JPH1020441A - 写真用ポリエステル支持体 - Google Patents

写真用ポリエステル支持体

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JPH1020441A
JPH1020441A JP8177785A JP17778596A JPH1020441A JP H1020441 A JPH1020441 A JP H1020441A JP 8177785 A JP8177785 A JP 8177785A JP 17778596 A JP17778596 A JP 17778596A JP H1020441 A JPH1020441 A JP H1020441A
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JP
Japan
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support
temperature
curl
endothermic
peak
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JP8177785A
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English (en)
Inventor
Makoto Honda
本田  誠
Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻き癖カールがつきにくく、かつフィルムが
高温に曝されても巻き癖カール低減効果が損なわれず、
巻き癖カール低減効果の安定した写真用ポリエステル支
持体の提供。 【解決手段】 示差走査熱量分析法による測定におい
て、50℃〜270℃の間に融解ピークや製膜過程で形
成されるピーク以外に少なくとも2つの吸熱ピークが存
在し、かつ該吸熱ピークの内、少なくとも1つの吸熱ピ
ークが支持体のガラス転移温度(Tg)を跨ぐか又はT
g以下の温度で観測されることを特徴とする写真用ポリ
エステル支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、機械的強度
に優れ、巻き癖カールがつきにくく、且つ、その巻癖カ
ール低減効果が、様々な温度条件下でも安定している写
真用ポリエステル支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真用支持体には一般的にプラスチック
フィルムが使用されている。中でもトリアセチルセルロ
ース(以下「TAC」という)に代表される繊維系のポ
リマーとポリエチレンテレフタレート(以下「PET」
という)に代表されるポリエステル系のポリマーが使用
されている。一般に写真感光材料としては、代表的には
Xレイ用フィルム、製版用フィルム及びカットシートの
様にシート状態の形態のものと35mm幅又はそれ以下
の幅でパトローネに収められ、一般のカメラに装填して
用いられるカラーフィルム又は黒白ネガフィルムの様な
ロール状の形態のものがある。
【0003】従来からロールフィルムには主としてTA
Cフィルムからなる支持体が用いられているが、TAC
フィルムの写真用支持体としての特徴は、光学的に異方
性が無く透明度が高いこと、更に現像処理後のカール解
消性ついても、プラスチックフィルムの中では吸湿性が
高く、現像処理によって巻き癖カールが大幅に減少する
という優れた性質を有していることである。巻き癖カー
ルのついた支持体を用いた写真感光材料では、ロール状
で用いられた際に、例えば現像後、写真印画紙に画像を
形成させる焼き付け工程等でスリ傷の発生、ピントのボ
ケ、搬送時のジャミング、折れ等の問題が発生してしま
う。
【0004】最近、写真感光材料の用途は多様化してお
り、撮影時のフィルム搬送の高速化、撮影倍率の高倍率
化、ならびに撮影装置の小型が著しく進んでいる。その
ため写真感光材料用の支持体として、強度、寸法安定性
及び薄膜化等の性能が要求される。優れた生産性、機械
的強度、ならびに寸法安定性からPETフィルムはTA
Cに代替するものと考えられてきたが、ロール形態では
巻き癖カールが強く残留するため取り扱い性が悪く、使
用範囲が限定されてきた。また、従来の135サイズシ
ステムでは、パトローネ内で最も巻径の小さくなる36
