JPH1049856A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1049856A
JPH1049856A JP20841396A JP20841396A JPH1049856A JP H1049856 A JPH1049856 A JP H1049856A JP 20841396 A JP20841396 A JP 20841396A JP 20841396 A JP20841396 A JP 20841396A JP H1049856 A JPH1049856 A JP H1049856A
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layer
magnetic
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thin film
magnetic recording
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JP20841396A
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English (en)
Inventor
Noriyuki Kitaori
典之 北折
Katsumi Sasaki
克己 佐々木
Osamu Yoshida
修 吉田
Hirohide Mizunoya
博英 水野谷
Katsumi Endo
克巳 遠藤
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属薄膜型の磁性層を有する磁気記録媒体の
耐久性、耐食性を向上させ、更に走行安定性を向上させ
る。 【解決手段】 磁気記録媒体の磁性層上の保護層を、ラ
マン分光分析法によるラマンスペクトルにおける波数9
00cm-1から波数1800cm-1の範囲内に蛍光を含
んだ主ピーク強度Bと、蛍光によるバックグランドを差
し引いた主ピーク強度との強度比B/A(ラマン蛍光強
度比)が1.2〜17である炭素薄膜により形成し、更
に該保護層上に、−Cn2n−O−単位(ただしnは1
乃至4の整数である)を有し、少なくとも一つの極性基
を有する含フッ素重合体であって、当該重合体のμ2
MWが0.1×10-3デバイ2−モル/g〜3×10-3
デバイ2−モル/gである含フッ素重合体からなる潤滑
層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
する。詳しくは、特定の保護層と特定の潤滑剤層とを有
する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープにおいては、高密度記録化の
要請から、支持体上に設けられる磁性層として、バイン
ダ樹脂を用いた塗布型のものではなく、バインダ樹脂を
用いない金属薄膜型のものが提案されている。すなわ
ち、無電解メッキ等の湿式メッキ手段、真空蒸着やスパ
ッタリングあるいはイオンプレーティング等の乾式メッ
キ手段により磁性層を形成した磁気テープが提案されて
いる。そして、この種の磁気テープは磁性体の充填密度
が高く、高密度記録に適したものである。
【0003】この磁気テープの金属磁性膜を保護する為
に、各種の保護膜を表面に設けることが提案されてい
る。例えば、ダイヤモンドライクカーボン膜もこれらの
提案の一つである。尚、ダイヤモンドライクカーボン膜
は、例えばスパッタ法(PVD法)およびCVD(ケミ
カルベーパーデポジション)法によって設けられてい
る。
【0004】更に、磁気記録媒体の記録表面を潤滑化
し、また走行安定性を向上させるために、磁性層上もし
くは上記のような保護層上に潤滑剤層を形成することが
知られている。従来、そのような潤滑剤層を形成する潤
滑剤として、脂肪酸及びそのエステル、シリコーン系潤
滑剤、フッ素系潤滑剤等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまでのダ
イヤモンドライクカーボン膜では、充分に満足できるも
のでないことが判ってきた。特に、支持体としてハード
な円板が用いられた磁気ディスクではなく、フレキシブ
ルなプラスチック材料が用いられた磁気テープ、特にヘ
リカルスキャン方式の記録・再生装置に用いられる磁気
テープの場合には、耐久性、走行性に満足できない場合
