JP3912890B2 - 酸化物超電導体積層体およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体積層体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、磁気軸受け、磁気シールド、バルクマグネット等に用いられる電磁気特性、機械強度及び耐環境性に優れた酸化物超電導体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受け、磁気シールド、バルクマグネット等に用いられる高密度に磁束を捕捉できる酸化物超電導体としては、例えば、特開平3−158819号公報に記載されたYBaCu相中にYBaCuO相が微細に分散した酸化物超電導体が知られている。この公報に記載の酸化物超電導体は、Y、Ba、Cuを含む原料混合体を成形し、半溶融状態にした後、結晶化を行う際に高融点の種結晶を用いることによって大きく配向した結晶を成長させる手法を用いて製造されたものである。この酸化物超電導体は、試料全体に配向が揃った直径70mm厚さ20mm程度の結晶を有するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者等の研究によると、高密度に磁束を捕捉する能力(以下捕捉磁束密度特性という)は、材料の配向方向及び形状に強く依存し、結晶の配向方向と特定の関係にある方向に所定以上の厚さもしくは体積を有するような形状にしなければ所定以上の捕捉磁束密度特性を確保できないという効果(以下、形状効果又は反磁場効果という)のあることがわかった。
【0004】
しかしながら、前記従来の手法では、形状効果を抑えるために厚い材料を一体物で作製しようとしても、結晶配向の再現性が試料下部で低くなり、また、半溶融状態となったときに自重でクラックの発生等が起こるため、製造が困難でコストも高くなっていた。
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決し、より高い磁石との磁気反発力を有する酸化物超電導体積層体及びその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明にかかる酸化物超電導体積層体は、
(構成1) 隣接する超電導結晶間の方位のズレが±5゜以下である配向したREーBaーCuーO系酸化物超電導体を該超電導体結晶のc軸に垂直な面であるab面に対して角度のズレが15°以内である面に沿って切断して複数のスライス片を作製し、これらスライス片の切断面どうしを突き合わせて重さね合わせて積層体を形成するとともに、この積層体の前記スライス片の切断面に直交する方向の厚さtと前記切断面に平行な面の断面の断面積Aの平方根との比t/(A(1/2))が0.2以上となるようにしたことを特徴とする。
【0007】
この構成1の態様として、
(構成2) 構成1の酸化物超電導体がRE1−xBa2+yCu(REはYを含む1種もしくは2種以上の希土類元素)相中にRE2(1−q)Ba1+rCuO5+s相ないしRE4(1−q)Ba2(1+r)Cu2(5+s)相が微細に分散した酸化物超電導体あることを特徴とする。
【0008】
(ここで、RE1−xBa2+yCu相とはx,y,dがそれぞれ−0.3<x<0.3, −0.3<y<0.3, 6.5<d<7.5の範囲である値をとる相が1種以上存在し、且つREBaCu相以外の相が存在する相である。また、RE2(1−q)Ba1+rCuO5+s相及びRE4(1−q)Ba2(1+r)Cu2(5+s)相とはq,r,sがそれぞれ−0.3<q<0.3, −0.3<r<0.3, −0.5<s<0.5の範囲である値をとる相が一種以上存在する相である。)
また、本発明にかかる酸化物超電導体積層体の製造方法は、
(構成3) RE化合物(REはYを含む1種又は2種以上の希土類元素)、Ba化合物及びCu化合物を含む原料混合体に、少なくとも該原料混合体の融点より高い温度領域における焼成工程を含む処理を施してREーBaーCuーO系酸化物超電導体を製造する方法を用い、該製造方法による製造過程で前記原料混合体を所定の温度で焼成した後に、この焼成粉を厚さ10mm以上70mm以下に成形して半溶融状態にした後、結晶化を行ってREーBaーCuーO系酸化物超電導体を作製し、次に、この酸化物超電導体を該超電導体結晶のc軸に垂直な面であるab面に対して角度のズレが15°以内である面に沿って切断して複数のスライス片を作製し、これらスライス片の切断面どうしを突き合わせて重さね合わせて積層体を形成するとともに、この積層体の前記スライス片の切断面に直交する方向の厚さtと前記切断面に平行な面の断面の断面積Aの平方根との比t/(A(1/2))が0.2以上となるようにしたことを特徴とする。
