JP3136281B2 - 酸化物超電導体及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体及びその製造方法

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JP3136281B2
JP3136281B2 JP09164324A JP16432497A JP3136281B2 JP 3136281 B2 JP3136281 B2 JP 3136281B2 JP 09164324 A JP09164324 A JP 09164324A JP 16432497 A JP16432497 A JP 16432497A JP 3136281 B2 JP3136281 B2 JP 3136281B2
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均一な高臨界電流
密度を有する等の優れた超電導特性を示す酸化物超電導
体及びその製造方法に関し、電流リード、磁気軸受け、
磁気シールド、バルクマグネット等に適用し得るもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の酸化物超電導体の製造方
法としては、RE化合物(REはYを含む希土類元
素)、Ba化合物及びCu化合物を含む原料混合体に、
少なくとも該原料混合体の融点より高い温度領域におけ
る焼成工程を含む処理を施してREーBaーCuーO系
酸化物超電導体を製造する製造方法が知られている(特
公平7−51463号)。
【0003】この製造方法では、RE、Ba、Cuの化
合物を所定のモル比で混合した原料混合体を、一度融解
させた後、急冷凝固させ、この凝固した原料混合体を微
細に粉砕して、再び部分的に液相を呈する高温領域に加
熱して、その後徐冷することによって超電導相を成長さ
せる。そしてさらに、酸素雰囲気中でアニール処理を行
うことにより、比較的高い臨界電流密度を示す酸化物超
電導体を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
上記製造方法では、REーBaーCuーO系超電導体を
形成するための原料混合体を一度融解する際に、原料の
凝集粗大化が起こってしまう。そこで、原料を均一に分
散させるために、非常に微細に原料を粉砕する必要があ
った。さらに、微細な原料を用いて溶融再結晶化した試
料は密度が非常に高くなるために、酸素の拡散速度が遅
くなり、酸素アニール時間が非常に長くなるという間題
点があった。
【0005】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、均一なより高い臨界電流密度を有する
超電導特性を有する酸化物超電導体及びその簡易且つ低
コストな製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項1の発明は、材料全体がc軸に配
向して、実質的に単結晶状のREBa 2 Cu 3 O 7-x 相(REはYを含
む1種又は2種以上の希土類元素)中にRE 2 BaCuO 5 相および
10〜500μmの径を有する空孔が分散し、全体の密度が5
〜6g/cm 3 であることを特徴とする酸化物超電導体
である
【0007】請求項2の発明は、請求項1に記載の酸化
物超電導体において、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir及
びOsとReの各金属又は各化合物の1種又は2種以上
を0.05〜5wt%(但し、化合物の場合はその化合
物に含有される前記金属のみの量で示す)含むことを特
徴とする酸化物超電導体である。
【0008】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
の酸化物超電導体において、Ag又はその化合物を1〜
30wt%(但し、化合物の場合はその化合物に含有さ
れるAgのみの量で示す)含むことを特徴とする酸化物
超電導体である。
【0009】請求項4の発明は、RE化合物(REはYを含む
1種又は2種以上の希土類元素)、Ba化合物及びCu化合物の
原料を含む原料混合体に、少なくとも該原料混合体の融
点より高い温度領域における焼成工程を含む処理を施し
てRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体を製造する酸化物超電導
体の製造方法において、上記原料混合体を焼成後、粉砕
して、上記各原料の何れか又は全ての平均粒径を5〜8
0μmである原料を用いて、密度が4〜5g/cm 3 とな
るように成形体を成形し、この成形体を溶融した後、あ
らかじめ作製しておいた溶融体の種結晶を成長方向がc
軸と平行になるように成形体の上部に接触させること
で、材料全体がc軸に配向して、実質的に単結晶状であ
るRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体を製造することを特徴と
する酸化物超電導体の製造方法である
【0010】請求項5の発明は、請求項4に記載の酸化
物超電導体の製造方法において、上記原料混合体に、さ
らに、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir及びOsとReの
各金属又は各化合物の1種又は2種以上の元素を0.0
5〜5wt%(但し、化合物の場合はその化合物に含有
される前記金属のみの量で示す)添加することを特徴と
する酸化物超電導体の製造方法である。
【0011】請求項6の発明は、請求項4又は5に記載
の酸化物超電導体の製造方法において、上記原料混合体
に、さらに、Ag又はその化合物を1〜30wt%(但
し、化合物の場合はその化合物に含有されるAgのみの
量で示す)添加することを特徴とする酸化物超電導体の
製造方法である。
【0012】
【0013】
