JPH09211783A - 写真フイルム用ベースフィルム - Google Patents

写真フイルム用ベースフィルム

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JPH09211783A
JPH09211783A JP2102696A JP2102696A JPH09211783A JP H09211783 A JPH09211783 A JP H09211783A JP 2102696 A JP2102696 A JP 2102696A JP 2102696 A JP2102696 A JP 2102696A JP H09211783 A JPH09211783 A JP H09211783A
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JP
Japan
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film
base film
layer
curl
polyethylene
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Application number
JP2102696A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Saeki
靖浩 佐伯
Kenji Suzuki
賢司 鈴木
Masaya Watanabe
真哉 渡辺
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた機械的特性、カール特性、透明性およ
び適度なライトパイピング防止性を有し、かつ感光層を
塗工した後のフイルムの加工特性が優れた写真フイルム
用ベースフイルムを提供する。 【解決手段】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートを実質的な素材とした二軸配向フイルム
からなる第1層と、ネオペンチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレート単位を1〜10モル%共重合した
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
をポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トに20重量%以上、40重量%未満ブレンドしたポリ
エステル混合物を実質的な素材とした二軸配向フイルム
からなる第2層との積層フイルムであることを特徴とす
る写真フイルム用ベースフイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真フイルム用ベー
スフイルムに関し、更に詳しくは優れた機械的特性、透
明性を有し、かつ優れた色相バランスを備え、感光剤層
を塗設した後のフイルムの加工特性に優れた写真フィル
ム用ベースフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムには、一般のカメラに装填
して撮影に用いるネガフイルム等の如きロール状フイル
ムで用いるものと、X線用フイルム、製版用フイルム、
カットフイルム等の如きシート状フイルムで用いるもの
とがある。
【0003】このロール状フイルムのベースフイルムに
はトリアセチルセルロース(以下『TAC』と略称する
ことがある)フイルムが主として用いられ、またシート
状フイルムのベースフイルムには二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフイルムが主として用いられている。
【0004】TACフイルムは、光学的な異方性が少な
く透明度が高いこと、更にプラスチックフイルムとして
は比較的吸水性が高いため、ロールフイルムとして巻か
れた状態で経時されることによって生じる巻き癖が現像
処理での吸水による分子鎖の再配列のため解消する優れ
た性質を有している。
【0005】ところが、写真撮影装置が小型化される等
の進歩に伴い、写真フイルムを収納するパトローネも小
型化することが必要になり、これに用いる写真フイルム
のベースフイルムも従来より肉薄にすること、肉薄とし
ても機械的強度や寸法安定性が十分な性能であることが
要求されるようになった。しかしながら、TACフイル
ムでは厚みを薄くした場合、機械的強度が不足し、かか
る要求を満足することができない。
【0006】一方、ポリエチレンテレフタレートフイル
ムは優れた機械的特性、透明性、寸法安定性、耐熱性、
耐薬品性を有するために多くの用途に用いられている。
しかしながら、このポリエチレンテレフタレートフイル
ムは、写真フィルムにしてロール状に巻いて長時間保持
した際に長手方向の巻き癖(以下単に『巻き癖』という
ことがある)が現像処理後に解消する性質(以下『巻き
癖回復性』ということがある)が不足し、現像後のフイ
ルムに巻き癖が強く残る。このため、現像フイルムを更
に写真印画紙に画像を形成させる工程で使用する際にス
リ傷が発生したり、焦点ボケがおこる等のトラブルが生
じ、ロール状フイルムのベースフイルムに用いることが
難しい。このため、写真フイルム用としては前述の如く
シート状フイルムのベースフイルムとして用いられてい
る。
【0007】更に、ポリエチレンテレフタレートフイル
ムよりも機械的特性、寸法安定性、耐熱性を改良できる
ポリエステルフイルムとして、ポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレートフイルムをロール状フイ
ルムに用いることが種々提案されているが、このポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフイル
ムをベースフイルムとする写真フイルムでは感光剤層を
塗設する際に、感光剤層の乾燥時の収縮がベースフイル
ムの収縮より大きいため塗設後のフイルムが幅方向に
(感光剤層側に凹状の状態で)カールする欠点がある。
【0008】このカールに対する対策として、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを実質的
な素材とした二軸配向フィルムからなる第1層と種々の
二塩基酸および/またはグリコールを共重合したポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを実質
的な素材とした二軸配向フィルムからなる第2層との積
層フィルムにおける第1層と第2層の収縮応力差による
幅方向のカール(以下単に『幅方向のカール』というこ
とがある)を発現させ、感光剤層の乾燥時の収縮に基づ
く幅方向のカール(以下『感光剤層によるカール』とい
うことがある)を打ち消す方法が検討されている。
【0009】写真フィルム用ベースフィルムとしては、
可視光領域全体に渡り均一な光学濃度を有することが望
ましい。しかし、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートフィルムは、その分子構造のために元
々黄色味の強いフィルムである。特に、写真フィルム用
途で必要な幅方向カールを発現させるために共重合成分
を含有させると、更なるフィルムの着色、とりわけ黄色
味の増大が著しい。
【0010】なお、特開平6−23929号公報にはポ
リエステル積層フィルムを支持体とする写真感光材料が
記載され、ポリエステルを構成する酸成分の1つとして
ナフタレンジカルボン酸が例示され、グリコール成分の
1つとしてネオペンチレングリコールが例示されてい
る。しかし、この公報に記載されている技術は、ポリエ
チレンテレフタレートフィルムを主たる対象とするもの
であり、このフィルムに透明性、機械的特性、寸法安定
性を維持しながら、巻き癖カール回復性を付与すること
を課題とするものであり、効果についても課題の範囲で
のみ記載されているにとどまる。即ち、この公報にはフ
ィルムの色相については何等記載されておらず、また、
通常のポリエチレンテレフタレートフィルムは黄色味な
いものであって、本発明の課題であるフィルムの黄色味
の抑制による色相の改良については示唆すらされていな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
