JP2001156383A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JP2001156383A
JP2001156383A JP2000268696A JP2000268696A JP2001156383A JP 2001156383 A JP2001156383 A JP 2001156383A JP 2000268696 A JP2000268696 A JP 2000268696A JP 2000268696 A JP2000268696 A JP 2000268696A JP 2001156383 A JP2001156383 A JP 2001156383A
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laser device
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reflection film
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JP2000268696A
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English (en)
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Hidesuke Kaya
秀介 賀屋
Takao Ninomiya
隆夫 二ノ宮
Norio Okubo
典雄 大久保
Seiji Uchiyama
誠治 内山
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端面劣化が起こり難く、駆動信頼性が高い半
導体レーザ素子を提供する。 【解決手段】 半導体レーザ素子における共振器端面の
一方に被覆形成する低反射膜18として、抵抗率が1×
1012Ω・m以上、好ましくは1×1013Ω・m以上の化
学量論組成を有するAl23膜を用いる。特にこのAl2
3膜を、例えば電子サイクロトロン共鳴プラズマスパ
ッタ法で成膜する。そして端面劣化を抑えて一定電流に
よる駆動時に光出力の低下を抑えることで、例えば光通
信用の光源として用いるに好適な動作寿命の長い半導体
レーザ素子を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体レーザ素子に
関し、更に詳しくは、長時間の駆動時にあっても光出力
の低下が起こりずらく、駆動信頼性が高い半導体レーザ
素子に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、半導体レーザ素子の製造に際して
は、先ず所定の半導体基板の上に所定の半導体材料の薄
層を積層して活性層を含む層構造を形成し、また、その
上面と下面にそれぞれ駆動電極を形成した後、その層構
造を所定の共振器長で劈開する。次いで共振器の劈開面
(共振器端面)の一方に高反射膜を、他方の共振器端面
に低反射膜を被覆形成することで、活性層に励起したレ
ーザの共振器端面における反射率制御と、劈開面に対す
る保護処理が施される。
【0003】この場合、一般的に上記低反射膜はAlOx
やSiOxのような低屈折率の酸化物材料の単層で形成さ
れ、また高反射膜は上記した低反射膜とSiのような高
屈折率の材料から成る膜を交互に積層した複合層で形成
される。またそのときの成膜法としては一般にスパッタ
法が適用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したよ
うな構造の半導体レーザ素子を一定電流で駆動している
と、時間経過に伴ってその光出力が低減していき、最後
にはレーザ発振が停止することがある。このような現象
は多種の要因に基づくものであるが、その要因の1つに
端面劣化という問題がある。
【0005】この端面劣化(COD)は、レーザ素子の
駆動中に共振器の両端面が酸化して非発光再結合が増加
することによって引き起こされる現象である。このよう
な現象は、例えば光通信用の光源として用いられる半導
体レーザ素子の駆動信頼性を大幅に損なうので、その改
善が強く望まれている。特に活性層の近傍を構成する半
導体材料が含Al化合物半導体材料であり、しかもその
共振器端面に形成された低反射膜(保護膜)がAl23
膜であるような場合、上述した端面劣化が顕著に発現す
るという問題がある。
【0006】本発明は、半導体レーザ素子における上述
