JPH09300601A - 熱転写シート及びこれを用いた方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パソコン等で編集したデータを反転データに
することなくプリンタで印刷しても被転写媒体で画像が
反転することのない熱転写シート及びそれを用いた転写
方法を提供する。 【解決手段】 転写シート１をインクを通過させるイン
ク輸送層２とインクを保持すると共に加熱により粘着効
果を生じる記録画像保持層３で構成し、記録画像保持層
３を被転写媒体５に加熱密着させ、インク輸送層を剥離
することにより、記録画像４を被転写媒体５に転写させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プリンター等の記
録装置により記録された記録像を、Ｔシャツ等の被転写
媒体表面に転写が容易にできる熱転写シート及びこれを
用いた方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、パソコン等のデータを紙などの記
録媒体に記録するターミナルプリンタ等の記録装置とし
ては、インパクトドット方式や熱転写方式のプリンタか
ら、静粛性、高解像度、低ランニングコストなどの理由
からインクジェット方式のプリンタに移行してきてお
り、インクジェット方式のプリンタにおいても、モノク
ロからカラーに変化してきている。

【０００３】又、周辺機器の発達により、出力データも
文字を出力させるのみでなく、スキャナ、デジタルカメ
ラ、フィルムスキャナー等を活用することで、イラスト
や写真等を自由に編集しプリンタにより出力可能となっ
ている。

【０００４】このようなプリンタを用いて記録した画像
をＴシャツ等の布地に転写する方法として、特開昭６０
−１８７５９８号公報には、コンピュータデータで任意
の文字や図形を作り出し、シート基材上に形成した剥離
層の表面に印刷されたホットメルト接着剤と顔料を原材
料とする図柄上にこの文字や図形を反転パターンにして
印刷することにより転写シートを形成し、この転写シー
トの文字や図形が印刷された側をＴシャツ等の布地に重
ね合わせ、アイロン等により加熱して図柄及び文字や図
形を転写する方法が開示されている。

【０００５】また、図７に示すようにインクジェット方
式のプリンタにより、専用の記録紙３１上にコンピュー
タにより形成した文字や画像を反転させて記録画像３０
を形成し、図８の如く記録画像３０が形成された側を被
転写媒体３２に重ね合わせ、ドライヤー３３などにより
記録紙３１を加熱することにより被転写媒体３２に記録
画像３０が形成された層３５を密着させ、その後図９の
如く上部の層である紙で形成された基材３４を剥離する
ことにより、記録画像を被転写媒体３２に転写させる方
法も提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
方法では、転写させたい画像をコンピュータ上で形成し
た後、このデータを反転させて（鏡像にして）転写シー
トにプリンタ等で記録しなければならず使用者にとって
煩わしく、また、コンピュータのソフトに鏡像にする機
能があれば問題ないが、そうでない場合は転写シートを
用いて文字や画像を反転させることなく被転写媒体に転
写させることが不可能であった。

【０００７】また、上述した熱転写シートでは、転写で
きる被転写媒体が限られており、凹凸や曲面がある様々
な形状の物への転写は非常に難しいものであった。

【０００８】本発明は、上述の問題点を解決するための
ものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の熱転写シート
は、少なくとも表面がインクを受容し、裏面が加熱によ
り粘着作用を生じるよう形成された記録画像保持層と、
この記録画像保持層の表面に積層され、この記録画像保
持層の表面にインクを輸送するインク輸送層とを有する
ことを特徴とする。

【００１０】また、前記記録画像保持層と前記インク輸
送層の間が加熱により剥離可能であることを特徴とす
る。

【００１１】また、前記記録画像保持層が粘着層、イン
ク受容層を積層して形成されていることを特徴とする。

【００１２】また、前記記録画像保持層の裏面にプリン
タ搬送用の補助シートを有することを特徴とする。

【００１３】また、少なくとも前記記録画像保持層が柔
軟性を有することを特徴とする。

【００１４】また、前記記録画像保持層、インク輸送層
どちらか一方の外周が小さく形成されていることを特徴
とする。

【００１５】本発明の方法は、転写媒体上に形成された
記録像を被転写媒体に転写する方法であって、転写媒体
上に記録像を形成する工程と、前記記録媒体の記録像が
形成されていない面を被転写媒体に重ね合わせる工程
と、前記転写媒体の記録像が形成された部分を加熱する
ことにより記録像が形成された部分を被転写媒体に密着
させる工程と、前記転写媒体の記録像が形成されていな
い部分を被転写媒体から剥がす工程とを有することを特
徴とする。

【００１６】また、インクジェット記録装置の記録液に
より前記転写媒体の記録像を形成することを特徴とす
る。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例について図
面を用いて詳細に説明する。

【００１８】図１は熱転写シートの断面図であり、熱転
写シート１は少なくとも２層で形成されており、２はイ
ンク輸送層で、この面からインクジェットプリンタ等か
ら記録されるとともに、インクを輸送させることが可能
な多孔質な材料で形成されている。３は記録画像保持層
であり、インク輸送層２側にインクを保持するインク保
持能力と、裏面に熱を加えることにより接着作用が生じ
る様に形成されている。記録画像保持層３は、裏面に熱
溶融性樹脂層を有し、更にインク保持能力のあるポリマ
ーなどによるインク受容層を積層した構造でもよく、用
途によっては、熱溶融性樹脂層とインク受容層の間に布
や紙などを介在させても良い。

