JPH09259665A - 酸化物超電導厚膜複合テープの製造方法と酸化物超電導厚膜複合テープおよびその製造装置 - Google Patents

酸化物超電導厚膜複合テープの製造方法と酸化物超電導厚膜複合テープおよびその製造装置

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JPH09259665A
JPH09259665A JP8068850A JP6885096A JPH09259665A JP H09259665 A JPH09259665 A JP H09259665A JP 8068850 A JP8068850 A JP 8068850A JP 6885096 A JP6885096 A JP 6885096A JP H09259665 A JPH09259665 A JP H09259665A
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JP
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oxide
tape
thick film
layer
base tape
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JP8068850A
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English (en)
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Haruo Tominaga
晴夫 冨永
Hiromi Unoki
博海 鵜木
Kiyoshi Kuroda
潔 黒田
Toshio Egi
俊雄 江木
Naoki Koshizuka
直己 腰塚
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KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTS
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
Fujikura Ltd
Kobe Steel Ltd
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTS
KOKUSAI CHODENDO SANGYO GIJUTSU KENKYU CENTER
Fujikura Ltd
Kobe Steel Ltd
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、超電導特性が良好で長尺の厚膜の
酸化物超電導層を備えた酸化物超電導複合テープの製造
方法とテープおよびその製造装置の提供を目的とする。 【解決手段】 本発明は、基材テープ10と中間層30
とRE1-xBa2-xCu3y(ただし、REはLa,N
d,Sm,Eu,Gdの中から選択される元素の1種以
上を示し、2.1≦v≦5.8、8.7≦w≦12.4)の組
成式で表される酸化物成形体層31を具備する素材テー
プを耐熱ローラ3に巻き掛け、耐熱ローラに接触した部
分とその近傍を加熱手段7、8で加熱し、基材テープを
その長さ方向に移動させて耐熱ローラから離間させて酸
化物成形体層を冷却し、RE1-xBa2-xCu3yなる組
成に対してBaとCuを過剰に含有させた酸化物成形体
層中にRE1-xBa2-xCu3yなる組成の酸化物超電導
厚膜35と残溶媒層36を析出させるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臨界温度、臨界電
流の高い酸化物超電導厚膜複合テープの製造方法と酸化
物超電導厚膜複合テープおよびその製造装置に関し、特
に、長尺で膜厚の大きな超電導部分を有するものを得る
ことができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は従来の金属間化合物系
あるいは合金系の超電導体に比較すると格段に高い臨界
温度を示すので、超電導マグネット、磁気浮揚技術、磁
気シールド技術、電力貯蔵技術等の用途のために応用開
発が進められている。ところが、酸化物超電導体はセラ
ミックであるがために、脆く、曲げや応力に弱い欠点が
あるとともに、この種の酸化物超電導体を導体として応
用しようとしても、バルク状で長尺の結晶配向性の良好
な酸化物超電導体を製造することは現状の技術では極め
て困難な問題がある。そこで従来、テープ状の金属基材