した問題を解決するもので、その目的は、長時間の駆動
時においても端面劣化を起こし難くし、従って光出力の
低減も起こり難くして、例えば光通信用の光源としての
実使用時に高い信頼性を備えている半導体レーザ素子を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した目
的を達成するための研究過程で、半導体レーザ素子の共
振器端面にAl23膜を保護膜(低反射膜)と形成した
場合であっても、活性層とその近傍の半導体層が含Al
半導体材料で形成されていると、端面劣化が顕著に発生
する現象に関して次のような考察を加えた。 (1) 一般的な保護膜の成膜法として採用されているス
パッタ法でAl23膜を成膜した場合、その組成は必ず
しも化学量論比になっているとは限らない。むしろAl2
3膜における酸素成分が化学量論比的に過剰になって
いる場合がある。 (2) この場合、半導体レーザ素子の駆動時における発
熱などにより、Al23膜における過剰な酸素成分が遊
離して劈開面側に拡散する。すると劈開面側に拡散した
酸素成分が、共振器端面(劈開面)を構成する含Al化
合物半導体材料のAl成分を酸化する。この結果、共振
器の端面劣化が生じるものと考えられる。 (3) 尚、Al23膜における酸素成分が化学量論比的
に不足する場合には、金属Al成分が多くなり、該Al2
3膜に電界が加わったときに電流が流れ易くなる。す
るとこの電流により金属Al成分、および共振器端面
(劈開面)を構成する含Al化合物半導体材料のAl成分
の酸化が進むことになるので、同様に共振器の端面劣化
が生じ易くなる。 (4) 従って共振器端面に成膜するAl23膜として、
酸素成分が化学量論比的に過剰でないもの、つまりAl
成分と酸素成分とが可能な限り化学量論比に近似した組
成になっているものを用いれば、酸素成分の拡散とそれ
に基づく含Al化合物半導体材料の酸化を抑制すること
ができる。そして含Al化合物半導体材料の酸化を抑制
すれば、共振器における端面劣化の発生を抑制すること
ができると考えた。 (5) また共振器端面に成膜するAl23膜として、酸
素成分が化学量論比的に不足していないもの、つまりA
l成分と酸素成分とが可能な限り化学量論比に近似した
組成になっているものを用いれば、含Al化合物半導体
材料の酸化を抑制して共振器の端面劣化の発生を抑制す
ることができると考えられる。
【0008】そこで本発明者らは上記した考察に基づい
てAl23膜の成膜に関して種々検討を加えたところ、
例えば後述する電子サイクロトロン共鳴プラズマスパッ
タ(Electron Cyclotron Resonance Sputter;以下、E
CRという)法で共振器端面にAl23膜を成膜する
と、そのAl23膜は化学量論比組成の膜となることを
見出した。ちなみにECR法によれば、酸素雰囲気中で
純金属(Al)をターゲットとしてスパッタリングする
ので、スパッタされた純金属(Al)がその雰囲気中の
酸素を必要なだけ取り込んで共振器端面に付着するた
め、該共振器端面に成膜されるAl23膜が化学量論比
組成となるものと考えられる。これに対して従来の通常
のスパッタ法においては、そのターゲットとしてアルミ
ナ(Al23)を用いるので、スパッタされたアルミナ
の分子組成がスパッタの様子によって変化し、該共振器
端面に成膜されるAl23膜における酸素成分が化学量
論比組成的に変化するものと考えられる。
【0009】更に上述した如くECR法を用いて成膜し
たAl23膜における抵抗率は、通常のスパッタ法によ
り成膜したAl23膜に比較して著しく高い値を示すこ
とも見出した。そしてこのような抵抗率の高い化学量論
比組成のAl23膜を成膜した半導体レーザ素子によれ
ば、その端面劣化が大幅に抑制され、長時間の駆動下で
も光出力が殆ど低減せず、駆動信頼性の高い半導体レー
ザ素子となることを見出して本発明を完成するに至っ
た。
【0010】そこで本発明の半導体レーザ素子において
は、共振器の端面を被覆する低反射膜および/または高
反射膜として1×1012Ω・m以上の抵抗率を有する化
学両論組成のAl23膜を用いたことを特徴としてい
る。そしてこのようなAl23膜を、例えば電子サイク
ロトロン共鳴プラズマスパッタ法で成膜することを特徴
としている。
【0011】即ち、本発明は活性層を挟んで光閉じ込め
層を積層形成した半導体多層膜からなり、該半導体多層
膜における各層の接合面に垂直な相対する端面の一方に
低反射膜を、上記端面の他方に高反射膜を被覆形成した
