JPH09304879A - 写真フイルム用ベースフイルム - Google Patents

写真フイルム用ベースフイルム

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Publication number
JPH09304879A
JPH09304879A JP11755996A JP11755996A JPH09304879A JP H09304879 A JPH09304879 A JP H09304879A JP 11755996 A JP11755996 A JP 11755996A JP 11755996 A JP11755996 A JP 11755996A JP H09304879 A JPH09304879 A JP H09304879A
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JP
Japan
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film
layer
base film
curl
ethylene
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Pending
Application number
JP11755996A
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English (en)
Inventor
Masaya Watanabe
真哉 渡邊
Koji Furuya
幸治 古谷
Kenji Suzuki
賢司 鈴木
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた機械的特性、カール特性、透明性およ
び適度なライトパイピング防止性を有し、かつ感光層を
塗工した後のフイルムの加工特性が優れた写真フイルム
用ベースフイルムを提供する。 【解決手段】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートを実質的な素材とした二軸配向フイルム
からなる第1層と、エチレン−フェニルインダンジカル
ボキシレート単位を0.2〜10モル%、エチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を99.8
〜90モル%含むポリエステル共重合体またはその混合
体を実質的な素材とした二軸配向フイルムからなる第2
層との積層フイルムであることを特徴とする写真フィル
ム用ベースフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真フイルム用ベー
スフイルムに関し、更に詳しくは優れた機械的特性、透
明性を有し、感光剤層を塗設した後のフイルムの加工特
性が優れた写真フイルム用ベースフイルムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムには、一般のカメラに装填
して撮影に用いるネガフイルム等の如きロール状フイル
ムで用いるものと、X線用フイルム、製版用フイルム、
カットフイルム等の如きシート状フイルムで用いるもの
とが在る。
【0003】このロール状フイルムのベースフイルムに
はトリアセチルセルロース(以下『TAC』と略称する
ことがある)フイルムが主として用いられている。
【0004】TACフイルムは、光学的な異方性が少な
く透明度が高いこと、更にプラスチックフイルムとして
は比較的吸水性が高いため、ロールフイルムとして巻か
れた状態で経時されることによって生じる巻き癖が現像
処理での吸水による分子鎖の再配列のため解消する優れ
た性質を有している。
【0005】ところが、写真撮影装置が小型化される等
の進歩に伴い、写真フイルムを収納するパトローネも小
型化することが必要になり、これに用いる写真フイルム
用ベースフイルムも従来より肉薄にすること、肉薄とし
ても機械的強度や寸法安定性が十分な性能であることが
要求されるようになった。しかしながら、TACフイル
ムでは厚みを薄くした場合、機械的強度が不足し、かか
る要求を満足することができない。
【0006】一方、ポリエチレンテレフタレートフイル
ムは優れた機械的特性、透明性、寸法安定性、耐熱性、
耐薬品性を有するために多くの用途に用いられ、シート
状のベースフィルムに用いられている。しかしながら、
このポリエチレンテレフタレートフイルムは、写真フィ
ルムにしてロール状に巻いて長時間保持した際に長手方
向の巻き癖(以下単に『巻き癖』ということがある)が
現像処理後に解消する性質(以下『巻き癖回復性』とい
うことがある)が不足し、現像後のフイルムに巻き癖が
強く残る。このため、現像フイルムを更に写真印画紙に
画像を形成させる工程で使用する際にスリ傷が発生した
り、焦点ボケがおこる等のトラブルが生じ、ロール状フ
イルムのベースフイルムに用いることが難しい。
【0007】ところで、ポリエチレンテレフタレートフ
イルムよりも機械的特性、寸法安定性、耐熱性を改良で
きるポリエステルフイルムとして、ポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートフイルムをロール状
フイルムに用いることが種々提案されているが、従来の
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
フイルムをベースフイルムに用いた写真フイルムでは感
光剤層を塗設する際に、感光剤層の乾燥時の収縮がベー
スフイルムの収縮より大きいため塗設後のフイルムが幅
方向に弧を描いて感光剤層側に凹状の状態にカールする
欠点(以下、『幅方向のカール』という)がある。
【0008】この幅方向のカールに対する対策として、
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
を素材とした二軸配向フィルムからなる第1層と種々の
二塩基酸および/またはグリコールを共重合したポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを素材
とした二軸配向フィルムからなる第2層との積層フィル
ムにおける第1層と第2層の収縮応力差による幅方向の
カールを発現させ、感光剤層の乾燥時の収縮に基づく幅
方向のカールを打ち消す方法が検討されている。