の表面に中間層を介して結晶配向性に優れた超電導層を
形成することで超電導テープを作成し、この超電導テー
プを超電導導体として利用しようとする試みがなされて
いる。このような試みの1つとして、特開平4―329
865号公報、特開平4―329867号公報、特開平
4―331795号公報に見られるようなイオンビーム
アシストデポジション(IBAD)法による薄膜超電導
複合テープが知られている。これらの公報に見られる方
法は、スパッタ等の成膜法により基材テープ上に中間層
を形成する際に、基材テープの斜め方向からイオンビー
ムを照射し、基材上で並びの悪い原子を排除しながら並
びの良い安定性の高い原子のみを選択的に残留させ、基
材上に結晶配向性の良好な中間層を形成し、この中間層
上に酸化物超電導層を成膜することによって結晶配向性
の良好な酸化物超電導層を得ようとする技術である。ま
た、テープ状の複合超電導体であるならば、コイル加工
時に部分的に無理な応力が作用するおそれも少なく、超
電導コイルを製造する際に有利であると思われる。
【0003】一方、酸化物超電導体の厚膜を基板上に形
成しようとする試みの1つとして、基板上に塗布法によ
り酸化物超電導体の前駆体厚膜を形成し、この前駆体厚
膜を焼成して酸化物超電導体を製造しようとする方法が
知られている。また、結晶配向性に優れた酸化物超電導
体のバルクを製造しようとする試みとして、半導体など
の単結晶育成技術を応用し、種結晶を酸化物超電導体の
原料棒に当接させ、それらの境界部分を部分的に加熱溶
融させ、溶融部分を経時的に順次移動させ、種結晶の結
晶配向性に沿うように溶融部分を逐次冷却し結晶化させ
て原料棒を酸化物超電導体とする技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の製造方法に
おいてイオンビームアシストデポジション法によれば、
結晶配向性の優れた高い臨界電流密度を有する酸化物超
電導複合テープを得ることができるものの、この方法に
おいて酸化物超電導層の膜厚を大きくして臨界電流を更
に大きくしようとすると、酸化物超電導層の形成方法が
基本的には成膜法で積み上げ方式であるがために、酸化
物超電導層が厚くなるほど結晶配向性が乱れ易くなり、
超電導特性が劣化する問題がある。次に、基板上厚膜塗
布焼成法においては、焼成した酸化物超電導層の全体が
超電導体になるわけではなく、酸化物超電導層内に超電
導性を示す超電導相が細切れの状態でつながった構造に
なるので、厚膜の酸化物超電導層を得ることはできるも
のの、高い臨界電流特性を得ることができない欠点があ
る。次に、種結晶と原料棒を用いる従来方法では、棒状
の超電導体を得ることはできるものの、長尺のものを得
ることは困難であり、また、コイル加工等を目的とした
テープ状の超電導体を得ることは不可能な問題があっ
た。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、超電導特性が良好で長尺の厚膜状の酸化物超電導
厚層を備えた酸化物超電導複合テープの製造方法と酸化
物超電導複合テープおよびその製造装置を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、耐熱材料からなる基材テープ
と、この基材テープ上に形成された中間層と、この中間
層上に形成されたRE23、vBaO、wCuO(ただし
REは、La,Nd,Sm,Eu,Gdの中から選択さ
れる元素の1種以上を示し、2.1≦v≦5.8、8.7≦
w≦12.4)の混合物からなる酸化物成形体層とを具備
する素材テープを耐熱ローラの周面に巻き掛け、耐熱ロ
ーラに接触した部分の素材テープ上の酸化物成形体層の
みを加熱手段で加熱し、更に素材テープを耐熱ローラの
回転とともにその長さ方向に移動させて耐熱ローラから
離間させて酸化物成形体層を冷却し、RE1+x-Ba2-x-
Cu3-Oyなる組成に対してBaとCuを過剰に含有さ
せた酸化物成形体層中にRE1+x-Ba2-x-Cu3-Oy
る組成の酸化物超電導厚膜と残溶媒層を析出させるもの
である。
【0007】請求項2に記載の発明は前記課題を解決す
るために、中間層とRE23、vBaO、wCuO(RE
はLa,Nd,Sm,Eu,Gdの中から選択される元
素の1種以上を示す)の混合物からなる酸化物成形体層
を被覆した基材テープの入口部および出口部を有し、内
部を減圧雰囲気に調節自在に構成された反応容器と、こ
の反応容器内の入口部と出口部の間に回転自在に設けら
れ入口部から導入された基材テープが周面に巻き掛けら
れる耐熱ローラと、耐熱ローラ周面の基材テープ当接部
