JP4669998B2 - 酸化物超電導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化物超電導体およびその製造方法に関し、特に、バルクマグネット、磁気軸受け、電流リード、磁気シールド、限流機などに用いられるRE系の酸化物超電導体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、RE元素(希土類元素)とBa元素の固溶体を作る元素(La、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Hoまたはこれらの混合物)を選択して、RE化合物、Ba化合物およびCu化合物を含む原料混合体を、この原料混合体の融点以上の温度で加熱溶融した後に、温度勾配を加えながら徐冷工程を行って結晶を成長させることにより、RE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体を製造する方法として、前駆体を板状に成形し、この前駆体を溶融した後、結晶化直前の温度で種結晶を前駆体の上部に設置して、その後、温度を保持または徐冷することによって、種結晶を反映した大きな配向結晶を作製する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来の方法では、前駆体を例えば直径60mm以上に大型化して溶融結晶化を行うと、結晶化後の徐冷工程で熱収縮による応力が大きくなり、材料端部にマイクロクラックの発生が起こってしまうという問題点があった。
【0004】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、電気特性、磁気特性、機械強度に優れた大型の酸化物超電導体およびこのような酸化物超電導体を再現性良く低コストで製造できる酸化物超電導体の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究した結果、RE化合物(REはYを含む1種または2種以上の希土類金属元素)とBa化合物とCu化合物とを含む原料混合体を、この原料混合体の融点より高い温度で加熱溶融した後に、徐冷して結晶を成長させることによりRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体を製造する方法において、原料混合体から穴または溝を有する前駆体を作製し、この前駆体の下部に隙間ができるように中間層を敷いてその上に前駆体を載置し、前駆体を加熱溶融した後に、徐冷して結晶成長させることにより、電気特性、磁気特性、機械強度に優れた大型のRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体を再現性良く低コストで製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明による酸化物超電導体の製造方法は、RE化合物(REはYを含む1種または2種以上の希土類金属元素)とBa化合物とCu化合物とを含む原料混合体を、この原料混合体の融点より高い温度で加熱溶融した後に、徐冷して結晶を成長させることによりRE−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体を製造する方法において、原料混合体から穴または溝を有する前駆体を作製し、前駆体の下部に隙間ができるように中間層を敷いてその上に前駆体を載置し、前駆体を加熱溶融した後に、徐冷して結晶成長させることを特徴とする。
【0007】
この酸化物超電導体の製造方法において、前駆体の片面の面積に対する穴または溝の面積率が0.3%以上であることが好ましい。
【0008】
また、上記の酸化物超電導体の製造方法において、加熱溶融工程の後に、RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相が晶出する温度Tmよりも0℃から20℃高い温度まで徐冷し、その際の徐冷速度R(℃/min)が、前駆体の体積をV(cm3)として−0.5+19.4×V-0.8から+0.5+19.4×V-0.8までの範囲であるのが好ましい。
【0009】
また、上記の酸化物超電導体の製造方法において、徐冷工程の後に、種結晶を設置して、その後、前駆体を徐冷して結晶成長させるようにしてもよい。あるいは、加熱溶融工程の後に、前駆体の上部が低温側になるように前駆体の上下に1乃至30℃/cmの温度勾配を加えた後、種結晶を設置して、その後、前駆体を徐冷して結晶成長させるようにしてもよい。
【0010】
さらに、上記の酸化物超電導体の製造方法において、加熱溶融する温度を、前駆体がRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s( Cu1−dAgd )2O10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.05、−0.2≦y≦0.2)の少なくとも一方の相と液相になる温度とするのが好ましい。
【0011】
