JPH0926674A - 結着樹脂及び静電荷像現像用トナー - Google Patents

結着樹脂及び静電荷像現像用トナー

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JPH0926674A
JPH0926674A JP7198995A JP19899595A JPH0926674A JP H0926674 A JPH0926674 A JP H0926674A JP 7198995 A JP7198995 A JP 7198995A JP 19899595 A JP19899595 A JP 19899595A JP H0926674 A JPH0926674 A JP H0926674A
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JP
Japan
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resin
binder resin
raw material
polymerization
toner
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Application number
JP7198995A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Kawachi
宏之 川地
Katsutoshi Aoki
克敏 青木
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】(a)一つの反応容器中で各々独立した反応経
路を有する2つの重合系の原料モノマー混合物、(b)
該2つの重合系の原料モノマーのいずれとも反応し得る
化合物、及び(c)フェノール系老化防止剤もしくは酸
化防止剤を用いて、該2つの重合反応を同一反応容器中
で並行して行わせて得ることができるトナー製造用の結
着樹脂、該結着樹脂の製造方法、並びに該結着樹脂を含
有する静電荷像現像用トナー。 【効果】本発明の結着樹脂を用いることにより、帯電量
と画質の環境安定性が良好で、耐刷時の臭いもなく、保
存性も良好なトナーを得ることができる。また、本発明
の製造方法により当該結着樹脂を容易に得ることができ
る。かかる結着樹脂を用いる本発明のトナーは、上記の
特長を有すると共に、ヒートローラー定着方式におい
て、オフセット防止液を使用しないで、低い温度で定着
が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷などにおいて形成される静電潜像を現像す
るためのトナーに用いる結着樹脂、該結着樹脂の製造方
法、及び静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、静電荷像現像用トナーには、低
温定着性、耐オフセット性等の基本的性能が要求される
ため、その性能に大きく影響する結着樹脂に対しても、
これらの性能が同様に要求されている。
【0003】このような結着樹脂としては、従来よりス
チレン系樹脂やポリエステル樹脂などが使用されてきた
が、スチレン系樹脂は主に定着性等に問題があり、また
ポリエステル樹脂は主に帯電の環境安定性等に問題があ
り、種々の添加剤の検討や樹脂の改良等が行われてき
た。
【0004】一方、ポリエステル樹脂とスチレンアクリ
ル樹脂を混合して用いることにより、両樹脂の性質を兼
ね備えた結着樹脂を得ようとする試みも存在する。例え
ば、 ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂を混合する
方法(特開昭49−6931号、特開昭54−1142
45号、特開昭57−70523号、特開平2−161
464号); ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂を化学的に
結合する方法(特開昭56−116043号); 不飽和ポリエステルにビニル系モノマーを共重合せし
める方法(特開昭57−60339号、特開昭63−2
79265号、特開平1−156759号、特開平2−
5073号); (メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂に
ビニル系モノマーを共重合せしめる方法(特開昭59−
45453号); ポリエステル樹脂存在下で、反応性ポリエステルとビ
ニルモノマーを共重合させる方法(特開平2−2966
4号);及び ポリエステル樹脂とビニル系樹脂をエステル結合でブ
ロック化させる方法(特開平2−881号)が挙げられ
る。
【0005】しかしながら、ポリエステル樹脂とスチレ
ンアクリル樹脂は、本来相溶性が悪いため、単に機械的
に混合を行う場合、混合比率によっては、トナー化後の
画像評価において、地汚れを生じたり、また反応性ポリ
エステルにビニルモノマーを重合させる場合、ゲル化を
防ぐためには組成比に制限があった。
【0006】このため、本発明者らは、付加重合と縮重
合とを同一反応容器中で同時に進行させて得られる樹脂
をトナー用バインダーとして用いる技術を開発した(特
開平4−142301号公報)。また、当該重合系に予
めその原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物を添
加して重合を行うことにより、2種の樹脂が化学的に結
合した結着樹脂を得る方法を開発した(特開平7−98
517号公報)。
【0007】しかしながら、これらの結着樹脂を用いた
トナーは、低温定着性や耐オフセット性などの面で改善
されたものの、その保存安定性、ランニング時の定着部
の加熱によるトナーの臭いの発生、また現像剤のライフ
に関しては、改善の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの要
求を満たすためになされたものであり、その目的は帯電
量、画質の環境安定性が良好で、特に定着時にトナー臭
