JP3044595B2 - 結着樹脂及び静電像現像用トナー - Google Patents

結着樹脂及び静電像現像用トナー

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JP3044595B2
JP3044595B2 JP6194977A JP19497794A JP3044595B2 JP 3044595 B2 JP3044595 B2 JP 3044595B2 JP 6194977 A JP6194977 A JP 6194977A JP 19497794 A JP19497794 A JP 19497794A JP 3044595 B2 JP3044595 B2 JP 3044595B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真、静電記録、静
電印刷などにおいて形成される静電潜像を現像するため
の静電像現像用トナー、並びに該トナーを製造するため
の結着樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真法は、米国特許第22
21776 号、同第2297691 号、同第2357809 号明細書等に
記載されている如く、光導電性絶縁層を一様に帯電さ
せ、次いでその層を露光し、その露光された部分の電荷
を消散させる事により電気的な潜像を形成し、更に該潜
像にトナーと呼ばれる着色された電荷をもった微粉末を
付着させることによって可視像化させ(現像工程)、得
られた可視像を転写紙等の転写材に転写させた後(転写
工程)、加熱、圧力あるいはその他適当な定着法により
永久定着させる(定着工程)工程からなる。
【0003】かかる定着工程には、熱ローラー定着等の
接触加熱定着方式やオーブン定着等の非接触加熱方式な
どが存在する。接触方式は熱効率がよいことが特徴で、
非接触方式に比べて、定着機に必要な温度を下げること
ができ、省エネルギー化や複写機の小型化に有効であ
る。この点から接触式加熱定着法は有用な定着方式であ
ることは明らかであるが、この定着方式においてはオフ
セット現像という問題が生じやすい。この現象は定着時
に溶融したトナーの一部が熱ローラーに移り、後続の転
写紙等に転写されるものである。
【0004】この現象を防止するため、従来より、熱ロ
ーラーの表面をフッ素系樹脂等の離型性の優れた材料で
加工したり、熱ローラーの表面にシリコーンオイル等の
離型剤を塗布したりしている。しかし、シリコーンオイ
ル等を用いる方法は、定着装置が大きく複雑になるの
で、コスト高となったりトラブルの原因となることが考
えられ好ましくない。
【0005】従来より、この種のトナーにはスチレンア
クリル共重合体に代表されるビニル系樹脂が用いられて
いる。ビニル系の樹脂の場合、耐オフセット性を向上さ
せようとすると樹脂の軟化点や架橋密度を上げざるを得
なくなり、低温定着が犠牲となる。逆に低温定着を重視
すると耐オフセット性や耐ブロッキング性に支障をきた
す。
【0006】また、特開昭49−65232号公報、特
開昭50−28840号公報、特開昭50−81342
号公報に記載の如く、パラフィンワックス、低分子量ポ
リオレフィン等をオフセット防止剤として添加する方法
が知られているが、添加量が少ないと効果がなく、多い
と現像剤の劣化が早いことが確認されている。
【0007】一方、トナー用の結着樹脂としては、特に
低温定着性に優れたものとしてポリエステル樹脂が用い
られている。ポリエステル樹脂は本質的に定着性がよ
く、米国特許第3590000号明細書に記載の如く、
非接触定着方式においても充分に定着されるが、オフセ
ット現象が発生し易いためヒートローラー定着方式には
使用が困難であった。また、特開昭50−44836号
公報、特開昭57−37353号公報、特開昭57−1
09875号公報には、多価カルボン酸を使用して耐オ
フセット性を改良したポリエステル樹脂が記載されてい
るが、これらも依然として使用するに充分な耐オフセッ
ト性を有していないか、又は有しているものはポリエス
テル樹脂が本来有している低温定着性を犠牲にしている
ばかりでなく、樹脂やトナーの粉砕性が極めて悪いとい
う問題があった。
【0008】そこで、定着性に優れたポリエステル樹脂
と、スチレンアクリル樹脂を混合して用いる、次のよう
な試みがなされている。
【0009】ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹
脂を混合する方法(特開昭49−6931号、特開昭5
4−114245号、特開昭57−70523号、特開
平2−161464号公報); ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂を化学的に
結合する方法(特開昭56−116043号公報); 不飽和ポリエステルにビニル系モノマーを共重合せし
める方法(特開昭57−60339号、特開昭63−2
79265号、特開平1−156759号、特開平2−
5073号公報); (メタ)アクリロイル基を有するポリエステル樹脂に
ビニル系モノマーを共重合せしめる方法(特開昭59−
45453号公報); ポリエステル樹脂存在下で、反応性ポリエステルとビ
ニルモノマーを共重合させる方法(特開平2−2966
4号公報);及び ポリエステル樹脂とビニル系樹脂をエステル結合でブ
ロック化させる方法(特開平2−881号公報)。
【0010】しかしながら、ポリエステル樹脂とスチレ
ンアクリル樹脂は、本来相溶性が悪いため、単に機械的
に混合を行う場合、混合比率によっては、トナー化を行
う際に樹脂及びカーボンブラック等の内添剤の分散が悪
くなり、帯電性が不均一となるため、画像評価において
地汚れ等の弊害が生じる。また、二種類の樹脂の分子量
が異なる場合には、双方の溶融粘度に差異を生じる事が
あり、この為、分散相の樹脂の分散粒径を細かくする事
が困難となり、トナー化を行うとカーボンブラック等内
添剤の分散が非常に悪く、画像安定性に大きく欠けると
いう問題が生じる。更に、反応性ポリエステルにビニル
モノマーを重合させる場合、ゲル化を防ぐため組成が制
限されるという問題もあった。
【0011】このような観点から、特開平4−1423
01号公報記載の如き、同一反応容器中で各々独立して
いる反応経路で重合反応が行われる二つの重合系の原料
モノマー混合物を予めブレンドして、該二つの重合反応
を並行して行わせることを特徴とする結着樹脂を用いた
