JP4782617B2 - ポリエステル積層フィルムのロール - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル積層フィルムのロールに関し、詳しくは、高い反射率を備えかつ耐光性およびカール特性に優れる二軸延伸されたポリエステル積層フィルムのロールに関する。
液晶ディスプレイにおいて従来、ディスプレイの背面からライトを当てるバックライト方式が採用されていたが、近年、特開昭63−62104号公報に示されるようなサイドライト方式が、薄型で均一に照明できるメリットから、広く用いられるようになっている。このサイドライト方式では背面に反射板を設置するが、この反射板には光の高い反射性および高い拡散性が要求される。
側面もしくは背面から直接当てるライトとして用いられる光源の冷陰極管からは紫外線が発生するため、液晶ディスプレイの使用時間が長くなると、反射板のフィルムが紫外線によって劣化し、画面の輝度が低下する。また、近年、液晶ディスプレイの大画面化に伴い反射フィルム自体も大面積化が求められ、かつフィルム自体の厚みも増してきたため、ロール状態にて製造されるフィルムのカール特性も重要視されるようになってきている。このため従来フィルムにおいてはロールから画面サイズに切り出した際、巻き方向のカールが生じているため、巻き方向のカールを除去すべく、逆方向に巻き返したり、熱処理を行う必要があった。
特開昭63−62104号公報 特公平8−16175号公報 特開2004−50479号公報 特開2004−330727号公報 特開2005−125700号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決することを課題とし、実用上十分な可視光領域の反射性能を備え、安定して製膜することができ、紫外線による劣化(黄変)が抑制され、カール特性の優れた、液晶ディスプレイや内照式電飾看板用の反射板基材として好適に用いることのできる、積層フィルムロールを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層を最も外側の層として備えボイド体積率0〜25%の低ボイド率層を高ボイド率層に接して備えるポリエステル積層フィルムのロールであって、高ボイド率層がロールの内面側になるように巻かれている、ポリエステル積層フィルムのロールである。
本発明によれば、実用上十分な可視光領域の反射性能を備え、安定して製膜することができ、紫外線による劣化(黄変)が抑制され、カール特性に優れた液晶ディスプレイや内照式電飾看板用の反射板基材として好適に用いることのできる、積層フィルムロールを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル積層フィルムのロールは、ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層とこの高ボイド率層に接するボイド体積率0〜25%の低ボイド率層から構成される。
[高ボイド率層]
高ボイド率層は、ポリエステルに無機粒子および/または非相溶樹脂からなる組成物を延伸することによって、ボイド体積率が30〜80%となるようにボイドを形成した層である。
[ポリエステル]
ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートといったポリエステルを用いることができる。製膜安定性の観点から、イソフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を共重合ジカルボン酸成分として1〜20モル%、さらに好ましくは3〜18モル%、特に好ましくは5〜15モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。そして、耐熱性を向上する観点からは、ナフタレンジカルボン酸をジカルボン酸成分として使用するのが好ましく、この観点から、ナフタレンジカルボン酸1〜20モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。ナフタレンジカルボン酸成分が1モル%未満であると耐熱性が向上しなかったり、延伸性が確保できなく、20モル%を超えてもかえって熱安定性や製膜安定性に劣るフィルムとなることがあり、好ましくない。
高ボイド率層のポリエステルは、アンチモンを実質的に含有しないほうが好ましい。実質的に含有しないとは、含有量が例えば20ppm以下、好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下をいう。アンチモンを実質的に含有すると白色フィルムのうえに黒い筋状の欠点が見え、フィルム外観を著しく損なってしまう場合があり好ましくない。
アンチモンを実質的に含有しないポリエステルを得るためには、ポリエステルをアンチモン化合物以外の触媒を用いて重合する。そのために、ポリエステルの重合に使用する触媒として、マンガン(Mn)化合物、チタン(Ti)化合物、ゲルマニウム(Ge)化合物のいずれかを用いることが好ましい。