フィルムの欠点を解消し、優れた機械的特性、透明性、
カール特性を備え、感光剤層を塗設した後のフイルムの
加工特性を備え、しかも優れた色相バランスを備えた写
真フイルム用ベースフイルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、(a)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートを実質的な素材とした二軸配向フイル
ムからなる第1層と、ネオペンチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレート単位を1〜10モル%共重合し
たポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トをポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートに20重量%以上、40重量%未満ブレンドしたポ
リエステル混合物を実質的な素材とする二軸配向フイル
ムからなる第2層との積層フイルムであり、(b)第1
層の厚みの第2層の厚みに対する比率が1/4〜4/1
であり、(c)第1層の厚みと第2層の厚みの合計が4
0〜120μmであり、(d)積層フイルムのヘーズ値
が2.0%以下であり、(e)X−Rite社製光学濃
度計で測定した積層フィルムの光学濃度が、Cが0.0
40〜0.050、Mが0.045〜0.055、かつ
Yが0.050〜0.060であり、(f)積層フイル
ムの幅方向のカール度が10〜30m-1であり、そして
(g)積層フイルムの長手方向の巻き癖カール度が40
-1未満であることを特徴とする写真フイルム用ベース
フイルムによって達成することができる。以下に、本発
明を詳細に説明する。
【0013】[ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート]本発明のベースフイルムは、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを実質的
な素材とする二軸配向フイルムからなる第1層と、ポリ
エステル混合体物を実質的な素材とする二軸配向フイル
ムからなる第2層との積層フィルムである。
【0014】上記の第1層に用いるポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートはエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位が97モル%以
上、好ましくは98%以上のものである。エチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートが全繰返し単位
の97モル%以上であると巻き癖回復性が良好となり、
98モル%以上であると巻き癖回復性が特に良好になる
ので好ましい。
【0015】上記のエチレングリコールおよび2,6−
ナフタレンジカルボン酸以外の構成成分としては、分子
内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用い
ることができ、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如
きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキシエト
キシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸;プロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール等の如き2価アルコール類等を好ましく用い
ることができる。第1層に用いられるエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートの共重合成分としてネ
オペンチレングリコールが用いられる場合、ネオペンチ
レングリコールの共重合量は第二層に用いられるポリエ
ステル混合物中に共重合成分として含有されるネオペン
チレングリコールの量を越えないことが好ましい。
【0016】また、ポリエチレンー2,6ーナフタレン
ジカルボキシレートは例えば安息香酸、メトキシポリア
ルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端
の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全
部を封鎖したものであってもよく、あるいは例えば極く
少量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官
能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマ
ーが得られる範囲内で変性されたものでもよい。
【0017】[ポリエステル混合物]第2層に用いられ
るポリエステル混合物は、第1層に用いることのできる
ものと同様のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートに対して、ネオペンチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート単位1〜10モル%を共重合
成分とするポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレートを20重量%以上、40重量%未満ブレンド
したポリエステル混合物である。
【0018】ネオペンチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート単位を共重合したポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート中のネオペンチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位が1モル%
に満たないポリエステル混合物またはポリエステルを第
2層に用いると、感光剤層によるカールを打ち消す効果
が不十分なものとなる。10モル%を超えるとベースフ
イルムの機械的強度が不足し、かつ、ベースフイルムの
着色が著しくなる。ベースフィルムの着色が著しいと、
例えばベースフィルムに染料を添加してライトパイピン
グ防止性を付与する場合に、可視光領域全体に渡る光学
濃度を均一にするためには光学濃度を必要以上に高くせ
ざるを得ず、透明性が損なわれ、好ましくない。
【0019】そして、ネオペンチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレート単位を1〜10モル%共重合し
たポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トの、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートに対するブレンド比率が20重量%に満たないポ
リエステル混合物を第2層に用いると、感光剤層による
カールを打ち消す効果が不十分なものとなり、一方、4
0重量%を超えると、幅方向のカールが過剰になり、か
つ、ベースフイルムの機械的強度が不足するため好まし
くない。
【0020】[第1層の厚み/第2層の厚み]本発明の
ベースフイルムは、第1層の厚みの第2層の厚みに対す
る比率が1/4〜4/1の範囲のものであり、特に1/
3〜3/1のものが好ましい。この比率が1/4よりも
小さいと巻き癖回復性、機械的強度が不良となる。また
この比率が4/1よりも大きいと感光剤層によるカール
を打ち消す効果が不足する。
【0021】[フイルム厚み]また、本発明のベースフ
イルムは全体の厚みが第1層の厚みと第2層の厚みの合
計で40〜120μmの範囲にあり、好ましくは50〜
100μmである。この全体厚みが40μm未満では機
械的強度が不足し、一方、120μmを超えるとフイル
ムの薄肉化の意味がなくなる。
【0022】[ヘーズ値]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムはヘーズ値が2.0%以下のものであり、好
ましくは1.5%以下のものである。このヘーズが2.