半導体レーザ素子であって、前記低反射膜として、少な
くとも1×1012Ω・m以上の抵抗率を有するAl23
らなる膜を含む膜として形成したことを特徴としてい
る。
【0012】好ましくは前記低反射膜を、1層の膜とし
て形成する。或いは前記低反射膜を、複数の層からなる
膜として形成する。この場合、前記複数の層を、前記A
l2 3からなる膜と、該Al23よりも高屈折率であるS
iを含む膜とにより形成された複合膜として実現する。
特に前記Al23よりも高屈折率である膜として、Si、
α(アモルファス)-Si、およびSiNからなる群から
選ばれたものを用いることが好ましい。
【0013】また好ましくは前記高反射膜を、少なくと
も1×1012Ω・m以上の抵抗率を有するAl23からな
る膜を含むものとする。特に前記高反射膜を、前記Al2
3からなる膜と、該Al23よりも高屈折率であるSi
を含む膜とにより形成された複合膜として実現する。こ
の場合にも、前記Siを含む膜は、Si、α(アモルファ
ス)-Si、SiNからなる群から選ばれたものを用いる
ことが好ましい。
【0014】また本発明は、活性層を挟んで光閉じ込め
層を積層形成した半導体多層膜からなり、該半導体多層
膜における各層の接合面に垂直な相対する端面の一方に
低反射膜を、上記端面の他方に高反射膜を被覆形成した
半導体レーザ素子であって、前記低反射膜として、化学
量論比組成となっているAl23からなる膜を含む膜と
して形成したことを特徴としている。
【0015】この発明においても、好ましくはこの低反
射膜を、1層の膜として形成する。或いは前記低反射膜
を、複数の層からなる膜として形成する。この場合、前
記複数の層を、前記Al23からなる膜と、該Al23
りも高屈折率であるSiを含む膜とにより形成された複
合膜として実現する。特に前記Siを含む膜として、S
i、α(アモルファス)-Si、およびSiNからなる群か
ら選ばれたものを用いることが好ましい。
【0016】また好ましくは前記高反射膜として、少な
くとも略化学量論比組成となっているAl23からなる
膜を含むものを用いる。好ましくは前記高反射膜を、前
記Al 23からなる膜と、該Al23よりも高屈折率であ
るSiを含む膜とにより形成された複合膜として実現す
る。この場合、特に前記Al23よりも高屈折率である
膜として、Si、α(アモルファス)-Si、SiNからな
る群から選ばれたものを用いる。
【0017】そして本発明は、上述したAl23膜を、
電子サイクロトロン共鳴プラズマスパッタ法、電子ビー
ム蒸着法、または電子ビームスパッタ法で成膜すること
を特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態に係る半導体レーザ素子について説明する。図
1はこの発明に係る半導体レーザ素子の概略的な素子構
造を示すもので、図中10はn-GaAsからなる半導体
基板である。半導体レーザ素子は、この半導体基板10
上にn-AlGaAsからなる第1の光閉じ込め層(下部ク
ラッド層)11、InGaAs/GaAsPからなる量子井
戸構造の活性層12、p-AlGaAsからなる第2の光閉
じ込め層(上部クラッド層)13を順次積層形成し、更
にその上にp-GaAsからなるキャップ層14を形成し
た半導体多層膜として実現される。このような半導体多
層膜の成長は、液相成長法、気相成長法、分子線成長法
等を用いて行われる。また上記第2の光閉じ込め層(上
部クラッド層)13およびキャップ層14は、ストライ
プ状にメサエッチングされてレーザ励起方向に電流狭窄
される。
【0019】しかしてストライプの上面には、その頂部
を除いてSiNからなる絶縁層15が被覆形成され、こ
の絶縁層15を覆って前記キャップ層14上にTi/Pt
/Auからなる上部電極(P電極)16がオーミックに
蒸着形成される。また前記半導体基板10の下面には、
AuGeNi/Auからなる下部電極(N電極)17がオー
ミックに蒸着形成される。
【0020】このような素子構造の多層膜半導体を各層
の接合面と直角に、特にそのレーザ励起方向であるスト
ライプ方向と直角に劈開して形成した、相対する共振器
端面(劈開面)の一方には、図2に示すようにAl23
膜からなる単層の低反射膜18が被覆形成され、他方の
端面には高反射膜19が形成される。この高反射膜19
は、例えばSiO2膜19aとα-Si膜19bとを交互に
5層に亘って積層した複合膜からなる。尚、Al23
とSi膜とを交互に積層形成して高反射膜19としても
良い。この場合には、共振器端面に接する膜がAl23