チタン化合物としては、例えば、チタンテトラブトキシド、酢酸チタンを用いることができる。ゲルマニウム化合物としては、例えば、無定形酸化ゲルマニウム、微細な結晶性酸化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウムをアルカリ金属またはアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在化にグリコールに溶解した溶液、酸化ゲルマニウムを水に溶解した溶液を用いることができる。
[無機粒子]
高ボイド率層のボイド率を得るためには、ポリエステルにボイド形成性物質を含有させたポリエステル組成物を延伸すればよい。
ボイド形成性物質としては、無機粒子、非相溶樹脂を用いることができる。無機粒子を用いる場合、ポリエステル組成物中に無機粒子31〜70重量%を含有させるとよい。すなわち、高ボイド率層は、ポリエステル30〜69重量%および無機粒子31〜70重量%からなることが好ましい。無機粒子が31重量%未満であると反射率が低下したり紫外線に因る劣化が激しくなったりして好ましくない。他方、70重量%を超えるとフィルムが破れやすくなる等の製造上の問題が生じやすくなり好ましくない。
無機粒子は、その平均粒径が0.3〜3.0μm、好ましくは0.4〜2.5μm、さらにより好ましくは0.5〜2.0μmのものを用いるとよい。平均粒径が0.3μm未満であると分散性が極端に悪くなり、粒子の凝集が起こるため生産工程上のトラブルが発生し易く、フィルムに粗大突起を形成し、光沢の劣ったフィルムになったり、溶融押出し時に用いられるフィルターが粗大粒子により目詰まりを生じさせる可能性がある。他方、平均粒径が3.0μmを超えるとフィルムの表面が粗くなり光沢が低下するばかりか、適切な範囲に光沢度をコントロールすることが困難となる。
無機粒子としては、高い反射性能を得る観点から、好ましくは白色顔料を用いる。白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、好ましくは硫酸バリウム、二酸化チタン、特に好ましくは硫酸バリウムを用いる。この硫酸バリウムは板状、球状いずれの粒子形状でもよい。硫酸バリウムを用いることで一層良好な反射率を得ることができる。
無機粒子として、二酸化チタンを用いる場合、好ましくはルチル型二酸化チタンを用いる。ルチル型二酸化チタンを用いると、アナターゼ型二酸化チタンを用いた場合よりも、光線を長時間ポリエステルフィルムに照射した後の黄変が少なく、色差の変化を抑制することができるので好ましい。このルチル型二酸化チタンは、ステアリン酸等の脂肪酸およびその誘導体等を用いて処理して用いると、分散性を向上させることができ、フィルムの光沢度を一層向上させることができるので好ましい。
なお、ルチル型二酸化チタンを用いる場合には、ポリエステルに添加する前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。精製プロセスの工業的手段としては、粉砕手段としては、例えばジェットミル、ボールミルを適用することができ、分級手段としては、例えば乾式もしくは湿式の遠心分離を適用することができる。これらの手段は2種以上を組み合わせ、段階的に精製しても良い。
無機粒子をポリエステル組成物に含有させる方法としては、下記のいずれかの方法をとることが好ましい。
(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法において無機粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して所定量の添加物を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
なお、前記(ア)のポリエステル合成時に添加する方法を用いる場合には、二酸化チタンにおいてはグリコールに分散したスラリーとして、反応系に添加することが好ましい。
特に上記(ウ)または(エ)の方法をとることが好ましい。
本発明では、製膜時のフィルターとして線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用い、溶融ポリマーを濾過することが好ましい。この濾過を行なうことにより、一般的には凝集して粗大凝集粒子となやすい粒子の凝集を抑えて、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。
[非相溶樹脂]
ボイド形成性物質として、ポリエステルと非相溶な樹脂を用いる場合、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレンといった樹脂を用いることができる。具体的には、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを例示することができ、中でもポリプロピレン、ポリメチルペンテンが樹脂自体が高透明であるため、光の吸収を抑えて反射率を向上させることが可能であるため特に好ましく用いられる。
