JP3471443B2 - 酸化物超電導体材料の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体材料の製造方法

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JP3471443B2
JP3471443B2 JP26749294A JP26749294A JP3471443B2 JP 3471443 B2 JP3471443 B2 JP 3471443B2 JP 26749294 A JP26749294 A JP 26749294A JP 26749294 A JP26749294 A JP 26749294A JP 3471443 B2 JP3471443 B2 JP 3471443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、REBa2 Cu3
7-d 系酸化物超電導体材料の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の種結晶法を利用した溶融成長法に
よるREBa2 Cu3 7-d 系(REは、Nd、Sm、
Eu、Gd、Dy、Y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu
からなる群から選ばれた1種以上の元素)酸化物超電導
体材料の製造方法の概要は、原料粉末であるRE2 3
およびBa、Cuの化合物を混合し、さらにPtまたは
Rh粉末(ないし化合物)を添加した後、混練、加圧成
型して酸化物超電導体材料の前駆体を作製する。次に該
前駆体の熱処理として、該前駆体を一旦、950〜13
50℃までの温度領域に加熱し、該前駆体を半溶融状態
にした後、900℃から1100℃の領域に冷却し、該
前駆体中のREBa2 Cu3 7-d 相(REは、Nd、
Sm、Eu、Gd、Dy、Y、Ho、Er、Tm、Y
b、Luからなる群から選ばれた1種以上の元素、以下
同様)(以下、単に123相ともいう)の生成温度のR
E組成よりも高い生成温度を有するRE組成のREBa
2 Cu3 7-d 相の単結晶状の種結晶を前駆体に接触さ
せ、種結晶と同じ任意に方位を有する超伝導相を800
〜1060℃の温度領域まで均一温度中あるいは温度勾
配中で徐冷あるいは保定することによって該123相を
連続的に成長させる。その後結晶化させて得た超伝導相
たる123相の酸素富化処理を行い、所望のREBa2
Cu3 7-d 系酸化物超電導体材料を得るとするものな
どを例示することができる。
【0003】より具体的には、例えば、溶融成長法の1
つとして特開平6−72712号公報に示されているよ
うに、出発原料としてRE2 3 、BaO2 、CuOを
用いて、これらの原料粉の組成比を各々の金属元素比
(RE:Ba:Cu)が原子パーセントで(10:6
0:30)、(10:20:70)、(50:20:3
0)の点で囲まれる領域の組成であるようにすること
で、上記前駆体の半溶融状態におけるRE2 BaCuO
5 相(以下、単に211相ともいう)の含有率(仕込濃
度)が5〜50モル%になるように調整し、充分に混合
する。なお、本明細書において、上記前駆体の半溶融状
態における211相の含有率(以下、211相の仕込濃
度ともいう)が30モル%であるとは、各々の金属元素
比(RE:Ba:Cu)を原子パーセントで表した場
合、RE:Ba:Cu=13:17:24となるように
調整することをいい、また得られた酸化物超電導体にお
ける211相の含有率(以下、211相の取込濃度とも
いう)が30モル%であるとは、酸化物超電導体材料中
の含有モル比率がREBa2 Cu3 7-d :RE2 Ba
CuO5 =70:30となっていることをいう。さらに
上記混合粉にPtまたはRhの金属粉末、あるいはPt
またはRhの酸化物粉末を微量添加しても良い。該Pt
等の添加により、得られる酸化物超電導体材料中の21
1相をより微細化させて島状に分散させることができ、
磁束の動きをとめるピン止め中心の導入や電流パスを遮
るクラックの発生防止が可能となり、該酸化物超電導体
材料の臨界電流密度(Jc)を大きくすることができる
と共に該酸化物超電導体材料の機械的強度の向上も図れ
るなど好ましいものである。該Pt等の添加量として
