JP3621750B2 - 酸化物超電導材料の製造方法 - Google Patents
酸化物超電導材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3621750B2 JP3621750B2 JP13117295A JP13117295A JP3621750B2 JP 3621750 B2 JP3621750 B2 JP 3621750B2 JP 13117295 A JP13117295 A JP 13117295A JP 13117295 A JP13117295 A JP 13117295A JP 3621750 B2 JP3621750 B2 JP 3621750B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- precursor
- crystal
- seed crystal
- superconducting material
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
Landscapes
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明はREBa2 Cu3 O7−x 型(123型)(REはY,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luまたはこれらの組み合わせ)の酸化物超電導体相を有するバルク超電導材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術は、結晶成長させる前の成形体(前駆体)を重ねクエンチ法やRE,Ba,Cuの複合酸化物の混合粉末をRE組成を変えながら層状に成形するRE勾配法により作製し、これを半溶融状態に加熱した後、数mm角の小型の種結晶をその上に乗せ123相の核生成や結晶方位を制御し、徐冷することで結晶の大型化が行われていた(Advances in Superconductivity III (Springer−Verlag.Tokyo,1990)p.733)。また、結晶成長時に前駆体を支持する方法として、RE成分を変えた層をアルミナなどの支持材と前駆体との間に挿入して、不純物の混入や多結晶化を抑制している(U.S.Patent 5,308,799、または特開平5−301797参照)。そしてこのようにして得られる超電導材料の組織は、単結晶状の123相中に211相が微細分散している。またこのような材料の臨界電流密度Jcは77K,1Tで1万A/cm2 を超える高い特性が得られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記バルク材料は123相中の大傾角粒界を極力排除し、単結晶状にする必要がある。そのため、バルク材の製造方法は基本的に単結晶の製造法となり、長時間の熱処理が必要となる。上記の従来技術である小さな種結晶を用いる製造法では、製造効率および単結晶化の歩留まりに限界があり、より高い信頼性を有しかつ高い効率でのより大型の材料の製造方法の開発が課題となっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するものであって、REBa2Cu3O7-x系超電導材料(REはYを含む希土類元素の1種類、または2種類以上の組み合わせ)において、RE2BaCuO5相が分散したREBa2Cu3O7-x相の結晶を製造するにあたり、 RE、Ba、Cuの酸化物粉末を含む成形体である少なくとも 75mm 以上の部位を有する前駆体の下に前駆体の Tf より高い Tf を有する REBa 2 Cu 3 O 7-x 系の種結晶を配置して前駆体より結晶成長させることを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法である。ここにおいて、種結晶は、RE組成が層状になっているものであること、前駆体は、穴開けまたは切れ込み加工が施されているものであることも特徴とする。またここにおいて結晶成長は、前駆体中のRE組成のTf以上の温度でかつ種結晶中のTfより低い温度に加熱したのち、徐冷することによってなされること、温度勾配中でなされることも特徴とする。また結晶成長後、種結晶を切り離すことも特徴とする。また上記各方法において、複数の種結晶を用いること、さらに複数の種結晶は一次元的または二次元的に配列すること、c軸方向を30度以内に揃えることも特徴とする。
【0005】
【作用】
まず、製造法の各工程を示すと次のようになる。
〔原料混合〕→〔成形〕→〔種結晶および成形体を炉内に配置〕→〔熱処理〕
本発明は上記製造工程における、〔種結晶および成形体を炉内に配置〕の工程において、種結晶を前駆体の下に配置し結晶成長を行い、大型の結晶を得ることを特徴とするものである。
【0006】
