JPH09256134A - 高耐食性溶融Zn−Al合金めっき鋼材の製造方法 - Google Patents

高耐食性溶融Zn−Al合金めっき鋼材の製造方法

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JPH09256134A
JPH09256134A JP5965796A JP5965796A JPH09256134A JP H09256134 A JPH09256134 A JP H09256134A JP 5965796 A JP5965796 A JP 5965796A JP 5965796 A JP5965796 A JP 5965796A JP H09256134 A JPH09256134 A JP H09256134A
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嘉彦 高野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融Zn−Al合金めっきにおいて、めっき
浴中のAl濃度を高くすることによって、比較的低温域
で耐食性に優れた均一性のある厚膜のめっき皮膜を鋼材
の表面に形成する高耐食性溶融Zn−Al合金めっき鋼
材の製造方法を提供する。 【解決手段】 鋼材をAl濃度が10〜20重量%含有
する溶融Zn−Al合金めっき浴に浸漬することによっ
て、鋼材表面に膜厚が450g/m2 以上の溶融Zn−
Al合金めっき皮膜をいわゆる一浴法で施すものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐食性溶融Zn
−Al合金めっき鋼材の製造方法に係わり、更に詳しく
は高Si鋼、低Si鋼を問わず鋼材の表面に、めっき浴
中のAl濃度を高くすることで比較的低温域で耐食性の
非常に高いZn−Al合金めっき皮膜を一浴法によって
形成することが可能な高耐食性溶融Zn−Al合金めっ
き鋼材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融Znめっきは、耐食性、経済性、作
業性などが優れているため、従来から建築構造物、送電
鉄塔、橋梁をはじめ道路施設などに広く採用されてい
る。更に、近年では社会資本が充実されつつあり、これ
ら耐久性を上げ鋼材の寿命を延ばすことは重要な課題と
なり、益々溶融Znめっきの果たす役割は大きくなって
いる。
【0003】国及び企業の公害対策が功を奏し、工場か
ら排出される亜硫酸ガスなどは昭和50年代以後、急激
に減少してはいるものの経済成長とともに自動車が増加
し、その排気ガス中に含まれる窒素酸化物やイオウ酸化
物による大気汚染が進み、金属の腐食に与える影響も大
きくなっている。具体的には酸性雨という形で現れ、そ
の対策が急がれている。また、冬季には道路に融雪剤が
散布されるため、これらによる腐食も道路施設鋼材にと
っては大きな問題である。更に、海に囲まれている我が
国は、海岸線の有効利用のために、ベイエリア開発が急
速に進んでいるが、海塩粒子による鋼構造物の腐食が激
しいため、塩害対策が必要である。そのため大気汚染物
質や塩害から各種の鋼構造物の腐食を防ぐため溶融Zn
めっきや重塗装などの種々の防錆手段が講じられてい
る。
【0004】しかし、溶融Znめっきによるめっき皮膜
は、田園や都市郊外では優れた耐食性を示し、例えばめ
っき皮膜厚が80μm(576g/m2 )あれば50年
以上の耐久性を有するが、海塩粒子が直接飛来し、Zn
めっき構造物に付着するような環境では僅か3年で鋼素
地が局部的にではあるが露出し、赤錆が発生する。従っ
て、海岸地域に建設される建築構造物をはじめ橋梁など
の道路施設の鋼材には、より耐食性のあるめっき皮膜の
形成が要望されている。
【0005】近年、溶融Znめっきの用途も拡大し、道
路の排水溝蓋や海岸地域の飛砂防止板などにも多用され
てきている。溝蓋は絶えず自動車の通行により、タイヤ
