JP4782617B2 - ポリエステル積層フィルムのロール - Google Patents
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本発明のポリエステル積層フィルムのロールは、ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層とこの高ボイド率層に接するボイド体積率0〜25%の低ボイド率層から構成される。
高ボイド率層は、ポリエステルに無機粒子および/または非相溶樹脂からなる組成物を延伸することによって、ボイド体積率が30〜80%となるようにボイドを形成した層である。
ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートといったポリエステルを用いることができる。製膜安定性の観点から、イソフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を共重合ジカルボン酸成分として1〜20モル%、さらに好ましくは3〜18モル%、特に好ましくは5〜15モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。そして、耐熱性を向上する観点からは、ナフタレンジカルボン酸をジカルボン酸成分として使用するのが好ましく、この観点から、ナフタレンジカルボン酸1〜20モル%含む共重合ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。ナフタレンジカルボン酸成分が1モル%未満であると耐熱性が向上しなかったり、延伸性が確保できなく、20モル%を超えてもかえって熱安定性や製膜安定性に劣るフィルムとなることがあり、好ましくない。
高ボイド率層のボイド率を得るためには、ポリエステルにボイド形成性物質を含有させたポリエステル組成物を延伸すればよい。
ボイド形成性物質としては、無機粒子、非相溶樹脂を用いることができる。無機粒子を用いる場合、ポリエステル組成物中に無機粒子31〜70重量%を含有させるとよい。すなわち、高ボイド率層は、ポリエステル30〜69重量%および無機粒子31〜70重量%からなることが好ましい。無機粒子が31重量%未満であると反射率が低下したり紫外線に因る劣化が激しくなったりして好ましくない。他方、70重量%を超えるとフィルムが破れやすくなる等の製造上の問題が生じやすくなり好ましくない。
(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法において無機粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して所定量の添加物を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
特に上記(ウ)または(エ)の方法をとることが好ましい。
ボイド形成性物質として、ポリエステルと非相溶な樹脂を用いる場合、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレンといった樹脂を用いることができる。具体的には、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリフルオロスチレン、セルロースアセテートセルロースプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンを例示することができ、中でもポリプロピレン、ポリメチルペンテンが樹脂自体が高透明であるため、光の吸収を抑えて反射率を向上させることが可能であるため特に好ましく用いられる。
なお、ボイド形成性物質の無機粒子と非相溶樹脂は併用してもよい。この場合、高ボイド層には、無機粒子と非相溶樹脂を合計31〜70重量%配合すれるとよい。
低ボイド率層は、ボイド体積率0〜25%の層であり、高ボイド率層に接して配置される。低ボイド率層を構成するポリエステルには、高ボイド率層を構成するものと同様のポリエステルを用いてもよく、異なるポリエステルを用いてもよい。用いられるポリエステルは、共重合ポリエステルでもホモポリエステルでもよいが、製造する上で造り易さの観点からは高ボイド率層と同一である方が望ましい。
高ボイド率層の厚みは、高ボイド率層および低ボイド率層の合計厚み100に対して、好ましくは30〜90、さらに好ましくは35〜85である。30未満であると反射率が劣る可能性があり好ましくなく、90を超えると延伸性の観点から好ましくない。高ボイド率層は、反射率が高く、反射面に用いることが好ましい。
本発明の積層フィルムには、蛍光増白剤を配合してもよい。蛍光増白剤は、高ボイド率層または低ボイド率層のいずれに配合してもよく、両方の層に配合してもよい。蛍光増白剤を配合する場合のポリエステル組成物に対する濃度は、例えば0.005〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。蛍光増白剤が0.005重量%未満であると350nm付近の波長域の反射率が十分でないので添加する意味が乏しく好ましくない。他方、0.2重量%を越えると蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。蛍光増白剤としては、例えばOB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)を用いることができる。
以下、本発明における積層フィルムを製造する方法の一例として、高ボイド率層/低ボイド率層のフィルムロールの製造方法の一例を説明する。ダイから溶融したポリマーをフィードブロックを用いた同時多層押出し法により、積層未延伸シートを製造する。すなわち高ボイド率層を形成するポリマーの溶融物と低ボイド率層を形成するポリマーの溶融物を、フィードブロックを用いて例えば高ボイド率層/低ボイド率層となるように共押し出しにより積層し、ダイに展開して押出しを実施する。このとき、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。
このようにして得られる本発明の積層フィルムは、85℃の熱収縮率が、直交する2方向ともに0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、最も好ましくは0.3%以下とすることができる。また作製されたフィルムは張力10〜60kg/m、接圧20〜100kg/mにてロール状態に巻き取り、その後、使用する型のサイズに断裁されて使用することが出来る。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点で厚みを測定して、それらの平均値をフィルムの厚みとした。