このような結晶の製造法において、大型の結晶を高い効率および信頼性で製造するには、前駆体と種結晶の配置を示した図1のように大型の種結晶1を用い、これを大型の前駆体2に接触させ、徐冷すればよい。すなわち大型の種結晶1を前駆体2に接触させるため、多結晶化しにくくなり、かつ種結晶の表面から比較的少ない距離成長するだけで大きな材料が得られる。さらにこのとき、大型の種結晶の上に大型の前駆体を乗せて熱処理すれば、従来の製造法では必要であった支持材(REを置換した層)は不必要になり、製造作業の簡素化が図られる。また半溶融状態の前駆体の自重で若干変形し、これにより種結晶と密着するので良い結晶が得られる。さらに半溶融状態の前駆体は、溶液成分を介して支持材と接触することがまったくなくなるため、支持材からの不純物が混入することがなくなる。
【0007】
具体的には、REBa2 Cu3 O7−x 系超電導材料(RE;Yを含む希土類元素の1種類、または2種類以上の組み合わせ)において、RE2 BaCuO5 相(211相)が分散したREBa2 Cu3 O7−x 相(123相)の結晶を製造するにあたり、種結晶を成長途中の前駆体の下に配置して結晶成長させる。このとき、種結晶に対し前駆体が大きすぎると、前駆体のはみ出した部分が変形するため、大きく変形しない程度に種結晶と前駆体の水平面への投影面積がほぼ同じであることが望ましい。
【0008】
本発明の製造プロセスにおいては、従来の製法とは異なり、大型(広い面積)の前駆体のTfに対し、より高いTfを有する種結晶を作製することが、非常に重要である。このような種結晶を作製するには、図2の種結晶を示す図のようにREの組成を層状に変化させて大型化する方法(REの組成勾配法)が有効である。すなわち図2において1A,1B,1CはREの組成を順次変えており、これにより、Tf1A>Tf1B>Tf1Cとなっている。
【0009】
また、前駆体中に予め穴開けまたは切れ込み加工を施すことによって、結晶成長後の加工が省略でき、また酸素富化処理が効果的に行える利点がある。また、前駆体は半溶融状態になるさいにいくぶん収縮し、種結晶との間に拘束力が働く。まれにこの拘束力により前駆体に割れが発生することがあるが、図3の前駆体、種結晶等の配置図のように前駆体の端部と種結晶との間に隙間を作り、炉内に配置することでこのような割れは避けられる。すなわち図3(a)は全体図、(b)はX部の拡大図であって、Al2 O3 の支持材3の上に種結晶1、前駆体2を順次重ねているが、種結晶1と前駆体2との間の周辺部に隙間4を設けている。
【0010】
この成長過程の前段階としては、RE,Ba,Cuの酸化物粉末を含む成形体である前駆体を種結晶上に乗せ、前駆体中のRE組成のTfPRECURSOR 以上の温度でかつ、種結晶中のTfSEEDより低い温度にそれぞれ加熱する。このとき前駆体を、十分に加熱するために、なるべくTfSEED近くまで加熱することが望ましい。また同じ理由から、TfSEEDとTfPRECURSOR との差が大きくなるようにすることが望ましい。
【0011】
種結晶が半溶融状態の前駆体の上に乗った状態を作った後は、徐冷することによって、種結晶から123相を成長させることができる。このとき、種結晶側(下方)の温度が前駆体側(上方)に対して温度が低くなるよう温度勾配をつけることが望ましい。また、結晶の成長速度を4mm/hr以下にすることが多結晶化を防ぐ意味で望ましい。
【0012】
結晶が十分成長した後、123相を正方晶から斜方晶へ相転移させ超電導相にするための酸素富化処理を800〜200℃の温度領域を酸化性の雰囲気中で引き続いて、または一旦室温に冷却した後行う。そして酸素富化処理の後または前に、種結晶と成長させた結晶とを切り離すことで、バルク材料が製造される。また、切り離された種結晶は繰り返し使用できるため、高い生産効率が得られる。
【0013】
下に敷く種結晶は、複数でもよく、より大きいバルクを製造する場合この方法は極めて有利になる。このとき、種結晶どうしの隙間をなるべく狭くすることが望ましい。また、長尺の棒材などを製造する場合は、一次元的に種結晶を敷き詰めることで製造できる。また、比較的面積の大きい板材等には、二次元的に種結晶を敷き詰めることによって製造することができる。
【0014】
また、上記のように複数の種結晶を敷き詰める場合、c軸方向を30度以内に揃え、弱結合となる30度以上の傾角をもつ大傾角粒界を排除する必要がある。さらに、望ましくは、15度以内に揃える。また、c軸方向はa軸方向に比べて成長速度が約1.6倍程度大きく、前駆体と接触させる種結晶の面をa−b面(c軸と垂直)にすることが望ましく、より高い生産性が得られる。
【0015】