【００１９】この転写シート１はプリンタで搬送できる
程度の厚みで形成されることが好ましく、使用用途によ
りインク輸送層２または記録画像保持層３の厚みを適宜
選択すればよい。例えば、Ｔシャツなどに立体的に転写
画像を形成させたい場合は、記録画像保持層３を厚く形
成すればよく、表面にできるだけ凹凸ができないように
転写画像を形成するには、記録画像保持層３を薄くし
て、インク輸送層２を厚く形成すればよい。

【００２０】また、記録画像保持層３のみが被転写媒体
に転写される様に、インク輸送層２と記録画像保持層３
の層間には加熱することにより剥離するような処理を施
してある。

【００２１】さらに、インク輸送層２または記録画像保
持層３どちらか一方の層の外周を小さくすれば、剥離し
やすくなる。

【００２２】次に本発明の記録画像を被転写媒体に転写
する方法について説明する。

【００２３】まず、上述した転写シート１のインク輸送
層２側が記録側となるようにインクジェットプリンタに
セットし、パソコンで編集した画像データを反転させる
（鏡像にする）ことなくプリンタにより印刷する。印刷
された転写シート１の記録画像４は、図２に示すように
インク輸送層２をインクが通過し、記録画像保持層３で
保持されている。

【００２４】次に、図３に示すように画像が記録された
転写シート１の記録画像保持層３側を被転写媒体５に重
ね合わせ、画像４が記録された部分をドライヤー６等の
加熱手段により加熱する。この加熱により記録画像保持
層３の粘着力が増加するため、記録画像は被転写媒体５
表面に密着される。

【００２５】次に、図４に示すように被転写媒体５から
転写シート１を剥がすと、上記の工程で加熱された部分
のインク輸送層２と記録画像保持層３が剥がれ易くなる
と共に、加熱されなかった部分は被転写媒体５と密着力
が発生していないため、画像が記録された部分（加熱さ
れた部分）のみが被転写媒体５上に残り、その他の部分
はインク輸送層２と共に剥がされる。

【００２６】この実施例では、記録画像保持層３の記録
画像４が形成された部分のみが被転写媒体に分離して密
着されるようにしたが、記録画像保持層３全面が被転写
媒体に密着される構成であっても良い。

【００２７】図５は被転写媒体表面に凹凸がある場合の
転写方法を示したもので、上述した方法と同様に、被転
写媒体７に転写シート１をその表面形状に合わせて密着
するように重ね合わせ、加熱手段により記録画像が形成
された部分を加熱することにより被記録媒体７へ記録画
像形成部分のみを被転写媒体に転写させている。

【００２８】この方法で用いる転写シートとしては、各
層の厚みを薄くしたり材料等を適宜選択することにより
柔軟性を有するよう形成する必要がある。転写シートに
柔軟性を与えた場合、プリンタなどで搬送できなくなる
可能性もあるが、このような場合には、非記録面側の記
録画像保持層３の表面に搬送できる程度の厚みや堅さを
持った補助シートをつけることによりこのような問題は
回避されると共に、より柔軟な転写シートでもプリンタ
で印刷できるようになり、被転写媒体の適用範囲が更に
広がる。この補助シートは、プリンタ搬送時のみ用い、
被転写媒体へ転写させる場合剥がして用いるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の熱転写シートの断面図である。

【図２】本発明の熱転写シートに記録像が形成された部
分の断面図である。

【図３】本発明の転写方法を説明するための図である。

【図４】本発明の転写方法を説明するための図である。

【図５】本発明の転写方法を説明するための図である。

【図６】本発明の転写方法を説明するための図である。

【図７】従来技術を説明するための図である。

【図８】従来技術を説明するための図である。

【図９】従来技術を説明するための図である。

【符号の説明】 １ 転写シート ２ インク輸送層 ３ 記録画像保持層 ４ 記録画像 ５ 被転写媒体 ６ ドライヤー ７ 被転写媒体

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも表面がインクを受容し、裏面
   が加熱により粘着作用を生じるよう形成された記録画像
   保持層と、この記録画像保持層の表面に積層され、この
   記録画像保持層の表面にインクを輸送するインク輸送層
   とを有する熱転写シート。
2. 【請求項２】 前記記録画像保持層と前記インク輸送層
   の層間が加熱により剥離可能である請求項１記載の熱転
   写シート。
3. 【請求項３】 前記記録画像保持層が粘着層、インク受
   容層を積層して形成されている請求項１の熱転写シー
   ト。
4. 【請求項４】 前記記録画像保持層の裏面にプリンタ搬
   送用の補助シートを有する熱転写シート。
5. 【請求項５】 少なくとも前記記録画像保持層が柔軟性
   を有する請求項１記載の熱転写シート。
6. 【請求項６】 前記記録画像保持層、インク輸送層どち
   らか一方の外周が小さく形成されている熱転写シート。
7. 【請求項７】 転写媒体上に形成された記録像を被転写
   媒体に転写する方法であって、 転写媒体上に記録像を形成する工程と、前記記録媒体の
   記録像が形成されていない面を被転写媒体に重ね合わせ
   る工程と、前記転写媒体の記録像が形成された部分を加
   熱することにより記録像が形成された部分を被転写媒体
   に密着させる工程と、前記転写媒体の記録像が形成され
   ていない部分を被転写媒体から剥がす工程とを有するこ
   とを特徴とする方法。
8. 【請求項８】 インクジェット記録装置の記録液により
   前記転写媒体の記録像を形成することを特徴とする請求
   項７記載の方法。