の発生がなく、また現像剤のライフが長く、保存安定性
も良好なトナーを製造するための結着樹脂、該結着樹脂
の製造方法、及び静電荷像現像用トナーを提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、一つの反応容器中で
各々独立した反応経路を有する2つの重合系の原料モノ
マー混合物および該2つの重合系の原料モノマーのいず
れとも反応し得る化合物に加えて、フェノール系老化防
止剤もしくは酸化防止剤を用いて、該2つの重合反応を
同一反応容器中で並行して行わせることにより、特に保
存安定性が良好で、定着時にトナー臭の発生がなく、ま
た現像剤のライフが長いトナーを製造するための結着樹
脂が得られることを見出し、本発明を完成するに到っ
た。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、 (1) (a)一つの反応容器中で各々独立した反応経
路を有する2つの重合系の原料モノマー混合物、(b)
該2つの重合系の原料モノマーのいずれとも反応し得る
化合物、及び(c)フェノール系老化防止剤もしくは酸
化防止剤を用いて、該2つの重合反応を同一反応容器中
で並行して行わせて得ることができるトナー製造用の結
着樹脂、 (2)フェノール系老化防止剤もしくは酸化防止剤が、
下記の化合物(1)〜(22)からなる群より選ばれる
1種以上である前記(1)記載の結着樹脂、
【0011】
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】
【化8】
【0014】
【化9】
【0015】
【化10】
【0016】(3) フェノール系老化防止剤もしくは
酸化防止剤の使用量が、全ての原料モノマーに対して、
0.1〜10重量%である前記(1)又は(2)記載の
結着樹脂、 (4) 2つの重合系の原料モノマーが、縮重合系樹脂
の原料モノマーおよび付加重合系樹脂の原料モノマーで
ある前記(1)〜(3)いずれか記載の結着樹脂、 (5) 縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合系樹脂
の原料モノマーの重量比(縮重合系/付加重合系)が、
50/50〜95/5である前記(4)記載の結着樹
脂、 (6) 縮重合系樹脂がポリエステル、ポリエステル・
ポリアミドまたはポリアミドであり、付加重合系樹脂が
ビニル系樹脂である前記(4)又は(5)記載の結着樹
脂、 (7) 結着樹脂の酸価が30KOHmg/g以下であ
る前記(1)〜(6)いずれか記載の結着樹脂、 (8) 結着樹脂の軟化点が70〜160℃であり、ガ
ラス転移温度が40〜80℃である前記(1)〜(7)
いずれか記載の結着樹脂、 (9) 縮重合系樹脂の原料モノマー、付加重合系樹脂
の原料モノマー、該原料モノマーのいずれとも反応し得
る化合物、及び重合開始剤を予め混合し、主としてラジ
カル重合反応により縮重合反応が可能な官能基を有する
付加重合系樹脂を得、次いでフェノール系老化防止剤も
しくは酸化防止剤を添加して分散させた後、反応温度を
上昇させ、主として縮重合により縮重合系樹脂成分の重
合を行うことを特徴とするトナー用結着樹脂の製造方
法、並びに (10) 少なくとも結着樹脂、着色剤を含有してなる
静電荷像現像用トナーにおいて、該結着樹脂が前記
(1)〜(8)いずれか記載の結着樹脂であることを特
徴とする静電荷像現像用トナー、に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の結着樹脂は、(a)一つ
の反応容器中で各々独立した反応経路を有する2つの重
合系の原料モノマー混合物、(b)該2つの重合系の原
料モノマーのいずれとも反応し得る化合物(以下、「両
反応性化合物」という)、及び(c)フェノール系老化
防止剤もしくは酸化防止剤(以下、「フェノール系化合
物」という)を用いて、該2つの重合反応を同一反応容
器中で並行して行わせて得ることができるものである。
【0018】本発明の結着樹脂の製造方法は、当該方法
に限定されるものではなく、他の方法で得られたもので
も同一構造を有するものであれば、本発明の技術的範囲
に含まれる。即ち、本発明の結着樹脂の構造は、2つの
重合系の原料モノマーを構成単位とし、2つの重合系の
樹脂成分が両反応性化合物を介して部分的に化学結合し
たものを含有するものであり、フェノール系化合物は、
結着樹脂中にほぼ均一に分散して存在する。また、製造
中の樹脂の分解で生じる低分子量成分が比較的少量であ
る。
【0019】本発明において、2つの重合系は、独立し
た反応経路で重合反応が行われるものであるが、その2
つの重合系としては、一方が縮重合型で、他方が付加重
合型であるのが好ましい。
【0020】縮重合型重合系は、縮重合によりポリエス
テル、ポリエステル・ポリアミド、ポリアミドを得るも
のが代表的であり、付加重合型重合系は、ラジカル重合
によりビニル系樹脂を得るものが代表的である。
【0021】これらのうち、ポリエステル成分は、アル
コールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カル
ボン酸エステル等を原料モノマーとして得ることができ
る。
【0022】ここで、2価アルコール成分としては、例
えばポリオキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒ
ドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン
(3.3)−2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパ
ン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2 −ビス (4−ヒド
ロキシフェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(2.