また、本発明による酸化物超電導体は、RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x(REは1種または2種以上の希土類金属元素、−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.2、0≦b≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相中に、RE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s( Cu1−dAgd )2O10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.05、−0.2≦y≦0.2)の少なくとも一方の相が微細に分散した酸化物超電導体において、穴または溝を有し、中心部と周縁部の密度差が理論密度の3%以下であることを特徴とする。
【0012】
この酸化物超電導体において、酸化物超電導体が、8wt%乃至60wt%のAgを含むのが好ましい。また、酸化物超電導体が、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Re、Ceの金属およびこれらの金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05wt%乃至5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重量で示す)含むのが好ましい。また、前駆体の片面の面積に対する穴または溝の面積率が0.3%以上であることが好ましい。さらに、REがNd、Sm、Gd、Dyから選ばれる1種または2種以上の元素を少なくとも50%以上含むのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による酸化物超電導体の製造方法の実施の形態では、RE化合物(REはYを含む1種または2種以上の希土類金属元素)とBa化合物とCu化合物とを含む原料混合体を、この原料混合体の融点より高い温度で加熱溶融した後に、徐冷して結晶を成長させることによりRE−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体を製造する方法において、原料混合体から穴または溝を有する前駆体を作製し、前駆体の下部に隙間ができるように中間層を敷いてその上に前駆体を載置し、前駆体がRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s( Cu1−dAgd )2O10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.05、−0.2≦y≦0.2)の少なくとも一方の相と液相になる温度Tm以上(好ましくはTm+50℃からTm+200℃の範囲)で前駆体を溶融し、その後、これらの相の包晶反応によりRE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相が晶出する温度Tmの直前(好ましくはTm+20℃からTm+0℃)まで徐冷し(前駆体の体積をV(cm3)として、徐冷速度R(℃/min)を−0.5+19.4×V-0.8〜0.5+19.4×V-0.8で計算される範囲(但し、最下限は0.1℃/minであり最上限は2.5℃/min)にすれば、各形状に対してコストおよび特性面で最適にすることができる)、前駆体の上部が低温側になるように前駆体の上下に温度勾配を加えた後、前駆体の上部に種結晶を設置して、その後、RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相が晶出する温度よりやや低い温度(好ましくはTm−2℃からTm−20℃)まで降温して温度保持することにより前駆体を水平方向に結晶成長させ、その後、徐冷することにより前駆体を上から下に結晶成長させる。
【0014】
徐冷段階で発生する成形体内部と外部との温度差を抑制してクラックを抑えるために、穴または溝の深さが板状成形体の厚さ方向の少なくとも半分以上の深さであり、板状成形体の平面に対する穴または溝の面積率が0.3%以上でなければ効果が低くなる。しかしながら、面積率を80%以上にすると溶融段階における形状維持が難しくなる。また、穴または溝の形状は、円筒が加工し易いが、角柱状や同心円の堀状、その他小さな円筒を複数同心円上に間隔を開けて形成しても良い。また、形成する穴または溝の位置を板状成形体の中心から周縁までの距離の1/2以内の位置にすると、磁気特性の効率が高くなる。
【0015】
また、前駆体がRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s( Cu1−dAgd )2O10−y相の少なくとも一方の相と液相になる温度Tm(溶融状態から降温した場合のRE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相の結晶化温度と同じ)は、各希土類元素を用いた場合には、図1に示すような温度であり、さらにAgを添加した場合には、各温度を基準にして、Agの添加量とともに図2に示すように変化する。なお、希土類元素を複数混合した場合には、図1に示す温度に各希土類元素のモル比率を掛けて加えた値になる。
【0016】
