JPH1010681A - 写真フィルム用ベースフィルム - Google Patents

写真フィルム用ベースフィルム

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JPH1010681A
JPH1010681A JP8159692A JP15969296A JPH1010681A JP H1010681 A JPH1010681 A JP H1010681A JP 8159692 A JP8159692 A JP 8159692A JP 15969296 A JP15969296 A JP 15969296A JP H1010681 A JPH1010681 A JP H1010681A
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JP
Japan
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film
base film
curl
photographic
peak
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JP8159692A
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Inventor
Masaya Watanabe
真哉 渡邊
Koji Furuya
幸治 古谷
Kenji Suzuki
賢司 鈴木
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐デラミネーション性を備え、、透明性、色
相安定性、機械的特性及びカール回復性をバランスよく
備えた写真フィルム用ベースフィルムを提供する。 【解決手段】 共重合成分として4,4’−ジフェニル
ジカルボン酸成分を3モル%を越えて10モル%まで含
有する変性ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレートからなり、X線反射法で測定した2θ=21
〜24.5゜に現れるピーク(a)の強度I(a)と2
θ=24.5〜28゜に現れるピーク(b)の強度I
(b)の比が8≦I(b)/I(a)≦20である写真
フィルム用ベースフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真フィルム用ベー
スフィルムに関し、更に詳しくは変性ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなり、耐デ
ラミネーション(層間剥離)性を備えた写真フィルム用
ベースフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムには、一般のカメラに装填
して撮影に用いるネガフイルム等の如きロール状フイル
ムと、X線用フイルム、製版用フイルム、カットフイル
ム等の如きシート状フイルムとがある。
【0003】ロール状フイルムのベースフイルムにはト
リアセチルセルロース(以下『TAC』と略称すること
がある)フイルムが主として用いられ、またシート状フ
イルムのベースフイルムには二軸延伸ポリエチレンテレ
フタレート(以下、『PET』と省略することがある)
フイルムが主として用いられている。
【0004】TACフイルムは、光学的な異方性が少な
く透明度が高いこと、更にプラスチックフイルムとして
は比較的吸水性が高いため、ロールフイルムとして巻か
れた状態で経時されることによって生じる巻き癖が現像
処理での吸水による分子鎖の再配列のため解消するとい
う優れた性質を有している。
【0005】ところが、写真撮影装置が小型化される等
の進歩に伴い、写真フイルムを収納するパトローネも小
型化することが必要になり、これに用いられる写真フイ
ルム用ベースフイルムも従来より肉薄であること、肉薄
でも機械的強度や寸法安定性が十分なものであることが
要求されるようになった。TACフイルムでは肉薄にし
た場合、機械的強度が不足し、パトローネの小型化の要
求を十分に満足することができない。
【0006】PETフイルムは優れた機械的特性、透明
性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性を有するために多く
