JPH09288817A - 磁気記録媒体、及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体、及びその製造方法

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JPH09288817A
JPH09288817A JP9977696A JP9977696A JPH09288817A JP H09288817 A JPH09288817 A JP H09288817A JP 9977696 A JP9977696 A JP 9977696A JP 9977696 A JP9977696 A JP 9977696A JP H09288817 A JPH09288817 A JP H09288817A
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film
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Katsumi Endo
克巳 遠藤
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Osamu Yoshida
修 吉田
Akira Shiga
章 志賀
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦係数が低く、耐久性に富むカーボン系保
護膜を有する磁気記録媒体を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気
記録媒体において、前記保護膜は、C成分とF成分とを
有するものであり、かつ、ラマン分光スペクトルにおい
て、1550±60cm-1の領域に半値幅が70cm-1
以上のブロードなピークを有すると共に、1550±4
0cm-1の領域に半値幅が60cm-1以下のシャープな
ピークを有する磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】磁気テープにおいて
は、高密度記録化の要請から、支持体上に設けられる磁
性層として、バインダ樹脂を用いた塗布型のものではな
く、バインダ樹脂を用いない金属薄膜型のものが提案さ
れている。すなわち、無電解メッキ等の湿式メッキ手
段、真空蒸着やスパッタリングあるいはイオンプレーテ
ィング等の乾式メッキ手段により磁性層を形成した磁気
テープが提案されている。そして、この種の磁気テープ
は磁性体の充填密度が高く、高密度記録に適したもので
ある。
【0003】この磁気テープの金属磁性膜を保護する為
に、各種の保護膜を表面に設けることが提案されてい
る。例えば、ダイヤモンドライクカーボン膜もこれらの
提案の一つである。尚、ダイヤモンドライクカーボン膜
は、例えば熱フィラメントCVD装置、光CVD装置、
RFプラズマCVD装置、マイクロ波プラズマCVD装
置、ECRマイクロ波プラズマCVD装置などのCVD
(ケミカルベーパーデポジション)装置によって設けら
れている。
【0004】しかし、これまでのダイヤモンドライクカ
ーボン膜では、充分に満足できるものでないことが判っ
て来た。すなわち、ダイヤモンドライクカーボン膜は、
高硬度なものではあるが、摩擦などのトライポロジー性
に劣り、潤滑剤などが必要となる。しかし、不活性なダ
イヤモンドライクカーボン膜上に潤滑剤を塗布により設
けていても、潤滑剤は失われ易い。
【0005】従って、潤滑剤がなくても、摩擦係数が低
く、耐久性に富むカーボン系保護膜を有する磁気記録媒
体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記本発明の課題は、支
持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気記録媒体におい
て、前記保護膜は、C成分とF成分とを有するものであ
り、かつ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±