【0009】更に、写真用ベースフィルムとしては、可
視光領域全体に渡り均一な光学濃度を有することが望ま
しい。しかし、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートフィルムは、その分子構造のために光学
濃度が不均一であり黄色味の強いフィルムである。特に
写真用フィルム用途で必要な幅方向カールを発現させる
ために共重合成分を含有させると、更なるフィルムの着
色、とりわけ黄色味の増大が著しい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のフィルムの欠点を解消し、優れた機械的特性、透明
性、カール特性を備え、感光剤層を塗設した後のフィル
ムの加工特性を備え、しかも色相バランスに優れ、適度
なライトパイピング防止性を備えた写真用ベースフイル
ムを提供することにある。本発明で色相バランスとは光
学濃度計で測定した光学濃度C、M、Yの均一性をい
う。
【0011】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートは屈折率が高いため、フィルムエッジから
入射した、光がベースフィルムと感光剤層の界面で反射
しやすく、この為いわゆるライトパイピング現象(縁被
り)を起こしやすい。
【0012】ライトパイピングの防止方法としては、フ
ィルムの光学濃度を増加させる方法が知られており、フ
ィルムを構成するポリマーに染料による染色を施す方法
が提案されている。
【0013】写真フィルム用ベースフィルムとしては、
可視光領域全体に渡り均一な光学濃度を有することが望
ましい。そのため、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートのように黄色味の強いポリマーに、
可視光領域全体の光学濃度を均一に保ちながらライトパ
イピング防止性を付与するためには、黄色味に対応する
短波長以外の波長領域に対応する染料の添加量を増加さ
せる必要があり、その結果、本来のライトパイピング防
止性の付与という目的に対して、必要以上に光学濃度が
高く、光線透過率が低い、即ち、必要以上に暗いベース
フィルムになり、写真用ベースフィルムとして好ましい
透明度を備えたものを得るのは困難であった。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、(a)少なくとも2層からなる積層フィルム
であり、表面層および裏面層の2つの層のうち1つの層
(以下、第1層という)がポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレートを主成分とする高分子からな
り、他の1つの層(以下、第2層という)が下記一般式
に示すエチレン−フェニルインダンジカルボキシレート
単位0.2〜10モル%およびエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート単位99.8〜90モル%か
らなる高分子からなり、
【0015】
【化2】
【0016】(b)第1層の厚みの第2層の厚みに対す
る比率が1/4〜4/1であり、(c)第1層の厚みと
第2層の厚みの合計が40〜120μmであり、(d)
積層フイルムのヘーズ値が2.0%以下であり、(e)
光学濃度計で測定した積層フィルムの光学濃度が、Cで
0.050以上、Mで0.050以上、Yで0.050
〜0.065であり、(f)積層フイルムの幅方向のカ
ール度が10〜30m-1であり、そして(g)積層フイ
ルムの長手方向の巻き癖カール度が40m-1未満である
ことを特徴とする写真フイルム用ベースフイルムによっ
て達成することができる。
【0017】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】[第1層]本発明において第1層に用いる
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
を主成分とする高分子は、高分子均質重合体(ホモポリ
マー)、高分子共重合体またはこれらの混合物であって
もよく、これらの重合体に用いられるモノマー単位成分
として、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート単位以外の1種以上の成分(以下、『第三成分』と
いう場合がある)を3モル%未満、好ましくは2モル%
未満の範囲で含有することができる。3モル%以上の第
三成分が含有されると巻き癖回復性が不十分となる。
【0019】このような第三成分としては、分子内に2
つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いること
ができ、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカル
ボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息
香酸等の如きオキシカルボン酸;プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリ
コール、ジエチレングリコール等の如き2価アルコール
類等を好ましく用いることができる。
【0020】また、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートは例えば安息香酸、メトキシポリア
ルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端
の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全
部を封鎖したものであってもよく、あるいは例えば極く
少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官
能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマ
ーが得られる範囲内で変性されたものでもよい。
【0021】第1層の高分子にはエチレン−フェニルイ
ンダンジカルボキシレート単位が不純物として含有され
ていてもよいが、その含有量は第2層での含有量より少
量であるべきであり、少ないほど好ましい。さらに好ま
しくは0.2モル%未満である。
【0022】[第2層]第2層に用いる高分子は、下記
