JP4245795B2 - 積層白色ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層白色ポリエステルフィルムに関し、詳しくは、反射率が高く、意匠性に優れ、受容シートあるいは液晶ディスプレイ反射板基材に有用な積層白色ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリエステル中に酸化チタン等の無機系微粒子やポリエステルと非相溶の樹脂を含有せしめた白色ポリエステルフィルムは、紙代替、すなわちカード、ラベル、シール、宅配伝票、ビデオプリンタ用受像紙、インクジェット、感熱転写、バーコードプリンタ用受像紙、オフセット印刷、ポスター、地図、無塵紙、表示板、白板、感熱転写、オフセット印刷、テレフォンカード、ICカードなどの各種印刷記録に適用されている。また、商品や店舗の宣伝に、あるいは液の案内表示板塔に使用する内照式電飾看板や液晶ディスプレイ用の反射板基材に用いられている。
【0003】
近年、印刷記録の精度が向上するとともに、印刷物の鮮明性を高め、より高級感を与える白色ポリエステルフィルムが求められている。このような要求に対し、上述の無機系微粒子の複数種を併用添加したもの、無機系微粒子と非相溶樹脂を併用添加したものが、例えば、特開平4−153232号公報、特開平6−322153号公報に開示されている。しかしながら、上述のような白色ポリエステルフィルムを基材として用いた場合、鮮明性が不足し、高級感に不足するものであった。
【0004】
また一方、商店やコンビニエンスストアー等の店名表示や商品の広告に使用される内照式電飾看板は、宣伝効果をあげるために光源の蛍光灯の本数を多くして看板表面の明るさを1000ルックス以上とし、あるいは、色彩豊富なネオン管を使用する等して看板に描かれた意匠を引き立てる工夫を行い、宣伝効果を高めている。かかる内照式電飾看板は、照度を上げるため反射板を設けている。
【0005】
また、液晶ディスプレイを照明する際に、従来、ディスプレイの背面からライトを当てるバックライト方式が採用されていたが、近年、特開昭63−62104号公報に示されるようなサイドライト方式が、薄型で均一に照明できるメリットから広く用いられるようになってきた。サイドライト方式とは、ある厚みを持ったアクリル板などのエッジより冷陰極管などにより照明を当てる方式である。この方式によると、液晶ディスプレイ内部に設けられた網点印刷により、照明光が均一に分散され、均一な明るさをもった画面が得られる利点がある。また、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型に出来る利点もある。なお、液晶ディスプレイ内部には、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に反射板が設置されている。この反射板には薄さと、光の高反射性が要求される。
【0006】
この目的に沿う液晶ディスプレイ反射板用白色ポリエステルフィルムとして、例えば作業性の容易さや安価なことから酸化チタンを含有せしめる方法が挙げられるが、特公平8−16175号公報で開示されたような単に酸化チタンなどを添加したフィルムでは反射率向上には限界があり、画面の明るさが十分でないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点を解決し、より高反射率で、より明るい画面の得られる、内照式電飾看板や液晶ディスプレイの反射板用基材に用いて最適な白色ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の白色ポリエステルフィルムを開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、不活性粒子を0.001〜5重量%含有するポリエステル層(A)と、不活性粒子を5〜40重量%含有させることにより白色化されているかあるいは内部に微細な気泡を有するポリエステル層(B)とからなり、該A層およびB層が交互になるように少なくとも5層積層されている積層白色ポリエステルフィルムであって、折れシワの発生が無く、かつ400〜700nmの光の波長域における平均反射率が95%以上であることを特徴とする積層白色ポリエステルフィルムである。
【0009】
また、本発明の積層白色ポリエステルフィルムは、以下の態様をとることが好ましい。
【0010】
1.蛍光増白剤を0.2重量%以下含有する。
【0011】
2.A層の不活性粒子の平均粒径が0.01〜2μmである。
【0012】
3.B層がポリオレフィンを2〜30重量%含有させたポリエステルを二軸延伸して形成されている。
【0013】
4.B層がポリメチルペンテンを2〜30重量%含有させたポリエステルを二軸延伸して形成されている。
【0014】
5.B層がポリオレフィンを2〜30重量%とポリアルキレングリコールおよび/またはその誘導体を0.1〜5重量%含有させたポリエステルを二軸延伸して形成されている。
【0015】
6.B層が発泡剤を含有させたポリエステルを二軸延伸して形成されている。
【0016】
7.積層白色ポリエステルフィルムの最外層の片面または両面にコーティング層を設ける。
【0017】
【発明の実施の形態】
ポリエステル
