JPH0925571A - 酸化物薄膜の成膜方法 - Google Patents

酸化物薄膜の成膜方法

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JPH0925571A
JPH0925571A JP7194329A JP19432995A JPH0925571A JP H0925571 A JPH0925571 A JP H0925571A JP 7194329 A JP7194329 A JP 7194329A JP 19432995 A JP19432995 A JP 19432995A JP H0925571 A JPH0925571 A JP H0925571A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al23 膜等の酸化物薄膜に酸素不足が発
生するのを防ぐ 【構成】 減圧チャンバ1内の基板W1 とAlターゲッ
ト3の間にRF電源4の高周波電圧とDC電源5の直流
電圧を印加して発生するスパッタリング粒子を基板W1
に被着させ、Al23 膜を成膜する。減圧チャンバ1
内にArのスパッタリングガスとO2 の反応性ガスを導
入するとともに、H2 OとHeガスを導入してAlの酸
化を促進する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層反射防止膜や
高反射ミラーあるいはダイクロイックフィルタ等の光学
薄膜に用いられる酸化物薄膜の成膜方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】多層膜からなる反射防止膜や高反射ミラ
ーあるいはダイクロイックフィルタ等の光学薄膜は、膜
厚方向に屈折率が均一でしかも紫外線領域全体にわたっ
て低吸収である酸化物薄膜を必要とし、このような酸化
物薄膜は一般的にスパッタリングによって成膜される。
【0003】スパッタリングによる酸化物薄膜の成膜
は、従来、以下のように行なわれている。
【0004】金属あるいはその酸化物を材料とするター
ゲットを製作し、これを電極に対向させ、ターゲットが
導電性である場合は直流電流を印加し、ターゲットが絶
縁性材料である場合は高周波電圧(例えば13.5MH
zのRF)を印加するとともに、スパッタリングガスと
してArガス、反応性ガスとしてO2 ガスを導入して放
電させる。放電によって形成されたプラズマ中の活性酸
素(酸素原子、酸素ラジカル、オゾン、酸素イオン等)
とターゲット材料の金属成分が基板上やターゲット表面
あるいはプラズマ中で反応し、酸化物が生成されて基板
に被着する。
【0005】例えば、SiO2 のように酸化しやすく安
定した材料を用いる場合には、SiとOの比率が1:2
で同じバルク組成の酸化物薄膜を得ることができるが、
Al23 やY23 等の酸化物薄膜を成膜する場合に
は酸素が不足した膜になりやすい。そこで、このような
酸化物薄膜を成膜する工程においては、成膜前の基板を
予熱するとともに成膜中も基板を300℃以上の高温状
態に保ち、さらに、酸化を促進するためのオゾンやN2
O等の酸化促進用ガスを加える等の工夫がなされてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の技術によれば、前述のように、Al23 やY23
等の酸化物薄膜を安定して成膜するためには基板を高温
に加熱することが不可欠であり、従って、耐熱温度が1
00℃以下であるプラスチック基板や、高い面精度を維
持することが要求される光学部品用のガラス基板等に成
膜する場合には適用できない。
【0007】また、LCD等のカラーフィルタ等に成膜
するときは、基板に含まれる材料の耐熱温度特性によっ
てプロセス温度が制約されるため、一般的には200℃
以下で成膜することが要求される。
【0008】このように基板の温度を300℃以下に制
御しなければならない状況においては、酸化促進のため
にオゾンやN2 O等のガスを加えても、成膜された酸化
物薄膜はやはり酸素不足となり、その結果、膜の吸収が
大きくなって必要な光学特性を得ることができない。
【0009】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
に鑑みてなされたものであり、基板が無加熱であって
も、吸収の少ない高品質な酸化物薄膜を得ることのでき