0) −ポリオキシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒ
ドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン
(6) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン
等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、1,2 −プロピレングリコール、1,3 −プ
ロピレングリコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,4 −ブテンジオール、1,5 −ペンタ
ンジオール、1,6 −ヘキサンジオール、1,4 −シクロヘ
キサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテ
トラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加
ビスフェノールA等が挙げられる。
【0023】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6 −ヘキサンテトロール、1,4
−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4 −ブタン
トリオール、1,2,5 −ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,
4 −ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、1,3,5 −トリヒドロキシメチルベン
ゼン等が挙げられる。
【0024】これらのアルコール成分のうち、好ましく
はビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチ
レングリコール、1,2 −プロピレングリコール、1,3 −
プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールが用い
られる。本発明においては、これらの2価のアルコール
単量体及び3価以上の多価アルコール単量体から単独で
あるいは複数の単量体を併用して用いることができる。
【0025】また、酸成分としては、例えばマレイン
酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコ
ン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク
酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン
酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク
酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n
−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオ
クテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、及びこれら
の酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げ
られる。好ましくは、マレイン酸、フマール酸、テレフ
タル酸、アルケニルコハク酸が用いられる。
【0026】また、縮重合により得られるポリエステル
ポリアミド又はポリアミド中のアミド成分を形成するた
めに用いる原料モノマーとしては、例えばエチレンジア
ミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミ
ン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、トリエ
チレンテトラミン等のポリアミン、6−アミノカプロン
酸、ε−カプロラクタム等のアミノカルボン酸類、プロ
パノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられ
る。好ましくはヘキサメチレンジアミン、ε−カプロラ
クタムが用いられる。
【0027】なお、以上の原料モノマーには、通常開環
重合モノマーに分類されるものも含まれているが、これ
らは、他のモノマーの縮合反応で生成する水等の存在に
より加水分解して縮合に供されるため、広義には縮重合
系樹脂の原料モノマーに含まれると考えられる。
【0028】付加重合により得られるビニル樹脂を形成
するために使用される代表的な単量体としては、例え
ば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エ
チルスチレン、2,4 −ジメチルスチレン、p−クロルス
チレン、ビニルナフタレン等のスチレン若しくはスチレ
ン誘導体;例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イ
ソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類;例
えば塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、カプロン酸ビニ
ル等のビニルエステル類;例えばアクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸
イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチ
ル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アク
リル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、ア
クリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−
クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル
酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタク
リル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタク
リル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸メトキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチル等のエチレン性エステル;例えばビニ
ルメチルエーテル等のビニルエーテル類、例えばビニリ
デンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;例えばN−
ビニルピロール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル
化合物類が挙げられる。本発明において、好ましくはα
−メチルスチレン、プロピレン、アクリル酸メチル、ア
クリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アク
リル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが用いられ
る。
【0029】また、ビニル系樹脂を製造する際には重合
開始剤が用いられ、かかる重合開始剤としては、例えば
2,2'−アゾビス(2,4 −ジメチルバレロニトリル)、2,
2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シ
クロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス
−4−メトキシ−2,4 −ジメチルバレロニトリル、その
他のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、又はベンゾイルパ
ーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イ
ソプロピルパーオキシカーボネート、キュメンハイドロ
パーオキサイド、2,4 −ジクロロベンゾイルパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサ
イド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。また場合
により、ビニル系樹脂の製造に一般に用いられる架橋剤
を使用することも可能である。
【0030】重合体の分子量及び分子量分布を調節する
目的で、又は反応時間を調節する目的等で、二種類又は
それ以上の重合開始剤を混合して使用することもでき
る。重合開始剤の使用量は、重合単量体100 重量部に対
して0.1 〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0031】本発明において、一方の反応経路で生成す
る樹脂の分子量を低くすれば、結着樹脂の粉砕性を向上
させることが可能となる。特に付加重合系樹脂部分につ
いての数平均分子量が11,000以下であれば、結着
樹脂の粉砕性の向上に有効であり、好ましい。数平均分
子量を11,000以下にするには、重合開始剤を多用
したり、連鎖移動剤を用いればよい。
【0032】また、本発明において、2つの重合系の原
料モノマーのいずれとも反応し得る化合物を用いるが、
かかる両反応性化合物としては、例えば次の一般式
(I)及び(II)で表わされるものが挙げられる。
【0033】
【化11】
【0034】〔式中、R1 、R2 及びR3 は同一又は異
なって、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい
アルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはビニル
基又はハロゲン原子を示し、これらは一緒になって環を
形成していてもよい。A及びBは同一又は異なって、一
般式(III)で表わされるアルキレン基及び/又は一般式
(IV)で表わされるフェニレン基、
【0035】
【化12】
【0036】(R4 、R5 及びR6 は同一又は異なっ
て、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアル
キル基、アルコキシ基、アリール基若しくはビニル基又
はハロゲン原子を示し、これらは一緒になって環を形成
していてもよい。mは0〜5、nは0〜2の数を示す)
を示し、X及びYは同一又は異なって、−COOR7
は−OR8 (R7 及びR8 は水素原子又は置換基を有し
ていてもよい低級アルキル基を示す)を示す〕
【0037】ここで、これらの化合物は2つの重合系の
原料モノマーのいずれとも反応し得ることが必要である
が、1つの重合系の原料モノマーが2種以上ある場合に
は、少なくともこのうちの1つと反応し得ればよい。
【0038】一般式(I)及び(II)中、R1 〜R6
示されるもののうち、アルキル基としては、直鎖状又は
分岐鎖状の炭素数1〜6、特に1〜4のものが好まし
く、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙
げられる。これらのアルキル基は、フェニル基、ナフチ
ル基、水酸基等で置換されていてもよい。また、アルコ
キシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−
プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基等が
挙げられ、これらの基は、水酸基、カルボキシル基等で
置換されていてもよい。アリール基としては、例えばフ
ェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられ、これ
らの基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ
基、カルボキシル基、水酸基等で置換されていてもよ
い。また、ビニル基は、水酸基、フェニル基、アルキル
基、アルコキシ基、カルボキシル基等で置換されていて
もよい。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、特に塩素原
子、臭素原子が好ましい。また、R7 及びR8 で示され
る低級アルキル基は、炭素数1〜4であるが、その例と
しては、メチル基、エチル基等が挙げられ、これらの基
は水酸基等で置換されていてもよい。
【0039】一般式(I)及び(II)で表わされる化合
物の代表的なものとしては、以下の化合物(23)〜
(57)が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0040】
【化13】
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】さらに上記のエチレン性モノカルボン酸の
低級アルキルエステル、上記のエチレン性ジカルボン酸
の無水物などが挙げられる。
【0044】両反応性化合物は、反応終了後の樹脂の分
散粒径を小さくして、着色剤等の分散性を良好にするた
めに有効であり、縮重合系の原料モノマーに対して0.