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられ、またジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらの中、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタリンジカルボキシレートが好ましい。また、ポリエステルはホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであっても良い。共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分があげられる。
【0018】
また、このポリエステルの中には公知の各種添加剤、たとえば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。本発明におけるポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは耐水性、耐久性、耐薬品性などに優れているものである。
【0019】
フィルムの白色化
本発明の積層白色フィルムは、B層を白色化された層とする。白色化する方法としては、不活性粒子を含有させる方法、ポリエステルと非相溶な樹脂を含有させるかあるいは発泡剤を含有させてフィルムを二軸延伸し、フィルム内部に微細な気泡を形成させる方法などが挙げられる。
【0020】
第1に、不活性粒子を含有させる方法について説明する。
【0021】
不活性粒子としては、硫酸バリウム、酸化チタン等の白色顔料が好ましく挙げられ、これらを単独、あるいはその他の不活性粒子と併せて複数種類添加しても良い。特に、390nm以下の光の波長領域における反射効率を考えると、酸化チタン、硫酸バリウムが好ましい。
【0022】
特に、平均粒径0.1〜0.5μmの二酸化チタンを5〜40重量%、さらに20〜35重量%の範囲添加することが好ましい。添加量が5重量%未満だと400〜700nmの光の波長域における平均反射率が90%を下回り、一方、40重量%を超えると延伸性の劣ったものとなり、生産効率が著しく悪くなる。
【0023】
また、その他の不活性粒子としては、2重量%以下の範囲で添加してもよく、該粒子としては蛍光増白剤の効果を妨げないために、光の吸収のない粒子が好ましい。より好ましくは微細な気泡(以下ボイド)の形成しやすい粒子である。これら粒子としてたとえば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウムなど、またはシリコーンや熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなる有機粒子等が好ましい。2重量%を超えると延伸性が劣り生産性の悪いものとなる。
【0024】
なお、A層には、フィルムに滑り性を付与するため、不活性粒子を0.001〜5重量%含有させることが必要である。不活性粒子の種類は、B層に含有させるその他の不活性粒子と同様であり、その平均粒径は0.01〜2μmが好ましい。
【0025】
不活性粒子は、ポリエステルへ添加含有させる前に、精製プロセスを用いて、粒径調整、粗大粒子除去を行うことが好ましい。生成プロセスの工業的手段としては、粉砕手段で例えばジェットミル、ボールミル等が挙げられ、また分級手段では例えば乾式もしくは湿式遠心分離機等が挙げられる。なお、これらの手段は2種以上を組み合わせ、段階的に精製しても良いのはもちろんである。
【0026】
また、含有させる方法としては各種の方法を用いることが出来る。その代表的な方法として、下記のような方法を挙げることが出来る。
(ア)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に添加、もしくは重縮合反応開始前に添加する方法。
(イ)ポリエステルに添加し、溶融混練する方法。
(ウ)上記(ア)、(イ)の方法において不活性粒子を多量添加したマスターペレットを製造し、不活性粒子を含有しないポリエステルと混練し、所定量の添加物を含有させる方法。
【0027】
なお、前記(ア)のポリエステル合成時に添加する方法を用いる場合には、酸化チタンや他の滑剤をグリコールに分散したスラリーとして、反応系に添加することが好ましい。
【0028】
第2に、フィルムに微細な気泡(ボイド)を形成させる方法について説明する。
【0029】
フィルム内部にボイドを形成させるには、フィルム母材のポリエステル中に、高融点の非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸することにより達成される。延伸は、一軸でも良いが好ましくは二軸延伸である。延伸により、非相溶ポリマー粒子周りにボイドが形成され、より高反射率を得ることが可能となる。非相溶ポリマーとしては、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられる。中でも、ポリオレフィン、特にポリメチルペンテンが好ましい。
【0030】