60cm-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロード
なピークを有すると共に、1550±40cm-1の領域
に半値幅が60cm-1以下のシャープなピークを有する
ものであることを特徴とする磁気記録媒体によって解決
される。
【0007】特に、支持体と磁性膜と保護膜とを有する
磁気記録媒体において、前記保護膜は、C−F結合があ
る炭素系膜であり、かつ、ラマン分光スペクトルにおい
て、1550±60cm-1の領域に半値幅が70cm-1
以上のブロードなピークを有すると共に、1550±4
0cm-1の領域に半値幅が60cm-1以下のシャープな
ピークを有するものであることを特徴とする磁気記録媒
体によって解決される。
【0008】更には、支持体と磁性膜と保護膜とを有す
る磁気記録媒体において、前記保護膜は、フッ化炭素が
存在するダイヤモンドライクカーボン系膜であり、か
つ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±60c
-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロードなピー
クを有すると共に、1550±40cm-1の領域に半値
幅が60cm-1以下のシャープなピークを有するもので
あることを特徴とする磁気記録媒体によって解決され
る。
【0009】尚、上記保護膜のラマン分光スペクトルに
おけるブロードなピークは半値幅が70〜300cm-1
(更には、80〜200cm-1)、シャープなピークは
半値幅が2〜60cm-1(更には、5〜55cm-1)の
ものが好ましい。すなわち、上記のような特徴の保護膜
は、F成分による滑性効果が著しく、従って摩擦係数が
低く、耐久性に富むものとなる。
【0010】特に、保護膜は、磁性膜と反対側の表面に
あってはC成分量よりF成分量の方が多いものが好まし
い。又、保護膜は、磁性膜と反対側の表面から磁性膜に
近づくに従ってF成分量/C成分量が減少するものが好
ましい。例えば、保護膜は、この保護膜のオージェ電子
分光スペクトルにおいて、保護膜表面からC成分が磁性
膜の主成分より多い領域の割合をA、保護膜表面からF
成分がC成分より多い領域の割合をBとした場合、0≦
B/A≦0.95(特に、0.05≦B/A≦0.6)
を満たすものが好ましい。そして、このように構成させ
ていると、F成分による滑性効果が著しく、従って摩擦
係数が低く、耐久性に富むものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、支持体
と磁性膜と保護膜とを有する磁気記録媒体において、前
記保護膜は、C成分とF成分とを有するものであり、か
つ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±60c
-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロードなピー
クを有すると共に、1550±40cm-1の領域に半値
幅が60cm-1以下のシャープなピークを有するもので
ある。特に、支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気記
録媒体において、前記保護膜は、C−F結合がある炭素
系膜であり、かつ、ラマン分光スペクトルにおいて、1
550±60cm-1の領域に半値幅が70cm-1以上の
ブロードなピークを有すると共に、1550±40cm
-1の領域に半値幅が60cm-1以下のシャープなピーク
を有するものである。更には、支持体と磁性膜と保護膜
とを有する磁気記録媒体において、前記保護膜は、フッ
化炭素が存在するダイヤモンドライクカーボン系膜であ
り、かつ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±
60cm-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロード
なピークを有すると共に、1550±40cm-1の領域
に半値幅が60cm-1以下のシャープなピークを有する
ものである。上記保護膜のラマン分光スペクトルにおけ
るブロードなピークは半値幅が70〜300cm-1(特
に、80〜200cm-1)、シャープなピークは半値幅
が2〜60cm-1(特に、5〜55cm-1)のものであ
る。
【0012】又、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、
支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気記録媒体の製造
方法において、前記保護膜はn個(nは自然数)のガス
供給機構が設けられたプラズマ反応管を有するECR−
CVD手段により成膜されるものであり、前記n個のガ
ス供給機構から供給される炭化水素系ガスとフッ素系ガ
スとの混合ガスは、走行する支持体の下流側にあるガス
供給機構ほどフッ素系ガスの分圧が高いものである。或
いは、支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気記録媒体
の製造方法において、前記保護膜はn個(nは自然数)
のガス供給機構が設けられたプラズマ反応管を有するE
CR−CVD手段により成膜されるものであり、前記n
個のガス供給機構から供給される炭化水素系ガスとフッ
素系ガスとの混合ガスは、走行する支持体の下流側にあ
るガス供給機構ほど分子量の大きなフッ素系ガスが用い
られるものである。若しくは、支持体と磁性膜と保護膜
とを有する磁気記録媒体の製造方法において、前記保護
膜はn個(nは自然数)のガス供給機構が設けられたプ
ラズマ反応管を有するECR−CVD手段により成膜さ
れるものであり、前記n個のガス供給機構から供給され
る炭化水素系ガスとフッ素系ガスとの混合ガスは、走行
する支持体の下流側にあるガス供給機構ほど分子量の小
さな炭化水素系ガスが用いられるものである。
【0013】次に、本発明のラマン分光スペクトルにお
けるピークの求め方について簡単に説明する。測定装置
としては、スペックス社のトリプルスペクトロメータを
用いた。光源は、300mW出力の波長が488nmの
Arレーザである。そして、サンプルSに488nmの
Arレーザをθが5°の角度で低角照射し、サンプルS
からの散乱光のうち照射光線と90°方向の散乱光を測
定器(トリプルスペクトロメータ)で分光測定する。測
定時間(積算時間)は10分とし、少なくとも三点以上
測定し、平均値を求める。ピーク強度を求める為には、
先ず、ブランクレベルを調べる。すなわち、トリプルス
ペクトロメータにサンプルSをセットせず、10分間ト
リプルスペクトロメータを作動させ、トリプルスペクト
ロメータのブランクレベルを調べる。この後、トリプル
スペクトロメータにサンプルSをセットし、10分間ト
リプルスペクトロメータを作動させ、ラマン分光スペク
トルを得、前記ブランクレベルを基準として各領域にお
けるピーク点の強度(ピーク点におけるブランクレベル
からピーク値までの高さ)を求める。これについて三点
以上測定し、平均値を求める。詳細は特願平7−300
919号の明細書に記載されているから、これを参考に
すれば良い。
【0014】そして、上記の特徴を有する保護膜は、F
成分による滑性効果が著しく、従って摩擦係数が低く、
耐久性に富む。又、保護膜は、磁性膜と反対側の表面に
あってはC成分量よりF成分量の方が多い。又、保護膜
は、磁性膜と反対側の表面から磁性膜に近づくに従って
F成分量/C成分量が減少する。例えば、保護膜は、こ
の保護膜のオージェ電子分光スペクトルにおいて、保護
膜表面からC成分が磁性膜の主成分より多い領域の割合
をA、保護膜表面からF成分がC成分より多い領域の割
合をBとした場合、0≦B/A≦0.95(特に、0.
05≦B/A≦0.6)を満たす。
【0015】本発明におけるC成分量やF成分量、更に
はF成分量/C成分量は、オージェ電子分光特性を調べ
ることによって求められる。測定条件を次に示す。電子
銃;加速電圧10kv,エミッション電流10nA,倍
