JP4971689B2 - 積層フィルム - Google Patents
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層Aのポリエステル組成物を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を1〜100モル%およびテレフタル酸を0〜99モル%含み、エチレングリコールを主たるジオール成分としてなり、
層Bのポリエステル組成物を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を3〜20モル%およびテレフタル酸を80〜97モル%含み、
層Aの厚みは、積層フィルムの層Aおよび層Bの合計厚み100あたり40〜90であり、
層Aおよび層Bのトータルの重量100重量%あたりの不活性粒子の割合が10〜80重量%であり、
少なくとも一方の表面が層Aであり、層A側から光を照射して層Aで光を反射する用途に用いる積層フィルムである。
本発明の積層フィルムは、層Aとこの層Aに接する層Bから構成される。
層Aは、平均粒径0.3〜3.0μmの不活性粒子31〜60重量%を含むポリエステル組成物からなる。層Bは、このA層に接し、平均粒径0.3〜3.0μmの不活性粒子1〜30重量%を含むポリエステル組成物からなる。
層Aおよび層Bのポリエステル組成物を構成するポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートといった公知のポリエステルを用いることができる。特に耐熱性の観点から、層Aおよび層Bのポリエステル組成物を構成するポリエステルは、ポリマーTgが80〜125℃であることが好ましい。
層Aの組成物は不活性粒子を31〜60重量%含有する。31重量%未満であると反射率が低下したり、紫外線に因る劣化が激しくなったり、60重量%を超えるとフィルムが破れやすくなる。また、層Bの組成物は不活性粒子を1〜30重量%含有する。1重量%未満であると滑り性が確保できず、30重量%を超えると非常に破れやすいフィルムとなる。
(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)または(イ)の方法において不活性粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、これらと添加剤を含有しないポリエステルとを混練して所定量の添加物を含有させる方法。
(エ)上記(ウ)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
特に上記(ウ)または(エ)の方法をとることが好ましい。
本発明の積層フィルムには、蛍光増白剤を配合してもよい。蛍光増白剤を配合する場合、層Aまたは層Bのポリエステル組成物に対する濃度として、例えば0.005〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲で配合するといよい。蛍光増白剤の添加量が0.005重量%未満では350nm付近の波長域の反射率が十分でないので添加する意味が乏しく、0.2重量%を越えると、蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。
また、必要に応じて更に性能を上げるために、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等を有する塗剤を本フィルムの少なくとも片面に塗布することもできる。
以下、本発明の積層フィルムを製造する方法の例として、層A/層B/層Aの積層フィルムの製造方法の一例を説明する。ダイから溶融したポリマーをフィードブロックを用いた同時多層押出し法により、積層未延伸シートを製造する。すなわち層Aを形成するポリマーの溶融物と層Bを形成するポリマーの溶融物を、フィードブロックを用いて例えば層A/層B/層Aとなるように積層し、ダイに展開して押出しを実施する。この時、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。
ここでは、逐次二軸延伸法によって延伸する場合を例に詳細に説明したが、本発明の積層フィルムは逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法で延伸してもよい。
(1)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点で厚みを測定して、それらの平均値をフィルムの厚みとした。
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定して、各層の平均厚みを求めた。
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO4白板を100%としたときのフィルムサンプルの反射率を400〜700nmの波長域にわたって測定し、得られた反射率チャートから2nm間隔で反射率を読み取った。なお、フィルムの構成が一方の面が層A、他方の面が層Bの場合には、層A側の反射率の測定を行った。上記の範囲内で平均値を求めた。次の基準で反射率の評価を行った。
○:平均反射率90%以上かつ全測定領域において反射率90%以上
△:平均反射率90%以上であるが反射率90%未満の波長域もある
×:平均反射率90%未満
未延伸フィルムを延伸する際の製膜の状況を観察し、下記基準で評価した。
