JPH09305957A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH09305957A
JPH09305957A JP14351396A JP14351396A JPH09305957A JP H09305957 A JPH09305957 A JP H09305957A JP 14351396 A JP14351396 A JP 14351396A JP 14351396 A JP14351396 A JP 14351396A JP H09305957 A JPH09305957 A JP H09305957A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
tape
recording medium
coloring material
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14351396A
Other languages
English (en)
Inventor
Jota Ito
条太 伊藤
Takashi Chiba
隆嗣 千葉
Shinichi Matsumura
伸一 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP14351396A priority Critical patent/JPH09305957A/ja
Publication of JPH09305957A publication Critical patent/JPH09305957A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気テープの機能を損なうことなく、消費者
の購買意欲をそそるような優れた外観特性を有する磁気
テープを提供すること。 【解決手段】 ベースフィルム2に発色顔料4を内添し
て分布させ、この上に塗布又は蒸着により磁性層3を形
成して磁気テープ1を構成する。これにより、磁気テー
プ1の側面が発色顔料4による独得の色を呈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオテー
プ、ビデオテープ、データストレージ用テープ等に用い
られる磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置やビデオ装置、コンピュ
ータ装置などで用いられる記録媒体としては、磁性粉
末、結合剤及び各種添加剤を有機溶媒に分散、混練する
ことによって調製される磁性塗料を非磁性支持体上に塗
布、乾燥して磁性層を形成した、いわゆる塗布型の磁気
記録媒体(以下、磁気テープ又はテープと称することが
ある。)が、生産性、汎用性に優れることから主流を占
めている。
【0003】上記した各種の磁気記録再生装置において
は、近年、小型及び軽量化、高画質化、長時間化が進め
られ、これに伴って、上記塗布型の磁気記録媒体に対し
ても高出力化、高密度記録化が強く要望されるようにな
っている。
【0004】上記塗布型の磁気記録媒体の特性を改善す
るには、まず磁性粉末の選択が重要である。即ち、磁性
粉末としては、飽和磁束密度が大きく、保磁力が高く、
微細粒子であり、粒子の形状が均一で、酸化安定性に優
れることが必要である。
【0005】近年では、特に飽和磁束密度が高いことか
ら、従来から用いられている酸化鉄系磁性粉末に代わ
り、鉄を主体とする金属磁性粉末が上記磁性層に含有さ
せる磁性粉末として使用されるようになっている。
【0006】金属磁性粉末は、鉄を主体とする針状のオ
キシ水酸化鉄又は酸化鉄を還元性ガス中で加熱還元した
後、酸化安定性を確保するために粒子表面に薄い酸化被
膜を形成させることによって生成されるものであり、酸
化鉄系磁性粉末に比べて高飽和磁束密度、高保磁力が得
られる。
【0007】現在は、この金属磁性粉末にコバルト等を
添加したり、形状保持剤で表面処理することにより、飽
和磁束密度や保磁力、酸化安定性が格段に向上してい
る。
【0008】一方、これに対して、高密度磁気記録への
要求の高まりと共に、Co−Ni合金等の強磁性金属材
料を、メッキや真空薄膜形成技術(真空蒸着法やスパッ
タリング法、イオンプレーティング法等)によってポリ
エステルフィルムやポリイミドフィルム等の非磁性支持
体上に直接被着した、いわゆる強磁性金属薄膜型の磁気
記録媒体が提案され、注目を集めている。
【0009】この強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、
保磁力や角型比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優
れるばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄くすること
が可能であるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著し
く小さいこと、磁性層中に非磁性材である有機バインダ
ーを混入する必要がないため、磁性材料の充填密度を高
めることができること等、数々の利点を有している。
【0010】このように、強磁性金属薄膜を磁性層とす
る、例えばいわゆる蒸着テープは、記録密度等の点で塗
布型等の他の磁気記録媒体を上回る特性を有しており、
ビデオレコーダ用の磁気記録媒体として既に実用化され
ている。また、今後の磁気記録の分野における展開を考
えても、ディジタルビデオレコーダ等の更に高品位なビ
デオレコーダへの対応、ディジタルテープレコーダへの
対応等、応用分野は広いものと期待される。
【0011】このような磁気記録媒体の開発において
は、上記したように、磁気テープの再生出力、記録密
度、走行耐久性、保存特性などの技術的性能を向上させ
ることに主力を注ぐと共に、他方では、カセットシェ
ル、カセットケース、包装などの人目に触れ易いものに
ついては、外観上の美観を奏することによって消費者の
購買意欲を促進する努力も払われてきた。
【0012】しかし、磁気テープそのものの外観、特に
色合いを工夫することにより消費者の購買意欲を促進す
る努力は、あまり行われたことがなかった。その理由と
しては、磁気テープの色は磁性層及びバックコート層に
よって決まると思われ、これらの層に、テープの技術的
性能を損なうことなしに好みの色を付けることは、困難
であるためである。
【0013】なお、磁気テープ等の磁気記録媒体におい
て、ベースフィルムに顔料を内添することはこれまでに
も行われていることであるが、その目的はいずれも、摩
擦低減及び表面性のコントロールであるため、おのずと
顔料の種類や量は異なるものである。また、上記以外で
は、特開昭60−229229号において、非磁性支持
体にカーボンブラックを内添(内部に添加)するものが
あるが、単なる遮光がその目的である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に鑑みてなされたものであって、磁気記録媒体の
