JPH086206A - 写真フイルム用ベースフイルム - Google Patents

写真フイルム用ベースフイルム

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JPH086206A
JPH086206A JP13410394A JP13410394A JPH086206A JP H086206 A JPH086206 A JP H086206A JP 13410394 A JP13410394 A JP 13410394A JP 13410394 A JP13410394 A JP 13410394A JP H086206 A JPH086206 A JP H086206A
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JP
Japan
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film
base film
light transmittance
photographic
photographic film
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JP13410394A
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English (en)
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Koji Furuya
幸治 古谷
Takeshi Nagai
剛 長井
Kenji Suzuki
賢司 鈴木
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた機械的特性、透明性、ライトパイピング
防止性を有し、かつ黄色味の少ない写真フイルム用ベー
スフイルムを提供する。 【構成】(a)厚み方向の屈折率(nz )が1.495
〜1. 510であり、(b)ヘーズ値が2.0%以下で
あり、(c)0.05Hzにおける引張粘弾性による8
0℃のtanδ値が0.09以下である一方向を有し、
(d)下記式のアントラキノン骨格を有する染料を含有
し、 (e)厚みが40〜120μmの範囲にあり、そして
(f)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートを実質的な素材としてなる、ことを特徴とする写
真フイルム用ベースフイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真フイルム用ベース
フイルムに関し、更に詳しくは優れた機械的特性、透明
性、ライトパイピング防止性を有し、かつ黄色味の少な
いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トを実質的な素材としてなる写真フイルム用ベースフイ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】写真フイルムには、一般のカメラに装填
して撮影に用いるネガフイルム等の如きロール状フイル
ムで用いるものと、X線用フイルム、製版用フイルム、
カットフイルム等の如きシート状フイルムで用いるもの
とが在る。
【0003】このロール状フイルムのベースフイルムに
はトリアセチルセルロース(以下『TAC』と略称する
ことがある)フイルムが主として用いられ、またシート
状フイルムのベースフイルムには二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフイルムが主として用いられている。
【0004】TACフイルムは、光学的に異方性が無く
透明度が高いこと、更にプラスチックフイルムとしては
比較的吸水性が高いため、ロールフイルムとして巻かれ
た状態で経時されることによって生じる巻きぐせカール
が現像処理での吸水による分子鎖の再配列のため解消
(カール解消性)するという優れた性質を有している。
【0005】ところが、写真撮影装置が小型化される等
の進歩に伴い、写真フイルムを収納するパトローネも小
型化することが必要になり、これに用いる写真フイルム
用ベースフイルムを従来より肉薄とすること、肉薄とし
ても機械的強度や寸度安定性が十分な性能であることが
要求されるようになった。しかしながら、TACフイル
ムでは厚みを薄くした場合、機械的強度が不足しかかる
要求を満足することができない。
【0006】一方、ポリエチレンテレフタレートフイル
ムは優れた機械的特性、透明性、寸法安定性、耐熱性、
耐薬品性を有するために、磁気テープ用、写真フイルム
用、電気絶縁フイルム用、包装フイルム用、製図フイル
ム用等多くの用途に用いられており、写真フイルム用と
しては前述の如くシート状フイルムのベースフイルムと
して用いられている。しかしながら、このポリエチレン
テレフタレートフイルムは、ロール状に巻いて使用した
際にフイルム巻ぐせカールを付き難くする能力(以下
『抗カーリング性』ということがある)が不足するた
め、ロール状フイルムのベースフイルムに用いることが
難しい。
【0007】更に、ポリエチレンテレフタレートフイル
ムをベースフイルムとして使用した写真フイルムでは、
ポリエステルの屈折率が高いためフイルムエッジ部に入
射した光がベースフイルムと感光剤層の界面で反射しや
すく、またフイルムと大気の界面でも反射しやすいため
光がエッジ部から離れた部分の感光剤層まで到達し、い
わゆるライトパイピング現象(かぶり)を起こしやすい
欠点を有する。
【0008】また、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートやポリエチレンテレフタレートに代
表される分子内に芳香族環を有するポリエステルは、黄
色の補色領域を含む紫外領域の波長の光線を吸収しやす
いためベースフイルムが黄色味をおびる欠点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した欠点を解消し、優れた機械的特性、透明性、ライト
パイピング防止性を有し、かつ黄色味の少ない写真用ベ
ースフイルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、(a)厚み方向の屈折率(nz )が1.49
5〜1. 510であり、(b)ヘーズ値が2.0%以下
であり、(c)0.05Hzにおける引張粘弾性による
80℃のtanδ値が0.09以下である一方向を有
し、(d)下記式のアントラキノン骨格を有する染料を
含有し、
【0011】
【化2】
【0012】(e)厚みが40〜120μmの範囲にあ
り、そして(f)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートを実質的な素材としてなる、ことを特
徴とする写真フイルム用ベースフイルムにより達成され
る。