このような手法によると、冷却段階において前駆体の中心部と周縁部との温度差を低く抑えることが可能になり、大型試料の場合に中心付近に発生し易い微細な空孔や「す」の発生を抑制し、クラック等の結晶欠陥の発生を抑制し、厚さ方向の特性が均質となることから、電磁気特性に優れた大型の酸化物超電導体の薄い板を複数枚切り出すことが可能となり、大幅な低コストが可能となる。
【0017】
一般的にRE−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体において、REがNd、Sm、Gd、Dyから選ばれる1種または2種以上の元素を少なくとも50%以上含む場合や、RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相中に分散するRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s( Cu1−dAgd )2O10−y相のRE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相に対するモル比率が0.3より少ない場合には、高磁場における臨界電流密度特性を高め、厚さ方向の結晶性も均一にすることができる。
【0018】
さらに、8wt%以上のAgを含有させると、AgがRE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相中に微細に分散して機械強度が向上するとともに、上下方向の組成ズレが抑制されて、より大型で結晶欠陥の少ない酸化物超電導体を製造することができる。一方、60wt%以上のAgを含むようにすると、超電導体の体積分率が低すぎて、臨界電流密度などの特性が低くなる。
【0019】
さらに、上記の酸化物超電導体が、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Re、Ceの金属およびこれらの金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05〜5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重量で示す)含むようにすると、RE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相やRE4+rBa2+s( Cu1−dAgd )2O10−y相を微細にする効果がある。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明による酸化物超電導体およびその製造方法について詳細に説明する。
【0021】
[実施例1]
Sm2O3、BaCO3、CuOの各原料粉末をSm:Ba:Cu=1.4:2.2:3.2になるように秤量した後、BaCO3とCuOのみを880℃で30時間焼成して、BaCuO2とCuOの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO2:CuO=2.2:1.0)。次に、この仮焼粉に、予め秤量しておいたSm2O3とPt粉末(平均粒径0.01μm)およびAg2O粉末(平均粒径13.8μm)を、Pt含有量が0.42wt%、Ag含有量が15wt%になるように加えて混合して、大気中900℃で10時間焼成した。この仮焼粉をライカイ機で粉砕して、平均粒径約2μmとした。
【0022】
得られた仮焼粉の組成分析を行ったところ、図3に示すような値であった。また、得られた仮焼粉を粉末X線回折により分析したところ、Sm1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相およびSm2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−r相が確認された。ここで、Tmは、図1および図2から計算すると、1060−40=1020℃である。
【0023】
このようにして作製された合成粉を外径80mm、厚さ26mmの円板状にプレス成形し、片面の中心に直径8mm、深さ16mmの穴13aを開けて前駆体13を作製した(前駆体13の片面の面積に対する穴13aの面積率1%、穴13aを開けた後の前駆体13の体積130cm3)。次に、図4および図5に示すように、アルミナ基板12上に、予め溶融法により作製しておいた前駆体13と同一組成の厚さ4mm程度の複数のペレット片11を、前駆体13の中心の穴13aの直径8mmに対応する部分を除き、互いに1〜20mm程度の隙間を開けて敷いた。その上に、穴13aの開口部が下になるように前駆体13を載置し、2ゾーン型の炉体内に設置して以下の工程を行った。
【0024】
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にした後、前駆体13の上部が低温側になるように前駆体13の上下に10℃/cmの温度勾配を加えて、前駆体13の上部の温度が1025℃になるまで0.4℃/min(徐冷速度R=19.4×130-0.8(℃/min))で降温させた。次いで、予め溶融法で作製しておいたPtを0.5wt%含み且つAgを含まない縦横2mm、厚さ1mmのNd1.8Ba2.4Cu3.4Ox組成の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体13の上部の中心に接触させ、1025℃から1℃/hrの速度で1015℃まで降温させた。この温度で80時間保持した後、945℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体13の下部を20時間で945℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0025】