があることがわかってきた。また、今後は更なる高密度
記録を達成するために、磁気記録媒体とヘッドの相対速
度はより一層速くなると予想されるが、そのような場合
には、従来の潤滑剤層を形成しただけでは、十分に対応
しきれず、走行安定性が確保されないケースが生じると
考えられる。また、従来の潤滑剤層では磁性層の耐食性
を十分に向上させることは困難であった。
【0006】従って、本発明は、特に金属薄膜型の磁気
記録媒体において、より一層耐久性、走行安定性、磁性
層の耐食性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、磁
性層上に、ラマン分光分析法による特定のラマン蛍光強
度比を有する炭素薄膜からなる保護層を形成し、且つ、
この保護層上に特定の物性を有する含フッ素重合体から
なる潤滑剤層を形成することにより、達成される。
【0008】即ち、本発明は、支持体と、該支持体上に
形成された磁性層と、該磁性層上に形成された炭素薄膜
からなる保護層と、該保護層上に形成された潤滑剤層と
を有する磁気記録媒体において、前記保護層を構成する
炭素薄膜のラマン分光分析法によるラマンスペクトルに
おける波数900cm-1から波数1800cm-1の範囲
内に蛍光を含んだ主ピーク強度Bと、蛍光によるバック
グランドを差し引いた主ピーク強度Aとの強度比B/A
(ラマン蛍光強度比)が1.2〜17であり、且つ、前
記潤滑剤層が、−Cn2n−O−単位(ただしnは1乃
至4の整数である)を有し、少なくとも一つの極性基を
有する含フッ素重合体から成り、当該重合体のμ2/M
Wが0.1×10-3デバイ2−モル/g〜3×10-3
バイ2−モル/gであることを特徴とする磁気記録媒体
を提供するものである。
【0009】〔保護層〕本発明において、磁性層上に形
成される保護層は、炭素薄膜からなるものであり、この
炭素薄膜は、ラマン分光分析法によるラマンスペクトル
における波数900cm-1から波数1800cm-1の範
囲内に蛍光を含んだ主ピーク強度Bと、蛍光によるバッ
クグランドを差し引いた主ピーク強度との強度比B/A
(ラマン蛍光強度比)が1.2〜17の範囲にあるもの
である。
【0010】本発明においては、炭素薄膜の膜質評価方
法として、保護層について波長514.5nmのアルゴ
ンイオンレーザー励起によるラマンスペクトル測定を行
う。測定装置はスペック社のトリプルスペクトロメータ
である。そして、図8に示す如く、サンプルSに51
4.5nmのアルゴンイオンレーザーを図中のθが5°
の角度で低角照射し、サンプルSからの散乱光のうち照
射光線角度と90°方向の散乱光を測定器(トリプルス
ペクトロメータ)で分光測定する。測定時間(積算時
間)は10分とし、少なくとも三点以上測定し、平均値
を求める。
【0011】ピーク強度A,Bを求める為、先ず、ブラ
ンクレベルを調べる。すなわち、トリプルスペクトロメ
ータにサンプルSをセットせず、10分間トリプルスペ
クトロメータを作動させ、トリプルスペクトロメータの
ブランクレベルを調べる。この後、トリプルスペクトロ
メータにサンプルSをセットし、10分間トリプルスペ
クトロメータを作動させ、ラマン分光スペクトルを得、
前記ブランクレベルを基準として波数900cm-1から
波数1800cm-1の範囲内に蛍光を含んだ主ピーク強
度B(ピーク点におけるブランクレベルからピーク値ま
での高さ)と、前記ピークでのバックグラウンド強度
(ピーク点におけるブランクレベルからピーク前後のラ
インを結んだ仮想線までの高さ)を求め、主ピークBか
らこれを差し引いて主ピーク強度Aを求める。これにつ
いて三点以上測定し、平均値を求める。
【0012】図1は得られたラマンスペクトルの波数9
00cm-1から波数1800cm-1の範囲を示す線図で
あるが、本発明では、上記の方法により、このスペクト
ルの蛍光を含んだ主ピーク強度Bと、蛍光によるバック
グラウンドを差し引いた主ピーク強度Aとの強度比B/
A(ラマン蛍光強度比)を測定する。この比が1.2〜
17の範囲にある場合において、耐久性、走行安定性及
び耐食性に優れた磁気記録媒体が得られる。この比が
1.2未満では、膜が脆く、結果として耐久性に劣る。
また、この比が17を超えると、膜硬度が低く、耐久性
に劣る。特にラマン蛍光強度比は2.5〜10が好まし
い。