技術的性能を損なうことなく、優れた外観を有する商品
価値の高い磁気記録媒体を提供することを目的としてい
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、磁気記録媒体
側面の色彩に着目し、磁気記録媒体の性能を損なうこと
なく、外観特性の優れた磁気記録媒体の作製が可能であ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明による磁気記録媒体は、基体
上に磁性層が設けられている磁気記録媒体において、前
記基体に発色材料が配され、この発色材料の少なくとも
一部分が前記基体内に存在していることを特徴とする磁
気記録媒体に係るものである。
【0017】ここで、「発色材料」とは、光が入射した
ときに特定の波長光を放出する性質のある材料である。
これにより、磁気記録媒体の側面に埋没又は露出した発
色材料が、この磁気記録媒体の巻回状態においてその側
面から独得の色を視認させることになる。また、「磁気
記録媒体」とは、磁気テープ等の部品のみならず、これ
をケースに組み込んだテープカセット等の完成品も包含
する概念である。
【0018】本発明の磁気記録媒体によれば、従来のよ
うに磁性層やバックコート層ではなく、非磁性支持体と
しての基体に発色材料を配して側面に独得の色をつける
ことによって、技術的性能を損なうことなく、媒体側面
方向から見たときの外観特性に優れた磁気記録媒体を提
供することができるのである。
【0019】そして、そのために、下記に示すように、
発色材料の種類や粒径を選択している。また、特にHi
8や、DVC(コンスーマー用ディジタルビデオ)用な
どの磁性層として蒸着層を設ける、記録密度の大きなシ
ステム用の媒体では、高い再生出力が要求されるため
に、平滑な表面が要求されるが、こうした媒体の非磁性
支持体に発色材料を配する際には、表面粗度に影響を与
えないような粒径及び量を選択するのが望ましい。この
ように、発色材料の平均粒径及び量の適正範囲を規定す
ることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において、上記の発色材料
が無機又は有機顔料からなり、また、基体の材料に対し
1重量%〜15重量%(更には 1.0重量%〜5.0 重量%)
の割合で配されていることが望ましい。
【0021】そして、上記の発色材料の平均粒径が3μ
m以下(望ましくは、下限は 0.1μm、範囲としては
0.1〜3.0 μm)である場合は、磁性層が、基体上に塗
布によって形成されていることが望ましい。
【0022】また、上記の発色材料は、磁性層が金属磁
性薄膜からなる場合には、発色材料の平均粒径が 0.5μ
m以下(望ましくは、下限は0.05μm、範囲としては0.
05〜0.5 μm)であることが望ましい。
【0023】ここで、「平均粒径」とは、上記の磁気記
録媒体の裁断面を光学顕微鏡で断面観察をした結果、上
記の発色材料の粒子 100個当たりの長径の平均値であ
る。
【0024】このようにすることにより、基体の裁断面
又はその近傍に発色材料が分布する状態(裁断面に露出
して分布するか、或いは裁断面近傍内に埋設されて分布
した状態)が形成される。
【0025】ここにおいて、「分布」とは、上記の発色
材料が、磁気記録媒体の裁断面に埋没又は露出している
少なくとも一方の状態を含む。
【0026】上記のように構成することにより、好適な
オーディオ用カセットテープ又はテープカセット、或い
は、ビデオ用カセットテープ又はテープカセットを形成
することができる。
【0027】次に、本発明の磁気記録媒体の構成を詳細
に説明する。
【0028】本発明の磁気記録媒体において、磁性層に
使用される磁性粉末としては、従来より公知のものがい
ずれも使用可能であって、酸化磁性粉末でもよく、金属
磁性粉末でもよい。
【0029】酸化物磁性粉末としては、例えばγ−Fe
2 3 、Co含有γ−Fe2 3 、Fe3 4 、Co含
有Fe3 4 、Co被着γ−Fe2 3 、Co被着Fe
3 4 、CrO2 等が挙げられる。
【0030】金属磁性粉末としては、例えば、Fe、C
o、Ni等の強磁性金属材料や、Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Co−Ni、Co−Ni、Fe−Mn−Z
n、Fe−Ni−Zn、Fe−Co−Ni−Cr、Fe
−Co−Ni−P、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr
−B、Fe−Co−V等の如くFe、Co、Niを主成
分とする各種強磁性合金材料からなる強磁性金属微粒子
等が挙げられ、更に、これらの種々の特性を改善する目
的でAl、Si、Zr、Ti、Cr、Mn、Cu、Z
n、P等の金属成分が添加されたものであってもよい。
【0031】本発明の磁気記録媒体を構成する他の構成
要素は、通常の塗布型の磁気記録媒体で用いられている
ものがいずれも使用可能である。
【0032】例えば、磁性層に使用可能な結合剤として
は、変性又は非変性の塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共
重合体等のビニル系共重合体、ポリエステルポリウレタ
ン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂等のポリウ
レタン樹脂、或いはポリエステル樹脂を使用又は混用す
ることができるし、更にニトロセルロース等の繊維素系
樹脂、フェノキシ樹脂或いは特定の使用方式を有する熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線照射硬
化型樹脂等を併用しても良い。
【0033】上記の変性のために導入される基として
は、磁性粉の分散性向上を図れる−SO3 M、−OSO
3 M、−COOM、−PO(OM’)2 等であってよい
(MはNa等のアルカリ金属原子、M’は同アルカリ金
属原子又はアルキル基)。
【0034】使用可能な繊維素系樹脂には、セルロース
エーテル、セルロース無機酸エステル、セルロース有機
酸エステル等が使用できる。フェノキシ樹脂は機械的強
度が大きく、寸法安定性に優れ、耐熱、耐水、耐薬品性
がよく、接着性がよい等の長所を有する。
【0035】また、このような結合剤に対しては、一層
耐久性の向上を図るために、硬化剤を添加することが好
ましい。この硬化剤としては、多官能イソシアネートが
使用可能であり、特にトリレンジイソシアネート(TD
I)系が好適である。硬化剤の添加量は、全結合剤量に
対して5〜30重量%が好ましい。
【0036】また、磁性層には、磁性粉末、結合剤の他
に、必要に応じて、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等の添
加剤が添加されていてもよい。これら添加剤としては、