の用途に用いられているが、このPETフイルムは、写
真フィルムにしてロール状に巻いて長時間保持した際に
長手方向の巻き癖(以下単に『巻き癖』ということがあ
る)が現像処理後に解消する性質(以下『巻き癖回復
性』ということがある)が不足し、現像後のフイルムに
巻き癖が強く残る。このため、現像フイルムを更に写真
印画紙に画像を形成させる工程でスリ傷が発生したり、
焦点ボケがおこる等のトラブルが生じ、ロール状フイル
ムのベースフイルムに用いることが難しい。
【0007】そこで、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレート(以下単に『PEN』と略称する
ことがある)フイルムを写真用のロール状フイルムに用
いることが種々提案されている。
【0008】PENは二軸配向フィルムに成形したとき
ポリマー鎖中のナフタレン環によってフィルム面に面配
向しやすいという特性を有する。そのため、二軸配向フ
ィルムはデラミネーション(層間剥離)を起こし易く、
剥離した部分が白化しやすい。更に、パーフォレーショ
ン穿孔時に層剥離が起こりやすく、金属などとの接触に
よって生ずる傷が成長しやすい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートフィルムはその分子構
造のために元々黄色味の強いフィルムであり、更に、デ
ラミネーションを防止するために共重合成分を含有させ
ると、フィルムの着色、とりわけ黄色味の増大が著し
い。フィルムを写真フィルム用ベースフィルムとして用
いる場合、可視光領域全体にわたり均一な光学濃度を有
することが望ましい。
【0010】本発明の目的は、耐デラミネーション性を
備え、透明性、色相安定性、機械的特性及びカール回復
性をバランスよく備えた写真フィルム用ベースフィルム
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、共重合成分とし
て4,4’−ジフェニルジカルボン酸成分を特定量含有
し、かつ、X線反射法で測定したピークの強度比が特定
の値をとるフィルムとすることによって、上記課題を解
決し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち本発明は、共重合成分として4,
4’−ジフェニルジカルボン酸成分を含有する変性ポリ
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートから
なり、X線反射法で測定した2θ=21〜24.5゜に
現れるピーク(a)の強度I(a)と2θ=24.5〜
28゜に現れるピーク(b)の強度I(b)の比(I
(b)/I(a))が8≦I(b)/I(a)≦20で
あり、フィルムの縦方向の巻癖カール度が40m-1未満
であり、フィルムのヘーズ値が2.0%以下であり、フ
ィルムの光学濃度が、Cで0.040〜0.050、M
で0.045〜0.050、Yで0.050〜0.06
0であることを特徴とする写真フィルム用ベースフィル
ムである。
【0013】[変性ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート]本発明において写真フィルム用ベ
ースフィルムを構成するポリエステルは、4,4’−ジ
フェニルジカルボン酸成分を共重合させた変性ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである。
この変性ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレートは2,6−ナフタレンジカルボン酸を主たる酸
性分とし、かつ酸性分の一部が4,4’−ジフェニルジ
カルボン酸からなるものである。4,4’−ジフェニル
ジカルボン酸の共重合割合は全酸成分に対して3モル%
より多く10モル%以下であり、好ましくは5〜10モ
ル%である。4,4’−ジフェニルジカルボン酸成分が
3モル%以下だとポリマー分子の面配向抑制効果が足り
ず、フィルムの耐デラミネーション性を改善できない。
また、10モル%より多いと耐デラミネ−ション性は改
善できるがベースフィルムの機械的強度が不足し、ある
いはベースフィルムの着色が著しくなる。ベースフィル
ムの着色が著しいと例えば、フィルムに染料を添加して
ライトパイピング防止性を付与する場合に、可視光領域