【0014】RE化合物(REはYを含む希土類元
素)、Ba化合物及びCu化合物の原料を含む原料混合
体に、少なくとも該原料混合体の融点より高い温度領域
における焼成工程を含む処理を施してREーBaーCu
ーO系酸化物超電導体を製造すると、REBa2 Cu3
7-X 相中に0.1〜30μ程度のRE2 BaCuO5
相が微細に分散し、臨界電流を高めることができる。
【0015】さらに、前記原料混合体を焼成、粉砕して
上記原料の平均粒径を〜80μmに調整したものを用
いることによって、成形体の密度を4〜5g/cm3 に
低く抑える。このような密度の低い成形体用いて溶融凝
固を行うと、凝固は外側から始まるために内部に大気の
ガス成分が残り、溶融結晶化後の材料中に10〜500
μmの空孔が多数微細に分散する。この空孔が存在する
ことによって、林料中の酸素の拡散が早まり、アニール
処理時間を短縮することができ、均一で高い臨界電流密
度を示す酸化物超電導体を得ることができる。なお、試
料の表面から内側に向かって2〜5mm(通常は3m
m)程度の部分では凝固の際にもガスが外部に放出され
るため空孔が少ないが、この部分は容易に酸素拡散が進
むために、試料の中心付近と同様に、アニール処理時間
を短縮することができ、高い臨界電流密度を示す酸化物
超電導体を得ることができる。また、この材料を外形φ
40mm厚さ20mm以上に大型化した場合に発生しや
すくなる結晶のab面に平行でない無秩序なマイクロク
ラックもこの空孔が存在することにより抑制される。な
お、本発明者らの実験により、上記原料の何れか1つも
しくは2つ以上の平均粒径を〜80μmにすることに
より、同様の効果を示す酸化物超電導体を得ることがで
きることを確認している。
【0016】なお、Ptは超電導体を形成するための原
料混合体を作成する処理を行う際に、白金坩堝等から混
入することがあるが、Ptが0.05〜5wt%の範囲
で含まれていても、同様の効果を示す酸化物超伝導体を
得ることができることを確認している。また、Pt、P
d、Ru、Rh、Ir及びOsとReの各金属又は各化
合物を0.05〜5wt%の範囲で添加した場合も、同
様の効果を示す酸化物超電導体を得ることができること
を確認している。
【0017】さらに、Agの金属もしくは化合物粉末を
1〜30wt%添加すると、機械強度、耐水性が向上す
る。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施例1)この実施例は、要するに、酸化物超電導体
を形成するための原料混合体を構成するRE化合物のR
Eとして、Yを用い、該原料混合体を粉砕してその平均
粒径を約60μmにした場合の例である。
【0019】まず、Y2 3 、BaCO3 、CuOの各
原料粉未を、組成比がY:Ba:Cu=18:24:3
4になるように秤量した後、BaCO3 、CuOのみを
Pt坩堝中で、大気中、950℃で2時間焼成してBa
CuO2 とCuOの仮焼粉を得る(モル比でBaCuO
2 :CuO=24:10)。次に、この仮焼粉をポット
ミルを使用して粉砕することによって平均粒径を約2μ
mとした後、あらかじめ秤量しておいた平均粒径約1μ
mのY2 3 と混合する。次に、この混合粉を大気中
で、室温から940℃まで10時間かけて昇温して、3
0時間保持した後、10時間かけて室温まで降温して焼
成する。そして、この仮焼された混合粉をライカイ機に
より粉砕して、混合粉の平均粒径を約60μmにする。
次いで、この粉砕した混合粉を、外径50mm、厚さ2
0mmのディスク状にプレス成形して超電導体を形成す
るための原料混合体である成形体を作製する。このと
き、成形体の密度を測定したところ4.8g/cm3
あった。
【0020】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1150℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、1000℃まで10℃/minで降温
し、あらかじめ作製しておいたNdBaCuO系溶融体
の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の
上部に接触させ、成形体の上部が低温側となるように上
下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの速度で
900℃まで徐冷し、さらに、室温まで10℃/hrの
速度で降温することによって結晶化を行う。
【0021】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで滅圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉
内に流し込みながら、炉内を室温から600℃まで10
時間かけて昇温し、600℃から300℃まで100時
間かけて徐冷し、300℃から室温まで10時間かけて
降温して超電導体試料を作製する。
【0022】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YB
2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのY2 BaC
uO5 相が微細に分散し、さらに超電導体試料の表面か
ら約3mm以上内側の部分では10〜500μmの空孔
が10〜200個/mm2 の割合で微細に分散している
ことがわかった。また、この超電導体試料全体の密度を
測定したところ、5.6g/cm3 であった。さらに、
この超電導体試料は、試料全体がc軸に配向していて、
実質的に単結晶状であることがわかった。図1に、この
とき撮影した走査型電子顕微鏡写真(倍率約60倍)を
示す。図1の写真において、略円形の窪み状のものが多
数分散して存在している様子がわかるが、これら略円形
の窪み状のものがそれぞれ空孔である。
