JPH09272771A - ポリビニルアルコール系樹脂組成物 - Google Patents

ポリビニルアルコール系樹脂組成物

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JPH09272771A
JPH09272771A JP8081471A JP8147196A JPH09272771A JP H09272771 A JPH09272771 A JP H09272771A JP 8081471 A JP8081471 A JP 8081471A JP 8147196 A JP8147196 A JP 8147196A JP H09272771 A JPH09272771 A JP H09272771A
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勉 麻生
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清俊 岡田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】溶融押出成形、射出成形などで熱成形加工され
たときの熱劣化に対する安定性、加工機の金属処理面と
の剥離性と共に、加工後、高温下に曝されたときの熱劣
化や着色に対しても優れた防止効果を有する、実質的に
無水の状態で成形加工することのできるポリビニルアル
コール系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】上記樹脂組成物は、ポリビニルアルコール
系樹脂 100重量部に対し、(a)炭素数4〜22の脂肪族
カルボン酸と多価アルコールとのエステル化合物0.025
〜5重量部、(b)炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸
0.025〜5重量部および(c)マンニトールまたはソル
ビトール0.05〜10重量部を配合してなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール(以下PVAとする)系樹脂の熱成形加工によるフ
ィルムまたはシートの製造に際し、実質的に無水の状態
で溶融成形することのできるPVA系樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系樹脂は、戦後日本でビニロンの
工業化に伴い飛躍的に発展した水溶性の合成樹脂である
が、近年では、他の非水溶性汎用合成樹脂のフィルムや
シート分野にも進出している。PVA系樹脂は、接着
性、フィルム成形性、その強靭性、無色透明性などの優
れた物性のほかに、水溶性であることから環境に優しい
プラスチックとして最近特に脚光を浴びつつある。従
来、PVA系樹脂は他の汎用熱可塑性樹脂と異なり、熱
分解温度が融点より低いため、その成形加工には水を可
塑剤とした溶融押出成形、流延成形が適当な方法とされ
てきた。この方法は多量の水を添加するため、成形加工
機の厳密な温度管理、特にはダイ温度を 100℃以下に保
つこと、吐出溶融物中に気泡を生じさせないこと、さら
には製膜しながら含有水分を除去するための乾燥、熱処
理を行うことなど複雑な操作を必要とし、結果的に得ら
れる製品が高価になり、その分野も薄手のフィルムに止
まり、厚手のシートを得るのは技術的に困難であった。
【0003】その改善のため、これまでに多くの提案が
なされてきた。すなわち、PVAにスルファミン酸を付
加してPVA硫酸化物とすることにより水に対する溶解
性を改善する方法(特公昭37-12538号公報)、リン酸に
アルコール、グリコールエーテル及びアミドを付加した
リン酸エステルを可塑剤として用いる方法(特公昭42-1
8813号公報)、PVAの熱成形加工時に熱による着色を
防止するために、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸
ナトリウム塩(特公昭43−3975号公報)、メルカプトチ
アゾールまたはイミダゾール類(特公昭45−7691号公
報)、カルボン酸(特公昭46-37664号公報)、リン酸の
アルカリ金属塩(特公昭47-24265号公報)をそれぞれ添
加する方法、低ケン化(35〜60モル%)PVAにグリセ
リンのプロピオン酸付加物を混合する方法(特開昭49−
131240号公報)、低ケン化(70〜97モル%)PVAにフ
タル酸のグリセリン付加物を混合する方法(特開昭49−
120946号公報)、リン酸またはピロリン酸を添加して着
色を防止する方法(特開昭51-88544号公報)などであ
る。しかし、これらのいずれの方法でもPVAの押出成
形加工またはカレンダー成形加工のように高温の動的か
つ発熱を伴う熱成形加工での着色防止については十分な
効果を示していない。
【0004】また、アルカリまたはアルカリ土類金属塩
を用いて溶融成形加工時の加工性を改善する方法(特開
平4-202535号、同 5-98038号、同 5-96617号各公報)、
アルキルポリオキシエチレン付加ジメチルアンモニウム
クロリド系界面活性剤を用いて熱成形加工時の離型性及
びプレートアウト性を改善する方法(特開平5-163369号
公報)、シリコーンエマルジョンを用いて押出成形時の
ダイ離れを改善する方法(特開平5-194812号公報)など
も提案されているが、これらの方法も加工性の改善のみ
に止まり、熱安定性については不十分であった。したが
って、熱安定性と共に成形加工性をも改善するという課
題は解決されていない。さらに、多価アルコールを添加
して無水の状態で溶融成形する方法(特公昭44-28588号
