JPH09296124A - ベニバナ抽出液からのベニバナ黄色素と糖類の分離方法 - Google Patents

ベニバナ抽出液からのベニバナ黄色素と糖類の分離方法

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JPH09296124A
JPH09296124A JP19860096A JP19860096A JPH09296124A JP H09296124 A JPH09296124 A JP H09296124A JP 19860096 A JP19860096 A JP 19860096A JP 19860096 A JP19860096 A JP 19860096A JP H09296124 A JPH09296124 A JP H09296124A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】食品に着色したとき経時的に沈殿物を発生せ
ず、かつ明度、彩度、耐性の良いベニバナ黄色素を工業
的に有利に収得すること、高価なカルタミンの原料とな
るベニバナ黄色素を分離、収得すること、又、有用な糖
類を分離、収得すること。 【解決手段】ベニバナ花弁抽出液をマクロポーラスな芳
香族系吸着剤及び芳香族系修飾型吸着剤に接触させてベ
ニバナ黄色素を吸着させる工程を含むことを特徴とす
る、ベニバナ抽出液に含まれるベニバナ黄色素と糖類ま
たは配糖体の分離方法。ベニバナ花弁抽出液を、マクロ
ポーラスな芳香族系吸着剤及び/又は芳香族系修飾型吸
着剤に接触させてベニバナ黄色素を吸着させる工程と、
色素の吸着した吸着剤を有機溶剤又は有機溶剤−水の混
合溶剤に接触させてベニバナ黄色素を離脱させる工程と
からなるベニバナ黄色素の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、べニバナ花弁抽出
液を吸着剤に吸着させ、安定性の良いサフロミンA色素
とカルタミンの原料となるサフラワーイエローB色素、
および糖類、配糖体などを分離方法に関する。製造され
たサフロミンA色素は食品用色素、化粧品、医薬品など
に用いられ、サフラワーイエローB色素はカルタミンの
原料として用いられ、糖類、配糖体などは食品添加物、
化粧品、医薬品などに用いられる。
【0002】
【従来の技術】ベニバナ(Carthamus tinctorius L.)は
キク科の2年草木で、7月中旬にアザミ状の鮮黄色の花
をつける。この花弁を摘み取り、乾燥、あるいはすりつ
ぶして発酵させたものは鮮やかな紅色を呈し、紅花(コ
ウカ)として古くから漢方薬や高級染料として珍重され
てきている。しかしながら花弁中に含まれている色素と
しては水溶性の黄色色素(サフロミンA色素、サフラワ
ーイエローB色素、サフロミンC色素の各成分から成
る)が圧倒的に多く、食品用色素として利用されている
が、糖質、蛋白質などの夾雑物が混ざり、濃縮や粉末化
に際し悪影響を及ぼす原因となっている。又、耐性の良
いサフロミンAと分解しやすいサフラワーイエローB色
素が混在しているため、経時的に退色したり、色がくす
んだり、沈殿を起こす原因となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来法
の欠点を除去して、食品に着色したとき経時的に沈殿物
を発生せず、かつ明度、彩度、耐性の良いベニバナ黄色
素を工業的に有利に収得すること、高価なカルタミンの
原料となるベニバナ黄色素を分離、収得すること、又、
有用な糖類を分離、収得することを目的として鋭意検討
した結果、芳香族系合成吸着剤及び芳香族系修飾型合成
吸着剤を用いることにより、それらが簡単に精製、濃縮
できることを見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ベ
ニバナ花弁抽出液をマクロポーラスな芳香族系吸着剤及