0%より大きいとフイルムの透明性が低下し好ましくな
い。
【0023】[光学濃度]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムは、X−Rite社製光学濃度計で測定した
光学濃度が、Cが0.040〜0.050、Mが0.0
45〜0.055、かつYが0.050〜0.060で
ある。
【0024】C、M、Yの各光学濃度のいずれかが上記
の上限値よりも大きい場合、可視光領域全体に渡る光学
濃度の均一性に劣るために色相バランスが悪くなり写真
フィルム用ベースフィルムとしては好ましくない。色相
バランスの悪いフィルムはライトパイピング現象(縁被
り)の防止を目的とする染色を施した際に、可視光領域
全体の光学濃度を均一にするために、光学濃度の高い波
長領域以外の波長領域に対応する染料の添加量を増加さ
せる必要があり、その結果、ライトパイピング防止性の
付与の目的は達成されるものの、必要以上に光学濃度が
高く、光線透過率が低い、即ち、必要以上に暗いベース
フィルムになり、写真フィルム用ベースフィルムとして
好ましくない。
【0025】また、本発明の写真フイルム用ベースフイ
ルムは、ライトパイピング現象(縁被り)の防止を目的
とする染料による着色を施した着色ベースフイルムであ
ることが好ましく、可視光領域全域に渡り均一な光学濃
度を有するものであることが好ましい。すなわち、X−
Rite社製光学濃度計で測定した着色ベースフィルム
の光学濃度が、Cが0.050以上、Mが0.050以
上、かつYが0.050〜0.065であり、しかも
C、M及びYの相互の関係が0.030>C−M>0か
つ0.030>M−Y>0であることが好ましい。着色
後の光学濃度についてこのような条件をみたす着色ベー
スフィルムは、本発明のベースフィルムに染料を含有さ
せて着色を施すことによって得ることができる。
【0026】着色後の各光学濃度が上記の下限値より小
さい場合、フイルムエッジから入射した光がフイルム内
部を透過し易く、ライトパイピング現象を防止する効果
が得られない。また、着色後の各光学濃度が上記の上限
値よりも大きい場合、本来のライトパイピング防止性の
付与という目的は達成されるものの、必要以上に光学濃
度が高く、光線透過率が低い、即ち、必要以上に暗いベ
ースフィルムになり、写真フィルム用ベースフィルムと
して好ましくない。更に、着色後の各光学濃度が上記の
相互関係を満足しない場合、可視光領域全体に渡る光学
濃度の均一性に劣るために、写真フィルム用ベースフィ
ルムとしては好ましくない。
【0027】[染料]ライトパイピング防止性を付与す
るためにベースフイルムの第1層および/または第2層
には染料を配合することができる。染料としては、耐熱
性、相溶性及び耐昇華性を同時に満足し、かつハロゲン
化銀乳剤に対して不活性であり、感度、ガンマ等の写真
性能に悪影響を及ぼさないものが好ましい。
【0028】かかる染料としては、赤色染料(最大吸収
波長が500〜600nmの領域にあるもの)、緑色染
料(最大吸収波長が600〜700nmの領域にあるも
の)、青色染料(最大吸収波長が600〜680nmの
領域にあるもの)の中から選ばれることが好ましい。更
に好ましくは赤色染料と緑色染料を適当な比率で配合さ
れたもの、赤色染料と青色染料を適当な比率で配合され
たものなどが好ましい。
【0029】かかる染料の配合割合は、用いる染料によ
り異なるが、ポリマーに対し0.005〜0.1重量%
であると透明性、ライトパイピング性が良好となるので
好ましい。
【0030】上記の赤色染料、緑色染料及び青色染料
は、例えばアントラキノン系染料、トリフェニルメタン
系染料、ニトロ染料、スチルベン染料、インジゴイド染
料、チアジン染料およびアゾ染料から選択されるのが好
ましい。
【0031】そもそも、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートを実質的な素材とした二軸配向
ポリエステルフイルムからなる第1層と、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート共重合物と
の混合体を実質的な素材とするポリエステル混合物を実
質的な素材とする二軸配向ポリエステルフイルムからな
る第2層との積層フイルムを用いる本発明のベースフイ