この「ポリエステルと非相溶な樹脂」、すなわち非相溶樹脂の添加量は、5〜40重量%、好ましくは6〜38重量%、さらに好ましくは7〜35重量%である。すなわち、高ボイド率層は、ポリエステル60〜95重量%および非相溶樹脂5〜40重量%からなることが好ましい。非相溶樹脂が5重量%未満であると十分な反射率が得られず好ましくない。他方、40重量%を超えると製膜安定性が劣るものとなり好ましくない。
なお、ボイド形成性物質の無機粒子と非相溶樹脂は併用してもよい。この場合、高ボイド層には、無機粒子と非相溶樹脂を合計31〜70重量%配合すれるとよい。
[低ボイド率層]
低ボイド率層は、ボイド体積率0〜25%の層であり、高ボイド率層に接して配置される。低ボイド率層を構成するポリエステルには、高ボイド率層を構成するものと同様のポリエステルを用いてもよく、異なるポリエステルを用いてもよい。用いられるポリエステルは、共重合ポリエステルでもホモポリエステルでもよいが、製造する上で造り易さの観点からは高ボイド率層と同一である方が望ましい。
低ボイド率層は、ボイド形成性物質を含有しないか、高ボイド率層に含有されるよりも少ない量のボイド形成性物質を含有させることによって、相対的に低いボイド率の層として得ることができる。ボイド形成性物質としては、高ボイド率層で用いるられるものとて挙げたものと用いることができる。ボイド形成性物質は高ボイド率層と低ボイド率層とで異なってもよく、同じ種類であってもよい。同じ種類であれば、回収再利用の際に有利であり、製造の効率を挙げることができて好ましい。
[層厚み]
高ボイド率層の厚みは、高ボイド率層および低ボイド率層の合計厚み100に対して、好ましくは30〜90、さらに好ましくは35〜85である。30未満であると反射率が劣る可能性があり好ましくなく、90を超えると延伸性の観点から好ましくない。高ボイド率層は、反射率が高く、反射面に用いることが好ましい。
[蛍光増白剤]
本発明の積層フィルムには、蛍光増白剤を配合してもよい。蛍光増白剤は、高ボイド率層または低ボイド率層のいずれに配合してもよく、両方の層に配合してもよい。蛍光増白剤を配合する場合のポリエステル組成物に対する濃度は、例えば0.005〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。蛍光増白剤が0.005重量%未満であると350nm付近の波長域の反射率が十分でないので添加する意味が乏しく好ましくない。他方、0.2重量%を越えると蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。蛍光増白剤としては、例えばOB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)を用いることができる。
[製造方法]
以下、本発明における積層フィルムを製造する方法の一例として、高ボイド率層/低ボイド率層のフィルムロールの製造方法の一例を説明する。ダイから溶融したポリマーをフィードブロックを用いた同時多層押出し法により、積層未延伸シートを製造する。すなわち高ボイド率層を形成するポリマーの溶融物と低ボイド率層を形成するポリマーの溶融物を、フィードブロックを用いて例えば高ボイド率層/低ボイド率層となるように共押し出しにより積層し、ダイに展開して押出しを実施する。このとき、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。
ダイより押出された未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸フィルムとなる。この未延伸状フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度、さらにはTg〜70℃高い温度とするのが好ましい。延伸倍率は、用途の要求特性にもよるが、縦方向、縦方向と直交する方向(以降、横方向と呼ぶ)ともに、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
縦延伸後のフィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始める。そしてTgより(5〜70)℃高い温度まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。
横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm−20〜100)℃で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。これより高い温度であるとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。また、熱処理温度が(Tm−80)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがある。また、熱固定後フィルム温度を常温に戻す過程で(Tm−20〜100)℃以下の領域の熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜1.5%、さらに好ましくは0.2〜1.2%、特に好ましくは0.3〜1.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