【0013】[ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート]本発明の写真フイルム用ベースフイル
ムは、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートを実質的な素材としてなるものであるが、このポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートに
はエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを
全繰返し単位とするホモポリマー或いは全繰り返し単位
の少なくとも97モル%がエチレンー2,6ーナフタレ
ンジカルボキシレートであるコポリマーが好ましく用い
られる。エチレンー2,6ーナフタレンジカルボキシレ
ートが全繰り返し単位の97モル%以上であると抗カー
リング性が良好となるため好ましく、特に98モル%以
上であることが好ましい。
【0014】コポリマーを構成する共重合成分として
は、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合
物を用いることができ、例えばシュウ酸、アジピン酸、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2, 7−ナフ
タレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸
等の如きジカルボン酸;p−オキシ安息香酸、p−オキ
シエトキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸;プロピ
レングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチ
レングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチ
レングリコール等の如き2価アルコール類等を好ましく
用いることができる。
【0015】また、ポリエチレンー2,6ーナフタレン
ジカルボキシレートは例えば安息香酸、メトキシポリア
ルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端
の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全
部を封鎖したものであってもよく、或いは例えば極く少
量のグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能
以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマー
が得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
【0016】[厚み方向の屈折率]本発明の写真フイル
ム用ベースフイルムは特定の屈折率、ヘーズ値、tan
δ値および厚み範囲のものであるが、このうち屈折率
は、厚み方向の屈折率(nz)が1.495〜1. 51
0のものである。この屈折率(nz )が1.495未満
であると、フイルムがデラミを起こし易く(折り目デラ
ミ測定による白化率が高い値を示す)、また引掻による
傷がギザギザ(凹凸)を有する傷となり易く、デラミ部
分やこの傷跡が白く目立つようになり易い。
【0017】屈折率(nz )が1.495以上のフイル
ムは、例えば後述する二軸延伸フイルムの製造条件にお
いてフイルムの縦方向および横方向の延伸倍率を低くす
ること及び/又は延伸したフイルムの熱固定温度を高く
することにより得ることができる。しかしながら、屈折
率(nz )が1.510よりも大きくなるまで延伸倍率
を下げすぎると、或いは熱固定温度を上げすぎると、フ
イルムの厚み斑が大きくなり、フイルム表面に皺(フル
ート)が発生することがある。
【0018】尚、フイルムの厚み方向の屈折率(nz )
はアッベの屈折計に偏光板を装着し、25℃にてNa−
D線により求めた値であり、フイルムの表裏両面の測定
値を平均した値である。
【0019】[ヘーズ値]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムはヘーズ値が2.0%以下のものであり、好
ましくは1.5%以下、更に好ましくは1.0%以下の
ものである。このヘーズ値が2.0%よりも大きいとフ
イルムの透明性が低下し好ましくない。
【0020】[tanδ値]本発明の写真フイルム用ベ
ースフイルムは、0.05Hzにおける引張粘弾性によ
る80℃のtanδ値が0.09以下である一方向を有
するものである。tanδ値の好ましい値は0.085
未満であり、更に好ましくは0.08以下である。ta
nδ値が0.09を超えるフイルムは巻きぐせが付き易
く、ロール状写真フイルム用ベースフイルムとしては性
能不足となる。
【0021】[ベースフイルム厚み]更に本発明の写真
フイルム用ベースフイルムの厚みは40〜120μmで
あり、好ましくは50〜100μmである。厚みが40
μm未満であると機械的強度が不足する。また、厚みが
120μmを越えるとフイルムの薄膜化の意味がなくな
る。
【0022】[アントラキノン系の骨格を有する染料]
本発明の写真フイルム用ベースフイルムは、アントラキ
ノン系骨格にスルホ基(−SO3 H)を有する染料を含
有するものであるが、該染料は、下記の一般式(I)で
示されるアントラキノン系骨格にスルホ基(−SO
3 H)を有する染料であることが好ましい。
【0023】また、本発明の写真フイルム用ベースフイ
ルムは染料として一般式(I)のものを単独で用いても
よいが、アントラキノン骨格にスルホ基を有しない染料
として下記の一般式(II)または(III)から選ばれる少
なくとも1種類以上を加えて用いることもできる。この
ときの染料の配合割合は一般式(I)のものが全染料中
の80〜99%であることが好ましく、特に85〜95
%であると黄色味が少なく、ライトパイピングを低減し
たフイルムが得られるため好ましい。これらの染料の含
有量は、例えばポリマー中に100〜800ppm、更
に200〜600ppmであることが好ましい。
【0024】以下に一般式(I)、(II)および(III)
を示す。
【0025】一般式(I)
【0026】
【化3】
【0027】式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 およ
びR6 は各々水素原子、水酸基、脂肪族基、芳香族基、
複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−CO
7、−COOR7 、−NR7 8 、−NR8 CO
9 、−NR8 SO2 9 、−CONR7 8 、−SO
2 NR7 8 、−COR9 、−SO2 9 、−OCOR
9、−NR7 CONR8 9 、−CONHSO2 9
−SO2 NHCOR9 を表し、R7 、R8 は各々水素原