5〜10重量%、特に0.5〜5重量%使用するのが好
ましい。
【0045】本発明においては、3価以上のカルボン酸
又はその誘導体を用いることもできるが、かかる3価以
上のカルボン酸成分としては、例えば1,2,4 −ベンゼン
トリカルボン酸、2,5,7 −ナフタレントリカルボン酸、
1,2,4 −ナフタレントリカルボン酸、1,2,4 −ブタント
リカルボン酸、1,2,5 −ヘキサントリカルボン酸、1,3
−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキ
シプロパン、1,2,4 −シクロヘキサントリカルボン酸、
テトラ (メチレンカルボキシル) メタン、1,2,7,8 −オ
クタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール
三量体酸及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル
等が挙げられる。これらのうち、特に1,2,4 −ベンゼン
トリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導
体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用い
られる。
【0046】3価以上のカルボン酸又はその誘導体は、
樹脂の重合度制御に有効であり、縮重合系原料モノマー
に対して0.2〜30重量%、特に0.5〜30重量%
使用するのが好ましい。
【0047】3価以上のカルボン酸成分は、使用量が多
すぎると重合反応中にゲル化を起こしてしまい、また使
用量が少ないと、ヒートロール定着において、トナーの
一部が紙に完全に固着しないでローラー表面に付着し、
次の紙に転移するというオフセット現象を防ぎにくくな
る。
【0048】本発明においては、樹脂の原料モノマーお
よび両反応性化合物に加えて、更に(c)フェノール系
老化防止剤もしくは酸化防止剤を用いるが、フェノール
系老化防止剤もしくは酸化防止剤としては、例えば下記
の化合物(1)〜(22)からなる群より選ばれる1種
以上が好ましい。
【0049】
【化16】
【0050】
【化17】
【0051】
【化18】
【0052】
【化19】
【0053】
【化20】
【0054】これらのうち、より好ましくは化合物
(4),(5),(11),(12),(13)又は
(17)である。尚、上記の化合物は市販のものが使用
できる。
【0055】フェノール系老化防止剤もしくは酸化防止
剤の使用量は、全ての原料モノマーに対して、0.1〜
10重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1
〜5.0重量%である。0.1重量%以上用いるのが好
ましいのは、耐ブロッキング性を良好にし、ランニング
時の臭いの発生を防止するためであり、10重量%以下
用いるのが好ましいのはトナーの帯電量変化を防止する
のと、経済性のためである。
【0056】本発明では上記のようなフェノール系化合
物を結着樹脂の重合の際に添加することにより、詳細な
理由は明確ではないが、そのラジカルトラップ能で得ら
れる結着樹脂の分解を抑制し、特に定着時にトナー臭の
発生がなく、また現像剤のライフが長く、保存安定性も
良好なトナーを得ることができる。そして、このような
効果は、結着樹脂の製造後にフェノール系化合物を添加
する場合には得られないものである。
【0057】本発明の結着樹脂は、以上の原料モノマー
混合物、両反応性化合物、及びフェノール系老化防止剤
もしくは酸化防止剤を用いて、該2つの重合反応を同一
反応容器中で並行して行わせて得ることができるもので
あるが、本発明において、「2つの重合反応を同一反応
容器中で並行して行わせる」とは、2つの重合反応の進
行及び完結が時間的に同時である必要はなく、それぞれ
の反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、
独立して反応を進行、完結させればよい。
【0058】従って、本発明の製造方法は、縮重合系樹
脂の原料モノマー、付加重合系樹脂の原料モノマー、該
原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物、及び重合
開始剤を予め混合し、主としてラジカル重合反応により
縮重合反応が可能な官能基を有する付加重合系樹脂を
得、次いでフェノール系老化防止剤もしくは酸化防止剤
を添加して分散させた後、反応温度を上昇させ、主とし
て縮重合により縮重合系樹脂成分の重合を行うことを特
徴とする結着樹脂の製造方法である。
【0059】代表的な製造方法としては、例えばポリエ
ステル、ポリエステル・ポリアミド又はポリアミドの原
料モノマーの混合物中に、ビニル系樹脂の原料モノマ
ー、両反応性化合物および重合開始剤の混合物を予め混
合し、ラジカル重合に適した温度条件でラジカル重合反
応を行い、縮重合反応が可能な官能基を有するビニル系
樹脂を得る重合反応を完結させ、次いでフェノール系老
化防止剤もしくは酸化防止剤を反応系内に添加して充分
分散させた後、反応温度を上昇させて縮重合を行い縮重
合系樹脂成分の重合を完結させる方法が挙げられる。
【0060】このように縮重合反応を行う際の昇温前
に、フェノール系化合物を添加することにより、縮重合
反応において有効に樹脂の分解を抑制して、前記のよう