このようにして結晶化した材料をガス置換可能な別の炉の中に設置し、以下のようにアニール処理を行った。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間で降温させた。その後、同様のアニール処理をもう一回行った。
【0026】
このアニール処理の後、焼き縮みのため、前駆体13は外径67mm、厚さ22mmになり、穴13aは直径7mm,深さ13mmになっていた。この前駆体13を上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、Sm1 +pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相中に0.1〜30μm程度のSm2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相が微細に分散していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、粒径5〜200μm程度の空孔が分散して存在していた。また、材料全体が種結晶を反映して材料の軸方向がc軸と平行であるように均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の超電導材料が得られた。また、この材料の下部6mmをスライス切断した後、図6に示すように、この材料の中心付近(中心から半径の1/4以内の所)と周縁部付近(中心から半径の3/4以上の所)から、それぞれ2×4×20mmの試料21を切り出し、密度を測定したところ、中心付近の密度は7.10g/cm3(理論密度7.47g/cm3の95.0%)、周縁部付近の密度は7.20g/cm3(理論密度7.47g/cm3の96.4%)であり、穴13aを形成することにより空孔が減り、中心付近と周縁部付近の密度差が0.1g/cm3(理論密度の1.3%)と少なく、且つ高密度の材料を得ることができた。
【0027】
次に、この超電導体の上部から外径66mm、厚さ7mmの2枚のディスク状試料をスライス加工により切り出して、各々のディスク状試料の軸方向に外部磁場2T(テスラ)を加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定した。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、材料の軸方向の磁束密度分布を測定することによって行った。その結果、図7および図8に示すように、試料表面の最大捕捉磁場は、1段目の試料の表面では1.1T、2段目の試料の表面では0.8Tであり、特性がほぼ均質で薄い試料でも高い捕捉磁束密度特性を示す超電導体を2枚切り出すことができた。
【0028】
次に、この材料から2.5×2.5×2mmの試料を切り出して、振動試料型磁力計により磁化率を測定した。得られた磁化率曲線よりBeanモデルを適用して、温度77Kにおける臨界電流密度Jcを見積もったところ、図9に示すように高い臨界電流密度を示していた。
【0029】
[実施例2]
Gd2O3、BaCO3、CuOの各原料粉末をGd:Ba:Cu=1:2:3になるように秤量した後、混合し、920℃で30時間焼成した。次いで、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径3μmに粉砕し、再び930℃で30時間焼成した後、ライカイ機で平均粒径10μmに粉砕して、Gd1Ba2Cu3O7−xの粉末を作製した。また、上記の各原料粉末をGd:Ba:Cu=2:1:1になるように秤量した後、混合し、890℃で20時間焼成した。次いで、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径0.7μmに粉砕し、再び890℃で20時間焼成した後、この焼成した粉をポットミルを用いて平均粒径0.5μmに粉砕して、Gd2BaCuO5の粉末を作製した。次に、これらの仮焼粉をGd1Ba2Cu3O7−x:Gd2BaCuO5=1:0.4になるように秤量し、さらにPt粉末(平均粒径0.01μm)およびAg2O粉末(平均粒径13.8μm)をPt含有量が0.42wt%、Ag含有量が15wt%になるように加えて混合した。ここで、Tmは、図1および図2から計算すると、1030−40=990℃である。
【0030】
このようにして作製された合成粉を外径80mm、厚さ26mmの円板状にプレス成形し、図10に示すように、片面の中心およびその中心のまわりで互いに90°ずれた4箇所(図10に示す数値の単位はmm)に、直径6mm、深さ16mmの穴131aを開けて前駆体131を作製した(前駆体131の片面の面積に対する穴131aの面積率2.8%、穴131aを開けた後の前駆体131の体積128cm3)。次に、実施例1と同様に、アルミナ基板上に、予め溶融法により作製しておいた前駆体131と同一組成の厚さ4mm程度の複数のペレット片を、穴131aに対応する部分を除いて敷き、その上に、穴131aの開口部が下になるように前駆体131を載置し、2ゾーン型の炉体内に設置して以下の工程を行った。