子、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表し、R9 は脂肪
族基、芳香族基、複素環基を表し、R7 とR8 は連結し
て5または6員環を形成してもよく、R3 とR4 もしく
はR4 とR5 は各々連結して環を形成してもよい。な
お、R3 、R4 、R5 およびR6 は各々水素原子である
ことがより好ましく、R1 、R2 は−NR7 8 で表さ
れるR7 とR8 が各々水素原子のアミノ基か、またはR
7 が水素原子でR8 が脂肪族基、芳香族基もしくは複素
環基のアミノ基であることがより好ましい。
【0028】一般式(II)
【0029】
【化4】
【0030】式中、R11、R12、R13、R14、R15、R
16、R17、およびR18は各々水素原子、水酸基、脂肪族
基、芳香族基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニ
トロ基、−COR19、−COOR19、−NR1920、−
NR20COR21、−NR20SO2 21、−CONR19
20、−SO2 NR1920、−COR21、−SO2 21
−OCOR21、−NR19CONR2021、−CONHS
2 21、−SO2 NHCOR21を表し、R19、R20
一般式(I)におけるR7 、R8 と同義であり、R21
一般式(I)におけるR9 と同義である。R19とR20
連結して5または6員環を形成してもよく、R11とR12
もしくはR12とR13は各々連結して環を形成してもよ
い。一般式(III)
【0031】
【化5】
【0032】式中、R31、R33、R34は水素原子、水酸
基、ニトロ基、シアノ基、脂肪族基、芳香族基、−CO
35、−COOR36、−NR3536、−NR36CO
37、−NR36SO2 37を表し、R32は脂肪族基また
は芳香族基を表し、R35、R36は一般式(I)における
7 、R8 と同義であり、R37は一般式(I)における
9 と同義である。ただし、R31、R32、R33、R34
うち1個以上は水素原子以外の基である。
【0033】以下に一般式(I)の各基について詳細に
説明する。
【0034】R1 〜R9 で表される脂肪族基は、例えば
炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチ
ル、n−ブチル、イソプロピル、2−エチルヘキシル、
n−デシル、n−オクタデシル)、炭素数3〜20のシ
クロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキ
シル)またはアリル基が好ましく、置換基{例えば、ハ
ロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、水酸基、
シアノ基、ニトロ基、カルボン酸基、炭素数6〜10の
アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、炭素原子
を含まないアミノ基(例えば−NH2 )または炭素数1
〜20のアミノ基(例えば、−NHCH3 、−N(C2
5 2 、−N(C4 9 2 、−N(C 8 172
アニリノ、4−メトキシアニリノ)、炭素数1〜20の
アミド基(例えば、アセチルアミノ、ヘキサノイルアミ
ノ、ベンゾイルアミノ、オクタデカノイルアミノ)、炭
素数1〜20のカルバモイル基(例えば、無置換のカル
バモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、
オクチルカルバモイル、ヘキサデシルカルバモイル)、
炭素数2〜20のエステル基(例えば、メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、n
−ブトキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル)、
炭素数1〜20のアルコキシ基またはアリーロキシ基
(メトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、ベ
ンジルオキシ、フェノキシ、オクタデシルオキシ)、炭
素数1〜20のスルホンアミド基(例えば、メタンスル
ホンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンア
ミド、ベンゼンスルホンアミド、オクタンスルホンアミ
ド)、炭素原子を含まないスルファモイル基(例えば、
無置換のスルファモイル)または炭素数1〜20のスル
ファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、ブチル
スルファモイル、デシルスルファモイル)、5または6
員の複素環(例えば、ピリジル、ピラゾリル、モルホリ
ノ、ピペリジノ、ピロリノ、ベンズオキサゾリル)等}
を有していてもよい。
【0035】R1 〜R9 で表される芳香族基は例えば炭
素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチ
ル)であることが好ましく、置換基{例えば、前記した
脂肪族基が有してもよい置換基として挙げた各基の他、
炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチ
ル、ブチル、t−ブチル、オクチル)等}を有していて
もよい。
【0036】R1 〜R9 で表される複素環基は例えば5
または6員の複素環(例えば、ピリジン、ピペリジン、
モルホリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、
ピラゾリン、ピラゾロン、ベンズオキサゾール)である
ことが好ましく、置換基(例えば、前記した芳香族基が
有してもよい置換基として挙げた各基)を有していても
よい。
【0037】R7 とR8 が連結して形成される5または
6員環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリ
ジン環を挙げることができる。R3 とR4 またはR4
5が連結して形成される環としては5または6員環
(例えば、ベンゼン環、フタルイミド環)が好ましい。
【0038】次に一般式(II)の各基について説明す
る。
【0039】R11〜R21で表される脂肪族基は、一般式
(I)におけるR1 〜R9 の脂肪族基と同義であり、R
11〜R21で表される芳香族基は一般式(I)におけるR
1 〜R9 の芳香族基と同義である。
【0040】次に一般式(III)の各基について説明す
る。
【0041】R31〜R34で表される脂肪族基は、一般式
(I)におけるR1 〜R9 の脂肪族基と同義であり、R
31〜R34で表される芳香族基は一般式(I)におけるR
1 〜R9 の芳香族基と同義である。
【0042】一般式(I)、(II)または(III)で表さ
れる染料の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0043】