従来公知の材料がいずれも使用可能であり、何ら限定さ
れるものではない。
【0037】磁性層に使用可能な潤滑剤としては、炭素
数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合、分岐のあるも
のも可能)、もしくは、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸
と炭素数2〜12の1価〜6価アルコールの何れか1つと
のエステル、混合エステルまたはジ脂肪酸エステル、ト
リ脂肪酸エステルを用いることができる。
【0038】使用可能な潤滑剤の具体例としては、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エラ
イジン酸、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ペンチ
ル、ステアリン酸ヘプチル、ステアリン酸オクチル、ス
テアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチルが挙げ
られる。
【0039】また、磁性層には更に、必要に応じてレシ
チン等の分散剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、ア
ルミナ等の研磨剤、防錆剤等が加えられてもよい。これ
らの分散剤、帯電防止剤、研磨剤及び防錆剤としては、
従来公知の材料がいずれも使用可能であり、何ら限定さ
れるものではない。
【0040】また、本発明の磁気記録媒体の磁性層はC
o、Co−Ni、Co−Fe−Ni等の強磁性金属薄膜
を蒸着(斜め蒸着、酸素を含む雰囲気中での蒸着、更に
はこれらの組み合わせ等)やスパッタリング等、真空薄
膜形成技術によって成膜されるものである。強磁性金属
材料を直接被着することにより金属磁性薄膜が磁性層と
して形成されるが、この金属磁性材料としては、通常の
蒸着テープに使用されるものであれば如何なるものであ
ってもよい。
【0041】例示すれば、Fe、Co、Ni等の強磁性
金属、Fe−Co、Co−Ni、Co−Fe−Ni、F
e−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn
−Bi、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−
Cr、Fe−Co−Cr、Co−Ni−Cr、Fe−C
o−Cr−Ni等の強磁性合金が挙げられる。これらの
単層膜であってもよいし、多層膜であってもよい。
【0042】更には、非磁性支持体と金属磁性薄膜間、
あるいは多層膜の場合には、各層間の付着力向上、並び
に保磁力の制御等のため、下地層又は中間層を設けても
よい。また、例えば磁性層表面近傍が耐蝕性改善等のた
めに酸化物となっていてもよい。
【0043】金属磁性薄膜形成の手段としては、真空下
で強磁性材料を加熱蒸発させ、非磁性支持体上に沈着さ
せる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行
うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分とする雰
囲気中でグロー放電を起こして生じたアルゴンイオンで
ターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、いわ
ゆるPVD技術によればよい。
【0044】金属磁性薄膜の厚みは通常、0.02〜1μm
である。
【0045】また、上記非磁性支持体上に形成された強
磁性金属薄膜上には、保護膜層が形成されていてもよい
が、この材料としては、通常の金属磁性薄膜用の保護膜
として一般に使用されるものであれば如何なるものであ
ってもよい。
【0046】例示すれば、カーボン、CrO2 、Al2
3 、BN、Co酸化物、MgO、SiO2 、Si3
4 、SiNX 、SiC、SiNX −SiO2 、Zr
2 、TiO2 、TiC等が挙げられる。これらは単層
膜であってもよいし、多層膜又は複合膜であってもよ
い。
【0047】また、非磁性支持体(基体)の素材として
は、やはりこの種の媒体で使用される従来公知のものが
いずれも使用可能である。
【0048】例えば、非磁性支持体の素材としては、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル類ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロー
ストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリ
カーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイ
ミド等のプラスチック、紙、アルミニウム、銅等の金
属、アルミニウム合金、チタン合金等の軽合金、セラミ
ックス単結晶シリコン等である。なお、上記非磁性支持
体の形態としては、フィルム、テープ、シート、ディス
ク、カード、ドラム等いずれでもよい。
【0049】また、本発明の磁気記録媒体において、非
磁性支持体(基体)に配する発色材料としては、安定
性、耐熱性、下地隠ぺい能、着色力及び耐候性が大きい
無機顔料を効果的に使用できる。
【0050】例示すれば、白色顔料として、チタン白
(TiO2 )、亜鉛華(ZnO)、鉛白(2PbCO3
・Pb(OH)2 )などがある。
【0051】また、ベンガラ(Fe2 3 )(赤ないし
茶)、朱(HgS)、カドミウムイエロー(CdS)、
カドミウムレッド(Cd(S,Se))、黄鉛(PbC
rO4 )(淡黄ないし赤)、群青(2Al2 Na4 Si
3 104 )(赤青ないし紫青)、コバルト青(CoO
・nAl2 3 )、コバルト紫(Co3 (PO4 2
などがある。ジンククロメート(K2 O・4ZnO・4
CrO3 ・3H2 O或いはZnCrO4 ・4Zn(O
H)2 )は黄色の顔料であるが、防錆機能もある。
【0052】また、クロムイエロー(黄鉛)、クロムオ
レンジ、ウルトラマリン(Nax Alx Si(12-x)O
24Nay z )、鉛白(ヒドロオキシ炭酸鉛)等、非磁
性支持体に発色効果をもたらすものであればいかなる材
料でもよいし、これらを混合したものでもよい。
【0053】また、有機顔料としては、代表的なものに
キナクリドン、ウォッチアングレッド、ジオキサジンバ
イオレットなども発色材料として使用可能である。
【0054】また、発色材料として、染料も使用できる
がこれには、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴ
イド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾ
ロン染料、スチルベン染料、ジフェニルメタン染料、キ
サンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノ
ンイミン染料(アジン染料、オキサジン染料、チアジン
染料)、チアゾール染料、メチン染料、ニトロ染料、ニ
トロソ染料などが挙げられる。
【0055】これらの発色材料は、非磁性支持体の成形
時に内添することができる。
【0056】なお、非磁性支持体上に磁性層を形成する
には、磁性層が塗布型であれば、上記した構成成分を結
合剤中に分散し、結合剤の種類等によってエーテル類、
エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水
素、有機塩素化合物系溶剤等から選ばれる有機溶剤と共
に分散して磁性塗料を調製し、この塗料を非磁性支持体
の表面に塗布し、乾燥、カレンダー処理をする。
【0057】また、塗布型、金属磁性薄膜型のいずれに
も(特に後者)、非磁性支持体上の上記磁性層が設けら
れていない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の向
上や帯電防止及び転写防止等を目的としてバックコート
層を設けることができる。バックコート層も結合剤(基
本的には前記磁性層に使用するものと同じ結合剤)、従
来公知のバックコート層用の各種添加成分等を含有する
ことができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例について更に詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0059】図1は、本発明の第1の実施例によるオー
ディオ用の磁気テープ1の構成をその幅方向(長さ方向
も同様)の断面で示した拡大断面図である。
【0060】この磁気テープ1によれば、コンパクトカ
セットテープ用として、厚さ12μmのポリエチレンテレ
フタレート(PET)からなるベースフィルム2内に無
機発色顔料であるカドミウムイエロー(CdS)又はカ
ドミウムレッド(CdS+CdSe)からなる発色材料
4が添加されている。この2種類のテープの各ベースフ
ィルムには、その成形過程で各無機顔料をそれぞれ平均
粒径及び添加量を変えて内添し、各種のサンプルテープ
を作製した。
【0061】そして、これらのベースフィルム2の上
に、酸化鉄系の磁性粉を含有した磁性塗料を後述する塗
布装置により4μmの厚みで塗布し、磁性層3を形成し
た。また、仮想線で示すバックコート層5を設けてもよ
い。
【0062】従って、ベースフィルム2内には多数の粒
子状の発色材料4が図示のように分布される。そして、
これらの発色材料4は、磁気テープ1として所定の幅に
裁断されると、図2に示すように、磁気テープ1の側面
(裁断面)1aに露出するようになる。
【0063】図2は、その状態を示す磁気テープ1の要
部拡大断面図斜視図であるが、図示のように、裁断後の
磁気テープ1の側面1aには、発色材料4が裁断時に切
断されて露出した状態となったり、或いは側面1a近傍
のテープ内に埋没した状態となるもの(図11参照)があ
る。
【0064】従って、この磁気テープ1の側面1aに
は、ベースフィルム2に内添されて分布した発色材料4
がカドミウムイエロー(CdS)の場合は外光により黄
色に発色し、また、カドミウムレッド(CdS+CdS
e)の場合は赤色に発色する。これらの色がテープ側面
から観察されることになるため、図3の如きテープ巻回
状態において、独得の色合いを呈することができる。
【0065】図3は、上記のようにして作製した磁気テ
ープ1を収容したテープカセット45の外観を示す斜視図
である。
【0066】この外観によれば、透明な窓48を有するオ
ーディオ用コンパクトカセット45内に、例えば60分長
(90m)分の磁気テープ1を組み込んで、一対のリール
46A−46B間にセットしている。そして、カセット45の
背部に蛍光灯等の光源47を配して光Lを照射し、リール
46に巻回された磁気テープ1の側面1aを目視観察し
た。この結果、使用者からはテープ側面1aの発光色を
認識することができる。この評価結果の詳細については
後述する。
【0067】磁気テープ1は、例えば次のようにして作
製される。図4〜図9によりその作製工程の一部を詳述
する。
【0068】ベースフィルム2には、例えば図4に概略
正面図で示す塗布装置29により、磁性層3(場合によっ
てはバックコート層も)の塗布が行われる。
【0069】磁気テープ原反の支持体となるベースフィ
ルム2Aには、その成形過程で発色材料4を添加する。
そして、このベースフィルム2Aは、繰り出しハブ20A
に巻回されて一方の端部がガイドローラ21、22を経由し
て導かれ、バックアップロール23とグラビアロール24A
との間に挟まれる。
【0070】グラビアロール24Aは塗料槽28A内に満た
された磁性塗料3Aに一部が浸漬されており、グラビア
ロール24Aの回転によりグラビアロール24Aの円周面に
付着した磁性塗料3Aをベースフィルム2Aの一方の面
に塗布する。
【0071】一方の面に磁性塗料3Aを塗布されたベー
スフィルム2Bは、更にガイドローラ26、27を経由して
乾燥炉30へ導かれる。そして、磁性塗料3Aが乾燥して
磁性層3が形成されたベースフィルム2Cは、巻取りハ
ブ20Bに巻回される。
【0072】この駆動は図示省略した巻取りハブ20Bの
駆動源により行われる。なお、図中の符号25は、グラビ
アロール24Aに付着した余分な塗料を掻き落とすための
ドクターブレードである。
【0073】磁気テープ1の製造例は、具体的には次の
通りであった。
【0074】下記組成からなる磁性塗料を調製した。 <磁性塗料組成> 磁性粉:Co被着γ−Fe2 3 磁性粉末 100重量部 結合剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 10重量部 (日本ポリウレタン社製ニッポランN2304) 塩化ビニル共重合体(日本ゼオン社製MR−110) 10重量部 研磨剤:α−アルミナ 8重量部 潤滑剤:ステアリン酸 2重量部 ステアリン酸ブチル 2重量部 溶 剤:メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン 100/100/50重量部
【0075】以上の材料をサンドミル分散した後、硬化
剤(コロネートL)20重量部添加し、攪拌後にこれをカ
ドミウムイエロー又はカドミウムレッドを所定量内添し
た12μm厚のポリエチレンテレフタレート上に厚さ4μ
mに塗布した。その後、磁場配向処理を行い、適度に乾
燥させて(100℃、 0.3分)巻き取った。
【0076】その後、バックコート層を形成する場合に
は、下記組成のバックコート層用塗料を硬化剤(コロネ
ートL)20重量部の添加後に磁性層とは反対側のフィル
ム面に塗布し、 0.5μm厚となるようにバックコート層
を形成した。