【0023】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図2に示す。
【0024】以上のように本実施例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が均一に分散したこ
とにより、酸素拡散速度が早まり、短時間のアニール処
理で試料全体が高い臨界電流密度を備えたものとなって
いる。
【0025】(実施例2)この実施例は、要するに、酸
化物超電導体を形成するための原料混合体を構成するR
E化合物のREとして、Ybを用い、さらにPt、P
d、Ru、Eh、Ir、Os、Reの各金属粉末をそれ
ぞれ別々に0.5wt%加えて混合して、該原料混合体
を粉砕してその平均粒径を約55μmにした場合の例で
ある。
【0026】まず、Yb2 3 、BaCO3 、CuOの
各原料粉末を、組成比がYb:Ba:Cu=22:2
6:36になるように秤量して、さらに、Pt、Pd、
Ru、Rh、Ir、Os、Reの各金属粉末をそれぞれ
別々に0.5wt%加えて混合する。次に、これらの各
混合粉を、大気中で、室温から880℃まで10時間か
けて昇温して、30時間保持した後、10時間かけて室
温まで降温して焼成する。そして、これらの仮焼された
各混合粉をライカイ機により粉砕して、混合粉の平均粒
径を約55μmにする。次いで、これらの粉砕した各混
合粉を、外径50mm、厚さ20mmのディスク状にプ
レス成形して超電導体を形成するための原料混合体であ
る成形体を作製する。このときの成形体の密度は何れも
約4.8g/cm3 であった。
【0027】次に、これらの成形体をアルミナ基板上に
乗せて、大気中で、1090℃の温度領域に加熱して半
融解状態にした後、920℃まで10℃/minで降温
し、あらかじめ作製しておいたYBaCuO系溶融体の
種結晶を成長方向がc軸と平行になるように各成形体の
上部に接触させ、各成形体の上部が低温側となるように
上下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの速度
で850℃まで徐冷し、さらに、室温まで10℃/hr
の速度で降温することによって結晶化を行う。
【0028】そして、結晶化ざせたそれぞれの成形体を
ガス置換可能な炉の中に設置してから、ロータリーポン
プで炉内を0.1Torrまで減圧した後で、酸素ガス
を炉内に流し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気
圧雰囲気にする。その後、0・5L/minの流量で酸
素ガスを炉内に流し込みながら、炉内を室温から600
℃まで10時間かけて昇温し、600℃から300℃ま
で100時間かけて徐冷し、300℃から室温まで10
時間かけて降温して超電導体試料を作製する。
【0029】このようにして得られたそれぞれの超電導
体試料を切断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、YbBa2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μm
のYb2 BaCuO5 相が微細に分散し、さらに、超電
導体試料の表面から約3mm以上内側の部分では10〜
500μmの空孔が10〜200個/mm2 の割合で微
細に分散していることがわかった。また、この超電導体
試料全体の密度を測定したところ5.8g/cm3 であ
った。さらに、これらの超電導体試料は、試料全体がc
軸に配向していて、実質的に単結晶状であることがわか
った。
【0030】さらに、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、
Os、Reをそれぞれ添加したディスク状超電導体試料
の中心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切
って、、、、の4つの領域に分割し、客領域の
温度77[K]外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図3に示す。
【0031】以上のように本実施例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が均一に分散したこ
とにより、酸素拡散速度が早まり、短時間のアニール処
理で試料全体が高い臨界電流密度を備えたものとなって
いる。
【0032】(実施例3)この実施例は、要するに、酸
化物超電導体を形成するための原料混合体を構成するR
E化合物のREとして、Hoを用い、該原料混合体を粉
砕してその平均粒径を約70μmにした場合の例であ
る。
【0033】まず、Ho2 3 、BaCO3 、CuOの
各原料粉末を、組成比がHo:Ba:Cu=20:2
5:35になるように秤量した後混合して、Pt柑禍中
で、1400℃で30分間溶融し、銅板に流し込み急冷
して凝固させる。次に、この凝固体をポットミルを使用
して粉砕することによって平均粒径を約2μmとする。
次に、この粉砕した混合粉を大気中で、室温から940
℃まで10時間かけて昇温して、30時間保持した後、
10時間かけて室温まで降温して焼成する。そして、こ
の仮焼された混合粉をライカイ機により粉砕して、混合
粉の平均粒径を約70μmにする。次いで、この粉砕し
た混合粉を、外径50mm、厚さ20mmのディスク状
にプレス成形して超電導体を形成するための原料混合体
である成形体を作製する。このときの成形体の密度を測
定したところ4.7g/cm3 であった。
【0034】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1150℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、1000℃まで10℃/minで降温
し、あらかじめ作製しておいたNdBaCuO系溶融体