び芳香族系修飾型吸着剤に接触させてベニバナ黄色素を
吸着させる工程を含むことを特徴とする、ベニバナ抽出
液に含まれるベニバナ黄色素と糖類または配糖体の分離
方法に関する。
【0005】更に本発明は、ベニバナ花弁抽出液を、マ
クロポーラスな芳香族系吸着剤及び/又は芳香族系修飾
型吸着剤に接触させてベニバナ黄色素を吸着させる工程
と、色素の吸着した吸着剤を有機溶剤又は有機溶剤−水
の混合溶剤に接触させてベニバナ黄色素を離脱させる工
程とからなるベニバナ黄色素の製造方法に関する。更に
本発明は、ベニバナ花弁抽出液をマクロポーラスな芳香
族系吸着剤に接触させてサフラワーイエローB色素を吸
着させた後、該処理後の液を芳香族系修飾型吸着剤に接
触させてサフロミンA色素を吸着させる上記ベニバナ黄
色素の製造方法に関する。更に本発明は、ベニバナ花弁
抽出液をマクロポーラスな芳香族系吸着剤及び芳香族系
修飾型吸着剤に接触させてベニバナ黄色素を吸着、除去
することを特徴とするベニバナ抽出液に含まれる糖類ま
たは配糖体の製造方法の関する。
【発明の実施の形態】
【0006】ベニバナ花弁抽出液は、室温または加熱し
た中性ないし酸性の水により紅花から抽出し、デカンテ
ーション、遠心分離法その他の方法により分離し、花
弁、夾雑物を除去したものを出発原料とする。
【0007】抽出液を酸性とするために使用する酸性物
質としては、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸や酢酸、ク
エン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸があり、
その濃度は0.001〜1モル濃度であればよい。又、
抽出液を酸性とするために緩衝液を使用してもよい。緩
衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩
衝液、トリス−塩酸緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、
ピロリン酸ナトリウム緩衝液、グリシン−ナトリウム緩
衝液、グッドバッファーなどがあるが、これらに限定さ
れるものではない。抽出液のpHは2〜7、好ましくは
pH2〜4であれば良い。
【0008】有機溶剤としては、エタノール、メタノー
ル、アセトン、プロピルアルコールその他の水溶性の有
機溶剤が使用でき、混合溶剤としては水と水溶性の有機
溶剤の混合割合が容量比で1〜99:99〜1であれば
よい。
【0009】本発明において、マクロポーラスな芳香族
系吸着剤は、スチレン、ビニルピロリドン等のビニルモ
ノマーにジビニルベンゼンのような架橋性のモノマーを
配合して得られる網状構造を有する樹脂を粒子状にした
ものであり、製品名としては、ダイヤモンドシャムロッ
クケミカル社のデュオライトS−30,ES−33、S
−37,S−862,S−861,S−587,S−7
61等、ロームアンドハース社のアンバーライトXAD
−2,XAD−4,XAD−7,XAD−8,XAD−
16,XAD−1180,XAD−2000,XAD−
2010等、三菱化成工業株式会社のダイヤイオンHP
−10,HP−20,HP−21,HP−40等、セパ
ビーズSP−850等、ダウケミカル社のダウエックス
XUS−40323,XUS−40285等、北越炭素
工業株式会社のKS,HS,AF,L−1、ISP社の
ポリクラール SB−100、ポリクラール・スーパー
R、ポリクラール 10(PVPP 不溶性ポリビニル
ポリピロリドン)、東洋曹達工業株式会社のトヨパール
HW−40など等が挙げられる。又、芳香族系修飾吸着
剤は、スチレンとジビニルベンゼンから得られる架橋構
造を有する樹脂に塩素原子、臭素原子等の電子吸引性基
を含有させたものを粒子状にしてなるもので、製品名と
しては、三菱化成工業株式会社のセパビーズSP−20
6,SP−207などが挙げられる。