膜となるので、SiO2膜19aを用いる場合よりも共振
器端面との整合性が良く、高反射膜19として顕著な効
果が得られる。
【0021】ここで本発明に係る半導体レーザ素子が特
徴とするところは、その共振器端面の一方に形成する低
反射膜18として、化学量論比に近似した組成を有し、
その抵抗率が1×1012Ω・m以上のAl23膜を設けた
点にある。ちなみにこのような抵抗率のAl23膜は、
例えば図3にその概略構成を示すようなECRスパッタ
装置を用いて成膜される。
【0022】このECRスパッタ装置について簡単に説
明すると、この装置は水冷機構(図示せず)を備えたプ
ラズマ室1aと、このプラズマ室1aに連通する試料室
1bとを備える。プラズマ室1aの外周には磁気コイル
2が設けられており、また該プラズマ室1aの上部には
マイクロ波導入用の導波管3と、ArやO2などのガス源
を導入するための導入管4が取り付けられている。また
プラズマ室1aと試料室1bの境界には、リング状に形
成したターゲット5、この例ではAlが設けられ、この
ターゲット5はスパッタ電源6に接続されている。
【0023】このようなECRスパッタ装置によるAl2
3膜の形成は、上記試料室1bに試料(共振器をなす
レーザ素子)7を配置した後、先ず排気口8を介して試
料室1bとプラズマ室1aとを高真空にする。そして導
波管3から所定周波数のマイクロ波を導入しながら磁気
コイル2とスパッタ電源6を作動させ、この状態で導入
管4からO2を導入すること。するとプラズマ室1a内
においてはECR放電が起こって高密度の酸素プラズマ
が発生し、この酸素プラズマは試料室1bの方へ流れる
プラズマ流となる。このとき上記プラズマ流の外側の部
分がターゲット5に衝突してスパッタリングを起こす。
その結果、酸素プラズマによりスパッタされたターゲッ
ト(Al)5の反応生成物(Al23)が、プラズマ流に
より試料室1bに設けられた試料7の表面に運ばれて堆
積する。この結果、該試料7の表面にAl23膜が形成
されることになる。
【0024】本発明に係る半導体レーザ素子の共振器端
面に設けられる低反射膜18としての上述した抵抗率1
×1012Ω・m以上のAl23膜は、このようなECRス
パッタ装置によるECRスパッタ法により成膜される。
特にこのようなECRスパッタ法によれば、ターゲット
5として純金属であるAlそのものを用いるので、共振
器端面に成膜されるAl23膜は、Al成分と酸素成分と
が化学量論比組成のものとなる。この結果、半導体レー
ザ素子を駆動しても、低反射膜18としてのAl23
が化学量論比組成的に過剰な酸素成分を持たないので酸
素成分の拡散が生じることがなく、従って共振器端面の
酸化が生じることもない。またAl23膜における酸素
成分が化学量論比組成的に不足することもないので、A
l23膜に不本意な電流が流れて共振器端面が酸化され
ることもない。
【0025】またAl23膜が1×1012Ω・m以上の高
い抵抗率を有しており、放熱性にも優れているので、半
導体レーザ素子の駆動によって発生する熱を有効に放散
する機能も呈する、従って半導体レーザ素子の駆動時に
おける共振器端面の温度上昇が効果的に抑制される。こ
れ故、温度上昇に伴う共振器端面の酸化についても抑制
されることになる。特にAl23膜の抵抗率ρが1×1
13Ω・m以上の場合には、その端面劣化が殆ど生じな
くなるので、その動作信頼性を十分に高めることが可能
となる。従って光通信用の光源として用いられる半導体
レーザ素子のように、長期間に亘って連続して用いられ
る大出力用のレーザ素子を実現する上で好適である。
【0026】ところで前述したAl23膜の抵抗率ρ(Ω
・m)は、次のようにして評価することができる。具体的
にはECRスパッタ装置を用いて、例えば共振器端面に
低反射膜18を形成する際、予め半導体レーザ素子と並
べて設けたSi基板の上に所定の厚み[t]のAl23
を同時に成膜し、その上に、通常のリフトオフ法により
或る面積[S]の電極を形成する。そして半導体パラメ
ータアナライザなどにより常温条件において上記Si基
板上に形成したAl23膜のV-I特性を、例えば図4に
示すように測定する。そしてその測定データから、図中
矢印で示すようなブレークダウン手前の時点における電
流値[I]と電圧値[V]をそれぞれ求め、 ρ = V・S/(I・t) なる計算式に基づいて、その抵抗率ρ(Ω・m)を算出す
るようにすれば良い。
【0027】ちなみにECRスパッタ装置を用いて形成