がめっき皮膜を摩耗させるため、めっき皮膜の損傷が激
しい。また、飛砂防止板の場合には、強い海風に運ばれ
て来る砂粒が叩きつけられるため、防止板の表面はあた
かもサンドブラストを受けた状態となり、更に海塩粒子
による腐食とが重なり、過酷な環境に曝されることにな
る。このような物理的な力の作用する条件下では、溶融
Znめっき皮膜は軟らかく、特に表層の亜鉛層は軟らか
いためめっき皮膜の摩耗が速いという弱点がある。
【0006】そこで、溶融Znめっきよりも耐食性に優
れた溶融Zn−Al合金めっきが注目されるようにな
り、特殊な用途では一部実用化もされている。亜鉛にア
ルミニウムを添加すると著しく耐食性が向上すること
が、以前より知られており、薄い鋼板では1970年代
にZn−55%Al−1.6%Si合金めっきのガルバ
ニウムやZn−5%Alにミッシュメタルを添加したガ
ルフアンなどが開発され、無酸化炉法でめっきされてい
る。薄い鋼板以外では、線材や架線金物、胴縁アングル
などに一部採用されているが、溶融Zn−Al合金めっ
きは、鋼材との密着性が悪いため従来は先ず溶融Znめ
っきを施した後に、その表面に溶融Zn−Al合金めっ
きを施すといった2段階のめっき処理、即ち二浴法で行
われている。以上のように現在実用化されている溶融Z
n−Al合金めっきは何れも大気開放下で直接めっきす
る方法ではなく、まためっき工程が2工程になるため加
工費が嵩みコスト高となってその普及が遅れているのが
現状である。これに対して、従来のバッチ式溶融Znめ
っきと同様に酸洗等の前処理の後、Zn−5%Al合金
めっき浴に浸漬することによって、当該合金めっきを施
すいわゆる一浴法も試みられている。
【0007】鋼材の表面に直接溶融Zn−Al合金めっ
きができなかった理由は、溶融Zn−Al合金めっき浴
表面では、アルミニウムの選択酸化が起こり、鋼材とめ
っき浴成分との接触を妨げ、更に溶融Znめっきでフラ
ックスとして使用される塩化亜鉛や塩化アンモニウムが
アルミニウムと反応してフラックス効果が低減するから
である。このため、大気開放下において直接溶融Zn−
Al合金めっきを行うと、不めっきなどのめっき皮膜欠
陥が発生し、良好なめっき皮膜が形成されないため、大
型構造物の溶融Zn−Al合金めっきの実用化が阻まれ
ていた。ところが、本発明者らは長年の研究の結果、特
開平4−202751号公報にて開示される如く、新規
なフラックスを開発し、溶融Zn−Al合金めっきを大
気中で直接行える一浴法を可能にした。即ち、このフラ
ックスは、塩化亜鉛、塩化第一錫、アルカリ金属塩化物
及びアルカリ土類金属塩化物の内の1種又は2種以上
と、脂肪族窒素誘導体であるアルキル第四級アンモニウ
ム塩及びアルキルアミン類の内の1種又は2種以上とを
含むものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一浴法による溶融Zn
−5%Al合金めっきでは、めっき皮膜の厚みを50μ
m(約345g/m2 )以上にするためには、めっき温
度を500℃以上にする必要があり、そのため被めっき
材である鉄鋼製品に熱歪みが発生し、品質上問題とな
る。また、山形鋼やH型鋼などの熱間圧延鋼材において
は、めっき皮膜厚の不均一性が発生し、外観及び耐食性
を損ねる原因となる。
【0009】Fe−Al−Zn合金相の成長に及ぼすめ
っき温度の影響は大きく、500℃を越えるめっき温度
ではFe−Al−Zn合金相からなる緻密な合金層が形
成されることがあり、このようなめっき皮膜は、孔食を
起こしやすいという欠点があり、実用上問題となる。従
って、二浴法に比べて経済的に優れ、比較的低温で外観
が良好で均一な厚さのめっき皮膜が得られる一浴法によ
る高耐食性溶融Zn−Al合金めっき鋼材の製造方法の
開発が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】めっき浴中のAl濃度が
5重量%においては、めっき温度が500℃以下では浸