全体にわたる光学濃度を均一にするために光学濃度を必
要以上に高くせざるを得ず、透明性が損なわれ、好まし
くない。
【0014】この変性ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレートは2,6−ナフタレンジカルボン
酸及び4,4’−ジフェニルジカルボン酸以外に少量の
他のジカルボン酸成分を共重合しても良い。かかる他の
ジカルボン酸成分としては、例えば1,5−ナフタレン
ジカルボン酸 、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フ
タル酸テレフタル酸、イソフタル酸ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸などの芳香
族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキ
サヒドロテレフタル酸1,3−アダマンタンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p
−オキシエトキシ安息香酸などのオキシジカルボン酸を
挙げることができる。この割合は3モル%以下であるこ
とが好ましい。
【0015】この変性ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレートは、エチレングリコールを主たる
グリコール成分とするが、少量の他のグリコール成分を
共重合しても良い。エチレングリコール以外のグリコー
ル成分としては、例えば1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリ
コールなどを挙げることができる。
【0016】また、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートは例えば安息香酸、メトキシポリア
ルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端
の水酸基及び/またはカルボキシル基の一部または全部
を封鎖したものでもよく、あるいは例えば極少量のグリ
セリン、ペンタエリスリトールなどの如き三官能以上の
エステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得ら
れる範囲内で変性されたものでも良い。
【0017】[面配向係数]本発明の写真フィルム用ベ
ースフィルムは面配向係数が0.26以下であることが
好ましい。ここで面配向係数は
【0018】
【数1】(面配向係数)=(nMD−nTD)/2−nZ で表される。ここでnMDは二軸配向フィルムの機械軸方
向(縦方向)の屈折率を表し、nTDは機械軸方向と直行
する方向(幅方向)の屈折率を表し、nZはフィルムの
厚み方向の屈折率を表す。
【0019】また、面配向係数が0.26を越える場合
面配向度が高く、厚さ方向で層間剥離を生じる。
【0020】[密度]本発明の写真フィルム用ベースフ
ィルムは密度が1.350以上1.380以下であるこ
とが好ましい。密度はベースフィルム中の結晶化度を反
映し、この値が大きいほど結晶化度が高いことを示して
いる。密度が1.350より小さい場合力学的強度が不
足し、1.380より大きいと微結晶の成長によりフィ
ルムの透明性が悪くなる。
【0021】[X線強度比]本発明の写真フィルム用ベ
ースフィルムはX線回折の対称反射法で測定したとき、
2θ=21〜24.5゜に現れるピーク(a)の強度I
(a)と2θ=24.5〜28゜に現れるピーク(b)
の強度I(b)の比(I(b)/I(a))が8≦I
(b)/I(a)≦20である。この比は分子の配向の
程度を現わすものであるが、この値が小さいほど分子配
向が弱く、大きいほど分子配向が強い。この比がこの範
囲にあるとき層間剥離が生じ難く、しかも力学的強度が
強いフィルムとなる。
【0022】[巻き癖カール度]また本発明の写真フィ
ルム用ベースフイルムは縦方向の巻き癖カール度が40
-1未満のものである。
【0023】この巻き癖カール度は後述の如くベースフ
イルムを巻芯に巻き付け80℃にて2時間保持した後、
巻芯から解放した際の巻き癖カール度を測定するもので
あるが、保持する温度の80℃は日常生活において写真
フイルムが通常曝されることがあり得る最高温度より選