【0077】 <バックコート層用塗料組成> カーボンブラック:(旭カーボン社製 旭カーボン50) 100重量部 バインダー:ポリエステル系ポリウレタン樹脂 30重量部 (日本ポリウレタン社製 ニッポランN2304) フェノキシ樹脂(U.C.C.社製 PKHH) 70重量部 溶 剤:メチルエチルケトン 500重量部
【0078】得られたフィルムを所定幅に裁断し、磁気
テープを作製した。
【0079】図5は、本発明の第2の実施例によるビデ
オ用の磁気テープ10の構成をその幅方向の断面で示した
拡大断面図である。
【0080】この磁気テープ10は、ビデオカセット(例
えば8mmカセット)用として、例えば厚さ 9.8μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)からなるベースフ
ィルム2内に発光材料4として、後記のようにカドミウ
ムイエロー(CdS)を所定量内添し、また、その平均
粒径を変えて内添したものである。その他のフィルム内
添物は通常の蒸着用フィルムと同様である。
【0081】そして、このベースフィルム2の一方の面
に、真空蒸着装置により例えばコバルト(Co)を 0.2
μmの厚さに蒸着して磁性層3を金属磁性薄膜として形
成し、更にこの反対側の面に前記した図4の塗布装置に
よりバックコート層5を形成している。
【0082】従って、本実施例においても、第1の実施
例と同様に、ベースフィルム2内には発色材料4が分布
し、裁断後の磁気テープ10の側面には、切断されて露出
した発色材料4や埋没した発色材料4が図2と同様に分
布する。そして、この場合は、発色材料4であるカドミ
ウムイエロー(CdS)が外光によって黄色に発色し、
この色が視認される。
【0083】更に、本実施例については、テープ10をビ
デオ用のカセットに装填し、その他は前記した第1の実
施例と同様の方法により外観特性を評価した。この評価
結果の詳細については後述する。
【0084】このように、ベースフィルム2Aに、蒸着
により磁性層(金属磁性薄膜)を形成する場合は、図6
に示すように、真空蒸着装置41内において磁性金属物質
(この例ではコバルト)を溶解し、その蒸気を表面に均
質に付着させることにより、磁性層3が形成される。
【0085】即ち、真空槽12内においては、蒸発源15の
上方にクーリングロール16を配し、クーリングロール16
に非磁性ベースフィルム2Aを接触させながら冷却し、
矢印方向に搬送すると同時に、蒸発源15からの磁性金属
(コバルト)の蒸気をベースフィルム2A上に付着させ
る。図6中、31Bはベースフィルム2Aを巻回した繰り
出しハブ、31Aは磁性層3が形成されたベースフィルム
2Dを巻回した巻取りハブ、18はベースフィルム案内用
のガイドロール、14は蒸発源15を収容するルツボであ
る。図5に示した蒸着法は斜方蒸着と称されるものであ
る。
【0086】クーリングロール16の近傍には、蒸発金属
の入射角及び蒸着領域を規定しかつ真空槽内の蒸着させ
たくない領域への蒸発金属の飛翔を防止するために、窓
17aを有する防着板17が配される。図中、19は真空ポン
プである。
【0087】前記磁性金属を蒸発させる手段としては、
真空槽12外に設けられた電子銃13から発せられる電子ビ
ームEが使用される。このように、磁性金属材料を斜方
蒸着させることにより、高い保磁力が得られる。
【0088】この磁性層(金属磁性薄膜)を形成する各
条件を次にまとめて示す。 ベース:ポリエチレンテレフタレート(6μm厚、 150mm幅) 蒸着条件:インゴット:Co 100重量部 入 射 角:45〜90° 酸素導入量: 3.3×10-6 m3/sec 蒸着時真空度:7×10-2Pa 金属磁性薄膜の蒸着厚み: 0.2μm
【0089】なお、上記の金属磁性薄膜上には、トップ
コート層(潤滑材層)としてパーフルオロポリエーテル
を塗布した。また、磁性層とは反対側には、上記した塗
料組成のバックコート層を 0.5μm厚に塗布した。
【0090】そして、図5、図6のようにしてベースフ
ィルム2Aに積層を終了したものは、図7に示すように
芯42に巻回された磁気テープ原反2Dとして完成し、次
に裁断装置によって所定の幅(金属薄膜型では8mm幅)
に裁断され、図1の塗布型磁気テープ1又は図5の金属
薄膜型の蒸着テープ10となる。図8は裁断装置の要部正
面図である。
【0091】磁気テープ原反2Dは、図8〜図10に示す
ように、芯42と共に繰り出しハブ43に装着され、一対の
ロール32A、32Bからなる駆動用ニップロール40により
裁断機33に送られ、ここで所定の幅に裁断されて磁気テ
ープ1、10となり、一つ置きに分離されて2つの磁気テ
ープグループに分けられる。2つに分けられた磁気テー
プグループは、それぞれガイドローラ35A、35Bに案内
され、一対のロール37、38からなる駆動用のニップロー
ル41A、41Bによってそれぞれ搬送され、巻取りハブ39
A、39Bに巻回され、パンケーキ50A、50Bとなる。パ
ンケーキとは、巻回され、所定の長さに切断する前の長
尺の磁気テープを指す用語である。
【0092】磁気テープ原反2Dは、裁断時にニップロ
ール40とニップロール41A、41Bとによって裁断に適し
た張力が付与されるようになっている。
【0093】裁断機33は、多数の円板状の裁断刃34Aが
回転軸34Cに一定の間隔を隔てて同軸に固定された裁断
刃群と、これと同様に多数の円板状の裁断刃34Bが回転
軸34Dに一定の間隔を隔てて同軸に固定された裁断刃群
との組によって構成されている。
【0094】各裁断刃34A、34Bの幅及び間隙は、裁断
幅(この例では8mm)としている。そして、回転軸34
C、34Dは、互いに平行に、かつ、各裁断刃34Aが裁断
刃34Bの各間隙に、各裁断刃34Bが裁断刃34Aの各間隙
に僅かに入り込むように配置されている。従って、隣接
する裁断刃34A、34Bは互いに実質的に隙間なく局部的
に端面周縁部で接触する。
【0095】裁断刃34Aの群と裁断刃34Bの群とは、矢
印のように互いに逆方向に回転する。磁気テープ原反2
Dは、回転軸34C、34D間の中央位置に搬送され、各裁
断刃34A、34Bの円周の陵部にて剪断によって多数に裁
断され、所定幅の磁気テープ1、10となる。
【0096】上記した塗布型の磁気テープ1は、例え
ば、図15に示すようなオーディオ用のカセット50に装填
して使用される。図示の如く、このカセット50は上下ケ
ース(ハーフ)50a、50bからなり、一方のテープリー
ル46Aに巻回された磁気テープ1は、カセット50の前面
に導出された後、他方のテープリール46Bに巻き取られ
る。
【0097】また、上記した蒸着型の磁気テープ10は、
例えば、図16に示すようなビデオ用のカセット55に装填
して使用される。図示の如く、この場合も、カセット55
は上下ケース55a、55bからなっており、一方のテープ
リール57Aに巻回された磁気テープ10はカセット55の前
面に導出された後、他方のテープリール57Bに巻き取ら
れる。
【0098】但し、このカセット55の場合、透明なリー
ルフランジ57A、57Bの回転中心が板ばね58により押し