漬時間を長くしても、めっき付着量は140〜210g
/m2 (約20〜30μm)と少なく、過酷な腐食環境
で使用される鋼構造物に要求される膜厚の厚いめっき皮
膜を形成することは困難である。ところが、Al濃度が
10重量%を越えると、480℃付近のめっき温度にお
いても50μm(約350g/m2 )以上のめっき皮膜
が形成されることが見出された。Al濃度が20重量%
では、めっき皮膜はより厚く形成されるが、めっき皮膜
の外観が悪くなるとともに、経済的でないので、Al濃
度の上限を20重量%としている。
【0011】本発明は、溶融Zn−Al合金めっきを一
浴法で良好に実施することを可能にした本出願人が既に
提供しているフラックス(特開平4−202751号公
報)によって鋼材をフラックス処理した後、Al濃度が
10〜20重量%、残部がZnと不可避不純物とからな
る組成のめっき浴に、めっき温度が450〜520℃の
範囲及び浸漬時間が0.5〜10分の範囲でめっき付着
量が450g/m2 以上となるようにめっき条件を設定
して大気開放下で浸漬し、めっき浴から引き上げた後、
可及的速やかに冷却水で冷却する方法である。めっき皮
膜の膜厚(付着量)は、Al濃度が一定であれば、めっ
き温度と浸漬時間を変化させることによって制御可能で
あり、まためっき皮膜の合金組織は冷却条件を変化させ
ることによってある程度制御可能である。また、めっき
浴にMgを微量添加することによって、耐食性を更に向
上させることが可能である。尚、Mgの添加は、めっき
付着量には影響を及ぼさない。
【0012】本発明で対象とする鋼材は、山型鋼やH型
鋼等の型鋼類に多い高Si鋼(Si:0.18重量%以
上)と、主に鋼板や鋼線等に多い低Si鋼(Si:0.
02重量%以下)のどちらでも良いが、めっき皮膜を厚
く形成することがより困難な高Si鋼においてその効果
が顕著である。高Si鋼のめっき皮膜の合金組織は、Z
n−5%Al浴の場合は、Znのマトリックスの中に粒
状のZn−Al合金とFe−Al−Zn合金が分散され
た形態である。Zn−10%Al浴の場合は、鋼材素地
に近い部分でFe−Al−Zn合金が形成され、それよ
り表層部分ではZnと浴組成と同じ合金が分散したマト
リックスの中にZnリッチなFe−Al−Zn合金が形
成された形態である。Zn−15%Al浴の場合は、鋼
材素地に近い部分でFe−Al−Zn合金が形成され、
それより表層部分ではAl濃度が約25%のAlリッチ
なAl−Zn合金(α相)の結晶の隙間を、Al濃度が
約7%のZnリッチなAl−Zn合金(β相)の共晶で
埋めた形態である。Zn−20%Al浴の場合は、Zn
−15%Al浴の場合と同様な形態である。Zn−30
%Al浴の場合は、組成濃度が異なる多種のFe−Al
−Zn合金が全体的に分散した形態である。
【0013】
【発明の実施の形態】以上の如き内容からなる本発明の
高耐食性溶融Zn−Al合金めっき鋼材の製造方法は、
一浴法にて鋼材を溶融Zn−Al浴に浸漬して、鋼材の
表面に高耐食性のZn−Al合金めっき皮膜を形成する
めっき鋼材の製造方法であって;少なくとも塩化物と脂
肪族窒素誘導体からなり、塩化物として塩化亜鉛、塩化
第一錫、アルカリ金属の塩化物及びアルカリ土類金属の
塩化物の内の1種又は2種以上と、脂肪族窒素誘導体と
してアルキル第四級アンモニウム塩及びアルキルアミン
類の内の1種又は2種以上とを主たる構成成分とするス
ラックスに浸漬するフラックス処理工程と;Al濃度が
10〜20重量%、残部がZnと不可避不純物とからな
るめっき浴に、めっき温度が450〜520℃の範囲及
び浸漬時間が0.5〜10分の範囲でめっき付着量が4
50g/m2 以上となるようにめっき条件を設定して大
気開放下で浸漬してなるめっき浴浸漬工程と;めっき皮
膜の表層までZn−Al合金層が発達することを抑制す
べく、めっき浴から引き上げた後、可及的速やかに冷却
水に浸漬する冷却工程とよりなるものである。
【0014】ここで、前記めっき浴の組成が、Al濃度
