JPH09302032A - 変性ポリビニルアルコール系共重合体及び可塑化塩化ビニル系樹脂成形品用被覆組成物 - Google Patents

変性ポリビニルアルコール系共重合体及び可塑化塩化ビニル系樹脂成形品用被覆組成物

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JPH09302032A
JPH09302032A JP13973696A JP13973696A JPH09302032A JP H09302032 A JPH09302032 A JP H09302032A JP 13973696 A JP13973696 A JP 13973696A JP 13973696 A JP13973696 A JP 13973696A JP H09302032 A JPH09302032 A JP H09302032A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可塑剤のブリードアウトを防止して成形品表
面の汚染を防止し、しかも成形品表面に耐ブロッキング
性、離型性、撥水性、印刷適性を付与するとともに、耐
候性、柔軟性、接着性等に優れた、変性PVA共重合
体、及び該共重合体からなる可塑化PVC成形品を与え
るのに適した被覆組成物を提供すること。 【解決手段】 PVA90〜40重量部と脂肪族ポリエ
ステル10〜60重量部とからなるPVA系共重合体と
炭素数が12個以上の飽和脂肪酸とを反応させてなるこ
とを特徴とする変性PVA系共重合体、及び該共重合体
からなる可塑化塩化ビニル系樹脂成形品用被覆組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール(以下単にPVAという)系共重合体及び可塑化塩
化ビニル系樹脂(以下単にPVCという)成形品用被覆
組成物に関し、更に詳しくは上記樹脂成形品の可塑剤の
ブリードアウト(表面移行)を防止して成形品表面の汚
染を防止するとともに、耐ブロッキング性、離型性、撥
水性、印刷適性等の優れた表面特性を与え、且つ耐候
性、柔軟性、接着性等に優れた可塑化PVC成形品を与
えるのに適した変性PVA系共重合体及び該共重合体か
らなる可塑化PVC成形品用被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PVCは安価で化学的安定性に優
れており、添加する可塑剤の量を変えることにより、硬
質から軟質まで広範囲の成形品の製造に使用することが
できる樹脂であり、例えば、壁紙、床・天井材等の内装
材、農業用シート、テント、帆布等のシート、ホース、
チューブ等の各種成形品として多くの用途に利用されて
いる。
【0003】しかしながら、可塑化PVC成形品は多量
の可塑剤を含んでおり、経時的に可塑剤がその表面にブ
リードアウトし、表面に汚れの付着やブロッキングを起
こす等の欠点がある。可塑化PVC成形品中の可塑剤
が、その表面へブリードアウトするのを防ぐために従来
より種々の方法が検討されている。
【0004】特公昭47−28740号公報には、可塑
化PVC成形品の表面に、可塑剤が移行するのを抑制す
るために樹脂被覆層を設けることが提案されている。こ
のような樹脂被覆層を形成するための樹脂として、アク
リル酸エステルやメタアクリル酸エステルの単独重合
体、又はこれらのモノマーの共重合体等が知られている
が、これらの重合体又は共重合体からなる被膜では、可
塑剤のブリートアウト防止性は完全ではなく、成形品の
耐汚染性、耐ブロッキング性、耐屈曲性等の諸性質も満
足し得るものではない。
【0005】特開平2−299838号公報には、PV
Cシートに、架橋部位を有する含フッ素共重合体及びア
クリル系共重合体を主成分とする塗膜を形成すること
で、塗膜の密着性に優れたシートを提供することが示さ
れているが、該塗膜による可塑剤のブリートアウト防止
性能は低い。
【0006】又、PVAは、耐溶剤性、被膜強度、耐摩