る酸化物薄膜の成膜方法を提供することを目的とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の酸化物薄膜の成膜方法は、減圧雰囲気中の
基板にターゲットのスパッタリング粒子を被着させて酸
化物薄膜を成膜する工程を有し、前記減圧雰囲気に、H
eガスおよびNeガスの少なくとも一方と水分を添加す
ることを特徴とする。
【0011】減圧雰囲気中の水分の分圧を1×10-5
1×10-1Paの範囲に制御するとよい。
【0012】直流電圧と10〜20MHzの高周波電圧
をターゲットに印加してスパッタリング粒子を発生させ
るとよい。
【0013】また、直流電圧に50〜200MHzの高
周波電圧を重畳するとよい。
【0014】
【作用】減圧チャンバにスパッタリングガスとしてAr
等を、反応性ガスとしてO2 ガスやオゾン、N2 Oガ
ス、COガス、CO2 ガスまたはこれらのうちの少なく
とも一つを含む混合ガスを導入し、さらに、Heガスお
よびNeガスの少なくとも一方と水分を導入する。減圧
チャンバ内のターゲットに直流電圧や高周波電圧を印加
してスパッタリング粒子を発生させ、ターゲット表面や
プラズマ中あるいは基板表面で酸素と反応させて酸化物
を生成し、これを基板に被着させる。反応性ガス等とと
もに減圧チャンバに導入されその減圧雰囲気に添加され
る水分やHeガスあるいはNeガスは、プラズマ中で分
解、重合し、多くの活性酸素を発生し、これがスパッタ
リング粒子の酸化を促進するため、基板が無加熱であっ
ても酸素が不足することなく、化学量論的組成を有し吸
収が少なくて極めて高品質な酸化物薄膜を得ることがで
きる。
【0015】このような酸化物薄膜を用いて高反射ミラ
ー等の光学薄膜を製造すれば、これらの光学特性を大幅
に改善できる。基板を無加熱で成膜できるため、プラス
チック基板等を用いる場合に好適である。
【0016】減圧雰囲気中の水分の分圧を1×10-5
1×10-1Paの範囲に制御すれば、膜厚方向に均一な
屈折率を有し、しかも吸収の少ない酸化物薄膜を成膜す
ることができる。
【0017】また、直流電圧に50〜200MHzの高
周波電圧を重畳すれば、放電領域を広げることでより一
層酸化反応を促進できる。その結果、屈折率が安定し、
しかも均質で散乱の少ない極めて良質の酸化物薄膜を得
ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面に基づいて
説明する。
【0019】図1は一実施例による酸化物薄膜の成膜方
法に用いる成膜装置を示すもので、これは、図示しない
真空ポンプによって排気される減圧チャンバ1と、その
内部に互いに対向して配設された基板ホルダ2およびタ
ーゲット3と、ターゲット3に高周波電圧と直流電圧を
印加するRF電源4およびDC電源5と、減圧チャンバ
1内にスパッタリングガスであるArガスと反応性ガス
であるO2 ガスを導入するAr,O2 導入ライン6と、
減圧チャンバ1内に水分であるH2 OとHeガスを導入
するH2 O,He導入ライン7を有し、RF電源4の高
周波電圧はマッチングネットワーク4aを経てターゲッ
ト3に印加され、DC電源5の直流電流はローパスフィ
ルタ5aを経てターゲット3に印加される。
【0020】次に、ターゲット3にAlの金属ターゲッ
トを用いてプラスチック製の基板W1 上に酸化物薄膜で
あるAl23 膜を成膜する工程を説明する。まず、減
圧チャンバ1内に隣接して設けられた図示しないロード
ロック室に基板W1 を搬送し、ロードロック室を排気し
たうえで基板W1 を減圧チャンバ1内に搬入する。基板
ホルダ2上に基板W1 を保持させ、減圧チャンバ1を所
定の真空度に減圧したうえで、Ar,O2 導入ライン6
からArガスとO2 ガス、H2 O,He導入ライン7か
らH2 OとHeガスを導入し、ターゲット3にRF電源
4の高周波電圧とDC電源5の直流電圧を印加していわ
ゆるマグネトロンスパッタ放電によるプラズマP1 を発
生させる。
【0021】この放電によってArイオン、活性酸素
(酸素イオン、酸素原子、酸素ラジカル、オゾン等)、
活性He(Heイオン、Heラジカル等)等が発生する
とともに、H2 O分子もプラズマ中で分解、重合して酸
素原子、水酸イオン、H32イオン、H52 イオン
等の各種活性種を生じる。Alのターゲット3は、これ