一般式(II)に示すエチレン−フェニルインダンジカル
ボキシレート単位0.2〜10モル%及びエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位99.8〜
90モル%からなる高分子である。
【0023】
【化3】
【0024】本発明の第2層に用いる高分子は高分子均
質重合体(ホモポリマー)の混合物、高分子共重合体ま
たはこれらの混合物であってもよく、これらの重合体に
用いられるモノマー単位成分として、エチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位以外の1種以上の
成分(第三成分)を3モル%未満、好ましくは2モル%
未満の範囲で含有することができる。3モル%以上の第
三成分が含有されると巻き癖回復性が不十分となる。
【0025】第2層に用いる高分子は好ましくは第1層
に用いる高分子と同様の高分子にエチレン−フェニルイ
ンダンジカルボキシレート単位を0.2〜10モル%共
重合成分としてまたは高分子混合物を組成する高分子の
モノマー成分として含有させた高分子である。第2層の
高分子は第1層の高分子中に存在するエチレン−フェニ
ルインダンジカルボキシレート単位の割合より好ましく
は0.2〜10モル%多く含有する。
【0026】第2層の高分子を構成するエチレン−フェ
ニルインダンジカルボキシレート単位が0.2モル%に
満たないと感光剤層によるカールを打ち消す効果が不十
分なものとなり、10モル%を超えるとベースフイルム
の機械的強度が不足し、あるいは、ベースフイルムの着
色が著しくなる。
【0027】ベースフィルムの着色が著しいと、透明性
と光学濃度の均一性の両立が困難になる。例えばベース
フィルムに着色を施してライトパイピング防止性を付与
する場合に、可視光領域全体に渡る光学濃度を均一にす
るために光学濃度を高くせざるを得ず、その結果透明性
が損なわれる。
【0028】第2層のエチレン−フェニルインダンジカ
ルボキシレート単位の含有量が増加するとフィルムの透
明性は向上するが、フィルム面の面配向が乱されるため
第2層側のベースフィルム面が粗れてくる。粗れすぎる
とフィルムの厚み斑がおおきくなるので好ましくない。
共重合成分の比率が0.2〜10モル%であればフィル
ム表面が適度に粗され透明性は向上するので好ましい。
【0029】エチレン−フェニルインダンジカルボキシ
レート単位は、フィルムに成形された第2層中に占める
割合が0.2〜10モル%であればよく、この割合にな
るように共重合して調製したものを用いてもよく、ま
た、予め重合されたエチレン−フェニルインダンジカル
ボキシレート濃度の高いマスターポリマーをポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートポリマーで
希釈してかかる濃度に調製したものを用いてもよい。な
ぜなら、チップを溶融押出する際エステル再交換反応が
起こりエチレン−フェニルインダンジカルボキシレート
成分は均一に分散されるからである。このようなエステ
ル再交換反応により第2層の高分子を得る場合、上記マ
スターポリマー中のエチレン−フェニルインダンジカル
ボキシレート濃度は好ましくは0.2〜50モル%、よ
り好ましくは0.2〜20モル%である。このような濃
度であれば効率よくエステル再交換反応が進行する。
【0030】[第1層の厚み/第2層の厚み]本発明の
積層ベースフイルムは、第1層の厚みの第2層の厚みに
対する比率が1/4〜4/1の範囲のものであり、特に
1/3〜3/1のものが好ましい。この比率が1/4よ
りも小さいと巻き癖回復性、機械的強度が不良となる。
またこの比率が4/1よりも大きいと感光剤層によるカ
ールを打ち消す効果が不足する。
【0031】[ベースフイルム厚み]また、本発明の写
真フイルム用ベースフイルムは厚みは、第1層の厚みと
第2層の厚みの合計が40〜120μmの範囲であり、
好ましくは50〜100μmである。この厚みが40μ
m未満では機械的強度が不足し、120μmを越えると
フイルムの薄肉化の意味がなくなる。
【0032】[ヘーズ値]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムのヘーズ値は2.0%以下のものであり、好
ましくは1.5%以下のものである。このヘーズが2.
0%より大きいとフイルムの透明性が低下し好ましくな
い。
【0033】[光学濃度]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムは、X−Rite社製光学濃度計またはこれ
と同等の光学濃度計を用いて測定した光学濃度が、Cが
0.050以上、Mで0.050以上、Yで0.050
〜0.065であり、しかもC、M及びYの相互の関係
が0.030>C−M>0かつ0.030>M−Y>0
である。
【0034】C、MおよびYがこの条件を満たさない場
合、可視光領域全体に渡る光学濃度の均一性に劣るため
に、写真フィルム用ベースフィルムとしては好ましくな
いのみならず、必要以上に光学濃度が高く、光線透過率
が低い、即ち、必要以上に暗いベースフィルムになり、
写真フィルム用ベースフィルムとして好ましくない。
【0035】C、M、Yの各光学濃度のいずれかがが上
記の下限値より小さい場合、フイルムエッジから入射し
た光がフイルム内部を透過し易く、ライトパイピング現
象を防止する効果が得られない。更に、着色後の各光学
濃度が上記の相互関係を満足しない場合、可視光領域全
体に渡る光学濃度の均一性に劣るために、写真フィルム
用ベースフィルムとしては好ましくない。
【0036】本発明の写真用ベースフィルムは、光学濃
度について上述の条件を満足するものであるが、このフ
ィルムは可視光領域全域に渡り均一な光学濃度を有し、
かつフィルムの透明性を損なうことなく写真用ベースと
して求められる適度なライトパイピング防止性を備え
る。
【0037】このような優れた着色フィルムは、染色後
の光学濃度について上述の光学濃度の条件を満たすよう
に、フィルムを染料を用いて着色を施すことによって得
ることができる。着色は通常フィルムの素材となるポリ
マーに染料を配合することによって行われる。
【0038】染料によって着色の行われていない状態の
フィルムはX−Rite社製光学濃度計またはこれと同
等の光学濃度計を用いて測定した光学濃度が、Cが0.
