JP2784334B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体Info
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Description
し、更に詳しくは、磁性層上にダイヤモンドライクカー
ボン薄膜からなる保護層が形成された、耐食性、走行安
定性、カッピングの低減に優れた磁気記録媒体に関す
る。
付着させてなる、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体
は、磁性層にバインダーを全く含まないことから磁性材
料の密度を高められるため、高密度記録に有望であると
されている。しかしながら、金属薄膜型の磁気記録媒体
の磁性層は、支持体上に金属が付着しているだけなの
で、そのままでは耐食性、耐久性が悪く、これを向上さ
せる目的でパーフルオロポリエーテル等のフッ素系の潤
滑剤、炭化水素系潤滑剤或いはこれらを併用した潤滑剤
を塗布したり、磁性層上に非磁性物の保護層を設けたり
することが行われてきた。更に今日では、磁性層上の保
護層として、ダイヤモンドライクカーボンからなる薄膜
を形成する手法が注目されている。ダイヤモンドライク
カーボン薄膜はグラファイト結合とダイヤモンド結合が
混在する構造と考えられている。ダイヤモンドライクカ
ーボン薄膜を磁性層上に形成する方法としては、RF(Ra
dio Frequency:高周波)プラズマCVD (Chemical Vapor
Deposition:化学気相成長法) 或いはECR(Electron Cyc
rotoron Resonance:電子サイクロトロン共鳴) プラズマ
CVD 等による方法が挙げられる。このうち ECRプラズマ
CVD は、高真空中で原料ガスにマイクロ波を印加してガ
スをプラズマ化し、目的物(磁性層上)に薄膜を形成す
る方法であり、ダイヤモンドライクカーボン薄膜の形成
には汎用されている。
向上させるために、よりダイヤモンドに近い薄膜を形成
することが行なわれている。しかしながら、ダイヤモン
ドの組成に近いダイヤモンドライクカーボンは確かに耐
久性には優れるが、潤滑剤との結着性が悪く安定した摩
擦係数が得られなかったり、耐食性が悪かったり、或い
はダイヤモンドライクカーボン自体の張力が大きいため
にカッピングが著しいという問題があった。
解決すべく鋭意研究した結果、保護層を形成するダイヤ
モンドライクカーボン中の蛍光を発する物質を多くする
ことにより、耐食性に優れ、安定した摩擦係数が得ら
れ、しかもカッピングの発生が低減できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
形成された磁性層と、該磁性層上に形成された蛍光を発
する物質を含むダイヤモンドライクカーボン薄膜からな
る保護層とを有することを特徴とする磁気記録媒体にお
いて、前記ダイヤモンドライクカーボン薄膜のラマン分
光分析法による1000cm-1における強度(C1000) と2000cm
-1における強度(C2000) との比が、 C2000/C1000 ≧1.
8 であることを特徴とする磁気記録媒体を提供するもの
である。
等の方法により形成された磁性層上に、ダイヤモンドラ
イクカーボン薄膜からなる保護層が形成さているもので
あるが、本発明では特にラマン分光分析法のチャートに
おける1000cm-1の強度(C1000) と2000cm-1の強度
(C2000) との比が、 C2000/C1000 ≧1.8 であるダイヤ
モンドライクカーボン薄膜が使用される。ラマン分光分
析は、ダイヤモンドライクカーボン薄膜中の不飽和結合
の数を知るための指標となる。ラマン分光分析における
上記の2つの強度が上記の関係を満たすものは、有限個
炭素が結合した分子や二重結合等の様々な分子がランダ
ムに存在し、潤滑剤との結着性が向上するため耐食性や
耐久性に優れる。
は、下記の条件でレーザー光を照射した場合に、蛍光を
発することを意味する。 レーザー光波長: 488nm パワー: 300mW 照射時間: 600秒 また、この条件は、本発明におけるラマン分光分析の条
件でもある。
定のラマン強度比を有するダイヤモンドライクカーボン
薄膜は、磁性層上に通常の ECRプラズマCVD 法により形
成できるが、その際に共有結合を有する化合物からなる
炭素源、好適にはベンゼンを原料とするのがよい。 ECR
プラズマCVD 法の条件は公知の方法に準じて行えばよ
く、通常マイクロ波の周波数は2.45GHz 、出力は500W程
度であり、真空度が10-1〜10-4Torrとなるように炭素源
となるベンゼンガスを流す。本発明の磁気記録媒体にお
いて、ダイヤモンドライクカーボン薄膜からなる保護層
の厚さは50〜200Åが好ましい。
性層は塗布型のものでもよいが、蒸着等により形成され
た金属薄膜型の磁性層であるのが好ましい。金属薄膜型
の磁性層を形成する磁性材料としては、通常の金属薄膜
型の磁気記録媒体の製造に用いられる強磁性金属材料が
挙げられ、例えばCo, Ni, Fe等の強磁性金属、また、Fe