下げられて浮き上がりを防止するようになっており、更
に前面には使用時に自動開閉する前蓋59が設けられ、非
使用時には閉じてテープを保護するようになっている。
【0099】そして、いずれのカセット45、55も、透明
な窓48、60を有しており、装填されたテープ1、10を巻
回体側面1a、10aを外部から観察できるようになって
いる。
【0100】上記したように、各実施例による磁気テー
プの側面からは発色材料4による色が観察されるが、こ
の原理を図11及び図12により、更に詳しく説明する。
【0101】図11及び図12は、磁気テープ1、10をその
幅方向の断面における一方の側面1a、10aの付近を示
す拡大断面図であり、図11は発色材料4の一部が裁断面
で切断されて露出している状態、図12はベースフィルム
2に内添した発色材料4が全て側面1a、10aに埋没し
ている状態を示す。
【0102】前述した図3の外観特性の観察は、巻回さ
れた磁気テープ1、10の側面における観察であるが、磁
気テープ1、10を単体について示すと、図11又は図12の
ようになる。図11及び図12において、Lは光源の光を示
し、Iは観察者の眼を示している。
【0103】即ち、図11、図12に示すように、光源から
照射された光Lはほぼ透明なベースフィルム2の中へそ
の一方の側面から入射し、その一部分の入射光はベース
フィルム2に内添された発色材料4に吸収されたり或い
は反射されながら、ベースフィルム2の他方の側面から
外部へ出射する。そして、反対側へ出射する光がその間
に発色材料4を発色させ、この着色光が出射し、観察者
の眼Iには独得の色として認識される。
【0104】一方、観察者の眼Iには、上記した如くに
して光源からベースフィルム2を通って出射される光L
とは別に、観察者の側から磁気テープ1、10の観察面に
入射する外光L1 が様々な角度(図11、図12には直交す
る方向のみを示す)から入射した後に反射光L2 となっ
て観察される。
【0105】この場合、図11のように、発色材料4の切
断面が露出しているものがある場合には、出射光Lに加
えて発色材料の切断面からの比較的強い反射光L2 が加
わることになる。また、図12のように、発色材料4が磁
気テープ1、10の側面の内部に埋没している場合にも、
図11のように、発色材料4の出射光Lに加えて、反射光
2'が加わる。
【0106】このようにして、前記した図3のようにカ
セット内で巻回された状態の磁気テープ1、10の側面1
a、10aには、ベースフィルム2に内添された発色材料
4の色が鮮やかに現れる。従って、このカセットはその
発光色によって商品価値に優れ、また一目瞭然に識別可
能となる。
【0107】しかし、Hi8(ハイバント8ミリテー
プ)や、DVC(コンスーマー用デジタルビデオ)用な
ど、磁性層として蒸着による磁性層を想定している記録
密度の大きなシステム用のテープでは、高い再生出力が
要求されるために平滑なテープ表面が要求されるので、
これらのテープのベースフィルムに発色顔料を内添する
際には、表面粗度に影響を与えないような粒径及び内添
量とすることが必要である。本実施例では、後記の如
く、内添する発色顔料の平均粒径及び内添量の適正範囲
を実現したものである。
【0108】上記の実施例によれば、第1及び第2の実
施例は共に、ベースフィルム2に内添した発色材料の色
が、テープ巻回状態において観察する磁気テープ1、10
の側面に入射する外光によって発光色が観察され、テー
プの見栄えが良くなる。
【0109】そして、観察面とは反対側に外光よりも大
きな光度の光源を配置した場合には、その光源の光の一
部がベースフィルム2の内部を通り抜けることによっ
て、より鮮明な発色材料の色が現れる。従って、バック
ライト付きのカセットデッキにおいては、より優れた外
観特性を発揮する。
【0110】このように、消費者の眼に訴える機能を保
持した磁気テープ及びテープカセットとなるので、これ
を内添する顔料によって色分けすることにより、テープ
のメーカー名、種類の識別、更に不正複写防止等の機能
をも有させることができ、商品価値を高めることができ
る。
【0111】次に、上記のようにして作製した実施例1
によるサンプルテープ(塗布型テープ)を透明なオーデ
ィオ用コンパクトカセットに60分長(90m)分として組
み込んだ。ここでは、厚み12μmのコンパクトカセット
テープ用のPETフィルム内に無機発色顔料であるカド
ミウムイエロー(CdS)、カドミウムレッド(CdS
+CdSe)をそれぞれ平均粒径及び量を変えて内添
し、この非磁性支持体の上に酸化鉄系の磁性塗料を図4
の装置によって4μmの厚みで塗布した。
【0112】このようなサンプルテープを容したコンパ
クトカセットの外観特性、電磁変換特性、走行耐久性を
評価した。再生出力は、ソニー社製のTCK−555E
SJにて相対速度47.6m/sec でMOL 10kHzを測定し
た。走行耐久性は、ソニー社製のTCK−555ESJ
にて 100回の走行を行い、MOL 10kHzの劣化量を測定
した。
【0113】この場合、0dB=250nwb/mとした場合に適
性バイアス電流を加え、315Hz 及び10kHz の信号を入力
録音し、再生時の出力を感度として、出力が3%歪んだ
時のレベルをM.O.L.(最大出力レベル)とし、基準
テープとの偏差により表した。
【0114】測定の結果は、発色材料としてカドミウム
イエロー(CdS)を使用した磁気テープについては下
記の表1の通りであり、一方、発色材料としてカドミウ
ムレッド(CdS+CdSe)を使用した磁気テープに
ついては下記の表2の通りである。
【0115】
【0116】
【0117】これらの表1と表2の結果から、本実施例
においては、いずれの発色顔料においても平均粒径を一
定としたとき、内添量が 0.5重量%(例1、10)では、
通常と異なる発色はあまり観察されなかったが、内添量
が 1.0重量%以上の場合(例2〜5、11〜14)、従来の
黒または茶色と明らかに異なる黄色又は赤色の発色が観
察され、特に5重量%以上ではより強い発色が観察され
た。しかし、内添量が20重量%(例5、14)になると、
電磁変換特性が劣化する傾向があるが、これは、発色顔
料の内添量が多すぎて磁性層の表面が粗くなり、スペー
シングロスを引き起こすためと考えられる。従って、非
磁性支持体に内添する発色顔料の添加量はベースフィル
ム材に対して1〜15重量%がよく、更には 1.0〜5.0 重
量%が望ましい。
【0118】一方、内添する発色顔料の平均粒径を変え
た場合(例6〜9、15〜18)には、発色には変化がな
く、いずれも強い発色を示した。しかし、平均粒径が3
μmを超える(例9、18)と、再生出力が劣化して、実
用上問題となり易いことが分かるが、これは、内添する
発色顔料が大きすぎるために、磁性層の表面が粗くな
り、スペーシングロスを引き起こすためと考えられる。
従って、非磁性支持体に内添する発色顔料の有効な平均
粒径は3μm以下(望ましくは、下限は 0.1μm、範囲