分を加熱する加熱手段とを具備してなるものである。請
求項3に記載の発明は前記課題を解決するために、酸化
物成形体層を、RE1+x-Ba2-x-Cu3-Oyなる組成に
対してBaとCuを過剰に含有させたものとしたもので
ある。請求項4に記載の発明は前記課題を解決するため
に、耐熱材料からなる基材テープと、その表面に形成さ
れた中間層と、この中間層上に形成された積層膜とを具
備し、前記積層膜をRE1+x-Ba2-x-Cu3-Oy(RE
はLa,Nd,Sm,Eu,Gdの中から選択される元
素の1種以上を示す)の組成式で表される酸化物超電導
厚膜と残溶媒層の積層構造としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
例について説明する。図1は本発明に係る酸化物超電導
厚膜複合テープの製造装置の一例を示すもので、この例
の製造装置1は、隔壁に囲まれた密閉構造の反応容器2
と、この反応容器2内に回転自在に設けられた耐熱ロー
ラ3と、反応容器2に接続された真空ポンプ等の減圧装
置5と、反応容器2内の耐熱ローラ近傍に設置されたス
クレーパ6と、反応容器2の後面側に取り付けられたス
ポット加熱装置7、8と、反応容器2に接続されて反応
容器内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気と酸素ガスの混合
雰囲気に調整する調整装置9を主体として構成されてい
る。前記反応容器2は、天井部21と前面部22と後面
部23と底面部24と側面部25からなる密閉構造とさ
れ、天井部21の後部側には後述する構造の基材テープ
10を導入するための入口部11が形成され、前面部2
2の底部には基材テープ10を排出するための出口部1
2が形成されている。また、前記耐熱ローラ3は反応容
器内部の入口部11と出口部12の間でその回転軸をほ
ぼ水平にして設置され、入口部11から反応容器2の内
部に導入した基材テープ10を耐熱ローラ3の周面の一
部に巻き掛けた後に、出口部12から外部に導出できる
ように構成されている。
【0009】次に、反応容器2の後面部23は、天井部
21に対してほぼ垂直に設けられた上部壁26と、上壁
部26に対して傾斜させて設けられた中央壁部27と、
底面部24に接続する下部壁28とからなり、上部壁2
6にIRランプ等のスポット加熱装置7が、中央壁部2
7にスポット加熱装置8がそれぞれ取り付けられてい
る。前記のスポット加熱装置7、8はそれぞれが発する
加熱ビームを耐熱ローラ3の周面における基材テープ1
0の当接部分およびその近傍に照射できるように構成さ
れている。次に、耐熱ローラ3の周面の基材テープ当接
部分の直下には、耐熱ローラ3に巻き掛けられた基材テ
ープ10の上面近傍に先端を望ませてスクレーパ6が設
けられ、スクレーパ6と耐熱ローラ3との間の部分には
ニクロム線等の抵抗発熱線からなる予備加熱装置29が
設けられている。なお、図面には省略されているが、反
応容器2の入口部11の外方には基材テープ10の送出
装置が設けられ、出口部12の外方には基材テープ10
の巻取装置が設けられていて、基材テープ10を連続的
に反応容器2に供給後、巻き取ることができるように構
成されているとともに、入口部11の外方の送出装置と
出口部12の外方の巻取装置はいずれも気密構造のハウ
ジングに覆われていて、反応容器2の内部の減圧雰囲気
を保持したままで反応容器2の内部に基材テープ10を
供給し、必要に応じて基材テープ10を反応容器2から
巻き取ることができるように構成されている。
【0010】前記基材テープ10は、1000℃以上の
融点を有する耐熱性の金属材料あるいはセラミック製の
耐熱材料からなる。より具体的には、ハステロイC27
6(Hastelloy:米国 Haynes Stellite 社商品名)、In
conel 617 などのような耐熱製の金属材料からなるもの
が好ましく、その表面には中間層30が形成されてい
る。前記中間層30は、その上に後述する如く形成され
る酸化物超電導厚膜に対し高温であっても反応性の低い
材料から構成され、しかも、基材テープ10の構成材料
が酸化物超電導厚膜側に拡散することを防止する機能を
有する材料から構成される。具体的には、Nd4Ba2
2y、BaZrO3などから構成される。ただし、基
材テープの構成金属、および、Nd-Ba-Cu-Oとの
反応性が低く、それぞれとの密着性が得られる材料であ
れば、良いのは言うまでもない。また、その厚さは、2
0〜1000μm(0.02〜1mm)の範囲が好まし
く、20〜200μmの範囲がより好ましい。これは、