んだ。かかる温度を選択することにより、従来の巻き癖
の評価よりも過酷な条件で保持された写真フイルム用ベ
ースフィルムとしての巻き癖カール度の評価が可能にな
る。
【0024】[正味のANSIカール値]本発明のフイ
ルムは、49℃(80℃よりも31℃低い温度)におい
ても小さな巻き癖カール度を示すことが好ましい。すな
わち外径3インチのコア上で、49℃、50%RH、2
4時間コアセット(熱処理)した場合、正味のANSI
カール値が測定できるが、この値が10%以下であるこ
とが好ましい。
【0025】[ヘーズ値]本発明の写真フィルム用ベー
スフイルムはーズ値が2.0%以下であり、好ましくは
1.5%以下である。このヘーズ値が2.0%より大き
いとフイルムの透明性が低下する。
【0026】[光学濃度]本発明の写真フィルム用ベー
スフイルムは、X−Rite社製光学濃度計またはこれ
と同等の光学濃度計で測定した光学濃度が、Cが0.0
40〜0.050、Mで0.045〜0.050、Yで
0.050〜0.060である。
【0027】C、M、Yの各光学濃度のいずれかが上記
の上限値よりも大きい場合、本発明のフィルムを写真フ
ィルム用ベースフィルムとして用いたときに、可視光領
域全体における光学濃度の均一性に劣り、色相バランス
の悪いフィルムになるために好ましくない。色相バラン
スの悪いフィルムはライトパイピング現象(縁被り)の
防止を目的とする染色を施した際に、可視光領域全体の
光学濃度を均一にするために、光学濃度の高い波長領域
以外の波長領域に対応する染料の添加量を増加させる必
要があり、その結果、ライトパイピング防止性の付与と
いう目的は達成されるものの、必要以上に光学濃度が高
く、光線透過率が低い、即ち、必要以上に暗いベースフ
ィルムになり、写真フィルム用ベースフィルムとして好
ましくない。
【0028】そもそも、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートからなる二軸配向ポリエステル
フイルムは、従来のTACフィルムやポリエチレンテレ
フタレートフィルムに比べて黄色味の強いフィルムであ
る。写真フィルム用ベースフィルとして用いる場合のラ
イトパイピング防止性付与のための染色は、可視光領域
全域に渡り均一な光学濃度を達成するように着色するこ
とが望ましく、そのためには、赤色染料、緑色染料、青
色染料を適当な比率で配合されたものを用いて染色する
ことが好ましい。
【0029】本発明の写真フイルム用ベースフイルムは
ライトパイピング現象(縁被り)の防止を目的とする着
色を施して着色ベースフィルムとして用いることが望ま
しく、着色後のフィルムは可視光領域全域に渡り均一な
光学濃度を有するものであることが好ましい。
【0030】すなわち、着色後のフィルムの光学濃度
が、Cで0.050以上、Mで0.050以上、Yで
0.050〜0.065であり、しかもC、M及びYの
相互の関係が0.030>C−M>0、0.030>M
−Y>0であることが好ましい。この光学濃度はX−R
ite社製光学濃度計で測定した値であるが、同等の測
定方法であれば、他の測定方法を用いても同様である。
【0031】着色後の光学濃度についてこのような条件
を満たす着色ベースフィルムは本発明のベースフィルム
に染料を含有させて着色を施すことによって得ることが
できる。
【0032】各光学濃度が上記の下限値より小さい場
合、フイルムエッジから入射した光がフイルム内部を透
過し易く、ライトパイピング現象を防止する効果が得ら
れない。また、各光学濃度が上記の上限値よりも大きい
場合、目的とするライトパイピング防止性の付与の効果
は達成されるものの、必要以上に光学濃度が高く、光線
透過率が低い、即ち、必要以上に暗いベースフィルムに
なり、写真フィルム用ベースフィルムとして好ましくな
い。更に、着色後の各光学濃度が上記の相互関係を満足
しない場合、可視光領域全体に渡る光学濃度の均一性に
劣るために、写真フィルム用ベースフィルムとしては好
ましくない。
【0033】[染料]本発明のフィルムはライトパイピ
ング防止性を付与するためにベースフィルムに染料を配
合させることができる。染料としては、耐熱性、相溶性
及び耐昇華性を同時に満足し、かつハロゲン化銀乳剤に
対して不活性であり、感度、ガンマ等の写真性能に悪影
響を及ぼさないものが好ましい。