ルムは、従来のTACフィルムやポリエチレンテレフタ
レートフィルムに比べて黄色味の強いフィルムである。
ライトパイピング防止性付与のための染色においては、
可視光領域全域に渡り均一な光学濃度を達成するように
着色することが望ましく、そのためには、赤色染料、緑
色染料、青色染料を適当な比率で配合されたものを用い
て着色することが好ましい。
【0032】[幅方向のカール度]本発明の写真フィル
ム用ベースフイルムは、第2層を内側とする幅方向のカ
ール度が10〜30m-1の範囲のものである。すなわ
ち、本発明のベースフイルムは第2層を内側として(第
2層側が凹状にカール)幅方向に曲がる性質を示し、そ
の度合は幅方向のカール度の値で10〜30m-1の範囲
のものである。このカール度特性を有する本発明のベー
スフイルムには、第1層側に感光剤層を塗布するが、該
感光剤層の乾燥収縮により幅方向のカール(感光剤層に
よるカール)が第2層を内側とした幅方向のカールによ
り打ち消されてカールの少ない写真フイルムを得ること
ができる。
【0033】[巻き癖カール度]また本発明の写真フイ
ルム用ベースフイルムは巻き癖カール度が40m-1未満
のものである。この巻き癖カール度は後述の如くベース
フイルムを巻芯に巻き付け80℃にて2時間保持した
後、巻芯から解放した際の巻き癖カール度を測定するも
のであるが、保持する温度の80℃は日常生活において
写真フイルムが通常曝されることがあり得る最高温度よ
り選んだ。この温度を選択することにより、従来の巻き
癖の評価よりも過酷な条件で保持された写真フイルムの
巻き癖カール度の評価が可能になる。
【0034】本発明のベースフイルムは写真フイルム用
ベースフイルムとして更に下記の特性を備えていること
が好ましい。
【0035】[正味のANSIカール値]本発明のベー
スフイルムは、49℃(80℃よりも31℃低い温度)
においても小さな巻き癖カール度を示すことが好まし
い。すなわち外径3インチのコア上で、49℃、50%
RH、24時間コアセット(熱処理)した場合、正味の
ANSIカール値が測定できるが、この値が10%以下
であることが好ましい。
【0036】[吸熱エネルギー]本発明のベースフイル
ムは、示差熱量計により積層フイルムを熱分析したとき
120〜160℃、特に130〜150℃の範囲内に吸
熱ピークが観察されることが好ましい。またその吸熱ピ
ークの大きさが表している吸熱エネルギーが0.3mJ
/mg以上、更に0.5mJ/mg以上であることが好
ましい。吸熱ピーク温度および吸熱エネルギーが上記の
範囲であると、巻き癖カール度の抑制が可能となる。
【0037】[ヤング率]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムは直交する2方向、例えば長手方向と幅方向
のヤング率が750kg/mm2以下、特に700kg
/mm2以下であることが好ましい。ヤング率が750
kg/mm2を越えるとフイルムの裁断時やパーフォレ
ーション穿孔時にデラミが発生したり切粉が多く発生し
易くなる。ヤング率の下限は剛性の良好なベースフイル
ムを得るため550kg/mm2であることが好まし
い。両方向のヤング率の差は特に限定されないが、15
0kg/mm2以下であることが好ましい。
【0038】[添加剤]本発明のポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート及び/又は共重合ポリ
エステルは添加剤、例えば安定剤、滑剤、紫外線吸収
剤、着色剤、難燃剤等を含有することができ、特にフイ
ルムに滑り性を付与するため不活性微粒子を少割合含有
することが好ましい。
【0039】この不活性微粒子としては、例えば球状シ
リカ粒子、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、ゼオラ
イト粒子の如き無機粒子、或いはシリコン樹脂粒子、架
橋ポリスチレン粒子の如き有機粒子を挙げることができ
る。無機粒子は粒径が均一であること等の理由で天然品
よりも、合成品であることが好ましく、あらゆる結晶形
態の無機粒子を使用することができる。
【0040】上記不活性微粒子の平均粒径は0.05〜
1.5μmの範囲であることが好ましい。特に、不活性
微粒子が無機粒子の場合には、平均粒径が0.1〜0.