中間層2が20μmよりも薄いと後述する加熱部分溶融
処理の際に基材テープ10の元素が超電導厚膜側に拡散
することを防止できなくなるためであり、1000μm
を超える厚さのものは中間層30を形成する方法から見
て困難性が高いためである。なお、中間層30を製造す
る場合の製造効率や層自体の均一性の面などを考慮する
と200μm以下の厚さとすることがより好ましい。
【0011】次に、中間層30上には、RE23、vB
aO、wCuO(ただし、REはLa,Nd,Eu,S
m,Gdの中から選択される元素の1種以上を示し、
2.1≦v≦5.8、8.7≦w≦12.4)の組成式で表さ
れる酸化物成形体層31が形成されている。この酸化物
成形体層31は、目的とする組成式RE1+x-Ba2-x-C
3-Oy(ただし、REは、La,Nd,Sm,Eu,
Gdの中から選択される元素の1種以上を示し、0≦x
≦0.2)で表される酸化物超電導厚膜を得るためのも
のであって、厚さ0.02mm〜0.2mm、好ましくは
厚さ0.1mm前後のものであり、目的の組成のRE1
2Cu3xに対してBaとCuを過剰に含むものであ
る。
【0012】次に、前記製造装置1を用いて酸化物超電
導厚膜複合テープを製造するには、まず、基材10の上
面に中間層30を被覆形成したものを用意する。これに
は、例えば、基材テープ10にプラズマ溶射装置を用い
て前記組成の中間層30を溶射したものを用いる。ある
いは、前記組成の中間層30の原料となるべき組成の粉
末を溶媒に分散させた塗布液を用意し、この塗布液を基
材テープ10の上面に塗布してから焼成し、中間層30
を形成したものを用いても良い。
【0013】次に、前記中間層30の上に、図3に示す
ように酸化物成形体層31を形成する。また、基材テー
プ10の先端部の中間層30上に種結晶33を設けるこ
とが好ましい。前記種結晶33の製造には、従来公知の
フラックス法の1種であるTSSG法(Top Seeded Sol
ution Groth)あるいはTSFZ法(トラベリングソル
ベントフローティングゾーン法:移動浮遊帯法)を用
い、目的とするRE1+x-Ba2-x-Cu3-Oyの組成の結
晶を製造して使用する。フラックス法とは具体的には、
るつぼの内部に20%の1/6RE1+x-Ba2-x-Cu3-
y+80%の{1/(a+b)}・BaaCuba+b(た
だし、1/10≦(a+b)≦2/3、0≦x≦0.2)の
組成の溶湯を用意し、これらに単結晶を接触させて回転
させながら種結晶引き上げることで柱状結晶体を得るこ
とができるので、この柱状結晶体から切り出して本発明
に用いる種結晶33とすれば良い。また、この方法で使
用する種結晶33として、前記溶湯を備えた他のるつぼ
を冷却して直接結晶体を得た際に、結晶配向性の良好な
部分のみを切り出すことにより得ることもできる。な
お、前記の溶湯としてより具体的には、20%の1/6
Nd1+x-Ba2-x-Cu3-Oy+80%の{1/(a+b)}
・BaaCuba+bの組成の溶湯などを用いることがで
きる。そして、前記の如く得られた種結晶33を白金線
などの金属線で基材テープ1の先端部に巻き付け固定す
ることで種結晶33を基材テープ10上の中間層30上
に設けることができる。
【0014】次に、中間層30上に酸化物成形体層31
を形成するには、この組成となるように各元素の原料粉
末を混合してそれを燒結したものをグリーンシート状と
して中間層上に載置したり、それらの粉末を溶剤の中に
分散させたペーストを塗布して乾燥させて形成しても良
い。以上のように中間層30と酸化物成形体層31と種
結晶33を備えた基材10を図1に示す製造装置1で以
下に説明するように処理することで酸化物超電導厚膜複
合テープを製造することができる。
【0015】まず、前記減圧装置5を作動させて反応容
器2の内部を減圧するとともに、調整装置9を作動させ
て反応容器2内にAr+O2ガスを供給して反応容器2
の内部を所定濃度のAr+O2ガス減圧雰囲気に調整す
るとともに、基材テープ10を入口部11から導入し、
耐熱ローラ3の周面の一部に巻き掛けた後で出口部12
側に所定の速度で移動させる。また、スポット加熱装置
7、8を作動させ、耐熱ローラ3の周面を移動中の基材
上の酸化物成形体層31を925〜940℃程度にスポ
ット加熱してスポット加熱部分の酸化物成形体層31を
溶融させる。この状態から基材テープ10が耐熱ローラ
3の周面から離れてスポット加熱領域から外れると、溶
融部分は冷却されて凝固する。ここで、溶融部分が順次
移動して冷却される際に、酸化物成形体層31に過剰に