な効果を好適に得ることができる。従って、フェノール
系化合物の添加の時期は、当該昇温前が好ましいが、昇
温中や昇温後に添加しても、本発明の効果は程度の差は
あれ得ることができる。
【0061】ここで、付加重合反応に適した温度条件
は、用いられる重合開始剤の種類にもよるが、50〜1
80℃の温度範囲で通常行われる。また、縮重合反応の
重合度を上昇させるのに適する温度範囲は通常190〜
270℃である。このように反応容器中で独立した2つ
の反応を並行して進行させる方法により二種類の樹脂が
化学結合して混合分散した結着樹脂を効果的に得ること
ができる。
【0062】本発明においては、縮重合系樹脂と付加重
合系樹脂もしくは縮重合系樹脂モノマーの付加重合系樹
脂モノマーに対する重量比は、付加重合系樹脂を分散さ
せるために、50/50〜95/5、特に70/30〜
90/10であるのが好ましい。
【0063】このようにして得られる結着樹脂は、軟化
点が70〜160℃、特に好ましくは95〜150℃、
ガラス転移温度が40〜80℃、特に好ましくは52〜
70℃、酸価が30KOHmg/g以下、特に25KO
Hmg/g以下となるようにするのが好ましい。結着樹
脂の軟化点、ガラス転移温度及び酸価をこれらの範囲に
するには、原料モノマー混合物中の重合開始剤、触媒量
等の調整又は反応条件の選択により容易に行うことがで
きる。
【0064】本発明の静電荷像現像用トナーは、少なく
とも結着樹脂、着色剤を含有してなる静電荷像現像用ト
ナーにおいて、該結着樹脂が前記のような結着樹脂であ
ることを特徴とするものである。かかるトナーを製造す
るには、例えば結着樹脂と、着色剤、必要に応じて荷電
制御剤、磁性体等が用いられる。
【0065】本発明に用いられる着色剤としては、サー
マルブラック法、アセチレンブラック法、チャンネルブ
ラック法、ランプブラック法等により製造される各種の
カーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被
覆しているグラフト化カーボンブラック、ニグロシン染
料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、
ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリ
ーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、
ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35等及びそれ
らの混合物等を挙げる事ができ、通常、結着樹脂 100重
量部に対して1〜15重量部程度が使用するのか好まし
い。
【0066】また、必要に応じて用いられる荷電制御剤
としては正、負いずれの荷電制御剤も用いられる。正の
荷電制御剤の具体例としては、特に限定されることな
く、例えばニグロシン染料として「ニグロシンベースE
X」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックS
O」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−0
7」、「ボントロンN−11」(以上、オリエント化学
社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニ
ルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば
「ボントロンP−51」(オリエント化学社製)、セチ
ルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX
VP435」(ヘキスト社製)等;ポリアミン樹脂、例えば
「AFP−B」(オリエント化学社製)、イミダゾール
誘導体、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−80
01」(以上、四国化成社製)等を挙げることができ
る。好ましくは、ボントロンN−07を用いることがで
きる。
【0067】また、負の荷電制御剤の具体例としては、
特に限定されることなく、例えば含金属アゾ染料である
「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS
−31」(以上、オリエント化学社製)、「T−77」
(保土ヶ谷化学社製)、「ボントロンS−32」、「ボ
ントロンS−34」、「ボントロンS−36」(以上、
オリエント化学社製)、「アイゼンスピロンブラックT
RH」(保土ヶ谷化学社製)等;銅フタロシアニン染
料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば
「ボントロンE−81」、「ボントロンE−82」、
「ボントロンE−84」、「ボントロンE−85」(以
上、オリエント化学社製);4級アンモニウム塩、例え
ば「COPY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロ
イミダゾール誘導体等を挙げることができる。好ましく
は、ボントロンS−34、T−77、アイゼンスピロン
ブラックTRHを用いることができる。以上の荷電制御
剤は結着樹脂に対して0.1 〜8.0 重量%、好ましくは0.