公報)が提案されたが、これも時間の経過とともにスク
リュー部、ダイの周縁部などに焼けた樹脂カスが溜ま
る、いわゆる目やに(成形加工メーカーなどにおける業
界用語)現象が発生し、シートの表面の平滑性や外観を
損なうため、長時間にわたって連続運転することが実際
上困難であった。また多価アルコールの存在下でポリ酢
酸ビニルをケン化して得られる変性PVAを溶融成形す
る方法(特公昭42-26930号公報)、多価アルコール芳香
族カルボン酸及び環状炭化水素の縮合物を配合する方法
(特開昭50-22049号公報)、α−オレフィン変性PVA
と熱可塑性樹脂を混合し無水の状態で溶融成形する方法
(特公昭53-24975号、同56-49733号各公報)は、いずれ
も基本的に完全な水溶性とすることが困難であった。
【0005】オキシアルキレン基含有PVA共重合体を
用いて溶融成形する方法(特開平3-203932号公報)は、
ビニルアルコール、ビニルエステル、オキシアルキレン
アリルエーテルなどを重合させる条件、収率、混合後の
溶液回収などにより、コストが高いものになった。ま
た、有機スルホン酸の金属塩と有機リン酸エステル化合
物とを組み合わせて添加する方法(特開平7-268164号公
報)が開示されており、これによると熱成形加工時の熱
安定性と成形加工性をも同時に改善するというものであ
るが、離型性及びプレートアウト性についてはまだ十分
ではなく、さらには表面平滑性も不十分なことから、製
品の外観が悪く商品価値を損ねてしまうという課題が残
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、実質的に無水の状態で成形加工することのでき
るPVA系樹脂組成物、特には溶融押出成形、射出成形
などで熱成形加工されたときの熱劣化に対する安定性、
加工機の金属処理面との剥離性と共に、加工されたPV
A系樹脂が高温下に曝されたときの熱劣化や着色に対し
ても優れた防止効果を有するPVA系樹脂組成物を提供
しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を、
PVA系樹脂に配合される成分の種類と量で解決すべく
種々実験を重ねた結果、完成されたものである。すなわ
ち、本発明によるPVA系樹脂組成物は、PVA系樹脂
100重量部に対し、(a)炭素数4〜22の脂肪族カルボ
ン酸と多価アルコールとのエステル化合物 0.025〜5重
量部、(b)炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸 0.025〜
5重量部および(c)マンニトールまたはソルビトール
0.05〜10重量部を配合してなることを要旨とする。上記
PVA系樹脂組成物は、(a)成分のエステル化合物
が、ステアリン酸とペンタエリスリトールとのエステル
であり、(b)成分の脂肪族カルボン酸が、ステアリン
酸またはベヘン酸のいずれかであることを好適とする。
本発明のPVA系樹脂組成物を熱成形加工すると、高温
で、しかも動的加工によって生ずる熱分解、これに起因
する着色が防止され、同時に成形品の離型性及びプレー
トアウト性、さらには表面平滑性も改善されるなど、極
めて良好な成形加工性が付与され、フィルムその他の製
品の商品価値を高めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のPVA系樹脂組成物において、PVA系
樹脂と共に用いられる(a)成分は、炭素数4〜22の脂
肪族カルボン酸と多価アルコールとのエステル化合物で
ある。炭素数4〜22の脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族
のモノもしくはジまたは不飽和脂肪族のモノカルボン酸
であって、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ブラシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステア
リン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシ
ノール酸などが挙げられる。他方、多価アルコールに
は、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリ
トールなどが挙げられる。(a)成分は、PVA系樹脂
100重量部に対して、 0.025〜5重量部、好ましくは
0.1〜3重量部配合されるもので、これが 0.025重量部
未満では金属面との剥離性が悪化して成形加工すること
が困難になり、また5重量部を超えると透明なフィルム
が得られなくなる。
【0009】(b)成分は、炭素数12〜22の脂肪族カル
ボン酸、より具体的には飽和脂肪族または不飽和脂肪族
のモノカルボン酸であって、例えば、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12
−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレイン酸、リシノール酸などが挙げられる。(b)
成分は、PVA系樹脂 100重量部に対して、 0.025〜5
重量部、好ましくは 0.1〜3重量部配合される。これが
0.025重量部未満では加工時の熱による着色を生じ、金
属面との剥離性も不十分になる。また、これが5重量部
を超えるとゲル化(PVA系樹脂が加熱されて溶融状態
になること)が遅れてしまうので加工上好ましくない。
一方、成形加工後のフィルムなどが経時の過程で、ブル
ーミング(フィルムの表面に加工時に配合された各種添
加剤が析出してくる現象で、ゴム及びポリ塩化ビニルな