の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の
上部に接触させ、成形体の上部が低温側となるように上
下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの速度で
900℃まで徐冷し、さらに、室温まで10℃/hrの
速度で降温することによって結晶化を行う。
【0035】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで減圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉
内に流し込みながら、炉内を室温から600℃まで10
時間かけて昇温し、600℃から300℃まで100時
間かけて徐冷し、300℃から室温まで10時間かけて
降温して超電導体試料を作製する。
【0036】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、Ho
Ba2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのHo2
aCuO5 相が微細に分散し、さらに超電導体試料の表
面から約3mm以上内側の部分では10〜500μmの
空孔が10〜200個/mm2 の割合で微細に分散して
いることがわかった。また、この超電導体試料全体の密
度を測定したところ5・4g/cm3 であった。さら
に、この超電導体試料は、試料全体がc軸に配向してい
て、実質的に単結晶状であることがわかった。
【0037】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図4に示す。
【0038】以上のように本実施例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が均一に分散したこ
とにより、酸素拡散速度が早まり、短時間のアニール処
理で試料全体が高い臨界電流密度を備えたものとなって
いる。
【0039】(実施例4)この実施例は、要するに、酸
化物超電導体を形成するための原料混合体を構成するR
E化合物のREとして、Ndを用い、該原料混合体を粉
砕してその平均粒径を約60μmにした場合の例であ
る。
【0040】まず、Nd2 3 、BaCO3 、CuOの
各原料粉末を、組成比がNd:Ba:Cu=1.8:
2.4:3.4になるように秤量した後、BaCO3
CuOのみを、880℃で30時間焼成してBaCuO
2 とCuOの仮焼米分を得る(モル比でBaCuO2
CuO=2.4:1.0)。次に、この仮焼された混合
粉をライカイ機により粉砕して、混合粉の平均粒径を約
60μmにする。次いで、この粉砕した混合粉とあらか
じめ秤量しておいたNd2 3 と0.5wt%のPt粉
末とを混合して、外径50mm、厚さ20mmのディス
ク状にプレス成形して超電導体を形成するための原料混
合体である成形体を作製する。このときの成形体の密度
を測定したところ4.8g/cm3 であった。
【0041】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、酸素分圧10ー3atm中で、1130℃の温度領
域に加熱して半融解状態にした後、1080℃.まで1
0℃/minで降温し、あらかじめ作製しておいたNd
(Ba0.5 Sr0.5 2 Cu3 7-X 相中にNd4 (B
0.5 Sr0.5 2 CuO10相が組成比で1:0.2で
あるように分散したc軸配向した結晶を種結晶として成
形体の上部に接触させ、成形体の上部が低温側となるよ
うに上下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの
速度で室温まで徐冷することによって結晶化を行う。
【0042】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで滅圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉
内に流し込みながら、炉内を室温から600℃まで10
時間かけて昇温し、600℃から300℃まで100時
間かけて徐冷し、300℃から室温まで10時間かけて
降温して超電導体試料を作製する。
【0043】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、Nd
Ba2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのNd4
2Cu2 10相が微細に分散し、さらに超電導体試料
の表面から約3mm以上内側の部分では10〜500μ
mの空孔が10〜200個/mm2 の割合で微細に分散
していることがわかった。また、この超電導体試斜全体
の密度を測定したところ5.9g/cm3 であった。さ
らに、この超電導体試料は、試料全体がc軸に配向して
いて、実質的に単結晶状であることがわかった。
【0044】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図5に示す。
【0045】以上のように本実施例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が均一に分散したこ
とにより、酸素拡散速度が早まり、短時間のアニール処
理で試料全体が高い臨界電流密度を備えたものとなって
いる。
【0046】(実施例5)この実施例は、要するに、酸
化物超電導体を形成するための原料混合体を構成するR
E化合物のREとして、Smを用い、該原料混合体を粉
砕してその平均粒径を約60μmにし、さらに0.5w
t%のPt粉末と10wt%のAg粉末を添加した場合
の例である。
【0047】まず、Sm2 3 、BaCO3 、CuOの
各原米斗米分末を、組成比がSm:Ba:Cu=1.