【0034】かかる染料としては、赤色染料(最大吸収
波長が500〜600nmの領域にあるもの)、緑色染
料(最大吸収波長が600〜700nmの領域にあるも
の)、青色染料(最大吸収波長が600〜680nmの
領域にあるもの)の中から選ばれることが好ましい。更
に好ましくは赤色染料と緑色染料を適当な比率で配合さ
れたもの、赤色染料と青色染料を適当な比率で配合され
たものなどが好ましい。 かかる染料の配合割合は、用
いる染料により異なるが、ポリマーに対し0.005〜
0.1重量%であると透明性、ライトパイピング性が良
好となるので好ましい。
【0035】上記の赤色染料、緑色染料及び青色染料と
しては、例えばアントラキノン系染料、トリフェニルメ
タン系染料、ニトロ染料、スチルベン染料、インジゴイ
ド染料、チアジン染料およびアゾ染料から選択されるの
が好ましい。
【0036】[ヤング率]本発明の写真フィルム用ベー
スフイルムは直交する2方向、例えば縦方向と横方向の
ヤング率がいずれも750kg/mm2以下、特に70
0kg/mm2以下であることが好ましい。ヤング率が
750kg/mm2を越えるとフイルムの裁断時やパー
フォレーション穿孔時にデラミが発生したり切粉が多く
発生し易くなる。剛性の良好なベースフイルムを得るた
め縦方向ヤング率(YMD)と横方向ヤング率(YTD)の
和(YMD+YTD)が1000kg/mm2以上であるこ
とが好ましい。
【0037】[吸熱エネルギー]本発明のフイルムは、
示差熱量計により積層フイルムを熱分析したとき120
〜160℃、特に130〜150℃の範囲内に吸熱ピー
ク(異常比熱)が観察されることが好ましい。この吸熱
ピークは結晶融解熱を示すピークとは異なるピークであ
る。本発明のフィルムにおいてはこの吸熱ピークの大き
さが表している吸熱エネルギーが0.3mJ/mg以
上、更に0.5mJ/mg以上であることが好ましい。
吸熱ピーク温度および吸熱エネルギーが上記の範囲であ
ると、巻き癖カール度の抑制が可能となる。
【0038】[添加剤]本発明における変性ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは添加剤、
例えば安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤等
を含有することができ、特にフイルムに滑り性を付与す
るため不活性微粒子を少割合含有することが好ましい。
【0039】この不活性微粒子としては、例えば球状シ
リカ粒子、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、ゼオラ
イト粒子の如き無機粒子、或いはシリコン樹脂粒子、架
橋ポリスチレン粒子の如き有機粒子を挙げることができ
る。無機粒子は粒径が均一であること等の理由で天然品
よりも、合成品であることが好ましく、あらゆる結晶形
態の無機粒子を使用することができる。上記の不活性微
粒子の平均粒径は0.05〜1.5μmの範囲であるこ
とが好ましい。特に、不活性微粒子が無機粒子の場合に
は、平均粒径が0.1〜0.8μmの範囲であることが
好ましく、0.2〜0.5μmであることが更に好まし
い。不活性微粒子がシリコン樹脂粒子の場合には、平均
粒径が0.1〜1.5μmの範囲であることが好まし
い。また不活性微粒子が架橋ポリスチレン粒子の場合に
は、平均粒径が0.1〜1.5μmの範囲であることが
好ましい。不活性微粒子の平均粒径が0.05μmより
小さいと、フイルムの滑り性、耐削れ性或いは巻き取り
性などの向上効果が小さく、他方平均粒径が1.5μm
より大きいとフイルムの透明性が低下するので好ましく
ない。
【0040】不活性微粒子の含有量は0.001〜0.
08重量%であることが好ましい。不活性微粒子が無機
粒子の場合、0.002〜0.01重量%であることが
特に好ましい。また不活性微粒子がシリコン樹脂粒子の
場合、0.001〜0.02重量%、特に0.001〜
0.01重量%であることが好ましい。不活性微粒子が
架橋ポリスチレン粒子の場合、0.001〜0.01重
量%であることが好ましい。この不活性微粒子の添加量
が0.001重量%未満ではフイルムの滑り性が不十分
となりがちであり、一方0.08重量%を越えるとフイ
ルムヘーズが増加し、透明性が不十分となり、好ましく
ない。