現像剤組成物が開発されている。しかしながら、このよ
うな結着樹脂を用いても、最近の複写機の高速化、小型
化、省エネルギー化に対し、更なる低温定着性を得る点
で改善の余地があると考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題点を解決するものであり、特に低温定着性、およ
び耐オフセット性に優れた静電像現像用トナー、並びに
該トナーを製造するための結着樹脂を提供する事にあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究した結果、軟化点の異なる2種
の樹脂からなる結着樹脂であって、いずれもが同一反応
容器中で縮重合反応と付加重合反応を並行して行うこと
により得られる樹脂であるものを結着樹脂として用いて
静電像現像用トナーを製造することにより、特に低温定
着性および耐オフセット性に優れたトナーが得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明の要旨は、 (1) 軟化点の異なる樹脂(A)と樹脂(B)の2種
類の樹脂を主成分として混合して得られるトナー製造用
結着樹脂であって、該樹脂(A)と該樹脂(B)のいず
れもが、縮重合系樹脂の原料モノマー、ビニル系樹脂の
原料モノマー、及びそれら原料モノマーのいずれとも反
応し得る化合物を含む混合物を用い、同一反応容器中で
縮重合反応と付加重合反応を並行して行うことにより得
られる樹脂であり、樹脂(A)の軟化点が120〜17
0℃であり、樹脂(B)の軟化点が80〜120℃であ
ることを特徴とするトナー製造用結着樹脂、 (2) 縮重合系樹脂の原料モノマーが、3価以上のカ
ルボン酸もしくはその酸無水物、低級アルキルエステ
ル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことを特徴
とする前記(1)記載の結着樹脂、 () 樹脂(A)と樹脂(B)の混合重量比(A/
B)が、90/10〜10/90である前記(1)又は
(2)記載の結着樹脂、 () 縮重合系樹脂の原料モノマーとビニル系樹脂の
原料モノマーの混合重量比(縮重合系/ビニル系)が、
50/50〜95/5である前記(1)〜()いずれ
か記載の結着樹脂、 () 縮重合系樹脂が、ポリエステル、ポリエステル
・ポリアミド、ポリアミドからなる群より選ばれる1種
以上である前記(1)〜()いずれか記載の結着樹
脂、並びに () 少なくとも結着樹脂、着色剤を含有してなる静
電像現像用トナーにおいて、該結着樹脂が前記(1)〜
)いずれか記載の結着樹脂であることを特徴とする
静電像現像用トナー、に関する。
【0015】本発明のトナー製造用結着樹脂は、軟化点
の異なる樹脂(A)と樹脂(B)の2種類の樹脂を主成
分として混合して得られるトナー製造用結着樹脂であっ
て、該樹脂(A)と該樹脂(B)のいずれもが、縮重合
系樹脂の原料モノマー、ビニル系樹脂の原料モノマー、
及びそれら原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物
を含む混合物を用い、同一反応容器中で縮重合反応と付
加重合反応を並行して行うことにより得られる樹脂であ
ることを特徴とするものである。なお、本明細書におい
ては、軟化点の高い方の樹脂を樹脂(A)、軟化点の低
い方の樹脂を樹脂(B)として、以下、説明する。
【0016】本発明においては、樹脂(A)の軟化点が
120〜170℃であり、樹脂(B)の軟化点が80〜
120℃であることが好ましく、より好ましくは、樹脂
(A)の軟化点が130〜160℃であり、樹脂(B)
の軟化点が85〜105℃である。樹脂(A)の軟化点
がこの範囲より高い場合には低温定着性が悪化する傾向
があり、樹脂(A)の軟化点がこの範囲より低い場合に
は耐オフセット性が悪化する傾向がある。一方、樹脂
(B)の軟化点がこの範囲より高い場合には低温定着性
が低下する傾向があり、樹脂(B)の軟化点がこの範囲
より低い場合には耐オフセット性、耐ブロッキング性が
悪化する傾向がある。
【0017】また、樹脂(A)と樹脂(B)の軟化点の
温度差は10℃以上であるのが好ましく、より好ましく
は20〜70℃である。軟化点の温度差がこの範囲より
小さい場合には、当該樹脂(A)および樹脂(B)のそ
れぞれの優れた特性の発現が、若干抑制され、その結
果、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性の
何れかの特性が不十分となる場合がある。
【0018】本発明において、軟化点は高化式フローテ
スターにより測定されるものを指すが、これについて
は、JIS K 7210に概略が記載されている。本発明では具
体的に次のようにして測定を行う。すなわち、高化式フ
ローテスター(島津製作所製)を用いて1cm3 の試料
を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャー
により20kg/cm2 の荷重を与え、直径1mm、長
さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プ
ランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS
字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度
(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0019】本発明においては、樹脂(A)と樹脂
(B)の重量比(A/B)は、90/10〜10/90
であることが好ましく、より好ましくは、80/20〜
20/80である。樹脂(A)の重量比が上記範囲より
大きい場合には、低温定着性、および定着面の平滑性が
低下する傾向があり、一方、樹脂(A)の混合重量比が
上記範囲より小さい場合には、耐オフセット性、耐ブロ
ッキング性が悪化する傾向がある。
【0020】本発明のトナー製造用結着樹脂は、樹脂
(A)と樹脂(B)の2種類の樹脂を主成分として混合
して得られるものであるが、混合の態様としては、例え
ば樹脂粉末やペレット状のものが単に混合されているも
の、溶融混練により両樹脂が均一に混合分散されたの
ち、粉砕等により粉末やペレット状にされたもの、ある
いは溶融混練等の方法により既にトナー化されたものま
で、あらゆる態様のものが挙げられる。
【0021】また、樹脂(A)と樹脂(B)を上記のよ