【0013】尚、上記保護層は、不飽和結合を有する炭
化水素系の化合物を用い、ECR−CVD法により成膜
されたものが好ましい。例えば、エチレンやアセチレン
等の二重結合や三重結合を持つ鎖状の不飽和炭化水素、
ベンゼン、トルエン、安息香酸、ベンズアルデヒド等の
環式の不飽和炭化水素(芳香族系炭化水素)、その他ナ
フタレンやアントラセン等をベンゼンやトルエンに希釈
したものを用い、ECR−CVD法により成膜されたも
のが好ましい。
【0014】ECR−CVD法により保護層を成膜する
場合、真空度が2×10-4〜5×10Torrとなるよ
う炭化水素系の化合物を供給し、この雰囲気下において
行うECR−CVD法により成膜されたものが好まし
い。具体的には、蒸着等により支持体上に磁性層を形成
し、ECRプラズマCVD装置のプラズマ励起室へ炭素
源となる化合物、例えばメタンガス、エタンガス等を導
入し、炭素の活性種を発生させこれらを磁性層上に付着
させることにより、本発明の保護層が形成される。ここ
で、ECRプラズマCVD法は、例えば図2に示すよう
な装置により行われる。図2中、1は真空容器、2は冷
却キャン、3はフィルム、4はECR用電磁石、5はプ
ラズマ励起室、6は矩形導波管、7はマイクロ波電源、
8は石英製窓、9はパワーモニター、10はアイソレー
ター、11はスリースタブチューナー、12はガス流量
コントローラーであり、Aはマイクロ波、Bは原料ガス
である。
【0015】図2の装置は、蒸着型磁気記録媒体の保護
層としての炭素薄膜を形成する装置の一例であり、真空
容器1内で冷却キャン上2を走行する磁性層が形成され
たフィルム3の磁性層上に炭素薄膜が形成される。図2
においては、ECR用電磁石(コイル)4によりプラズ
マ励起室5から真空容器1の方向に発散磁界が形成され
る。プラズマ励起室5に接続された矩形導波管6によっ
て導かれた2.45GHzのマイクロ波(図中A)は、
石英製窓8を通してプラズマ励起室5に導入される。プ
ラズマ励起室5に導入された反応ガス(図中B)はマイ
クロ波のエネルギーを吸収して高密度、高活性なプラズ
マが発生する。コイル4により生じた発散磁界により、
プラズマ中のイオンは真空容器1方向へと引き出され、
真空容器1内のフィルム3に向けて照射され、フィルム
3の磁性層表面に付着して炭素薄膜が形成される。
【0016】このようなECRプラズマCVD法におい
ては、形成しようとする薄膜を形成し得る元素を含む化
合物は、ガス状でプラズマ励起室に供給される。即ち、
例えば炭素薄膜を形成する場合、原料化合物としては、
メタンのような常温・常圧下でガス状の化合物を用いる
か、或いはベンゼンのような常温・常圧下で液状の化合
物を加熱によりガス化したものが用いられる。
【0017】ラマン蛍光強度比B/Aは、ECRプラズ
マCVD法における原料ガスの種類や流量、或いは真空
度などの諸条件を適宜変更することにより、調節するこ
とができる。
【0018】ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜
のラマンスペクトルの蛍光強度は、DLC膜中のsp2
クラスター(グラファイト構造部)の大きさ、あるいは
その分布状態(ある程度集まって分布しているのか、個
々に島状に孤立して分布しているのか)に依存してい
る。従って、前述のラマン蛍光強度比B/AはDLC膜
構造すなわち組成に依存し、膜質特性の指標となり得る
ものであり、また、DLC膜の微小硬度、水素含有量、
摩擦係数もこの膜構造に依存するので、ラマン蛍光強度
比B/Aは膜の耐磨耗性と明確な相関を有する。本発明
では特にラマン蛍光強度比B/Aが1.2〜17、好ま
しくは2.5〜10の範囲にあるDLC膜が、より望ま
しい耐久性、耐食性、走行安定性を達成できるというこ
とを見いだしたものである。
【0019】上記のように構成された特定のラマン蛍光
強度比を有する炭素薄膜からなる保護層が金属磁性膜上
に設けられた磁気記録媒体は、磁気記録媒体の剛性が適
度となり、その結果、耐久性に優れ、更には走行性にも
優れたものとなる。
【0020】〔潤滑剤層〕本発明の磁気記録媒体は、上
記の保護層上に、特定のフッ素系重合体からなる潤滑剤
層が形成されている。本発明において、潤滑剤層は、−
n2n−O−単位(ただしnは1乃至4の整数であ
る)を有する含フッ素重合体から成り、当該重合体のμ
2/MWが0.1×10-3デバイ2−モル/g〜3×10