耗、ガスバリヤー性等に優れた樹脂であり、可塑剤のブ
リードアウトの防止という点では好ましい材料である
が、PVAからなる被膜は柔軟性に乏しいために、PV
Aからなる被膜を有するシート等の屈曲時に被膜の割れ
や白化現象を起こしたり、該被膜の高い水溶性のために
高湿度下では、シートの耐ブロッキング性、耐汚染性等
に乏しい等、満足し得るものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、可塑化PVC成形品の可塑剤のブリードアウトを防
止して成形品表面の汚染を防止するとともに、耐ブロッ
キング性、離型性、撥水性、印刷適性等の優れた表面特
性を与え、且つ耐候性、柔軟性、接着性等に優れた可塑
化PVC成形品を与えるのに適した変性PVA系共重合
体及び該共重合体からなる可塑化PVC成形品用被覆組
成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、PVA90〜4
0重量部と脂肪族ポリエステル10〜60重量部とから
なるPVA系共重合体と炭素数が12個以上の飽和脂肪
酸とを反応させてなることを特徴とする変性PVA系共
重合体、及び該共重合体からなる可塑化PVC成形品用
被覆組成物である。
【0009】特に上記PVAとしては、その鹸化度が6
0モル%以上のものが好ましく、又、脂肪族ポリエステ
ルとしては、ポリカプロラクトン又はポリバレロラクト
ンからなる脂肪族ポリエステルが好ましい。従来、PV
C成形品の可塑化には、エステル化合物及びポリエステ
ル系樹脂が使用されており、一般にはエステル結合がP
VCの可塑化及び相溶性に寄与していることは明らかで
ある。
【0010】そこで本発明者は、PVAにエステル結合
を導入することにより、PVAのガスバリヤー性を保持
し、しかも可塑化PVC成形品への接着性及び被膜の柔
軟性を持った可塑化PVC成形品用被覆組成物について
鋭意研究を重ね、上記本発明を完成するに到った。
【0011】PVAに脂肪族ポリエステルをグラフトし
たPVA系共重合体に、炭素数が12個以上の飽和脂肪
酸を反応させて得られる脂肪酸変性PVA系共重合体
は、可塑化塩化ビニル樹脂成形品における可塑剤のブリ
ードアウトを防止して、耐ブロッキング性、離型性、撥
水性、印刷適性等の優れた表面特性を付与するととも
に、耐候性、柔軟性、接着性等の優れた可塑化PVC成
形品用被覆組成物を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に実施の形態を挙げて本発明を
更に詳しく説明する。本発明の脂肪酸変性PVA系共重
合体は、脂肪族ポリエステルがグラフトされているPV
A系共重合体と炭素数が12個以上の飽和脂肪酸との反
応によって得られる。
【0013】先ず、PVA系共重合体は、PVAに、ε
−カプロラクトン化合物、δ−バレロラクトン化合物等
の如く、ラクトン開環重合によって脂肪族ポリエステル
を形成し得るラクトン化合物を開環グラフト共重合させ
ることにより得られる。本発明で使用するPVAは、酢
酸ビニル単位の鹸化度は60モル%以上で、重量平均重
合度20〜20,000、好ましくは200〜3,00
0のPVAである。
【0014】本発明においてPVAと反応せしめるカプ
ロラクトン化合物としては、ε−カプロラクトン、モノ
メチル−ε−カプロラクトン、モノエチル−ε−カプロ
ラクトン、モノプロピル−ε−カプロラクトン、及びモ
ノドデシル−ε−カプロラクトンのような種々のモノア
ルキル−ε−カプロラクトン類或いは2個のアルキル基
の双方がε−位置の炭素原子に結合せずに同様な別個の
炭素原子に各々置換しているジアルキル−ε−カプロラ
クトン類或いはラクトン環のε−位置の炭素原子はジ−
置換されておらず他の2個又は3個の炭素原子が3個の
アルキル基によって置換されているトリアルキル−ε−
カプロラクトン、及びエトキシ−ε−カプロラクトンの
ようなアルコキシ−ε−カプロラクトン類或いはシクロ
ヘキシル、フェニル−及びベンジル−ε−カプロラクト