が10〜20重量%、Mg濃度が0.05〜2重量%、
残部がZnと不可避不純物とからなるものがより耐食性
において好ましい。
【0015】また、前記めっき浴浸漬工程におけるめっ
き条件として、めっき温度が470〜500℃、めっき
時間が1〜7分であることが、鋼材に与える熱的影響を
少なくする意味でより好ましい。
【0016】
【実施例】先ず、試験体(材質:Si含有率0.2%
(高Si鋼)、大きさ:30×75×3.2mm)を、
アルカリ脱脂(カ性ソーダ15重量%、オルトケイ酸ソ
ーダ15重量%混合水溶液、70℃、20分)、酸洗
(硫酸10重量%水溶液、50℃、60分)して前処理
を施し、フラックス処理した後、Al濃度が10重量%
と15重量%、残部がZnと不可避不純物とからなる二
種類のめっき浴を用い、めっき温度を450〜540℃
まで10℃ずつ変化させ、浸漬時間を1、3、5分の各
めっき条件で溶融Zn−Al合金めっきを施し、めっき
付着量(g/m2)を測定した。その結果を表1と図1
及び図2に示す。
【0017】
【表1】
【0018】この結果によって、Al濃度が10重量%
と15重量%のZn−Al合金めっき浴を用い、めっき
温度と浸漬時間とを制御することによって、めっき温度
が500℃以下でもめっき付着量が450g/m2 以上
を達成できることを確認できた。
【0019】ここで、溶融Zn−Al合金めっきに使用
したフラックスは、特開平4−202751号公報にて
開示されたものであり、少なくとも塩化物と脂肪族窒素
誘導体からなり、塩化物として塩化亜鉛(ZnC
2 )、塩化第一錫(SnCl2 )、アルカリ金属の塩
化物及びアルカリ土類金属の塩化物の内の1種又は2種
以上と、脂肪族窒素誘導体としてアルキル第四級アンモ
ニウム塩及びアルキルアミン類の内の1種又は2種以上
とを主たる構成成分とするものである。
【0020】前記アルカリ金属塩化物としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩化物が
用いられ、アルカリ土類金属塩化物としては、ベリリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム等のアルカリ土類金属の塩化物が用いられる。
【0021】前記アルキル第四級アンモニウム塩として
は、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジア
ルキルジメチルアンモニウムクロライドが好適であり、
特に炭素数7〜18のアルキル基を有するものが好まし
い。即ち、このアルキル基としては、オクチル、デシ
ル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデ
シル、オクタデセニル、オクタデカジエニル等が挙げら
れる。
【0022】また、アルキルアミン類としては、メチル
アミン、エチルアミン等の脂肪族第一アミン、ジメチル
アミン、ジエチルアミン等の脂肪族第二アミン、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族第三アミンが
あり、特に炭素数1〜18のアルキル基を有するものが
好ましい。
【0023】具体的には、溶融Zn−Al合金めっき用
フラックスは、塩化亜鉛及び/又は塩化第一錫を10
〜50重量%と、アルキル第四級アンモニウム塩及びア
ルキルアミン類の内の1種又は2種以上を0.1〜30
重量%とを含むもの、アルカリ金属の塩化物及びアル
カリ土類金属の塩化物の内の1種又は2種以上を1〜2
0重量%と、アルキル第四級アンモニウム塩及びアルキ
ルアミン類の内の1種又は2種以上を0.1〜30重量
%とを含むもの、塩化亜鉛及び/又は塩化第一錫を1
0〜50重量%と、アルカリ金属の塩化物及びアルカリ
土類金属の塩化物の内の1種又は2種以上を1〜20重
量%と、アルキル第四級アンモニウム塩及びアルキルア
ミン類の内の1種又は2種以上を0.1〜30重量%と
