JPH09204644A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH09204644A
JPH09204644A JP1328996A JP1328996A JPH09204644A JP H09204644 A JPH09204644 A JP H09204644A JP 1328996 A JP1328996 A JP 1328996A JP 1328996 A JP1328996 A JP 1328996A JP H09204644 A JPH09204644 A JP H09204644A
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JP
Japan
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protective film
carbon
recording medium
magnetic recording
layer
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JP1328996A
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English (en)
Inventor
Katsumi Endo
克巳 遠藤
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Katsumi Sasaki
克己 佐々木
Junko Ishikawa
准子 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬さと共に適度な弾性を備えた保護膜を有
し、耐久性に優れた磁気記録媒体の提供。 【解決手段】 保護層を、蛍光有機分子を適度に含む炭
素保護膜により構成する。この炭素保護膜について測定
されるラマンスペクトルは、ブランクレベルを差し引く
補正を行うことによって正味のスペクトルとされる。こ
の正味のスペクトルについて、炭素保護膜は1330±50cm
-1におけるバックグラウンド強度(IB)とピーク強度
(ID)の比IB/IDが、0.1<IB/ID<1.0なる関係を満た
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、詳しくは、磁性層上に炭素薄膜からなる保護層が形
成されたタイプの磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体の耐食性、耐久性といった
特性を向上させる目的で、磁性層上に保護層を設けるこ
とが従来から行われている。こうした保護層は非磁性材
料からなり、例えばダイヤモンドライクカーボンや、炭
化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化
ケイ素、酸化アルミニウムなどの種々の炭化物、窒化
物、酸化物から構成される。これらの中でも、特にダイ
ヤモンドライクカーボン(DLC)の如き炭素薄膜は、
硬度や摺動などに関する優れた特性の故に、保護層とし
て有力なものとして注目されている。
【0003】DLC薄膜は、グラファイト結合とダイヤ
モンド結合が混在する非晶質の炭素薄膜であり、高周波
スパッタリング、プラズマCVD法等により磁性層上に
成膜される。そしてDLC薄膜のダイヤモンド結合性を
高めること、即ちSP2結合に対するSP3結合の比を高める
ことによって、よりダイヤモンドに近い炭素薄膜とし、
硬度を向上させることを目的として、種々の試みがなさ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来は、炭
素薄膜に対する関心は、主として硬度を増大させること
に向けられていた。しかしながら、保護層の硬度を高め
た場合、即ち炭素薄膜中のダイヤモンド成分を増大させ
た場合、硬度の増大による利点を享受しうる反面、用途
によっては幾つかの不具合が生ずる場合がある。すなわ
ちこうしたダイヤモンド炭素薄膜を磁気テープなどの磁
気記録媒体の保護層に用いた場合、炭素薄膜が硬すぎて
可撓性が不十分となり、撓んだ場合に保護層が折れてし
まい、かえって耐久性が低下するといった不具合があ
る。そこで本発明の課題は、このような問題点のない炭
素薄膜からなる保護層を備えた磁気記録媒体を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく検討を行った。その結果、炭素薄膜中にダ
イヤモンド結合成分の他に蛍光有機分子を適度に含有さ
せることにより、保護層の弾性挙動が改善され、硬さと