ンのようなシクロアルキル−ε−カプロラクトン、アリ
ール−ε−カプロラクトン及びアラルキル−ε−カプロ
ラクトン等が挙げられる。
【0015】本発明において好ましく使用されるδ−バ
レロラクトン化合物としては、5−バレロラクトン、3
−メチル−5−バレロラクトン、3,3,−ジメチル−
5−バレロラクトン、2−メチル−5−バレロラクト
ン、3−エチル−5−バレロラクトン等が挙げられる。
【0016】PVAと上記ラクトン化合物との反応は、
両者を混合し、好ましくは窒素気流下で適当な触媒を使
用し、10〜220℃の温度で数時間乃至数十時間反応
させることによって行われ、PVAに脂肪族ポリエステ
ルがグラフトしたPVA系共重合体が得られる。上記グ
ラフト反応において、PVAにグラフトする脂肪族ポリ
エステルの分子量、即ち反応に使用するPVAと脂肪族
ポリエステルの重量比を変化させることにより、PVA
及び脂肪族ポリエステルのそれぞれの特性を持ったPV
A系共重合体が得られる。
【0017】上記共重合体中におけるPVAと脂肪族ポ
リエステルとの重量比としては、PVA90〜60重量
部と脂肪族ポリエステル10〜40重量部の範囲が好ま
しい。PVAが90重量部を越え、脂肪族ポリエステル
が10重量部未満であるPVA系共重合体は、PVAか
らの性能が優位を占めるので、得られる共重合体の可塑
化PVC成形品に対する密着性、被膜の可撓性、溶剤に
対する溶解性において改善の効果が少ない。
【0018】一方、PVAが60重量部未満で、脂肪族
ポリエステルが40重量部を越えたPVA系共重合体
は、脂肪族ポリエステルからの性能が優位を占めるの
で、可塑剤のブリードアウト防止効果に劣り、本発明の
可塑化PVC成形品用被覆組成物としては不十分であ
る。本発明においてPVAにラクトン化合物をグラフト
重合させるには、両者を混合し、好ましくは窒素気流下
で触媒を添加し、80乃至220℃の温度で数時間攪拌
しながら行う。又、一軸及び二軸押し出し機、バンバリ
ーミキサー、ニーダー、ブラベンダー等の混練機で両者
を溶融加熱状態でグラフト重合することも可能である。
このようにして得られる共重合体の分子量は、GPCで
測定した数平均分子量(標準ポリスチレン換算)で約1
〜50万であり、約1〜20万の範囲が好ましい。分子
量が上記範囲を越えると、該共重合体の成形性の点で不
十分であり、一方、分子量が上記範囲未満であると、該
共重合体の機械特性の点で不十分である。
【0019】次に、上記のように得られたPVA系共重
合体を、炭素数が12個以上の飽和脂肪酸と反応させる
ことによって本発明の脂肪酸変性PVA系共重合体が得
られる。本発明で用いる飽和脂肪酸は、一般式R−CO
OHで表すことができる。式中のRは炭素数が11個以
上の直鎖状の飽和脂肪族基であり、アルキル基やアルケ
ニル基が包含される。これらの脂肪族基を有する飽和脂
肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸(Rの炭素
数11)、トリデシル酸(Rの炭素数12)、ミリスチ
ン酸(Rの炭素数13)、ペンタデシル酸(Rの炭素数
14)、パルミチン酸(Rの炭素数15)、ヘプタデシ
ル酸(Rの炭素数16)、ステアリン酸(Rの炭素数1
7)、ノナデカン酸(Rの炭素数18)、アラキン酸
(Rの炭素数19)、ベヘン酸(Rの炭素数21)、リ
グノセリン酸(Rの炭素数23)等が挙げられる。
【0020】次に、前記PVA系共重合体と炭素数が1
2個以上の飽和脂肪酸との反応につてい説明する。前記
PVA共重合体を溶融状態又は溶媒中に溶解或いは分散
させた後、炭素数が12個以上の飽和脂肪酸を加え、6
0〜180℃の温度にてエステル化反応を行う。このと
き、副生成物である水は反応系外に溶剤と共に、或いは
減圧下で留去する。
【0021】このとき、炭素数が12個以上の飽和脂肪
酸の反応割合は、PVA系共重合体中の水酸基に対し
0.2〜1.1当量の範囲が好ましい。重量比で表せ
ば、PVA系共重合体100重量部当たり、飽和脂肪酸