枚撮りフィルムで14mmである。これを10mm以下
に小型化しようとすると著しい巻癖がつき前述した様々
なトラブルが発生する。
【0005】このスプールの小径化、支持体の薄膜化等
に対する問題を解決するため、例えば特開平6−351
14号、特開平6−51438号、公開技報94−60
23号等には、ポリエステル支持体として弾性率の高い
ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と言う。)
フィルムをそのガラス転移温度(Tg)以下の一定温度
で加熱処理し巻癖をつきにくくする方法や、特開平6−
202277号の様にPENフィルムをそのTg以上の
温度で前熱処理し、その後Tg未満の温度まで徐冷する
ことで巻き癖カールを付き難くし、かつ熱処理時間を短
縮する方法が提案されている。
【0006】しかし、上記のような熱処理を施した後の
PENフィルムに、例えば、乳剤層との接着性や耐傷性
等を付与する目的で下引層やバック層などを塗布し、9
0℃〜150℃の温度で乾燥した場合、巻き癖カール低
減効果が減少、又は消失してしまうという問題があっ
た。更に、その様な巻き癖カール低減効果が減少又は消
失してしまった支持体を用いて作られた写真用フィルム
がカメラに装填された状態で80℃以上にもなる真夏の
車中に長時間又は何度も放置されるなど熱処理温度以上
の温度や、何度も高温に曝されたりすると、強く巻き癖
カールが付いてしまうという問題もあった。すなわち、
小径化、薄膜化に対して巻癖カール低減の効果は認めら
れるものの、その耐熱安定性については問題が残されて
いた。
【0007】特に、平成8年4月22日に開始されたカ
ラー写真の新システムにおいては従来の135サイズシ
ステムの様に現像後のフィルムがカットされシート状で
返却された後、保管されるシステムとは異なり、フィル
ムが現像後もカートリッジ内でスプールに巻かれた状態
で保管されるため、カメラ装填中又は現像前のカートリ
ッジ内ではもちろんの事、現像後においてもカートリッ
ジ形態で様々な環境下において巻き癖カールが付きにく
いことが求められ、上述したような巻き癖カールの高温
下での耐熱安定性が更に重要になっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の課題
は、巻き癖カールがつきにくく、かつフィルムが高温に
曝されても巻き癖カール低減効果が損なわれず、巻き癖
カール低減効果の安定した写真用ポリエステル支持体を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成される。
【0010】1.示差走査熱量分析法による測定におい
て、50℃〜270℃の間に融解ピークや製膜過程で形
成されるピーク以外に少なくとも2つの吸熱ピークが存
在し、かつ該吸熱ピークの内、少なくとも1つの吸熱ピ
ークが支持体のガラス転移温度(Tg)を跨ぐか又はT
g以下の温度で観測されることを特徴とする写真用ポリ
エステル支持体。
【0011】2.支持体のガラス転移温度(Tg)を跨
ぐか又はTg以下の温度で観測される吸熱ピークの総吸
熱量が100mcal/g以上1000mcal/g以
下となることを特徴とする前記1に記載の写真用ポリエ
ステル支持体。
【0012】3.前記50℃〜270℃の間の吸熱ピー
クの内、最高温度の吸熱ピークと最低温度の吸熱ピーク
との温度差ΔTが30℃〜220℃の範囲にあることを
特徴とする前記1又は2に記載の写真用ポリエステル支
持体。
【0013】4.前記支持体のガラス転移温度(Tg)
が90℃以上200℃以下であるポリエステルからなる
ことを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の写真
用ポリエステル支持体。
【0014】5.前記支持体がナフタレンジカルボン酸
とエチレングリコールを主成分とすることを特徴とする
前記1〜4の何れか1項に記載の写真用ポリエステル支
持体。
【0015】6.前記支持体がポリエチレン−2,6−
ナフタレートであることを特徴とする前記1〜5の何れ
か1項に記載の写真用ポリエステル支持体。
【0016】以下、本発明を更に詳細に述べる。
【0017】本発明の説明の中で、コアセットとはフィ
ルムをスプールに巻き付けて巻き癖をつけることであ
り、巻き癖カールとはコアセットによりつけた長さ方向
の巻き癖のことで、単位は1/R(1/m)(Rはカー
