溶化膜画分とした。
この可溶化膜画分をFPLCにてResourceQ 6mlで夾雑するグルコース脱水素酵素を除いたポリオール脱水素酵素活性画分を得た。この画分を0.2質量%トライトンX−100を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)で一晩透析することにより、比活性12.7U/mg蛋白の酵素標品を得た。これをグルコノバクター・オキシダンス由来PDHと称する。
ついで、該グルコノバクター・オキシダンス由来PDH(比活性12.7U/mg 蛋白、蛋白濃度:0.9mg/ml)0.8mLに、終濃度1質量%になるように5質量%グルタルアルデヒド溶液200μlを加え、30℃にて5分間穏やかに撹拌した。
反応後、0.2w/v%トライトンX−100を含む100mM トリス塩酸緩衝液pH7.0で一晩透析することにより架橋反応を停止させるとともに、低分子量のものを取り除き、これを修飾PDHとした。架橋処理による活性の収率は80%であった。
(実施例2)
実施例1で得た修飾PDHの熱安定性を検討するため、10分間、ウォーターバスにより各温度でインキュベートした後、残存する酵素活性を測定した。結果を図1に示す(架橋PDH)。また、実施例1で使用したグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)NBRC 3291を用いて同様に残存する酵素活性を測定した結果(未架橋PDH)を併せて図1に示す。図1において、架橋処理により50℃での残存活性は、約0%から約80%にまで向上した。
(実施例3)
50μM DCIP、0.2mM PMS、酵素溶液(0.3U)を含んだ0.2質量%トライトンX−100を含む10mMリン酸緩衝液pH7.0中に、終濃度が100、200、300、400、500μMになるようにグリセロールを加え、DCIPの600nmにおける吸光度の減少を測定した。結果を図2に示す。
100〜500μMグリセロールまで直線性がよく、定量可能であることが示唆された。
本発明によれば、簡便に熱安定性に優れるポリオール脱水素酵素を製造することができ、該酵素を使用して正確にポリオールを定量でき有用である。
実施例2の結果であり、本発明のPDHが架橋構造の導入によって熱安定性が向上したことを示す図である。 実施例3の結果であり、本発明のPDHを使用して、グリセロールの検量線が作成できることを示す図である。

Claims (6)

  1. 補欠分子族としてピロロキノリンキノンを含むポリオール脱水素酵素を、界面活性剤の存在下、ジアルデヒド化合物で化学修飾することを特徴とする、熱安定性に優れるポリオール脱水素酵素の製造方法。
  2. 前記ジアルデヒド化合物が、グルタルアルデヒド、スクシンジアルデヒド、またはアジピンアルデヒドである、請求項1に記載の製造方法
  3. 前記ポリオール脱水酵素は、グリセロールを基質とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記化学修飾されるポリオール脱水素酵素は、グルコノバクター属に属する細菌から得られるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られるポリオール脱水素酵素を用いた、ポリオール測定試薬。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られるポリオール脱水素酵素をグリセロールと反応させることを特徴とする、グリセロールの定量法。
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