含まれたBaとCuを吸収しながらNd1-xBa2-xCu
3yなる組成の酸化物超電導厚膜35が生成する。ま
た、この際に溶融部分が基材テープ10の長さ方向に徐
々に移動するので、生成した酸化物超電導厚膜35は基
材テープ10の長さ方向に連続して長く成長する。ま
た、溶融部分の全体に均一に酸化物超電導厚膜35がで
きるわけではないので、溶融部分が凝固した後には、目
的の組成の酸化物超電導厚膜35とそれとは異なる組成
の残溶媒層36が層状に積層された構造となる。
【0016】なお、種結晶33を設けた場合、それに接
して最初に溶融された溶融部分においては、その部分が
冷却されると、種結晶33と同じ結晶配向性になるよう
に溶融部分から原子が補給されながら冷却されてNd1
Ba2Cu3xが析出するようになるので、種結晶33
にほぼ揃った結晶配向性を有する単結晶の超電導厚膜が
生成され易くなる。なお、回転ロール3から離れつつあ
る酸化物成形体層31を予備加熱装置で加熱しているの
で、冷却凝固した酸化物超電導厚膜を急冷させるおそれ
は少なく、酸化物超電導厚膜の急冷による劣化を防止で
きる。また、耐熱ローラ3の近傍に配置されたスクレー
パ6は、図2に示すように斜線部分10aがスポット加
熱装置7、8による加熱溶融部分であるとすると、この
溶融部分10aの下部付近の表面部に当接し、この溶融
部分10aの表面部分を残溶媒を掻き取る作用を奏す
る。このスクレーパ6の掻き取り作用により、酸化物超
電導厚膜35を生成させて表面部分で残滓となる溶媒を
できる限り除去できる。また、基材テープの移動方向あ
るいは加熱方向については、適宜変更しても差し支えな
いものである。
【0017】従って基材テープ10を回転ロール3に沿
って移動させることで、基材10の全長に酸化物超電導
厚膜35を備えた図4に示す構造の超電導厚膜複合テー
プAを得ることができる。ところで、前記の製造方法に
おいて、反応容器10内の雰囲気を不活性ガス(Ar、
2、He等)と酸素ガスの混合雰囲気、特に、Arガ
ス+O2ガスの混合雰囲気にすることが好ましく、その
場合の混合比を10000:5〜1000:3の範囲、
特に好ましくは1000:1程度とする。ここで、Ar
ガス:O2ガス=1000:1とすることで、1/6N
1Ba2Cu3xと(1/a+b)BaaCuba+bの状態
図における固相線が100℃程度降下するので、より低
い温度で溶融させることができるようになる。すると、
スポット加熱により生成する溶融部分の温度を低くする
ことができるようになり、溶融部分と中間層30と基材
テープ10との間で相互拡散反応を極力生じないように
することができる。なお、溶融部分が基材テープ10に
沿って移動してゆく段階において、基材テープ10と中
間層30との間に第1の反応層37が生成され、中間層
30と酸化物超電導厚膜35との間に第2の反応層38
が図4に示すように生成される。
【0018】ここで、図5と図6は本発明者らの研究に
より得られた1/6Nd1Ba2Cu3yと1/13Ba
3Cu1013(BaとCuの配合比率3:10mol%)の
2元系状態図を示す。これらの状態図において横軸の0
%の位置は1/6Nd1Ba2Cu3yが100%である
ことを示し、横軸の100%の位置は配合比3:10mo
l%の1/13Ba3Cu1013が100%であることを
示し、横軸の80%の位置は配合比3:10mol%の1
/13Ba3Cu1013が80%であって、1/6Nd1
Ba2Cu3yが20%であることを示すとともに、図
5は空気中での状態図、図6はAr+O2=1000:
1の雰囲気中での状態図を示す。これらの図に示す結果
から明らかなように、横軸の80%の位置において空気
中では液相線の位置が約1040℃であるのに対し、A
r+O2=1000:1の雰囲気中では液相線の位置が
925℃となり、約115℃低下している。従ってこの
ことから、Ar+O2=1000:1の雰囲気中であれ
ば、925℃あるいはそれよりも若干高い温度に溶融部
分を加熱しておき、溶融部分を移動させて冷却してゆく
ことにより、融点と凝固開始点において組成のゆらぎが
生じ、それに伴って溶融部分に入っているNd1Ba2
3yが析出し、順次冷却されてゆく溶融部分に順次N
1Ba2Cu3yが連続析出してゆくことを理解でき
る。従って溶融部分を形成して冷却する雰囲気は、空気
中よりも、Ar+O2=1000:1の雰囲気の方が有
利であることが明らかである。
【0019】また、図7と図8は1/6Nd1Ba2Cu
3yと1/10Ba3Cu710(BaとCuの配合比率
3:7mol%)の2元系状態図を示す。これらの図から