ルの半径)で表示した。また、支持体のガラス転移温度
(Tg)は示差走査熱量分析(DSC)において、サン
プルフィルム10mgを窒素気流中、300℃まで昇温
し融解後急冷したサンプルを真空乾燥した後、同様な方
法で10℃/分で昇温していった時に(2nd.ru
n)ベースラインの偏奇し始める温度として定義した。
【0018】本発明の、示差走査熱量分析法において観
測される吸熱ピークを支持体に作る方法は特に限定する
ものではないが、結果的に50℃〜270℃の間に融解
ピークや製膜過程で形成されるピーク以外に少なくとも
2つの吸熱ピークが観測され、かつその内、少なくとも
1つの吸熱ピークが支持体のTgを跨ぐか又はTg以下
の温度に観測されればよい。更にTgを跨ぐか又はTg
以下に観測される吸熱ピークの総吸熱量が100mca
l/g以上1000mcal/g以下になることが好ま
しい。100mcal/g未満では巻き癖低減効果が充
分ではなく、1000mcal/gを越えるとその効果
は飽和してしまうばかりでなく、加熱処理により吸熱ピ
ークを形成した場合には熱処理時間が長くなりベースが
着色し始め、透明性が悪くなってしまう。上記吸熱ピー
クの総吸熱量は、より好ましくは150mcal/g以
上400mcal/g以下である。また、前述した50
℃〜270℃の間の吸熱ピークの内、最高温度の吸熱ピ
ークと最低温度の吸熱ピークとの温度差ΔTが30℃〜
220℃の範囲にあることが、耐熱安定性をより広い温
度範囲にするために好ましい。更に、吸熱ピークの数も
3つ又はそれ以上あると、耐熱安定性が向上し、より好
ましい。
【0019】本発明において吸熱ピークとはDSC分析
において観測される吸熱ピークで、熱処理した支持体1
0mgをアルミ製のサンプルパンに詰め10℃/分で、
一度溶融せずに室温から昇温した時に(1st.ru
n)出現する吸熱ピークのことである。吸熱ピークの吸
熱量はベースラインとピークの囲む面積を単位グラム当
たりに換算した量としている。
【0020】また、’Tgを跨ぐ’吸熱ピークとは吸熱
ピークの立ち上がり、つまりベースラインから0.1m
cal/s以上偏奇し始める温度と偏奇した吸熱ピーク
のラインがベースラインへ戻る温度の間に支持体のTg
があることを示している。Tg以下又はTgを跨ぐ吸熱
ピークは、特にユーザーに使用された時に曝される温度
やTg近傍温度での巻き癖性能安定性付与する上で必要
である。吸熱ピークの数え方は、明らかにピークが分か
れて存在する場合はそのピークの数を、又、複数個(2
個以上)の吸熱ピークのピーク温度が近くに存在し、ピ
ークの数がはっきりと区別できない場合は、複数の吸熱
ピークの重なったピークはブロードな形状になり、1個
の吸熱ピークとは区別できるので、この様なブロードな
形状のピークは複数個(2個以上)のピークが存在する
ものとみなす。
【0021】前述した特開平6−35114号、特開平
6−51438号、公開技報94−6023号等のTg
以下の温度での加熱処理(以下、簡単に熱処理とする)
により得られた支持体が巻癖低減効果を示す理由は次の
ように説明することができる。
【0022】つまり通常、溶融製膜された支持体は、T
g以上の温度から急激にTg以下の温度まで冷却され
る。Tg以上の温度では、分子はミクロブラウン運動を
行っており、分子間の隙間の大きい構造、すなわち自由
体積の大きな状態である。これを急冷すると、分子が安
定状態へ変化するスピードが追いつかずそのままの状態
で固定されるため、自由体積の大きな支持体となる。こ
のような支持体は、大きな自由体積に向かってセグメン
トがジャンプしながら移動するため、非常にクリープし
易い、すなわち巻き癖カールの付き易い状態である。こ
のような支持体を前記方法でTgを下回る温度で熱処理
すると、自由体積の大きな不安定な状態から自由体積の
小さな安定状態へシフトしていく。これにより、クリー
プの少ない、すなわち巻き癖の付きにくい支持体になる
と考えられる。この様な熱処理により自由体積の小さく
なった支持体は、溶融せずにDSCで室温から昇温しな
がら測定すると(1st.run)、自由体積の小さな
状態から、吸熱を伴いながら急激に自由体積の大きな状
態へ変化し、DSCのサーモグラム上で1つの吸熱ピー
クとして検出される。
【0023】ところが、この様な支持体を、熱処理した
温度以上の温度や、それ以下の温度でも長時間曝すと、
吸熱ピークが減少して巻き癖カール低減効果が低下して
