JPH0817267A - 透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

透明導電性フィルムの製造方法

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JPH0817267A
JPH0817267A JP15121594A JP15121594A JPH0817267A JP H0817267 A JPH0817267 A JP H0817267A JP 15121594 A JP15121594 A JP 15121594A JP 15121594 A JP15121594 A JP 15121594A JP H0817267 A JPH0817267 A JP H0817267A
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Kenji Nakamura
謙治 中村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 長尺の高分子フィルムを基材とし、ロール・
ツ・ロール方式で移送しながら真空中で連続的に透明導
電性薄膜を形成するスパッタリング薄膜形成方法におい
て、スパッタリング時に成膜室の圧力が10-3〜1Pa
になるようAr、あるいはO2 を1〜5%含むAr及び
2 の混合物を導入して、さらに水蒸気分圧が6×10
-4〜10-2Paになるように水を導入してITメタル又
はITOターゲット表面にある低級酸化物をプラズマ放
電で取り除いた後に、水の導入をやめ水蒸気分圧が5×
10-4Pa以下になるよう真空引きをして透明導電性薄
膜を形成することを特徴とする透明導電性フィルムの製
造方法。 【効果】 ITO成膜工程の生産性を落とすことなく長
時間にわたりITO成膜が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明導電性フィルムの
製造方法に関し、さらに詳しくはITO又はITメタル
スパッタターゲットのクリーニングを行い透明導電性フ
ィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ITO膜は、電気導電性が良好でかつ、
可視光波長域で透明性が良好なため、従来から各種ディ
スプレイや太陽電池の透明電極として用いられている。
ITO膜は一般的には、ITOあるいはITメタルター
ゲットを用いて反応性スパッタリングにより形成され
る。特に高分子フィルム上にITO膜を形成しようとし
た時、徐々にターゲット表面にITO低級酸化物が堆積
していき、長時間にわたり連続してITO膜を形成しよ
としたとき成膜開始時から徐々に成膜速度即ち、生産性
が低下しかつ、ITOの膜質自身も劣化する問題があ
る。従来技術では、予め許容可能な膜質変化の起こる連
続生産時間を算出し、該時間毎にターゲット表面の低級
酸化物を除去するかあるいは、ターゲットそのものを交
換していた。このことのためにターゲットを一時大気に
暴露しなければならず、ITO膜形成工程の生産性を低
下させる大きな原因となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ITO成膜工程の生産
性を落とすことなく長時間にわたりITO成膜が可能な
成膜方法、即ちターゲットを大気に暴露することなくタ
ーゲット表面の低級酸化物を取り除くことが可能な方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、下記の本
発明により達成される。即ち、本発明は、長尺の高分子
フィルムを基材とし、ロール・ツ・ロール方式で移送し
ながら真空中で連続的に透明導電性薄膜を形成するスパ
ッタリング薄膜形成方法において、スパッタリング時に
成膜室の圧力が10-3〜1Pa、好ましくは10-3〜1
-1PaになるようAr又はO2 を1〜5%含むAr、
2 の混合物を導入して、さらに水蒸気分圧が6×10
-4〜10-2Paになるように水を導入してITメタル又
はITOターゲット表面にある低級酸化物をプラズマ放
電で取り除いた後に、水の導入をやめ水蒸気分圧が5×
10-4Pa以下になるよう真空引きをして透明導電性薄
膜を形成することを特徴とする透明導電性フィルムの製
造方法である。上述の本発明の高分子フィルム基材に
は、まったくコーティングしていないもの、コーティン
グしていても100〜200℃に加熱した際0.1〜2
%ヘイズが上昇する程度にオリゴマーが析出するポリエ
ステルフィルム、あるいは吸湿性に富むポリエーテルサ
ルフォンフィルムにITO膜を100℃〜150℃に加
熱しながらITO又はITメタルターゲットを用いてス
パッタリングによりITO膜を形成するのに適してい
る。
【0005】本発明の方法を透明導電性フィルムの製造
方法に適用する場合には、透明導電性薄膜として公知の
ものすべてに適用できる。即ち、従来から開発が盛んな
In・Snの合金酸化膜(ITO膜)、SnのF添加酸
化膜、ZnO膜にも適用できる。特に、ITO膜形成時
には、ITO膜を十分酸化するため高分子フィルム基板
を高温に加熱する必要がある。ITO成膜時のフィルム
基板温度は高い程好ましいが、本発明では100〜20
0℃が適当である。なぜなら、100℃以上加熱しない
と滑剤としてはたらくオリゴマーが十分に発生せず、2
00℃以上にするとオリゴマーよりポリエステルフィル
ムが白濁してしまい、かつポリエーテルサルフォンフィ
ルムは、熱変形を起こしてしまい外観を損ねるからであ
る。従来、100℃以上加熱するとITO成膜室内で高
分子フィルム基板からオリゴマーあるいは水蒸気ガスが
発生しそのことが原因でガラス基板上に同様にITOを
形成する場合に比較してターゲット表面上に堆積する低
級酸化物の量が著しく多かった。そのため、生産性を向
上させるため高分子フィルム基板上にITO膜を連続的
に形成しようとしても成膜速度、膜質の劣化してしま
い、ガラスなみの生産性を得ることができなっかた。な
ぜなら、成膜速度、膜質を許容範囲内にコントロールす