【0010】本発明に用いるベニバナは生花でも乾燥花
でもよく、さらに「最上紅花」「中国紅花」「岡山1
号」「イスラエル」「カリフォルニア」などベニバナの
種類に限定されることなく如何なる種類でもよい。
【0011】本発明のベニバナ色素と糖類または配糖体
の分離方法をより具体的に説明する。ベニバナ黄色素を
含有する抽出液をマクロポーラスな芳香族系吸着剤に接
触させると、抽出液中に含まれるサフラワーイエローB
色素が吸着する。次いで色素が吸着した吸着剤をイオン
交換水又は微酸性溶液にて水洗し、有機溶剤:水の容量
比が1〜20:99〜80の混合溶剤(同時に酸性物質
を存在させても良い。)にて洗浄し、有機溶剤:水の容
量比が100〜21:0〜79の混合溶剤でサフラワー
イエローB色素を離脱する。処理後の液はそのまま、あ
るいは水または酸性水にて希釈後、若しくは有機溶剤を
蒸留後、芳香族系修飾型吸着剤と接触させ、サフロミン
A色素を吸着させる。色素が吸着した吸着剤をイオン交
換水又は微酸性溶液にて水洗し、糖質、多糖類、蛋白質
などを除去した後、有機溶剤:水の容量比が30〜10
0:70〜0の溶剤でサフロミンA色素を離脱する。処
理後の液にはベニバナ由来の糖または配糖体が含有され
ており、これをイオン交換樹脂または活性炭などで脱色
して精製することができる。
【0012】
【実施例1】ベニバナの生花10kgを、5%酢酸水2
00リットルに20時間、浸漬した。この水溶液をダイ
ヤイオンHP−20 10リットルを詰めたカラムに流
すと、サフロミンA色素の一部とサフラワーイエローB
色素が吸着した。色素の吸着した樹脂を20リットルの
1%酢酸水で洗浄した後、15%エタノール(1%酢酸
含有)30リットルで洗浄し、サフロミンA色素を洗い
流した後、50%エタノール20リットルを流し、サフ
ラワーイエローB色素を溶出させた。この液からエタノ
ールを除き、真空凍結乾燥し、サフラワーイエローB色
素約30gを得た。又、吸着しなかったサフロミンA色
素をセパビーズSP−207 1リットルを詰めたカラ
ムに流してサフロミンA色素を吸着させた。樹脂を2リ
ットルの水で洗浄した後、50%エタノール2リットル
を流し、サフロミンA色素を溶出させた。この液からエ
タノールを除き、真空凍結乾燥し、サフロミンA色素約
100gを得た。樹脂に吸着しなかった、糖類などは、
粉末活性炭にて脱色・精製し、濃縮したところ糖類とし
て200gを得た。
【0013】
【実施例2】中国新彊産乾燥紅花5kgを、1.5%ク
エン酸水100リットルに20時間、浸漬した。この水
溶液をアンバーライトXAD−16 5リットルを詰め
たカラムに流すと、サフロミンA色素の一部とサフラワ
ーイエローB色素が吸着した。色素の吸着した樹脂を1
0リットルの1.5%クエン酸水で洗浄した後、20%
メタノール(0.5%クエン酸含有)10リットルで洗
浄し、サフロミンA色素を洗い流した後、70%メタノ
ール10リットルを流し、サフラワーイエローB色素を
溶出させた。この液からメタノールを除き、濃縮し、サ
フラワーイエローB色素約30gを含む液100gを得
た。又、吸着しなかったサフロミンA色素をアンバーラ
イトXAD−2010 3リットルを詰めたカラムに流
し、サフロミンA色素が吸着した、樹脂を6リットルの
水で洗浄した後、70%メタノール6リットルを流し、
サフロミンA色素を溶出させた。この液からメタノール
を除き、濃縮し、サフロミンA色素約300gを含む
液、1kgを得た。樹脂に吸着しなかった、糖類、配糖
体などは、粉末活性炭イオン交換樹脂にて脱色・精製
し、濃縮したところ糖類として100gを得た。
【0014】
【実施例3】カルホルニア種乾燥紅花1kgを、60%
エタノール(1.0%リンゴ酸含有)20リットルに2
0時間、浸漬した。この溶液をポリクラール10リット
ルを詰めたカラムに流すと、サフロミンA色素の一部と
サフラワーイエローB色素が吸着した。色素の吸着した