【0031】
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にした後、前駆体131の上部が低温側になるように前駆体131の上下に10℃/cmの温度勾配を加えて、前駆体131の上部の温度が995℃になるまで0.4℃/min(徐冷速度R=19.4×128-0.8(℃/min))で降温させた。次いで、予め溶融法で作製しておいたPtを0.5wt%含み且つAgを含まないNd1.8Ba2.4Cu3.4Ox組成の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体131の上部に接触させ、995℃から1℃/hrの速度で985℃まで降温させた。この温度で100時間保持した後、915℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体131の下部を20時間で915℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0032】
このようにして結晶化した材料をガス置換可能な別の炉の中に設置し、以下のようにアニール処理を行った。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間で降温させた。その後、同様のアニール処理をもう一回行った。
【0033】
このアニール処理の後、焼き縮みのため、前駆体131は外径67mm、厚さ22mmになり、各々の穴131aは直径5mm、深さ13mmになっていた。この前駆体131を上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、Gd1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相中に0.1〜30μm程度のGd2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相が微細に分散していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、粒径5〜200μm程度の空孔が分散して存在していた。また、材料全体が種結晶を反映してディスク状材料の軸方向がc軸と平行であるように材料全体が均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の超電導材料が得られた。また、この材料の下部6mmをスライス切断した後、実施例1と同様にこの材料の中心付近(中心から半径の1/4以内の所)と周縁部付近(中心から半径の3/4以上の所)から、それぞれ2×4×20mmの試料を切り出し、密度を測定したところ、中心付近の密度は7.20g/cm3(理論密度7.68g/cm3の93.8%)、周縁部付近の密度は7.31g/cm3(理論密度7.68g/cm3の95.2%)であり、穴131aを形成することにより空孔が減り、中心付近と周縁部付近の密度差が0.11g/cm3と少なく、高密度で高強度の材料を得ることができた。
【0034】
次に、この超電導体を上部から外径66mm、厚さ7mmの2枚のディスク状試料をスライス加工により切り出して、各々のディスク状試料の軸方向に外部磁場2T(テスラ)を加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を実施例1と同様に測定した。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、材料の軸方向の磁束密度分布を測定することによって行った。その結果、試料表面の最大捕捉磁場は、1段目の試料の表面では1.1T、2段目の試料の表面では0.9Tであり、特性がほぼ均質で薄い試料でも高い捕捉磁束密度特性を示す超電導体を2枚切り出すことができた。
【0035】
次に、実施例1と同様に温度77Kにおける臨界電流密度Jcを見積もったところ、図11に示すように高い臨界電流密度が得られた。
【0036】
[実施例3]
RE2O3(REはモル比でSm50%、Gd50%)、BaCO3、CuOの各原料粉末をRE:Ba:Cu=1.6:2.3:3.3になるように秤量した後、BaCO3とCuOのみを880℃で30時間焼成して、BaCuO2とCuOの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO2:CuO=2.3:1.0)。次に、この仮焼粉に、予め秤量しておいたRE2O3および0.45wt%のPt粉末を加えるとともに、Ag元素量で10wt%になるようにAg2O粉末を加えて混合して、大気中900℃で10時間焼成した。得られた仮焼粉をライカイ機で粉砕して、平均粒径約2μmとした。
【0037】
得られた仮焼粉を粉末X線回折により分析したところ、RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相およびRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−r相が確認された。ここで、Tmは、図1および図2から計算すると、(1060×1/2+1030×1/2)−40=1005℃である。