【0041】不活性微粒子の添加時期は、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを製膜する迄
の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加
してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0042】[製造方法]本発明の写真フィルム用ベー
スフィルムは通常の方法、例えばIダイまたはTダイに
より押出された未延伸フイルムを、二軸延伸し、熱固定
し、次いでアニーリング処理することにより有利に製造
することができる。延伸方法は公知の方法で良いが、延
伸温度は通常80〜140℃であり、延伸倍率は縦方向
に好ましくは1.5〜4.2倍、より好ましくは2.5
〜4.0倍であり、横方向に好ましくは2.5〜4.3
倍、より好ましくは2.8〜4.0倍である。延伸して
得られたフイルムは170〜260℃、好ましくは18
0〜250℃で1〜100秒熱固定する。
【0043】延伸は一般に用いられる方法、例えばロー
ルによる方法やステンターを用いた方法で行うことがで
き、縦方向と横方向を同時に延伸してもよく、また縦方
向・横方向に逐次延伸してもよい。ただし、共重合成分
のエチレン−4,4’−ジフェニルジカルボキシレート
の割合が増加すると非晶性が増すため、熱固定温度はエ
チレン−4,4’−ジフェニルジカルボキシレート単位
の増加につれて下げていくことが、フィルムのヤング率
の低下を防ぎ、フィルムの平坦性を維持する上で好まし
い。
【0044】[アニーリング条件]上記のように二軸延
伸、熱固定処理により製膜したフイルムは、通常、縦方
向の巻き癖カール度が40m-1以上であるが、本発明の
写真フィルム用ベースフィルムは、二軸延伸及び熱固定
後のフィルムにTg以下の温度で1時間以上、好ましく
は16〜30時間アニーリング処理を行うことにより得
ることができる。このようなアニーリング処理により、
フィルムの巻き癖カール度を40m-1未満に下げること
ができる。
【0045】さらに、前記のアニーリング処理の前段階
で前記のアニーリング処理温度より高い温度かつ150
℃以下の温度、さらに前記の処理温度より10℃以上高
くかつ130℃以下の温度で、0.1〜120分間熱履
歴を与えたのち、前記のアニーリング処理をする方法が
効率的で好ましい。ロール状態のフィルムにアニーリン
グ処理を行う場合には、前記の処理温度以下の温度で熱
履歴を与えても巻き癖を防止するのに不十分であり、他
方150℃より高い温度で熱履歴を与えると、フィルム
表面へのオリゴマー析出や、フィルム面へのコア転写等
が起きやすい。
【0046】二軸延伸フイルムのアニーリング処理方法
としては、二軸延伸され、熱固定されたフイルムを一旦
巻き取ることなく加熱ロールに接触させながら加熱する
方法、加熱空気で搬送させながら非接触で加熱する方
法、一旦巻き取ったフイルムを巻き出しながら上記と同
じ方法で加熱する方法、またはフイルムをロール状態の
ままで加熱オーブン中で熱処理する方法等が挙げられ
る。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
いなお、実施例、比較例における各物性値は次のように
測定した。
【0048】(1)面配向係数 アッベ屈折計(株式会社アタゴ製)を用い、25℃にて
Na−D線を用いてフィルム機械軸方向(縦方向)、機
械軸と直交する方向(幅方向)、厚み方向の屈折率を求
めた。面配向係数は
【0049】
【数2】(面配向係数)=(nMD−nTD)/2−nZ で表される。ここでnMDは二軸配向フィルムの機械軸方
向(縦方向)の屈折率を表し、nTDは機械軸方向と直行
する方向(幅方向)の屈折率を表し、nZはフィルムの
厚み方向の屈折率を表す。
【0050】(2)密度 ノルマルヘプタンと四塩化炭素からなる密度勾配管を用
いて25℃にて測定した。
【0051】(3)X線強度比 理学電機社製RU200を用い、出力40kv、50m
AでCuKα1をニッケルフィルターでろ過したものを
用い、対称反射法により測定を行った。X線回折の対称
反射法で測定したとき、2θ=21〜24.5゜に現れ
るピーク(a)と2θ=24.5〜28゜に現れるピー
ク(b)のベースラインからの積分強度の比I(b)/
I(a)をX線回折の反射強度の比とした。