るために、ターゲットを大気中に一度暴露した後に低級
酸化物を研磨するかあるいは、新しいものと取り替える
必要が生じ余分な工程を加えなければならない。亥工程
は、全工程を合計した時間の5〜20%におよび生産性
に重大な影響を与えていた。そこで、ターゲットを大気
中に暴露することなくされることなくターゲット表面の
低級酸化物を取り除き生産性を低下するさせることな
く、成膜速度、膜質を許容範囲内にコントロールる方法
を鋭意検討した結果、本発明による生産方法を見いだす
に至った。
【0006】ITO膜をITO又はITメタルターゲッ
トを用いてスパッタリングにより形成する際、成膜雰囲
気中に水蒸気を加えると、プラズマで水蒸気の一部はH
2O→OH++OH-に電離する。その水素イオンの一部
が還元剤として働き2H++InO→In+H2Oなる反
応を引き起こす。その結果、ターゲット表面に堆積した
低級酸化物は金属に還元され見かけ上、低級酸化物を除
去した様な効果が得られることが見いだされた。成膜室
内に導入する水蒸気量は、水蒸気分圧は6×10-4〜1
-2Paになるように水を導入するのが好ましい。6×
10-4Pa以下だとターゲット表面の低級酸化物を除去
する大きな効果は得られず生産性を向上させるまで至ら
ない。反対に10-2Pa以上に導入すると成膜室内の電
気絶縁性が損なわれてしまい異常放電が多発し好ましく
ない。スパッタリング時に成膜室の圧力が10-3〜1P
a、好ましくは10-3〜10-1になるよう不活性ガスあ
るいわ不活性ガスと反応ガスの混合物を導入してしなけ
れば正常なスパッタ放電は維持できない。不活性ガスに
は、キセノン、ネオン、アルゴンが使用できるが経済的
にもアルゴンガスが好ましい。反応ガスは、酸化反応で
あることからO2 が好ましい。
【0007】
【実施例】
<実施例>ポリエステルフィルムに厚さ100μmのポ
リエステルムを用い、その片側の面に該コーティング層
として分子量約1040、融点55℃のエポキシアクリ
レートプレポリマー(昭和高分子株式会社製VR−9
0)100重量部、ジエチレングリコール200重量
部、酢酸エチル100重量部、ベンゼンエチルエーテル
2重量部、シランカップリング剤(信越化学株式会社製
KMB−503)1重量部を50℃にて撹拌溶解して均
一な溶液をディップ法により両面に塗布し80℃10分
加熱した後紫外線を照射して該コーティングを形成した
後、ロール・ツ・ロール方式のリアクティブマグネトロ
ンスパッタ装置により厚さ30nmのITO膜を形成し
た。ITO膜形成時、ITO膜を十分に酸化するため基
板フィルムを140℃に加熱した。140℃に加熱する
ために140℃に温調した鏡面のドラムに密着させた状
態でフィルムを走行させた。その結果、ターゲット投入
電力密度1W/cm2 でスパッタ開始後8時間経過した
ところで成膜速度は開始時の80%にまで低下したとこ
ろで、生産を中断し水蒸気分圧が5×10-3Paなるよ
うに成膜室内に水を導入するほかの条件は生産時と同等
なるようにして、10分間放電した後、放電をいったん
止め導入ガスをすべてとめて真空引きを20分間ひいた
後に成膜室内の真空度が5×10-4Pa以下にになった
ことを確認した後に生産を再開して成膜速度はスパッタ
開始時にまで回復した。成膜再開から8時間連続生産
後、光学特性電気導電性、耐久性の評価を行いすべてサ
ンプリング部位にかかわらず許容範囲内であった。
【0008】<比較例>ポリエステルフィルムに厚さ1
00μmのポリエステルムを用い、その片側の面に該コ
ーティング層として分子量約1040、融点55℃のエ
ポキシアクリレートプレポリマー(昭和高分子株式会社
製VR−90)100重量部、ジエチレングリコール2
00重量部、酢酸エチル100重量部、ベンゼンエチル
エーテル2重量部、シランカップリング剤(信越化学株
式会社製KMB−503)1重量部を50℃にて撹拌溶
解して均一な溶液をディップ法により両面に塗布し80
℃10分加熱した後紫外線を照射して該コーティングを
形成した後、ロール・ツ・ロール方式のリアクティブマ
グネトロンスパッタ装置により厚さ30nmのITO膜
を形成した。ITO膜形成時、ITO膜を十分に酸化す
るため基板フィルムを140℃に加熱した。140℃に
加熱するために140℃に温調した鏡面のドラムに密着
させた状態でフィルムを走行させた。その結果、ターゲ
ット投入電力密度1W/cm2 でスパッタ開始後8時間
経過したところで成膜速度は開始時の80%にまで低下
したところで、生産を中断しターゲットを大気に暴露し
サンドペーパーにて表面を研磨した後成膜室内が5×1
-4Paなったことを確認して生産再開できるようにな
るまで3時間を要した。
【0009】
【発明の効果】ITO成膜工程の生産性を落とすことな
く長時間にわたりITO成膜が可能となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺の高分子フィルムを基材とし、ロー
    ル・ツ・ロール方式で移送しながら真空中で連続的に透
    明導電性薄膜を形成するスパッタリング薄膜形成方法に
    おいて、スパッタリング時に成膜室の圧力が10-3〜1
    PaになるようAr又はO2 を1〜5%含むAr及びO
    2 の混合物を導入して、それに加えてさらに水蒸気分圧
    が6×10-4〜10-2Paになるように水を導入して、
    ITメタル又はITOターゲット表面にある低級酸化物
    をプラズマ放電で取り除いた後に、水の導入をやめ水蒸
    気分圧が5×10-4Pa以下になるよう真空引きをして
    透明導電性薄膜を形成することを特徴とする透明導電性
    フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0925571A (ja) * 1995-07-06 1997-01-28 Canon Inc 酸化物薄膜の成膜方法
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