しまう。例えば、110℃で1日程度熱処理した支持体
を80℃の温度下に曝すことによって、110℃の吸熱
ピークの面積は減少し、更に長い時間曝していくと熱処
理による110℃の吸熱ピークは消失する。この様な高
温下に曝した後の支持体を巻芯に巻き付け、真夏の車中
を想定した80℃で2時間でコアセットすると巻き癖が
強く付いてしまう。同様に、110℃で1日程度熱処理
した支持体を150℃に3分程度曝すと、110℃のピ
ークはやはり減少、又は消失してしまい巻き癖カール低
減効果は低下、又は消失してしまうことが判った。
【0024】上記の現象をふまえ検討した結果、支持体
がある温度に曝されても、支持体にあらかじめ曝される
温度に対応した吸熱ピークを作っておくことにより、巻
き癖カール低減効果に有効な吸熱ピークの減少が抑えら
れることを見い出し、本発明にいたった。例えば、予め
110℃と150℃に吸熱ピークを作っておいた支持体
では150℃の温度に曝しても、110℃のピークの減
少は小さく、巻き癖カール低減効果は維持されていた。
また、予め80℃と110℃に吸熱ピーク作っておいた
支持体は80℃の熱に曝しても両吸熱ピークは殆ど減少
せず、巻き癖カール低減効果は維持していた。
【0025】この様な効果の発現する理由の詳細は不明
だが、予め様々な温度に吸熱ピークを作っておくことで
支持体内に予めそれらの温度に対して安定な分子構造が
存在する様になるため、支持体がそれらの温度に曝され
ても分子の再編成が生じ難くなる事に由来すると考えら
れる。そのため巻き癖カールを付き難くするのに有効な
吸熱ピークが様々な温度に曝した場合にも安定に存在で
きるものと考えられる。このことから示差走査熱量分析
法による測定において、様々な温度に吸熱ピークが観測
されるように支持体を処理する事によって、様々な温度
に対して巻き癖低減効果が安定した支持体を得ることが
できたのである。
【0026】本発明の写真用ポリエステル支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリシクロヘキサヘキサンジメタノール等のホ
モポリマー、及びテレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸とエチレングリコールのコポリマー(テレフタル酸と
ナフタレンジカルボン酸の混合モル比は0.7:0.3
〜0:1.0の間が好ましい。)、テレフタル酸とエチ
レングリコール、ビスフェノールAのコポリマー(エチ
レングリコールとビスフェノールAの混合モル比は0.
6:0.4〜0.8:0.2の間が好ましい。)等の共
重合体が好ましい。
【0027】本発明のポリエステルのTgは90℃以上
200℃以下のものが好ましい。一般ユーザーに使われ
た際に曝される最も高い温度として真夏の炎天下の車中
が考えられる。真夏の炎天下の車中は80℃以上にもな
る。この様な場所に置かれる事を考慮するとポリエステ
ルの物性が大きく変化してしまうTgは80℃より高い
ことが好ましい。そこで、80℃より高い温度、90℃
以上のTgを持つポリエステルが好ましいのである。ま
た、Tgが200℃越えるポリエステルで、写真用支持
体として使用可能な透明性を有したものは現在存在しな
い。従って、本発明のポリエステルのTgは90℃以上
200℃以下のものが好ましい。
【0028】本発明で用いる前述のポリエステルは、ホ
モポリマーであるPENや、PENとPETをブレンド
(6:4〜8:2の割合が好ましい)したポリマーブレ
ンド等、色々存在するが、特に力学強度及びコストをバ
ランスして高い性能を持つのがナフタレンジカルボン酸
とジオールを主成分とするポリエチレンナフタレート系
のポリエステルが好ましく挙げられる。特にポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートは分子鎖の剛直性などからフ
ィルムにした場合の弾性率が高く好ましい。尚、本発明
の説明で用いるナフタレートとはナフタレンジカルボキ
シレートを意味する。
【0029】また、本発明のポリエステルには、ライト
パインピング現象を防止する目的で、染料を含有させる
ことが好ましい。この様な目的で配合される染料として
は、その種類に特に限定はないが、本発明の写真用ポリ
エステル支持体の製造上、耐熱性に優れていることが必
要であり、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げ