【化6】
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】
【化9】
【0047】
【化10】
【0048】
【化11】
【0049】
【化12】
【0050】
【化13】
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】上記の染料のうち一般式(I)で示される
染料としてはI−1の染料が特に好ましい。また、一般
式(II)で示される染料としてはII−1の染料が、一般
式(III)で示される染料としては III−1の染料が特に
好ましい。
【0059】[相対光線透過率]写真フイルム用ベース
フイルムに乳剤層(感光剤層)を塗設した後の写真用フ
イルムには可視領域の光を万遍なく透過する性質が要求
されるが、乳剤層自体が黄色味を有するため、写真フイ
ルム用ベースフイルムは黄色味を少なくした色、すなわ
ち500〜590nm(黄色を含む波長)での最大光線
透過率を420〜490nm(青色を含む波長)や60
0〜700nm(赤色を含む波長)での最大光線透過率
に対して相対的に低くすることが求められる。ところが
従来のポリエチレン−2, 6−ナフタレンジカルボキシ
レートフイルムは500〜590nmでの最大光線透過
率が420〜490nmや600〜700nmでの最大
光線透過率に対して必ずしも相対的に低くないため、ポ
リエチレン−2, 6−ナフタレンジカルボキシレートフ
イルムに乳剤層を塗設した写真用フイルムは黄色味が極
めて高いものになる。
【0060】かかる欠点を解消するためには、500〜
590nmでの最大光線透過率の420〜490nmあ
るいは600〜700nmでの最大光線透過率に対する
比率(以下『相対光線透過率』ということがある)が特
定の範囲であるポリエチレン−2, 6−ナフタレンジカ
ルボキシレートフイルムを写真フイルム用ベースフイル
ムとして用いることが好ましい。すなわち、420〜4
90nmでの最大光線透過率に対する500〜590n
mでの最大光線透過率の比率が0.94〜0.98の範
囲、更に好ましくは0.95〜0.97の範囲であり、
600〜700nmでの最大光線透過率に対する500
〜590nmでの最大光線透過率の比率が0.90〜
0.94の範囲、更に好ましくは0.91〜0.93の
範囲のものを写真フイルム用ベースフイルムとして用い
ることが好ましい。
【0061】この相対光線透過率が高すぎるとフイルム
の黄色味が強すぎるため好ましくない。また相対光線透
過率が低すぎるとフイルムの赤色味あるいは青色味が強
くなりすぎるため好ましくない。
【0062】[最大光線透過率]また、最大光線透過率
が特定の範囲にあるポリエチレン−2, 6−ナフタレン
ジカルボキシレートフイルムを写真フイルム用ベースフ
イルムとして用いることが好ましい。すなわち、420
〜490nmでの最大光線透過率が75〜85%、50
0〜590nmでの最大光線透過率が70〜84%、か
つ600〜700nmでの最大光線透過率が73〜87
%の範囲のものを写真フイルム用ベースフイルムとして
用いることが好ましい。
【0063】各波長範囲での最大光線透過率を上記の上
限値以下に抑えると光線がフイルムエッジから入射した
時にベースフイルム内部での光線透過量が抑制され、従
ってベースフイルムを透過して感光剤層へ到達する光線
量が抑制されて、ライトパイピング現象(かぶり)を低
減することができるので好ましい。また、各波長範囲で
の最大光線透過率を上記の下限値以上とすることによ
り、写真フイルム用ベースフイルムとして透明性が良好
なものが得られるので好ましい。
【0064】このようにベースフイルムの光線透過率を
特定の範囲にすることによりライトパイピングを防止で
きるが、かかるフイルムは本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムをそのまま用いてもよく、或いは更に可視光
を吸収する染料や顔料を併用してもよい。かかる染料あ
るいは顔料としては、耐熱性、相溶性及び耐昇華性を同
時に満足し、かつハロゲン化銀乳剤に対して不活性であ
り、感度、ガンマ等の写真性能に悪影響を及ぼさないも
のであることが好ましい。
【0065】[ANSIカール値]本発明の写真フイル
ム用ベースフイルムは巻きぐせカールが付き難い性質す
なわち抗カーリング性を有することが好ましく、例えば
80℃における抗カーリング性がANSIカール値で5
0[m-1]以下であることが好ましい。この80℃は、
日常生活において写真フイルムが通常曝される可能性が
ある最高温度として選んだ。また、本発明の写真フイル
ム用ベースフイルムは、80℃よりも31℃低い温度で
ある49℃における抗カーリング性(以下『正味のAN
SIカール値』という)に優れていることが好ましい。
すなわち、外径3インチのコア上で、49℃、50%R
H、24時間コアセット(熱処理)した場合の、正味の
ANSIカール値が10[m-1]以下であることが好ま
しい。
【0066】従来、写真フイルムの巻きぐせの評価は、
巻きぐせカールが通常の写真フイルムの現像あるいは乾
燥工程を経て、どの程度解消されるかにかかっていた
が、上記のANSIカール値である写真フイルム用ベー
スフイルムであれば、巻きぐせカールが付き難い性質、
即ち抗カーリング性に優れたものとなる。
【0067】[二軸延伸フイルムの製造条件]本発明の
写真フイルム用ベースフイルムは、例えば従来公知の製
膜方法で得た未延伸フイルムを二軸延伸し、熱固定し、
次いでアニーリング処理することにより好ましく製造す
ることができる。二軸延伸は縦方向、横方向の逐次二軸
延伸または同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦方
向、横方向の二軸延伸後、さらに縦方向、横方向のいず
れかまたは両方向に延伸してもよい。縦方向および横方
向の延伸および熱固定は、厚み方向の屈折率(nz)が
1.495〜1.510の範囲となる条件を採用する
が、例えば延伸倍率は2.0〜5.0倍が好ましい。ま
た熱固定は、二軸延伸後の熱固定ゾーンを多段に分割
し、熱固定温度を徐々に低下させ、急激な温度変化を与
えないようにすると、厚み斑の増大、皺の発生を招来す
ることなく、厚み方向の屈折率(nz )を1.495以
上に高くすることが容易となる。例えば、二軸延伸後の
熱固定ゾーンを3ゾーン以上、好ましくは4ゾーン以上
に分割し、この熱固定ゾーンの最終ゾーンの温度を14
0℃以下、好ましくは120℃以下に設定することが望
ましい。最高熱固定温度のゾーンから最終ゾーンに至る
間は、徐々に温度を低下させ、急激な温度変化を与えな
いようにすることが好ましく、この場合の各ゾーン間の
温度勾配は70℃以下、更に60℃以下とすることが好
ましい。
【0068】更に抗カーリング性を優れたものとする等
のため、本発明の写真フイルム用ベースフイルムは0.