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定して、各層の平均厚みを求めた。
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO4白板を100%としたときのフィルムサンプルの反射率を400〜700nmの波長域にわたって測定し、得られた反射率チャートから2nm間隔で反射率を読み取った。なお、フィルムの構成が一方の面が高ボイド率層、他方の面が低ボイド率層の場合には、高ボイド率層側の反射率の測定を行った。上記の範囲内で平均値を求めた。次の基準で反射率の評価を行った。
○:平均反射率92%以上かつ全測定領域において反射率92%以上
△:平均反射率92%以上であるが反射率92%未満の波長域もある
×:平均反射率92%未満
未延伸フィルムを延伸する際の製膜の状況を観察し、下記基準で評価した。
○:1時間以上安定して製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定した製膜ができない
85℃に設定されたオーブン中でフィルムサンプルを無緊張状態で30分間保持し、加熱処理前後の標点間距離を測定し、下記式により熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=((L0−L)/L0)×100
L0:熱処理前の標点間距離
L :熱処理後の標点間距離
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
フィルムサンプルにキセノンランプ照射(SUNTEST CPS+)にてパネル温度60℃、照射時間300時間の条件で光照射を行い、光照射前後での色変化をみた。なおフィルムの構成が一方の面が高ボイド率層、他方の面が低ボイド率層の場合、高ボイド率層側から光照射を行い測定を行った。
初期のフィルムサンプルの色相(L1 *、a1 *、b1 *)と照射後のフィルムサンプルの色相(L2 *、a2 *、b2 *)とを色差計(日本電飾製SZS−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)にて測定し、色変化dE*を下記式で計算し、下記基準で評価した。
dE*={(L1 *−L2 *)2+(a1 *−a2 *)2+(b1*−b2 *)2}1/2
○: dE*≦10
△:10<dE*≦15
×:15<dE*
フィルムサンプルをA4版に切り出し、フィルムの4辺を金枠で固定したまま、80℃に加熱したオーブンで30分間処理した後、変形(フィルムのたわみ状態)を目視にて観察し、下記基準で評価した。
○:たわんだ状態が観察されない
△:一部に軽微なたわみが観察される
×:たわんだ部分があり、たわみの凹凸が5mm以上の隆起として観察される
フィルムロールからB4版サイズの長辺が巻取り方向になるように切り出しを行ない、平面に置いた際のフィルム両端の浮き上りを測定して下記基準で評価した。
×: 50mm以上
△:30〜50mm
○:30mm未満
フィルムを10mm幅×150mm長さの短冊状に切り出し、直径1インチの紙管に巻き付け、常温、相対湿度55%にて24時間保管した後、解放し平板に置いた際に観察される浮き上りを測定して下記基準で評価した。なお、紙管への巻きつけは、高ボイド率層を内面側にして巻くもの3本、高ボイド率層を外面側にして巻くもの3本として、合計6サンプルについて測定し、浮き上りの大きい方から3サンプルの平均をとった。
×: 45mmを超える
△:30〜45mm
○:30mm未満
高ボイド層のみを剥離して、高ボイド層の密度を、アントンパール社製振動式デジタル密度計DMA4500にて求めた。その後、フィルムを溶融して密度を求め、ボイド体積率を下記式にて算出した。
ボイド体積率(%)=100−100×(溶融前の密度)/(溶融後の密度)
テレフタル酸ジメチル132重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル23重量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5wt%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。このポリエステル樹脂を高ボイド率低ボイド率層に用い、表1に示す不活性粒子を添加した。それぞれ285℃に加熱された2台の押出機に供給し、高ボイド率層ポリマー、低ボイド率層ポリマーを高ボイド率層Aと低ボイド率層BがA/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを記載された温度にて加熱し長手方向(縦方向)に延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に延伸した。その後テンター内で表2の温度で熱固定を行い、表2に示す条件にて縦方向の弛緩、横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして張力250N/m、接圧250N/mにて直径6インチの管にロール状態として200m/分の速度にて巻取りフィルムロールを得た。得られたフィルムロールの反射板基材としての物性は表2の通りであった。
表1に示す添加量、不活性粒子およびポリエステルの酸成分に調整して添加し、表2に示す製膜条件にてフィルムを製膜する他は、実施例1と同様にして積層フィルムのロールを製造して評価を行った。
実施例1と同様にポリマーを重合し、表1および2に示す条件をとる他は実施例1と同様にして積層フィルムのロールを作成した。比較例の一部においてはナフタレンジカルボン酸ジメチルの替わりにテレフタル酸ジメチルのみやイソフタル酸ジメチルを用いた。結果は表に示す通りとなった。
Claims (3)
- ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層を最も外側の層として備えボイド体積率0〜25%の低ボイド率層を高ボイド率層に接して備えるポリエステル積層フィルムのロールであって、高ボイド率層がロールの内面側になるように巻かれている、ポリエステル積層フィルムのロール。
- 高ボイド率層と低ボイド率層とが共押出しにより積層されている、請求項1記載のポリエステル積層フィルムのロール。
- ボイド体積率が30〜80%の高ボイド率層を最も外側の層として備えボイド体積率0〜25%の低ボイド率層を高ボイド率層に接して備えるポリエステル積層フィルムを、高ボイド率層がロールの内面側になるようにロールの形状に巻取り、ポリエステル積層フィルムのロールを形成し、かかるロールから断裁して得る、反射板用積層フィルムの製造方法。
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