らのうちの正イオンによってスパッタされ、ターゲット
3の表面近傍の酸化性活性種によって一部酸化された状
態で基板W1 に向かって放出される。このようにして基
板W1 に到達するスパッタリング粒子は、プラズマP1
中や基板W1 の表面近傍の酸化性活性種によって完全に
酸化され、酸素不足のないAl23 膜が基板W1 の表
面に成膜される。
【0022】すなわち、H2 OやHeガスから発生する
各種の酸化性活性種がターゲット3から発生するスパッ
タリング粒子の酸化を大きく促進し、基板W1 が無加熱
であっても酸素不足のない化学量論的組成の酸化物薄膜
を成膜することができる。これは、H2 O分子が酸素分
子に比べて分子半径が大きく、また、O−Hの結合エネ
ルギーがO−Oの結合エネルギーより小さいため、プラ
ズマ中で活性化される確率が非常に高く、さらに、He
ガスの活性種はそのポテンシャルエネルギーが大であ
り、特に、準安定He原子は酸素分子やH2 O分子をペ
ニング電離する働きをすることによるものと推察され
る。
【0023】このような方法で成膜された酸化物薄膜
は、前述のように化学量論的組成を有するため、広い周
波数領域において低吸収で屈折率が安定しており、例え
ばAl23 膜とSiO2 膜を組み合わせることで極め
て光学特性のすぐれた反射防止膜や高反射ミラーあるい
は高精度のダイクロイックフィルタ等を製造することが
できる。
【0024】なお、Heガスの替わりにNeガスを用い
ても上記と同様の効果があることが実験で判明してい
る。
【0025】また、場合によっては、HeガスとNeガ
スの双方を用いてもよい。
【0026】図2に示す成膜装置は、図1の装置のRF
電源4によるRF領域の高周波電圧およびDC電源5に
よる直流電圧に加えて、周波数可変型のVHF電源16
による周波数の特に高いVHF領域の高周波をターゲッ
ト3に印加するように構成したもので、VHF領域の高
周波電圧を重ねることで、基板W2 上に成膜される酸化
物薄膜の吸収をより一層低減することができる。なお、
VHF電源16とターゲット3の間には、マッチングネ
ットワーク16aとバイパスフィルタ16bが設けられ
る。
【0027】また、図3に示す成膜装置は、H2 OとH
2 ガスを個別のガス導入ライン27、28によって減圧
チャンバ1内に導入するように構成したもので、H2
を導入するガス導入ライン27には減圧チャンバ1内の
2 O分圧をモニタする分圧モニタ27aが設けられ、
これによって、成膜中の減圧チャンバ1のH2 O分圧を
所定の値に制御し、酸化物薄膜の光学特性の劣化や製品
ごとの光学特性のバラつきを防ぐことができる。
【0028】次に具体例を説明する。
【0029】図1の成膜装置を用いて石英基板上に膜厚
2000ÅのAl23 膜を成膜した。成膜中の減圧チ
ャンバの全圧を0.4Pa、酸素分圧を0.08Paに
制御し、H2 OとHeガスを導入することなく成膜した
ものをサンプルA1 、H2 Oのみを導入してその分圧を
0.2Paに制御したものをサンプルA2 、Heガスの
みを導入してその分圧を0.1Paに制御したものをサ
ンプルA3 、H2 OとHeガスを導入してそれぞれの分
圧を0.2Pa、0.1Paに制御したものをサンプル
4 として、各A1 〜A4 の波長248nmにおける消
衰係数を調べた結果を表1に示す。
【0030】
【表1】 この表から明らかなようにArガスとO2 ガスのみでは
充分に吸収低減がはかれない。この表では全圧を一定と
しているが、スパッタリングガスをO2 ガスだけにして
も、また、全圧を数Paにしても吸収の低減をはかるこ
とができなかった。これは、RF,DCとによるマグネ
トロンスパッタ放電では充分な量の活性酸素が生成でき
なかったことに起因する。ここにHeガスを導入すると
放電中で形成されたHeの活性励起種が酸素分子との反
応で酸素原子を形成し、酸化反応を促進する。この結果
形成されたサンプルA3 のAl23 膜はサンプルA1
に比べて消衰係数が1桁以上減少している。また、Ar
ガスとO2 ガスに加えてH2 Oを導入したサンプルA2
は、H2 O分子が分解、重合されてできた活性種により
酸化が促進され、消衰係数がやはり1桁減少する。これ
は酸素原子に比べてH2 O分子の分子半径が大きく、ま
た、O−Hの結合エネルギーがO−Oの結合エネルギー
よりも小さいため、プラズマ中で活性化される確率が大