上記の酸化物超電導材料の製造方法において、123相中の211相は半溶融状態においては成形体の形状を保つ働きをし、また最終的に得られる超電導材料においては、割れを防いだり臨界電流密度を高める働きがある。添加元素のPt,Rhは211相とBaCu複合酸化物の液相とからなる半溶融状態で211相の粒成長を妨げる働きがあり、211相を微細化させ、特に臨界温度近傍では主なピンニングセンターとなり高い臨界電流密度をもたらす役割をする。添加量は安定にかつ十分効果を示す0.1〜2.0wt%のPt,0.005〜0.5wt%のRhの一方または両方が望ましい。出発原料は基本的にRE,Ba,Cuの酸化物またはこれらを含む複合酸化物の組み合わせであればよい。また、出発原料は、炭素(C)や水素(H)の不純物の少ない高純度のものが望ましい。
【0016】
成形体中のREの成分は単一元素のREまたは複数のRE元素から成っていてもよい。各RE系の123相生成温度(Tf)は原子番号が小さく、イオン半径が大きいREほど高い。ただしYはDyとHoの間に位置する。例えば大気中でのTfは、Sm:1060℃,Dy:1010℃,Y:1000℃,Er:970℃,Yb:900℃である。また複数のREを混合した場合TfはそれぞれのRE組成のモル平均になる。
【0017】
La,Nd系は、123相がストイキオメトリーからずれ、またSm〜LuのRE2 BaCuO5 とは異なる相の結晶系を有するRE2 BaCuO5 相(またはRE4 Ba2 Cu2 O10相)が分散した123相をつくる。結晶構造は若干異なるが、123相中に211相が分散しており、基本的にLa,Nd系も同様の思想で作製される。La,Nd系は123相の組成によって異なるがSm系より高いTfを有することもある。
【0018】
またさらに、成長させた直後の123相は正方晶であり、これを800℃から200℃まで酸化性雰囲気中で徐冷し酸素を吸収させることにより、斜方晶に転移させ、90K級のTcを有する超電導材料が得られる。このとき転移温度はRE元素のイオン半径で異なり、Sm:200〜500℃,Y:350〜700℃,Tm:500〜800℃程度である。この構造相転移にともなって、斜方晶の超電導材料中には、内部応力を緩和するため双晶構造が導入される。また、c軸と垂直に若干マイクロクラックが入ることがある。
【0019】
上記の製造方法によって得られる材料は、10〜100μ程度の気泡を有することがある。気泡は材料表面から5mm程度には少ない。また材料中には添加したPtまたはRhと主にBaとの複合酸化物がみられ、添加量が多くなるにしたがってこのような複合酸化物の量も多くなる。大きさは数十μm程度である。また材料中には実質的に弱結合となる大傾角粒界はないものの、サブグレーン構造(ドメイン構造)がありその境界には小傾角粒界がある(Proceedingof the fifth U.S.−Japan workshop onhigh Tc superconductors,p.95−99 1992,Tsukuba参照)。また、双晶界面には、傾角が90度の双晶粒界ができる。しかし双晶界面での整合性は良く、超電導的には弱結合とならないため実質的に問題はない。また本発明においては、双晶粒界や小傾角粒界を含んだものでも、弱結合となる大傾角粒界を含まない材料(複合超電導材料)を、単結晶状の材料と呼ぶことにする。また実質的に上記複合超電導体材料の集合体も含めるものとする。
【0020】
【実施例】
[実施例1]
(1)大型種結晶の作製
Sm2 O3 ,BaCuO2 とCuOの各粉末を各金属元素のモル比(Sm:Ba:Cu)が(13:19:27)になるように混合し、さらにこの混合粉に0.5wt%の白金粉末を添加し、原料粉末を作製した。この原料粉末から直径75mm厚さ10mmの円筒状成形体を作製した。この成形体を大気中で1160℃まで10時間で昇温し、30分保持した。その後、1060℃に30分で降温し、この温度で数mm3 のNd系の材料を種結晶として用いSm系の前駆体の平面にseedingを行った。
【0021】
作製するSm系大型種結晶の平面がa−b面になるように、その前駆体と接触させた種結晶の面は、劈開面(a−b面)を用いた。その後1040℃まで70時間かけて徐冷し、続いて室温まで5時間で冷却した。この熱処理によって平面の法線がc軸であるSm系の直径約70mmの大型円筒状種結晶を作製することができた。また、この熱処理による単結晶化の成功率は、約50%であった。
【0022】
(2)Y系前駆体の作製
Y2 O3 ,BaO2 とCuOの各粉末を各金属元素のモル比(Y:Ba:Cu)が(12:18:26)になるように混合し、さらにこの混合粉に0.4wt%の白金粉末を添加し、原料粉末を作製した。この原料粉末から直径75mm厚さ25mmの円筒状成形体を加圧成形して作製した。
【0023】
(3)Y系超電導材料の製造
図3に示すようにAl2 O3 の支持材3上に前記Sm系の大型種結晶1を敷き、種結晶1の上に上記Y系の前駆体2を配置し、これらを大気中で1040℃まで8時間で昇温し、1時間保持した。その後、1005℃に30分で降温し、その後980℃まで70時間かけて徐冷し結晶成長を行った。続いて室温まで5時間で冷却した。