また、例えば炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸塩からなる発泡剤を加え、発泡せしめる方法(特公昭58−50624号公報)や、クエン酸、クエン酸トリエチル、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、トリカルバリル酸、トリカルバリル酸ナトリウム、トリカルバリル酸カルシウム、エタントリカルボン酸トリエチル、エタントリカルボン酸ナトリウム、メタントリカルボン酸トリエチル、メタントリカルボン酸ナトリウム、ブタントリカルボン酸トリエチル、ブタントリカルボン酸ナトリウム、ブタンテトラカルボン酸などを加える方法が挙げられる。これらの発泡剤を単独で、もしくはこれらの発泡剤を複数混合しても良い。また、必要に応じて発泡助剤を添加してもよく、発泡助剤としては炭素数が10以上の脂肪族モノカルボン酸のCa塩、Zn塩、Mg塩、Na塩、Al塩、Pb塩およびMn塩、ならびに炭素数が10以上の脂肪族モノカルボン酸のエステルよりなる群から選ばれる化合物が好ましく、これら発泡助剤を2種以上併用しても良い。発泡助剤の添加量は発泡成形品の物性に影響しない程度であり、0.01〜5重量%が好ましい。
【0031】
また、超臨界状態の二酸化炭素および/または窒素を用いて発泡させても構わない。超臨界状態の二酸化炭素および/または窒素の量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましい。
【0032】
発泡剤として用いられる超臨界状態の二酸化炭素または窒素は単独で使用できるが、二酸化炭素と窒素を混合して使用しても良い。この場合、その混合比率はモル比で1:9〜9:1の範囲であることが好ましい。
【0033】
樹脂溶融物中に発泡剤を混合する方法としては、例えば気体状態の二酸化炭素および/または窒素を直接あるいは加圧状態で注入する方法、液体状態の二酸化炭素および/または窒素をブランジャーポンプ等で注入する方法等が挙げられる。
【0034】
また、ポリエチレンテレフタレートとポリカーボネートとの均一な混合物を250〜350℃の温度に加熱、反応させ、CO2が遊離するまでその加熱温度に保ち、その後に反応混合物を膨張させる方法(特公昭47−38875号公報)、あるいは水添加や超臨海流体を溶融ポリマーに添加する物理的発泡手段を用いても構わない。
【0035】
蛍光増白剤
本発明のポリエステルフィルムには蛍光増白剤を、0.2重量%以下、さらに0.005〜0.2重量%の範囲、特に0.01〜0.1重量%添加することが好ましい。蛍光増白剤の種類としては、OB−1(イーストマン社製)、Uvitex−MD(チバガイギー社製)、JP−Conc(日本化学工業所製)などがあげられる。
【0036】
添加量が0.01重量%未満では、350nm付近の光の波長域の反射率が上記反射率より下まわり反射板とした時に照度が十分なものとならないことがある。0.2重量%を超えると、蛍光増白剤の持つ特有の色が現れてしまうため好ましくない。
【0037】
コーティング層
本発明の積層白色フィルムの片面または両面にコーティング層を設けることが好ましい。コーティング層は、本発明の積層白色フィルムと貼合せられる部品との接着性を改善するために設けられるもので、その成分としては易接着性を奏する樹脂を用いることができる。樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の各種樹脂が使用でき、たとえば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィンや、これらの共重合体やブレンド物である。なかでもポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタンが好ましい。更に架橋剤を加えて架橋したものでも良い。コーティング塗剤の溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒および混合物が使用でき、更に水を溶媒としてもよい。
【0038】
また、本発明においてはポリエステルフィルムにコポリエステル、ポリアルキレンオキサイドおよび微粒子を主成分とする塗膜を少なくとも最外層に積層してもよい。
【0039】
本発明においては塗膜を形成する成分として、上記成分以外にメラミン樹脂等の他の樹脂、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤等を使用することが出来る。
【0040】
本発明においては、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に前記成分からなる塗膜を積層してもよいが、例えば延伸可能なポリエステルフィルムに塗膜を形成する成分を含む水溶液を塗布した後、乾燥、延伸し必要に応じて熱処理することにより積層することが出来る。この水溶液の固形分濃度は、通常30重量%以下であり、10重量%以下が更に好ましい。
【0041】
上記の延伸可能なポリエステルフィルムとは、未延伸ポリエステルフィルム、一軸延伸ポリエステルフィルムまたは二軸延伸ポリエステルフィルムである。この内フィルムの押出し方向(縦方向)に一軸延伸した縦延伸ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0042】
ポリエステルフィルムへ水溶液を塗布する場合は、通常の塗工工程、すなわち二軸延伸熱固定したポリエステルフィルムに該フィルムの製造工程と切り離した工程で行うと埃、ちり等を巻き込み易く好ましくない。かかる観点よりクリーンな雰囲気での塗布、すなわちフィルムの製造工程での塗布が好ましい。そして、この塗布によれば、塗膜のポリエステルフィルムへの密着性が更に向上する。