したAl23膜の抵抗率ρ(Ω・m)を求めたところ、図5
に黒丸(●)で示すように5×1012〜1×1014Ω・m
の高抵抗値の分布を有し、このAl23膜を低反射膜1
8として備えた半導体レーザ素子の故障発生率が低いこ
とが確認できた。比較の為に通常のスパッタ法を用いて
同様にして共振器端面にAl23膜からなる低反射膜1
8を形成し、その抵抗率ρ(Ω・m)を求めたところ、図
5に白丸(○)で示すように1×1011〜1×1012Ω・
mの低抵抗値の分布を有し、このAl23膜を低反射膜
18として備えた半導体レーザ素子の故障発生率が高い
ことが確認できた。
【0028】尚、図5に示すFIT(fault in time)
回数は、 FIT=([故障数]×109)/([稼働時間]×[稼働
数]) として評価される動作信頼性の評価値であり、上式から
明らかなようにその値が小さい程、動作信頼性(寿命)
が高いことが示される。具体的には図1に示す素子構造
の半導体レーザ素子として、活性層12がInGaAs/
GaAsPの量子井戸構造、その近傍がAlGaAsクラッ
ド層11,13からなり、共振器長が800μmである
980nm帯域で発振する半導体レーザ素子を製作し
た。そしてこの共振器の一方の端面にECR法で厚み1
90nmのAl23膜を低反射膜18として成膜し、他
方の端面にSiO2/α-Siの複合膜を高反射膜19とし
て成膜した。また比較のために上記半導体レーザ素子
に、通常のスパッタ法でAl23膜から成る低反射膜を
成膜したものを準備した。
【0029】このようにして製作された複数個の半導体
レーザ素子を350mAの一定電流で1000時間駆動
し、そのときの光出力の変化を調べたところ、図6に示
す如き結果が得られた。この図6に示す実験結果から明
らかなように、本発明に係る半導体レーザ素子の場合
は、1000時間の駆動後にあっても光出力の低減は殆
ど起こっていないことが確認できた。これに反して従来
の半導体レーザ素子においては約20時間の経過後にレ
ーザ発振が停止すると言う結果が得られた。尚、本発明
に係る半導体レーザ素子におけるAl23膜の抵抗率を
前述したように測定したところ略1×1013Ω・mであ
った。これに対して従来の半導体レーザ素子の場合は、
そのAl23膜の抵抗率が略1×1011Ω・mであった。
【0030】以上の説明から明らかなように、本発明に
係る半導体レーザ素子によれば長時間の駆動時において
も光出力の低下が殆ど起こらない。その理由は、共振器
端面の低反射膜18として、ECR法で成膜した抵抗率
1×1012Ω・m以上のAl23膜を採用したことによ
り、端面劣化が有効に防止されているからに他ならな
い。しかも980nmで発振する上述した実施形態に係
る半導体レーザ素子などの大出力レーザ素子の場合に
は、Alの酸化は他の素子の場合よりも促進される傾向
があるため、本発明を適用することにより顕著な効果を
得ることができる。
【0031】尚、本発明は上述した実施形態に限定され
るものではない。実施形態においては、980nm帯で
発振する半導体レーザ素子について述べたが、1480
nm帯で発振する光通信用の半導体レーザ素子について
も同様に適用することができる。またここでは、抵抗率
が1×1012Ω・m以上のAl23膜を形成するに際して
ECR法を用いたが、電子ビーム蒸着法や電子ビームス
パッタ法等を用いることも勿論可能である。
【0032】更には半導体レーザ素子の素子構造も図1
に示したものに限られるものではなく、種々構造のもの
に適用することができる。また実施形態において高反射
膜19として、SiO2膜19aとα-Si膜19bとを交
互に積層した複合膜を形成した例について説明したが、
SiO2膜19aよりも高屈折率の膜として上記α-Si膜
19bに代えてSi膜を用いるようにしても良く、更に
はSiN膜を用いるようにしても良い。
【0033】また高反射膜19としてAl23膜を含む
膜を形成する場合にも、本発明を同様に適用することが
できる。即ち、前述したSiO2膜19aとα-Si膜19
bとを交互に積層した複合膜に代えて、Al23膜とSi
膜とを交互に積層した複合膜として高反射膜19を形成
する場合にも、低反射膜18と同様に1×1012Ω・m
以上の高い抵抗率を有する化学量論比組成のAl23
を用いるようにすれば良い。このような化学量論比組成
のAl23膜を含む高反射膜19を用いるようにすれ
ば、高反射膜側の共振器端面での劣化も抑制することが
可能となるので、更に顕著な効果を期待することが可能
となる。