率2000倍。エッチング条件;エッチングガスはアル
ゴン,加速電圧3kv,イオン電流300nA,30秒
毎にエッチング。
【0016】尚、保護膜上に潤滑剤が設けられたものに
ついてトリプルスペクトロメータでラマン分光スペクト
ルを調べると、潤滑剤のC−C,C−H,C−F結合に
起因するピークが認められることも有る。このような場
合には、この潤滑剤のC−C,C−H,C−F結合に起
因するピークを除去した状態におけるピークを求める。
あるいは、潤滑剤を予め除去し、これについてトリプル
スペクトロメータでラマン分光スペクトルを調べる。潤
滑剤の除去は、パーフルオロポリエーテル等の希釈剤に
よる洗浄や、Arプラズマを用いたプラズマエッチング
(例えば、反応ガス;Ar。反応ガス流量;9.0×1
-6Torrの真空度から20×10-3Torrに。μ
波出力;300w。搬送速度;1m/minの条件下で
のECR−CVD)を行うことにより可能である。
【0017】又、オージェ電子分光スペクトルを調べる
場合にも潤滑剤を予め除去しておく。本発明の磁気記録
媒体における支持体は、磁性を有するものでも、非磁性
のものでも良い。一般的には非磁性のものである。例え
ば、PET等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリスルフォン、ポリカーボネート、ポリプロピレ
ン等のオレフィン系の樹脂、セルロース系の樹脂、塩化
ビニル系の樹脂といったフレキシブルな高分子材料が用
いられる。
【0018】このフレキシブルな支持体上に、蒸着やス
パッタ等の乾式メッキ手段によって金属薄膜型の磁性膜
が500〜5000Å厚さ設けられる。金属薄膜型の磁
性膜を形成する磁性粒子の材料としては、例えばFe,
Co,Ni等の金属の他に、Co−Ni合金、Co−P
t合金、Co−Ni−Pt合金、Fe−Co合金、Fe
−Ni合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Co−B合
金、Co−Ni−Fe−B合金、Co−Cr合金、ある
いはこれらに異種の金属を含有させた合金が用いられ
る。尚、金属薄膜型の磁性膜としては、前記材料の窒化
物(例えば、Fe−N,Fe−N−O)や炭化物(例え
ば、Fe−C,Fe−C−O)等も挙げられる。
【0019】この金属磁性膜上に10〜500Å、特に
30〜200Å程度の保護膜が設けられる。この保護膜
は上記特徴を有するものである。このような保護膜は、
例えばECRマイクロ波プラズマCVD装置を用いて成
膜できる。例えば、図1に示すECRマイクロ波プラズ
マCVD装置(1はプラズマ反応管、2a,2b,…,
2nは供給ノズル、3はECR用コイル、4はμ波の導
波管、5は冷却キャンロール、6は金属磁性膜が設けら
れた支持体)のプラズマ反応管1の先端側に上から下
(上が支持体の走行方向における上流側、下は走行方向
における下流側)に向けて反応ガス(例えば、炭化水素
ガス+フッ素系のガスとの混合ガス)を供給する複数本
の供給ノズル2a,2b,…2nを設けておき、上側の
供給ノズル(走行する支持体の上流側の供給ノズル)2
aから下側の反応ガス供給ノズル(走行する支持体の下
流側の供給ノズル)2nに移行するにつれて供給するフ
ッ素系の反応ガスの量(分圧)を増やす手法、或いは図
1に示すECRマイクロ波プラズマCVD装置において
供給ノズル2a,2b,…2nにおける上側の反応ガス
供給ノズル2aから下側の反応ガス供給ノズル2nに移
行するにつれて供給するフッ素系の反応ガスの分子量を
増やす手法、若しくは図1に示すECRマイクロ波プラ
ズマCVD装置において供給ノズル2a,2b,…2n
における上側の反応ガス供給ノズル2aから下側の反応
ガス供給ノズル2nに移行するにつれて供給する炭化水
素ガスの分子量を減少させる手法などが考えられる。
又、炭化水素ガス+フッ素系のガスとの混合ガスではな
く、フッ素置換された炭化水素ガスを用い、同様にC量
とF量とを制御して行っても本発明の保護膜が得られ
る。
【0020】尚、ECRマイクロ波プラズマCVDを行