うな重量比にて混合する事により、単に樹脂(A)中の
縮重合系モノマーの比率を増加したのみでは得られな
い、広い分子量分布を形成することが可能となり、更に
低温定着性、耐オフセット性に優れた静電像現像用トナ
ーが得られる。
【0022】本発明においては、樹脂(A)および樹脂
(B)のガラス転移点が、いずれも40〜80℃である
ことが好ましく、より好ましくは50〜70℃である。
このような範囲のガラス転移点を有するものを選択する
事により、一層優れた低温定着性、定着面の平滑性、耐
ブロッキング性が得られる。すなわち、ガラス転移点が
上記範囲より高い場合には、定着性が悪化する傾向があ
り、また、上記範囲より低い場合には、耐ブロッキング
性が低下する傾向がある。
【0023】本発明におけるガラス転移点は、次のよう
にして測定されるものである。すなわち、示差走査熱量
計(セイコー電子工業社製)を用いて100℃まで昇温
し、その温度で3分間放置した後、降温速度10℃/mi
n.で室温まで冷却したサンプルを、昇温速度10℃/mi
n.で測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの
延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで
の間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス
転移点(Tg)とする。
【0024】本発明において、各樹脂の軟化点、および
ガラス転移点をこれらの範囲にするには、原料モノマー
混合物中の重合開始剤、触媒量等の調整又は反応条件の
選択により容易に行うことができる。
【0025】本発明における樹脂(A)及び樹脂(B)
は、いずれも縮重合系樹脂の原料モノマー、ビニル系樹
脂の原料モノマー、及びそれら原料モノマーのいずれと
も反応し得る化合物を含む混合物を用い、同一反応容器
中で縮重合反応と付加重合反応を並行して行うことによ
り得られるものである。
【0026】本発明において、縮重合系樹脂とは、例え
ばポリエステル、ポリエステル・ポリアミド、ポリアミ
ドからなる群より選ばれる1種以上が用いられる。従っ
て、縮重合系樹脂の原料モノマーとしては、縮重合によ
り、これらの樹脂が得られるものであれば、特に限定さ
れることはない。
【0027】ポリエステルの原料モノマーとしては、2
価もしくは3価以上のアルコールと、2価もしくは3価
以上のカルボン酸もしくはその酸無水物、低級アルキル
エステルが用いられる。ここで、特に耐オフセット性が
要望される場合は、結着樹脂の分子内において部分架橋
することが有効であり、3価以上の多官能化合物を使用
することにより、それが達せられる。従って、本発明で
は耐オフセット性の点から、原料モノマーとして、3価
以上のカルボン酸もしくはその酸無水物、低級アルキル
エステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むこと
が好ましい。以下、本明細書において、これらの3価以
上の原料モノマーを架橋剤という。
【0028】2価アルコール成分としては、例えばポリ
オキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシ
フェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3) −2,
2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオ
キシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェ
ニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0) −ポリオ
キシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフェ
ニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(6) −2,2 −ビ
ス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等のビスフェノ
ールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2 −プロピレングリコール、1,3 −プロピレングリコ
ール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4 −ブテンジオール、1,5 −ペンタンジオール、
1,6 −ヘキサンジオール、1,4 −シクロヘキサンジメタ
ノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノー
ルA等が挙げられる。
【0029】これらのうち、好ましくはビスフェノール
Aのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコールが用いられる。
【0030】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6 −ヘキサンテトロール、1,4
−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4 −ブタン
トリオール、1,2,5 −ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,
4 −ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、1,3,5 −トリヒドロキシメチルベン
ゼン等が挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセ
ロール、トリメチロールプロパンが用いられる。
【0031】本発明においては、これらの2価のアルコ
ール及び3価以上のアルコールから単独であるいは複数
を併用して用いることができる。
【0032】また、2価のカルボン酸成分としては、例
えばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン
酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニ
ルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハ
ク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク
酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、
及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステ
ル等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、マレイ
ン酸、フマール酸、テレフタル酸、アジピン酸、アルケ
ニルコハク酸が用いられる。
【0033】3価以上のカルボン酸もしくはその酸無水
物、低級アルキルエステルとしては、例えば1,2,4 −ベ
ンゼントリカルボン酸、2,5,7 −ナフタレントリカルボ
ン酸、1,2,4 −ナフタレントリカルボン酸、1,2,4 −ブ
タントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン
酸、1,3 −ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレン
カルボキシプロパン、1,2,4 −シクロヘキサントリカル
ボン酸、テトラ (メチレンカルボキシル) メタン、1,2,
7,8 −オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エ
ンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル
エステル等が挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−
ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又は
その誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ま
しく用いられる。
【0034】本発明においては、これらの2価のカルボ
ン酸等及び3価以上のカルボン酸等から、単独であるい
は複数を併用して用いることができる。
【0035】ポリエステル・ポリアミド、ポリアミドの
原料モノマーとしては、上記の原料モノマー以外に、ア
ミド成分を形成するための原料モノマーが必要であり、
かかる原料モノマーとしては、例えばエチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミ
ン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、トリエ
チレンテトラミン等のポリアミン、6−アミノカプロン
酸、ε−カプロラクタム等のアミノカルボン酸類、プロ
パノールアミン等のアミノアルコールなどが挙げられ
る。これらのうち、好ましくはヘキサメチレンジアミ
ン、ε−カプロラクタムが用いられる。
【0036】ポリエステル・ポリアミド、ポリアミドの
原料モノマーを用いる場合にも、結着樹脂の分子内にお
いて部分架橋するためには、ポリエステルの場合と同様
に、3価以上の多官能化合物を使用することが必要であ
る。その場合、主に3価以上のカルボン酸もしくはその
酸無水物、低級アルキルエステルが用いられる。
【0037】本発明において、前記の架橋剤(3価以上
のモノマー)は、反応終了後の樹脂の分散粒径を小さく
するために有効であり、縮重合系樹脂の原料モノマーに
対して0.5〜10重量%、特に0.5〜5重量%使用
するのが好ましい。本発明において、これらの架橋剤が
上記の範囲で用いられた場合、得られる結着樹脂は完全
に均一になり、海島構造を持たないものとなるか、また
は海島構造を有したとしても島構造に該当する樹脂分散
相の平均粒径は2μm以下というような微小なものとな
る。
【0038】また、前記の架橋剤は、樹脂の重合度制御
に有効であり、特に樹脂の分散粒径を小さくする必要が
なければ、縮重合系樹脂の原料モノマーに対して0.2
〜30重量%、特に0.5〜30重量%使用するのが好
ましい。
【0039】これらの架橋剤は、使用量がこの範囲より
多すぎると、重合反応中にゲル化を起こしてしまい、ま
た使用量が少ないと、ヒートロール定着において、トナ
ーの一部が紙に完全に固着しないでローラー表面に付着
し、次の紙に転移するというオフセット現象を防ぎにく
くなるので好ましくない。
【0040】本発明におけるビニル系樹脂の原料モノマ
ーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、
m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチル
スチレン、p−エチルスチレン、2,4 −ジメチルスチレ
ン、p−クロルスチレン、ビニルナフタレン等のスチレ
ン若しくはスチレン誘導体;例えばエチレン、プロピレ
ン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノ
オレフィン類;例えば塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビ
ニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、
カプロン酸ビニル等のビニルエステル類;例えばアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、
アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、
アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ
ル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル
酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシ
エチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸
グリシジル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸
フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸
メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチ
ル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−
ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオ
クチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、
メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステア
リル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メ
タクリル酸ジエチルアミノエチル等のエチレン性エステ
ル;例えばビニルメチルエーテル等のビニルエーテル
類、例えばビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン
化物;例えばN−ビニルピロール、N−ビニルピロリド
ン等のN−ビニル化合物類が挙げられる。
【0041】これらのうち、好ましくはスチレン、α−
メチルスチレン、プロピレン、アクリル酸メチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが用いられ
る。
【0042】また、ビニル系樹脂の原料モノマーを重合
させる際には重合開始剤が用いられ、かかる重合開始剤
としては、例えば2,2'−アゾビス(2,4 −ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,
1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリ
ル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4 −ジメチル
バレロニトリル、その他のアゾ系又はジアゾ系重合開始
剤、又はベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケト
ンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカーボネー
ト、キュメンハイドロパーオキサイド、2,4 −ジクロロ
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤
が挙げられる。
【0043】重合体の分子量及び分子量分布を調節する
目的で、又は反応時間を調節する目的等で、二種類又は
それ以上の重合開始剤を混合して使用することもでき
る。重合開始剤の使用量は、ビニル系樹脂の原料モノマ
ー100 重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは1〜1
0重量部である。
【0044】本発明においては、縮重合系樹脂とビニル
系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物
(以下、「両反応性化合物」と略す場合がある)を用い
るが、かかる化合物としては、例えば次の一般式(I)
及び(II)で表わされるものが挙げられる。なお、これ
らの両反応性化合物中には、前述の原料モノマーと一部
重複するものがある。
【0045】
【化1】
【0046】〔式中、R1 、R2 及びR3 は同一又は異
なって、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよい
アルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはビニル
基又はハロゲン原子を示し、これらは一緒になって環を
形成していてもよい。A及びBは同一又は異なって、一
般式(III)で表わされるアルキレン基又は一般式(IV)
で表わされるフェニレン基、
【0047】
【化2】
【0048】(R4 、R5 及びR6 は同一又は異なっ
て、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいアル
キル基、アルコキシ基、アリール基若しくはビニル基又
はハロゲン原子を示し、これらは一緒になって環を形成
していてもよい。mは0〜5、nは0〜2の数を示す)
を示し、X及びYは同一又は異なって、−COOR7
は−OR8 (R7 及びR8 は水素原子又は置換基を有し
ていてもよい低級アルキル基を示す)を示す〕
【0049】ここで、これらの化合物は2つの重合系の
原料モノマーのいずれとも反応し得ることが必要である
が、1つの重合系の原料モノマーが2種以上ある場合に
は、少なくともこのうちの1つと反応し得ればよい。
【0050】一般式(I)及び(II)中、R1 〜R6
示されるもののうち、アルキル基としては、直鎖状又は
分岐鎖状の炭素数1〜6、特に1〜4のものが好まし
く、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙
げられる。これらのアルキル基は、フェニル基、ナフチ
ル基、水酸基等で置換されていてもよい。また、アルコ
キシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−
プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基等が
挙げられ、これらの基は、水酸基、カルボキシル基等で
置換されていてもよい。アリール基としては、例えばフ
ェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられ、これ
らの基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ
基、カルボキシル基、水酸基等で置換されていてもよ
い。また、ビニル基は、水酸基、フェニル基、アルキル
基、アルコキシ基、カルボキシル基等で置換されていて
もよい。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、特に塩素原
子、臭素原子が好ましい。また、R7 及びR8 で示され
る低級アルキル基は、炭素数1〜4であるが、その例と
しては、メチル基、エチル基等が挙げられ、これらの基
は水酸基等で置換されていてもよい。
【0051】一般式(I)及び(II)で表わされる両反
応性化合物の代表的なものとしては、以下の化合物
(1)〜(36)が例示される。
【0052】
【化3】
【0053】
【化4】
【0054】
【化5】
【0055】さらに上記のエチレン性モノカルボン酸の