2 〜5.0 重量%使用する。
【0068】また、オフセット防止剤としてポリオレフ
ィン等のワックスを使用するのが好ましく、結着樹脂1
00重量部に対して1〜5重量部用いるのが好ましい。
ここで、ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン等が挙げられ、比較的低分子量のも
の、特に蒸気浸透法による分子量が3000〜1500
0のものが好ましい。また、環球法による軟化点が70
〜150℃、特に120〜150℃のものが好ましい。
【0069】従来のトナーにおいては、これらのワック
スを配合するのは相溶性が悪いために困難であったが、
本発明においては容易に配合することができ、これらを
配合することにより、低温定着性が更に優れたものとな
る。
【0070】更に、トナーを製造する際には、疎水性シ
リカ等の流動性向上剤などの特性改良剤を添加すること
もできるが、本発明の結着樹脂を用いた場合には、これ
らの特性改良剤を加えなくてもよく、又、添加する場合
でも添加量は少なくてよい。
【0071】本発明のトナーを製造する場合、結着樹脂
と、着色剤、場合によっては特性改良剤とを均一分散し
た後、公知の方法により溶融混練、冷却、粉砕、分級す
ることにより、平均粒径5〜15μmのトナーを得るこ
とができる。該トナーは非磁性1成分現像剤としてもよ
く、また、磁性粉体、すなわち酸化鉄系キャリアー、真
球状酸化鉄系キャリアー又はフェライト系キャリアーを
そのまま、もしくは樹脂等でコートしたものと混合する
ことにより、乾式2成分現像剤とすることができる。
【0072】磁性トナーを生成させるには、本発明によ
り得られる結着樹脂に磁性粒子を添加すれば良い。磁性
粒子としては、例えば、フェライト、マグネタイトを始
めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金
属もしくは合金又はこれらの元素を含む化合物、あるい
は強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによ
って強磁性を示すようになる合金、例えはマンガン−銅
−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅
とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、又は二
酸化クロム、その他を挙げることができる。好ましく
は、強磁性の元素を含む化合物が用いられ、特にマグネ
タイトが好ましく用いられる。これらの磁性体は平均粒
径0.1 〜1μm の微粉末の形で芯材中に均一に分散され
る。そしてその含有量は、結着樹脂100 重量部当たり20
〜70重量部、好ましくは30〜70重量部である。
【0073】
【実施例】次に、実施例等を挙げて本発明を更に説明す
るが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではな
い。
【0074】また、得られた結着樹脂の酸価、及びガラ
ス転移温度は以下の方法により測定した。 〔酸価〕JIS K0070に記載された方法に準拠し
て測定を行った。 〔ガラス転移温度(Tg)〕示差走査熱量計(セイコー
電子工業社製)を用いて100℃まで昇温し、その温度
で3分間放置した後、降温速度40℃/min.で室温まで
冷却したサンプルを、昇温速度10℃/min.で測定した
際に、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピ
ークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最
大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度
(Tg)とした。
【0075】実施例1 ビニル系樹脂の単量体として、スチレン665g、2−
エチルヘキシルアクリレート127g、及び重合開始剤
としてジクミルパーオキサイド31gを滴下ロートに入
れた。ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1444g、フマ
ル酸(両反応性化合物)40g、イソドデセニル無水コ
ハク酸47g、テレフタル酸378g、1,2,4−ベ
ンゼントリカルボン酸135g及びジブチル錫オキシド
5gを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデン
サー及び窒素導入管を装備した5リットルの4口フラス
コに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気下、16
0℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系
樹脂の単量体及び重合開始剤を1時間かけて滴下した。
160℃に保持したまま2時間熟成後、フェノール系化
合物(4)を28.7g添加して反応系内に均一に分散
させ、230℃に昇温して反応せしめた。重合度は、A
STM E−28−67に準拠した軟化点より追跡を行
い、軟化点が130℃に達したときに反応を終了した。
【0076】得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は
ピーク1本で62.7℃であり、酸価は8.8KOHmg
/gであった。得られた樹脂を結着樹脂Aとする。
【0077】実施例2 ビニル系樹脂の単量体として、スチレン480g、ブチ
ルアクリレート85g、アクリル酸(両反応性化合物)
20g及び重合開始剤としてジクミルパーオキサイド2
3gを滴下ロートに入れた。ポリオキシプロピレン
(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン980g、ポリオキシエチレン(2.2)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン22
8g、イソドデセニル無水コハク酸200g、テレフタ
ル酸248g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸1