【0009】
上述の構成において、積層体の前記スライス片の切断面に直交する方向の厚さtと前記切断面に平行な面の断面の断面積Aの平方根との比t/(A(1/2))が0.2未満では形状効果(反磁場効果)により実質的に捕捉できる磁束密度が低くなり、また磁気反発力も同じく形状効果(反磁場効果)により加わる磁場が強まるために低くなってしまう。t/(A(1/2))の値は0.2以上であれば所望の特性が得られる。
【0010】
また、例えば磁気反発力を得るために磁石を近づける材料面は結晶のab面とのズレが最大でも15゜以下、より望ましくは10°以下であることが好ましい。さらに、積層する際のお互いの材料の結晶のc軸方向のズレは15゜以下、より望ましくは10°以下であることが好ましい。但し、材料のJcが2000A/cm以下の焼結体のように粒界が存在する超電導体では粒界からの磁束の漏れがあるために形状効果は小さく、積層してもその効果は低い。
【0011】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
、BaCO、CuOの各原料粉末をY:Ba:Cu=18:24:34になるように秤量した後、BaCO、CuOのみを880℃で30時間保持する焼成を行ってBaCuOとCuOの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO:CuO=24:10)。この仮焼粉とあらかじめ秤量しておいたYと更に全体に対して0.5wt%のPt粉末を加えて混合して880℃で10時間保持する焼成を行い、その後平均粒径約10μmに粉砕した。次にこの仮焼粉を直径83mm厚さ25mmのディスク状に金型を用いて全圧2ton/cmで一軸プレス成形し、成形体を作製した。
【0012】
次に、この成形体をアルミナ基板上にのせて、1150℃で半溶融状態にした後、上部が低温側となるように5℃/cmの温度勾配を加えて、成形体上部が1000℃となるまで10℃/minで降温し、予め溶融法で作製しておいたY1.8(Ba0.75Sr0.252.4Cu3.4組成の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の上部に接触させる。そこから0.5℃/hrの速度で990℃まで降温した後100時間温度保持し、920℃まで70時間で降温し、そこから室温まで20時間かけて徐冷することによって結晶化を行った。
【0013】
作製した試料は焼き縮みのために直径70mm、厚さ20mmのデイスク状となっていた。結晶化した試料はガス置換を行える炉の中に設置される。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、酸素ガスを流し込んで酸素分圧が95%以上である大気圧の酸素雰囲気にする。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温し、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、200℃から室温まで10時間で降温させることにより超電導体材料を製造した。
【0014】
得られた材料を切断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YBaCu7−X相中に0.1〜30μm程度のYBaCuO相が微細に分散していた。また、種結晶を反映して材料のほとんどの部分がc軸に配向し、隣接する結晶間の方位のズレが5゜以下である実質的に単結晶状の材料が得られていることがわかった。
【0015】
この材料の中心軸付近に沿って最表面から2mm間隔で2.8×2.8×2mm(c軸方向の厚さが2mm)程度の単一結晶粒を切り出し、臨界電流密度を測定したところ、図1に示されるような値であった。
【0016】
また、上記実施例の方法で製造した材料の比較的臨界電流密度の低い上部から下部に2mmまでの部分と、下部から上部に8mmまでの部分を切り取ってスライス片を作製した。この場合、切断面と結晶のab面とのズレ角が最大15゜程度となるように切断した。このスライス片は直径70mm厚さ10mmのデイスク状をなしたものである。切断面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根は((70/2)×π)(1/2)であり、約62である。