【0024】
種結晶をダイヤモンドカッターを用い切り離した後、酸素富化処理を行った。酸素富化処理は酸素気流中で行い、750℃まで7時間で昇温し、4時間保持した後、400℃まで80時間、さらに室温まで6時間かけて降温した。得られたY系の結晶は種結晶と同様の結晶方位を有し、単結晶状のものがほぼ100%得られた。臨界電流密度特性は、試料振動型磁束計を用いて測定したところ、77K,1T(c軸と磁場が平行)で2.2×104 A/cm2 であった。
【0025】
(4)比較例
実施例1に対する比較例として以下の実験を行った。
上記(2)と同じ方法で作製したY系前駆体を図4のように配置し従来の方法(応用物理または特開平5−301797参照)で作製した。大型種結晶の代わりに従来どうりの数mm角のSm系の種結晶5をY系の前駆体2の上に置いた。支持材3の上にはSm系の前駆体6、さらにその上にYb系の前駆体を置いて、前記Y系の前駆体を乗せた。熱処理は(3)と同様に次のように行った。大気中で1040℃まで8時間で昇温し、1時間保持した。その後、1005℃に30分で降温し、その後980℃まで70時間かけて徐冷し結晶成長を行った。続いて室温まで5時間で冷却した。
【0026】
酸素富化処理は酸素気流中で行い、750℃まで7時間で昇温し、4時間保持した後、400℃まで80時間、さらに室温まで6時間かけて降温した。得られた試料の臨界電流密度特性は、試料振動型磁束計を用いて測定したところ、77K,1T(c軸と磁場が平行)で1.9×104 A/cm2 であった。またこの熱処理によって単結晶状のY系材料が得られた割合は約4割であり、6割は多結晶化してしまった。
【0027】
このように本発明の製造方法は、より容易にかつより確実に大型の単結晶状の材料を作る方法を提供するものであることが明らかになった。また、本発明の従来法に対する利点は前駆体がより大きくなった場合、より顕著になることは言うまでもない。
【0028】
[実施例2]
(1)大型種結晶の作製
実施例1の種結晶の作製方法と同様の方法により3つのSm系種結晶を作製した。これらを、結晶方位が同じになるように30mm角に切りだした。
【0029】
(2)前駆体の作製
Er2 O3 ,Ho2 O3 ,BaCuO2 とCuOの各粉末を各金属元素のモル比(Er:Ho:Ba:Cu)が(6:6:18:26)になるように混合し、さらにこの混合粉に0.2wt%のRh粉末を添加し、原料粉末を作製した。この原料粉末から長さ90×幅30×厚さ30mmの直方体の成形体を加圧成形して作製した。
【0030】
(3)超電導材料の作製
図5に種結晶と前駆体の配置を示す。切り出した種結晶1を隙間をなるべく開けないように支持材3の上に一列(一次元的)に並べた。これらの上に上記前駆体2を配置し、これらを大気中で1035℃まで8時間で昇温し、1時間保持した。その後、1000℃に30分で降温し、前駆体2の上部が965℃になるまで90時間かけて徐冷し、結晶成長を行った。この結晶成長過程において、種結晶1の温度がEr−Ho系前駆体2の上部より約20℃低くなるように炉内に温度勾配をつけた。続いて室温まで5時間で冷却した。
【0031】
種結晶をダイヤモンドカッターを用い切り離した後、酸素富化処理を行った。大気中で750℃まで7時間で昇温し、酸素気流に変え、4時間保持した後、400℃まで100時間、さらに室温まで10時間かけて降温した。得られたEr−Ho系の結晶は種結晶と同様の結晶方位を有し、単結晶状のものが得られた。臨界電流密度特性は、試料振動型磁束計を用いて測定したところ、77K,1T(c軸と磁場が平行)で2.3×104 A/cm2 であった。
【0032】
[実施例3]
(1)大型種結晶の作製
Sm2 O3 ,Eu2 O3 ,BaO2 とCuOの各粉末を各金属元素のモル比(Sm:Eu:Ba:Cu)が(13:0:19:27)、(13:13:38:54)、(0:13:19:27)になるようにそれぞれ混合し、さらにこれらの混合粉に0.2wt%のRh粉末を添加し、原料粉末を作製した。この原料粉末から、図2に示すような直径120mm(一層あたり幅20mm)、厚さ15mmの三層の円筒状成形体を加圧成形し作製した。すなわち図2中1AはSm系、1BはSm−Eu系、1CはEu系となっている。この成形体を大気中で1160℃まで10時間で昇温し、30分保持した。その後、1060℃に30分で降温し、この温度で数mm3 のNd系の材料を種結晶として用いSm−Eu系の前駆体の平面にseedingを行った。
【0033】
作製するSm−Eu系大型種結晶の平面がa−b面になるように、その前駆体と接触させた種結晶の面は、壁開面(a−b面)を用いた。その後1030℃まで90時間かけて徐冷し、続いて室温まで5時間で冷却した。この熱処理によって平面の法線がc軸であるSm─Eu系の直径約110mmの大型円筒状種結晶を作製することができた。