は、上記公開公報に示す0.05〜5重量%の範囲で利
用することが可能である。
【0004】次に、上記混合粉を円板状または平板状の
金型で加圧成型し、さらに静水圧プレスにより加圧した
ものを酸化物超電導体材料の前駆体とする。
【0005】続いて、該前駆体を一旦、950〜135
0℃までの温度領域に加熱し、該前駆体を半溶融状態、
つまり、液相(BaとCuを含む複合酸化物)と固相
(RE2 BaCuO5 )との混合状態にする。
【0006】次に、例えば、種結晶法を利用した溶融成
長法の1つとして特開平5−301797号公報に開示
されているように、半溶融状態の上記前駆体を900℃
から1100℃の領域に冷却し、該前駆体中の123相
の生成温度のRE組成よりも高い生成温度を有するRE
組成の123相の単結晶状の種結晶を該前駆体に接触さ
せ、種結晶と同じ任意に方位を有する超伝導相を該超伝
導相たる123相の包晶温度以下、すなわち800〜1
060℃の温度領域で、かつ均一温度中で保定すること
によってあるいは2度/cmの温度勾配中で毎時20度
以下の速度で徐冷ないし保定することによって該種結晶
を核として該前駆体を結晶化させて該123相を連続的
に成長させた後、酸素富化処理を行うものである。上記
前駆体を結晶化させて該123相を連続的に成長させる
際の反応は、 RE2 BaCuO5 +液相(Ba-Cu-O) →REBa2 Cu
3 7-d と表される。結晶化した123相は、大傾角粒界を含ま
ない単一粒であり、内部に0.1〜20μmの粒径を有
する211相を含むものが得られる。
【0007】さらに、酸素富化処理として、800℃か
ら200℃の温度領域において、酸化雰囲気中で酸素付
加し、REBa2 Cu3 7-d のd値を0.2以下にす
ることにより臨界温度91〜92KのREBa2 Cu3
7-d 系酸化物超伝導体材料を得るとするものであっ
た。
【0008】しかしながら、上記方法に代表されるよう
な従来の種結晶法を利用した溶融成長法によるREBa
2 Cu3 7-d 系酸化物超電導体材料の製造方法では、
大型材料を作製するために、例えば、直径60mm、厚
さ20mmの大きさを有する大型の前駆体を熱処理する
時、該前駆体全体を結晶化させて該123相を連続的に
成長させることができないとする問題があった。特に、
得られるREBa2 Cu3 7-d 系酸化物超伝導体材料
の臨界電流密度を向上させるためには、図1に示すよう
に、該酸化物超伝導体材料中の211相の取込濃度のよ
り大きなものにすることが望ましいことを見出だしたも
のであり、そのためには前駆体の半溶融状態における2
11相の仕込濃度をより大きくする必要があるが、該仕
込濃度を40〜50モル%と大きくした場合には、熱処
理過程の途中で結晶成長が停止してしまい前駆体の一部
しか結晶化しないとする現象が生じ、該仕込濃度を大き
くするにつれてより早く発生するものである。このよう
に211相の取込濃度の大きなREBa2 Cu3 7-d
系酸化物超伝導体材料の大型化が困難であるという問題
があった。
【0009】上記大型化を達成すべく結晶成長を促進す
るには、包晶温度以下での徐冷ないし保定において、
温度を下げて過冷度を大きくする方法、あるいは徐冷
速度を大きくするという方法が考えられる。
【0010】しかしながら、上記による方法では、温
度を下げ過ぎると前駆体の縁側から核生成する確率が高
くなり、多粒結晶化してしまうので、過冷度を大きくし
て成長することには限界があり、多核生成の確率を低く
するためには、包晶温度からの過冷度は10度以下に制
限されるものであり、言い換えれば、包晶温度からの過
冷度を10度以下にすることが好ましいと言える。
【0011】また、上記による方法では、徐冷速度を
大きくして結晶成長速度を高めると、固液界面の方位の
違いにより結晶成長速度に相違が生じ易くなり、単一粒
が複数粒に変化し、安定な結晶成長を行うことができな
いとする新たな問題が生じるものであった。例えば、直
径40mm、厚さ15mmの寸法よりも小さい小型材料
を熱処理する場合には、毎時20度の徐冷速度でも結晶
化可能であるが、大型材料の場合には、毎時0.25〜
1度の徐冷速度が適当である。つまり、熱処理パターン
には余り融通がなく制限されるものであり、言い換えれ