【0043】
塗布方法としては、公知の任意の塗布方法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法などを単独または組み合わせて用いることが出来る。塗布量は走行しているフィルム1m2当たり0.5〜20g、更に1〜10gが好ましい。水性液は水分散液または乳化液として用いるのが好ましい。
【0044】
積層フィルム
本発明におけるA層とB層の積層状態は、A層とB層を交互に総数で5層以上、好ましくは11層以上、更に好ましくは31層以上積層したものである。積層数が5層未満だと白色層と非白色層の界面での反射効率が少なくなり、フィルムの反射効率が高める事が出来ず十分な反射率が得られないうえ、フィルムが折れシワが発生しやすいなど取り扱いが難しくなる
本発明の積層フィルムは、その片面または両面に、他の機能を付与するために、他の層をさらに積層した積層体としてもよい。ここでいう、他の層とは透明なポリエステルフィルム、金属薄膜やハードコート層、インク受容層が揚げられる。
【0045】
本発明の多層積層延伸フィルムを製造する方法の一例を紹介する。
【0046】
本発明の積層フィルムはフィードブロックを用いた動じ多層押出し法により、積層未延伸フィルムを製造する。すなわちA層を形成するポリマーの溶融物とB層を形成するポリマーの溶融物を、フィードブロックを用いて2層が交互に形成されるように積層し、ダイに展開して押出す。この時、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。ダイより押出されたシートは、キャスティングドラムで冷却固化され、多層未延伸フィルムとなる。
【0047】
この未延伸状態の延伸可能な積層ポリエステルフィルムは、テンター法、インフレーション法等の従来より知られている製膜方法を用いて製造することができる。これをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。延伸倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは、2.8倍以上3.9倍以下とするのが好ましい。2.5倍以下とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍以上とすると製膜中に破断が発生し易くなり問題がある。
【0048】
縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルのガラス転移点(Tg)より20℃高い温度から始める。そしてポリエステルの融点(Tm)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。この延伸開始温度は(Tg+40)℃以下であることが好ましい。また延伸最高温度はTmより(100〜40)℃低い温度であることが好ましい。
【0049】
横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよい。通常逐次的に昇温する。例えばステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムの破れが起こり、好ましくない。また延伸最高温度が(Tm−120)℃より低いとフィルムの熱収が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下し、好ましくない。一方延伸最高温度が(Tm−30)℃より高いとフィルムが柔らかくなり外乱等によってフィルムの破れが起こり、好ましくない。
【0050】
横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.0倍以下とするのが好ましい。更に好ましくは、2.8倍以上3.9倍以下とするのが好ましい。2.5倍以下とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍以上とすると製膜中に破断が発生し易くなり問題がある。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0052】
1.各層の厚み
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定し、平均厚み、相対標準偏差を求めた。
【0053】
2.平均反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO4白板を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定した。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均反射率とした。
【0054】
3.反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO4白板を100%とした時の360nmの反射率を測定した。
【0055】
4.画面の明るさ