としては 0.1〜3.0 μm)である。
【0119】また、走行耐久性については、あまり変化
がなく、発色顔料の添加による大きな影響はないものと
判断される。
【0120】また、第2の実施例によるサンプルテープ
(金属薄膜型テープ)についても、上記した第1の実施
例によるサンプルテープと同様の測定方法で測定を行っ
た。但し、この場合、厚み 9.8μmのPETフィルム内
に、無機発色顔料であるカドミウムイエロー(CdS)
を粒径を変えて内添した。内添量はいずれも5重量%で
あった。その他のフィルム内添物は一般の蒸着用ベース
フィルムと同等であった。その上に、図6の連続巻取り
式蒸着機を用いてコバルトを 0.2μmの厚みで蒸着し
た。更に、バックコート層を 0.5μmの厚みで塗布し、
8ミリカセットにインカセットして、外観特性、電磁変
換特性及び走行耐久性を評価した。
【0121】電磁変換特性については、ソニー社製のハ
イバンド8ミリデッキNS−9000を改造したもので
行った。相対速度は 3.8m/min 、記録周波数は7MHz で
あった。
【0122】発色材料としてカドミウムイエロー(Cd
S)を使用した本実施例の測定結果は下記の表3の通り
である。
【0123】
【0124】この表3の結果から、本実施例において
は、カーボンブラックが主原料であるバックコート層5
を塗布したにもかかわらず、内添量を5重量%とした例
19〜23においては実施例1と同様に優れた外観特性を示
した。これは、蒸着による磁性層3が 0.2μmと薄いた
め、ベースフィルム2に内添した発色材料4の発色効果
が大きいためと思われる。
【0125】一方、電磁変換特性については、内添発色
材料の平均粒径が 0.5μmを超える(例23)と、再生出
力が急激に劣化することが分かる。これは、磁性層を蒸
着したテープの表面性がベースフィルム2の表面性に大
きく影響を受けるので、内添発色顔料の粒径が大きすぎ
るとベースフィルム2の表面粗度が大きくなり、記録再
生の際のスペーシングロスを引き起こすためと考えられ
る。従って、磁性層3を蒸着して設ける場合には、ベー
スフィルム2に内添する発色顔料の有効な平均粒径は
0.5μm以下(望ましくは、下限は0.05μm、範囲とし
ては0.05〜0.5 μm)にする必要がある。
【0126】また、例24〜27及び例20に示すように、発
色顔料の内添量は発色及び電磁変換特性の点で1〜15重
量%であるのがよく、 1.0〜5.0 重量%が更によい。
【0127】図13及び図14は、本発明の更に他の実施例
を示すものである。
【0128】図13の例では、ベースフィルム2に内添し
た発色材料4の一部分4aがベースフィルム2の界面か
ら突出し、磁性層3の中へ突出した形にしている。
【0129】この形状は、磁気テープの厚みを均一にす
るためのカレンダー装置の操作により形成することがで
きる。これにより、磁性層3の表面が上記突出部分4a
に追随して適度な粗度を有したものとなり、摩擦が低減
されるように表面性をコントロールすることができる。
【0130】図14の例では、ベースフィルム2に内添し
た発色材料4の一部分4aが、磁性層3及びその反対側
へ突出した形にしている。この突出形状は磁性層とは反
対側にのみ形成することもできる。これも、上記した図
13の場合と同様に、カレンダー装置の操作により形成す
ることが可能である。
【0131】これにより、磁性層3の表面性が確保され
るのみでなく、この反対側の面についても適度な粗さに
表面性が確保されてバックコート層を省略することもで
きる。従って、バックコート層を省略できることによ
り、磁気テープの薄膜化が可能になるため、更にロング
テープ化させることが可能になる。
【0132】また、図13及び図14の例においては、前記
した図11のように、ベースフィルム2に内添する発色材
料4が裁断面に露出して分布したり、或いは図12のよう
に、裁断面に露出しないようにすることもできる。図12
の場合、発色材料4が全てベースフィルム内に埋没する
形になり、発色材料4が安定に保持されるので、発色材
料の剥離が生じ難く、またテープの側面の強度が保持さ
れてエッジ折れ等を防止できる。
【0133】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて種々に変形す
ることができる。
【0134】例えば、前記した各実施例の磁気テープの
側面に、裁断の際にベースフィルム2に内添した発色材
料の一部が切断されて露出する場合、これらの露出した
発色材料の剥離防止のために、この側面に例えば、透明
な接着剤を塗布してもよい。これにより、露出した発色
材料が保持されると共に、接着剤による補強でエッジ折
れも防止できる。
【0135】また、前記の実施例では発色材料として、
カドミウムイエローとカドミウムレッドとを使用した
が、これ以外にも発色効果をもたらすものであれば、使
用可能であることは言うまでもない。
【0136】また、前記の実施例は、いずれもベースフ
ィルム及び磁性層又はこれにバックコート層を加えて磁
気テープを構成しているが、更に防錆剤層、保護層及び
潤滑剤層を加えて構成することもできる。
【0137】また、本発明は上述した磁気テープのほ
か、あらゆるテープ形状の磁気記録媒体についても有効
であり、また、原反から所定形状に裁断されて製造され
るフロッピーディスク等の磁気ディスクや磁気カード等
の磁気シートにも本発明が同様に適用可能である。これ
らに本実施例を適用することにより、独得の色合いや模
様を形成することもでき、その商品価値を高めることが
できる。
【0138】
【発明の作用効果】本発明は、上記の如く、基体上に磁
性層が設けられている磁気記録媒体において、前記基体
に発色材料が配され、この発色材料の少なくとも一部分
が前記基体内に存在しているので、この発色材料による
独得の色を呈したものとなり、優れた外観を有する商品
価値の高い媒体を提供できる。しかも、着色のために磁
性層に着色材料を添加する場合とは全く異なり、基体に
発色材料を添加するものであるため、磁性層の表面性を
適度に保持し、電磁変換特性等の性能を損なうことがな
い。
【0139】従って、磁気記録媒体の見栄えがよくなる
と共に、例えば、特定の色を使用して識別できるように
すれば、磁気記録媒体のメーカー名や種類を一見して判
別することも可能になり、更には海賊版等の不正複写も
防止することができ、磁気記録媒体の商品価値を一層高
めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による磁気テープの要部
の拡大断面図である。
【図2】同磁気テープの部分拡大断面斜視図である。
【図3】同磁気テープを容したテープカセット観察状況
を示す斜視図である。
【図4】同磁気テープ製造時の塗布装置を示す概略正面
図である。
【図5】本発明の第2の実施例による磁気テープの要部
の拡大断面図である。
【図6】同磁気テープ製造時の真空蒸着装置を示す概略
断面図である。