も前記と同様なことが解り、1/6Nd1Ba2Cu3y
と1/10Ba3Cu710(BaとCuの配合比率3:
7mol%)の2元系において、Ar+O2=1000:1
の雰囲気中であれば、空気中よりも100℃程度液相線
を下げることができ、より低い温度で溶融部分を生成さ
せることができ、その場合にNd1Ba2Cu3yが効率
良く析出することが明らかである。
【0020】なお、このように加熱して溶融部分を形成
し、基材テープ10と中間層30を加熱すると、前述し
た如く第1の反応層37と第2の反応層38が生成され
る。しかしながら、前述のように溶融部分の温度は十分
に低くされ、基材テープ10が1000℃以上の融点を
有する耐熱材料製であり、しかも中間層30も酸化物超
電導厚膜35に影響の少ない材料で構成されているの
で、酸化物超電導厚膜35に対する元素拡散の影響は少
なくなる。以上のことから、中間層30上に結晶配向性
の良好な超電導特性の良好な超電導厚膜35を複数、積
層構造で有する図4に断面構造を示す酸化物超電導複合
テープAを得ることができる。
【0021】以上のように製造された酸化物超電導厚膜
35は、種結晶33に沿った結晶配向性を有し、実質的
に単結晶となって基材テープ10の長さ方向につながっ
た厚膜であるので、高い臨界温度と臨界電流密度を有
し、優れた超電導特性を発揮する。また、単結晶状でA
r+O2の雰囲気中で製造したRE1+x-Ba2-x-Cu3-
yなる組成の酸化物超電導体は、磁束のピン止め効果
に優れた特徴を有し、特に高い臨界電流密度を有するも
のを得ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、R
1+x-Ba2-x-Cu3-Oyなる組成に対しBaとCuを
過剰に含有させた酸化物成形体層を基材テープ上の中間
層上に形成し、これを耐熱ローラに当接させつつスポッ
ト加熱してスポット加熱部分を部分的に溶融させ順次冷
却することで、冷却部分において過剰のBaとCuの供
給を受けながらRE1+x-Ba2-x-Cu3-Oyなる組成の
結晶配向性の良好な酸化物超電導厚膜を層状に生成させ
ることができ、残余の成分は層状の酸化物超電導厚膜の
間に生成させることができる。従って、基材テープの長
手方向に連続的につながった構造でしかも厚膜状の酸化
物超電導厚膜を備えた酸化物超電導厚膜複合テープを製
造することができる。さらに、基材テープと酸化物超電
導厚膜を中間層で分離しているので、基材テープと酸化
物超電導厚膜との間でにおける元素拡散を防止すること
ができ、不要な元素の混入していない結晶配向性の良好
な酸化物超電導厚膜を得ることができる。また、耐熱ロ
ーラに当接させながら基材テープを移動させつつ溶融冷
却部分を順次移動させるので、基材テープに余計な応力
や機械的な負荷を与えることなく酸化物超電導厚膜を生
成させることができ、超電導厚膜の超電導特性劣化を防
止できる。
【0023】次に、本発明の装置においては、前記中間
層と酸化物成形体層を備えた基材テープの入口部と出口
部を備えた反応容器を有し、反応容器の内部に設けた耐
熱ローラに沿って基材テープを移動自在に構成し、耐熱
ローラに当接した部分と近傍を加熱手段で加熱して溶融
させ、耐熱ローラから離れた部分を冷却することで、酸
化物成形体層中に過剰のBaとCuの供給を受けながら
RE1Ba2Cu3xなる組成の結晶配向性の良好な酸化
物超電導厚膜と残溶媒層を層状に生成させることができ
る。また、耐熱ローラに当接させながら基材テープを移
動させつつ溶融冷却部分を順次移動させるので、基材テ
ープに余計な応力や機械的な負荷を与えることなく酸化
物超電導厚膜を生成させることができ、超電導厚膜の超
電導特性劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る酸化物超電導厚膜複合テープの
製造装置の一例を示す側面図。
【図2】 図1に示す製造装置の部分拡大図。
【図3】 本発明に係る酸化物超電導厚膜複合テープを
製造するために使用する基材テープと中間層と酸化物成
形体層の一例を示す構成図。
【図4】 本発明に係る酸化物超電導厚膜複合テープの
一例を示す断面図。
【図5】 空気中における、1/6Nd1Ba2Cu3y
と1/13Ba3Cu1013の擬2元系状態図。
【図6】 雰囲気中のAr:O2=1000:1の割合
とした場合における1/6Nd1Ba2Cu3yと1/1
3Ba3Cu1013の擬2元系状態図。
【図7】 空気中における1/6Nd1Ba2Cu3y
1/10Ba3Cu710の擬2元系状態図。