図1に示す装置において、3mm厚さのアクリル板に網点印刷を施し、反射板2としてフィルムをセットした上で、片側端面から6Wの蛍光灯により照明した。画面1上を照度計(ミノルタ T−10)にて照度を測定し、画面の明るさとする。照度の測定は受光子に20mm幅の黒画用紙を受光子の大きさに巻いて円筒としたものを取り付け、画面1と受光子の距離を20mmとして測定紙、下記基準で判別した。
○;1000(Lx)以上のもの。
×;1000(Lx)未満のもの。
【0056】
5.画面の色目
図1に示した装置の反射板としてフィルムをセットしたうえで、画面の色目画面を視感で判断し、白色光のものを「白」、黄味がかっているものを「黄」、赤味がかっているものを「赤」、青味がかっているものを「青」とした。
【0057】
6.巻き取り性
製膜したフィルムを巻き取る際に、次の基準でランク分けする。
○;巻取りに問題が無い
△;ブツ、シワ等が発生するが、なんとか巻き取れる。
×;条件調整しても、ブツ、シワ等がひどく、巻き取れない。
【0058】
7.折れシワ
5cm×50cmのフィルムを1cm径×10cmの円柱に巻きつけた後、巻き付けを解きフィルムの状態を下記基準に従って目視判断する。
○;折れシワが全く発生していない。
△;部分的に折れシワが発生している。
×;前面にわたって折れシワが発生している。
【0059】
[実施例1〜4および比較例1〜4]
ポリエチレンテレフタレートに表1に示す無機粒子および蛍光増白剤(イーストマン社製OB−1)を表1に示す濃度だけ添加し、それぞれ280℃に加熱された2台の押出機に供給し、A層ポリマーを31層、B層ポリマーを30層に分岐させたあと、A層とB層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.1倍で延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.5倍で延伸した。その後テンタ−内で235℃の熱固定を行い、均一に除冷後、室温まで冷やして巻取り厚み125μmのフィルムを得た。得られたフィルムの反射板基材としての物性は表2の通りである。
【0060】
[実施例5〜7]
無機粒子の代わりにポリメチルペンテン(三井石油化学製TPX−MX002)を用いた以外は実施例1と同様に製膜した。
【0061】
[実施例8〜9]
白色ポリエステル層にベーリンガーインゲルハイム社製発泡剤ハイドロセロールHK40Bを1.0重量%添加した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた多層積層白色ポリエステルフィルムの物性を表2に示す。
【0062】
[実施例10]
A層およびB層の厚み構成を表1に示す通りに代えた以外は実施例1と同様に製膜した。得られた多層積層白色ポリエステルフィルムの物性を表2に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、より高反射率で、より明るい画面の得られる、内照式電飾看板や液晶ディスプレイの反射板用基材に用いて最適な白色ポリエステルフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は液晶ディスプレイの断面図である。
【符号の説明】
1 画面
2 反射板
3 網点印刷
4 透明導光板
5 拡散板
6 冷陰極管(蛍光灯)
Claims (9)
- 不活性粒子を0.001〜5重量%含有するポリエステル層(A)と、不活性粒子を5〜40重量%含有させることにより白色化されているかあるいは内部に微細な気泡を有するポリエステル層(B)とからなり、該A層およびB層が交互になるように少なくとも5層積層されている積層白色ポリエステルフィルムであって、折れシワの発生が無く、かつ400〜700nmの光の波長域における平均反射率が95%以上であることを特徴とする積層白色ポリエステルフィルム。
- 積層白色ポリエステルフィルムが、蛍光増白剤を0.2重量%以下含有する請求項1記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- A層の不活性粒子の平均粒径が0.01〜2μmである請求項1記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- B層がポリオレフィンを2〜30重量%含有させたポリエステルを二軸延伸した層である請求項1記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- ポリオレフィンがポリメチルペンテンである請求項4記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- ポリエステルがポリアルキレングリコールおよび/またはその誘導体を0.1〜5重量%含有する請求項4記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- B層が発泡剤を含有させたポリエステルを二軸延伸した層である請求項1記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- 積層白色ポリエステルフィルムの最外層の片面または両面にコーティング層を有する請求項1記載の積層白色ポリエステルフィルム。
- 液晶ディスプレイ反射板基材として用いる請求項1〜8のいずれかに記載の積層白色ポリエステルフィルム。
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