を含むもの等が使用できる。
【0024】ここで、塩化亜鉛及び/又は塩化第一錫の
濃度は、30〜40重量%が最適であり、アルカリ金属
塩化物及びアルカリ土類金属塩化物については、例え
ば、めっき温度が400℃〜600℃の範囲内であれ
ば、ZnCl2 :NaCl=4:1(モル比)、ZnC
2 :CaCl2 =3:1(モル比)が好適であって、
その濃度は5〜10重量%が最適である。また、アルキ
ル第四級アンモニウム塩及びアルキルアミン類の添加量
は、1〜10重量%が最適である。
【0025】ここで、フラックスに用いる各組成の作用
を簡単に説明する。先ず、塩化亜鉛又は塩化第一錫は、
鋼材表面に残る薄い酸化層とめっき浴表面に形成された
酸化皮膜を溶解するためのものである。アルカリ金属塩
化物又はアルカリ土類金属塩化物は、めっき温度におい
てフラックスが適正な粘度を持った溶融状態を維持する
ためのものである。そして、フラックス中に脂肪族窒素
誘導体として、アルキル第四級アンモニウム塩、アルキ
ルアミン類の内の1種又は2種以上を含有した溶融Zn
−Al合金めっき用フラックスを用いることにより、鋼
材を溶融Znめっき浴に浸漬した際に、該鋼材表面にお
いてホフマン分解して発泡し、この鋼材の表面に付着し
たフラックスの燃えカスを速やかに表面から分離除去し
て、鋼材表面と溶融金属との濡れ性を良好にする作用が
あり、めっき皮膜の密着性及び外観性が格段に向上す
る。
【0026】次に、表2に示すように、一浴法によって
低Si鋼と高Si鋼を各種のめっき条件で溶融Zn−A
l合金めっきを施し、それらを塩水噴霧試験によって腐
食減量(g/m2 )を測定し、耐食性の評価を行った。
表2中のめっき時間において、Aは試験体がめっき浴に
浸り始めてから完全に浸漬するまでの時間、Bは実際の
浸漬時間、Cは引き上げ始めてから完全にめっき浴から
引き上げるまでの時間、Cは冷却水に浸漬するまでの空
中に滞在する時間である。この塩水噴霧試験の結果の一
部を、他の比較例とともに図3に示す。図中において、
Hi−Siは高Si鋼を示し、Low−Siは低Si鋼
を示す。
【0027】
【表2】
【0028】この結果より、Zn−10%Al合金めっ
き浴よりもZn−15%Al合金めっき浴を用いた方
が、またMgを添加した方が耐食性に優れていることが
分かった。
【0029】図4は、表2に示した条件でめっきを施し
た高Si鋼の試験体を1000時間と2000時間の塩
水噴霧試験後の腐食減量を、めっき浴中のAl濃度を横
軸にとって表したものである。Al濃度が15重量%の
前後において、腐食減量が非常に少なくなり、特に15
〜20重量%の範囲でピーク的な低い値を示している。
尚、Al濃度が10重量%から15重量%にかけて急激
に腐食減量は低下するが、10重量%でも充分に実用的
である。また、Al濃度が30重量%でも腐食減量は少
ないが、めっき皮膜の外観性において実用的ではない。
【0030】図5は、表2に示した条件でめっきを施し
た低Si鋼の試験体を1000時間の塩水噴霧試験後の
腐食減量を、めっき浴中のAl濃度を横軸にとって表し
たものである。これによれば、腐食減量はAl濃度が5
重量%から30重量%にかけて減少する傾向にあるが、
Al濃度が30重量%では前記同様にめっき皮膜の外観
性が悪く実用的ではない。
【0031】また、表2に示した条件でめっきを施した
高Si鋼の試験体を、クロースタット法とインピーダン
ス法で分極抵抗RP を測定した結果をそれぞれ図6と図
7に示す。分極抵抗RP の値が大きい程、耐食性は高い
ことを示すが、両測定法ともAl濃度が15重量%のと
きに最も高い値を示し、15重量%前後において耐食性
が良好であることを示し、前記塩水噴霧試験の結果とも
一致する。
【0032】以上により、めっき皮膜の耐食性及び外観
性並びに経済性を考慮すれば、めっき浴のAl濃度は1
0〜20重量%が適していると言える。更に、めっき浴
中にMgを0.05〜2重量%添加すれば、耐食性が更
に向上するのでより好ましいのである。