ここでは、逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、本発明の積層フィルムは逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法で延伸してもよい。
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、85℃の熱収縮率が、直交する2方向ともに0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下とすることができる。また作製されたフィルムは張力10〜60kg/m、接圧20〜100kg/mにてロール状態に巻き取り、その後、使用する型のサイズに断裁されて使用することが出来る。
2軸延伸後の積層フィルムの厚みは、好ましくは30〜350μm、さらに好ましくは40〜320μm、特に好ましくは50〜300μmである。30μm未満であると反射率が低下し、350μmを超えるとこれ以上厚くしても反射率の上昇が望めないことから好ましくない。
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、その少なくとも一方の表面の反射率が波長400〜700nmの平均反射率でみて92%以上、さらに好ましくは94%以上、さらに好ましくは96%以上である。92%未満であると十分な画面の輝度を得ることができないので好ましくない。
延伸された積層フィルムは、ロールの形状に巻き取られてフィルムロールとする。フィルムロールに巻き取るとき、本発明においては、高ボイド率層がロールの内面側になるように巻くことが肝要である。高ボイド率層がロールの内面側になるように巻くことで、フィルムのカールを抑制することができる。すなわち、実用上十分な可視光領域の反射性能を備え、安定して製膜することができ、紫外線による劣化(黄変)が抑制されるとともに、カール特性の優れた積層フィルムのロールを得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点で厚みを測定して、それらの平均値をフィルムの厚みとした。
(2)各層の厚み
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定して、各層の平均厚みを求めた。
(3)反射率評価
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO白板を100%としたときのフィルムサンプルの反射率を400〜700nmの波長域にわたって測定し、得られた反射率チャートから2nm間隔で反射率を読み取った。なお、フィルムの構成が一方の面が高ボイド率層、他方の面が低ボイド率層の場合には、高ボイド率層側の反射率の測定を行った。上記の範囲内で平均値を求めた。次の基準で反射率の評価を行った。
○:平均反射率92%以上かつ全測定領域において反射率92%以上
△:平均反射率92%以上であるが反射率92%未満の波長域もある
×:平均反射率92%未満
(4)延伸性評価
未延伸フィルムを延伸する際の製膜の状況を観察し、下記基準で評価した。
○:1時間以上安定して製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定した製膜ができない
(5)85℃熱収縮率
85℃に設定されたオーブン中でフィルムサンプルを無緊張状態で30分間保持し、加熱処理前後の標点間距離を測定し、下記式により熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=((L0−L)/L0)×100
L0:熱処理前の標点間距離
L :熱処理後の標点間距離
(6)ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
(7)紫外線による劣化(耐光性評価)
フィルムサンプルにキセノンランプ照射(SUNTEST CPS+)にてパネル温度60℃、照射時間300時間の条件で光照射を行い、光照射前後での色変化をみた。なおフィルムの構成が一方の面が高ボイド率層、他方の面が低ボイド率層の場合、高ボイド率層側から光照射を行い測定を行った。
初期のフィルムサンプルの色相(L 、a 、b )と照射後のフィルムサンプルの色相(L 、a 、b )とを色差計(日本電飾製SZS−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)にて測定し、色変化dEを下記式で計算し、下記基準で評価した。
dE={(L −L +(a −a +(b*−b 1/2
○: dE≦10
△:10<dE≦15
×:15<dE
(8)熱による変形(たわみ評価)
フィルムサンプルをA4版に切り出し、フィルムの4辺を金枠で固定したまま、80℃に加熱したオーブンで30分間処理した後、変形(フィルムのたわみ状態)を目視にて観察し、下記基準で評価した。
○:たわんだ状態が観察されない
△:一部に軽微なたわみが観察される
×:たわんだ部分があり、たわみの凹凸が5mm以上の隆起として観察される
(9)カール特性(評価1)