【0017】
このスライス片と同じスライス片を複数枚作製し、お互いの結晶のc軸方向のズレが15゜以下であるように揃えて、それぞれ2,6,9枚重ね合わせて、直径70mm厚さはそれぞれ20mm、60mm、90mmである3つの酸化物超電導体積層状体を形成した。次に、内径が70mm、外径が80mm、深さがそれぞれ20mm、60mm、90mmで、底の厚さが3mmの3つの非磁性ステンレス製の有底円筒容器を用意し、これらに上記3つの酸化物超電導体積層体をそれぞれ嵌め込み、容器の上部解放部を厚さ0.2mmで同じ材料の非磁性ステンレス蓋で塞ぎ、ステンレス用半田で接着することによって、上記3つの酸化物超電導体積層体を固定した。なお、酸化物超電導体積層体の固定方法としては、上記方法以外に、例えば、超電導体積層体を型枠内に設置し、室温硬化型シリコンゴム又は低温半田等の300℃以下での処理で硬化する材料を流し込むことにより固定したり、同じRE系の超伝導ペーストを各々のスライス片の接触面に塗布して所定の熱処理を行って接着して固定してもよい。この場合、本発明においては、主としてスライス面に対して垂直な方向から磁場を加えた場合にその効果が高くなるものであり、したがって、各々のスライス片の接触面での超電導特性の有無はそれ程その効果に影響を与えない。
【0018】
これらの超電導体積層体に外部磁場2Tを加えながら室温から温度77Kまで冷却し、その後磁場を取り去って超電導体中に捕捉される磁束密度を測定した。測定はホール素子をXYステージに取り付けて超電導体表面から約0.1mmの距離で超電導体表面に沿って移動させ、ディスク状材料の軸方向の磁束密度分布を測定した。積層数が2,6,9枚の超電導体の磁束密度分布をそれぞれ図2、3、4に示す。それぞれ、最大捕捉磁束密度が1.0、1.5、1.8[T]が得られた。
【0019】
さらに、これらをロードセルの先端に取り付けた直径39.2mm、内径16mm、厚さ49mmのNdーFeーB系磁石(表面最大磁束密度0.53T)を用いてオートグラフによって各々超電導体との磁気反発力を測定した。
【0020】
まず、リング磁石の軸方向とディスク状超電導体の軸方向がほぼ一致するように磁石を超電導体から300mm離して設置する。超電導体を液体窒素中に漬けて温度77Kに冷却した後、磁石を軸方向に沿って速度5mm/minで超電導体に近づける。超電導体と磁石との間隔が0.1mmとなるまで磁石を近づけて、この時発生する反発力を測定した。超電導体と磁石との間隔が0.1mmのときの磁気反発力を図5に示す。
【0021】
この実施例の超電導体積層体は、材料中いたるところほぼ均一に高い臨界電流密度を有する材料を用いて、お互いの結晶のc軸方向のズレが15゜以下であるように、且つ、切断面に垂直な方向(略c軸方向)の厚さtと切断面に平行な面(略ab面)に沿った断面の断面積Aの平方根との比がそれぞれ20/62(=0.32)、60/62(=0.97)、90/62(=1.45)と大きくなるように積層したために、大きな捕捉磁束密度特性及び磁気反発力特性が得られた。
【0022】
(実施例2)
、BaCO3、CuOの各原料粉末をY:Ba:Cu=18:24:34になるように秤量した後、BaCO、CuOのみをPt坩堝中で、980℃で10時間保持する焼成をしてBaCuOとCuOの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO:CuO=24:10)。この仮焼粉とあらかじめ秤量しておいたYとを混合して880℃で10時間保持する焼成を行い、その後平均粒径約10μmに粉砕した。
【0023】
次に、この仮焼粉を82mm×53mm、厚さ25mmの板状に金型を用いて全圧2ton/cmで一軸プレス成形し、成形体を作製した。次に、この成形体をアルミナ基板上にのせて、1150℃で半溶融状態にした後、上部が低温側となるように5℃/cmの温度勾配を加えて、成形体上部が1000℃となるまで10℃/minで降温し、予め溶融法で作製しておいたY1.8(Ba0.75Sr0.252.4Cu3.4組成の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の上部に接触させる。そこから0.5℃/hrの速度で990℃まで降温した後100時間温度保持し、920℃まで70時間で降温し、そこから室温まで20時間かけて徐冷することによって結晶化を行った。作製した試料は焼き縮みのために70mm×45mm、厚さ20mmの板状となっていた。