約50〜500重量部が反応結合する割合で使用するこ
とが好ましい。脂肪酸の結合量が上記の当量範囲を越え
ると、過剰の飽和脂肪酸が反応混合物中に残存する点で
不十分であり、一方、飽和脂肪酸の使用量が上記の当量
範囲未満であると、得られる共重合体の撥水性や離型性
の点で不十分である。
【0022】エステル化反応終了後、過剰の飽和脂肪酸
は減圧下で除去を行う。得られた反応混合物を2〜5倍
のアルコール等の貧溶媒中に注加してエステル化物を析
出させ、析出物を濾過分離して後、乾燥して本発明の脂
肪酸変性PVA共重合体を得る。このようにして得られ
た脂肪酸変性PVA共重合体は、トルエン、キシレン等
の溶剤に優れた溶解性を示し、可塑化PVC成形品の可
塑剤のブリードアウト防止、耐ブロッキング性、剥離
性、撥水性、印刷適性、耐光性、柔軟性及び接着性等に
優れた性能を有する。
【0023】本発明では上記のように、PVAに脂肪族
ポリエステルをグラフト重合させた後に、該グラフト共
重合体に前記脂肪酸を容易にエステル化反応させること
ができるが、従来の方法によりPVAに炭素数12個以
上の飽和脂肪酸で直接エステル化反応を行うのは困難で
あった。つまり、PVAが100℃以上の温度に加熱さ
れると徐々に熱分解を起こすとともに、PVAの軟化点
が高いため、実質的に無水又は無可塑化の状態では脂肪
酸と反応させることが困難であった。
【0024】これに対して、本発明では、初期のグラフ
ト重合反応時には、PVAとラクトン化合物とは混合状
態では、白色粉末のPVAと液状のラクトン化合物は不
均一の状態であるが、反応の進行とともに白色粉末のP
VAは均一な反応生成物に変化し、高温下にもかかわら
ず、未反応状態のPVAの熱分解は見られず、その後の
前記脂肪酸との反応においても、同様にPVA(脂肪族
ポリエステル変性物)は融点が低く且つ有機溶剤に容易
に溶解するので、PVAが熱分解することなく、脂肪酸
によるPVAのエステル化反応が容易であった。
【0025】本発明の脂肪酸変性PVA系共重合体から
なる可塑化PVC成形品用被覆組成物は、固体状でも溶
液状でも使用することができる。又、必要に応じて各種
添加剤が配合される。添加剤としては、着色顔料、体質
顔料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、コロイダルシリ
カ、分散剤、防カビ剤、艶消し剤等である。本発明の可
塑化PVC成形品用被覆組成物は、前記脂肪酸変性PV
A共重合体をトルエン、キシレン、メチルエチルケトン
等の汎用溶剤に約5〜50重量%の濃度に溶解して使用
することが好ましく、該溶液を使用して、固形分として
0.01〜1.0g/m2、好ましくは0.05〜0.
5g/m2の量で各種可塑化PVC成形品を被覆するこ
とができる。
【0026】又、この可塑化PVC成形品用被覆組成物
による被膜形成に際し、PVA共重合体中に水酸基を意
図的に残し、該水酸基を利用して種々の架橋剤によって
架橋させることにより、耐熱性、機械的強度、耐水性、
耐溶剤性等に優れた被膜を得ることができる。架橋剤と
しては水酸基と反応する多官能性化合物であればいずれ
も使用可能である。具体的には、例えば、フェノール、
メラミン、エポキシ、ポリイソシアネート化合物等の多
官能化合物が適当である。
【0027】本発明の脂肪酸変性PVA系共重合体によ
る可塑化PVC成形品の被覆方法としては、脂肪酸変性
PVA系共重合体を各種溶媒に溶解させ、グラビアコー
ター、ナイフコーター、リバースコーター、浸漬、ハケ
塗り、エアースプレー、エアレススプレー等の塗布法で
行うことができる。又、本発明の可塑化PVC成形品用
被覆組成物を直接溶融成形してフイルム化或いはシート
化し、可塑化PVC成形品へラミネートする方法でも行
うことができる。ラミネートに際しては、直接熱ラミネ
ートで行ってもよく、各種接着剤を介してラミネートを
行ってもよい。
【0028】本発明の可塑化PVC成形品用被覆組成物
により被覆された可塑化PVC成形品は、壁紙、シー
