JPH09255310A - 窒化珪素の製造方法 - Google Patents

窒化珪素の製造方法

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JPH09255310A
JPH09255310A JP8072437A JP7243796A JPH09255310A JP H09255310 A JPH09255310 A JP H09255310A JP 8072437 A JP8072437 A JP 8072437A JP 7243796 A JP7243796 A JP 7243796A JP H09255310 A JPH09255310 A JP H09255310A
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啓 磯崎
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哲美 大塚
Yasuto Fushii
康人 伏井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のような長時間ないしは特殊な解砕・粉砕
工程や、湿式の精製工程のような手間のかかる後処理を
行わなくても高品質の窒化珪素粉末を容易に製造するこ
と。 【解決手段】金属シリコン粉末を窒化して窒化珪素を製
造する方法において、上記金属シリコン粉末が、X線回
折により求められた結晶子径が100nm以上のもので
あることを特徴とする窒化珪素の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化珪素の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素の工業的規模の製造法には大別
すると3法があるが、それぞれ一長一短がある。金属シ
リコン粉末を窒素ガス等で窒化する金属シリコン直接窒
化法は、比較的安価であるが得られた窒化珪素の純度が
悪い。シリカ粉末を窒素ガスと炭素で還元窒化するシリ
カ還元窒化法は、ややコスト高であるが高温曲げ強度の
高い窒化珪素焼結体を製造し易い窒化珪素を製造するこ
とができる。四塩化珪素とアンモニアを反応させるハロ
ゲン化珪素法は、高純度の窒化珪素を製造することがで
きるが高価である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記窒化珪
素の製造方法のうち、金属シリコン直接窒化法の改良に
関するものであり、その目的は、反応率が高くしかも粉
砕性の高い窒化珪素インゴットを製造することによっ
て、粉砕工程で鉄等の不純物の混入を防止し、高純度か
つ高α化率の窒化珪素粉末を製造することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、金
属シリコン粉末を窒化して窒化珪素を製造する方法にお
いて、上記金属シリコン粉末が、X線回折により求めら
れた結晶子径が100nm以上のものであることを特徴
とする窒化珪素の製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について
説明する。
【0006】金属シリコンと窒素ガスとの反応は主に気
−固反応によって進むものと考えられている。この反応
は、1100〜1450℃の温度範囲で行われる固体の
不均一反応であり、また大きな発熱を伴うため反応を厳
密に制御することが困難である。そこで、通常はあまり
急激に反応させないよう長時間をかけて反応を行わせ、
高α化率の窒化珪素インゴットを製造している。
【0007】反応制御がうまくいかないと、金属シリコ
ンが溶融したまま残存し、不純物の多い粉砕性の悪い窒
化珪素インゴットが製造される。このような反応制御
は、金属シリコン粉末の投入量、窒化温度、雰囲気の窒
素分圧、窒化時間などによって行われるが、本発明は金
属シリコン粉末の結晶子径の大きさを調整して行うこと
に特徴がある。
【0008】通常、金属シリコンは、珪石と炭材を混合
した後、電気炉で還元反応させて合成され、その特性は
純度によって規格化されている。この金属シリコンの粉
砕物は窒化珪素の製造原料として使用されている。これ
までは、金属シリコン粉末の窒化反応性は、その粒度
や、鉄、アルミニウム等の金属不純物量ないしは酸素量
との関係で説明されており、一般に金属不純物が多く、
粒度の細かいものが反応性が高いといわれている。しか
し、本発明のように、金属シリコン粉末の結晶子径の大
きさとその窒化反応性との関係で説明されたものは見当
たらない。
【0009】本発明で使用される金属シリコン粉末が、
その結晶子径がX線回折により求められた値が100n
m以上のものである。通常に入手される金属シリコン粉
末の結晶子径が50〜80nm程度であるので、本発明
で使用されるものが著しく大きいことが特徴である。本
発明において、金属リコン粉末の結晶子径が100nm
未満では窒化反応が不均一に起こり、α化率の低下した
り、生成した窒化珪素粒子の焼結によって窒化珪素イン
ゴットの粉砕性が低下する。
【0010】金属シリコン粉末の結晶子径は、上記還元
反応が起こるときの温度と冷却速度によって決定され、
高温で還元反応を生じさせるほど、また冷却速度を緩や
かにするほど、結晶子径は大きくなる。本発明で使用さ