8μmの範囲であることが好ましく、0.2〜0.5μ
mであることが更に好ましい。不活性微粒子がシリコン
樹脂粒子の場合には、平均粒径が0.1〜1.5μmの
範囲であることが好ましい。また不活性微粒子が架橋ポ
リスチレン粒子の場合には、平均粒径が0.1〜1.5
μmの範囲であることが好ましい。
【0041】不活性微粒子の平均粒径が0.05μmよ
り小さいと、フイルムの滑り性、耐削れ性或いは巻き取
り性などの向上効果が小さく、他方平均粒径が1.5μ
mより大きいとフイルムの透明性が低下するので好まし
くない。
【0042】不活性微粒子の含有量は0.001〜0.
2重量%であることが好ましい。不活性微粒子が無機粒
子の場合、0.001〜0.1重量%であることが更に
好ましく、0.002〜0.05重量%であることが特
に好ましい。また不活性微粒子がシリコン樹脂粒子の場
合、0.001〜0.1重量%であることが好ましく、
更に0.001〜0.02重量%、特に0.001〜
0.01重量%であることが好ましい。不活性微粒子が
架橋ポリスチレン粒子の場合、0.001〜0.05重
量%であることが好ましい。この不活性微粒子の添加量
が0.001重量%未満ではフイルムの滑り性が不十分
となりがちであり、一方0.2重量%を越えるとフイル
ムヘーズが増加し、透明性が不十分となり、好ましくな
い。
【0043】不活性微粒子の添加時期は、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを製膜する迄
の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加
してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0044】[製造方法] [積層フイルムの製造条件]本発明の写真フィルム用積
層ベースフイルムは、通常の方法例えば共押出しにより
得た未延伸積層フイルムを、二軸延伸し、熱固定し、次
いでアニーリング処理することにより有利に製造するこ
とができる。延伸方法は公知の方法で良く、延伸温度は
通常80〜140℃であり、延伸倍率は縦方向に好まし
くは2.0〜4.2倍、より好ましくは2.5〜4.0
倍であり、横方向に好ましくは2.5〜4.3倍、より
好ましくは2.8〜4.0倍である。得られた二軸延伸
フイルムは170〜260℃、好ましくは180〜25
0℃で1〜100秒熱固定する。延伸は一般に用いられ
る例えばロールによる方法やステンターを用いた方法で
行うことができ、縦方向と横方向を同時に延伸してもよ
く、また縦方向・横方向に逐次延伸してもよい。
【0045】かかる二軸延伸処理、熱固定処理を行う
と、第1層と第2層の延伸特性の差によって両層に面配
向差が生じ、これにより収縮率差が生じて目的とする幅
方向のカールを有するベースフイルムが得られる。
【0046】[アニーリング条件]また、通常の二軸延
伸、熱固定処理条件で製膜した二軸延伸フイルムは長手
方向の巻き癖カール度が40m-1以上であるが、アニー
リング処理することにより、この巻き癖カール度を40
-1以下まで低下させることが可能である。アニーリン
グ条件としては、フイルムがロール状態で熱履歴を受け
る温度より高くかつ150℃以下、さらには該熱履歴を
受ける温度より10℃高くかつ130℃以下の温度でア
ニーリング処理する方法がより効果的で好ましい。フイ
ルムがロール状態で熱履歴を受ける温度以下の温度でア
ニーリング処理しても巻き癖を防止するのが不十分であ
り、他方150℃より高い温度でアニーリング処理する
と、フイルム表面へのオリゴマーの析出や、フイルム面
へのコア転写等が起きやすく、フイルムの使用に不都合
が生じる。
【0047】二軸延伸フイルムのアニーリング処理方法
としては、二軸延伸され、熱固定されたフイルムを一旦
巻き取ることなく加熱ロールに接触させながら加熱する
方法、加熱空気で搬送させながら非接触で加熱する方
法、一旦巻き取ったフイルムを巻き出しながら上記と同
じ方法で加熱する方法、またはフイルムをロール状態の
ままで加熱オーブン中で熱処理する方法等が挙げられ
る。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0049】なお、実施例、比較例における各物性値は
次のように測定した。
【0050】(1)幅方向のカール度 フイルムより縦(長手方向)1.5mm×横(幅方向)
50mmの試験片を切り取り、この試験片の有する曲率
半径(mm)を測定し、この逆数をもって幅方向のカー
ル度とした。
【0051】(2)巻き癖カール度 縦(長手方向)120mm×横(幅方向)24mmの大
きさのサンプルフイルムを、第1層を内側にして直径7
mmの巻芯に巻き付け、巻き戻らないように仮固定し、
80℃にて2時間保持した後、巻芯から解放し、40℃
の蒸留水に15分間浸漬する。次いでフイルムの長手方
向端部に35gの荷重をかけ、サンプルを垂直に吊し、
55℃にて3分間保持した後、巻き癖が残っている状態
の曲率半径(mm)を測定し、この逆数をもって巻き癖
カール度とした。
【0052】(3)正味のANSIカール度 ANSIPH1.29−1971の試験方法Aに準じ、
インチをメートル法に換えて算出したカール値。
【0053】(4)光学濃度 X−Rite社製光学濃度計(TR−310)を用い
て、フイルム試料の三原色C(Cyan)、M(Mag
enta)、Y(Yellow)における光学濃度を測
定した。
【0054】(5)ヘーズ JIS K−6714の手法に従い、市販のヘーズメー
ターで測定したフイルム1枚当たりの全ヘーズ値。
【0055】(6)吸熱ピーク温度 TK (℃) フイルム10mgをセイコー電子工業(株)製熱分析シ
ステムSSC5200,DSC220にセットし、N2
気流中で20℃/分の昇温速度で加熱し、該フイルムの
吸熱挙動を1次微分、2次微分で解析し、ピークを示す
温度を決定し、これを吸熱ピーク温度とする。
【0056】(7)吸熱エネルギー △HK (mJ/m
g) (6)と同様に、フイルム10mgをセイコー電子工業
(株)製熱分析システムSSC5200,DSC220
にセットし、N2 気流中で20℃/分の昇温速度で加熱
し、フイルムの吸熱エネルギーに対応するDSCチャー
ト上の吸熱側面積から求める。この面積は昇温すること
によりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を続
けて吸熱ピークを経た後、ベースライン位置まで戻るま
での吸熱側の面積であり、吸熱開始温度位置から終了温
度位置までを直線で結び、面積(A)を求める。同じD
SCの測定条件でIn(インジウム)を測定し、この面
積(B)を28.5mJ/mgとして、次の式より求め
る。
【0057】
【数1】(A/B)×28.5=△HK (mJ/mg)
【0058】(8)ヤング率 フイルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張る。得られた荷重−伸び曲線の立上部
の接線よりヤング率を計算する。