040〜0.050、Mが0.045〜0.055、か
つYが0.05〜0.060であるフィルムであること
が好ましい。この光学濃度のフィルムであれば、染料に
よる着色によって本発明の着色フィルムの光学濃度の条
件を満足する着色フィルムとすることができる。
【0039】[染料]光線透過率を上述の範囲とするた
めにベースフィルムの第1層および/または第2層には
染料を配合させることが好ましい。染料としては、耐熱
性、相溶性及び耐昇華性を同時に満足し、かつハロゲン
化銀乳剤に対して不活性であり、感度、ガンマ等の写真
性能に悪影響を及ぼさないものが好ましい。
【0040】かかる染料としては、赤色染料(最大吸収
波長が500〜600nmの領域にあるもの)、緑色染
料(最大吸収波長が600〜700nmの領域にあるも
の)、青色染料(最大吸収波長が600〜680nmの
領域にあるもの)の中から選ばれることが好ましい。更
に好ましくは赤色染料と緑色染料を適当な比率で配合さ
れたもの、赤色染料と青色染料を適当な比率で配合され
たものなどが好ましい。
【0041】かかる染料の配合割合は、用いる染料によ
り異なるが、ポリマーに対し0.005〜0.1重量%
であると透明性、ライトパイピング性が良好となるので
好ましい。
【0042】上記の赤色染料、緑色染料及び青色染料と
しては、例えばアントラキノン系染料、トリフェニルメ
タン系染料、ニトロ染料、スチルベン染料、インジゴイ
ド染料、チアジン染料およびアゾ染料から選択されるの
が好ましい。
【0043】着色によって可視光領域全域に渡り均一な
光学濃度を達成するように着色するためには、赤色染
料、緑色染料、青色染料を適当な比率で配合されたもの
を用いて染色することが好ましい。
【0044】[幅方向のカール度]本発明の写真フィル
ム用ベースフイルムは、第2層を内側とする幅方向のカ
ール度が10〜30m-1の範囲のものである。すなわ
ち、本発明の積層ベースフイルムは第2層を内側として
(第2層側が凹状にカール)幅方向に曲がる性質を示
し、その度合は幅方向のカール度の値で10〜30m-1
の範囲のものである。このカール度となる本発明の積層
フイルムは、第1層側に感光剤層を塗布したときの感光
剤層の乾燥収縮による幅方向のカール(感光剤層による
カール)と本発明の第2層を内側とした幅方向のカール
がつりあい、カールの少ない写真フイルムとなる。
【0045】[巻き癖カール度]また本発明の写真フイ
ルム用ベースフイルムは巻き癖カール度が40m-1未満
のものである。この巻き癖カール度は後述の如くベース
フイルムを巻芯に巻き付け80℃にて2時間保持した
後、巻芯から解放した際の巻き癖カール度を測定するも
のであるが、保持する温度の80℃は日常生活において
写真フイルムが通常曝されることがあり得る最高温度よ
り選んだ。かかる温度を選択することにより、従来の巻
き癖の評価よりも過酷な条件で保持された写真フイルム
の巻き癖カール度の評価が可能になる。
【0046】本発明のベースフイルムは写真フイルム用
ベースフイルムとして更に下記の特性を備えていること
が好ましい。
【0047】[正味のANSIカール値]本発明のベー
スフイルムは、49℃(80℃よりも31℃低い温度)
においても小さな巻き癖カール度を示すことが好まし
い。すなわち外径3インチのコア上で、49℃、50%
RH、24時間コアセット(熱処理)した場合、正味の
ANSIカール値が測定できるが、この値が10%以下
であることが好ましい。
【0048】[吸熱エネルギー]本発明のベースフイル
ムは、示差熱量計により積層フイルムを熱分析したとき
120〜160℃、特に130〜150℃の範囲内に吸
熱ピークが観察されることが好ましい。またその吸熱ピ
ークの大きさが表している吸熱エネルギーが0.3mJ
/mg以上、更に0.5mJ/mg以上であることが好
ましい。吸熱ピーク温度および吸熱エネルギーが上記の
範囲であると、巻き癖カール度の抑制が可能となる。
【0049】[ヤング率]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムは直交する2方向、例えば縦方向と横方向の
ヤング率が750kg/mm2以下、特に700kg/
mm2以下であることが好ましい。ヤング率が750k
g/mm2を越えるとフイルムの裁断時やパーフォレー
ション穿孔時にデラミが発生したり切粉が多く発生し易
くなる。ヤング率の下限は剛性の良好なベースフイルム
を得るため550kg/mm2であることが好ましい。
両方向のヤング率の差は特に限定されないが、150k
g/mm2以下であることが好ましい。
【0050】[添加剤]本発明のポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート、共重合ポリエステル
および/またはポリエステル混合物には添加剤、例えば
安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤等を含有
させることができ、特にフイルムに滑り性を付与するた
め不活性微粒子を少割合含有させることが好ましい。
【0051】この不活性微粒子としては、例えば球状シ
リカ粒子、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、ゼオラ
イト粒子の如き無機粒子、或いはシリコン樹脂粒子、架
橋ポリスチレン粒子の如き有機粒子を挙げることができ
る。無機粒子は粒径が均一であること等の理由で天然品
よりも、合成品であることが好ましく、あらゆる結晶形
態の無機粒子を使用することができる。
【0052】上記の不活性微粒子の平均粒径は0.05
〜1.5μmの範囲であることが好ましい。特に、不活
性微粒子が無機粒子の場合には、平均粒径が0.1〜
0.8μmの範囲であることが好ましく、0.2〜0.
5μmであることが更に好ましい。不活性微粒子がシリ
コン樹脂粒子の場合には、平均粒径が0.1〜1.5μ
mの範囲であることが好ましい。また不活性微粒子が架
橋ポリスチレン粒子の場合には、平均粒径が0.1〜
1.5μmの範囲であることが好ましい。
【0053】不活性微粒子の平均粒径が0.05μmよ
り小さいと、フイルムの滑り性、耐削れ性或いは巻き取
り性などの向上効果が小さく、他方平均粒径が1.5μ
mより大きいとフイルムの透明性が低下するので好まし
くない。
【0054】不活性微粒子の含有量は0.001〜0.