ば、安定な結晶成長を行うには、例えば、10度程度の
狭い温度幅を40時間かけて徐冷する程度の徐冷速度が
必要であり、かつ望ましいものであると言える。
【0012】したがって、上記およびのいずれの方
法も、以上のような理由によって制限されるため、結果
的に上記課題の解決手段とはなり得ないものであった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、種結晶法
を利用した溶融成長法によるREBa2 Cu3 7-d
酸化物超電導体材料の製造方法において、結晶成長の全
過程を通して固液界面前方のRE濃度(ないし211相
の濃度)を一定にし、結晶成長を停止させることなく結
晶を連続成長させることで、該結晶全体に微細な211
相を島状に均質(すなわち同じ濃度)に分布させ、また
該結晶への211相の取込濃度を高濃度とすることがで
き、さらに該結晶材料を大型化させることのできるRE
Ba2 Cu3 7-d 系酸化物超電導体材料の製造方法を
提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、従来の課題の1つであった結晶化停止の
原因につき研究した結果、当該課題に加えて新たに以下
の問題があることを見出だしたものである。図2には種
結晶から固液界面までの距離を成長距離として、該成長
距離における保持時間(種結晶を核として前駆体を結晶
化させるために行う徐冷ないし保定に要した時間をい
う)依存性を示す。試料甲の211相の仕込濃度は30
モル%、試料乙の211相の仕込濃度は50モル%であ
る。図2において成長距離は、初期段階では保持時間に
正比例しているが、次第に飽和してくることが分かっ
た。しかも211相の仕込濃度が高い前駆体において、
成長距離がより早い段階で飽和し結晶化が停止すること
が分かった。
【0015】このことから、結晶成長速度の低下、さら
には結晶化の停止となる原因を調べるために、図2に示
した試料乙の熱処理後の断面組織を観察した。結晶成長
過程初期に凝固して結晶化した固相(123相)中への
211相の取込濃度は50モル%であるのに対し、結晶
成長過程末期に凝固して結晶化した固相(123相)中
への211相の取込濃度は55〜60モル%と高くなっ
ており、固相(123相)中への211相の取込濃度が
結晶中で不均一となっていることが分かった。また、成
長過程末期の固液界面前方の半溶融領域には211相が
濃縮した状態で存在していることが分かった。
【0016】以上の結果から、本発明者らは、結晶成長
速度の低下、さらには結晶化の停止となる原因は、図3
に示す固液界面近傍でのRE拡散モデルのように、結晶
成長過程が進むにつれて、固液界面前方にRE層が形成
され、成長過程末期の固液界面には、液相との反応で消
費される以上にREが次第に蓄積されていき、最終的に
は固液界面全体をREの層が覆うため、固液界面(反応
領域)への適正な液相の供給が絶たれ、そのため該RE
と液相との固液界面での反応による結晶成長が阻害さ
れ、その結果、結晶成長速度が低下、さらには結晶化が
停止すると考え、さらにこの段階での固液界面前方の半
溶融領域には反応に利用されずに残留したままの211
相が濃縮した状態となっており、局所的に液相が減少す
ることが界面反応速度の低下、さらには結晶化の停止の
原因と推定したものである。
【0017】そこで本発明者らは、上記課題に鑑み、R
EBa2 Cu3 7-d 系酸化物超電導体材料の新規な製
造方法につき、鋭意検討した結果、REが固液界面(反
応領域)全体を覆ってしまうより手前の成長距離で、該
前駆体への211相の仕込濃度が減少するように構成さ
れた前駆体を用いることで、液相中の211相から固液
界面へのREの供給を抑制(低下)することができ、安
定した結晶成長が維持できるとともに、この際には液相
中の211相の消費(溶出)が減少するため、たとえ前
駆体への211相の仕込濃度を減少させても結晶(12
3相)中に残留する211相の取込濃度を均質にするこ
とができることを見出だすと共に、さらにより大型化を
図るためには、こうした該前駆体への211相の仕込濃
度の減少により固液界面でのRE濃度が徐々に減少して
いき初期濃度以下になるより手前で再度、該前駆体への
211相の仕込濃度を増加(ないしもとの濃度に復帰)