8:2.4:3.4になるように秤量した後、BaCO
3 、CuOのみを、880℃で30時間焼成してBaC
uO2 とCuOの仮焼粉を得る(モル比でBaCu
2 :CuO=2.4:1.0)。次に、この仮焼され
た混合粉をライカイ機により粉砕して、混合粉の平均粒
径を約60μmにする。次いで、この粉砕した混合粉と
あらかじめ秤量しておいたSm2 3 と0.5wt%の
Pt粉末と10wt%のAg粉末とを混合して、外径5
0mm、厚さ20mmのディスク状にプレス成形して超
電導体を形成するための原料混合体である成形体を作製
する。このときの成形体の密度を測定したところ4.8
g/cm3 であった。
【0048】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1150℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、1000℃まで10℃/minで降温
し、あらかじめ作製しておいたNdBaCuO系溶融体
の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の
上部に接触させ、成形体の上部が低温側となるように上
下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの速度で
900℃まで徐冷し、さらに、室温まで10℃/hrの
速度で降温することによって結晶化を行う。
【0049】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで滅圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉
内に流し込みながら、炉内を室温から600℃まで10
時間かけて昇温し、600℃から300℃まで100時
間かけて徐冷し、300℃から室温まで10時間かけて
降温して超電導体試料を作製する。
【0050】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、Sm
Ba2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのSm2
aCuO5 相が微細に分散し、さらに超電導体試科の表
面から約3mm以上内側の部分では10〜500μmの
空孔が10〜200個/mm2 の割合で微細に分散して
いることがわかった。また、この超電導体試料全体の密
度を測定したところ5.8g/cm3 であった。さら
に、この超電導体試料は、試料全体がc軸に配向してい
て、実質的に単結晶状であることがわかった。
【0051】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図6に示す。
【0052】以上のように本実施例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が均一に分散したこ
とにより、酸素拡散速度が早まり、短時間のアニール処
理で試料全体が高い臨界電流密度を備えたものとなって
いる。
【0053】(実施例6)まず、Y2 3 、BaC
3 、CuOの各原料粉未を、組成比がY:Ba:Cu
=18:24:34になるように秤量した後、BaCO
3 、CuOのみを大気中、880℃で30時間焼成して
BaCuO2 とCuOの仮焼粉を得る(モル比でBaC
uO2 :CuO=24:10)。次に、この仮焼粉をポ
ットミルを使用して粉砕することによって平均粒径を約
2μmとした後、あらかじめ秤量しておいた平均粒径約
1μmのY2 3 と平均粒径が約0.02μmのPt粉
末を0.5wt%添加して混合する。次に、この混合粉
を大気中で、室温から930℃まで10時間で昇温し、
30時間保持した後、10時間かけて室温まで降温して
焼成する。そして、この仮焼された混合粉をライカイ機
により粉砕して、混合粉の平均粒径を約10μmにす
る。次いで、この粉砕した混合粉を、外径50mm、厚
さ20mmのディスク状にプレス成形して超電導体を形
成するための原料混合体である成形体を作製する。
【0054】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1130℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、成形体の上部が低温側と成るように上下
に5℃/cmの温度勾配が加わるように成形体の上部温
度が約1000℃となるまで急降温(10℃/min)
し、あらかじめ作製しておいたNdBaCuO系溶融体
の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の
上部に接触させ、結晶化が始まる995℃付近で約60
時間温度保持を行った後、1℃/hrの速度で900℃
まで徐冷し、そこから、室温まで10℃/hrの速度で
降温することによって結晶化を行う。図10に焼成温度
パターンを示す。
【0055】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで滅圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後も、0.5L/minの流量で酸素ガスを
炉内に流し込みながら、炉内を室温から450℃まで1
0時間かけて昇温し、450℃から250℃まで200
時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間かけ
て降温して超電導体試料を作製する。
【0056】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YB
2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのY2 BaC
uO5 相が微細に分散し、さらに10〜500μmの空
孔が10〜200個/mm2の割合で微細に分散してい
ることがわかった。また、種結晶を反映して試料全体が
c軸に配向していて、実質的に単結晶状であることがわ
かった。