【0024】
結晶化した試料はガス置換を行える炉の中に設置される。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、酸素ガスを流し込んで酸素分圧が95%以上である大気圧の酸素雰囲気にする。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温し、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、200℃から室温まで10時間で降温させることにより超電導体材料を製造した。
【0025】
得られた材料を切断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YBaCu7−X相中に0.1〜30μm程度のYBaCuO相が微細に分散していた。また、種結晶を反映して材料のほとんどの部分がc軸に配向し、隣接する結晶間の方位のズレが5゜以下である実質的に単結晶状の材料が得られた。臨界電流密度の厚さ方向の分布は実施例1とほぼ同程度であった。
【0026】
また、上記実施例の方法で製造した材料の比較的臨界電流密度の低い上部から下部に2mmまでの部分と、下部から上部に8mmまでの部分を切り取ってスライス片を作製した。この場合、切断面と結晶のab面とのズレ角が最大15゜程度となるように切断した。このスライス片は直径70mm×45mm、厚さ10mmの長方形の板状をなしたものである。切断面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根は(70×45)(1/2)であり、約56である。
【0027】
こうして作製したスライス片と同じスライス片を複数枚作製し、お互いの結晶のc軸方向のズレが少なくとも15゜以下であるように揃えて、6枚重ね合わせることにより、70mm×45mm、厚さが60mmである直方体状の超電導体積層体を作製した。なお、超電導体積層体の固定方法は実施例1と同様の方法を用いた。以下の実施例等も同様である。
【0028】
この超電導体積層体が捕捉できる最大磁束密度を実施例1と同様にして測定したところ約1.2Tが得られた。
【0029】
さらに、実施例1と同様に磁石との磁気反発力を測定したところ、17kgと高い値が得られた。
【0030】
この実施例においても、材料中いたるところ、ほぼ均一に高い臨界電流密度を有する材料を用いて、お互いの結晶のc軸方向のズレが15゜以下であるように、且つ、切断面に垂直な方向(略c軸方向)の厚さtと切断面(略ab面)に沿った断面の断面積Aの平方根との比がそれぞれ60/56(=1.07)と大きくなるように積層したために、大きな捕捉磁束密度特性及び磁気反発力特性が得られた。
【0031】
(実施例3)
実施例2と同様にして70mm×45mm、厚さ20mmの板状の超電導体材料を作製した。
【0032】
次に、この超電導体材料の比較的臨界電流密度の低い上部から下部に2mmまでの部分と、下部から上部に8mmまでの部分を切り取ってスライス片を作製した。この場合、切断面と結晶のab面とのズレ角が最大15゜程度となるように切断した。
【0033】
このスライス片は直径70mm×45mm、厚さ10mmの長方形の板状をなしたものである。切断面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根は(70×45)(1/2)であり、約56である。これを材料(3ー1)とする。
【0034】
次に、同型状の別の材料を用いて、同じく上部から下部に2mmまでの部分と、下部から上部に8mmまでの部分を切り取ってスライス片を作製した。この場合、切断面と結晶のab面とのズレ角が最大15゜程度となるように切断した。
【0035】
次に、このスライス片の上面を切削加工し、図6に示されるように、この上面が該スライス片の長手方向と平行な軸を有する直径120mmの円筒の内周面の一部を構成する曲面に形成した。このスライス片の切断面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根は(70×45)(1/2)であり、約56である。また、切断面に垂直な方向(略c軸方向)の厚さは最大で10mm、最小で5.43mmである。これを材料(3ー2)とする。
【0036】