○:1時間以上安定して製膜できる
×:1時間以内に切断が発生し、安定した製膜ができない
85℃に設定されたオーブン中でフィルムサンプルを無緊張状態で30分間保持し、加熱処理前後の標点間距離を測定し、下記式により熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=((L0−L)/L0)×100
L0:熱処理前の標点間距離
L :熱処理後の標点間距離
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20m/分で測定を行った。
フィルムサンプルにキセノンランプ照射(SUNTEST CPS+)にてパネル温度60℃、照射時間300時間の条件で光照射を行い、光照射前後での色変化をみた。なおフィルムの構成が一方の面が層A、他方の面が層Bの場合、層A側から光照射を行い測定を行った。
初期のフィルムサンプルの色相(L1 *、a1 *、b1 *)と照射後のフィルムサンプルの色相(L2 *、a2 *、b2 *)とを色差計(日本電飾製SZS−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)にて測定し、色変化dE*を下記式で計算し、下記基準で評価した。
dE*={(L1 *−L2 *)2+(a1 *−a2 *)2+(b1*−b2 *)2}1/2
○: dE*≦10
△:10<dE*≦15
×:15<dE*
フィルムサンプルをA4版に切り出し、フィルムの4辺を金枠で固定したまま、80℃に加熱したオーブンで30分間処理した後、変形(フィルムのたわみ状態)を目視にて観察し、下記基準で評価した。
○:たわんだ状態が観察されない
△:一部に軽微なたわみが観察される
×:たわんだ部分があり、たわみの凹凸が5mm以上の隆起として観察される
テレフタル酸ジメチル132重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル23重量部(ポリエステルの全ジカルボン酸成分あたり12モル%)、エチレングリコール96重量部、ジエチレングリコール3.0重量部、酢酸マンガン0.05重量部、酢酸リチウム0.012重量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03重量部、二酸化ゲルマニウム0.04重量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルのジエチレングリコール成分量は2.5wt%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。このポリエステルを層AのポリエステルおよびBのポリエステルとして用い、表1に記載のA層およびB層の組成物を作成した。それぞれ285℃に加熱された2台の押出機に供給し、層Aの組成物と層Bの組成物とを、A/Bとなるような2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。得られたシート状の成形物を、表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して未延伸フィルムとし、これを表2に記載の温度条件にて、加熱および長手方向(縦方向)の延伸を行い、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に、表2記載の条件で延伸した。その後テンター内で表2記載の温度条件で熱固定を行い、縦方向の弛緩および横方向の幅入れを行い、室温まで冷やして二軸延伸された積層フィルムを得た。得られた積層フィルムについて、反射板基材としての物性の評価を行った。結果を表2にまとめる。
ポリエステル組成物の成分を表1に記載のとおり変更して、表2に記載の製膜条件をとる他は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、評価を行った。
ポリマーを重合する段階にて実施例1における2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル23重量部をイソフタル酸ジメチル18重量部(ポリエステルの全ジカルボン酸成分あたりイソフタル酸12モル%共重合)に変更してイソフタル酸共重合ポリエステルを重合した。これと実施例1にて用意した2,6−ナフタレンジカルボン酸共重合ポリマーとをブレンドした。このブレンドは、ジカルボン酸成分のモル%換算においてナフタレンジカルボン酸/イソフタル酸が11/1になるように行った。表1および2に記載の条件にて積層フィルムを作製し、評価を行った。
酢酸マンガンを0.05重量部を酢酸チタン0.02重量部に変更し、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(100モル%)のみを用いた他は実施例1と同様にしてポリエステル(ポリエステルの全ジカルボン酸成分あたりナフタレンジカルボン酸成分100モル%であるポリエチレンナフタレンジカルボキシレート)を重合した。得られたポリエステルの固有粘度は0.68dl/g、融点は268℃、ジエチレングリコール成分量は2.5wt%、チタン元素量は15ppm、リチウム元素量は5ppmであった。このポリエステルを層Aのポリエステルに用い、層Bのポリエステルとして実施例1で作製した共重合ポリエステルを用い、表1に記載の組成で、表2に記載の条件で積層フィルムを作製し、評価を行った。