【0059】[実施例1]ポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート(固有粘度=0.62)ペレ
ットを第1層用の原料(A)とする。一方、共重合ポリ
エステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート単位98.2モル%、ネオペンチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレート単位1.8モル%、固有
粘度=0.62)ペレット30重量%とポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット70重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を第2層用の原料(B)とする。原料(A)お
よび原料(B)は平均粒径0.3μmのシリカ粒子を
0.005重量%含有する。この原料(A)、原料
(B)をそれぞれ別個に乾燥し、別個の溶融押出機によ
り共押出法により積層し、第1層と第2層の厚み構成比
率が1:2である未延伸フイルムを得た。ついでこの未
延伸フイルムを縦方向(フイルムの押出し方向)に3.
0倍、横方向(フイルムの幅方向)に3.1倍逐次二軸
延伸し、次いで熱処理し、厚みが75μmの二軸配向フ
イルムを得た。この二軸配向フイルムを熱処理に引き続
いて横方向の把持を解除し、縦方向は緊張状態で冷却ロ
ールに接触させて急冷した後ロールに巻取った。
【0060】得られた二軸配向フイルムを幅500mm
にスリットし、直径165mmの巻芯にロール状に巻取
って長さ500mのサンプルロールとし、この状態で1
10℃まで24〜72時間かけて昇温し、24時間保持
した後、24〜72時間かけて室温まで降温するアニー
ル条件でアニール処理して、厚みが75μmのベースフ
イルムを得た。得られたベースフイルムの特性は表1に
示すとおり良好なものであった。
【0061】また、上記の原料(A)および原料(B)
に赤と緑の染料を0.015重量%含有させた原料を用
いて、上記のベースフィルムと同様の方法で着色ベース
フィルムを得た。得られた着色ベースフイルムの特性は
表1に示すとおり良好なものであった。
【0062】[実施例2]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位93.0モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位7.0モル%、固
有粘度=0.62)ペレット30重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット70重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフイルム及び着色ベースフィルムを得た。得ら
れたベースフイルム及び着色ベースフィルムの特性は表
1に示すとおり良好なものであった。
【0063】[比較例1]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位99.3モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位0.7モル%、固
有粘度=0.62)ペレット30重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット70重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフイルム及び着色ベースフィルムを得た。得ら
れたベースフイルム及び着色ベースフィルムの特性を表
1に示す。比較例1のベースフィルム及び着色ベースフ
イルムは本発明の特徴の一つである幅方向のカールの発
現が不十分なため、感光剤層によるカールを打ち消す効
果が無いものであった。
【0064】[比較例2]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位88.4モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位11.6モル%、
固有粘度=0.62)ペレット30重量%とポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度
=0.62)ペレット70重量%とを混合したポリエス
テル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜
してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得
られたベースフイルム及び着色ベースフィルムの特性を
表1に示す。比較例2のベースフイルム及び着色ベース
フィルムはヤング率が低いため、写真フィルム用ベース
フィルムに要求される機械的強度を満足することができ
ないものであった。
【0065】
【表1】
【0066】表1中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ下記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびネオペンチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を示
す。
【0067】
【化1】
【0068】
【化2】
【0069】また、表1中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0070】[実施例3]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.2モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位5.8モル%、固
有粘度=0.62)ペレット20重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット80重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフイルム及び着色ベースフィルムを得た。得ら
れたベースフイルム及び着色ベースフィルムの特性は表
2に示すとおり良好なものであった。
【0071】[実施例4]実施例3において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.2モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位5.8モル%、固
有粘度=0.62)ペレット35重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット65重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフイルム及び着色ベースフィルムを得た。得ら
れたベースフイルム及び着色ベースフィルムの特性は表
2に示すとおり良好なものであった。