ど合成樹脂の業界で通常使われる技術用語)を生じさ
せ、これが印刷やラミネートなどの二次加工の際に問題
となり、且つ商品価値を損なうことにもなる。
【0010】(c)成分は、マンニトールまたはソルビ
トールであって、PVA系樹脂 100重量部に対し、0.05
〜10重量部、好ましくは 0.2〜6重量部配合される。こ
れが0.05重量部未満では熱安定性が不十分で、熱劣化に
よりPVA系樹脂が分解し炭化してしまい、これが10重
量部を超えると色相が悪化し無色透明なフィルムなどが
できなくなる。
【0011】本発明のPVA系樹脂組成物は、上記成分
の外に、有機亜リン酸エステル、ヒンダードフェノール
類または含硫黄カルボン酸アルキルエステルなどの酸化
防止剤;β−ジケトン化合物またはエポキシ化合物など
の有機系熱安定化助剤;無機金属塩または複塩などの無
機系熱安定化助剤;紫外線吸収剤などの光安定剤などの
各種添加剤を、目的に応じて適宜併用することができ
る。
【0012】酸化防止剤としての有機亜リン酸エステル
は、トリアルキルホスファイト、トリアリールホスファ
イト、アルキルアリールホスファイト、ビスフェノール
−A−ホスファイト、多価アルコールホスファイト、環
状構造をもつサリチルアルキルホスファイトなどによっ
て代表され、これらのホスファイト化合物としては、例
えば、トリフェニルホスファイト、トリイソオクチルホ
スファイト、トリイソデシルホスファイト、トリイソト
リデシルホスファイト、トリベンジルホスファイト、ト
リノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソオクチ
ルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、
ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、テ
トラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、
ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイ
ト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、トリ-2,4−ジ-t−ブチルフェニルホスファイト、2,
4-ジ-t−ブチルフェニルジイソデシルホスファイト、ト
リブトキシエチルホスファイト、4,4'−イソプロピリデ
ンジフェニルアルキル(C12〜C15)ジホスファイト、
ヘプタキス(ジプロピレングリコール)トリホスファイ
ト、サリチルオクチルホスファイトなどが挙げられる。
【0013】同様に、ヒンダードフェノールは、アルキ
ルフェノール、アルキルフェノールエステル、アルキレ
ン又はアルキリデンビスフェノール、ポリアルキルフェ
ノールエステルなどによって代表され、例えば、ブチル
ヒドロキシトルエン、4-ヒドロキシメチル-2,6−ジ-t−
ブチルフェノール、4,4'−ジヒドロキシ-2,2'-ジフェニ
ルプロパン、2,2'−メチレンビス(4-メチル-6-t−ブチ
ルフェノール)、4,4'−チオビス(6-t-ブチル-3−メチ
ルフェノール)などが挙げられる。また、含硫黄カルボ
ン酸アルキルエステルは、例えば、ジラウリルメルカプ
トプロピオン酸エステル、ジステアリルメルカプトプロ
ピオン酸エステルなどが挙げられる。
【0014】有機系熱安定化助剤としてのβ−ジケトン
化合物は、例えば、デヒドロ酢酸、シクロヘキサン-1,3
−ジオン、2-アセチルシクロペンタノン、2-ベンゾイル
シクロペンタノン、2-アセチルシクロヘキサノン、2-ベ
ンゾイルシクロヘキサノン、アセチルステアロイルメタ
ン、ベンゾイルアセトンパルミトイルベンゾイルメタ
ン、ステアロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタ
ン、トリベンゾイルメタン、4-メトキシベンゾイル−ベ
ンゾイルメタン、ビス(4-メトキシベンゾイルメタ
ン)、4-クロロベンゾイル−ベンゾイルメタン、ベンゾ
イルトリフルオロアセトン、パルミトイルテトラロン、
ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロンなどが
挙げられる。また、エポキシ化合物は、エポキシ化不飽
和油脂、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル、エポキシシ
クロヘキサン誘導体などによって代表され、例えば、エ
ポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマ
ニ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化アマニ油脂
肪酸ブチル、エポキシ化ステアリン酸のブチル、イソオ
クチル、2-エチルヘキシルなどのアルキルエステル、3-
(2−キセノキシ)-1,2-エポキシプロパン、エポキシヘキ
サヒドロフタル酸ジ-2−エチルヘキシル、エポキシ化ポ
リブタジエンなどが挙げられる。
【0015】無機系熱安定化助剤としての無機金属塩ま
たは複塩は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、合成ハ
イドロタルサイト、A型ゼオライトなどが挙げられる。
【0016】紫外線吸収剤などの光安定剤は、ベンゾフ
ェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、ヒ
ドロキシベンゾエート系、シアノアクリレート系、シュ
ウ酸アニリド系またはヒンダードアミン系によって代表