05Hzにおける引張粘弾性による80℃でのtanδ
値が0.09以下の一方向を有するものとするが、この
値までtanδ値を低下させる手段としては、例えばフ
イルムがロール状態で熱履歴を受ける温度より高くかつ
150℃以下、さらには該熱履歴を受ける温度より10
℃高くかつ130℃以下の温度でアニーリング処理する
方法を好ましく用いることができる。フイルムがロール
状態で熱履歴を受ける温度以下の温度でアニーリング処
理しても巻きぐせの防止効果が不十分であり、他方15
0℃より高い温度でアニーリング処理すると、フイルム
表面へのオリゴマーの析出や、フイルム面へのコア転写
等が起きやすく、フイルムの使用に不都合が生じる。
【0069】二軸延伸フイルムのアニーリング処理方法
としては、二軸延伸され、熱固定されたフイルムを一旦
巻き取ることなく加熱ロールに接触させながら加熱する
方法、加熱空気で搬送させながら非接触で加熱する方
法、一旦巻き取ったフイルムを巻き出しながら上記と同
じ方法で加熱する方法、またはフイルムをロール状態の
ままで加熱オーブン中で熱処理する方法等を挙げること
ができる。
【0070】[添加剤]本発明のポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートには添加剤、例えば安
定剤、滑剤、紫外線吸収剤、難燃剤、前記のアントラキ
ノン骨格を有する染料以外の染料等も含有させることが
でき、特にフイルムに滑り性を付与するため不活性微粒
子を少割合含有させることが好ましい。
【0071】かかる不活性微粒子としては、例えば球状
シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、二酸
化チタン粒子、カオリンクレー粒子、硫酸バリウム粒
子、ゼオライト粒子の如き無機粒子、或いはシリコン樹
脂粒子、架橋ポリスチレン粒子の如き有機粒子を挙げる
ことができる。無機粒子は粒径が均一であること等の理
由で天然品よりも、合成品であることが好ましく、あら
ゆる結晶形態の無機粒子を使用することができる。
【0072】上記の不活性微粒子の平均粒径は0.05
〜1.5μmの範囲であることが好ましい。特に、不活
性微粒子が無機粒子の場合には、平均粒径が0.1〜
0.8μmの範囲であることが好ましく、0.2〜0.
5μmであることが更に好ましい。不活性微粒子がシリ
コン樹脂粒子の場合には、平均粒径が0.1〜1.5μ
mの範囲であることが好ましい。また不活性微粒子が架
橋ポリスチレン粒子の場合には、平均粒径が0.1〜1
μmの範囲であることが好ましい。
【0073】不活性微粒子の平均粒径が0.05μmよ
り小さいと、フイルムの滑り性、耐削れ性或いは巻き取
り性などの向上効果が小さく、他方平均粒径が1.5μ
mより大きいとフイルムの透明性が低下するので好まし
くない。
【0074】不活性微粒子の含有量は0.001〜0.
2重量%であることが好ましい。不活性微粒子が無機粒
子の場合、0.001〜0.1重量%であることが更に
好ましく、0.002〜0.05重量%であることが特
に好ましい。また不活性微粒子がシリコン樹脂粒子の場
合、0.001〜0.1重量%であることが好ましく、
更に0.001〜0.02重量%、特に0.001〜
0.01重量%であることが好ましい。不活性微粒子が
架橋ポリスチレン粒子の場合、0.001〜0.05重
量%であることが好ましい。この不活性微粒子の添加量
が0.001重量%未満ではフイルムの滑り性が不十分
となりがちであり、一方0.2重量%を越えるとフイル
ムヘーズが増加し、透明性が不十分となり、好ましくな
い。
【0075】不活性微粒子の添加時期は、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを製膜する迄
の段階であれば特に制限はなく、例えば重合段階で添加
してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0076】本発明の写真フイルム用ベースフイルム
は、さらに、下記の好ましい性質を備えることができ
る。
【0077】[ハリツキ度]本発明の写真フイルム用ベ
ースフイルムのフイルム/フイルム間のハリツキ度は好
ましくは3級以下であり、より好ましくは2.5級以
下、特に好ましくは2級以下である。このハリツキ度の
等級が大きい程フイルムは滑り難く、等級が小さい程フ
イルム同士が滑り易い傾向を示す。このハリツキ度が3
級より大きいとフイルム同士の滑りが悪く、フイルム同
士のブロッキングの発生、フイルム走行時の搬送ロール
等によるスクラッチの発生、ロール巻き上げ時にロール
にコブ状の突起が生じ易くなる等、写真フイルム用とし
て使用する上で好ましくない。
【0078】[フラットネス]本発明の写真フイルム用
ベースフイルムのフラットネスは250cm/m幅以下
であることが好ましく、200cm/m幅以下であるこ
とが更に好ましい。フイルムのフラットネスが250c
m/m幅を超えると、感光乳剤の均一塗布が困難になる
ため好ましくない。
【0079】[熱収縮率]本発明の写真フイルム用ベー
スフイルムは、150℃で30分間乾熱処理した際の縦
方向または横方向のいずれか一方向、或いは両方向の熱
収縮率が3%以下であることが好ましく、より好ましく
は2%以下、特に好ましくは1.5%以下である。熱収
縮率が上記のものであると、感光剤層の接着性向上用の
接着層やカール性改良用のバックコート層等をベースフ
イルムに塗設する際に加熱乾燥を施してもフィルムの寸
法安定性が良好に保たれるので好ましい。
【0080】[ヤング率]更に、本発明の写真フイルム
用ベースフイルムは直交する2方向、例えば縦方向と横
方向のヤング率が750kg/mm2 以下であることが