【0072】[比較例3]実施例3において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.2モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位5.8モル%、固
有粘度=0.62)ペレット10重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット90重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得ら
れたベースフイルム及び着色ベースの物性評価結果を表
2に示す。比較例3のベースフィルム及び着色ベースフ
イルムは幅方向のカールの発現が不十分なため、感光剤
層によるカールを打ち消す効果が無いものであった。
【0073】[比較例4]実施例3において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.2モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位5.8モル%、固
有粘度=0.62)ペレット60重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット40重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフイルム及び着色ベースフィルムを得た。得ら
れたベースフイルム及び着色ベースフィルムの特性を表
2に示す。比較例4のベースフィルム及び着色ベースフ
イルムは幅方向のカール度が大きすぎるため、感光剤層
によるカールを打ち消す目的には過剰なものであった。
また、ヤング率が低いため、写真フィルム用ベースフィ
ルムに要求される機械的強度を満足することができない
ものであった。
【0074】
【表2】
【0075】表2中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート単位およびネオペンチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を示す。
【0076】また、表2中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0077】[実施例5]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位94.2モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位5.8モル%、固
有粘度=0.62)ペレット30重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット70重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とし、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート(固有粘度=0.62)ペ
レットである原料(A)からなる第1層と原料(B)か
らなる第2層用の厚み構成比率を1:2とする以外はす
べて同様に製膜してベースフイルム及び着色ベースフィ
ルムを得た。得られたベースフイルム及び着色ベースフ
ィルムの特性は表3に示すとおり良好なものであった。
【0078】[実施例6]実施例5において、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレットである原料(A)からなる第1
層とポリエステル混合物である原料(B)からなる第2
層用の厚み構成比率を2:1とする以外はすべて同様に
製膜してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得
た。得られたベースフィルム及び着色ベースフイルムの
特性は表2に示すとおり良好なものであった。
【0079】[比較例5]実施例5において、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレットである原料(A)からなる第1
層とポリエステル混合物である原料(B)からなる第2
層用の厚み構成比率を1:5とする以外はすべて同様に
製膜してベースフイルム及び着色ベースフィルムを得
た。得られたベースフイルム及び着色ベースフィルムの
物性評価結果を表3に示す。
【0080】比較例5のベースフイルム及び着色ベース
フィルムはヤング率が低いため、写真フィルム用ベース
フィルムに要求される機械的強度を満足することができ
ないものであった。また、長手方向の巻き癖カール度が
大きく、写真フィルム用ベースフィルムとしてのハンド
リング性が不良のものとなった。更に、ベースフィルム
の光学濃度Yの値が大きすぎるため色相バランスが悪
く、また、ライトパイピング現象の防止を目的とする染
料による着色後の各光学濃度の相互関係を本発明の規定
範囲に納めようとすると、染料の添加量を増やさざるを
得ず、結果的に写真フィルム用ベースフィルムとしての
透明性が不良のものとなった。
【0081】[比較例6]実施例5において、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘
度=0.62)ペレットである原料(A)からなる第1
層とポリエステル混合物である原料(B)からなる第2
層用の厚み構成比率を5:1とする以外はすべて同様に
製膜してベースフイルム及び着色ベースフィルムを得
た。得られベースフィルム及び着色ベースフィルムの物
性評価結果を表3に示す。比較例6のベースフィルム及
び着色ベースフイルムは幅方のカールの発現が不十分な
ため、感光剤層によるカールを打ち消す効果が無いもの
であった。
【0082】
【表3】
【0083】表3中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート単位およびネオペンチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を示す。
【0084】また、表3中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0085】[実施例7]実施例1において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位98.6モル%、ネオペンチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位1.4モル%、固
有粘度=0.62)ペレット30重量%とポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度=
0.62)ペレット70重量%とを混合したポリエステ
ル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜し
てベースフィルム及び着色ベースフイルムを得た。得ら
れたベースフィルム及び着色ベースフイルムの特性は表
4に示すとおり良好なものであった。