【0034】
(2)前駆体の作製
Y2 O3 ,Dy2 O3 ,BaCuO2 とCuOの各粉末を各金属元素のモル比(Y:Dy:Ba:Cu)が(10:2:18:26)になるように混合し、さらにこの混合粉に0.5wt%のPt粉末を添加した後、870℃、6時間酸素中で仮焼し原料粉末を作製した。この仮焼粉末を用い直径110mm、厚さ40mmの円筒状成形体を加圧成形して作製した。加圧成形した上記成形体に直径1.2mmのドリルにより三角格子を組むように37箇所穴開けを行った。
【0035】
(3)超電導材料の作製
前記Sm−Eu系大型種結晶の上に上記穴開け加工したY−Dy系前駆体を配置し、これらを大気中で1035℃まで10時間で昇温し、1時間保持した。その後、1005℃に30分で降温し、前駆体の上部が980℃になるまで100時間かけて徐冷し結晶成長を行った。この結晶成長過程において、種結晶の温度がY−Dy系前駆体の上部より約15℃低くなるように炉内に温度勾配をつけた。結晶成長後、続いて酸素を炉内に流し750℃まで3時間で降温し、4時間保持した後、400℃まで120時間、さらに室温まで10時間かけて降温した。
【0036】
種結晶をダイヤモンドカッターを用い切り離した。得られたY−Dy系の結晶は種結晶と同様の結晶方位を有し、単結晶状のものが得られた。臨界電流密度特性は、試料振動型磁束計を用いて測定したところ、77K,1T(c軸と磁場が平行)で2.8×104 A/cm2 であった。
【0037】
[実施例4]
(1)大型種結晶の作製
実施例3の種結晶の作製方法と同様の方法により7つのSm−Eu系種結晶を作製した。これらを、結晶方位が揃うように一辺が50mmの正六角形に切りだした。
【0038】
(2)前駆体の作製
Y2 O3 ,BaCuO2 とCuOの各粉末を各金属元素のモル比(Y:Ba:Cu)が(12:18:26)になるように混合し、さらにこの混合粉に0.5wt%のPt粉末を添加した後、870℃、6時間酸素中で仮焼し原料粉末を作製した。この仮焼粉末を用い直径200mm厚さ45mmの円筒状成形体を加圧成形して作製した。加圧成形した上記成形体に直径1.4mmのドリルにより三角格子を組むように37箇所穴開けを行った。
【0039】
(3)超電導材料の作製
図6に種結晶と前駆体の配置を示す。前記Sm−Eu系大型種結晶1を図6のように支持材3の上に配置(二次元的に配置)し、その上に上記のように穴8を開けたY系前駆体2を配置しこれらを大気中で1035℃まで10時間で昇温し、1時間保持した。その後、1005℃に30分で降温し、前駆体2の上部が980℃になるまで100時間かけて徐冷し、結晶成長を行った。この結晶成長過程において、種結晶1の温度がY系前駆体2の上部より約20℃低くなるように炉内に温度勾配をつけた。続いて室温まで10時間で冷却した。
【0040】
種結晶をダイヤモンドカッターを用い切り離した後、酸素富化処理を行った。大気中で750℃まで7時間で昇温し、酸素気流に変え、4時間保持した後、400℃まで100時間、さらに室温まで10時間かけて降温した。得られたY系の結晶は種結晶と同様の結晶方位を有し、単結晶状のものが得られた。臨界電流密度特性は、試料振動型磁束計を用いて測定したところ、77K,1T(c軸と磁場が平行)で2.3×104 A/cm2 であった。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したごとく本発明により、高い効率で容易にかつ安定に大型の材料の製造が可能になった。このような方法によって作製された超電導材料は各分野での応用が可能であり大きな工業的効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における前駆体と種結晶との配置を示す図
【図2】RE組成を層状に変えている種結晶を示す図
【図3】本発明における支持材、種結晶、前駆体の配置の例を示す図で、(a)は全体図、(b)は一部の拡大図
【図4】従来の方法における支持材、種結晶、前駆体の配置を示す図
【図5】本発明における支持材、種結晶、前駆体の配置の例を示す図
【図6】本発明における支持材、種結晶、前駆体の配置の例を示す図
【符号の説明】
1,1A,1B,1C 種結晶
2 前駆体
3 支持材
4 隙間
5 種結晶(従来技術における)
6 Sm系の前駆体
7 Yb系の前駆体
8 穴
Claims (10)
- REBa2Cu3O7-x系超電導材料(REはYを含む希土類元素の1種類、または2種類以上の組み合わせ)において、RE2BaCuO5相が分散したREBa2Cu3O7-x相の結晶を製造するにあたり、RE、Ba、Cuの酸化物粉末を含む成形体である少なくとも 75mm 以上の部位を有する前駆体の下に前駆体の Tf より高い Tf を有する REBa 2 Cu 3 O 7-x 系の種結晶を配置して前駆体より結晶成長させることを特徴とする酸化物超電導材料の製造方法。