−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、
Co−Au、Co−Y 、Co−La、Co−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co
−Pt、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−Al、Fe−Cr、Co−
Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Ni−Co−Cr等の強磁性合金が
挙げられる。磁性層としては鉄、コバルト、ニッケルを
主体とする強磁性合金及びこれらの窒化物もしくは炭化
物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。高密度記録
のためには磁気記録媒体の磁性層は、斜め蒸着により基
材上に形成することが好ましい。斜め蒸着の方法は特に
限定されず、従来公知の方法に準ずる。蒸着の際の真空
度は10-4〜10-7Torr程度である。蒸着による磁性層は単
層構造でも多層構造の何れでも良く、特に、酸化性ガス
を導入して磁性層表面に酸化物を形成することにより、
耐久性の向上を図ることができる。なお、本発明におい
ては、磁性層は一層或いは多層とすることができるが、
蒸着で多層の磁性層を形成する場合、磁性層の厚さは、
二層の場合、下層の磁性層の厚さが 100〜2000Å、上層
の磁性層の厚さが50〜1000Åが好ましく、三層の場合、
下層の磁性層の厚さが100 〜2000Å、中間の磁性層の厚
さが 100〜1000Å、上層の磁性層の厚さが50〜1000Åが
好ましい。また、磁性層の数は多くても良いが、実用的
な範囲としては二〜五層が適当と考えられる。
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレートのようなポリエステル;ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン; セルローストリアセテ
ート、セルロースジアセテート等のセルロース誘導体;
ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;芳香
族ポリアミド等のプラスチック等が使用される。これら
の支持体の厚さは3〜50μm 程度である。
支持体の磁性層を形成する面と反対の面に更にバックコ
ート層を形成することができる。バックコート層はカー
ボンブラック等と結合剤とを分散させた塗料を 0.3〜1.
0 μm程度の厚さ(乾燥後)となるように塗布して形成
してもよいし、蒸着等により金属又は半金属を支持体に
付着させて形成してもよい。バックコート層として付着
する金属としては、いろいろ考えられるが、Al,Cu,Z
n,Sn,Ni,Agなど及びこれらの合金が用いられ、Cu−A
l合金が好適である。また、バックコート層を形成する
半金属としては、Si,Ge,As,Sc,Sbなどが用いられ、
Siが好適である。金属薄膜型のバックコート層の厚さ
は、0.05〜1.0 μm 程度である。
前記したようなダイヤモンドライクカーボン薄膜からな
る保護層の上に更に適当な潤滑剤からなるトップコート
層を形成してもよい。トップコート層は潤滑剤を適当な
溶剤に溶解させたものを塗布して形成してもよいし、真
空中で潤滑剤を噴霧する方法により形成してもよい。潤
滑剤を噴霧により形成する場合、超音波発振器を備えた
噴霧器(以下、超音波噴霧器という)により支持体上に
形成された磁性層上に噴霧するのが好ましい。潤滑剤と
しては、塗布或いは噴霧いずれの場合も、パーフルオロ
ポリエーテル等のフッ素系潤滑剤が好ましく、具体的に
は、パーフルオロポリエーテルとしては、分子量2000〜
5000のものが好適であり、例えば「FOMBLIN Z DIAC」
〔カルボキシル基変性、モンテカチーニ (株) 製〕、
「FOMBLIN Z DOL 」〔アルコール変性、モンテカチーニ
(株) 製〕の商品名で市販されているものが使用でき
る。潤滑剤の噴霧量は、磁気記録媒体の用途や潤滑剤の
種類等を考慮して適宜決定すればよいが、形成されたト
ップコート層の厚さは10〜200 Å程度である。
がら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
して厚さが2000Åの磁性層を形成した。次いで、通常の
ECRプラズマCVD 装置により磁性層上にダイヤモンドラ
イクカーボン薄膜からなる保護層を形成した。この時の
条件と保護層の膜厚及びラマン分光分析法による1000cm
-1における強度(C1000) と2000cm-1における強度
(C2000) との比を表1に示す。
クカーボン層が形成されたPET フィルムの磁性層面とは
反対の面にグラビア式塗布法によりカーボンブラックを
主成分とする厚さ0.5 μmのバックコート層を形成し、
更に、ダイヤモンドライクカーボン層の上にフッ素系潤
滑剤〔FOMBLIN Z DIAC、カルボキシル基変性、モンテカ
チーニ (株) 製〕からなる潤滑層をグラビア式塗布法に
より形成した。得られたフィルムを8mm巾にスリット