【0033】
【発明の効果】以上にしてなる本発明の高耐食性溶融Z
n−Al合金めっき鋼材の製造方法によれば、従来から
融点が低く且つ粘性が小さいので、良好な表面仕上りと
めっき温度が低い利点を備え、しかも耐食性が良いとさ
れていた溶融Zn−5%Al合金めっきと比較して、更
に優れた耐食性を備えためっき鋼材を製造することが可
能となった。本発明は、めっき浴のAl濃度を増加させ
るとともに、めっき温度を比較的低温に設定した上で、
Zn−Al合金めっき皮膜の付着量を従来は不可能であ
った450g/m2 以上にして耐食性を向上させること
ができたのである。また、本発明は、めっき浴中にMg
を添加することによってめっき皮膜自体の物性を改善し
て耐食性を向上させることができたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zn−10%Al合金めっき浴を用い、各めっ
き時間についてめっき時間に対する付着量の関係を示す
グラフである。
【図2】Zn−15%Al合金めっき浴を用い、各めっ
き時間についてめっき時間に対する付着量の関係を示す
グラフである。
【図3】各種の条件で溶融Zn−Al合金めっきを施し
た試験体の塩水噴霧試験結果を示すグラフである。
【図4】表2のめっき条件でめっきを施した高Si鋼の
試験体を1000時間と2000時間の塩水噴霧試験後
の腐食減量を、めっき浴中のAl濃度を横軸にとって示
したグラフである。
【図5】表2のめっき条件でめっきを施した低Si鋼の
試験体を1000時間の塩水噴霧試験後の腐食減量を、
めっき浴中のAl濃度を横軸にとって示したグラフであ
る。
【図6】表2のめっき条件でめっきを施した高Si鋼の
試験体をクロースタット法で分極抵抗を測定した結果を
示すグラフである。
【図7】同じくインピーダンス法で分極抵抗を測定した
結果を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一浴法にて鋼材を溶融Zn−Al浴に浸
    漬して、鋼材の表面に高耐食性のZn−Al合金めっき
    皮膜を形成するめっき鋼材の製造方法であって、 少なくとも塩化物と脂肪族窒素誘導体からなり、塩化物
    として塩化亜鉛、塩化第一錫、アルカリ金属の塩化物及
    びアルカリ土類金属の塩化物の内の1種又は2種以上
    と、脂肪族窒素誘導体としてアルキル第四級アンモニウ
    ム塩及びアルキルアミン類の内の1種又は2種以上とを
    主たる構成成分とするスラックスに浸漬するフラックス
    処理工程と、 Al濃度が10〜20重量%、残部がZnと不可避不純
    物とからなるめっき浴に、めっき温度が450〜520
    ℃の範囲及び浸漬時間が0.5〜10分の範囲でめっき
    付着量が450g/m2 以上となるようにめっき条件を
    設定して大気開放下で浸漬してなるめっき浴浸漬工程
    と、 めっき皮膜の表層までZn−Al合金層が発達すること
    を抑制すべく、めっき浴から引き上げた後、可及的速や
    かに冷却水に浸漬する冷却工程と、 よりなる高耐食性溶融Zn−Al合金めっき鋼材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記めっき浴の組成が、Al濃度が10
    〜20重量%、Mg濃度が0.05〜2重量%、残部が
    Znと不可避不純物とからなる請求項1記載の高耐食性
    溶融Zn−Al合金めっき鋼材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記めっき浴浸漬工程におけるめっき条
    件として、めっき温度が470〜500℃、めっき時間
    が1〜7分である請求項1又は2記載の高耐食性溶融Z
    n−Al合金めっき鋼材の製造方法。
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