樹脂を20リットルの1.0%リンゴ酸水で洗浄した
後、90%エタノール(0.5%リンゴ酸含有)20リ
ットルで洗浄し、サフロミンA色素を洗い流した後、9
0%エタノール(0.5%アンモニア含有)20リット
ルを流し、サフラワーイエローB色素を溶出させた。こ
の液からエタノールを除き、濃縮し、サフラワーイエロ
ーB色素約10gを得た。又、吸着しなかったサフロミ
ンA色素をダウエックスXUS−40323 1リット
ルを詰めたカラムに流し、サフロミンA色素が吸着し
た、樹脂を2リットルの水で洗浄した後、70%エタノ
ール2リットルを流し、サフロミンA色素を溶出させ
た。この液からメタノールを除き、濃縮し、サフロミン
A色素 約30gを得た。樹脂に吸着しなかった、糖
類、配糖体などは、粉末活性炭イオン交換樹脂にて脱色
・精製し、濃縮したところ糖類として50gを得た。
【0015】
【実施例4】中国河南省産乾燥紅花10Kgを精製水1
00リットルにて1時間100℃で加熱抽出した。この
水溶液をダイヤイオンHP−20 10リットルを詰め
たカラムに流すと、サフロミンA色素の一部とサフラワ
ーイエローB色素が吸着した。色素の吸着した樹脂を2
0リットルの1%酢酸水で洗浄した後、15%エタノー
ル(1%酢酸含有)30リットルで洗浄し、サフロミン
A色素を洗い流した後、50%エタノール20リットル
を流し、サフラワーイエローB色素を溶出させた。この
液からエタノールを除き、真空凍結乾燥し、サフラワー
イエローB色素約30gを得た。又、吸着しなかったサ
フロミンA色素をセパビーズSP−207 1リットル
を詰めたカラムに流してサフロミンA色素を吸着させ
た。樹脂を2リットルの水で洗浄した後、50%エタノ
ール2リットルを流し、サフロミンA色素を溶出させ
た。この液からエタノールを除き、真空凍結乾燥し、サ
フロミンA色素約100gを得た。樹脂に吸着しなかっ
た、糖類などは、粉末活性炭にて脱色・精製し、濃縮し
たところ糖類として200gを得た。
【発明の効果】本発明によれば、食品に着色したとき経
時的に沈殿物を発生せず、かつ明度、彩度、耐性の良い
ベニバナ黄色素を工業的に有利に収得することができ
る。更に、高価なカルタミンの原料となるベニバナ黄色
素を高い収量で分離、収得することができる。又、色素
を除去した後、ベニバナ色素に含まれる有用な糖類を、
分離、収得することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベニバナ花弁抽出液をマクロポーラスな
    芳香族系吸着剤及び芳香族系修飾型吸着剤に接触させて
    ベニバナ黄色素を吸着させる工程を含むことを特徴とす
    る、ベニバナ抽出液に含まれるベニバナ黄色素と糖類ま
    たは配糖体の分離方法。
  2. 【請求項2】 ベニバナ花弁抽出液を、マクロポーラス
    な芳香族系吸着剤及び/又は芳香族系修飾型吸着剤に接
    触させてベニバナ黄色素を吸着させる工程と、色素の吸
    着した吸着剤を有機溶剤又は有機溶剤−水の混合溶剤に
    接触させてベニバナ黄色素を離脱させる工程とからなる
    ベニバナ黄色素の製造方法。
  3. 【請求項3】 ベニバナ花弁抽出液をマクロポーラスな
    芳香族系吸着剤に接触させて主としてサフラワーイエロ
    ーB色素を吸着させた後、該処理後の液を芳香族系修飾
    型吸着剤に接触させてサフロミンA色素を吸着させる請
    求項2記載のベニバナ黄色素の製造方法。
  4. 【請求項4】 ベニバナ花弁抽出液をマクロポーラスな
    芳香族系吸着剤及び芳香族系修飾型吸着剤に接触させて
    ベニバナ黄色素を吸着、除去することを特徴とするベニ
    バナ抽出液に含まれる糖類または配糖体の製造方法。
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