され、例えば、2-ヒドロキシ-4-n−オクトキシベンゾフ
ェノン、p-t-ブチルフェニルサリチレート、2-(5-メチ
ル-2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-
(3,5-ジ-t−ブチル-2−ヒドロキシフェニル)-5-クロロ
ベンゾトリアゾール、2,4-ジ-t−ブチルフェニル-3',5'
−ジ-t−ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、エチル-2
−シアノ-3,3−ジフェニルアクリレート、エタンジアミ
ド-N-(2-エトキシフェニル)-N'-(2-エチルフェニル)-
(シュウ酸アニリド)、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロ
キシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン重縮合物、ポリ{[6-(1,1,3,3,-テトラメチルブチ
ル)イミノ-1,3,5−トリアジン-2,4−ジイル][( 2,2,6,
6-テトラメチル-4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレ
ン[(2,2,6,6-テトラメチル-4−ピペリジル)イミノ]}
などが挙げられる。
【0017】本発明のPVA系樹脂組成物に適用される
PVA系樹脂は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、バーサティック酸ビニルなどの単独ま
たは混合物のビニルエステル系モノマーの重合体を部分
ケン化することにより得られるものである。PVA系樹
脂の重合度は 100〜3,000 の範囲のものが好ましく、こ
れが 100未満のものでは成形加工品の機械的強度が劣
り、3,000 を超えるものでは本発明の成形加工用組成物
の外に(可塑剤としての)多価アルコールを添加して
も、成形加工時にPVA系樹脂の熱分解が起こり成形加
工することができない。また、ケン化度は50モル%以上
が好ましく、さらには80モル%以上がより好ましい。こ
れが50モル%未満ではPVA系樹脂が本来持つ特性を失
ってしまって使用できない。
【0018】上記PVA系樹脂としては、上記ビニルエ
ステル系ホモポリマーの外に、このビニルエステル系ホ
モポリマーを形成するビニルエステル系モノマーと共重
合可能な他種のモノマーとのコポリマーでもよく、この
コポリマーを形成する他種のモノマーとしては、例え
ば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテンなど
のオレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル類;
メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチルなどのメタクリル酸エステル類;アクリル
アミド、N-メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド
誘導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド
などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテ
ル、n-プロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニト
リル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルまたはビニリ
デン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;
マレイン酸及びその塩またはそのエステル類;ビニルト
リメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソ
プロペニルなどが挙げられる。これらの共重合可能なモ
ノマーの含有量としては、10モル%以下、特には5モル
%以下が好ましい。
【0019】上記PVA系樹脂には、可塑剤としてエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンな
どを添加することができる。前記可塑剤の添加量は、P
VA系樹脂の重合度によっても異なり、例えば、重合度
100〜600 、ケン化度5〜99モル%のPVA系樹脂にお
いて、含水率がPVA系樹脂製造上不可避の量以下の範
囲内であれば、水分が可塑剤として作用するため、特に
前記可塑剤を添加する必要はない。この可塑剤を添加す
る場合はPVA系樹脂 100重量部に対して0.01〜 200重
量部、特には1〜60重量部が好ましい。これが0.01未満
では重合度が 600を超えたPVA系樹脂を成形加工する
場合に、流動性が得られない。また、これが 200重量部
を超えると成形物から可塑剤が溶出するので好ましくな
い。
【0020】上記PVA系樹脂には、さらに必要に応じ
て、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹
脂、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロースなどのセルロース誘導体、キサンタンガ
ム、カラギナン、キチン、キトサンなどの含窒素多糖
類、リン酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステルなどの滑剤、タルク、炭酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウムなどの充填剤、硫酸マグネシ
ウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸コバルト、ホウ酸亜鉛、
酢酸第一錫、ギ酸鉛、臭化マンガンなどの着色防止剤、
酸化チタン、カーボンブラック、蛍光顔料などの各種着
色剤、発泡剤、pH調整剤などを添加してもよい。
【0021】
【実施例】次に、本発明の具体的態様を実施例及び比較
例により説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限
定されるものではない。 (実施例1〜4、比較例1〜8)ケン化度88.0モル%、
重合度 600のPVA 100重量部と、可塑剤としてのグリ
セリン10重量部とを、基本配合として用意し、これに表
1および表2に示す各種添加剤(重量部)を加えて、そ
れぞれよくかき混ぜ、 100℃に加熱した高温乾燥器中に
30分入れた後、取り出して十分に混合した。 ローリング(混練)試験:次に、表面温度 185℃のミキ
シングロール(電気誘導加熱式の可変速型テストロール
機、 155mmφ× 380mm、ロール間隔= 0.3mm、前ロール
回転数= 22rpm、後ロール回転数=20rpm )によってロ
ーリング(混練)試験を行った。このローリング中の、
シートの離型性とプレートアウト性、ローリング6分後
の表面平滑性、ローリング12分後に採取したシートの試
験片(30×30mm)についての熱分解(劣化)による着色
性を、それぞれ下記の基準で評価すると共に、ローリン
グ熱経時(熱履歴)によるPVA系樹脂組成物の架橋、
劣化によってロール表面にシートが粘着し始める時間を
測定した。
【0022】さらに、上記配合物について下記の条件で
押出成形及び射出成形を行い、それぞれについて、成形
品の着色および表面平滑性を下記の基準で評価すると共
に、Tダイ部または吐出部に熱劣化したPVA系樹脂組
成物が粘着し始めるまでの時間を測定した。 押出成形: 押出機の種類:二軸押出機、スクリュー‥L: 1,280m
m、D:40mmφ、L/D:32、回転数: 70rpm、シリン
ダー温度(圧縮部): 205℃、Tダイ温度: 200℃ 射出成形: 射出成形機の種類:日本製鋼所製 J220E型、スクリュー
混練温度: 200℃、吐出部温度: 210℃、金属温度:50
℃、射出圧力: 1,250kg/cm2、成形サイクル:20秒
【0023】(評価基準:5ないし1の5段階で表し、
3以下では商品化できない) ローリング12分後の着色または成形品の着色: 5:無着色、4:微黄色、3:黄色、2:黄褐色、1:
赤褐色 シートの離型性: 5:非常に良く剥離する、4:良く剥離する、3:やや
剥離しにくい、2:剥離しにくい、1:非常に剥離しに
くい ローリング時のゲル化性または成形時のゲル化性: 5:非常に早い、4:早い、3:やや遅い、2:遅い、
1:非常に遅い ローリング6分後の表面平滑性または成形品の表面平
滑性: 5:シートの表面が非常に平滑で艶がある、4:平滑で
艶がある、3:微細な凹凸があり、やや艶がない、2:
全く艶がない、1:凹凸が激しくざらついている ローリング6分後の透明性または成形品の透明性: 5:非常に透明度が高い、4:透明度が高い、3:透明
度がやや低い、2:透明度が低い、1:透明度が非常に
低い ローリング時のプレートアウト性: 5:ロール表面に全くプレートアウトしない、4:殆ど
プレートアウトしない、3:少しプレートアウトする、
2:プレートアウトする、1:激しくプレートアウトす
る 以上の結果を表1および表2に示した。なお、表中の−
はミキシングロールに粘着してしまったため評価できな
かったことを表す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】本発明のPVA系樹脂組成物は、実施例
に示されるように、混練を12分行っても着色せず、成形
時の離型性やプレートアウト性も改善され、またシート
の表面平滑性が良好なため優れた成形品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 麻生 勉 埼玉県大宮市吉野町1丁目406番地1 信 越ポリマー株式会社東京工場内 (72)発明者 細野 康雄 東京都小平市学園東町2丁目4番17−1号 (72)発明者 岡田 清俊 東京都西多摩郡日の出町平井1748−7

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリビニルアルコール系樹脂 100重量部に
    対し、(a)炭素数4〜22の脂肪族カルボン酸と多価ア
    ルコールとのエステル化合物 0.025〜5重量部、(b)
    炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸 0.025〜5重量部およ
    び(c)マンニトールまたはソルビトール0.05〜10重量
    部を配合してなることを特徴とするポリビニルアルコー
    ル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(a)成分のエステル化合物が、ステアリ
    ン酸とペンタエリスリトールとのエステルである請求項
    1記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(b)成分の脂肪族カルボン酸が、ステア
    リン酸またはベヘン酸のいずれかである請求項1記載の
    ポリビニルアルコール系樹脂組成物。
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