好ましく、700kg/mm2 以下であることがより好
ましい。このヤング率が750kg/mm 2 を越えると
フイルムの裁断時やパーフォレーション穿孔時に切粉が
多く発生し易くなる。このヤング率の下限は共に400
kg/mm2 、さらには450kg/mm2 であること
が好ましい。両方向のヤング率の差は特に限定されない
が、150kg/mm2 以下であることが好ましい。
【0081】[巻きロール]本発明では、ブロッキング
のない状態で巻かれて維持されている本発明の写真フイ
ルム用ベースフイルムを、写真フイルム用ベースフイル
ムの巻ロールとして提供することができる。
【0082】すなわち、本発明の写真フイルム用ベース
フイルムの巻きロールは、ロールフイルムが本発明の写
真フイルム用ベースフイルムであり、そしてロールフイ
ルム層間に7〜20体積%の空気層が存在する空間が存
在することを特徴とする。
【0083】本発明の巻ロールは、フイルム層間に7〜
20体積%、好ましくは8〜19体積%、更に好ましく
は10〜18体積%の空気層が介在するように巻き取ら
れているものであるが、この空気層が7体積%未満であ
ると、巻きロールはアニーリング処理による巻締りの
為、ブロッキングや前述の微小すりキズが発生しつため
好ましくない。一方、空気層が20体積%を超えると、
これらの問題が発生しない代わりにロールの巻姿そのも
のが不安定になり、ロール巻取時のロール端面のずれ
や、ロール搬送時のロールの変形等が起こるため好まし
くない。
【0084】巻ロールにおいて、フイルム層間の空気量
を前述の範囲に調整する方法としては、フイルムをロー
ル状に巻き取る時ロールの両エッジ付近に狭幅のフイル
ムを巻込ませながら巻取る方法、あらかじめロールエッ
ジ付近のフイルムに長手方向に凹凸をつける(例えばエ
ンボス加工等)方法、積層フイルム等が挙げられるが、
その方法について限定するものではない。
【0085】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0086】なお、実施例、比較例における各物性値は
次のようにして測定した。
【0087】(1)厚み方向の屈折率(nz ) 偏光板を装着したアッベ屈折計(株式会社アタゴ製)を
用い、25℃にてNa−D線を用いてフイルム厚み方向
の屈折率を求める。フイルムサンプルの表、裏両面につ
いて測定し、その平均値を厚み方向の屈折率(nz )と
する。
【0088】(2)ヘーズ値 JIS K−6714の手法に従い、市販のヘーズメー
ターでフイルム1枚当たりの全ヘーズ値測定する。
【0089】(3)tanδ値(引張り粘弾性) セイコー電子工業(株)製熱応力歪測定装置TMA/S
S120Cを用い、下記条件にて測定する。 荷重モード:sin波(荷重変化周波数0.05Hz) 断面積当りの荷重中央値:120g/mm2 断面積当りの荷重振幅:90g/mm2 昇温速度:5℃/分 サンプル巾:4mm サンプル長(チャック間):10mm 測定方向:縦、横方向
【0090】(4)抗カーリング性(ANSIカール
値) 120mm×35mmの大きさのサンプルフイルムを、
直径7mmの巻芯に巻き付け、巻き戻らないように仮固
定し、80℃にて2時間加熱した後、巻芯から解放し、
40℃の蒸留水に15分間浸漬する。次いで33gの荷
重をかけ、サンプルを垂直に吊し、55℃にて3分間加
熱処理する。カールが残っている状態のサンプルをAN
SI PH 1. 29−1971の試験方法Aに準じて
測定し、インチをメートル法に換えてカール値を算出す
る。
【0091】(5)正味のANSIカール値 101. 6mm×152. 4mmの大きさのアニール処
理を施したサンプルフイルムとアニール処理を施してい
ないサンプルフイルムを、各々外径3インチの巻芯に巻
き付け、巻き戻らないように仮固定し、49℃、50%
RHにて24時間加熱した後、巻芯から解放し、解放後
60秒でのカール値をANSI PH 1. 29−19
71の試験方法Aに準じ、インチをメートル法に換えて
測定する。アニール処理を施していないサンプルフイル
ムのカール値とアニール処理を施したサンプルフイルム
のカール値の差をもってカール値を算出する。
【0092】(6)ハリツキ度 平面な台上にゴム板を敷き、その上にフイルム間にゴ
ミ、汚れ等を含まない2枚のフイルムを重ねて置く。外
径70mm、重さ10kgの円柱状の重りを真上から静
かにフイルム上に載せ、10分後に静かに重りを取り除
く。30秒放置後、円柱跡の円形内の接触模様を写真撮
影し、ハリツキ部分の面積の割合を測定し、下記の表1
より0〜5級で格付する。
【0093】
【表1】
【0094】(7)フラットネス フイルムロールから、長さ2mのフイルムサンプルを採
取し、ロールに巻かれていたときにロールの表面側であ
った側を上にして、水平で平坦な台の上に広げる。10
分間静置後、フイルムサンプルの全表面を観察し、該表
面に残存する皺(フルート)の長さ(cm)を計測し、
下式によりその合計をフイルムの幅(m)で除してフラ
ットネスを算出する。
【0095】
【数1】
【0096】(8)熱収縮率 150℃の熱風中に30分間保持し、この前後の寸法変
化を下式により求める。
【0097】
【数2】
【0098】ここでL0 は熱収縮前の標点間距離であ
り、そしてLは熱収縮後の標点間距離である。
【0099】(9)ヤング率 フイルムを試料巾10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度500mm/分でインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張る。得られた荷重−伸び曲線の立上部
の接線よりヤング率を計算する。