ト、デスクマット、レザー、フイルム、ホース・チュー
ブ等として非常に有用である。
【0029】
【実施例】次に製造例、実施例及び比較例を挙げて本発
明を更に具体的に説明する。尚、文及び表中、部又は%
とあるのは特に断りのない限り重量基準である。 製造例1〜3 表1に記載にように、鹸化度98.5モル%のPVA
(重合度550)、ε−カプロラクトン及び触媒量のテ
トラブチルチタネートを反応容器に仕込み、窒素気流下
攪拌しながら1℃/2〜3minの昇温速度で加温す
る。150〜160℃でそれまでの不均一系であった反
応混合物が徐々に均一になり、180〜200℃では完
全均一系となる。200〜220℃で反応を6時間続
け、本発明で使用する脂肪族ポリエステルがグラフトさ
れているPVA系共重合体が得られる。
【0030】
【表1】
【0031】試験方法 表1に記載の各物性の試験は次の方法で行った。 *1)分子量:製造例1〜3で得られた共重合体のN,
N−ジメチルホルムアミド溶液(5%)でのGPC測定
値。 *2)硬度:製造例1〜3で得られた共重合体を160
℃の温度でプレス成形し、得られたシートをJIS K
−6301に基づいてA型硬度計で測定した。 *3)100%モジュラス(MPa)、抗張力(MP
a)、伸度(%):上記硬度の測定に使用したと同じプ
レス成形シートをJIS K−7311の3号ダンベル
で打抜いて物性を測定した。 *4)ビカット軟化点:各樹脂の軟化点をJIS K−
7206により測定した。
【0032】実施例1 製造例1の共重合体30部をキシレン70部中に分散さ
せ、還流温度でステアリン酸175部を加えてエステル
化反応を行う。脱離水が理論脱水量に達したら、170
℃/10Paの減圧下で生成水と過剰のステアリン酸を
除去し、その後に反応生成物を3倍量のメタノール中に
注いで白色沈澱物が得られる。白色沈殿物を洗浄及び乾
燥後、粉砕して本発明の脂肪酸変性PVA共重合体を得
た。この共重合体を固形分濃度10%にキシレンに溶解
して本発明の被覆組成物を得た。
【0033】実施例2 製造例2の共重合体30部、キシレン70部及びステア
リン酸185部を使用し、他は実施例1と同様にして本
発明の脂肪酸変性PVA共重合体を得た。この共重合体
を固形分濃度10%にキシレンに溶解して本発明の被覆
組成物を得た。
【0034】実施例3 製造例3の共重合体30部、キシレン70部及びベヘン
酸195部を使用し、他は実施例1と同様にして本発明
の脂肪酸変性PVA共重合体を得た。この共重合体を固
形分濃度10%にキシレンに溶解して本発明の被覆組成
物を得た。
【0035】軟質塩化ビニルシート(3mm厚)に実施
例1〜3で得られた本発明の被覆組成物を、バーコータ
ーにより両面に乾燥後の膜厚が10〜20μmとなるよ
うに塗布し、これを80℃で30秒間乾燥させて以下の
試験を行った。
【0036】1.可塑剤ブリードアウト量の試験 軟質塩化ビニルシートを50mm×50mmに切り、ポ
リエチレンシートに挟み、更にガラス板で挟み、この状
態で5kgの荷重をかけ、70℃に保持した恒温槽に2
4時間放置する。次いで恒温槽から取り出し、ポリエチ
レンシートを剥離し、ポリエチレンシートの増減量を測
定する。ポリエチレンシートの増量の値が小さい程、軟
質塩化ビニルシートからの可塑剤のブリードアウト量が
少ないことを示す。
【0037】2.耐汚染性 軟質塩化ビニルシートを50mm×50mmに切り、予
め感光させたコピー用紙に密着させ、ガラス板で挟み、
この状態で3kgの荷重をかけ、50℃に保持した恒温
槽に24時間、及び72時間それぞれ放置する。次いで
恒温槽から取り出し、各シートをコピー用紙から剥離
し、各シートの汚染度を観察する。 ○・・・汚染なし。 △・・・一部汚染。 ×・・・全体汚染。
【0038】3.密着性 塗膜にナイフで1mm角の枡目を100個刻み、セロハ
ンテープで剥離試験を行った。 4.柔軟性 軟質塩化ビニルシートを室温で20回折り曲げ、塗膜の