-3デバイ2−モル/gとなるように、少なくとも一種の
極性基で末端結合されている。末端結合する極性基は、
少なくとも一つは必要であるが、三つ以上あると特に良
好である。また、上記用件を満たす潤滑剤を二種以上併
用しても良好な特性を示す。このフッ素系重合体は、フ
ッ素化テレケリックポリエーテル重合体である。「テレ
ケリック」重合体は、低分子量を有しそして知られた官
能性末端基を有する。
【0021】フッ素化テレケリック重合体の双極性モー
メントμは、オンサガー関係式から計算することができ
る。
【0022】
【数1】
【0023】但し、k=ボルツマン恒数、 T=温度、°K MW=分子量 No=アヴォガドロ数 d=密度 εs=低振動数で測定された誘電恒数 ε∞=高振動数で測定された誘電恒数 そしてここで、大約は
【0024】
【数2】
【0025】のマックスウェル関係式によって求められ
る。
【0026】このフッ素化テレケリックポリエーテル重
合体は、好ましくは少なくとも1000の数平均分子量
及び少なくとも20センチポイズのフェランティー・シ
ャーリー粘度(1640秒-1及び20℃で測定)を有す
る。重合体分子当り一つより多い末端極性基を有するフ
ッ素化テレケリックポリエーテル重合体の数平均分子量
は、好ましくはたった一つの末端極性基を有するテレケ
レック重合体に比較して幾分高い。例えば、重合体当り
2つの末端極性基がある場合には、数平均分子量は好ま
しくは1500を越える。
【0027】フッ素化テレケリックポリエーテルについ
ての有用な極性基は、 −CO2R (ただし 、Rは1乃至6炭素原子のアルキル、6乃至
10炭素原子のアリール又はアルクアリールである)、
【0028】
【化1】
【0029】〔ただし、R' 及びR''のそれぞれは、水
素、1乃至6炭素原子のアルキル、ベンジン、又は−
R'''OH(R'''は2乃至6炭素原子のアルキレン基で
ある)である〕、−Cb2bOH、−Cb2bNR'
R''、
【0030】
【化2】
【0031】を含む。カルボン酸、又はスルホン酸基の
如き強酸性極性基は、腐蝕性である可能性があるので、
より望ましくない。このことは、塩に転化することによ
って最小化される。好ましくは、テレケリックポリエー
テル重合体のpKaは、少なくとも1.0である。
【0032】好ましいフッ素化テレケリック重合体は、
米国特許第3810874号及び第4085137号に
於ける如く、背骨−[CF2CF20]m-[CF20]n- (但
し、mは約6乃至32の整数でありそしてnは約12乃
至52の整数である)、又は米国特許第3250808
号及び第3699145号に記載されている如く、背骨
−[CF(CF3)CF2O]n−又は−[CF2CF(C
3)O]n−(但しnは約6乃至20の整数である)を
有する。
【0033】かかるフッ素化テレケリックポリエーテル
は、1000〜5000の好ましい範囲内の数平均分子
量及び20〜2000センチポイズの好ましい範囲内の
フェランティー・シャーリー粘度(1640-1秒で測
定)を有するものとして容易に製造される。このフッ素
化テレケリックポリエーテル重合体は、同様にエーテル
酸素間の分離を増加し、そして上記の1000〜500
0の好ましい範囲の高い端に向って数平均分子量を回避
させることが必要である−CF2CF2−単位を含有す
る。他方フッ素化テレケリックポリエーテル重合体の粘
度は、良好な潤滑化を与えるには高過ぎる。
【0034】可撓性磁気記録媒体の優れた潤滑化は、
0.1重量%の希釈の溶液又はエマルジョンからロート
グラヴュアコーターでフッ素化テレケリックポリエーテ
ル重合体を適用することによって達成され、かくして約
10mg/m2 の被覆重量であると信じられるものが得
られる。かかる被覆は大約単分子厚である。実際の被覆
重量は非常に少なく測定することが困難であるが、約1
0乃至150mg/m2であると信じられる被覆重量で
優れた潤滑化が達成される。フッ素化テレケリック重合
体を0.4〜0.8%溶液又はエマルジョンから適用
し、約25〜60mg/m2 の被覆重量を得ることが一
般に好ましい。これは、数年に亘って逆環境下に良好な
潤滑化特性の合理的保証を与える。
【0035】このフッ素化テレケリックポリエーテル重
合体は、希釈溶液又は分散液から拭くか、又は他の技術
によって例えばスプレー又はディッピングによって硬質