【0052】(4)カール度 縦(長手方向)120mm×横(幅方向)24mmの大
きさのサンプルフイルムを、直径7mmの巻芯に巻き付
け、巻き戻らないように仮固定し、80℃にて2時間保
持した後、巻芯から解放し、40℃の蒸留水に15分間
浸漬する。次いでフイルムの長手方向端部に35gの荷
重をかけ、サンプルを垂直に吊し、55℃にて3分間保
持した後、巻き癖が残っている状態の曲率半径(mm)
を測定し、この逆数をもって巻き癖カール度とした。
【0053】(5)正味のANSIカール度 ANSIPH1.29−1971の試験方法Aに準じ、
インチをメートル法に換えて算出したカール値である。
【0054】(6)ヘーズ値 JIS K−6714の手法に従い、市販のヘーズメー
ターで測定したフイルム1枚当たりの全ヘーズ値であ
る。
【0055】(7)光学濃度 X−Rite社製光学濃度計(TR−310)を用い
て、フイルム試料の三原色C(Cyan)、M(Mag
enta)、Y(Yellow)における光学濃度を測
定した。
【0056】(8)ヤング率 フイルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張った。得られた荷重−伸び曲線の立上
部の接線よりヤング率を計算した。
【0057】(9)折り目デラミ白化幅指数 80mm×80mmの大きさにフィルムを切り出し、手
で軽く2つに折ながら、平坦な一対の金属板ではさんだ
後、プレス機により所定の圧力P1(kg/cm2G)
で20秒間プレスした。プレス後、2つ折のフィルムを
手でもとの状態に戻し、前記金属板にはさんで、圧力P
1(kg/cm2G)で20秒間プレスした。その後、
サンプルを取り出し、折り目に現れた白化部分の幅(μ
m)の最大幅と最小幅を測定して平均した。
【0058】それぞれ新しいフィルムサンプルを使用
し、プレス圧P1=2、3、4、5(kg/cm2G)
について測定を繰り返した。
【0059】各プレス圧における白化部分の幅(μm)
の最大値と最小値の平均値の合計の平均値が、フィルム
サンプルの厚みに占める割合をもって、折り目デラミ白
化幅指数とし、この値をフィルムのデラミネーション
(層間剥離)の起こり易さを示す指標として使用した。
この値が小さいほどデラミネーションを起こしにくいフ
ィルムということができる。この値が1.0より大きい
とパーフォレーション穿孔時の層剥離を起こし易い。
【0060】
【数3】(折り目デラミ白化幅指数)=(白化部分の幅
の最大値と最小値の平均値の総計(μm))/(フィル
ムの厚み×3.7×4)
【0061】(10)吸熱ピーク温度 TK (℃) フイルム10mgをセイコー電子工業(株)製熱分析シ
ステムSSC5200、DSC220にセットし、窒素
気流中で20℃/分の昇温速度で加熱し、該フイルムの
吸熱挙動を1次微分、2次微分で解析し、ピークを示す
温度を決定し、これを吸熱ピーク温度とした。
【0062】(11)吸熱エネルギー △HK (mJ/
mg) (10)と同様に、フイルム10mgをセイコー電子工
業(株)製熱分析システムSSC5200、DSC22
0にセットし、窒素気流中で20℃/分の昇温速度で加
熱し、フイルムの吸熱エネルギーに対応するDSCチャ
ート上の吸熱側面積から求めた。この面積は昇温するこ
とによりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を
続けて吸熱ピークを経た後、ベースライン位置まで戻る
までの吸熱側の面積であり、吸熱開始温度位置から終了
温度位置までを直線で結び、面積(A)を求めた。同じ
DSCの測定条件でIn(インジウム)を測定し、この
面積(B)を28.5mJ/mgとして、次の式より求
めた。
【0063】
【数4】(A/B)×28.5=△HK (mJ/mg)
【0064】[実施例1]4,4’−ジフェニルジカル
ボキシレート単位(表中、4,4’−Dと略す)を全酸
成分当り7.0モル%共重合した変性ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.61)を原料として用いる。原料は平均粒径0.3
μmのシリカ粒子を0.005重量%含有する。この原
料を乾燥し、溶融押出機により押し出して未延伸フイル
ムを得た。ついでこの未延伸フイルムを縦方向(フイル
ムの押出し方向)に3.0倍、横方向(フイルムの幅方