状態を観察した。 ○・・・変化なし。 △・・・白化する。 ×・・・割れる。
【0039】5.耐水性 軟質塩化ビニルシートを室温で1日間水中に浸漬後取り
出し、室温で乾燥した。取り出し直後と乾燥後の塗膜の
状態を観察した。 ○・・・取り出し直後は僅かに白濁しているが、膨れ等
は認められず、乾燥後は浸漬前と変わらなかった。 △・・・取り出し直後は白濁しているか、膨れが認めら
れるが、乾燥後は浸漬前の状態と変わらなかった。 ×・・・取り出し直後に白濁及び膨れが著しく、乾燥後
も浸漬前の状態には戻らなかった。 6.撥水性 軟質塩化ビニルシートの塗布面の水滴による接触角を測
定した。
【0040】実施例4〜6 実施例4〜6として、実施例1〜3のそれぞれの被覆組
成物100部に硬化剤0.5部(日本ポリウレタン製、
コロネートHX)を添加した溶液を、実施例1〜3と同
じように軟質塩化ビニルシートに塗布し、80℃で30
秒間乾燥させ、室温で1日間放置したものについて実施
例1〜3と同様の試験を行った。
【0041】比較例1 軟質塩化ビニルシートに被覆組成物を塗布せず、そのま
ま実施例1〜3と同様の各試験を行った。 比較例2 軟質塩化ビニルシートに鹸化度98.5%のPVA(重
合度550)の水溶液(固型分15%)を塗布し、実施
例1〜3と同様の各試験を行った。
【0042】比較例3 軟質塩化ビニルシートにアクリル樹脂(三菱レーヨン
製、アクリルポリオールLR−620)に硬化剤(日本
ポリウレタン製、コロネートHX)を配合したものを塗
布し、実施例1〜3と同様の各試験を行った。 比較例4 軟質塩化ビニルシートに塩化ビニル用フッ素樹脂(旭硝
子製、フロロトップ)に硬化剤(日本ポリウレタン製、
コロネートHX)を配合したものを塗布し、実施例1〜
3と同様の各試験を行った。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】上記のように、本発明の脂肪酸変性PV
A系共重合体よりなる被覆組成物は、可塑化PVC成形
品を被覆すると、可塑化PVC成形品に含まれる可塑剤
のブリードアウトを防止して成形品表面の汚染を防止す
るとともに、撥水性、離型性に優れた被膜を与える。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール90〜40重量部
    と脂肪族ポリエステル10〜60重量部とからなるポリ
    ビニルアルコール系共重合体と炭素数が12個以上の飽
    和脂肪酸とを反応させてなることを特徴とする変性ポリ
    ビニルアルコール系共重合体。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールが、鹸化度60モ
    ル%以上である請求項1に記載の変性ポリビニルアルコ
    ール系共重合体。
  3. 【請求項3】 脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラク
    トン又はポリバレロラクトンからなる請求項1に記載の
    変性ポリビニルアルコール系共重合体。
  4. 【請求項4】 脂肪族ポリエステルがグラフトされてい
    るポリビニルアルコール系共重合体の分子量が、10,
    000〜500,000である請求項1に記載の変性ポ
    リビニルアルコール系共重合体。
  5. 【請求項5】 炭素数が12個以上の飽和脂肪酸の結合
    量が、脂肪族ポリエステルがグラフトされているポリビ
    ニルアルコール系共重合体100重量部当たり、50〜
    500重量部である請求項1に記載の変性ポリビニルア
    ルコール系共重合体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載の変性ポリビニルア
    ルコール系共重合体からなることを特徴とする可塑化塩
    化ビニル系樹脂成形品用被覆組成物。
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