2重量%であることが好ましい。不活性微粒子が無機粒
子の場合、0.001〜0.1重量%であることが更に
好ましく、0.002〜0.05重量%であることが特
に好ましい。また不活性微粒子がシリコン樹脂粒子の場
合、0.001〜0.1重量%であることが好ましく、
更に0.001〜0.02重量%、特に0.001〜
0.01重量%であることが好ましい。不活性微粒子が
架橋ポリスチレン粒子の場合、0.001〜0.05重
量%であることが好ましい。この不活性微粒子の添加量
が0.001重量%未満ではフイルムの滑り性が不十分
となりがちであり、一方0.2重量%を越えるとフイル
ムヘーズが増加し、透明性が不十分となり、好ましくな
い。
【0055】不活性微粒子の添加時期は、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを製膜する迄
の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加
してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0056】[積層フイルムの製造方法]本発明の写真
フィルム用積層ベースフイルムは、通常の方法例えば共
押出しにより得た未延伸積層フイルムを、二軸延伸し、
熱固定し、次いでアニーリング処理することにより有利
に製造することができる。延伸方法は公知の方法で良
く、延伸温度は通常80〜140℃であり、延伸倍率は
縦方向に好ましくは2.0〜4.2倍、より好ましくは
2.5〜4.0倍であり、横方向に好ましくは2.5〜
4.3倍、より好ましくは2.8〜4.0倍である。得
られた二軸延伸フイルムは170〜260℃、好ましく
は180〜250℃で1〜100秒熱固定する。延伸は
一般に用いられる例えばロールによる方法やステンター
を用いた方法で行うことができ、縦方向と横方向を同時
に延伸してもよく、また縦方向・横方向に逐次延伸して
もよい。ただし、第2層のエチレン−フェニルインダン
ジカルボキシレート単位がエチレン−2,6ナフタレー
ト単位に対し増加すると非晶性が増すため、熱固定温度
はエチレン−フェニルインダンジカルボキシレート単位
の増加に対し下げていくことが、フィルムのヤング率の
低下を防ぎ、フィルムの平坦性を維持する上で必要であ
る。
【0057】かかる二軸延伸処理、熱固定処理を行う
と、第1層と第2層の延伸特性の差によって両層に面配
向差が生じ、これにより収縮率差が生じて目的とする幅
方向のカールを有するベースフイルムが得られる。
【0058】[アニーリング条件]また、通常の二軸延
伸、熱固定処理条件で製膜した二軸延伸フイルムは長手
方向の巻き癖カール度が40m-1以上であるが、アニー
リング処理することにより、この巻き癖カール度を40
-1以下まで低下させることが可能である。アニーリン
グ条件としては、フイルムがロール状態で熱履歴を受け
る温度より高くかつ150℃以下、さらには該熱履歴を
受ける温度より10℃高くかつ130℃以下の温度でア
ニーリング処理する方法がより効果的で好ましい。フイ
ルムがロール状態で熱履歴を受ける温度以下の温度でア
ニーリング処理しても巻き癖を防止するのが不十分であ
り、他方150℃より高い温度でアニーリング処理する
と、フイルム表面へのオリゴマーの析出や、フイルム面
へのコア転写等が起きやすく、フイルムの使用に不都合
が生じる。
【0059】二軸延伸フイルムのアニーリング処理方法
としては、二軸延伸され、熱固定されたフイルムを一旦
巻き取ることなく加熱ロールに接触させながら加熱する
方法、加熱空気で搬送させながら非接触で加熱する方
法、一旦巻き取ったフイルムを巻き出しながら上記と同
じ方法で加熱する方法、またはフイルムをロール状態の
ままで加熱オーブン中で熱処理する方法等が挙げられ
る。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。なお、実施例、比較例における各物性値は次のよ
うに測定した。
【0061】(1)幅方向のカール度 フイルムより縦(長手方向)1.5mm×横(幅方向)
50mmの試験片を切り取り、この試験片の有する曲率
半径(m)を測定し、この逆数をもって幅方向のカール
度とした。
【0062】(2)巻き癖カール度 縦(長手方向)120mm×横(幅方向)24mmの大
きさのサンプルフイルムを、第1層を内側にして直径7
mmの巻芯に巻き付け、巻き戻らないように仮固定し、
80℃にて2時間保持した後、巻芯から解放し、40℃
の蒸留水に15分間浸漬する。次いでフイルムの長手方
向端部に35gの荷重をかけ、サンプルを垂直に吊し、
55℃にて3分間保持した後、巻き癖が残っている状態
の曲率半径(m)を測定し、この逆数をもって巻き癖カ
ール度とした。
【0063】(3)正味のANSIカール度 ANSIPH1.29−1971の試験方法Aに準じ、
インチをメートル法に換えて算出したカール値。
【0064】(4)光学濃度 X−Rite社製光学濃度計(TR−310)を用い
て、フイルム試料の三原色C(Cyan)、M(Mag
enta)、Y(Yellow)における光学濃度を測
定した。
【0065】(5)ヘーズ JIS K−6714の手法に従い、市販のヘーズメー
ターで測定したフイルム1枚当たりの全ヘーズ値。
【0066】(6)吸熱ピーク温度 TK (℃) フイルム10mgをセイコー電子工業(株)製熱分析シ
ステムSSC5200,DSC220にセットし、窒素
気流中で20℃/分の昇温速度で加熱し、該フイルムの
吸熱挙動を1次微分、2次微分で解析し、ピークを示す
温度を決定し、これを吸熱ピーク温度とした。
【0067】(7)吸熱エネルギー △HK (mJ/m
g) (6)と同様に、フイルム10mgをセイコー電子工業
(株)製熱分析システムSSC5200,DSC220
にセットし、窒素気流中で20℃/分の昇温速度で加熱
し、フイルムの吸熱エネルギーに対応するDSCチャー
ト上の吸熱側面積から求める。この面積は昇温すること
によりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を続
けて吸熱ピークを経た後、ベースライン位置まで戻るま
での吸熱側の面積であり、吸熱開始温度位置から終了温
度位置までを直線で結び、面積(A)を求める。同じD
SCの測定条件でIn(インジウム)を測定し、この面
積(B)を28.5mJ/mgとして、次の式より求め
た。
【0068】
【数1】(A/B)×28.5=△HK (mJ/mg)
【0069】(8)ヤング率 フイルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張る。得られた荷重−伸び曲線の立上部
の接線よりヤング率を計算した。
【0070】(9)フィルム表面粗さ 小坂研究所社製表面粗さ測定器(SE30−C)によっ
て中心線平均表面粗さ(Ra:nm)を次のように求め
た.触針の先端半径は2μm,荷重は30mgである.
フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL
(2.5mm)の部分を抜き取り,この抜き取り部分の
中心線の方向をX軸,縦倍の方向をY軸として,粗さ曲
線y=f(x)で表したとき,次の式で与えられた値を
μmで表す,但し,カットオフ値は250μmである.
Raは縦方向に5点横方向に5点の計10点の平均値を
求めた.
【0071】
【数2】
【0072】[実施例1]ポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート(固有粘度=0.62)ペレ
ットを第1層用の原料(A)とする。一方、共重合ポリ
エステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート単位98.0モル%、エチレン−フェニルインダ
ンジカルボキシレート単位2.0モル%、固有粘度=
0.62)ペレット30重量%とポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット70重量%とを混合したポリエステル混合
体を第2層用の原料(B)とする。原料(A)および原
料(B)は平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.00
5重量%含有する。この原料(A)、原料(B)をそれ
ぞれ別個に乾燥し、別個の溶融押出機により共押出法に
より積層し、第1層と第2層の厚み構成比率が1:2で
ある未延伸フイルムを得た。ついでこの未延伸フイルム
を縦方向(フイルムの押出し方向)に3.0倍、横方向
(フイルムの幅方向)に3.1倍逐次二軸延伸し、次い
で熱処理し、厚みが75μmの二軸配向フイルムを得
た。この二軸配向フイルムを熱処理に引き続いて横方向
の把持を解除し、縦方向は緊張状態で冷却ロールに接触
させて急冷した後ロールに巻取った。
【0073】得られた二軸配向フイルムを幅500mm
にスリットし、直径165mmの巻芯にロール状に巻取
って長さ500mのサンプルロールとし、この状態で1
10℃まで24〜72時間かけて昇温し、24時間保持
した後、24〜72時間かけて室温まで降温するアニー
ル条件でアニール処理して、厚みが75μmの二軸配向
フイルムを得た。得られたフイルムの特性は表1に示す
とおり良好なものであった。
【0074】また、上記の原料(A)および原料(B)
に赤と緑の染料を0.015重量%含有させた原料を用
いて、上記のベースフィルムと同様の方法で着色ベース
フィルムを得た。得られた着色ベースフィルムの特性は
表1に示す通り良好なものであった。
【0075】[実施例2]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位93.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位7.0モル%、固有粘度=
0.61)ペレット30重量%とポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット70重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの特性は表1に示
すとおり良好なものであった。
【0076】[比較例1]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位99.5モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位0.5モル%、固有粘度=
0.62)ペレット30重量%とポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット70重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの特性を表1に示
す。比較例1の二軸配向フイルムは本発明の特徴の一つ
である幅方向のカールの発現が不十分なため、感光剤層
によるカールを打ち消す効果が無いものであった。
【0077】[比較例2]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位50.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位50.0モル%、固有粘度
=0.60)ペレット30重量%とポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット70重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの特性を表1に示
す。比較例2のベースフィルム及び着色ベースフイルム
はヤング率が低いため、写真フィルム用ベースフィルム
に要求される機械的強度を満足することができないもの
であった。
【0078】
【表1】
【0079】表1中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ下記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびエチレン−
フェニルインダンジカルボキシレート単位を示す。
【0080】
【化4】
【0081】
【化5】
【0082】また、表1中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0083】[実施例3]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位97.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位3.0モル%、固有粘度=
0.61)ペレット20重量%とポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット80重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの特性は表2に示
すとおり良好なものであった。
【0084】[実施例4]実施例3において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位85.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位15.0モル%、固有粘度
=0.61)ペレット50重量%とポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット50重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの特性は表2に示
すとおり良好なものであった。
【0085】[比較例3]実施例3において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位97.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位3.0モル%、固有粘度=
0.61)ペレット 5重量%とポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット95重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの物性評価結果を
表2に示す。比較例3のベースフィルム及び着色ベース
フイルムは幅方向のカールの発現が不十分なため、感光
剤層によるカールを打ち消す効果が無いものであった。
【0086】[比較例4]実施例3において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位85.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位15.0モル%、固有粘度
=0.61)ペレット90重量%とポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット10重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜してベー
スフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得られたベ
ースフィルム及び着色ベースフイルムの特性を表2に示
す。比較例4のベースフィルム及び着色ベースフイルム
は幅方向のカール度が大きすぎるため、感光剤層による
カールを打ち消す目的には過剰なものであった。また、
ヤング率が低いため、写真フィルム用ベースフィルムに
要求される機械的強度を満足することができないもので
あった。
【0087】
【表2】
【0088】表2中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ前記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびエチレン−