44g及びジブチル錫オキシド5gを、温度計、ステン
レス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装
備した5リットルの4口フラスコに入れ、マントルヒー
ター中で、窒素雰囲気下、160℃の温度で攪拌しつ
つ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体及び重合
開始剤を1時間かけて滴下した。160℃に保持したま
ま2時間熟成後、フェノール系化合物(5)を24.1
g添加して反応系内に均一に分散させ、230℃に昇温
して反応せしめた。重合度は、ASTM E−28−6
7に準拠した軟化点より追跡を行い、軟化点が118℃
に達したときに反応を終了した。
【0078】得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は
ピーク1本で60.0℃であり、酸価は21.5KOH
mg/gであった。得られた樹脂を結着樹脂Bとする。
【0079】比較例1 実施例1において、フェノール系化合物(4)を用いな
いこと以外は、実施例1と同様の操作により、結着樹脂
Cを得た。得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)はピ
ーク1本で62.5℃であり、酸価は8.5KOHmg/
gであった。
【0080】比較例2 実施例2において、フェノール系化合物(5)を用いな
いこと以外は、実施例2と同様の操作により、結着樹脂
Dを得た。得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)はピ
ーク1本で59.5℃であり、酸価は21.3KOHmg
/gであった。
【0081】比較例3 実施例1において、フェノール系化合物(4)を用いず
に結着樹脂を製造し、その後、フェノール系化合物
(4)を同じ量だけ溶融状態で添加・混合して得たこと
以外は、実施例1と同様の操作により、結着樹脂Eを得
た。得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)はピーク1
本で62.5℃であり、酸価は8.8KOHmg/gであ
った。
【0082】試験例1 表1に示す組成の材料をヘンシェルミキサーで予備混合
した後、2軸押出機で溶融混練し、冷却後通常の粉砕、
分級工程を経て平均粒径11μmの未処理トナー1〜6
を製造した。
【0083】
【表1】
【0084】得られた未処理トナー1〜6を、それぞれ
100重量部に対して疎水性シリカ「H−2000」
(ワッカーケミカル社製)0.1重量部をヘンシェルミ
キサーを用いて混合付着させ、トナー1〜3および比較
トナー1〜3とした。
【0085】以上のトナー各々39重量部と、シリコン
樹脂被覆されたフェライト粉(平均粒径100μm)1
261重量部とを混合して現像剤を調製し、市販の電子
写真複写機(定着ローラーの回転速度は255mm/s
ecに設定し、定着装置中のヒートローラー温度を可変
にし、オイル塗布装置を除去したもの)を用いて画像出
しを行い、以下の方法により、定着性等の評価を行っ
た。
【0086】(1)トナーの定着性:トナーの定着性に
ついては、最低定着温度により評価した。ここで、最低
定着温度とは、底面が15mm×7.5mmの砂消しゴ
ムに500gの荷重を載せ、定着機を通して定着された
画像の上を5往復こすり、こする前後でマクベス社の反
射濃度計にて光学反射密度を測定し、以下の定義による
定着率が70%を越える際の定着ローラーの温度をい
う。
【0087】定着率(%)=〔(こすった後の像濃度)
/(こする前の像濃度)〕×100
【0088】定着ローラーの温度を100〜240℃の
間でコントロールし、定着性の評価を行った。結果を表
2に示す。
【0089】(2)画像濃度:マクベス社の反射濃度計
にて、オフセットの発生しない十分に定着する温度領域
で定着させた画像の光学反射密度を測定した。結果を表
2に示す。
【0090】(3)耐刷時の臭い:耐刷時の臭いについ
ては、耐刷試験中に試験機の半径2m以内の所で官能評
価を行った。試験は任意の20人によって行われ、臭い
を感じた人数を評価の値とした。結果を表2に示す。表
中の人数の多いほど、臭気発生の程度が大きいといえ
る。
【0091】(4)耐オフセット性:耐オフセット性
は、低温オフセット消滅温度及び高温オフセット発生温
度を測定することにより評価した。即ち、ヒートローラ
表面の温度を70〜240℃の範囲で昇温してコピー試
験を行ない、各温度でトナーのヒートローラ表面上への
付着を肉眼により評価した。結果を表2に示す。
【0092】(5)耐刷性:耐刷性は、前記の複写装置
を用いて、通常環境下(23℃、50%RH)と高温高
湿下(35℃、85%RH)で50万枚複写を行い、そ
の前後の帯電量の変化により評価した。また、耐刷性試
験中における地汚れの発生についても評価した。ここで
帯電量はブローオフ式帯電量測定装置、すなわち、ファ
ラデーケージとコンデンサー、エレクトロメーターを備
えた比電荷測定装置によって測定を行った。測定方法
は、まず、先に調製した現像剤をW(g)(0.15〜
0.20g)を500メッシュ (キャリアー粒子の通過
しない大きさに適宜変更可能) のステンレスメッシュを
備えた真鍮性の測定セルに入れる。次に吸引口から5秒
間吸引した後、気圧レギュレーターが0.6kg/cm
2 を示す気圧で5秒間ブローを行い、トナーのみをセル
から除去する。
【0093】この時のブロー開始から2秒後の電位計の
電圧をV(volt)とする。ここでコンデンサーの電
気容量をC (μF)とすると、このトナーの比電荷Q/
mは下式の如く求められる。 Q/m(μC/g)=C×V/m
【0094】ここで、mはW(g)中の現像剤中に含ま
れるトナーの重量であるが、現像剤中のトナーの重量を
T(g)、現像剤の重量をD(g)とした場合、試料の
トナーの濃度はT/D×100(%)と表され、mは下
式の如く求められる。 m(g)=W×(T/D) その結果を表3に示す。
【0095】(6)保存安定性:保存安定性については
以下に述べる方法にて評価した。即ち、アルミ容器に2
00gのトナーを秤量し、50℃にて2週間、1ヶ月、