【図8】 雰囲気中のAr:O2=1000:1の割合
とした場合における1/6Nd1Ba2Cu3yと1/1
0Ba3Cu710の擬2元系状態図。
【符号の説明】
1・・・製造装置、2・・・反応容器、3・・・耐熱ローラ、5・
・・減圧装置、6・・・スクレーパ、7、8・・・スポット加熱
装置、9・・・調整装置、10・・・基材テープ、11・・・入
口部、12・・・出口部、A・・・酸化物超電導厚膜複合テー
プ、30・・・中間層、31・・・酸化物成形体層、33・・・
種結晶、35・・・酸化物超電導厚膜、36・・・残溶媒層、
37・・・第1の反応層、38・・・第2の反応層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000001199 株式会社神戸製鋼所 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 (72)発明者 冨永 晴夫 東京都江東区東雲一丁目10番13号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所 内 (72)発明者 鵜木 博海 東京都江東区東雲一丁目10番13号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所 内 (72)発明者 黒田 潔 東京都江東区東雲一丁目10番13号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所 内 (72)発明者 江木 俊雄 東京都江東区東雲一丁目10番13号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所 内 (72)発明者 腰塚 直己 東京都江東区東雲一丁目10番13号 財団法 人国際超電導産業技術研究センター 超電 導工学研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱材料からなる基材テープと、この基
    材テープ上に形成された中間層と、この中間層上に形成
    されたRE23、vBaO、wCuO(ただしREは、L
    a,Nd,Sm,Eu,Gdの中から選択される元素の
    1種以上を示し、2.1≦v≦5.8、8.7≦w≦12.
    4)の混合物からなる酸化物成形体層とを具備する素材
    テープを耐熱ローラの周面に巻き掛け、耐熱ローラに接
    触した部分とその近傍の素材テープ上の酸化物成形体層
    のみを加熱手段で加熱し、更に素材テープを耐熱ローラ
    の回転とともにその長さ方向に移動させて耐熱ローラか
    ら離間させて酸化物成形体層を冷却し、RE1-xBa2-x
    Cu3yなる組成(0≦x≦0.2)に対してBaとCu
    を過剰に含有させた酸化物成形体層中にRE1+x-Ba
    2-x-Cu3-Oyなる組成の酸化物超電導厚膜と残溶媒層
    を析出させることを特徴とする酸化物超電導厚膜複合テ
    ープの製造方法。
  2. 【請求項2】 中間層とRE23、vBaO、wCuO
    (REはLa,Nd,Sm,Eu,Gdの中から選択さ
    れる元素の1種以上を示す)の混合物からなる酸化物成
    形体層を被覆した基材テープの入口部および出口部を有
    し、内部を低酸素分圧雰囲気に調節自在に構成された反
    応容器と、この反応容器内の入口部と出口部の間に回転
    自在に設けられ入口部から導入された基材テープが周面
    に巻き掛けられる耐熱ローラと、耐熱ローラ周面の基材
    テープ当接部分を加熱する加熱手段とを具備してなるこ
    とを特徴とする酸化物超電導厚膜複合テープの製造装
    置。
  3. 【請求項3】 酸化物成形体層がRE1+x-Ba2-x-Cu
    3-Oyなる組成に対してBaとCuを過剰に含有させた
    ものであることを特徴とする請求項2記載の酸化物超電
    導厚膜複合テープの製造装置。
  4. 【請求項4】 耐熱材料からなる基材テープと、その表
    面に形成された中間層と、この中間層上に形成された積
    層膜とを具備し、前記積層膜を、RE1+x-Ba2-x-Cu
    3-Oy(REはLa,Nd,Sm,Eu,Gdの中から
    選択される元素の1種以上を示し、0≦x≦0.2)の組
    成式で表される酸化物超電導厚膜と残溶媒層の積層構造
    としたことを特徴とする酸化物超電導厚膜複合テープ。
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