【0034】更には低反射膜18を複数の層からなる膜
として形成するようにしても良い。この場合には、1×
1012Ω・m以上の高い抵抗率を有する化学量論比組成
のAl 23膜と、このAl23膜よりも高屈折率のSiを
含む膜とを交互に積層して形成される複合膜として低反
射膜を実現するようにすれば良い。要するに本発明は活
性層を挟んで光閉じ込め層を積層形成した半導体多層膜
の劈開面を共振器端面とする素子構造の半導体レーザ素
子に幅広く適用することができるものであり、共振器端
面に反射膜として被覆形成されるAl23膜の厚み等に
ついては、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実
施することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、レ
ーザ素子の共振器端面に被覆形成する低反射膜および/
または高反射膜として、抵抗率が1×1012Ω・m以上
の化学量論比組成を有するAl23膜を用いるので、酸
化による共振器端面の劣化を防ぎ、長時間に亘って安定
な光出力を得ることのできる信頼性の高い半導体レーザ
素子を実現することができる。しかもこのようなAl2
3膜を、例えば電子サイクロトロン共鳴プラズマスパッ
タ法で成膜するので、比較的簡単に駆動神聖性の高い半
導体レーザ素子を実現することができ、例えば光通信用
の光源として用いられる大出力レーザ素子に適用して顕
著な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の
概略的な素子構造を示す斜視図。
【図2】図1に示す半導体レーザ素子におけるレーザ励
起方向の概略的な断面構造図。
【図3】本発明の半導体レーザ素子における低反射膜の
成膜に使用するECRスパッタ装置の概略構成を示す
図。
【図4】Al23膜の抵抗率を評価する上でのV−I特
性を示す図。
【図5】Al23膜の抵抗率と、半導体レーザ素子の寿
命との関係を示す図。
【図6】レーザ素子の駆動経過時間と光出力との関係を
示すグラフ。
【符号の説明】 1a プラズマ室 1b 試料室 2 磁気コイル 3 マイクロ波の導波管 4 ガス源の導入管 5 ターゲット 6 スパッタ電源 7 試料 8 排気口 10 半導体基板[n-GaAs] 11 第1の光閉じ込め層(下部クラッド層)[n-Al
GaAs] 12 活性層[InGaAs/GaAsP;量子井戸構造] 13 第2の光閉じ込め層(上部クラッド層)[p-Al
GaAs] 16 上部電極(P電極)[Ti/Pt/Au] 17 下部電極(N電極)[AuGeNi/Au] 18 低反射膜[Al23膜] 19 光反射膜[SiO2膜/α-Si膜]
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大久保 典雄 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 内山 誠治 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 5F073 AA11 AA13 AA74 AA83 CA13 CB10 DA32 DA35 EA28

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性層の両面に光閉じ込め層を積層形成
    した半導体多層膜からなり、該半導体多層膜における各
    層の接合面に垂直な相対する端面の一方に低反射膜を、
    上記端面の他方に高反射膜を被覆形成した半導体レーザ
    素子であって、 前記低反射膜が、1×1012Ω・m以上の抵抗率を有す
    るAl23膜を含むことを特徴とする半導体レーザ素
    子。
  2. 【請求項2】 活性層の両面に光閉じ込め層を積層形成
    した半導体多層膜からなり、該半導体多層膜における各
    層の接合面に垂直な相対する端面の一方に低反射膜を、
    上記端面の他方に高反射膜を被覆形成した半導体レーザ
    素子であって、 前記低反射膜が、化学量論組成のAl23膜を含むこと
    を特徴とする半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記Al23膜が、電子サイクロトロン
    共鳴プラズマスパッタ法で成膜されている請求項1また
    は2に記載の半導体レーザ素子。
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