【0057】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域にお
いて、,温度77[K]、外部磁場0[T]における臨
界電流密度(Jc)を測定した。このとき測定した各領
域における臨界電流密度(Jc)の値を図11に示す。
【0058】以上のように本実施例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が均一に分散したこ
とにより、酸素拡散が完全に行われ、試料全体が高い臨
界電流密度を備えたものとなっている。
【0059】(比較例1)次に、酸化物超電導体を形成
するための原料混合体を構成するRE化合物のREとし
て、Yを用い、該原料混合体を粉砕してその平均粒径を
約2μmにした場合を比較例1として説明する。
【0060】まず、Y2 3 、BaCO3 、CuOの各
原料粉未を、組成比がY:Ba:Cu=18:24:3
4になるように秤量した後混合して、Pt坩堝中で、1
400℃で30分間溶融して流し込み急冷して凝固させ
る。次に、この凝固体をポットミルを使用して粉砕する
ことによって平均粒径を約2μmとする。次いで、この
粉砕した混合粉を、外径50mm、厚さ20mmのディ
スク状にプレス成形して超電導体を形成するための原料
混合体である成形体を作製する。このときの成形体の密
度を測定したところ5.2g/cm3 であった。
【0061】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1150℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、1000℃まで10℃/minで降温
し、あらかじめ作製しておいたNdBaCuO系溶融体
の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の
上部に接触させ、成形体の上部が低温側となるように上
下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの速度で
900℃まで徐冷し、さらに、室温まで10℃/hrの
速度で降温することによって結晶化を行う。
【0062】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで滅圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉
内に流し込みながら、炉内を室温から600℃まで10
時間かけて昇温し、600℃から300℃まで100時
間かけて徐冷し、300℃から室温まで10時間かけて
降温して超電導体試料を作製する。
【0063】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YB
2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのY2 BaC
uO5 相は微細に分散していたが、超電導体試料の表面
から約3mm以上内側の部分では10〜500μm程度
の空孔は0〜9個/mm2 の割合でまばらに分散してい
ることがわかった。また、この超電導体試料全体の密度
を測定したところ6.1g/cm3 であった。さらに、
この超電導体試料は、試料全体がc軸に配向していて、
実質的に単結晶状であることがわかった。しかしなが
ら、この超電導体試料内には前記実施例1〜5では見ら
れなかった結晶のab面に平行でない無秩序なマイクロ
クラックが2、3箇所発生していた。図7に、このとき
撮影した走査型電子顕微鏡写真(倍率約60倍)を示
す。上述の図1の写真と比較すると明らかなように、図
7の写真においては、略円形の窪み状のもの(空孔)が
まばらにしか存在しておらず、空孔がまばらにしか存在
していないことがわかる。
【0064】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図8に示す。
【0065】以上のように本比較例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が試料中にほとんど
存在しないために、酸素拡散速度が遅く、短時間のアニ
ール処理では、試料の中心付近での臨界電流密度が低く
なっている。
【0066】(比較例2)次に、酸化物超電導体を形成
するための原料混合体を構成するRE化合物のREとし
て、Smを用い、該原料混合体を粉砕してその平均粒径
を約3μmにして、0.5wt%のPt粉末を添加した
場合を比較例2として説明する。
【0067】まず、Sm2 3 、BaCO3 、CuOの
各原米ヰ粉末を、組成比がSm:Ba:Cu=1.8:
2.4:3.4になるように秤量した後、BaCO3
CuOのみを、880℃で30時間焼成してBaCuO
2 とCuOの仮焼粉を得る(モル比でBaCuO2 :C
uO=2.4:1.0)。次に、この仮焼された混合粉
をポットミルにより粉砕して、混合粉の平均粒径を約3
μmにする。次いで、この粉砕した混合粉とあらかじめ
秤量しておいたSm2 3 と0.5wt%のPt粉末と
を混合して、外径50mm、厚さ20mmのディスク状
にプレス成形して超電導体を形成するための原料混合体
である成形体を作成する。このときの成形体の密度を測
定したところ5.2g/cm3 であった。
【0068】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1150℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、1000℃まで10℃/minで降温
し、あらかじめ作製しておいたNdBaCuO系溶融体
の種結晶を成長方向がc軸と平行になるように成形体の
上部に接触させ、成形体の上部が低温側となるように上
下に5℃/cmの温度勾配を加えて1℃/hrの速度で
900℃まで徐冷し、さらに、室温まで10℃/cmの
速度で降温することによって結晶化を行う。
【0069】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで減圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後、0.5L/minの流量で酸素ガスを炉