う条件は、次の通りである。 排気真空度;<1.0×10-1Torr 供給ガスのトータル量;真空度により規定 1.2×10-1〜1.2×10-5Torr μ波振動周波数;2.45GHz μ波出力;50〜1000w 共鳴点磁場(ECR−Point磁場);875Gau
ss 上記のようにして金属磁性膜や保護膜が成膜された後、
必要に応じて、フッ素系潤滑剤の膜が浸漬あるいは超音
波噴霧などの手段により20〜70Å程度の厚さ設けら
れる。尚、言うまでもないが、本発明の保護膜であれ
ば、潤滑剤がなくても摩擦係数は小さく、走行性に優れ
たものであるが、より一層の走行性を確保する為、必要
に応じて潤滑剤の膜が設けられる。
【0021】
【実施例1】図2は、本発明になる8mmVTR用磁気
テープの第1実施例の概略図である。図2中、11は約
6μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)製支
持体である。
【0022】12は、支持体11表面に斜め蒸着法によ
り設けられた2000Å厚のCo金属磁性膜である。1
3は、支持体1裏面上に蒸着法により設けられた200
0Å厚のAl−Cu合金膜(バックコート層)である。
14は120Å厚の保護膜である。この保護膜14を、
スペックス社製のトリプル スペクトロメータを用い、
出力300mWのArレーザ(波長488nm)を照射
して得られたラマン分光スペクトルが図3に示される。
そして、ブランクレベルを差し引き、かつ、バックグラ
ウンドの傾斜分も差し引いたものをガウス関数により誤
差最小となるようにピーク分離したので、その結果を図
4に示す。これによれば、1520cm-1の領域にダイ
ヤモンドライクカーボンに起因する強度IG が2400
cpsで、半値幅が96cm-1のブロードなピークと、
1562cm-1の領域にC−F結合に起因する強度ICF
が3138cpsで、半値幅が16cm-1のシャープな
ピークを有することが判る。更に、オージェ電子分光ス
ペクトルが図5〜図7に示される。これによれば、保護
膜表面(磁性膜と反対側における表面。特に、保護膜表
面からC成分が磁性膜の主成分より多い領域の割合を
A、保護膜表面からF成分がC成分より多い領域の割合
をBとした場合、B/A<0.41の範囲内)にあって
はC成分量よりF成分量の方が多いものであることが判
る(図5,6)。又、保護膜は、磁性膜と反対側の表面
から磁性膜に近づくに従ってF成分量/C成分量が減少
するものであることも判る(図7)。
【0023】尚、保護膜14は、図1のECRマイクロ
波プラズマCVD装置(供給ノズルは2本)を用い、上
側の供給ノズルには(CF4 量)/(CF4 量+CH4
量)が4sccm/20sccmの割合で、下側の供給
ノズルには(CF4 量)/(CF4 量+CH4 量)が1
6sccm/20sccmの割合で供給し、μ波の出力
は300w、成膜真空度が2.0×10-3Torr、膜
厚10Åの条件下で成膜したものである。
【0024】
【実施例2】図1のECRマイクロ波プラズマCVD装
置(供給ノズルは2本)を用い、上側の供給ノズルには
CF4 とCH4 との混合ガス(混合比は1:4)を20
sccmの割合で、下側の供給ノズルにはC2 6 とC
4 との混合ガス(混合比は1:4)を20sccmの
割合で供給した以外は実施例1に準じて行った。
【0025】このようにして形成された120Å厚の保
護膜14を、スペックス社製のトリプル スペクトロメ
ータを用い、出力300mWのArレーザ(波長488
nm)を照射して得られたラマン分光スペクトルが図8
に示される。そして、ブランクレベルを差し引き、か
つ、バックグラウンドの傾斜分も差し引いたものをガウ
ス関数により誤差最小となるようにピーク分離したの
で、その結果を図9に示す。これによれば、1520c
-1の領域にダイヤモンドライクカーボンに起因する強
度IG が3240cpsで、半値幅が96cm-1のブロ
ードなピークと、1573cm-1の領域にC−F結合に
起因する強度ICFが2520cpsで、半値幅が21.
6cm-1のシャープなピークを有することが判る。更
に、オージェ電子分光スペクトルが図10,図11に示
される。これによれば、保護膜表面(磁性膜と反対側に
おける表面。特に、保護膜表面からC成分が磁性膜の主
成分より多い領域の割合をA、保護膜表面からF成分が
C成分より多い領域の割合をBとした場合、B/A<
0.56の範囲内)にあってはC成分量よりF成分量の
方が多いものであることが判る(図10)。又、保護膜
は、磁性膜と反対側の表面から磁性膜に近づくに従って
F成分量/C成分量が減少するものであることも判る
(図11)。
【0026】
【実施例3】図1のECRマイクロ波プラズマCVD装
置(供給ノズルは2本)を用い、上側の供給ノズルには
CF4 とC2 6 との混合ガス(混合比は1:4)を2
0sccmの割合で、下側の供給ノズルにはCF4 とC
4 との混合ガス(混合比は1:4)を20sccmの
割合で供給した以外は実施例1に準じて行った。
【0027】このようにして形成された120Å厚の保
護膜14を、スペックス社製のトリプル スペクトロメ
ータを用い、出力300mWのArレーザ(波長488
nm)を照射して得られたラマン分光スペクトルが図1
2に示される。そして、ブランクレベルを差し引き、か
つ、バックグラウンドの傾斜分も差し引いたものをガウ
ス関数により誤差最小となるようにピーク分離したの
で、その結果を図13に示す。これによれば、1520
cm-1の領域にダイヤモンドライクカーボンに起因する
強度IG が4400cpsで、半値幅が104cm-1
ブロードなピークと、1562cm-1の領域にC−F結
合に起因する強度ICFが3740cpsで、半値幅が1
6cm-1のシャープなピークを有することが判る。更
に、オージェ電子分光スペクトルが図14,図15に示
される。これによれば、保護膜表面(磁性膜と反対側に
おける表面。特に、保護膜表面からC成分が磁性膜の主
成分より多い領域の割合をA、保護膜表面からF成分が
C成分より多い領域の割合をBとした場合、B/A<
0.90の範囲内)にあってはC成分量よりF成分量の
方が多いものであることが判る(図14)。又、保護膜
は、磁性膜と反対側の表面から磁性膜に近づくに従って
F成分量/C成分量が減少するものであることも判る
(図15)。
【0028】
【比較例1】図1のECRマイクロ波プラズマCVD装
置(供給ノズルは1本)を用い、供給ノズルにCH4
スを20sccmの割合で供給した以外は実施例1に準
じて行った。このようにして形成された120Å厚の保
護膜14を、スペックス社製のトリプル スペクトロメ
ータを用い、出力300mWのArレーザ(波長488
nm)を照射して得られたラマン分光スペクトルが図1
6に示される。そして、ブランクレベルを差し引き、か
つ、バックグラウンドの傾斜分も差し引いたものをガウ
ス関数により誤差最小となるようにピーク分離を試みた
たので、その結果を図17に示す。これによれば、15
20cm-1の領域にダイヤモンドライクカーボンに起因
する強度IG が2926cpsで、半値幅が98cm-1
のブロードなピークが認められる。しかし、前記実施例
のラマン分光スペクトルで認められたシャープなピーク
は認められなかった。更に、オージェ電子分光スペクト
ルが図18,図19に示されるが、F成分は認められな
い。
【0029】
【特性】上記各例で得た8mmVTR用磁気テープにつ
いて、保護膜表面の摩擦係数を調べたので、それを表−
1に示す。又、スチル耐久性(20℃、50%RHの雰
囲気下でスチル再生を行い、出力が3dB低下するに要
した時間)についても調べたので、その結果を併せて表
−1に示す。
【0030】 この結果から、磁気テープの金属磁性膜上に設けられる
保護膜が本発明になるものの場合、滑性に富み、摩擦係
数が小さく、耐久性に優れたものである。
【0031】
【発明の効果】耐久性に優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保護膜成膜用のECRマイクロ波プラズマCV
D装置
【図2】本発明になる磁気テープの概略図
【図3】実施例1の磁気テープの保護膜のラマン分光ス
ペクトル
【図4】実施例1におけるラマン分光スペクトルをピー
ク分離したスペクトル
【図5】実施例1の磁気テープのオージェ電子分光スペ
クトル
【図6】実施例1の磁気テープの保護膜のオージェ電子
分光スペクトル
【図7】実施例1の磁気テープの保護膜のオージェ電子
分光スペクトル
【図8】実施例2の磁気テープの保護膜のラマン分光ス
ペクトル
【図9】実施例2におけるラマン分光スペクトルをピー
ク分離したスペクトル
【図10】実施例2の磁気テープの保護膜のオージェ電
子分光スペクトル
【図11】実施例2の磁気テープの保護膜のオージェ電
子分光スペクトル
【図12】実施例3の磁気テープの保護膜のラマン分光
スペクトル
【図13】実施例3におけるラマン分光スペクトルをピ
ーク分離したスペクトル
【図14】実施例3の磁気テープの保護膜のオージェ電
子分光スペクトル
【図15】実施例3の磁気テープの保護膜のオージェ電
子分光スペクトル
【図16】比較例1の磁気テープの保護膜のラマン分光
スペクトル
【図17】比較例1におけるラマン分光スペクトルをピ
ーク分離したスペクトル
【図18】比較例1の磁気テープの保護膜のオージェ電
子分光スペクトル
【図19】比較例1の磁気テープの保護膜のオージェ電
子分光スペクトル
【符号の説明】