【0038】
このようにして作製された合成粉を縦77mm、横62mm、厚さ26mmの略矩形の板状にプレス成形し、片面の中心に直径8mm、深さ16mmの穴132aを開けて前駆体132を作製した(前駆体132の片面の面積に対する穴132aの面積率1%、穴132aを開けた後の前駆体132の体積123cm3)。次に、実施例1と同様に、アルミナ基板上に、予め溶融法により作製しておいた前駆体132と同一組成の厚さ4mm程度の複数のペレット片を、穴132aに対応する部分を除いて敷き、その上に、穴132aの開口部が下になるように前駆体132を載置し、2ゾーン型の炉体内に設置して以下の工程を行った。
【0039】
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にした後、前駆体132の上部が低温側になるように前駆体132の上下に10℃/cmの温度勾配を加えて、前駆体132の上部の温度が1010℃になるまで0.4℃/min(徐冷速度R=19.4×123-0.8(℃/min))で降温させた。次いで、予め溶融法で作製しておいたPtを0.5wt%含み且つAgを含まないSm1.8Ba2.4Cu3.4Ox組成の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体132の上部に接触させ、1010℃から1℃/hrの速度で1000℃まで降温させた。この温度で90時間保持した後、930℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体132の下部を20時間で930℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0040】
このようにして結晶化した材料をガス置換可能な別の炉の中に設置し、以下のようにアニール処理を行った。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間で降温させた。その後、同様のアニール処理をもう一回行った。
【0041】
このアニール処理の後、焼き縮みのため、前駆体132は縦52mm、横63mm、厚さ22mmになり、穴132aは直径7mm、深さ13mmになっていた。この前駆体132を上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相中に0.1〜30μm程度のRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相が微細に分散していた。ここで、p、q、r、s、yはそれぞれ−0.2〜0.2の値であり、xは−0.2〜0.6の値であった。また、b、dは0.0〜0.05の値であり、平均的には0.008程度であった。さらに、試料全体にわたって0.1〜100μm程度のAgが微細に分散していた。また、粒径5〜200μm程度の空孔が分散して存在していた。また、材料全体が種結晶を反映してディスク状材料の軸方向がc軸と平行であるように均一に配向し、隣接する結晶間の方位のずれが3°以下であり、実質的に単結晶状の超電導材料が得られた。また、この板状材料の下部6mmをスライス切断した後、図12のように、この材料の中心付近(中心から短辺の長さの1/4以内の所)と周縁部付近(中心から短辺の長さの3/4以上の所)から、それぞれ2×4×20mmの試料212を切り出し、密度を測定したところ、中心付近の密度は7.0g/cm3(理論密度7.40g/cm3の94.6%)、周縁部付近の密度は7.1g/cm3(理論密度7.40g/cm3の95.9%)であり、穴132aを形成することにより空孔が減り、中心付近と周縁部付近の密度差が0.1g/cm3と少なく、高密度で高強度の材料を得ることができた。
【0042】
次に、この超電導体を上部から外径66mm、厚さ7mmの2枚のディスク状試料をスライス加工により切り出して、各々のディスク状試料の軸方向に外部磁場2T(テスラ)を加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を実施例1と同様に測定した。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、材料の軸方向の磁束密度分布を測定することによって行った。その結果、試料表面の最大捕捉磁場は、1段目の試料の表面では1.1T、2段目の試料の表面では0.9Tであり、特性がほぼ均質で薄い試料でも高い捕捉磁束密度特性を示す超電導体を2枚切り出すことができた。
【0043】
次に、実施例1と同様に温度77Kにおける臨界電流密度Jcを見積もったところ、図13に示すように高い臨界電流密度が得られた。
【0044】
[比較例]
実施例1と同様の方法により作製された合成粉を外径80mm、厚さ26mmの円板状にプレス成形して前駆体を2個作製した。これらのうち一方の前駆体の片面の中心に直径4mm、深さ16mmの穴を開けた(前駆体の片面の面積に対する穴の面積率0.25%、穴を開けた後の前駆体の体積130cm3)。次に、これらの前駆体をアルミナ基板上に直接載置して、2ゾーン型の炉体内に設置して以下の工程を行った。
【0045】