内に流し込みながら、炉内を室温から600℃まで10
時間かけて昇温し、600℃から300℃まで100時
間かけて徐冷し、300℃から室温まで10時間かけて
降温して超電導体試料を作製する。
【0070】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、Sm
Ba2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのSm2
aCuO5 相が微細に分散していたが、超電導体試料の
表面から約3mm以上内側の部分では10〜500μm
程度の空孔は0〜9個/mm2 の割合でまばらに分散し
ていることがわかった。また、この超電導体試料全体の
密度を測定したところ6.2g/cm3 であった。さら
に、この超電導体試料は、試料全体がc軸に配向してい
て、実質的に単結晶状であることがわかった。しかしな
がら、この超電導体試料内には、前記実施例1〜5では
見られなかった結晶のab面に平行でない無秩序なマイ
クロクラックが2、3箇所発生していた。
【0071】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した客領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図9に示す。
【0072】以上のように本比較例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が試料中にほとんど
存在しないために、酸素拡散速度が遅く、短時間のアニ
ール処理では、試料の中心付近での臨界電流密度が低く
なっている。
【0073】(比較例3)まず、Y2 3 、BaC
3 、CuOの各原料粉未を、組成比がY:Ba:Cu
=18:24:34になるように秤量した後混合して、
Pt坩堝中で、1400℃で30分間溶融して銅板に流
し込み急冷して凝固させる。次に、この凝固体をポット
ミルを使用して粉砕することによって平均粒径を約2μ
mとする。次いで、この粉砕した混合粉を、外径50m
m、厚さ20mmのディスク状にプレス成形して超電導
体を形成するための原料混合体である成形体を作製す
る。
【0074】次に、この成形体をアルミナ基板上に乗せ
て、大気中で、1130℃の温度領域に加熱して半融解
状態にした後、成形体の上部が低温側と成るよおうに上
下に5℃/cmの温度勾配が加わるように1000℃ま
で10℃/minで降温し、あらかじめ作製しておいた
NdBaCuO系溶融体の種結晶を成長方向がc軸と平
行になるように成形体の上部に接触させ、結晶化が始ま
る995℃付近で60時間温度保持を行った後、1℃/
hrの速度で900℃まで徐冷し、さらに、そこから室
温まで10℃/hrの速度で降温することによって結晶
化を行う。
【0075】そして、結晶化させた成形体をガス置換可
能な炉の中に設置してから、ロータリーポンプで炉内を
0.1Torrまで滅圧した後で、酸素ガスを炉内に流
し込み、炉内を酸素分圧が95%以上の大気圧雰囲気に
する。その後も、0.5L/minの流量で酸素ガスを
炉内に流し込みながら、炉内を室温から450℃まで1
0時間かけて昇温し、450℃から250℃まで200
時間かけて徐冷し、250℃から室温まで10時間かけ
て降温して超電導体試料を作製する。
【0076】このようにして得られた超電導体試料を切
断して断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、YB
2 Cu3 7-X 相中に0.1〜30μmのY2 BaC
uO5 相は微細に分散していたが、試料中には10〜5
00μm程度の空孔は0〜9個/mm2 の割合でまばら
に存在する程度であった。また、種結晶を反映して試料
全体がc軸に配向していて、実質的に単結晶状であるこ
とがわかった。
【0077】さらに、このディスク状超電導体試料の中
心の上部から下部側に向かって3.5mm毎に区切っ
て、、、、の4つの領域に分割し、各領域の温
度77[K]、外部磁場0[T]における臨界電流密度
(Jc)を測定した。このとき測定した各領域における
臨界電流密度(Jc)の値を図12に示す。
【0078】以上のように本比較例の製造方法で製造さ
れた酸化物超電導体は、微細な空孔が試料中にほとんど
存在しないために、酸素拡散速度が遅く、臨界電流密度
が低くなっている。
【0079】なお、上述した実施例では、REとして
Y、Yb、Ho、Nd、Smをそれぞれ用いた例を示し
たが、他の希上類元素を用いて上述した実施例と同じ製
造方法で製造した酸化物超電導体も均一に高い臨界電流
密度を有することが確認できたさらに、上述した実施例
では、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、0s、Reの金
属粉末を用いた例を示したが、これらの元素を含む化合
物を0.05〜5%添加して製造した酸化物超電導体も
均一に高い臨界電流密度を有することが確認できた。
【0080】さらにまた、上述した実施例では、結晶種
を接触させた後に、1℃/hrの速度で900℃まで徐
冷したが、この徐冷工程の途中の温度で所定の時間の保
持を行っても結晶が大きく成長し、磁気特性が向上する
ことが確認できた。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
REーBaーCuーO系酸化物超電導体を作成する際
に、原料混合体を粉砕して、原料混合体の各原料の少な
くとも1つの平均粒径を50〜100μmにするように
したので、溶融結晶後の材料中に10〜500μmの微
細な空孔が試料中に多数分散するために、アニール処理
時間を短縮することができ、均一で高い臨界電流密度を
示す酸化物超電導体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した酸化物超電導体試料の断面
を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結果
を表で示す図である。