【0100】(10)折り目デラミ白化率 80mm×80mmの大きさにフイルムサンプルを切り
出し、手で軽く2つに折りながら、平坦な一対の金属板
ではさんだ後、プレス機により所定の圧力P1 (kg/
cm2 G)にて20秒間プレスする。その後、サンプル
フイルムを取り出し、折り目に現れた白化部分の長さ
(mm)を測定して合計する。それぞれ新しいフイルム
サンプルを使用し、プレス圧力P1 =1,2,3,4,
5,6(kg/cm2 G)について上記測定を繰り返
す。各プレス圧力における白化部分の長さ(mm)の合
計の平均値が、折り目の全長(80mm)に占める割合
をもって、折り目デラミ白化率とし、この値をフイルム
の層剥離(デラミ)の起こり易さを示す指標として使用
する。
【0101】
【数3】
【0102】(11)空気層の割合 一定長巻取ったロールフイルムのロール径Dを実測し、
一方、フイルム厚みと長さとから計算して(空気層は介
在していない)ロール径D0 を求め、この計算値と実測
値とを用いて次式から求める。
【0103】
【数4】
【0104】(12)最大光線透過率 島津製作所製分光光度計(MPC−3100)を用い
て、フィルム試料の300〜900nmの波長の分光透
過率をチャート上に書かせ、それぞれの波長の分光透過
率をチャートの上から読みとり、光線透過率として百分
率(%)で表し、 420〜490nmの波長帯での光線透過率の最大値
(B max) 500〜590nmの波長帯での光線透過率の最大値
(Y max) 600〜700nmの波長帯での光線透過率の最大値
(R max) をそれぞれ各波長帯での最大光線透過率とする。
【0105】(13)相対光線透過率 最大光線透過率と同様の方法で得た各波長帯での光線透
過率の最大値を用い(Y max)の(B max)及び(R m
ax)に対する比率(相対光線透過率)を下式より求め
る。
【0106】
【数5】(Y max)の(B max)に対する比率=(Y m
ax)/(B max) (Y max)の(R max)に対する比率=(Y max)/
(R max) (14)エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートの純度測定 フィルムサンプルを測定溶媒(CDCl3 :CF3 CO
OD=1:1)に溶解後、 1H−NMR測定を行い、得
られた各シグナルの積分比をもって算出する。
【0107】[実施例1]平均粒径0.3μmのシリカ
粒子を0.005重量%、染料I−1(サンド社製テラ
ゾールブルーRLS)を0.036重量%および染料II
−1を0.003重量%含有し、固有粘度0.60であ
るポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トをダイスリットより溶融押出し、キャステイングドラ
ム上で冷却固化させて未延伸フイルムを作成した。
【0108】この未延伸フイルムを、縦方向(機械軸方
向)に3.0倍、横方向(幅方向)に3.3倍逐次二軸
延伸し、しかる後、熱処理し、厚みが75μmの二軸配
向フイルムを得た。なお、熱固定は熱固定ゾーンをX1
、X2 、X3 、X4 の4ゾーンの分けた装置を用いて
表2に示す温度条件にて行ない、急冷ロールに接触させ
て急冷し、二軸配向フイルムをロールに巻取った。
【0109】得られた二軸配向フイルムから幅500m
m、長さ500mのフイルムをサンプリングし、これを
直径165mmの巻芯に巻取ってサンプルロールとし、
この状態で、100℃まで24時間かけて昇温し、24
時間保持後、24時間かけて室温まで降温するアニール
処理して、厚みが75μmの二軸配向フイルムを得た。
アニール処理した二軸配向フイルムの特性は表2に示す
とおり良好なものであった。
【0110】[実施例2]実施例1において、平均粒径
0.3μmのシリコーン樹脂粒子を0.005重量%含
有する以外はすべて同様に製膜した。得られた二軸配向
フイルムの特性は表2に示すとおり良好なものであっ
た。
【0111】[比較例1]実施例1において、アニール
処理を実施していない以外は同様に製膜した結果を表2
に示す。比較例1の二軸配向フイルムはtanδ値が高
く、坑カーリング性が劣るものであった。
【0112】[比較例2]実施例1において、アニール
処理温度を150℃で実施した以外は同様に製膜した結
果を表2に示す。比較例2の二軸配向フイルムはtan
δ値が高く、坑カーリング性が劣るものであった。
【0113】[比較例3]実施例1において、エチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの純度が90
モル%であるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートを使用した以外は同様に製膜した結果を表
2に示す。比較例3の二軸配向フイルムは屈折率(n
z)が高すぎ、またtanδ値が高く、坑カーリング性
が劣るものであった。
【0114】[比較例4]実施例1において、平均粒径
0.3μmのシリカ粒子を0.22重量%含有する以外
はすべて同様に製膜した結果を表2に示す。比較例4の
二軸配向フイルムはヘーズ値が高く、透明性が劣るもの
であった。
【0115】[比較例5]実施例1において、染料を添
加しない以外はすべて同様に製膜した結果を表2に示
す。比較例5の二軸配向フイルムは相対光線透過率の値
が大きすぎて黄色味が強すぎるため色相が劣るものであ
った。また最大光線透過率の値も大きすぎるためライト
パイピング防止特性が劣るものであった。
【0116】[比較例6]実施例1において、製膜条件
として延伸倍率を、縦方向に4.8倍、横方向に5.1
倍逐次二軸延伸し、熱固定ゾーン温度を表2に示した条
件にて行った以外は全て同様に製膜した結果を表2に示