共に適度な弾性を有する膜が得られ、上記のような不具
合が解消されることを見い出した。そしてこの蛍光有機
分子の含有の度合は、保護層として形成される炭素薄膜
のラマンスペクトルにおいて、1330±50cm-1におけるバ
ックグラウンド強度(IB)とピーク強度(ID)の比を規
定することにより好適に記述することができることが判
った。かくして本発明により提供される磁気記録媒体
は、支持体とその上に形成された磁性層と、さらに磁性
層上に形成された炭素保護膜とを有し、炭素保護膜のラ
マンスペクトルが、ブランク補正を行った後、1330±50
cm-1におけるバックグラウンド強度(IB)とピーク強度
(ID)の比IB/IDが、0.1<IB/ID<1.0なる関係を満た
すことを特徴とするものである。ラマン分光分析におい
て1330±50cm-1におけるラマンバンドはダイヤモンドの
ピークを示しており、バックグラウンド強度IBは上記し
た蛍光有機分子の指標となる。即ち蛍光有機分子が多く
なればバックグラウンド強度IBが増大し、比IB/IDは大
きくなると考えることができる。ここで蛍光有機分子と
は、炭素薄膜中でダイヤモンド結合を行っている炭素原
子の他に存在する、水素を含んでポリマー化した炭化水
素分子を示す。本発明はこうした場合に、0.1<IB/ID
<1.0なる関係を満たす炭素薄膜を備えた磁気記録媒体
は、炭素保護膜中に耐久性の向上に十分なダイヤモンド
成分を備え、しかもこの膜は適度な弾性を備えて可撓性
に関する問題も生じないことを見い出したものである。
【0006】本発明においては、保護層のラマンスペク
トルはブランク補正後のものが使用される。ブランク補
正は、ラマン分光計に試料をセットしない状態で測定し
たスペクトルを、実際に試料をセットして測定して得ら
れたスペクトルから差し引くことによって行う。これ
は、室内照明、または分光器内の回折格子や鏡表面など
での乱反射に由来する迷光その他によるノイズ成分を除
去し、分光装置の種類や感度などに依存しない、正味の
ラマンスペクトルを得るためである。例を図1に示す。
図1の(a)は補正前のラマンスペクトルとブランクレ
ベルを共に示している。この補正前のラマンスペクトル
からブランクレベルを差し引くことにより、図1の
(b)で示したような正味のラマンスペクトルが得られ
る。
【0007】このようにしてブランク補正を行った後、
1330±50cm-1におけるスペクトルの、ダイヤモンド結合
によるピーク強度(ID)と、やはり1330±50cm-1におけ
るスペクトルの、上記蛍光有機分子によるバックグラウ
ンド強度(IB)とを用いて、比IB/IDを得る。そして本
発明による磁気記録媒体においては、炭素保護膜につい
て得られたこの比IB/IDが、0.1<IB/ID<1.0なる関係
を満たすものである。ただし、ここでIDは、スペクトル
中で独立した単一のピークである必要がある。即ち他の
波数に別のピークが存在したり、或いは1330±50cm-1
おけるピークが隣接するピークのショルダを構成してい
たりする場合には、炭素薄膜の構造が異なる、即ち上記
のようにダイヤモンド結合成分と蛍光有機分子とからな
るものではないと考えられるからである。
【0008】
【発明の実施の形態】上記のような、1330±50cm-1にお
ける所定のIB/ID比を有する炭素保護膜は、公知の種々
の方法によって形成することができる。例えば各種の化
学的気相成長法(CVD)や物理的蒸着法(PVD)を
使用することができる。CVD法としては、マイクロ波
を用いたECRプラズマCVDや、高周波(RF)を用
いた方法が有効である。CVD法により炭素保護膜を形
成する場合、原料は気体状、液体状、固体状の何れでも
よい。PVD法としては、熱蒸発、スパッタリング、イ
オンプレーティング等が挙げられる。炭素保護膜の厚み
に特に限定はないが、通常は10〜300Å程度である。
【0009】本発明の磁気記録媒体に用いられる支持体
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレートのようなポリエステル;ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン;セルローストリアセ
テート、セルロースジアセテート等のセルロース誘導
体;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;
芳香族ポリアミドといったプラスチックを使用すること
ができる。支持体の厚さは3〜50μm程度である。
【0010】支持体上に設けられる磁性層は塗布型のも
のでもよいが、蒸着等により形成された金属薄膜型の磁