次に、材料(3ー1)2枚と材料(3ー2)1枚とをお互いのc軸方向のズレが少なくとも15゜以下であるように図7のように揃えて重ね合わせることにより、超電導体積層体を作製した。
【0037】
さらに、材料(3ー2)を磁石側にして、超電導体積層体材料の中心と磁石の中心とをほぼ合わせて、磁石の端部が材料(3ー2)と接触する0.1mm手前まで近づけて、実施例1と同様に磁石との磁気反発力を測定したところ、15kgと高い値が得られた。
【0038】
以上のように、材料中いたるところ、ほぼ均一に高い臨界電流密度を有する材料を用いて、お互いの結晶のc軸方向のズレが15゜以下であるように、且つ、スライス片の切断面に垂直な方向(略c軸方向)の厚さtと切断面に平行な面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根Aとの比が最大で30/56(=0.53)、最小で25.43/56(=0.45)と大きくなるように積層したために、大きな磁気反発力特性が得られた。
【0039】
(比較例1)
、BaCO、CuOの各原料粉末をY:Ba:Cu=18:24:34になるように秤量した後、BaCO、CuOのみを880℃で30時間焼成してBaCuOとCuOの仮焼粉を得た(モル比でBaCuO:CuO=24:10)。この仮焼粉とあらかじめ秤量しておいたYと更に全体に対して0.5wt%のPt粉末を加えて混合して880℃で再度焼成し、その後平均粒径約10μmに粉砕した。
【0040】
次に、この仮焼粉を直径83mm厚さ75mmのデイスク状に金型を用いて全圧2ton/cmで一軸プレス成形し、成形体を作製した。次に、この成形体をアルミナ基板上にのせて、1150℃で半溶融状態にした後、上部が低温側となるように5℃/cmの温度勾配を加えて、成形体上部が1000℃となるまで10℃/minで降温し、予め溶融法で作製しておいたY1.8(Ba0.75Sr0.252.4Cu3.4組成の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の上部に接触させる。そこから0.5℃/hrの速度で990℃まで降温した後100時間温度保持し、920℃まで70時間で降温し、そこから室温まで20時間かけて徐冷することによって結晶化を行った。作製した試料は焼き縮みのために直径70mm、厚さ60mmのデイスク状となっていた。
【0041】
結晶化した試料はガス置換を行える炉の中に設置される。まず、ロータリーポンプで0.1Torrまで炉内を排気した後、酸素ガスを流し込んで酸素分圧が95%以上である大気圧の酸素雰囲気にする。その後も0.5L/minの流量で酸素ガスを炉内に流しながら、室温から450℃まで10時間で昇温し、450℃から250℃まで200時間かけて徐冷し、200℃から室温まで10時間で降温させることにより超電導体材料を製造した。
【0042】
得られた材料を切断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YBaCu7−X相中に0.1〜30μm程度のYBaCuO相が微細に分散していた。しかしながら、材料上部厚さ35mmまでは種結晶を反映してほぼc軸に配向していたが、材料下部では異方位の核が一部発生していた。さらに、半溶融状態になったときに自重により材料下部にクラックが発生していた。
【0043】
この材料の中心軸付近に沿って最表面から6mm間隔で2.8×2.8×2mm(c軸方向の厚さが2mm)程度の単一結晶粒を切り出し、臨界電流密度を測定したところ図8のような値であった。
【0044】
この材料をこのまま未加工で捕捉できる最大磁束密度を実施例1と同様にして測定したところ約0.7Tと低かった。さらに、実施例1と同様に磁石との磁気反発力を測定したところ、12kgと値が低かった。このように、厚さ方向に大きな材料を作製しようとしても、異方位の核発生や、半溶融時にクラック等が発生してしまうことから、特性が低く抑えられていた。
【0045】
(比較例2)
実施例1と同様にして直径70mm厚さ20mmのデイスク状超電導体材料を作製した。未加工のままこの超電導体が捕捉できる最大磁束密度を実施例1と同様にして測定したところ約0.6Tと低かった。
【0046】
また、実施例1と同様に磁石との磁気反発力を測定したところ、11kgと値が低かった。このように、20mm程度の厚さであればクラックや異方位の結晶が無い材料を作製することが可能であるが、育成起点の表面付近はYBaCuO相が比較的大きくなってしまうために、材料下部は基板材料との反応により、共に臨界電流密度が低くなるため、実質的に有効な厚い材料とはならないため、磁気特性が低かった。