- 種結晶は、RE組成が層状になっているものであることを特徴とする請求項1記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 前駆体は、穴開けまたは切れ込み加工が施されているものであることを特徴とする請求項1または2記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 結晶成長は、前駆体中のRE組成のTf以上の温度でかつ種結晶中のTfより低い温度に加熱したのち、徐冷することによってなされることを特徴とする請求項1、2または3記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 結晶成長は、温度勾配中でなされることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 結晶成長後、種結晶を切り離すことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 複数の種結晶を用いることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 複数の種結晶は、一次元的に配列するものであることを特徴とする請求項7記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 複数の種結晶は、二次元的に種結晶を配列するものであることを特徴とする請求項7記載の酸化物超電導材料の製造方法。
- 複数の種結晶は、c軸方向を30度以内に揃えることを特徴とする請求項7、8または9記載の酸化物超電導材料の製造方法。」
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13117295A JP3621750B2 (ja) | 1995-05-02 | 1995-05-02 | 酸化物超電導材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13117295A JP3621750B2 (ja) | 1995-05-02 | 1995-05-02 | 酸化物超電導材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08301694A JPH08301694A (ja) | 1996-11-19 |
JP3621750B2 true JP3621750B2 (ja) | 2005-02-16 |
Family
ID=15051700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13117295A Expired - Lifetime JP3621750B2 (ja) | 1995-05-02 | 1995-05-02 | 酸化物超電導材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3621750B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4669998B2 (ja) * | 2001-03-09 | 2011-04-13 | Dowaエレクトロニクス株式会社 | 酸化物超電導体およびその製造方法 |
JP4660326B2 (ja) * | 2005-09-08 | 2011-03-30 | 新日本製鐵株式会社 | 酸化物超電導材料の製造方法およびその前駆体支持用基材 |
CN104233469B (zh) * | 2014-09-26 | 2017-05-24 | 上海交通大学 | 一种倒置生长rebco块材的方法 |
-
1995
- 1995-05-02 JP JP13117295A patent/JP3621750B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08301694A (ja) | 1996-11-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Morita et al. | Processing and properties of QMG materials | |
US6569811B1 (en) | Enhancement of JC in oxide superconductors | |
WO1991019029A1 (en) | Oxide superconductor and production thereof | |
US4921834A (en) | Flux method of growing oxide superconductors | |
EP0423375B1 (en) | Oxide superconductor and method of producing the same | |