きくなるためである。
【0031】さらに、H2 OとHeガスを同時に導入し
たサンプルA4 のAl23 膜は、消衰係数が測定限界
以下にまで減少する。これは上記のHe励起種の効果と
2Oから生成される活性種の相乗効果によるものであ
る。
【0032】Al23 膜の吸収はターゲットと基板間
の距離や、印加電力等によって変化しやすいが、雰囲気
中にHeガスとH2 Oを同時に導入したものでは、広い
範囲にわたって低吸収化がはかれた。これは、活性種の
密度を高くできたことによるものと考えられる。
【0033】なお、後述するように、Heガスに替えて
Neガスを導入してもほぼ同様な効果が得られる。ま
た、HeガスとNeガスを同時に導入しても同様な効果
が得られることが実験で判明している。
【0034】次に、本具体例においてAl23 膜がも
っとも低吸収で形成できた成膜条件を用いてH2 O分圧
をそれぞれ1×10-5Pa、1×10-4Pa、1×10
-3Pa、1×10-2Pa、1×10-1Pa、1Paに制
御して成膜したものをサンプルB1 〜B6 としてこれら
の波長248nmにおけるロスを調べた結果を表2に示
す。
【0035】
【表2】 2 O分圧が1×10-1Pa以上になるとロスが増加す
ることが解る。これは散乱光が増加しているためであ
る。H2 O分圧が1×10-1Pa以上になると黙視でも
わかるように膜中に空孔の固まりのようなものが形成さ
れ、光を散乱するようになる。この散乱は光の波長が短
くなるにつれて大きくなるため、紫外線用の光学薄膜の
利用を考えた場合には非常に問題となる。また、H2
分圧が1×10-5Pa以下でも低吸収化が不充分にな
る。従って、光学薄膜として利用できる酸化物薄膜を得
るためにはH2 O分圧は1×10-5Pa〜1×10-1
aの範囲内になければならない。
【0036】さらに、ターゲットと基板の距離を変化さ
せてAl23 膜の波長248nmにおける吸収との関
係を調べた結果を表3に示す。スパッタ条件は前述と同
様に低吸収な膜が得られる条件に固定した。
【0037】
【表3】 この表から明らかなようにターゲットとの距離が離れる
と吸収が徐々に大きくなってくる。これはターゲット近
傍で形成された活性種が基板近傍まで充分に輸送されな
いことに起因している。
【0038】そこで、図2の成膜装置を用いて、上記と
同様の成膜条件でターゲットにVHF電源から105M
Heの高周波電圧を付加したときのロスを調べた結果を
表4に示す。
【0039】
【表4】 表2に比べて消衰係数が減少していることが解る。これ
は、105MHeの高周波による放電が基板近傍にまで
回り込み、活性種の濃度を高めているためである。
【0040】このように、周波数の高い特にVHF領域
の高周波を重畳し、スパッタリングガスの雰囲気中に適
度な分圧のH2 Oガスを導入することで減圧チャンバ内
のほとんどすべての位置で低吸収な酸化物薄膜が形成で
きる。
【0041】放電領域を広げるためのVHF電力はター
ゲットに印加しても良いが、装置構造を簡略化するため
に第3電極を通じて印加しても低吸収化の効果に変化は
ない。
【0042】また、ターゲットが金属で導電性がある場
合は、RF電力を印加せず、VHF電力とDC電力だけ
でスパッタリングしても効果に変わりはない。
【0043】さらに、図3の装置を用いて減圧チャンバ
の減圧雰囲気のH2 O分圧をモニタしながらAl23
膜を成膜した。成膜中のH2 O分圧をそれぞれ1×10
-5Pa、1×10-4Pa、1×10-3Pa、1×10-2
Pa、1×10-1Paに制御して成膜したものをサンプ
ルC1 〜C5 としてAl23 膜の波長248nmにお
ける屈折率を調べた結果を表5に示す。
【0044】
【表5】 この表5から明らかなように、Al23 膜の屈折率は
減圧チャンバの減圧雰囲気のH2 O分圧に非常に敏感で
ある。従って、成膜中にH2 O分圧が変動すると屈折率
が膜厚方向に変化して不均一となり、目標とする光学特
性を得ることができない。
【0045】そこで、成膜中のH2 O分圧を1×10-3
Paに保ち、Al23 膜の成膜サイクルを4回繰り返
えしてサンプルD1 〜D4 を製作し、これらの波長24
8nmにおける屈折率を調べた結果を表6に示す。
【0046】
【表6】 表6から解るように、成膜中のH2 O分圧が同じであれ
ば、屈折率のバラつきは微小であり、従って製品ごとに