フィルムロールからB4版サイズの長辺が巻取り方向になるように切り出しを行ない、平面に置いた際のフィルム両端の浮き上りを測定して下記基準で評価した。
×: 50mm以上
△:30〜50mm
:30mm未満
(10)カール特性(評価2)
フィルムを10mm幅×150mm長さの短冊状に切り出し、直径1インチの紙管に巻き付け、常温、相対湿度55%にて24時間保管した後、解放し平板に置いた際に観察される浮き上りを測定して下記基準で評価した。なお、紙管への巻きつけは、高ボイド率層を内面側にして巻くもの3本、高ボイド率層を外面側にして巻くもの3本として、合計6サンプルについて測定し、浮き上りの大きい方から3サンプルの平均をとった。
×: 45mmを超える
△:30〜45mm
○:30mm未満
(11)ボイド体積率
高ボイド層のみを剥離して、高ボイド層の密度を、アントンパール社製振動式デジタル密度計DMA4500にて求めた。その後、フィルムを溶融して密度を求め、ボイド体積率を下記式にて算出した。
ボイド体積率(%)=100−100×(溶融前の密度)/(溶融後の密度)
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル132重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル23重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5wt%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。このポリエステル樹脂を高ボイド率低ボイド率層に用い、表1に示す不活性粒子を添加した。それぞれ285℃に加熱された2台の押出機に供給し、高ボイド率層ポリマー、低ボイド率層ポリマーを高ボイド率層Aと低ボイド率層BがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを記載された温度にて加熱し長手方向(縦方向)に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に延伸した。その後テンター内で表2の温度で熱固定を行い、表2に示す条件にて縦方向の弛緩、横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして張力250N/m、接圧250N/mにて直径6インチの管にロール状態として200m/分の速度にて巻取りフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの反射板基材としての物性は表2の通りであった。
Figure 0004782617
Figure 0004782617
[実施例2〜12]
表1に示す添加量、不活性粒子およびポリエステルの酸成分に調整して添加し、表2に示す製膜条件にてフィルムを製膜する他は、実施例1と同様にして積層フィルムのロールを製造して評価を行った。
[比較例1〜11]
実施例1と同様にポリマーを重合し、表1および2に示す条件をとる他は実施例1と同様にして積層フィルムのロールを作成した。比較例の一部においてはナフタレンジカルボン酸ジメチルの替わりにテレフタル酸ジメチルのみやイソフタル酸ジメチルを用いた。結果は表に示す通りとなった。
本発明の積層フィルムのロールは、光線の反射率が高く、紫外線に対する劣化が抑えられ、カール特性に優れ、適切な大きさのシートに切り出して、各種の反射板、中でも特に液晶ディスプレイの反射板や太陽電池のバックシートに最適に用いることができる。これらの反射板として用いる場合には、高ボイド率層を反射面として用いることが好ましい。
また、紙代替、すなわちカード、ラベル、シール、宅配伝票、ビデオプリンタ用受像紙、インクジェット、バーコードプリンタ用受像紙、ポスター、地図、無塵紙、表示板、白板、感熱転写、オフセット印刷、テレフォンカード、ICカードなどの各種印刷記録に用いられる受容シートの基材としても用いることができる。

Claims (3)

  1. ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層を最も外側の層として備えボイド体積率0〜25%の低ボイド率層を高ボイド率層に接して備えるポリエステル積層フィルムのロールであって、高ボイド率層がロールの内面側になるように巻かれている、ポリエステル積層フィルムのロール。
  2. 高ボイド率層と低ボイド率層とが共押出しにより積層されている、請求項1記載のポリエステル積層フィルムのロール。
  3. ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層を最も外側の層として備えボイド体積率0〜25%の低ボイド率層を高ボイド率層に接して備えるポリエステル積層フィルムを、高ボイド率層がロールの内面側になるようにロールの形状に巻取り、ポリエステル積層フィルムのロールを形成し、かかるロールから断裁して得る、反射板用積層フィルムの製造方法
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