られる。また、色調としては一般の写真感光材料に見ら
れるようなグレー染料が好ましい。これらの染料として
は、Bayer社製MACROLEXシリーズ、住友化
学株式会社製のSUMIPLASTシリーズ、三菱化成
株式会社製のDiaresinシリーズ等の中から一種
類単独で、もしくは二種類以上の染料の必要な色調とな
るように混合して用いることが出来る。
【0030】この際、上記写真用ポリエステル支持体の
分光透過率を400nm〜700nmの波長範囲で50
%以上85%以下とするように染料を用いることがライ
トパインピング現象を防止し、かつ良好な写真プリント
を得る上で好ましい。
【0031】更に、本発明の写真用ポリエステル支持体
には必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑
性付与の手段としては特に限定はないが、ポリエステル
に不活性無機粒子を添加する外部粒子添加法、ポリエス
テルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出
法、あるいは界面活性剤などを写真用ポリエステル支持
体表面に塗布する方法等が一般的である。これらの中で
も、析出する粒子を比較的小さくコントロールできる内
部粒子析出法が、写真用ポリエステル支持体の透明性を
損なうことなく易滑性を付与できるので好ましい。触媒
としては公知の各種触媒が使用できるが、特にCa、M
nを使用すると高い透明性が得られるので好ましい。こ
れらの触媒は一種でも良いし、二種以上併用しても良
い。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に具体的に
説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるも
のではない。
【0033】実施例においては写真用ポリエステル支持
体として、下記の方法で作成したPENフィルムを用い
た。まず初めにPENフィルムの物性値を測定する方法
について説明する。
【0034】(1)Tg、Tmの測定 (株)リガク製DSC8230型を用い示差走査熱量分
析(DSC)を行い、Tg、Tmを求めた。サンプルフ
ィルム10mgを窒素気流中、300℃まで昇温し融解
後急冷したサンプルを真空乾燥した後、同様な方法で1
0℃/分で昇温していった時に(2nd.run)ベー
スラインの偏奇し始める温度としてTgを定義し、その
後出現する融解に伴う吸熱ピークのピーク温度をTmと
定義する。
【0035】(2)固有粘度(IV)の測定 フィルムあるいはペレットを、フェノールと1,1,
2,2−テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比60:
40)に溶かし、濃度0.2g/dl、0.6g/d
l、1.0g/dlの溶液を作成し、ウベローデ型粘度
計により、20℃で、それぞれの濃度(C)における比
粘度(RV)を求め、RV/CをCに対してプロット
し、得られた直線を濃度0に補外して求めた。単位はd
l/gである。
【0036】(3)ヘーズの測定 (株)東京電飾製のヘーズメーターモデルTC−HIII
を用いて、ASTM−D1003−52に従って製膜し
たPENフィルムのヘーズを測定した。
【0037】(4)弾性率、破断強度の測定 (株)オリエンテック社製の引っ張り試験器テンシロン
を用いて、製膜したPENフィルムの引っ張り弾性率
と、破断強度を測定した。
【0038】(5)複屈折率の測定 (株)アタゴ製のアッベ屈折計で、測定試薬として硫黄
ヨウ化メチレンを用いて、PENフィルムの縦方向(製
膜方向)、横方向、厚み方向の屈折率を測定し、以下の
式により複屈折率を算出した。
【0039】(縦方向の屈折率+横方向の屈折率)/
2)−厚み方向の屈折率 以上のような方法で、以下に記したように製膜したPE
Nフィルムの物性値を測定した。
【0040】試料の作成 ポリエステル支持体として、市販のポリエチレン−2,
6−ナフタレートポリマーを常法により乾燥した後、3
00℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、ロール式縦
延伸機を用いて、140℃で3.3倍の縦延伸を行い、
続いてテンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン1
45℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸
ゾーン155℃で総横延伸倍率3.3倍となるように延
伸した。
【0041】次いで100℃で2秒間熱処理し、更に第
一熱固定ゾーンにおいて200℃で15秒間熱固定し、
第二熱固定ゾーンにおいて240℃で5秒間熱固定し
た。次いで横方向に5%緩和処理しながらTgまで60
秒間で冷却し、更に室温まで60秒かけて冷却した。そ
の結果以下の物性値を示す二軸延伸されたポリエチレン
−2,6−ナフタレート(PEN)フィルムを得た。
【0042】 得られたPENフィルムに以下に示すように複数個の吸
熱ピークを形成し、それらのサンプルの評価を行った。
【0043】(1)支持体の処理 支持体に吸熱ピークを持たせる為の処理の方法は特に限
定するものではないが、今回は、得られたPENフィル
ムをその融点以下の温度(t1とする)で熱処理し、続
いてt1未満の温度(t2)で処理するという方法を繰り
返して表1に示したように複数個のピークを作った。支
持体のTgを跨ぐような吸熱ピークは、Tg近傍の温度
で処理することによって得られる。吸熱量は熱処理時間
を変えることで変化させた。得られたサンプルについ
て、吸熱ピークの吸熱量、ピーク温度、巻き癖カール、
透明性の評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0044】(2)吸熱量、ピーク温度の測定 本発明において吸熱ピークとは、熱処理した支持体10
mgをアルミ製のサンプルパンに詰め、真空乾燥後にD
SCで10℃/分で室温から昇温した時に(1st.r
un)出現する吸熱ピークのことである。また、ベース
ラインとピークの囲む面積を単位グラム当たりに換算し
た量を吸熱量とし、ピーク温度は、吸熱ピークが頂点を
示す温度とした。測定には(株)リガク製DSC823
0型を用いた。
【0045】(3)巻き癖カール測定及び評価 今回の実験では、フィルム加工時又は加工後にフィルム
が曝される温度、時間を想定して、現像処理時の乾燥工
程として60℃×10min、有機溶剤を用いて塗布を
行う場合の乾燥工程として90℃×5min、水を溶剤
として塗布を行う場合の乾燥工程として120℃×2m
inと選んだ。これらの温度、時間に熱処理後の支持体
を連続的に曝した後、24mm×1500mmサイズに
切った支持体を7mmφアルミ巻芯に巻き付け、真夏の
車中に放置された場合を想定して80℃×2hr処理で
コアセットした。コアセット後23℃−55%RH下で
1hr放置し、アルミ棒から外してカールゲージを用い
て試料の中で最も巻き癖カールの強い部分の巻き癖カー
ル値を測定した。その後、同じように3種類の温度に曝
した支持体に特開平6−89011号の実施例に記載の
感光層とバック層を塗設した試料を80℃×2hrでコ
アセットし、巻き癖のついた試料をコニカ製KP−50
QA型ミニラボに通した。スリ傷、折れ等のトラブルが
発生するか調べた結果、以下の基準により支持体のカー
ル値が100(1/m)以上を×、86〜100未満
(1/m)を△、70〜86未満(1/m)を○、70
(1/m)未満以下を◎と評価した。
【0046】実用上、支持体の巻き癖カールが86(1
/m)未満であることが必要である。
【0047】 評価 巻き癖カール値 基準 × 100以上 ミニラボ搬送時に致命的なトラブルが発生、 △ 86〜100未満 ミニラボ搬送時にトラブルが発生、 ○ 70〜86未満 ミニラボ搬送時にトラブル発生せず、 ◎ 70未満 ミニラボ搬送時にトラブル発生せず、ハンド リング良好。
【0048】(4)透明性評価 熱処理後の支持体の透明性を目視評価した熱処理を施し
ていないサンプルに比べて変化の無いサンプルを○、写
真用として問題の無いレベルの着色を△、写真用として
問題があるレベルの着色を×と評価した。
【0049】結果を以下に示す。
【0050】
【表1】
【0051】尚、表中の吸熱量は支持体のTgを跨ぐか
又はTg以下の吸熱ピークの総吸熱量、又有効なピーク
とは、支持体のTgを跨ぐか又はTg以下に観測される
吸熱ピークを表す。
【0052】表1から明らかなように、本発明の、示差
走査熱量分析法による測定において、50℃〜270℃
の間に融解ピークや製膜過程で形成されるピーク以外に
少なくとも2つの吸熱ピークが存在し、かつ該吸熱ピー