低級アルキルエステル、上記のエチレン性ジカルボン酸
の無水物もしくは低級アルキルエステルが挙げられる。
【0056】これらの両反応性化合物の使用量は、全原
料モノマーに対して、通常0.1〜20重量%、好まし
くは0.5〜10重量%である。この範囲より使用量が
少ないと、2つの重合系が相溶しなくなって大きな海島
構造を有した樹脂となる傾向があり、着色剤の分散が悪
くなって地汚れや印字ムラ等を生じることになるので好
ましくない。
【0057】以上のような原料を用いた樹脂(A)およ
び樹脂(B)の製造方法は、いずれも同一反応容器中で
縮重合反応と付加重合反応を並行して行うものである。
かかる方法に於いては、2つの重合反応の進行及び完結
は時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構
に応じて反応温度及び時間を適当に選択して反応を進
行、完結させればよい。
【0058】重合反応は、具体的には例えば、付加重合
反応に適した温度条件下でポリエステル、ポリエステル
−ポリアミド又はポリアミドの原料モノマーの混合物中
に、ビニル系樹脂の原料モノマー、架橋剤、重合開始剤
の混合物を滴下して付加重合反応と並行して縮重合反応
を部分的に行う工程と、得られた混合物の温度を前記条
件下で保持して付加重合反応のみを完結させる工程と、
次いで反応温度を上昇させて縮重合反応の重合度を上昇
させる工程とからなる方法により行われる。
【0059】ここで、付加重合反応に適した温度条件
は、用いられる重合開始剤の種類にもよるが、50〜1
80℃の温度範囲で通常行われる。また、縮重合反応の
重合度を上昇させるのに最適な温度範囲は通常190〜
270℃である。このように反応容器中で独立した2つ
の反応を並行して進行させる方法により二種類の樹脂が
効果的に混合分散した結着樹脂を得ることができる。
【0060】本発明においては、重合反応を並行して行
う際の、縮重合系樹脂の原料モノマーとビニル系樹脂の
原料モノマーの重量比(縮重合系/ビニル系)が、50
/50〜95/5であることが好ましく、より好ましく
は70/30〜90/10である。縮重合系樹脂の原料
モノマーの比率がこの範囲より小さくなると、ビニル系
樹脂を縮重合系樹脂中に分散しにくい傾向がある。縮重
合系樹脂の原料モノマーの比率がこの範囲より大きいと
ビニル系樹脂の特性をいかすことができなくなりトナー
の帯電安定性が損なわれる傾向がある。
【0061】本発明の静電像現像用トナーは、少なくと
も結着樹脂及び着色剤よりなる静電像現像用トナーにお
いて、以上のような結着樹脂を用いることを特徴とする
ものである。かかるトナーを製造するには、例えば該結
着樹脂と、着色剤、必要に応じて荷電制御剤、磁性体等
が用いられる。
【0062】本発明に用いられる着色剤としては、サー
マルブラック法、アセチレンブラック法、チャンネルブ
ラック法、ランプブラック法等により製造される各種の
カーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被
覆しているグラフト化カーボンブラック、ニグロシン染
料、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、
ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリ
ーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、
ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35等及びそれ
らの混合物等を挙げる事ができ、通常、結着樹脂 100重
量部に対して1〜15重量部程度が使用するのか好まし
い。
【0063】また、必要に応じて用いられる荷電制御剤
としては正、負いずれの荷電制御剤も用いられる。正の
荷電制御剤の具体例としては、特に限定されることな
く、例えばニグロシン染料として「ニグロシンベースE
X」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックS
O」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−0
7」、「ボントロンN−11」(以上、オリエント化学
社製)「Copy BluePR」(ヘキスト社製)
等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタ
ン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボント
ロンP−51」(オリエント化学社製)、セチルトリメ
チルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PXVP435」
(ヘキスト社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP
−B」(オリエント化学社製)、イミダゾール誘導体、
例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」
(以上、四国化成社製)等を挙げることができる。好ま
しくは、ボントロンN−07を用いることができる。
【0064】また、負の荷電制御剤の具体例としては、
特に限定されることなく、例えば含金属アゾ染料である
「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS
−31」(以上、オリエント化学社製)、「T−77」
(保土ヶ谷化学社製)、「ボントロンS−32」、「ボ
ントロンS−34」、「ボントロンS−36」(以上、
オリエント化学社製)、「アイゼンスピロンブラックT
RH」(保土ヶ谷化学社製)等;銅フタロシアニン染
料、サリチル酸のアルキル誘導体の金属錯体、例えば
「ボントロンE−81」、「ボントロンE−82」、
「ボントロンE−84」、「ボントロンE−85」(以
上、オリエント化学社製);4級アンモニウム塩、例え
ば「COPY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロ
イミダゾール誘導体等を挙げることができる。好ましく
は、ボントロンS−34、T−77、アイゼンスピロン
ブラックTRHを用いることができる。以上の荷電制御
剤は結着樹脂に対して0.1 〜8.0 重量%、好ましくは0.