【0047】
(比較例3)
実施例1と同様にして直径70mm厚さ20mmのデイスク状超電導体材料を作製した。この材料の比較的臨界電流密度の低い上部から下部に2mmまでの部分と、下部から上部に8mmまでの部分を切り取ってスライス片を作製した。この場合、切断面と結晶のab面とのズレ角が最大15゜程度となるように切断した。このスライス片は直径70mm厚さ10mmのディスク状である。
【0048】
この超電導体が捕捉できる最大磁束密度を実施例1と同様にして測定したところ約0.6Tと低かった。さらに、実施例1と同様に磁石との磁気反発力を測定したところ、11kgと値が低かった。このように、切断面に垂直な方向(略c軸方向)の厚さtと切断面に平行な面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根Aとの比が10/62(0.16)と小さいために磁気特性が低かった。
【0049】
(比較例4)
実施例3で作製した超電導体材料(3ー2)1枚について実施例1と同様に磁石との磁気反発力を測定したところ、切断面に垂直な方向(略c軸方向)の厚さと切断面と平行な面(略ab面)に沿った断面の断面積の平方根との比が最大10/56(=0.18)、最小5.43/56(=0.10)と小さかったために、7kgと値が低かった。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明は、隣接する超電導結晶間の方位のズレが±5゜以下である配向したREーBaーCuーO系酸化物超電導体を該超電導体結晶のc軸に垂直な面であるab面に対して角度のズレが15°以内である面に沿って切断して複数のスライス片を作製し、これらスライス片の切断面どうしを突き合わせて重さね合わせて積層体を形成するとともに、この積層体の前記スライス片の切断面に直交する方向の厚さtと前記切断面に平行な面の断面の断面積Aの平方根との比t/(A(1/2))が0.2以上となるようにしたことを特徴とするもので、これによって形状効果を抑えて大きな捕捉磁束密度特性及び磁気反発力特性が得ているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で製造した材料の厚さ方向の臨界電流密度値を示す図である。
【図2】 実施例1で製造した直径70mm厚さ20mmの材料の捕捉磁束密度特性を示す図である。
【図3】 実施例1で製造した直径70mm厚さ60mmの超電導体積層体材料の捕捉磁束密度特性を示す図である。
【図4】 実施例1で製造した直径70mm厚さ90mmの超電導体積層体材料の捕捉磁束密度特性を示す図である。
【図5】 実施例1で製造した超電導体積層体材料の磁気反発力特性を示す図である。
【図6】 実施例3で製造したスライス片の加工後の概略図である。
【図7】 実施例3で製造した超電導体積層体材料の概略図である。
【図8】 比較例1で製造した材料の厚さ方向の臨界電流密度値を示す図である。

Claims (1)

  1. RE化合物(REはYを含む1種又は2種以上の希土類元素)、Ba化合物及びCu化合物を含む原料混合体に、少なくとも該原料混合体の融点より高い温度領域における焼成工程を含む処理を施してRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体を製造する方法を用い、該製造方法による製造過程で前記原料混合体を所定の温度で焼成した後に、この焼成粉を厚さ10mm以上70mm以下に成形して半溶融状態にした後、結晶化を行ってRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体を、複数作製し、
    次に、この複数の酸化物超電導体を、該超電導体結晶のc軸に垂直な面であるab面に対して角度のズレが15°以内である面に沿って上部と下部の部分を切断してスライス片を作製し、これら複数のスライス片の切断面同士を突き合わせて重ね合わせて積層体を形成するとともに、この積層体の前記スライス片の切断面に直交する方向の厚さtと前記切断面に平行な面の断面の断面積Aの平方根との比t/(A(1/2))が0.2以上となるようにしたことを特徴とする酸化物超電導体積層体の製造方法。
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