【0086】[比較例7]実施例7において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位88.0モル%、下記化学式(III)に示
すアルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
単位12.0モル%、固有粘度=0.62)ペレット1
5重量%とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレート(固有粘度=0.62)ペレット85重量%
とを混合したポリエステル混合物を原料(B)とする以
外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着色ベー
スフイルムを得た。
【0087】
【化3】
【0088】得られたベースフイルム及び着色ベースフ
ィルムの物性評価結果を表4に示す。比較例7のベース
フィルム及び着色ベースフイルムは幅方向のカール度は
適度であるが、未着色時のベースフィルムの光学濃度Y
の値が大きすぎるため色相バランスが悪く、ライトパイ
ピング現象の防止を目的とする染料による着色後の各光
学濃度の相互関係を本発明の規定範囲に納めようとする
と、染料の添加量を増やさざるを得ず、結果的に写真フ
ィルム用ベースフィルムとしての透明性が不良のものと
なった。
【0089】[比較例8]実施例7において、共重合ポ
リエステル(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート単位96.0モル%、下記化学式(IV)に示す
アルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単
位4.0モル%、固有粘度=0.62)ペレット75重
量%とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レート(固有粘度=0.62)ペレット25重量%とを
混合したポリエステル混合物を原料(B)とするとする
以外はすべて同様に製膜してベースフィルム及び着色ベ
ースフイルムを得た。
【0090】
【化4】
【0091】得られたベースフイルム及び着色ベースフ
ィルムの物性評価結果を表4に示す。比較例8のベース
フイルム及び着色ベースフィルムは幅方向のカール度は
適度であるが、長手方向の巻き癖カール度が大きく、写
真フィルム用ベースフィルムとしてのハンドリング性が
不良のものとなった。
【0092】[比較例9]実施例7において、共重合ポ
リエステルの代わりに下記化学式(V)に示すポリエチ
レン−テレフタレートのペレット7重量%とポリエチレ
ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(固有粘度
=0.62)ペレット93重量%とを混合したポリエス
テル混合物を原料(B)とする以外はすべて同様に製膜
してベースフィルム及び着色ベースフイルムを得た。
【0093】
【化5】
【0094】得られたベースフイルム及び着色ベースフ
ィルムの物性評価結果を表4に示す。比較例8のベース
フイルム及び着色ベースフィルムは幅方向のカール度は
適度であるが、長手方向の巻き癖カール度が大きく、写
真フィルム用ベースフィルムとしてのハンドリング性が
不良のものとなった。
【0095】
【表4】
【0096】表4中の第2層構成単位の欄で、式Iの単
位および式IIの単位はそれぞれ前記のエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート単位およびネオペンチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位を示
し、式IIIの単位、式IVの単位および式Vの単位はそれ
ぞれ上記の化学式(III)、(IV)および(V)の各種
アルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単
位を示す。
【0097】また、表4中の総合評価の欄で、○印は良
好であること、×印は不良であることを表す。
【0098】
【発明の効果】本発明によれば、優れた機械的特性、カ
ール特性、透明性を有し、かつ感光層を塗工した後のフ
イルムの加工特性が優れた写真フイルム用ベースフイル
ムを提供することがことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエチレン−2,6−ナフタレ
    ンジカルボキシレートを実質的な素材とする二軸配向フ
    イルムからなる第1層と、ネオペンチレン−2,6−ナ
    フタレンジカルボキシレート単位を1〜10モル%共重
    合したポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
    レートをポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
    シレートに20重量%以上、40重量%未満ブレンドし
    たポリエステル混合物を実質的な素材とする二軸配向フ
    イルムからなる第2層との積層フイルムであり、(b)
    第1層の厚みの第2層の厚みに対する比率が1/4〜4
    /1であり、(c)第1層の厚みと第2層の厚みの合計
    が40〜120μmであり、(d)積層フイルムのヘー
    ズ値が2.0%以下であり、(e)X−Rite社製光
    学濃度計で測定した積層フィルムの光学濃度が、Cが
    0.040〜0.050、Mが0.045〜0.05
    5、かつYが0.050〜0.060であり、(f)積
    層フイルムの幅方向のカール度が10〜30m-1であ
    り、そして、(g)積層フイルムの長手方向の巻き癖カ
    ール度が40m-1未満であることを特徴とする写真フイ
    ルム用ベースフィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムの長手方向および幅方向のヤン
    グ率が、共に550kg/mm2 以上である請求項1に
    記載の写真フィルム用ベースフィルム。
JP2102696A 1996-02-07 1996-02-07 写真フイルム用ベースフィルム Pending JPH09211783A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000029212A1 (en) * 1998-11-16 2000-05-25 Engelhard Corporation Multi-layer iridescent films

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000029212A1 (en) * 1998-11-16 2000-05-25 Engelhard Corporation Multi-layer iridescent films

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