光学特性がバラつくおそれのない良質の光学薄膜を製造
できる。
【0047】最後に、図1の装置を用いて反応性ガスと
してO2 ガスのみを導入する替わりに、O2 ガスにオゾ
ンガスを加えたもの、または、N2 Oガス、COガス、
CO2 ガスを導入して膜厚1000ÅのAl23 膜を
成膜し、これらをサンプルE1 〜E4 として波長248
nmにおける吸収を調べた結果を表7に示す。
【0048】なお、各サンプルE1 〜E4 の成膜中H2
O分圧は1×10-3Paに制御した。
【0049】
【表7】 さらに、Heガスの替わりにNeガスを用いた以外は上
記と同様の方法で成膜したものをサンプルF1 〜F4
してこれらの波長248nmにおける吸収を調べた結果
を表8に示す。
【0050】
【表8】 表7および表8から、反応性ガスにオゾンやN2 O、C
O、CO2 ガス等を用いてもO2 ガスのみを用いた場合
と同様に吸収の少ない酸化物薄膜を成膜できることが解
る。
【0051】特に、Al23 膜の成膜においては、A
l原子がNやCと比較して酸化しやすい性質を有するた
めにCOガスやCO2 ガス等の不純物ガスがAl23
膜の吸収に影響することなく、逆にこれらの酸化力がO
2 ガスと比べて強力であるために、安定した酸化反応が
得られるプロセス範囲が増大するという利点がある。
【0052】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次に記載するような効果を奏する。
【0053】基板が無加熱であっても、吸収の少ない高
品質な酸化物薄膜を成膜できる。このような酸化物薄膜
を用いることで、光学特性のすぐれた多層反射膜や高反
射ミラー等の光学薄膜を得ることができる。
【0054】特に、高温に加熱することが好ましくない
プラスチック基板や精密光学部品等に成膜する場合に好
適であり、このような光学部品等の低価格化や高性能化
に大きく貢献できる。
【0055】Al23 膜とSiO2 膜の2種類の酸化
物薄膜によって反射防止膜や高反射ミラーあるいはダイ
クロイックフィルタ等を製造する場合には、両酸化物薄
膜を化学量論的組成に成膜し、エキシマレーザの波長領
域(193nm,248nm)において散乱も吸収も少
ない極めて高品質の製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例による光学薄膜の製造方法に用いる成
膜装置を説明する説明図である。
【図2】図1の成膜装置の一変形例を説明する説明図で
ある。
【図3】図1の成膜装置の別の変形例を説明する説明図
である。
【符号の説明】
1 減圧チャンバ 2 基板ホルダ 3 ターゲット 4 RF電源 5 DC電源 6 Ar,O2 導入ライン 7 H2 O,He導入ライン 16 VHF電源 27,28 ガス導入ライン 27a 分圧モニタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧雰囲気中の基板にターゲットのスパ
    ッタリング粒子を被着させて酸化物薄膜を成膜する工程
    を有し、前記減圧雰囲気に、HeガスおよびNeガスの
    少なくとも一方と水分を添加することを特徴とする酸化
    物薄膜の成膜方法。
  2. 【請求項2】 減圧雰囲気中の水分の分圧を1×10-5
    〜1×10-1Paの範囲に制御することを特徴とする請
    求項1記載の酸化物薄膜の成膜方法。
  3. 【請求項3】 直流電圧と10〜20MHzの高周波電
    圧をターゲットに印加してスパッタリング粒子を発生さ
    せることを特徴とする請求項1または2記載の酸化物薄
    膜の成膜方法。
  4. 【請求項4】 直流電圧に50〜200MHzの高周波
    電圧を重畳することを特徴とする請求項3記載の酸化物
    薄膜の成膜方法。
  5. 【請求項5】 反応性ガスとしてO2 ガス、オゾンガ
    ス、N2 Oガス、COガス、CO2 ガスまたはこれらの
    うちの少なくとも1つを含む混合ガスを減圧雰囲気に導
    入することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項
    記載の酸化物薄膜の成膜方法。
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