フェニルインダンジカルボキシレート単位を示す。
【0089】また、表2中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0090】[実施例5]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位6.0モル%、固有粘度=
0.61)ペレット30重量%とポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.6
2)ペレット70重量%とを混合したポリエステル混合
体を原料(B)とし、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレート(固有粘度=0.62)ペレット
である原料(A)からなる第1層と原料(B)からなる
第2層用の厚み構成比率を1:2とする以外はすべて同
様に製膜してベースフィルム及び着色ベースフイルムを
得た。得られたベースフィルム及び着色ベースフイルム
の特性は表3に示すとおり良好なものであった。
【0091】[実施例6]実施例5において、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレットである原料(A)からなる第1
層とポリエステル混合体である原料(B)からなる第2
層用の厚み構成比率を2:1とする以外はすべて同様に
製膜してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得
た。得られたベースフィルム及び着色ベースフイルムの
特性は表3に示すとおり良好なものであった。
【0092】[比較例5]実施例5において、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレットである原料(A)からなる第1
層とポリエステル混合体である原料(B)からなる第2
層用の厚み構成比率を1:5とする以外はすべて同様に
製膜してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得
た。得られたベースフィルム及び着色ベースフイルムの
物性評価結果を表3に示す。
【0093】比較例5のベースフィルム及び着色ベース
フイルムはヤング率が低いため、写真フィルム用ベース
フィルムに要求される機械的強度を満足することができ
ないものであった。また、長手方向の巻き癖カール度が
大きく、写真フィルム用ベースフィルムとしてのハンド
リング性が不良のものとなった。更に、ベースフィルム
の光学濃度Yの値が大きすぎるため色相バランスが悪
く、また、ライトパイピング現象の防止を目的とする染
料による染色後の各光学濃度の相互関係を本発明の規定
範囲に納めようとすると、染料の添加量を増やさざるを
得ず、結果的に写真フィルム用ベースフィルムとしての
透明性が不良のものとなった。
【0094】[比較例6]実施例5において、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレットである原料(A)からなる第1
層とポリエステル混合体である原料(B)からなる第2
層用の厚み構成比率を5:1とする以外はすべて同様に
製膜してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得
た。得られたベースフィルム及び着色ベースフイルムの
物性評価結果を表3に示す。比較例6の二軸配向フイル
ムは幅方向のカールの発現が不十分なため、感光剤層に
よるカールを打ち消す効果が無いものであった。
【0095】
【表3】
【0096】表3中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ前記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびエチレン−
フェニルインダンジカルボキシレート単位を示す。
【0097】また、表3中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0098】[実施例7]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位99.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位1.0モル%、固有粘度=
0.61)ペレットを原料(B)とし、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレットである原料(A)からなる第1層と
原料(B)からなる第2層用の厚み構成比率を1:2と
する以外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着
色ベースフイルムを得た。得られたベースフィルム及び
着色ベースフイルムの特性は表4に示すとおり良好なも
のであった。
【0099】[実施例8]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位6.0モル%、固有粘度=
0.61)ペレットを原料(B)とし、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレットである原料(A)からなる第1層と
原料(B)からなる第2層用の厚み構成比率を1:2と
する以外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着
色ベースフイルムを得た。得られたベースフィルム及び
着色ベースフイルムの特性は表4に示すとおり良好なも
のであった。
【0100】[比較例7]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位99.9モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位0.1モル%、固有粘度=
0.62)ペレットを原料(B)とし、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレットである原料(A)からなる第1層と
原料(B)からなる第2層用の厚み構成比率を1:2と
する以外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着
色ベースフイルムを得た。得られたベースフィルム及び
着色ベースフイルムの特性は表4に示す。
【0101】比較例7の二軸配向フイルムは幅方向のカ
ールの発現が不十分なため、感光剤層によるカールを打
ち消す効果が無いものであった。
【0102】[比較例8]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位88.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダンジカルボキシレート単位12.0モル%、固有粘度
=0.61)ペレットを原料(B)とし、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.61)ペレットである原料(A)からなる第1層と
原料(B)からなる第2層用の厚み構成比率を1:2と
する以外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着
色ベースフイルムを得た。得られたベースフィルム及び
着色ベースフイルムの特性を表4に示す。
【0103】比較例8のベースフィルム及び着色ベース
フイルムはヤング率が低いため、写真フィルム用ベース
フィルムに要求される機械的強度を満足することができ
ないものであった。また、長手方向の巻き癖カール度が
大きく、写真フィルム用ベースフィルムとしてのハンド
リング性が不良のものとなった。更に、ベースフィルム
の光学濃度Yの値が大きすぎるため色相バランスが悪
く、また、ライトパイピング現象の防止を目的とする染
料による染色後の各光学濃度の相互関係を本発明の規定
範囲に納めようとすると、染料の添加量を増やさざるを
得ず、結果的に写真フィルム用ベースフィルムとしての
透明性が不良のものとなった。
【0104】
【表4】
【0105】表4中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ前記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびエチレン−
フェニルインダンジカルボキシレート単位を示す。
【0106】また、表4中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0107】[実施例9]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位98.0モル%、エチレン−フェニルイン
ダン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位2.