【図7】同磁気テープ原反を示す斜視図である。
【図8】同磁気テープ原反の裁断装置を示す概略正面図
である。
【図9】同裁断装置の裁断機の要部を示す正面図であ
る。
【図10】同図9のX−X線側面図である。
【図11】本発明に基づく磁気テープの発色原理を示す要
部の拡大断面図である。
【図12】同他の磁気テープの発色原理を示す要部の拡大
断面図である。
【図13】本発明の他の実施例による磁気テープの要部の
拡大断面図である。
【図14】本発明の更に他の実施例による磁気テープの要
部の拡大断面図である。
【図15】本発明に基づく磁気テープを収容したオーディ
オ用カセットの斜視図である。
【図16】本発明に基づく磁気テープを収容したビデオ用
カセットの斜視図である。
【符号の説明】
1、10…磁気テープ、1a、10a…テープ側面、2…ベ
ースフィルム、2A〜2b…ベースフィルムから原反ま
での製造過程におけるフィルム 3…磁性層、4…発色材料(発色顔料)、4a…突出
部、5…バックコート層、45、55…カセット、46A、46
B…リール、47…光源、48、60…窓、57A、57B…リー
ルフランジ、L…光、L1 …入射光、L2 、L2'…反射
光、I…眼

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に磁性層が設けられている磁気記
    録媒体において、前記基体に発色材料が配され、この発
    色材料の少なくとも一部分が前記基体内に存在している
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 発色材料が無機又は有機顔料からなる、
    請求項1に記載した磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 発色材料が、基体の材料に対し1重量%
    〜15重量%の割合で配されている、請求項1に記載した
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 発色材料の平均粒径が3μm以下であ
    る、請求項3に記載した磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 磁性層が、基体上に塗布によって形成さ
    れている、請求項4に記載した磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性層が金属磁性薄膜からなり、発色材
    料の平均粒径が 0.5μm以下である、請求項3に記載し
    た磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 基体の裁断面又はその近傍に発色材料が
    分布している、請求項1に記載した磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 オーディオ用カセットテープ又はテープ
    カセットである、請求項4に記載した磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 ビデオ用カセットテープ又はテープカセ
    ットである、請求項6に記載した磁気記録媒体。
JP14351396A 1996-05-14 1996-05-14 磁気記録媒体 Pending JPH09305957A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14351396A JPH09305957A (ja) 1996-05-14 1996-05-14 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14351396A JPH09305957A (ja) 1996-05-14 1996-05-14 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09305957A true JPH09305957A (ja) 1997-11-28

Family

ID=15340493

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14351396A Pending JPH09305957A (ja) 1996-05-14 1996-05-14 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09305957A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH09305957A (ja) 磁気記録媒体
US5326635A (en) Magnetic recording medium having a non-magnetic underlayer containing electrically conductive tin oxide coated pigment
JPH11296839A (ja) 磁気テープ
JP2000285430A (ja) テープカセット
JPH1173640A (ja) 磁気記録媒体
JP2813157B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2811329B2 (ja) 磁気記録媒体
KR100242502B1 (ko) 자기 테이프 및 테이프 카셋트
JP2796885B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2820913B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2731980B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3044672B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2000011359A (ja) 磁気記録媒体
JPH1083533A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH05334650A (ja) 磁気記録媒体
JPH113517A (ja) 磁気記録媒体
JPH0316015A (ja) 磁気記録媒体
JPH09128736A (ja) 磁気記録媒体
JPH03263612A (ja) 磁気記録媒体
JPH10308014A (ja) 磁気記録媒体
JPH09180152A (ja) 金属薄膜型磁気記録媒体
JPS60107727A (ja) 磁気記録媒体
JPH1129853A (ja) 磁気記録媒体の製造装置及び製造方法
JPH03219422A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
JPH05174374A (ja) 磁気記録媒体の製造方法