【図3】実施例2で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測走した結果
を表で示す図である。
【図4】実施例3で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結果
を表で示す図である。
【図5】実施例4で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結呆
を表で示す図である。
【図6】実施例5で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結果
を表で示す図である。
【図7】比較例1で製造した酸化物超電導体試料の断面
を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】比較例1で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結果
を表で示す図である。
【図9】比較例2で製造した酸化物超電導体試料の中心
の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った4
つの領域、、、の、温度77[K]、外部磁場
0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結果
を表で示す図である。
【図10】実施例6の溶融結晶化の温度パターン模式図
である。
【図11】実施例6で製造した酸化物超電導体試料の中
心の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った
、、、の4つの領域の温度77[K]、外部磁
場0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結
果を表で示す図である。
【図12】比較例3で製造した酸化物超電導体試料の中
心の上端部から下方に向かって3.5mm毎に区切った
、、、の4つの領域の温度77[K]、外部磁
場0[T]における臨界電流密度(Jc)を測定した結
果を表で示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01B 13/00 565 C04B 35/00 ZAAK (72)発明者 吉澤 秀二 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 同和鉱業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−279032(JP,A) 特開 平5−279030(JP,A) 特開 平5−301716(JP,A) 特開 平3−141512(JP,A) 特開 平2−64057(JP,A) 特開 平9−156925(JP,A) 特公 平7−51463(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 12/00 - 13/00 C30B 29/22

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】材料全体がc軸に配向して、実質的に単結
    晶状のREBa 2 Cu 3 O 7-x 相(REはYを含む1種又は2種以上の希
    土類元素)中にRE 2 BaCuO 5 相および10〜500μmの径を有す
    る空孔が分散し、全体の密度が5〜6g/cm 3 である
    ことを特徴とする酸化物超電導体
  2. 【請求項2】請求項1に記載の酸化物超電導体におい
    て、 Pt、Pd、Ru、Rh、Ir及びOsとReの各金属
    又は各化合物の1種又は2種以上を0.05〜5wt%
    (但し、化合物の場合はその化合物に含有される前記金
    属のみの量で示す)含むことを特徴とする酸化物超電導
    体。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の酸化物超電導体に
    おいてAg又はその化合物を1〜30wt%(但し、化
    合物の場合はその化合物に含有されるAgのみの量で示
    す)含むことを特徴とする酸化物超電導体。
  4. 【請求項4】RE化合物(REはYを含む1種又は2種以上の希
    土類元素)、Ba化合物及びCu化合物の原料を含む原料混合
    体に、少なくとも該原料混合体の融点より高い温度領域
    における焼成工程を含む処理を施してRE-Ba-Cu-O系酸化
    物超電導体を製造する酸化物超電導体の製造方法におい
    て、上記原料混合体を焼成後、粉砕して、上記各原料の
    何れか又は全ての平均粒径を5〜80μmである原料を
    用いて、密度が4〜5g/cm 3 となるように成形体を
    成形し、この成形体を溶融した後、あらかじめ作製して
    おいた溶融体の種結晶を成長方向がc軸と平行になるよ
    うに成形体の上部に接触させることで、材料全体がc軸
    に配向して、実質的に単結晶状であるRE-Ba-Cu-O系酸化
    物超電導体を製造することを特徴とする酸化物超電導体
    の製造方法
  5. 【請求項5】請求項4に記載の酸化物超電導体の製造方
    法において上記原料混合体に、さらに、Pt、Pd、R
    u、Rh、Ir及びOsとReの各金属又は各化合物の
    1種又は2種以上の元素を0.05〜5wt%(但し、
    化合物の場合はその化合物に含有される前記金属のみの
    量で示す)添加することを特徴とする酸化物超電導体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】請求項4又は5に記載の酸化物超電導体の
    製造方法において、 上記原料混合体に、さらに、Ag又はその化合物を1〜
    30wt%(但し、化合物の場合はその化合物に含有さ
    れるAgの量で示す)添加することを特徴とする酸化物
    超電導体の製造方法。
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