0モル%、固有粘度=0.61)ペレット30重量%と
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
(固有粘度=0.62)ペレット70重量%とを混合し
たポリエステル混合体を原料(B)とする以外はすべて
同様に製膜してベースフィルム及び着色ベースフイルム
を得た。得られたベースフィルム及び着色ベースフイル
ムの特性は表5に示すとおり良好なものであった。
【0108】[比較例9]実施例9において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位88.0モル%、下記化学式(III)に示
すアルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
単位12.0モル%、固有粘度=0.62)ペレット1
5重量%とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレート(固有粘度=0.62)ペレット85重量%
とを混合したポリエステル混合体を原料(B)とする以
外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着色ベー
スフイルムを得た。
【0109】
【化6】
【0110】得られたベースフィルム及び着色ベースフ
イルムの物性評価結果を表5に示す。比較例7のベース
フィルム及び着色ベースフイルムは幅方向のカール度は
適度であるが、光学濃度Yの値が大きすぎるため、ライ
トパイピング現象の防止を目的とする染料による染色後
の各光学濃度の相互関係を本発明の規定範囲に納めよう
とすると、染料の添加量を増やさざるを得ず、結果的に
写真フィルム用ベースフィルムとしての透明性が不良の
ものとなった。
【0111】[比較例10]実施例9において、共重合
ポリエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレート単位96.0モル%、下記化学式(IV)に示
すアルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
単位4.0モル%、固有粘度=0.62)ペレット75
重量%とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート(固有粘度=0.62)ペレット25重量%と
を混合したポリエステル混合体を原料(B)とするとす
る以外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着色
ベースフイルムを得た。
【0112】
【化7】
【0113】得られたベースフィルム及び着色ベースフ
ィルムの物性評価結果を表5に示す。比較例8のベース
フィルム及び着色ベースフイルムは幅方向のカール度は
適度であるが、長手方向の巻き癖カール度が大きく、写
真フィルム用ベースフィルムとしてのハンドリング性が
不良のものとなった。
【0114】[比較例11]実施例9において、共重合
ポリエステルの代わりに下記化学式(V)に示すポリエ
チレン−テレフタレートのペレット7重量%とポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレット93重量%とを混合したポリエ
ステル混合体を原料(B)とする以外はすべて同様に製
膜してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得た。
【0115】
【化8】
【0116】得られたベースフィルム及び着色ベースフ
イルムの物性評価結果を表5に示す。比較例8のベース
フィルム及び着色ベースフイルムは幅方向のカール度は
適度であるが、長手方向の巻き癖カール度が大きく、写
真フィルム用ベースフィルムとしてのハンドリング性が
不良のものとなった。
【0117】
【表5】
【0118】表5中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ前記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびエチレン−
フェニルインダンジカルボキシレート単位を示し、式II
Iの単位、式IVの単位および式Vの単位はそれぞれ上記
の化学式(III)、(IV)および(V)の各種アルキレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を示
す。
【0119】また、表5中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、優れた機械的特性、カ
ール特性、透明性を有し、かつ感光層を塗工した後のフ
イルムの加工特性が優れた黄色味の強すぎることのない
優れた色相バランスを備え、しかもフィルムの透明度を
必要以上に損なうことなく適当なライトパイピング防止
性を備えた写真フイルム用ベースフイルムを提供するこ
とがことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも2層からなる積層フィ
    ルムであり、表面層および裏面層の2つの層のうち1つ
    の層(以下、第1層という)がポリエチレン−2,6−
    ナフタレンジカルボキシレートを主成分とする高分子か
    らなり、他の1つの層(以下、第2層という)が下記一
    般式に示すエチレン−フェニルインダンジカルボキシレ
    ート単位0.2〜10モル%およびエチレン−2,6−
    ナフタレンジカルボキシレート単位99.8〜90モル
    %からなる高分子からなり、 【化1】 (b)第1層の厚みの第2層の厚みに対する比率が1/
    4〜4/1であり、(c)第1層の厚みと第2層の厚み
    の合計が40〜120μmであり、(d)積層フイルム
    のヘーズ値が2.0%以下であり、(e)光学濃度計で
    測定した積層フィルムの光学濃度が、Cで0.050以
    上、Mで0.050以上、Yで0.050〜0.065
    であり、(f)積層フイルムの幅方向のカール度が10
    〜30m-1であり、そして(g)積層フイルムの長手方
    向の巻き癖カール度が40m-1未満であることを特徴と
    する写真フイルム用ベースフイルム。
  2. 【請求項2】 長手方向および長手方向に直交する幅方
    向のヤング率が、共に550kg/mm2以上である請
    求項1に記載の写真フィルム用ベースフィルム。
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