2 〜5.0 重量%使用する。
【0065】また、オフセット防止剤としてポリオレフ
ィン等のワックスを使用するのが好ましく、結着樹脂1
00重量部に対して1〜5重量部用いるのが好ましい。
ここで、ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン等が挙げられ、比較的低分子量のも
の、特に蒸気浸透法による分子量が3000〜1500
0のものが好ましい。また、環球法による軟化点が70
〜150℃、特に120〜150℃のものが好ましい。
【0066】従来のトナーにおいては、これらのワック
スを配合するのは相溶性が悪いために困難であったが、
本発明においては容易に配合することができ、これらを
配合することにより、低温定着性が更に優れたものとな
る。
【0067】更に、トナーを製造する際には、疎水性シ
リカ等の流動性向上剤などの特性改良剤を添加すること
もできるが、本発明の結着樹脂を用いた場合には、これ
らの特性改良剤を加えなくてもよく、又、添加する場合
でも添加量は少なくてよい。
【0068】本発明により得られる結着樹脂と、着色
剤、場合によっては特性改良剤とを均一分散した後、公
知の方法により溶融混練、冷却、粉砕、分級することに
より、平均粒径5〜15μmのトナーを得ることができ
る。該トナーは非磁性1成分現像剤としてもよく、ま
た、磁性粉体、すなわち酸化鉄系キャリアー、真球状酸
化鉄系キャリアー又はフェライト系キャリアーをそのま
ま、もしくは樹脂等でコートしたものと混合することに
より、乾式2成分現像剤とすることができる。
【0069】磁性トナーを生成させるには、本発明によ
り得られる結着樹脂に磁性粒子を添加すれば良い。磁性
粒子としては、例えば、フェライト、マグネタイトを始
めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金
属もしくは合金又はこれらの元素を含む化合物、あるい
は強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによ
って強磁性を示すようになる合金、例えはマンガン−銅
−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅
とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、又は二
酸化クロム、その他を挙げることができる。好ましく
は、強磁性の元素を含む化合物が用いられ、特にマグネ
タイトが好ましく用いられる。これらの磁性体は平均粒
径0.1 〜1μm の微粉末の形で芯材中に均一に分散され
る。そしてその含有量は、結着樹脂100 重量部当たり20
〜70重量部、好ましくは30〜70重量部である。
【0070】
【実施例】以下、製造例、実施例、比較例および試験例
により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれ
らの実施例等によりなんら限定されるものではない。な
お、得られた樹脂の軟化点及びガラス転移点は、前述の
方法により測定した。
【0071】樹脂(A),(B)の製造例 表1及び表2に示す縮重合系樹脂の原料を、温度計、ス
テンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管
を装備した3リットルの4口フラスコに入れ、マントル
ヒーター中で、窒素雰囲気にて135℃の温度で攪拌し
つつ、ビニル系樹脂の原料を予め混合したものを滴下ロ
ートより4時間かけて滴下した。135℃に保持したま
ま5時間熟成し、230℃に昇温して反応せしめた。重
合度は、ASTM E28−67に準拠した軟化点より
追跡を行い、所定の軟化点に達したときに反応を終了
し、容器から抜き出し、冷却後、粉砕した。得られた樹
脂の軟化点及びガラス転移点を表3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】BPA・PO:ホ゜リオキシフ゜ロヒ゜レン(2.2)-2,2-ヒ
゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニル)フ゜ロハ゜ン BPA・EO:ホ゜リオキシエチレン(2.2)-2,2-ヒ゛ス(4-ヒト゛ロキシフェニ
ル)フ゜ロハ゜ン FA :フマル酸(両反応性化合物) AA :アクリル酸(両反応性化合物) i−DSA :イソドデセニル無水コハク酸 TPA :テレフタル酸 TMA :無水 1,2,4−ベンゼントリカルボン酸 HMDA :ヘキサメチレンジアミン DBO :ジブチル錫オキシド St :スチレン EHA :2−エチルヘキシルアクリレート AIBN :アゾビスイソブチロニトリル DCP :ジクミルパーオキサイド
【0075】
【表3】
【0076】実施例1〜7および比較例1〜4 各実施例および比較例においては、表4に示す組み合わ
せおよび配合量の結着樹脂の合計100重量部と、カー
ボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)の7重
量部と、低分子量ポリプロピレン「ビスコール660
P」(軟化点:130℃、三洋化成工業社製)の2重量
部と、電荷制御剤「ボントロンS−34」(オリエント
化学社製)の1重量部とを予備混合した後、2軸押し出
し機で溶融混練し、冷却後、通常の粉砕、分級工程を経
て、平均粒径10μmの未処理トナーを製造した。
【0077】得られた未処理トナーの100重量部に対
して、疎水性シリカ「H−2000」(ワッカーケミカ
ル社製)0.3重量部をヘンシェルミキサーを用いて混
合付着させ、トナー1〜7および比較トナー1〜4とし
た。
【0078】以上のトナー各々39重量部と、スチレン
・メチルメタクリレート樹脂被覆されたフェライト粉
(平均粒径100μm)1261重量部とを混合して現
像剤を得た。
【0079】試験例 この現像剤について市販の2成分乾式複写機(リコー
製,FT−4080)を改良したもの(定着ローラーの
回転速度は255mm/secに設定し、定着装置中の
ヒートローラー温度を可変にし、オイル塗布装置を除去
したもの)を使用し、初期画像を得、その性能を下記方
法により評価した。
【0080】(1)定着性 トナーの定着性については、最低定着温度により評価し
た。ここで、最低定着温度とは、底面が15mm×7.