まず、室温から70時間で1100℃まで昇温させ、この温度で20分間保持して半溶融状態にした後、前駆体の上部が低温側になるように前駆体の上下に10℃/cmの温度勾配を加えて、前駆体の上部の温度が1025℃になるまで1℃/minで降温させた。次いで、予め溶融法で作製しておいたPtを0.5wt%含み且つAgを含まない縦横2mm、厚さ1mmのNd1.8Ba2.4Cu3.4Ox組成の種結晶を、成長方向がc軸と平行になるように前駆体の上部の中心に接触させ、1025℃から1℃/hrの速度で1015℃まで降温させた。この温度で80時間保持した後、945℃まで70時間かけて徐冷し、その後、上下の温度勾配が0℃/cmになるように前駆体の下部を20時間で945℃になるように冷却し、その後、室温まで100時間かけて徐冷して結晶化を行った。
【0046】
このようにして結晶化した材料をガス置換可能な別の炉の中に設置し、以下のようにアニール処理を行った。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、炉内に酸素ガスを流し込んで、酸素分圧が99%以上である大気圧の雰囲気にした。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温させ、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間で降温させた。その後、同様のアニール処理をもう一回行った。
【0047】
このアニール処理の後、焼き縮みのため、前駆体は外径67mm、厚さ22mmになり、穴を開けた試料の穴の直径は3.5mm、深さは13mmになっていた。これらの前駆体を上下方向の中心付近で切断して断面をEPMAで観察したところ、どちらも実施例1とほぼ同様な組織が得られた。しかしながら、どちらの試料においても中心付近においてa軸とb軸に沿ったマイクロクラックが発生していた。また、このディスク状材料の下部6mmをスライス切断した後、実施例1と同様に2×4×20mmの試料を切り出し、密度を測定したところ、穴を開けていない試料は、中心付近の密度が6.82g/cm3(理論密度7.47g/cm3の91.3%)、周縁部付近の密度が7.20g/cm3(理論密度7.47g/cm3の96.4%)であり、穴を開けた試料は、中心付近の密度が6.90g/cm3(理論密度7.47g/cm3の92.3%)、周縁部付近の密度が7.20g/cm3(理論密度7.47g/cm3の96.4%)であり、穴を開けていない試料では、冷却の際に内外の温度差が発生し、内部に空孔が集中して、大きな密度差0.38g/cm3(理論密度の5.1%)が発生し、穴を開けた試料においても、穴の面積率が小さく、基板に密着させて結晶化させたために、穴の内部への熱の対流が十分に起こらず、やや大きな密度差0.30g/cm3(理論密度の4.0%)が発生していた。
【0048】
次に、この超電導体を上部から外径66mm、厚さ7mmの2枚のディスク状試料をスライス加工により切り出して、各々のディスク状試料の軸方向に外部磁場2T(テスラ)を加えながら室温から温度77Kまで冷却した後、磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定した。この測定は、ホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、材料の軸方向の磁束密度分布を測定することによって行った。その結果、試料表面の最大捕捉磁場は、穴を開けていない試料では、1段目の試料の表面で0.3T、2段目の試料の表面で0.3Tであり、穴を開けた試料では、1段目の試料の表面で0.4T、2段目の試料の表面で0.3Tであり、マイクロクラックのために捕捉磁束密度特性が低かった。
【0049】
次に、実施例1と同様に温度77Kにおける臨界電流密度Jcを見積もったところ、ほぼ実施例と同程度の値であった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、前駆体の中心付近に穴または溝を形成するとともに、前駆体の下部に隙間ができるように中間層を敷いてその上に前駆体を載置し、前駆体を加熱溶融した後に、適切な速度で徐冷して結晶成長させることにより、電気特性、磁気特性、機械強度に優れた大型で厚さ方向に均質な酸化物超電導体を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】REとして各希土類金属元素を用いた場合のRE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相の融点(結晶化温度)Tmを示す図。
【図2】Agの添加量とRE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相の融点(結晶化温度)Tmの補正値との関係を示す図。
【図3】実施例1で製造した前駆体の組成を示す図。
【図4】実施例1の前駆体を載置する手法を示す斜視図。
【図5】実施例1の前駆体を載置する手法を示す側面図。
【図6】実施例1で製造した酸化物超電導体の密度分布を測定した場所を示す斜視図。
【図7】実施例1で製造した酸化物超電導体の上部の1段目の7mmの捕捉磁束密度を測定した結果を示す図。