させるように変化するように構成された前駆体を用いる
といった具合に、固液界面でのREの需要と供給のバラ
ンスを前駆体への211相の仕込濃度を増加、減少など
適当に変化するように構成された前駆体を用いて調節す
ることにより、上記目的を達成できることを見出だし、
この知見に基づき本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0018】すなわち、本発明では、(1)種結晶法を
利用した溶融成長法によるREBa2 Cu3 7-d 系酸
化物超電導体材料の製造方法において、RE2 BaCu
5相の仕込濃度が種結晶を設置する内側から外側に立
体的に減少するように構成された前駆体を用いてなるこ
とを特徴とする酸化物超電導体材料の製造方法により達
成することができるものである。
【0019】さらに、本発明では、(2)種結晶法を利
用した溶融成長法によるREBa2Cu3 7-d 系酸化
物超電導体材料の製造方法において、RE2 BaCuO
5 相の仕込濃度が種結晶を設置する内側から外側に立体
的に変化するように構成された前駆体を用いてなること
を特徴とする酸化物超電導体材料の製造方法によっても
達成することができるものである。
【0020】
【作用】本発明のREBa2 Cu3 7-d 系酸化物超電
導体材料の製造方法においては、結晶成長が進につれ
て、従来の前駆体では、211相の仕込濃度が高濃度で
あればあるほど、固液界面前方において211相(ない
し固液界面でのRE濃度)が濃縮するが、本発明では2
11相の仕込濃度において濃度勾配を持たせることによ
り、211相の仕込濃度の高低(大小)によらず濃縮が
補償され、実際には固液界面前方において211相は濃
縮されない。つまり、臨界電流密度の向上につながる高
い211相の仕込濃度の場合でも、固液界面でのRE濃
度が結晶成長速度の低下、さらには結晶化の停止を起こ
さない範囲で変えられ、これにより固液界面前方での2
11相の濃度がほぼ一定に保たれ、大型前駆体を結晶化
することができると共に、該結晶全体の211相の取込
濃度を均質にすることができる。
【0021】以下、本発明をより詳細に説明する。
【0022】まず本発明に係る種結晶法を利用した溶融
成長法によるREBa2 Cu3 7-d 系酸化物超電導体
材料の製造方法としては、先述した従来技術で例示した
方法を用いることができることはもとより、従来公知の
種結晶法を利用した溶融成長法であれば特に制限するこ
となく適用することができることは、本発明の特徴がそ
の前駆体の211相の仕込濃度に勾配(変化)を持たせ
ることに特徴がある事を勘案すれば当然といえ、かかる
前駆体を用いて行うことができる従来公知の種結晶法を
利用した溶融成長法が本発明の対象となることは言うま
でもないことである。したがって、先述した従来技術で
例示した方法以外であっても、例えば、前駆体の組成比
等の条件や熱処理温度条件、徐冷速度など多くの製造条
件は、当業者が実際の製造時に適宜選択して決定するこ
とができるものであり、かかる設計事項などは本発明の
範疇に含めることができるものである。
【0023】次に、RE2 BaCuO5 相の仕込濃度が
種結晶を設置する内側から外側に立体的に減少ないし変
化するように構成された前駆体を製作する手段として
は、特に制限されるものでなく、例えば、3段階の21
1相の仕込濃度分布を有するものを作製する場合には、
まず先述した従来技術で例示したと同様に原料粉の組成
比が異なる3種のRE2 3 およびBa、Cuからなる
化合物をそれぞれ別々に混合し、さらにPtまたはRh
粉末(ないし化合物)を添加した後、混練する。続い
て、まず外側用の大小2つの円筒カップ状の金型とを適
当に組み合わせ、これにより形成される横断面凹状の空
間部分に、調整した外側用混合粉を入れ、同様にして、
先に形成された外側部型体の凹部に中間部用の内円筒状
の金型を入れ、これにより形成される外側用より一回り
小さな横断面凹状の空間部分に、調整した中間部用混合
粉を入れ、形成された外側部と中間部とからなる型体の
残された中心部の凹部に調整した内側用混合粉を入れ、
これを1軸式成型機により加圧成型し、さらに静水圧プ
レスにより加圧することで加圧成型して酸化物超電導体
材料の前駆体を作製する方法など、当該前駆体の作製手