又は2ヶ月放置した後のトナーを用い、上記の耐刷試験
と同様にして印刷試験を行い、その画質に基づき保存安
定性を評価した。その結果を表4に示す。尚、表4中の
「不良」は、トナーの凝集による黒点が画像に発生した
ことを意味する。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】表2の結果より、何れのトナーも画像の定
着性、オフセット性が良好であることが判ったが、本発
明の結着樹脂を使用していない比較トナー1〜2では、
耐刷時の臭いが発生しているのに対して、本発明の結着
樹脂を用いるトナー1〜3では臭いの発生は無かった。
また、比較トナー3では樹脂製造後にフェノール化合物
を添加しているにもかかわらず、臭いが発生しており、
本発明における重合時の添加が特に有効であることがわ
かった。このことは本発明の結着樹脂において、合成中
に揮発性の低分子量熱酸化物の生成が抑えられた為と考
えられる。表3の結果より、トナー1〜3が比較トナー
1〜3に比べて、通常環境下(23℃,50%)及び高
温高湿下(35℃,85%)での帯電量変化が少なく、
画質も良好であるので、過酷な環境条件下での本発明に
よる現像剤組成物の使用が可能であることが判った。表
4の結果により、保存性に関して50℃にて長期間保存
後もトナー1〜3が比較トナー1〜3に比べて画質が良
好であり、トナーの凝集がないことが判った。これも本
発明の結着樹脂において、保存性を悪化させる低分子量
熱酸化物の生成が、合成中に抑えられた為と考えられ
る。
【0100】
【発明の効果】本発明の結着樹脂を用いることにより、
帯電量と画質の環境安定性が良好で、耐刷時の臭いもな
く、保存性も良好なトナーを得ることができる。また、
本発明の製造方法により当該結着樹脂を容易に得ること
ができる。かかる結着樹脂を用いる本発明のトナーは、
上記の特長を有すると共に、ヒートローラー定着方式に
おいて、オフセット防止液を使用しないで、低い温度で
定着が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 15/08 C09K 15/08 15/14 15/14 15/24 15/24 15/30 15/30 15/32 15/32 C G03G 9/08 325 331 384

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一つの反応容器中で各々独立した
    反応経路を有する2つの重合系の原料モノマー混合物、
    (b)該2つの重合系の原料モノマーのいずれとも反応
    し得る化合物、及び(c)フェノール系老化防止剤もし
    くは酸化防止剤を用いて、該2つの重合反応を同一反応
    容器中で並行して行わせて得ることができるトナー製造
    用の結着樹脂。
  2. 【請求項2】 フェノール系老化防止剤もしくは酸化防
    止剤が、下記の化合物(1)〜(22)からなる群より
    選ばれる1種以上である請求項1記載の結着樹脂。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  3. 【請求項3】 フェノール系老化防止剤もしくは酸化防
    止剤の使用量が、全ての原料モノマーに対して、0.1
    〜10重量%である請求項1又は2記載の結着樹脂。
  4. 【請求項4】 2つの重合系の原料モノマーが、縮重合
    系樹脂の原料モノマーおよび付加重合系樹脂の原料モノ
    マーである請求項1〜3いずれか記載の結着樹脂。
  5. 【請求項5】 縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合
    系樹脂の原料モノマーの重量比(縮重合系/付加重合
    系)が、50/50〜95/5である請求項4記載の結
    着樹脂。
  6. 【請求項6】 縮重合系樹脂がポリエステル、ポリエス
    テル・ポリアミドまたはポリアミドであり、付加重合系
    樹脂がビニル系樹脂である請求項4又は5記載の結着樹
    脂。
  7. 【請求項7】 結着樹脂の酸価が30KOHmg/g以
    下である請求項1〜6いずれか記載の結着樹脂。
  8. 【請求項8】 結着樹脂の軟化点が70〜160℃であ
    り、ガラス転移温度が40〜80℃である請求項1〜7
    いずれか記載の結着樹脂。
  9. 【請求項9】 縮重合系樹脂の原料モノマー、付加重合
    系樹脂の原料モノマー、該原料モノマーのいずれとも反
    応し得る化合物、及び重合開始剤を予め混合し、主とし
    てラジカル重合反応により縮重合反応が可能な官能基を
    有する付加重合系樹脂を得、次いでフェノール系老化防
    止剤もしくは酸化防止剤を添加して分散させた後、反応
    温度を上昇させ、主として縮重合により縮重合系樹脂成
    分の重合を行うことを特徴とするトナー用結着樹脂の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも結着樹脂、着色剤を含有し
    てなる静電荷像現像用トナーにおいて、該結着樹脂が請
    求項1〜8いずれか記載の結着樹脂であることを特徴と
    する静電荷像現像用トナー。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011113064A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Sanyo Chem Ind Ltd トナー用ポリエステル樹脂
JP2014095822A (ja) * 2012-11-09 2014-05-22 Fuji Xerox Co Ltd 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
JP2018180150A (ja) * 2017-04-07 2018-11-15 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー及びその製造方法

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