【図8】実施例1で製造した酸化物超電導体の上部から2段目の7mmの捕捉磁束密度を測定した結果を示す図。
【図9】実施例1で製造した酸化物超電導体の臨界電流密度の磁場依存性を示す図。
【図10】実施例2の前駆体に形成する穴の位置を示す平面図。
【図11】実施例2で製造した酸化物超電導体の臨界電流密度の磁場依存性を示す図。
【図12】実施例3で製造した酸化物超電導体の密度分布を測定した場所を示す斜視図。
【図13】実施例3で製造した酸化物超電導体の臨界電流密度の磁場依存性を示す図。
【符号の説明】
11 ペレット片
12 アルミナ基板
13、131、132 前駆体
13a、131a、132a 穴
21、212 密度測定用切り出し試料
Claims (11)
- RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x(REは1種または2種以上の希土類金属元素、−0.2≦p≦0.2、−0.2≦q≦0.2、0≦b≦0.05、−0.2≦x≦0.6)相中に、RE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s(
Cu1−dAgd )2O10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.05、−0.2≦y≦0.2)の少なくとも一方の相が微細に分散した酸化物超電導体において、穴または溝を有し、中心部と周縁部の密度差が理論密度の3%以下であることを特徴とする酸化物超電導体。 - 前記酸化物超電導体が、8wt%乃至60wt%のAgを含むことを特徴とする、請求項1に記載の酸化物超電導体。
- 前記酸化物超電導体が、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Re、Ceの金属およびこれらの金属の化合物から選ばれる1種以上を0.05wt%乃至5wt%(化合物の場合はその金属のみの元素重量で示す)含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の酸化物超電導体。
- 前記前駆体の片面の面積に対する前記穴または溝の面積率が0.3%以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の酸化物超電導体。
- 前記REがNd、Sm、Gd、Dyから選ばれる1種または2種以上の元素を少なくとも50%以上含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化物超電導体。
- RE化合物(REはYを含む1種または2種以上の希土類金属元素)とBa化合物とCu化合物とを含む原料混合体を、この原料混合体の融点より高い温度で加熱溶融した後に、徐冷して結晶を成長させることによりRE−Ba−Cu−O系の酸化物超電導体を製造する方法において、前記原料混合体から、一方の面の面積に対する面積率が0.3%以上の穴または溝を有する前駆体を作製し、この前駆体の下部に隙間ができるように中間層を敷いてその上に前駆体を載置し、前記前駆体を加熱溶融した後に、RE 1+p Ba 2+q (Cu 1−b Ag b ) 3 O 7−x 相が晶出する温度Tmよりも0℃から20℃高い温度まで徐冷し、その後、前記前駆体の上部に種結晶を設置し、その後、前記前駆体を徐冷して結晶成長させることを特徴とする酸化物超電導体の製造方法。
- 前記RE1+pBa2+q(Cu1−bAgb)3O7−x相が晶出する温度Tmよりも0℃から20℃高い温度まで徐冷する際の徐冷速度R(℃/min)が、前記前駆体の体積をV(cm3)として−0.5+19.4×V-0.8から+0.5+19.4×V-0.8までの範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の酸化物超電導体の製造方法。
- 前記加熱溶融工程の後に、前記前駆体の上部が低温側になるように前記前駆体の上下に1乃至30℃/cmの温度勾配を加えた後、種結晶を設置して、その後、前記前駆体を徐冷して結晶成長させることを特徴とする、請求項6または7に記載の酸化物超電導体の製造方法。
- 前記加熱溶融する温度が、前記前駆体がRE2+rBa1+s(Cu1−dAgd)O5−y相およびRE4+rBa2+s(
Cu1−dAgd )2O10−y相(−0.2≦r≦0.2、−0.2≦s≦0.2、0≦d≦0.05、−0.2≦y≦0.2)の少なくとも一方の相と液相になる温度であることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれかに記載の酸化物超電導体の製造方法。 - 前記中間層が、互いに隙間をあけて敷かれた複数のペレット片であることを特徴とする、請求項6乃至9のいずれかに記載の酸化物超電導体の製造方法。
- 前記前駆体の上部に種結晶を設置した後に前駆体を徐冷する際に、RE 1+p Ba 2+q (Cu 1−b Ag b ) 3 O 7−x 相が晶出する温度Tmより2℃から20℃低い温度まで降温して温度保持し、その後、前記前駆体を徐冷して結晶成長させることを特徴とする、請求項6乃至10のいずれかに記載の酸化物超電導体の製造方法。
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