す。比較例6の二軸配向フイルムは屈折率(nz)が低
くすぎ、折り目デラミ白化率が劣るものであった。
【0117】[比較例7]実施例1において、表2に示
す染料を表2に示す割合で添加した以外はすべて同様に
製膜した結果を表2に示す。比較例7の二軸配向フイル
ムは500〜590nmの420〜490nmに対する
相対光線透過率が大きすぎて色相が劣るものであった。
【0118】
【表2】
【0119】表2中でPEN純度(%)はポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを構成する繰
り返し単位に占めるエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート繰り返し単位の割合(モル%)、(B m
ax)は420〜490nmの波長帯での最大光線透過
率、(Y max)は500〜590nmの波長帯での最大
光線透過率、(R max)は600〜700nmの波長帯
での最大光線透過率、(Y max)/(B max)は(Y m
ax)の(B max)に対する相対光線透過率、(Y max)
/(R max)は(Y max)の(R max)に対する相対光
線透過率、空気層の割合はフイルム巻きロールに占める
空気層の割合をそれぞれ表わす。また、総合評価で○印
は良好であること、×印は不良であることを表わす。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば優れた機械的特性、透明
性、ライトパイピング防止性、抗カーリング性を有し、
かつ黄色味の少ない写真フイルム用ベースフイルムを提
供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/81 1/83 // C08J 5/18 CFD

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)厚み方向の屈折率(nz )が1.
    495〜1. 510であり、(b)ヘーズ値が2.0%
    以下であり、(c)0.05Hzにおける引張粘弾性に
    よる80℃のtanδ値が0.09以下である一方向を
    有し、(d)下記式のアントラキノン骨格を有する染料
    を含有し、 【化1】 (e)厚みが40〜120μmの範囲にあり、そして
    (f)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
    レートを実質的な素材としてなる、ことを特徴とする写
    真フイルム用ベースフイルム。
  2. 【請求項2】 80℃における抗カーリング性がANS
    Iカール値で50[m-1]以下である請求項1に記載の
    写真フイルム用ベースフィルム。
  3. 【請求項3】 0.05Hzにおける引張粘弾性による
    80℃のtanδ値が0.085未満である請求項1に
    記載の写真フイルム用ベースフイルム。
  4. 【請求項4】 0.05Hzにおける引張粘弾性による
    80℃のtanδ値が0.08以下である請求項1に記
    載の写真フイルム用ベースフイルム。
  5. 【請求項5】 外径3インチのコア上で49℃、50%
    RHで24時間コアセットした熱処理フイルムについて
    の正味のANSIカール値が10[m-1]以下である請
    求項1に記載の写真フイルム用ベースフイルム。
  6. 【請求項6】 420〜490nmでの最大光線透過率
    に対する500〜590nmでの最大光線透過率の比率
    が0.94〜0.98、600〜700nmでの最大光
    線透過率に対する500〜590nmでの最大光線透過
    率の比率が0.90〜0.94であり、そして420〜
    490nmでの最大光線透過率が75〜85%、500
    〜590nmでの最大光線透過率が70〜84%、かつ
    600〜700nmでの最大光線透過率が73〜87%
    である請求項1に記載の写真フイルム用ベースフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 ベースフイルム間のハリツキ度が3級以
    下である請求項1に記載の写真フイルム用ベースフイル
    ム。
  8. 【請求項8】 フラットネスが250cm/m巾以下で
    ある請求項1に記載の写真フイルム用ベースフイルム。
  9. 【請求項9】 150℃、30分の乾熱処理による熱収
    縮率が3%以下の一方向を有する請求項1に記載の写真
    フイルム用ベースフイルム。
  10. 【請求項10】 ヤング率が750kg/mm2 以下で
    ある直交する2方向を有する請求項1に記載の写真フイ
    ルム用ベースフイルム。
  11. 【請求項11】 平均粒径0.05〜1.5μmの不活
    性微粒子を0.001〜0.2重量%で含有する請求項
    1に記載の写真フイルム用ベースフイルム。
  12. 【請求項12】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
    カルボキシレートがエチレン−2,6−ナフタレンジカ
    ルボキシレート単位を少なくとも98モル%含有する請
    求項1に記載の写真フイルム用ベースフィルム。
  13. 【請求項13】 ロールフイルム層間に7〜20体積%
    の空気層が存在する空間が存在し、そしてロールフイル
    ムが請求項1に記載の写真フイルム用ベースフイルムで
    あるフイルムの巻ロール。
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