性層であるのが好ましい。磁性層を構成する磁性材料と
しては、通常の金属薄膜型の磁気記録媒体の製造に用い
られる強磁性金属材料が挙げられる。例えばCo,Ni,Fe
等の強磁性金属、或いはFe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Fe−
Co−Ni、Fe−Cu、Co−Cu、Co−Au、Co−Y、Co−La、Co
−Pr、Co−Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Mn−Bi、Mn−
Sb、Mn−Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−Co−Cr、Ni
−Co−Cr等の強磁性合金が挙げられる。磁性層としては
鉄の薄膜或いは鉄を主体とする強磁性合金の薄膜が好ま
しく、特に鉄、コバルト、ニッケルを主体とする強磁性
合金及びこれらの窒化物又は炭化物から選ばれる少なく
とも1種が好ましい。また磁性層は、いわゆる斜め蒸着
によって成膜することが好ましい。本発明において磁性
層は2層以上で設けられるが、実用的な範囲としては2
〜5が適当と考えられる。磁性層の厚さは、2層の場合
は下層100〜2000Å、上層50〜1000Å程度が好ましく、
3層の場合は下層100〜2000Å、中間層100〜1000Å、上
層50〜1000Å程度が好ましい。
【0011】さらに本発明の磁気記録媒体には、磁性層
と反対の面において支持体にバックコート層を形成する
ことができる。バックコート層の形成は磁性層の形成よ
りも前でも後でもよい。バックコート層は常法によりバ
ックコート塗料を塗布して形成してもよいし、真空中で
金属又は半金属を付着させることにより形成することも
できる。また炭素保護膜上に、適当な潤滑剤からなるト
ップコート層を形成することもできる。これは例えばフ
ッ素系潤滑剤を大気中で塗布し、或いは真空中で噴霧し
て形成される。バックコート層を設ける場合は、その上
にもトップコート層を形成することができる。
【0012】
【実施例】
実施例1 厚さ6μmのPETフィルム上に斜め蒸着によってコバ
ルト磁性層を2000Åの厚みで成膜した。蒸着の際の真空
度は5×10-5Torr、フィルム走行速度は100m/分、電
子ビーム出力は100kWとし、酸素ガスを600SCCMの流量で
流した。次いでこの磁性層上に、ECRプラズマCVD
法によって膜厚100Åの炭素保護膜を形成した。チャン
バの排気真空度は9.0×10-6Torrとし、メタンと水素を
1:9の比で混合したガスを、成膜時の真空度が9.0×1
0-3Torrとなる流量でチャンバ内に供給した。マイクロ
波周波数として2.45GHzを用い、出力は600Wとし、共鳴
条件を満たす所定の磁界を印加した。フィルム走行速度
は10m/分とした。
【0013】得られた炭素保護膜について、ラマンスペ
クトルを測定した。ラマン分光計としてはスペックス社
製の多重分光器「トリプルスペクトロメーター」を用
い、波長488nmのアルゴンレーザーを出力300mWで用い、
照射時間(積算時間)は600秒とした。試料面に対して
レーザーを約5゜の角度で低角入射させ、試料からの散
乱光のうち、レーザービームと90゜方向に散乱される光
を集光し、検出器により分光した。測定点は1試料につ
いて少なくとも3点とし、平均を求めた。また試料を分
光計にセットせずに、検出器を600秒間働かせてブラン
クレベルを測定した。ブランクレベルを差し引くことに
より得られた正味のラマンスペクトルを図2に示す。こ
のスペクトルについて求めた1330cm-1におけるバックグ
ラウンド強度(IB)とピーク強度(ID)の比IB/IDは0.
22であった。
【0014】実施例2 実施例1において、混合ガス中のメタンと水素の比を
2:8に変更した。その他は同じ条件で炭素保護膜の成
膜を行い、実施例1と同様にして炭素保護膜の正味のラ
マンスペクトルを求めた。これを図3に示す。この場合
の比IB/IDは0.48であった。
【0015】実施例3 実施例1において、混合ガス中のメタンと水素の比を
3:7に変更した。その他は同じ条件で炭素保護膜の成
膜を行い、実施例1と同様にして炭素保護膜の正味のラ
マンスペクトルを求めた。これを図4に示す。この場合
の比IB/IDは0.77であった。
【0016】実施例4 実施例1において、混合ガス中のメタンと水素の比を
5:5に変更した。その他は同じ条件で炭素保護膜の成
膜を行い、実施例1と同様にして炭素保護膜の正味のラ
マンスペクトルを求めた。これを図5に示す。この場合
の比IB/IDは0.91であった。
【0017】比較例1 実施例1において、混合ガス中のメタンと水素の比を0.