11 支持体 12 金属磁性膜 13 バックコート層 14 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志賀 章 栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606 花王株 式会社情報科学研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気
    記録媒体において、 前記保護膜は、 C成分とF成分とを有するものであり、 かつ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±60
    cm-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロードなピ
    ークを有すると共に、1550±40cm-1の領域に半
    値幅が60cm-1以下のシャープなピークを有するもの
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気
    記録媒体において、 前記保護膜は、 C−F結合がある炭素系膜であり、 かつ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±60
    cm-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロードなピ
    ークを有すると共に、1550±40cm-1の領域に半
    値幅が60cm-1以下のシャープなピークを有するもの
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気
    記録媒体において、 前記保護膜は、 フッ化炭素が存在するダイヤモンドライクカーボン系膜
    であり、 かつ、ラマン分光スペクトルにおいて、1550±60
    cm-1の領域に半値幅が70cm-1以上のブロードなピ
    ークを有すると共に、1550±40cm-1の領域に半
    値幅が60cm-1以下のシャープなピークを有するもの
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 保護膜は、磁性膜と反対側の表面にあっ
    てはC成分量よりF成分量の方が多いものであることを
    特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 保護膜は、磁性膜と反対側の表面から磁
    性膜に近づくに従ってF成分量/C成分量が減少するも
    のであることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか
    の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 保護膜は、この保護膜のオージェ電子分
    光スペクトルにおいて、保護膜表面からC成分が磁性膜
    の主成分より多い領域の割合をA、保護膜表面からF成
    分がC成分より多い領域の割合をBとした場合、0≦B
    /A≦0.95を満たすものであることを特徴とする請
    求項1〜請求項5いずれかの磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 ブロードなピークは半値幅が70〜30
    0cm-1のものであり、シャープなピークは半値幅が2
    〜60cm-1のものであることを特徴とする請求項1〜
    請求項3いずれかの磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気
    記録媒体の製造方法において、前記保護膜はn個(nは
    自然数)のガス供給機構が設けられたプラズマ反応管を
    有するECR−CVD手段により成膜されるものであ
    り、 前記n個のガス供給機構から供給される炭化水素系ガス
    とフッ素系ガスとの混合ガスは、走行する支持体の下流
    側にあるガス供給機構ほどフッ素系ガスの分圧が高いも
    のであることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁気
    記録媒体の製造方法において、前記保護膜はn個(nは
    自然数)のガス供給機構が設けられたプラズマ反応管を
    有するECR−CVD手段により成膜されるものであ
    り、 前記n個のガス供給機構から供給される炭化水素系ガス
    とフッ素系ガスとの混合ガスは、走行する支持体の下流
    側にあるガス供給機構ほど分子量の大きなフッ素系ガス
    が用いられるものであることを特徴とする磁気記録媒体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 支持体と磁性膜と保護膜とを有する磁
    気記録媒体の製造方法において、前記保護膜はn個(n
    は自然数)のガス供給機構が設けられたプラズマ反応管
    を有するECR−CVD手段により成膜されるものであ
    り、 前記n個のガス供給機構から供給される炭化水素系ガス
    とフッ素系ガスとの混合ガスは、走行する支持体の下流
    側にあるガス供給機構ほど分子量の小さな炭化水素系ガ
    スが用いられるものであることを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
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