磁気記録ディスクに適用される。乾燥後、表面は乾燥、
柔軟ティシューで磨き、潤滑剤を分布させそして過剰の
いずれをも除く。この磨くことは、外観を僅か曇ってい
るものから光るように変える。10秒後n−デカンの5
μl滴下が約3mmの直径を有するときは、これは連続
的な被覆が適用されたことを示す。潤滑油が存在しない
時には、滴下の直径は約10〜12mmである。
【0036】みがくことでいくら多くの潤滑剤が除かれ
たかはわからず、そして被覆は薄いので、それらの厚さ
を測定することは困難である。フッ素化テレケリックポ
リエーテル重合体の単分子層は40オングストロームの
桁の厚さであると考えられているから、この被覆は少な
くともこの厚さであると推定される。電子散乱測定は、
75乃至250オングストロームの厚さが好ましい結果
を与えると示唆している。硬質記録ディスク上のフッ素
化テレケレックポリエーテル重合体の不当に厚い被覆は
不当な障害物を生ずる。
【0037】高温及び高相対湿度でビデオテープレコー
ダーで信頼できるストップモーションを与える目的に
は、フッ素化テレケリックポリエーテル重合体を他の潤
滑剤例えば脂肪酸及びエステル類とブレンドすることが
望ましい。このフッ素化テレケリックポリエーテル重合
体は、ブレンドされた潤滑剤の少なくとも10重量%よ
り成るべきである。好ましくはブレンドされた潤滑剤の
被覆重量は、25乃至150mg/m2 である。
【0038】下記に、本発明において好ましい含フッ素
重合体を示す。
【0039】
【化3】
【0040】上記においてm及びnは各々整数である。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体における支
持体は、磁性を有するものでも、非磁性のものでもよ
い。一般的には非磁性のものである。例えば、PET等
のポリエステル、ポリアミト、ポリイミド、ポリスルフ
ォン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等のオレフィ
ン系の樹脂、セルロース系の樹脂、塩化ビニル系の樹脂
といったフレキシブルな高分子材料が用いられる。
【0042】このフレキシブルな支持体上に、蒸着やス
パッタ等の乾式メッキ手段によって金属薄膜型の磁性膜
が500〜5000Åの厚さで設けられる。金属薄膜型
の磁性膜を形成する磁性粒子の材料としては、例えばF
e、Co、Ni等の金属の他に、Co−Ni合金、Co
−Pt合金、Co−Ni−Pt合金、Fe−Co合金、
Fe−Ni合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Co−
B合金、Co−Ni−Fe−B合金、Co−Cr合金、
あるいはこれらに異種の金属を含有させた合金が用いら
れる。尚、金属薄膜型の磁性膜としては、前記材料の窒
化物(例えば、Fe−N、Fe−N−O)や炭化物(例
えば、Fe−C、Fe−C−O)等も挙げられる。
【0043】この金属磁性膜上に10〜500Å、特に
30〜200Å程度の保護膜が設けられる。この保護膜
は上記特徴を有するものである。このような保護膜は、
ECRマイクロ波プラズマCVD装置を用いることによ
って成膜できる。但し、原料ガス(反応ガス)に対する
条件を次のようにすることが大事である。すなわち、プ
ラズマ反応管に供給する原料ガスとしてメタン、エチレ
ン、アセチレン、ベンゼン等の炭化水素系のガスを用い
る。特に、エチレンやアセチレン等の二重結合や三重結
合を持つ鎖状の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、
安息香酸、ベンズアルデヒド等の環式の不飽和炭化水素
(芳香族系炭化水素)、その他ナフタレンやアントラセ
ン等をベンゼンやトルエンに希釈したもの等のように不
飽和結合を有する炭化水素系の化合物を用い、ECR−
CVD法により成膜するのが好ましい。すなわち、これ
らの原料ガスを用いることによって高速成膜が達成され
る。特に、真空度が2×10-4〜5×10-2Torrと
なるように炭化水素系の化合物を供給し、この雰囲気下
においてECR−CVD法により成膜するのが好まし
い。すなわち、予め、10-6Torrよりも高真空度に
排気した雰囲気下に原料(炭化水素)を供給して真空度
が2×10-4〜5×10-2Torrとなるようにし、こ
の条件下でECRマイクロ波プラズマCVDを行わせる
と、上記特徴を有するカーボン系、特にダイヤモンドラ
イクカーボン系保護膜が200〜1000Å/分の割合
で成膜される。
【0044】上記のようにして金属磁性膜や保護膜が成
膜された後、上記の如き本発明のフッ素系潤滑剤の膜
が、20〜70Å程度の厚さで設けられる。潤滑剤層の
形成方法は限定されず、塗布、浸漬あるいは超音波噴霧
などの手段により形成することができる。
【0045】更に、支持体の磁性層を形成する面と反対
の面に更にバックコート層を形成することができる。バ
ックコート層はカーボンブラック等と結合剤とを分散さ
せた塗料を0.3〜1.0μm程度の厚さ(乾燥後)と
なるように塗布して形成してもよいし、蒸着等により金
属又は半金属を支持体に付着させて形成してもよい。バ
ックコート層として付着する金属としては、いろいろ考
えられるが、Al,Cu,Zn,Sn,Ni,Agなど
及びこれらの合金が用いられ、Cu−Al合金が好適で
ある。また、バックコート層を形成する半金属として
は、Si,Ge,As,Sc,Sbなどが用いられ、S
iが好適である。金属薄膜型のバックコート層の厚さ
は、0.05〜1.0μm程度である。
【0046】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。しかしな
がら、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0047】実施例1 (1)磁気テープの製造 <磁性層の形成>厚さ6.3μmのPETフィルムにC
oからなる厚さ1800Åの磁性層を蒸着により形成し
た。なお、蒸着中には蒸着領域中に酸素ガスを導入(1
00SCCM)して磁性層表面を酸化した。
【0048】<保護層の形成>次いで、この磁性層上に
図2の装置を用いたECRプラズマCVD法により、厚
さが100Åの炭素薄膜からなる保護層を形成した。原
料ガスはC66(10SCCM)とした。形成された保
護層のラマンスペクトルを図3に示す。この保護層を構
成する炭素薄膜のラマン蛍光強度比を前記した方法で算
出したところ、B/A=2.1であった。
【0049】<潤滑層>また、記の保護層上に−Cn
2n−O−単位を有する含フッ素重合体であるダイキン工
業(株)製「デムナムSA」〔F−(CF2CF2CF2
O)n−CF2CF2CF2OH〕(当該重合体のμ2/M
W=2.1×10-3デバイ2−モル/g)を用いて、厚
さが12Åとなるように付着して潤滑剤層を形成した。
【0050】<潤滑層>更にこのフィルムの磁性層形成
面と反対の面に、バックコート層を形成した。バックコ
ート層は、20〜30nmの直径のカーボンを含有する
バインダーを乾燥後の厚さが0.5μmとなるようにフ
ィルムに塗布して乾燥して形成した。上記により得られ
た、磁性層、ダイヤモンドライクカーボン保護層、フッ
素系潤滑層及びバックコート層が形成されたフィルムを
8mm巾に裁断し、カセットケースにローディングし8
mmビデオテープを得た。
【0051】(2)性能評価 上記で得られた8mmビデオテープについて、耐久性、
走行安定性及び耐食性を以下の方法で評価した。その結
果を表1に示す。 耐久性 耐久性は、市販のHi8−VTRに上記で作製した8m
mビデオテープをセットし、10時間スチルモードで再
生した後の出力の低下(dB)で評価した。 走行安定性 走行安定性の指標としてジッタを測定した。即ち、市販
のHi−8VTRを改造し、これにジッタメータードを
接続し、ジッタを測定した。ジッタの測定はいわゆるハ
イエイト(Hi−8)モードで行った。
【0052】耐食性 耐食性は、上記で作製した8mmビデオテープを70
℃、85%RHの条件下で1週間放置した後の飽和磁束
密度(Bs)の劣化率で評価した。
【0053】実施例2 実施例1において、ECRプラズマCVDの条件を変え
て(原料ガスの流量を20SCCMとした)保護層を成
膜した以外は、同様にして8mmビデオテープを作製
し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に
示す。なお、本実施例で成膜した保護層のラマンスペク
トルを図4に示す。この保護層を構成する炭素薄膜のラ
マン蛍光強度比を前記した方法で算出したところ、B/
A=4.2であった。
【0054】実施例3 実施例1において、ECRプラズマCVDの条件を変え