向)に3.1倍逐次二軸延伸し、次いで熱処理し、厚み
が75μmの二軸配向フイルムを得た。この二軸配向フ
イルムを熱処理に引き続いて横方向の把持を解除し、縦
方向は緊張状態で冷却ロールに接触させて急冷した後ロ
ールに巻取った。得られた二軸配向フイルムを幅500
mmにスリットし、直径165mmの巻芯にロール状に
巻取って長さ500mのサンプルロールとし、この状態
で110℃まで24〜72時間かけて昇温し、24時間
保持した後、24〜72時間かけて室温まで降温するア
ニール条件でアニール処理して、厚みが75μmの二軸
配向フイルムを得た。得られたフイルムの特性は表1に
示すとおり良好なものであった。
【0065】[比較例1]4,4’−ジフェニルジカル
ボキシレート単位(表中、4,4’−Dと略す)を全酸
成分当り0.1モル%共重合した変性ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)を原料とし、他はすべて実施例1と同様に製
膜してベースフィルムを得た。得られたベースフィルム
の特性を表1に示す。比較例1の二軸配向フイルムは配
向度が高く、本発明の特徴の一つであるデラミを抑制効
果が不十分なものであった。
【0066】[比較例2]4,4’−ジフェニルジカル
ボキシレート単位(表中、4,4’−Dと略す)を全酸
成分当り15.0モル%共重合した変性ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.60)を原料とし、他はすべて実施例1と同様に製
膜してベースフィルムを得た。得られたベースフィルム
の特性を表1に示す。比較例2のベースフィルムはヤン
グ率が低いため、写真フィルム用ベースフィルムに要求
される機械的強度を満足することができないものであっ
た。
【0067】[比較例3]4,4’−ジフェニルジカル
ボキシレート単位(表中、4,4’−Dと略す)を全酸
成分当り2.0モル%共重合した変性ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.61)を原料とし、未延伸フイルムの逐次二軸延伸
時の縦方向(フイルムの押出し方向)延伸倍率を4.8
倍、横方向(フイルムの幅方向)延伸倍率を4.9倍と
し、他はすべて実施例1と同様に製膜してベースフィル
ムを得た。得られたベースフィルムの特性を表1に示
す。比較例3のベースフィルムは配向度が高く強度的に
は十分であるがデラミを起こし易いフィルムとなった。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の目的によれば、耐デラミネーシ
ョン性を備え、透明性、色相安定性、機械的特性及びカ
ール回復性をバランスよく備えた写真フィルム用ベース
フィルムを得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共重合成分として4,4’−ジフェニル
    ジカルボン酸成分を含有する変性ポリエチレン−2,6
    −ナフタレンジカルボキシレートからなり、X線反射法
    で測定した2θ=21〜24.5゜に現れるピーク
    (a)の強度I(a)と2θ=24.5〜28゜に現れ
    るピーク(b)の強度I(b)の比(I(b)/I
    (a))が8≦I(b)/I(a)≦20であり、フィ
    ルムの縦方向の巻癖カール度が40m-1未満であり、フ
    ィルムのヘーズ値が2.0%以下であり、フィルムの光
    学濃度が、Cで0.040〜0.050、Mで0.04
    5〜0.050、Yで0.050〜0.060であるこ
    とを特徴とする写真フィルム用ベースフィルム。
  2. 【請求項2】 4,4’−ジフェニルジカルボン酸成分
    の共重合量が全酸成分に対して3モル%より多く10モ
    ル%以下である請求項1に記載の写真フィルム用ベース
    フィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの縦方向ヤング率(YMD)と横
    方向ヤング率(YTD)の和(YMD+YTD)が1000k
    g/mm2以上である請求項1に記載の写真フィルム用
    ベースフィルム。
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