クの内、少なくとも1つの吸熱ピークは支持体のTgを
跨ぐか又は、Tg以下の温度で観測される支持体は、様
々な温度下に曝された後でも巻き癖カール低減効果が持
続されていることが分かる。更に、支持体のTgを跨ぐ
か又は、Tg以下の温度に観測される吸熱ピークの総吸
熱量が100mcal/g以上1000mcal/g以
下となり、前記50℃〜270℃の間に観測される吸熱
ピークの内最高温度の吸熱ピークと最低温度の吸熱ピー
クとの温度差ΔTが30℃〜220℃の範囲にある支持
体では、巻き癖カール値も低くく抑えられたまま巻き癖
カール低減効果が持続され、更に透明性にも優れている
ことが分かる。
【0053】また、吸熱量が1000mcal/gを超
えた支持体は透明性の評価で、やや黄味着色が認められ
られたが、実用上問題ないレベルであった。
【0054】
【発明の効果】実施例で実証した如く、本発明による写
真用ポリエステル支持体は巻き癖カールがつきにくく、
かつフィルムが高温に曝されても巻き癖カール低減効果
が損なわれず、巻き癖カール低減効果の安定した優れた
効果を有する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示差走査熱量分析法による測定におい
    て、50℃〜270℃の間に融解ピークや製膜過程で形
    成されるピーク以外に少なくとも2つの吸熱ピークが存
    在し、かつ該吸熱ピークの内、少なくとも1つの吸熱ピ
    ークが支持体のガラス転移温度(Tg)を跨ぐか又はT
    g以下の温度で観測されることを特徴とする写真用ポリ
    エステル支持体。
  2. 【請求項2】 支持体のガラス転移温度(Tg)を跨ぐ
    か又はTg以下の温度で観測される吸熱ピークの総吸熱
    量が100mcal/g以上1000mcal/g以下
    となることを特徴とする請求項1に記載の写真用ポリエ
    ステル支持体。
  3. 【請求項3】 前記50℃〜270℃の間の吸熱ピーク
    の内、最高温度の吸熱ピークと最低温度の吸熱ピークと
    の温度差ΔTが30℃〜220℃の範囲にあることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の写真用ポリエステル支
    持体。
  4. 【請求項4】 前記支持体のガラス転移温度(Tg)が
    90℃以上200℃以下であるポリエステルからなるこ
    とを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の写真
    用ポリエステル支持体。
  5. 【請求項5】 前記支持体がナフタレンジカルボン酸と
    エチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請
    求項1〜4の何れか1項に記載の写真用ポリエステル支
    持体。
  6. 【請求項6】 前記支持体がポリエチレン−2,6−ナ
    フタレートであることを特徴とする請求項1〜5の何れ
    か1項に記載の写真用ポリエステル支持体。
JP8177785A 1996-07-08 1996-07-08 写真用ポリエステル支持体 Pending JPH1020441A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6303210B1 (en) * 1998-09-11 2001-10-16 Teijin Limited Biaxially oriented polyester film for thermal transfer ribbon, laminated film composed thereof and its production

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US6303210B1 (en) * 1998-09-11 2001-10-16 Teijin Limited Biaxially oriented polyester film for thermal transfer ribbon, laminated film composed thereof and its production

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