EP0562640B1 (en) | Production of oxide superconductors having large magnetic levitation force | |
US5571776A (en) | Single crystalline bulk oxide superconductor and process for producing same | |
JP3089294B2 (ja) | 超電導テープ材の製造方法 | |
JPH09306256A (ja) | バルク酸化物超電導体ならびにその線材及び板の作製方法 | |
JP4113113B2 (ja) | 酸化物超電導体の接合方法及び酸化物超電導体接合体 | |
JP3621750B2 (ja) | 酸化物超電導材料の製造方法 | |
JP2651481B2 (ja) | 超伝導材料の作製方法 | |
JP2556401B2 (ja) | 酸化物超電導体およびその製造方法 | |
Costa et al. | Influence of epitaxial growth on superconducting properties of LFZ Bi Sr Ca Cu O fibres. Part I. Crystal nucleation and growth | |
US5049541A (en) | Process for preparing superconductor | |
JPH05279028A (ja) | 希土類系超電導性組成物及びその製造方法 | |
EP0834931B1 (en) | Oxide superconductor having large magnetic levitation force and its production method | |
JP4071860B2 (ja) | 超電導バルク材料およびその製造方法 | |
JP3195041B2 (ja) | 酸化物超電導体及びその製造方法 | |
JPH0791056B2 (ja) | 新規な組織を有する酸化物超電導体の製造方法 | |
JP3854364B2 (ja) | REBa2Cu3Ox系超電導体の製造方法 | |
JPH059059A (ja) | 酸化物超電導体の製造方法 | |
JP2692614B2 (ja) | 新規な組織を有する酸化物超電導体 | |
JPH0791057B2 (ja) | 希土類系酸化物超電導体 | |
JP3260410B2 (ja) | 希土類元素を含む酸化物超電導体およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040623 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040810 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041008 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041119 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071126 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091126 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101126 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101126 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111126 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111126 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121126 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121126 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126 Year of fee payment: 9 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126 Year of fee payment: 9 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126 Year of fee payment: 9 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |