JPH09288214A - 粘着型偏光板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透光性被着体に粘着剤層を介して偏光板を固
定してなる偏光板固定構造物が高温及び高湿度下に置か
れても、粘着剤層が発泡したり被着体から剥離すること
のない粘着型偏光板を提供する。 【解決手段】 保護層を有する偏光フィルムの片面に粘
着剤層が積層されてなる粘着型偏光板において、粘着剤
層が、アクリル系樹脂１００重量部に対して少なくとも
一端にイソシアネート基を有するシラン化合物を０．０
１〜１０重量部含有するアクリル系粘着剤であり、上記
シラン化合物が下記一般式で表される化合物である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置に用
いられ、高温、高湿下においても粘着剤層に発泡が生じ
たり、被着体から剥離し難い粘着型偏光板に関する。

【０００２】

【従来の技術】光学機器や液晶表示装置においては、偏
光を得るために偏光板が汎用されている。偏光板は偏光
性が付与されたポリビニルアルコールフィルムの両面
が、例えばトリアセチルセルロース（以下「ＴＡＣ」と
略称する）等の保護層で被覆された構成であり、液晶表
示装置においては液晶セル（主としてガラス板からな
る）に粘着剤を介して偏光板が固定された偏光板固定物
として用いられている。偏光板の固定に粘着剤が使用さ
れる理由は、接着剤に比して、貼付したい面に十分な接
着強度を有し、且つ、貼り直しが容易である等の貼付作
業性に優れている点が大きいからである。

【０００３】上記偏光板の固定に用いられる粘着剤は、
液晶ディスプレーの表示面をカバーするものであり、高
温多湿といった粘着剤の劣化を惹起し易い環境で使用さ
れる場合でも、上記偏光板の剥離や変色といった光学的
欠陥を生じることのない高い耐久性が要求され、これら
の要望を担うものとしてアクリル系粘着剤が用いられる
ことが多い。

【０００４】アクリル系粘着剤は、一般に粘着性を発現
するアクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分と
し、これに凝集力を付与するアクリル酸等のカルボキシ
ル基を有する酸モノマーや架橋基点となる水酸基やアミ
ノ基といった官能基を含有するモノマーの共重合体が用
いられている。特に、カルボキシル基を含有するモノマ
ーはポリマー中に取り込まれて分子間で水素結合を形成
し、粘着剤の凝集力を高め、更に、カルボキシル基自体
が架橋基点となるため、殆どのアクリル系粘着剤はアク
リル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基を含有するモ
ノマーを上記共重合体の成分として共重合しているので
ある。

【０００５】特公昭５５−１２０７４号公報、特開平６
−１０８０２５号公報には、ガラスセルとの接着力を高
め、より高温高湿下ですぐれた耐候性を発揮させるため
にカルボキシル基含有モノマーだけでなく、アミノ基あ
るいはアミド基含有モノマーを共重合させた粘着剤組成
物が記載されている。更に、粘着剤の組成だけではなく
シラン系のカップリング剤をこのようなアクリル系粘着
剤に配合することにより、高温高湿下での耐候性を向上
させることも試みられてきた。

【０００６】然るに、前記ＴＡＣは、分子中に多数のア
セチル基を有するため、アクリル系粘着剤中のカルボキ
シル基を触媒としてアセチル基が加水分解によって酢酸
を遊離し、該遊離酢酸が自己触媒となって上記加水分解
を加速し、所謂ＴＡＣの崩壊現象を生じ易いといった問
題を抱えている。このため、ＴＡＣを基材とする偏光板
をアクリル系粘着剤でセル表面に貼付する際には、カル
ボキシル基を含有しないアクリル系粘着剤を使用する
か、粘着剤中に酢酸をトラップするアミン等の有機塩基
をＴＡＣ崩壊防止剤として配合することが多い。

【０００７】アクリル系粘着剤中からカルボキシル基含
有モノマーを除去した系のものはガラスセルとの密着性
が悪くなり、耐候性が極端に悪くなる。ガラスセルとの
密着性を上げるためにシラン系のカップリング剤を配合
する場合には、粘着剤組成中にアミノ基含有モノマーが
存在するとシリコーン系離型剤を使用したポリエステル
剥離シートのシート剥離力が経時で極端に悪くなるとい
う問題点があった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解消し、透光性被着体に粘着剤層を介して偏光板
を固定してなる偏光板固定構造物が高温及び高湿度下に
置かれても、粘着剤層が発泡したり被着体から剥離する
ことのない粘着型偏光板を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明粘
着型偏光板は、保護層を有する偏光フィルムの片面に粘
着剤層が積層されてなる粘着型偏光板において、粘着剤
層が、アクリル系樹脂１００重量部に対して下記一般式
で表される、少なくとも一端にイソシアネート基を有す
るシラン化合物を０．０１〜１０重量部含有するアクリ
ル系粘着剤であることを特徴とするものである。

【００１０】

【化２】

【００１１】請求項２記載の本発明粘着型偏光板は、請
求項１記載の粘着型偏光板であって、アクリル系樹脂
が、アミド基含有の（メタ）アクリル系モノマー０．１
〜１０重量部を共重合して得られるものである。

【００１２】本発明で用いられる偏光板は、ポリビニル
アルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルア
ルコール系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系
ケン化フィルムの如き親水性高分子系フィルムに、ヨウ
素及び／又は二色性染料を吸着配向させたヨウ素及び／
又は二色性染料系偏光フィルム、ポリビニルアルコール
系フィルムを脱水処理してポリエンを配向したポリエン
系偏光フィルム、ポリ塩化フィルムを脱塩酸処理してポ
リエンを配向したポリエン系偏光フィルム等の両面に、
ＴＡＣやジアセチルセルロースの如きセルロース系フィ
ルム、アクリル系樹脂フィルム等、一般に保護層として
用いられるフィルムを貼り合わせてなるものである。
又、本発明で偏光板を固定する透光性支持体は主として
ガラス板である。

【００１３】本発明で粘着剤層に用いられるアクリル系
樹脂としては、アルキル基中の炭素数が２〜１２のアル
キル（メタ）アクリレートを主成分とし、必要に応じて
極性基を有するビニルモノマーや架橋性の官能基を有す
るビニルモノマーを、熱や光等の放射線を利用してラジ
カル重合させることにより得られるものである。

【００１４】上記アルキル（メタ）アクリレートとして
は、例えば、エチルアクリレート、ｎ−プロピルアクリ
レート、イソプロピルアクリレート、ｎ−ブチルアクリ
レート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレー
ト、ヘキシル（メタ）アクリレート、２−エチルヘキシ
ル（メタ）アクリレート、ｎ−オクチル（メタ）アクリ
レート、イソオクチル（メタ）アクリレート、ｎ−ノニ
ル（メタ）アクリレート、イソノニル（メタ）アクリレ
ート、ラウリルメタクリレート等が挙げられ、これらは
単独で使用されてもよく、又、２種類以上が併用されて
もよい。

【００１５】上記極性基或いは架橋性の官能基を有する
ビニルモノマーとしては、例えば、（メタ）アクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸、（無水）マレイン酸、
（無水）フマル酸、カルボキシエチルアクリレート等の
カルボキシアルキル（メタ）アクリレート類のカルボキ
シ基含有ビニルモノマー、２−ヒドロキシエチル（メ
タ）アクリレート、２−ヒドロキシプロピル（メタ）ア
クリレート、４−ヒドロキシブチル（メタ）アクリレー
ト、カプロラクトン変性（メタ）アクリレート、ポリエ
チレングリコール（メタ）アクリレート、ポリプロピレ
ングリコール（メタ）アクリレート等の水酸基を有する
ビニルモノマーの他に、（メタ）アクリロニトリル、Ｎ
−ビニルピロリドン、Ｎ−ビニルカプロラクタム、Ｎ−
ビニルラウリロラクタム、（メタ）アクリロイルモルホ
リン、（メタ）アクリルアミド、ジメチル（メタ）アク
リルアミド、Ｎ−メチロール（メタ）アクリルアミド、
Ｎ−ブトキシメチル（メタ）アクリルアミド、ジメチル
アミノプロピル（メタ）アクリルアミド、ジメチルアミ
ノメチル（メタ）アクリレート、ジメチルアミノエチル
（メタ）アクリレート、ジメチルアミノプロピル（メ
タ）アクリレート、ジエチルアミノエチル（メタ）アク
リレート等の窒素含有ビニルモノマー等が挙げられる。
これらは単独で使用してもよく、又、２種類以上を併用
してもよい。

【００１６】上記モノマー混合物中には、さらに、酢酸
ビニル、ピバリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチ
レン、イソボロニル（メタ）アクリレート等のビニルモ
ノマーが添加されてもよい。

【００１７】更に、架橋剤を使用せずに十分な凝集力を
付与する必要がある場合には、重合段階で架橋結合し得
る多官能性モノマーを少量用いることもできる。このよ
うな多官能性ビニルモノマーとしては、エチレングリコ
ールジ（メタ）アクリレート、ジエチレングリコールジ
（メタ）アクリレート、トリエチレングリコールジ（メ
タ）アクリレート、ポリエチレングリコールジ（メタ）
アクリレート、プロピレングリコール（メタ）アクリレ
ート、ジプロピレングリコールジ（メタ）アクリレー
ト、トリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジ（メタ）アクリレー
ト、プチレングリコールジ（メタ）アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ（メタ）アクリレート、１，６−
ヘキサンジオールジ（メタ）アクリレート、トリメチロ
ールプロパンジ（メタ）アクリレート、トリメチロール
プロパントリ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ（メタ）アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ（メタ）アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ（メタ）アクリレートが挙げられる。

【００１８】シラン化合物の添加量は、アクリル系樹脂
１００重量部に対して０．０１〜１０重量部、好ましく
は０．０３〜６重量部である。０．０１重量部未満であ
ると高湿下で剥離が生じ、１０重量部を超えると高温下
で剥離が生じる。

【００１９】ここで用いられる粘着剤には、その効果を
充分に発揮させるために架橋剤が用いられる。架橋剤と
しては、架橋のためにモノマー混合物中に配合された架
橋性モノマーの官能基と反応し得るものが適宜選択され
るが、代表的な架橋剤としては多価金属塩、金属キレー
ト、多官能イソシアネート化合物、多官能アジリジン化
合物及び多官能エポキシ化合物のごときものが例示さ
れ、これらから選ばれる１種又は２種以上の混合物が挙
げられる。その好ましい配合量は架橋剤の種類によって
も異なり、０．００１〜１０重量部の範囲で適宜設定さ
れる。

【００２０】本発明で粘着剤層を構成するアクリル系樹
脂の原料モノマーとして、アクリル酸アルキルエステ
ル、特にアルキル基の炭素数が４〜１０であるブチル、
２−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル等のアク
リル酸エステル等を用いると粘着性がすぐれるので好ま
しい。また、粘着剤の高温弾性率を向上させ、且つ高い
凝集力とガラスへの接着強度をより向上させるために
は、前記極性基或いは官能基含有モノマーのうちでも、
特に、ガラス転移点の高いモノマーや官能基含有モノマ
ーを使用することができる。

【００２１】このようなモノマーとしては、アミド基含
有モノマー、例えばアクリルアミド、Ｎ，Ｎ−ジメチル
アクリルアミド、Ｎ，Ｎ−ジエチルアクリルアミド、Ｎ
−イソプロピルアクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリ
ルアミド等や、２−ヒドロキシエチル（メタ）アクリレ
ート、２−ヒドロキシプロピル（メタ）アクリレート等
のヒドロキシル基含有モノマーやグリシジルメタクリレ
ート等が挙げられる。アミド基含有の（メタ）アクリル
系モノマー０．１〜１０重量部を共重合成分とする（メ
タ）アクリル系樹脂を使用した場合には、高温、高湿度
の雰囲気中でも特にすぐれた耐久性を有するものとな
る。

【００２２】本発明の粘着型偏光板を製造するには、例
えば、アクリル系樹脂の有機溶剤溶液を準備し、これに
上記架橋剤及びシラン化合物を所定量配合し、充分攪拌
した後、脱泡し、離型処理したポリエステルフィルム等
の支持体に塗布・乾燥し、架橋反応によるゲル化を経て
偏光板のＴＡＣ面に転写すればよい。

【００２３】（作用）本発明粘着型偏光板においては、
保護層を有する偏光フィルムの片面に粘着剤層が積層さ
れてなり、粘着剤層が、アクリル系樹脂１００重量部に
対して少なくとも一端にイソシアネート基を有するシラ
ン化合物を０．０１〜１０重量部含有するアクリル系粘
着剤であるから、耐熱性、耐湿性にすぐれたものとな
り、これを高温、高湿度の雰囲気中で使用しても粘着剤
層の発泡や被着体からの剥離が生じない。

【００２４】また、粘着剤層を構成するアクリル系樹脂
が、アミド基含有の（メタ）アクリル系モノマー０．１
〜１０重量部を共重合成分とする（メタ）アクリル系樹
脂を使用したものは、高温、高湿度の雰囲気中で使用し
ても特に耐久性にすぐれたものとなる。

【００２５】

【発明の実施の形態】以下に本発明粘着型偏光板の実施
例を説明する。 （実施例１）温度計、攪拌機、還流冷却管、窒素ガス導
入管を備えたセパラブルフラスコに、ブチルアクリレー
ト９４重量部、アクリル酸６重量部、酢酸エチル１００
重量部、ｎ−ドデシルメルカプタン０．００２重量部を
投入し、３０分間窒素ガスバブリングを行って溶存酸素
を実質的に除去した後、窒素雰囲気下で６０℃に加温
し、アゾビスイソブチロニトリル０．０３重量部を投入
して７時間反応を行った。

【００２６】反応終了後、トルエンで希釈し、固形分２
０％の溶液とした。これをゲル透過クロマトグラフ法
（ＧＰＣ）により分子量を測定したところ重量平均分子
量（Ｍｗ）は１０６万、数平均分子量（Ｍｎ）との比Ｍ
ｗ／Ｍｎは２．１であった。

【００２７】得られた粘着剤溶液に、該溶液の固形分１
００重量部に対し多官能イソシアネート化合物（日本ポ
リウレタン社製，商品名「コロネートＬ」）１．０重量
部と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン
（信越化学社製，商品名「ＫＢＭ９００７」）０．０５
重量部を添加し、これを離型処理したポリエチレンテレ
フタレートフィルム（厚み３８μｍ）に塗工し、１１０
℃のオーブン中で５分間乾燥することにより厚み２５μ
ｍのアクリル系粘着剤層を有するフィルムを作製した。

【００２８】上記フィルムのアクリル系粘着剤層を、両
面にＴＡＣを保護膜として有する厚み１８０μｍの延伸
ポリビニルアルコール系偏光板にラミネーターを用いて
貼り合わせることにより転写して粘着型偏光板を得た。

【００２９】（実施例２）イソシアネート含有トリメト
キシシランの添加量を１重量部とした以外は実施例１と
同様にして粘着型偏光板を得た。

【００３０】（実施例３）γ−イソシアネートプロピル
トリメトキシシランに代えて、γ−イソシアネートプロ
ピルトリエトキシシラン（信越化学社製，商品名「ＫＢ
Ｅ９００７」）を０．０８重量部添加した以外は実施例
１と同様にして粘着型偏光板を得た。

【００３１】（実施例４）シランの添加量を２重量部と
した以外は実施例３と同様にして粘着型偏光板を得た。

【００３２】（比較例１）γ−イソシアネートプロピル
トリメトキシシランを使用しなかった以外は実施例１と
同様にして粘着型偏光板を得た。

【００３３】（比較例２）γ−イソシアネートプロピル
トリメトキシシランに代えてビニルトリメトキシシラン
を０．５重量部添加した以外は実施例１と同様にして粘
着型偏光板を得た。

【００３４】（比較例３）ビニルトリメトキシシランの
添加量を１．５重量部とした以外は比較例２と同様にし
て粘着型偏光板を得た。

【００３５】（比較例４）γ−イソシアネートプロピル
トリメトキシシランの添加量を１５重量部とした以外は
実施例１と同様にして粘着型偏光板を得た。

【００３６】ガラス板の準備 液晶表示用ガラスセルとして実用されているガラス板
（旭硝子社製，商品名「ソーダライムガラス」，大きさ
１００ｍｍ×２００ｍｍ×厚み２ｍｍ）を液晶ガラスセ
ルの代わりに使用した。上記ガラス板を界面活性剤水溶
液中で洗浄した後、純水に浸漬し、更に１１０℃のオー
ブン中で１０分間加熱乾燥して水分を除去し洗浄ガラス
板を準備した。

【００３７】粘着型偏光板とガラス板との貼り合わせ 上記の各実施例及び各比較例で得た粘着型偏光板を、そ
れぞれ７５ｍｍ×１５０ｍｍの大きさに裁断し、上記ガ
ラス板との間に気泡が入らないようにラミネーターで貼
り合わせて液晶表示用積層体を得た。

【００３８】上記実施例１〜４、比較例１〜４のものに
つき、下記の項目で性能評価を行った。その結果を表１
に示す。 （１）重量平均分子量及び数平均分子量の測定 ゲル透過クロマトグラフ法（ＧＰＣ）によりアクリル粘
着剤のポリスチレン換算の重量平均分子量（Ｍｗ）と数
平均分子量（Ｍｎ）を測定した。測定装置には島津製作
所製の示差屈折計検出器を使用した。 （２）耐熱接着性試験 液晶表示用積層体をガラススタンドに立て、１０５℃の
恒温槽中に５００時間放置した後の発泡、剥がれによる
外観変化を顕微鏡で観察し、その状態を次の基準で表し
た。 発泡状態 １：粘着剤層中に１０μｍ以上の気泡が認められない。 ２：粘着剤層中に２０〜４０μｍの気泡が少量認められ
る。 ３：粘着剤層中に２０〜４０μｍの気泡が多量に認めら
れる。 剥がれの状態 １：ガラスからの剥離が認められない。 ２：端部に０．５ｍｍ以下の剥離が認められる。 ３：端部付近に０．５ｍｍを超える剥離が認められる。 （３）耐湿接着性試験 液晶表示用積層体をガラススタンドに立て、８０℃、相
対湿度９０％の恒温槽中に５００時間放置した後の発
泡、剥がれによる外観変化を顕微鏡で観察し、その状態
を上記（２）と同じ基準で表した。

【００３９】

【表１】

【００４０】（実施例５）ブチルアクリレート７５重量
部、メチルアクリレート２０重量部、２−ヒドロキシエ
チルアクリレート３重量部、Ｎ，Ｎ−ジメチルアクリル
アミド２重量部をラジカル重合法により重合した２５％
酢酸エチル溶液１００重量部に対して、多官能イソシア
ネート系架橋剤（日本ポリウレタン社製，商品名「コロ
ネートＬ」）を１重量部、γ−イソシアネートプロピル
トリメトキシシラン（信越化学社製，商品名「ＫＢＥ−
９００７」）０．５重量部を配合した粘着剤溶液を３０
分間攪拌した。剥離シートとして離型処理した厚み５０
μｍのポリエチレンテレフタレートフィルム（リンテッ
ク社製，商品名「ＰＥＴ５０１１」）の離型処理面に乾
燥後の厚みが３０μｍとなるように上記粘着剤溶液をア
プリケーターで塗布し、１００℃で１０分間乾燥して粘
着剤層を形成した。この粘着剤層を両面にＴＡＣを保護
膜として有する厚み１８０μｍの延伸ポリビニルアルコ
ール系偏光板にラミネーターを用いて貼り合わせること
により転写し、室温（２３℃，６５％ＲＨ）で３日間放
置して粘着型偏光板を得た。

【００４１】（比較例５）Ｎ，Ｎ−ジメチルアクリルア
ミドの代わりにアクリル酸を用いた以外は実施例５と同
様にして粘着型偏光板を得た。

【００４２】（比較例６）Ｎ，Ｎ−ジメチルアクリルア
ミドの代わりにＮ，Ｎ−ジメチルアミノエチルアクリレ
ートを用いた以外は実施例５と同様にして粘着型偏光板
を得た。

【００４３】（比較例７）イソシアネート基を有するシ
ランカップリング剤を用いなかった以外は実施例５と同
様にして粘着型偏光板を得た。

【００４４】実施例５及び比較例５〜７で得られた粘着
型偏光板をガラス板に温度５０℃、圧力５ｋｇ／ｃｍ²
の条件で１０分間保持して接着した。接着性を評価する
ために耐熱性試験（１００℃で５００時間）、耐湿性試
験（８０℃，９０％ＲＨで５００時間）を行い、粘着剤
の発泡、ガラス板からの剥離を目視で観察した。特に耐
湿性試験では偏光板のＴＡＣ崩壊の状況も同時に観察し
た。

【００４５】また、粘着の経時安定性を評価するため
に、５０℃で１週間経過させることにより経時変化を促
進させた後、剥離シートの粘着層からの１８０°剥離力
をＡＳＳｔａｎｄａｒｄｓ Ａｓｓｏｃｉａｔｉｏｎ
ｏｆ Ａｕｓｔｒａｌｉａ）１６３５に準じて引張り試
験機により３００ｍｍ／分の速度で測定した。以上の結
果を表２に示す。

【００４６】

【表２】

【００４７】表１、２により明らかなとおり、実施例１
〜５のものはすべて耐熱接着性、耐湿接着性にすぐれて
いるが、比較例１、２のものは耐熱接着性、耐湿接着性
が悪く、また、比較例３、４、５、７のものは耐熱接着
性に劣り実用的なものではない。

【００４８】

【発明の効果】本発明粘着型偏光板は以上の構成であ
り、両面が保護層で被覆されてなる偏光フィルムに、少
なくとも一端にイソシアネート基を有するシラン化合物
を含有するアクリル系粘着剤層を設けることにより、耐
熱接着性及び耐湿接着性にすぐれたものとなり、高温及
び高湿度下に置かれても、粘着剤層が発泡したり被着体
から剥離することがない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ３２Ｂ 27/30 Ｂ３２Ｂ 27/30 Ａ Ｃ０９Ｊ 133/04 ＪＤＣ Ｃ０９Ｊ 133/04 ＪＤＣ 175/04 ＪＦＦ 175/04 ＪＦＦ Ｇ０２Ｆ 1/1335 ５１０ Ｇ０２Ｆ 1/1335 ５１０

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 保護層を有する偏光フィルムの片面に粘
   着剤層が積層されてなる粘着型偏光板において、粘着剤
   層が、アクリル系樹脂１００重量部に対して下記一般式
   で表される、少なくとも一端にイソシアネート基を有す
   るシラン化合物を０．０１〜１０重量部含有するアクリ
   ル系粘着剤であることを特徴とする粘着型偏光板。 【化１】
2. 【請求項２】 アクリル系樹脂が、アミド基含有の（メ
   タ）アクリル系モノマー０．１〜１０重量部を共重合し
   て得られるものである請求項１記載の粘着型偏光板。