1:9.9に変更した。その他は同じ条件で炭素保護膜の成
膜を行い、実施例1と同様にして炭素保護膜の正味のラ
マンスペクトルを求めた。これを図6に示す。この場合
の比IB/IDは0.04であり、膜中の蛍光有機分子の量が少
ないことが示された。
【0018】比較例2 実施例1において、供給されるガスを100%メタンとし
た。その他は同じ条件で炭素保護膜の成膜を行い、実施
例1と同様にして炭素保護膜の正味のラマンスペクトル
を求めた。これを図7に示す。この場合に1330cm-1にお
けるピークは得られず、求めた比IB/IDは1.0であっ
た。
【0019】実施例及び比較例で得られた処理フィルム
について、PETフィルムの磁性層が形成された面とは
反対側に、平均粒径40nmのカーボンブラックをウレタン
プレポリマーと塩化ビニル系樹脂とのバインダー樹脂中
に分散させてなるバックコート用の塗料を、乾燥膜厚0.
5μmとなるようにダイコーティング方式により塗布し、
乾燥してバックコート層を形成した。次いで、パーフル
オロポリエーテル(FOMBLIN AM2001、アウジモント社
製)をフッ素系不活性液体(PF-5080、住友スリーエム
株式会社製)に0.05重量%となるように希釈、分散させ
た塗料を、乾燥膜厚が15Åとなるように保護層上にダイ
コーティング方式により塗布し、100℃で乾燥させて潤
滑層を形成した。得られたものを8mm幅に裁断し、カセ
ットにロードしてHi−8用のビデオカセットを作製し
た。
【0020】上記により得たビデオカセットのスチル耐
久性を評価した。評価に際しては市販のHi−8用VTR
を改造した装置にビデオカセットを装填してスチル状態
とし、20.92MHzにおける出力が2dB低下するまでの時間
を測定した。結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】以上の如く本発明によれば、耐久性に優
れた磁気記録媒体を得ることができる。この磁気記録媒
体は蛍光有機分子を含む炭素保護膜を有し、硬さと共に
適度な弾性を備え、従来の不具合を解消することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラマンスペクトルのブランク補正について説明
するためのグラフであり、(a)は補正前のスペクトル
とブランクレベルを、(b)はブランクレベルを差し引
いた正味のスペクトルを示す。
【図2】実施例1により得られた保護層のラマンスペク
トルを示すグラフである。
【図3】実施例2により得られた保護層のラマンスペク
トルを示すグラフである。
【図4】実施例3により得られた保護層のラマンスペク
トルを示すグラフである。
【図5】実施例4により得られた保護層のラマンスペク
トルを示すグラフである。
【図6】比較例1により得られた保護層のラマンスペク
トルを示すグラフである。
【図7】比較例2により得られた保護層のラマンスペク
トルを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 准子 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に形成された磁性
    層と、該磁性層上に形成された炭素保護膜とを有する磁
    気記録媒体において、前記炭素保護膜のラマンスペクト
    ルが、ブランク補正を行った後、1330±50cm-1における
    バックグラウンド強度(IB)とピーク強度(ID)の比IB
    /IDが、0.1<IB/ID<1.0なる関係を満たすことを特徴
    とする磁気記録媒体。
JP1328996A 1996-01-29 1996-01-29 磁気記録媒体 Pending JPH09204644A (ja)

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JP1328996A JPH09204644A (ja) 1996-01-29 1996-01-29 磁気記録媒体

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JP1328996A JPH09204644A (ja) 1996-01-29 1996-01-29 磁気記録媒体

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