し、8mmVTRカセットに入れ、8mmビデオテープを製
造した。なおそれぞれのダイヤモンドライクカーボン薄
膜のラマン分光分析の結果を図1に示す。
ビデオテープについて、耐食性、摩擦係数の変化及びカ
ッピングの発生を以下の方法で評価した。その結果を表
2に示す。 耐食性 8mmビデオテープを、60℃、90%RHの条件下で1週間保
存した後の飽和磁束密度の減少率ΔBs(%)を測定し
た。 摩擦係数 20℃/50%(温度/湿度)の条件下で摩擦体(直径5m
m、ステンレススチール製、表面粗さ0.2 S)に対し1
4.3mm/秒の速度で115 °の抱き角となるようにし、2
0gのテンションをテープにかけたときの値を摩擦係数
測定機で測定した。なお、摩擦係数(μ)は1パス、10
0 パス、1000パス後についてそれぞれ測定した。 カッピングの発生 カッピング量は、裁断直後から1時間放置した後に、磁
性層側に生じたカッピング〔図2(a)〕を−a(μ
m)とし、バックコート層側に生じたカッピング〔図2
(b)〕を+b(μm)とした。
と耐食性及び摩擦係数の相関を示す。摩擦係数が0.3 以
下、且つ耐食性が10%以下となる条件はラマン強度比(C
2000/C1000)が1.8 以上であることが要求されることが
わかる。
食性に優れ、摩擦係数の安定性に優れ、且つカッピング
の発生の少ない磁気記録媒体が得られる。
の保護層のラマン分光分析の結果を示すチャート
図
係数の相関を示すグラフ
Claims (1)
- 【請求項1】 支持体と、該支持体上に形成された磁性
層と、該磁性層上に形成された蛍光を発する物質を含む
ダイヤモンドライクカーボン薄膜からなる保護層とを有
することを特徴とする磁気記録媒体において、前記ダイ
ヤモンドライクカーボン薄膜のラマン分光分析法による
1000cm-1における強度(C1000) と2000cm-1における強度
(C2000) との比が、 C2000/C1000 ≧1.8 であることを
特徴とする磁気記録媒体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7242998A JP2784334B2 (ja) | 1995-09-21 | 1995-09-21 | 磁気記録媒体 |
US08/715,018 US5766766A (en) | 1995-09-21 | 1996-09-17 | Magnetic recording medium having a protective carbon film which contains a material which fluoresces |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7242998A JP2784334B2 (ja) | 1995-09-21 | 1995-09-21 | 磁気記録媒体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0991689A JPH0991689A (ja) | 1997-04-04 |
JP2784334B2 true JP2784334B2 (ja) | 1998-08-06 |
Family
ID=17097376
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7242998A Expired - Lifetime JP2784334B2 (ja) | 1995-09-21 | 1995-09-21 | 磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2784334B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
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Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS59213030A (ja) * | 1983-05-17 | 1984-12-01 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 磁気記録媒体及びその製法 |
JPH01201819A (ja) * | 1988-02-05 | 1989-08-14 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 磁気記録媒体 |
-
1995
- 1995-09-21 JP JP7242998A patent/JP2784334B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0991689A (ja) | 1997-04-04 |
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A521 | Written amendment |
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