参考例1にて作製したイソフタル酸共重合ポリエステル(ポリエステルの全ジカルボン酸成分あたりイソフタル酸12モル%共重合)のみを用いて、表1に示すように2層フィルムを作製し、評価を行った。
A/B/Aの3層構成の積層フィルムを製造した。この際、表1および2に記載の組成物を用い、表2に記載の延伸条件で積層フィルムを作成し、評価を行った。
ジメチルテレフタレート85重量部、エチレングリコール60重量部とを酢酸カルシウム0.09重量部を触媒として常法に従い、エステル交換反応をせしめた後、リン化合物としてポリマーに対し0.18重量%となるようにトリメチルホスフェート10重量%含有するエチレングリコール溶液を添加し、次いで重合触媒として三酸化アンチモン0.03重量部を添加した。その後、高温減圧下にて常法に従い重縮合反応を行い極限粘度0.60のポリエチレンテレフタレートを得た。このポリエステルの固有粘度は0.65dl/g、融点は257℃、ジエチレングリコール成分量は1.2wt%、アンチモン元素量は30ppm、カルシウム元素量は10ppmであった。このポリエチレンテレフタレートを用い、不活性粒子として硫酸バリウムを配合して表1記載の組成物を作成し、表2記載の条件にて積層フィルムを作成し、評価を行った。
不活性粒子として2酸化チタンを配合し表1および2記載の条件をとる他は比較例1と同様にして積層フィルムを作成し、評価を行った。
層Bのポリエステルとして実施例10および参考例2にて得られたポリエステル(ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート)を用いて表1記載の組成物を作成し、表2記載の条件にて積層フィルムを製膜したが、延伸性能が極めて低く、製膜時のフィルムの切断が多発し、フィルムサンプルが作製できなかった。
層Aおよび層Bのポリエステルとして実施例10および参考例2にて得られたポリエステル(ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート)を用い、表1記載の組成物を作成し、表2記載の条件で積層フィルムを製膜したが、延伸性能が極めて低く、フィルムの製膜時の切断が多発したため、フィルムサンプルが作製できなかった。
層Aのみからなる単層フィルムを作成した。層Aのポリエステルとして比較例1および2にて得たポリエステルを用い、表1に記載の組成物を作成し、表2記載の条件にてフィルムを製膜したが、延伸性能が極めて低く、製膜時の切断が多発したため、フィルムサンプルが作製できなかった。
ポリエステルとして参考例1にて得られたイソフタル酸共重合ポリエステルを用い、表1記載の組成物を作成し、表2記載の条件にて3層フィードブロックを用いて製膜したが、製膜時に切断が多発したためフィルムサンプルが作製できなかった。
二酸化ゲルマニウム0.04重量部を三酸化アンチモン0.04重量部に変更する他は実施例1と同様にして共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルのアンチモン量は40ppmであった。このポリエステルを用い、表1および2に記載の条件で積層フィルムを作成した。得られた積層フィルムは耐光性に劣る結果であった。
比較例1で得られたポリエステルを用い、3層フィルムの層Aおよび層C(三層フィルムの表面と裏面)に用いる組成物を表1に記載のとおり作成した。他方、ポリエチレンテレフタレートに、これとは非相溶なポリメチルペンテン10重量%とポリエチレングリコール1重量%とを混合して表1記載の層Bに用いる組成物を作成した。これらの組成物を用いて、表2記載の条件にて積層フィルムを作製した。評価結果を表1および2に示す。筋が目立ち、反射率、たわみおよび耐光性に劣る結果であった。
Claims (4)
- 平均粒径0.3〜3.0μmの不活性粒子31〜60重量%を含むポリエステル組成物の層Aと、この層Aに接し平均粒径0.3〜3.0μmの不活性粒子1〜30重量%を含むポリエステル組成物の層Bからなり、
層Aのポリエステル組成物を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を1〜100モル%およびテレフタル酸を0〜99モル%含み、エチレングリコールを主たるジオール成分としてなり、
層Bのポリエステル組成物を構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸を3〜20モル%およびテレフタル酸を80〜97モル%含み、
層Aの厚みは、積層フィルムの層Aおよび層Bの合計厚み100あたり40〜90であり、
層Aおよび層Bのトータルの重量100重量%あたりの不活性粒子の割合が10〜80重量%であり、
少なくとも一方の表面が層Aであり、層A側から光を照射して層Aで光を反射する用途に用いる積層フィルム。 - 層Aおよび層Bのポリエステル組成物を構成するポリエステルのポリマーTgが80〜125℃である、請求項1記載の積層フィルム。
- 層Bのポリエステルが、ジカルボン酸酸成分としてナフタレンジカルボン酸3〜20モル%およびテレフタル酸80〜97モル%からなり、ジオール成分としてエチレングリコールを主たる成分としてなる、請求項2記載の積層フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムからなる液晶表示装置用反射板。
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