段においても、種結晶法を利用した溶融成長法で説明し
たと同様に、従来公知の前駆体の作製手段を適用するこ
とができることは、本発明の特徴がその前駆体の211
相の仕込濃度に勾配(変化)を持たせることに特徴があ
る事を勘案すれば当然といえ、かかる前駆体において、
211相の仕込濃度に勾配(変化)を持たせるために、
原料粉末であるRE2 3 およびBa、Cuの化合物を
混合し、さらにPtまたはRh粉末(ないし化合物)を
添加する際の組成比率が異なるものを作製し、これらを
界面反応速度の低下、さらには結晶化の停止が生じない
ように順次、種結晶を設置する内側から外側に立体的に
減少ないし変化するように構成させることができるもの
であれば、何ら制限を受けるものでなく、従来公知の前
駆体の製造技術が本発明の対象となることは言うまでも
ないことである。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0025】本実施例の種結晶法を利用した溶融成長法
によるRE(本実施例ではYを用いた)Ba2 Cu3
7-d 系酸化物超電導体材料の製造方法では、その出発原
料粉末としてY2 3 、BaO2 、CuO、Ptを用い
て、211相の仕込濃度が20モル%である原料粉を作
製するために、Y:Ba:Cu=6:9:13の原子組
成比(モル比)になるように原料粉末を混合し、さらに
Pt粉末を0.5重量%添加して良く混合した。同様
に、211相の仕込濃度が30モル%、40モル%およ
び50モル%である原料粉を作製した。これらの原料粉
を円筒カップ状金型を利用して、図4および図5のよう
に211相の仕込濃度が種結晶を設置する内側から外側
に立体的に減少するように構成して4段階の211相の
仕込濃度分布をつくり、直径60mm、厚さ21mmの
形状に1軸成型機を用いて一度に加圧成型した。その
後、静水圧によるプレスを行って、酸化物超電導体材料
の前駆体を作製した。なお、図4は、上記前駆体の上面
図を示し、図5は、図4のa−a線で示された面で切り
取られた前駆体の断面図を示す。
【0026】続いて、該前駆体を特開平5−30179
7号公報に開示されているように熱処理を行った。より
詳しくは、該前駆体を12時間かけて室温から1150
℃に加熱し、1150℃で30分間半溶融状態に保った
後、30分かけて1040℃まで降温した。
【0027】1040℃において、図6に示すように、
該前駆体の表面中央にSmBa2 Cu3 7-d 系種結晶
を配置した。該種結晶は、下記表1に示すように、10
60℃の包晶温度(ないし123相生成温度)を有する
ので、1040℃においては、該前駆体は半溶融状態の
ままであるが、該種結晶は固体のままである。該種結晶
は、特開平5−301797号公報に開示されている酸
化物高温超電導体の製造方法の通りに作製して得たSm
Ba2 Cu3 7-d 系酸化物高温超電導体を用いた。用
いる該種結晶の大きさは直径5mm、厚さ1mmとし
た。該種結晶の広い面は劈開性のあるc面で、この面を
前駆体に設置した。種付け後、30分かけて1000℃
に降温した。YBa2 Cu3 7-d 相の包晶温度(ない
し123相生成温度)は、表1および図7に示す相図か
ら1000℃であるので、1000℃から990℃まで
0.25度/時間の徐冷速度で徐冷した。
【0028】
【表1】
【0029】これにより、本実施例においては、上記種
結晶のc面が該前駆体表面に設置されていたため、12
3相の結晶は、種結晶を核としてc面上では正方形状に
結晶成長し、残りの部分は未反応の半溶融相となるの
で、該種結晶のc面の構造を受け継ぎ123相の結晶は
成長を続けながら、該結晶は正方体状に成長した。結晶
成長開始位置から固液界面までの成長距離の保持時間依
存性を、先述した図2に併せて示す。本実施例における
成長距離は、保持時間に正比例し、その結晶成長速度は
一定であった。また得られた結晶中の微細組織を光学顕
微鏡で観察すると、211相の取込濃度は、結晶全体に
わたってほぼ均一であった。結晶化後、990℃〜室温
まで50度/時間の速度で冷却した。さらに、超導特
性改善のため、該結晶を酸素気流中、かつ450℃にお
いて100時間保持して酸素アニールを行った。
【0030】なお本実施例では、前駆体として4段階の
211相の仕込濃度分布を有するものを用いたが、該前
駆体の211相の仕込濃度分布は、本実施例に限定され
るものでなく、多段階に減少ないし変化させることがで
き、さらに理想的には連続的な勾配を持つように減少な
いし変化させることが好ましいものであることはいうま
でもない。ただし、本実施例のように直径60mm、厚
さ21mmの大きさの前駆体であれば、4段階に211
相の仕込濃度分布が種結晶を設置する内側から外側に立
体的に減少するように構成することで、本発明の目的に
適うものとなることが確認できた。
【0031】
【発明の効果】本発明の種結晶法を利用した溶融成長法
によるREBa2 Cu3 7-d 系酸化物超電導体材料の
製造方法では、211相の仕込濃度が勾配を持つように
構成された前駆体を用いることで、結晶成長過程におい
て、固液界面前方での211相の濃縮が補償され、固液
界面前方の211相濃度がほぼ一定になり、結晶成長速
度が一定に保たれ、大型前駆体全体を結晶化することが
できる。
【0032】同時に、結晶中の211相が均一に分散
し、211相の取込濃度分布は一様となる。取り込まれ
た211相が多い結晶ほどc面方向のクラック数が少な
く、臨界電流密度が高いという利点がある。そのため、
取り込まれる211相の量、大きさ、形状、分布が臨界
電流密度などの超導磁気特性に影響する。本発明によ
れば、結晶中の211相の取込濃度が均一であるので、
臨界電流密度が材料中で均一となって局所的なばらつき
がなくなるという効果があり、例えば、磁気シールド材
としてリニアモーターカー、磁気ベアリング材としてフ
ライホイール、バルクマグネット材としてモーター、磁
気浮上搬送用部材としてクリーンルーム内での利用およ
び電流リード材として超導コイル用の電流端子など、
幅広い分野への利用が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酸化物超導体材料中の211相の取込濃度
に対する臨界電流密度の関係を示すグラフである。
【図2】 結晶成長距離の保持時間依存性を示すグラフ
である。
【図3】 固液界面近傍でのRE拡散モデルを示す概念
図である。
【図4】 実施例にて作製した前駆体の上面図を示す。
【図5】 図4に示すa−a線断面図を示す。
【図6】 実施例にて作製した前駆体の表面中央に種結
晶を配置した概略斜視図である。
【図7】 RE2 3 およびBa、Cuの化合物におい
てREにYを用いた際の相図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C30B 29/22 501 C04B 35/00 K (56)参考文献 特開 平6−211588(JP,A) 特開 平5−301797(JP,A) 特開 平5−286718(JP,A) 特開 平7−237991(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 3/00 C01G 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 種結晶法を利用した溶融成長法によるR
    EBa2 Cu3 7-d 系(REは、Nd、Sm、Eu、
    Gd、Dy、Y、Ho、Er、Tm、Yb、Luからな
    る群から選ばれた1種以上の元素)酸化物超電導体材料
    の製造方法において、 RE2 BaCuO5 相の仕込濃度が種結晶を設置する内
    側から外側に立体的に減少するように構成された前駆体
    を用いてなることを特徴とする酸化物超電導体材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 種結晶法を利用した溶融成長法によるR
    EBa2 Cu3 7-d 系(REは、Nd、Sm、Eu、
    Gd、Dy、Y、Ho、Er、Tm、Yb、Luからな
    る群から選ばれた1種以上の元素)酸化物超電導体材料
    の製造方法において、 RE2 BaCuO5 相の仕込濃度が種結晶を設置する内
    側から外側に立体的に変化するように構成された前駆体
    を用いてなることを特徴とする酸化物超電導体材料の製
    造方法。
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