5mmの砂消しゴムに500gの荷重を載せ、定着機を
通して定着された画像の上を5往復こすり、こする前後
でマクベス社の反射濃度計にて光学反射密度を測定し、
以下の定義による定着率が70%を越える際の定着ロー
ラーの温度をいう。
【0081】定着率(%)=〔(こすった後の像濃度)
/(こする前の像濃度)〕×100
【0082】定着ローラーの温度を100〜240℃の
間でコントロールし、定着性の評価を行った。
【0083】(2)ホットオフセット発生温度 上記最低定着温度の測定に準じて、トナー像を転写して
上述の定着ローラーにより定着処理を行い、次いで白紙
の転写紙を同様の条件下で当該定着ローラーに送って、
これにトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作
を、前記定着ローラーの設定温度を順次上昇させた状態
で繰り返し、トナー汚れの生じた最低の設定温度をもっ
て、ホットオフセット発生温度とした。
【0084】(3)耐ブロッキング性 100mlのガラス瓶に10gのトナーを入れ、温度5
0℃、相対温度26%の環境条件下に2週間放置し、以
下の基準で評価した。 ○:全くブロッキングが見られない。 △:ソフトケーキング状態。 ×:ハードケーキングしている。 以上の結果を表4に併せて示す。
【0085】
【表4】
【0086】以上の結果から理解されるように、本発明
のトナー1〜7は、いずれも優れた耐オフセット性、優
れた低温定着性、優れた耐ブロッキング性を有してお
り、特に熱特性に優れたトナーを得ることができる。こ
れに対して、比較トナー1は、樹脂(A)の軟化点が1
20℃未満であるため、耐オフセット性、耐ブロッキン
グ性が劣るものである。比較トナー2は、樹脂(B)の
軟化点が120℃以上であるため、低温定着性が劣るも
のである。比較トナー3は、樹脂(B)のみを用ている
ため、耐オフセット性、耐ブロッキング性が劣るもので
ある。比較トナー4は、樹脂(A)のみを用ているた
め、低温定着性が劣るものである。
【0087】
【発明の効果】本発明の結着樹脂を用いれば、耐ブロッ
キング性に優れ、しかもヒートローラー定着方式におい
て、オフセット防止液を使用しないで低い温度で定着可
能な静電像現像用トナーを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末永 憲一 和歌山市金龍寺丁4−1 (56)参考文献 特開 昭63−225244(JP,A) 特開 平4−142301(JP,A) 特開 昭62−195681(JP,A) 特開 昭63−68851(JP,A) 特開 平4−110859(JP,A) 特開 昭60−164755(JP,A) 特開 平6−102701(JP,A) 特開 平5−34975(JP,A) 特開 昭60−60457(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟化点の異なる樹脂(A)と樹脂(B)
    の2種類の樹脂を主成分として混合して得られるトナー
    製造用結着樹脂であって、該樹脂(A)と該樹脂(B)
    のいずれもが、縮重合系樹脂の原料モノマー、ビニル系
    樹脂の原料モノマー、及びそれら原料モノマーのいずれ
    とも反応し得る化合物を含む混合物を用い、同一反応容
    器中で縮重合反応と付加重合反応を並行して行うことに
    より得られる樹脂であり、樹脂(A)の軟化点が120
    〜170℃であり、樹脂(B)の軟化点が80〜120
    ℃であることを特徴とするトナー製造用結着樹脂。
  2. 【請求項2】 縮重合系樹脂の原料モノマーが、3価以
    上のカルボン酸もしくはその酸無水物、低級アルキルエ
    ステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことを
    特徴とする請求項1記載の結着樹脂。
  3. 【請求項3】 樹脂(A)と樹脂(B)の混合重量比
    (A/B)が、90/10〜10/90である請求項1
    又は2記載の結着樹脂。
  4. 【請求項4】 縮重合系樹脂の原料モノマーとビニル系
    樹脂の原料モノマーの混合重量比(縮重合系/ビニル
    系)が、50/50〜95/5である請求項1〜いず
    れか記載の結着樹脂。
  5. 【請求項5】 縮重合系樹脂が、ポリエステル、ポリエ
    ステル・ポリアミド、ポリアミドからなる群より選ばれ
    る1種以上である請求項1〜いずれか記載の結着樹
    脂。
  6. 【請求項6】 少なくとも結着樹脂、着色剤を含有して
    なる静電像現像用トナーにおいて、該結着樹脂が請求項
    1〜いずれか記載の結着樹脂であることを特徴とする
    静電像現像用トナー。
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