て(原料ガスの流量を30SCCMとした)保護層を成
膜した以外は、同様にして8mmビデオテープを作製
し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に
示す。なお、本実施例で成膜した保護層のラマンスペク
トルを図5に示す。この保護層を構成する炭素薄膜のラ
マン蛍光強度比を前記した方法で算出したところ、B/
A=7.1であった。
【0055】比較例1 実施例1において、ECRプラズマCVDの条件を変え
て(原料ガスの流量を2SCCMとした)保護層を成膜
した以外は、同様にして8mmビデオテープを作製し、
実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示
す。なお、本実施例で成膜した保護層のラマンスペクト
ルを図6に示す。この保護層を構成する炭素薄膜のラマ
ン蛍光強度比を前記した方法で算出したところ、B/A
=1.1であった。
【0056】比較例2 実施例1において、ECRプラズマCVDの条件を変え
て(原料ガスの流量を60SCCMとした)保護層を成
膜した以外は、同様にして8mmビデオテープを作製
し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に
示す。なお、本実施例で成膜した保護層のラマンスペク
トルを図7に示す。この保護層を構成する炭素薄膜のラ
マン蛍光強度比を前記した方法で算出したところ、B/
A=24であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、耐
久性、耐食性に優れ、また磁性層との結着性も良好な磁
気記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラマン蛍光強度比B/Aの説明図
【図2】炭素薄膜を形成するためのECRプラズマCV
D装置の一例を示す略示図
【図3】実施例1で作製した炭素薄膜のラマンスペクト
【図4】実施例2で作製した炭素薄膜のラマンスペクト
【図5】実施例3で作製した炭素薄膜のラマンスペクト
【図6】比較例1で作製した炭素薄膜のラマンスペクト
【図7】比較例2で作製した炭素薄膜のラマンスペクト
【図8】本発明で採用するラマン分光分析法を示す概略
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/84 G11B 5/84 C B (72)発明者 水野谷 博英 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内 (72)発明者 遠藤 克巳 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に形成された磁性
    層と、該磁性層上に形成された炭素薄膜からなる保護層
    と、該保護層上に形成された潤滑剤層とを有する磁気記
    録媒体において、 前記保護層を構成する炭素薄膜のラマン分光分析法によ
    るラマンスペクトルにおける波数900cm-1から波数
    1800cm-1の範囲内に蛍光を含んだ主ピーク強度B
    と、蛍光によるバックグランドを差し引いた主ピーク強
    度Aとの強度比B/A(ラマン蛍光強度比)が1.2〜
    17であり、且つ、 前記潤滑剤層が、−Cn2n−O−単位(ただしnは1
    乃至4の整数である)を有し、少なくとも一つの極性基
    を有する含フッ素重合体から成り、当該重合体のμ2
    MWが0.1×10-3デバイ2−モル/g〜3×10-3
    デバイ2−モル/gであることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記保護層がECR−CVD法により形
    成されたものである請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記含フッ素重合体が極性基を三つ以上
    有する請求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記磁性層が金属薄膜型の磁性層である
    請求項1〜3の何れか1項記載の磁気記録媒体。
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