れる金属シリコン粉末は、この現象を利用して製造する
ことができる。
【0011】本発明において、金属シリコン粉末の結晶
子径をX線回折により求める方法は次のとおりである。
先ず、Kα1 とKα2 の回折線を多重ピーク分離し、真
の半価幅(FWHM : full width at half weight) βは、
実測半価幅Bと機械的半価幅bに対してβ2 =B2 −b
2 であるとする。bはα−SiO2 の回折線から求め
る。βは結晶子径と不均一歪により決まり、歪がGauss
分布しているとすると(1)式となる。
【0012】 β2 /tan2θ=Kλβ/ε tanθ sinθ+4η2 ・・・(1) ここで、K:定数(=0.9)、λ:CuKα線の波長
(1.54Å)、η:不均一歪、ε:金属シリコン粉末
の結晶子径である。
【0013】従って、Kλβ/ tanθ sinθに対してβ
2 /tan2θをプロットし、その直線の傾きから1/εを
求め、金属シリコン粉末の結晶子径εを算出する(修正
Hall法)。
【0014】本発明の金属シリコン粉末を用いて窒化珪
素を製造するには通常の条件を採用することができる。
【0015】例えば、金属シリコン粉末原料の反応炉へ
の供給は、金属シリコン粉末を容器に充填してから行う
か、又はプレス成形等により所望の形状に成形してから
行う。金属シリコン粉末の比表面積としては0.2〜5
2 /g特に0.5〜4m2/gであることが好まし
く、また金属シリコン粉末のFe不純物の含有量は20
00ppm以下であることが好ましい。Fe不純物の含
有量が2000ppmをこえると、反応制御が容易とな
るが製品純度が低下する。
【0016】反応速度の制御を容易とするために、金属
シリコン粉末は窒化珪素粉末からなる骨材と混合して使
用することもできる。骨材としては、低酸素、高比表面
積、高純度の窒化珪素粉末を使用すると、低酸素、高比
表面積、高純度の窒化珪素粉末を得ることができる。金
属シリコン粉末と骨材の混合方法は、両者を別々に粉砕
した後混合してもよく、また粉砕と混合を同時に行うこ
ともできる。いずれの場合においても、粉砕・混合時の
不純物の混入、特にメディアの摩耗による不純物混入と
金属シリコンの酸化には充分留意すべきであり、特に高
純度を必要とする場合には、窒化珪素製のメディアを使
用し、非酸化性雰囲気下で粉砕・混合を行うことが好ま
しい。
【0017】窒化を行う際の窒化反応ガスの例として
は、窒素及び/又はアンモニアをあげることができる。
窒化反応ガスは反応制御のため不活性ガスや水素ガス等
と併用することもできる。特に好ましいガス組成は、窒
素−水素−アルゴン系であり、窒化率10〜80%の範
囲においては水素とアルゴンガスの合計が15〜70体
積%の範囲にあることが望ましい。
【0018】窒化に際しては、温度1100〜1450
℃特に1150〜1350℃の範囲における窒化率を8
0%以上となるように制御することが好ましい。窒化時
間については、本発明で使用される金属シリコン粉末の
反応活性が高いので、40〜60時間という比較的短時
間でも可能である。
【0019】従来の金属シリコン粉末を用いる窒化珪素
の製造においては、反応制御を容易とするためフッ化カ
ルシウムや酸化鉄等の窒化触媒を金属シリコン粉末に添
加していたが、本発明においては金属シリコン粉末の反
応活性が高いので窒化触媒を用いなくてもよい。むし
ろ、窒化触媒が製品に残留して窒化珪素の品質低下を招
くので使用しないほうが望ましい。
【0020】
【実施例】以下、実施例、比較例をあげて更に具体的に
本発明を説明する。
【0021】実施例1〜7 比較例1〜7 表1に示す結晶子径の異なる高純度金属シリコン粉末を
窒化珪素製ボールを用いたボールミルで粉砕し表1に示
す比表面積にした。得られた金属シリコン粉末100重
量部に骨材(電気化学工業社製窒化珪素粉末:商品名
「SN−9FW」)50重量部を加え、ボールミルで混
合して原料とした。
【0022】この原料80gを嵩密度0.7g/cm3
の板状体に成形してから窒化炉内に充填し、炉内を酸素
濃度が300ppm以下になるよう窒素ガス置換してか
ら、窒素ガスとアルゴンガスと水素ガスの混合ガスを流
入しながら昇温を開始した。1100℃迄は200℃/
hで昇温し、1350℃迄は10℃/hで昇温した。そ
の後、窒素ガスを流しながら室温まで放冷し、生成した
窒化珪素インゴットを取り出した。インゴットは窒化珪
素製乳鉢で粗・中砕して篩い分け、0.2〜1mmのも
のについて比表面積を測定し、更に0.045mm以下
の粉砕物を用いてX線回折分析を行った。その結果を表
1に示す。
【0023】(1)比表面積:湯浅アイオニクス社製
「カンタソーブ」を用い、ヘリウム−窒素の混合ガスを
標準ガスとした流通式の1点法で測定した。 (2)α化率:CuKα線によりX線回折を行い、α相
は(102)面の回折線強度Ia102と(210)面の回
折線強度Ia210、β相は(101)面と(210)面の
回折線強度をそれぞれIb101、Ib210で代表し、次式に
より算出した。 α化率(%)=(Ia102+Ia210)/(Ia102+Ia210+I
b101+Ib210)×100
【0024】
【表1】
【0025】表1に示したように、本発明の製造方法に
よる実施例1〜7では、反応率は高く、高比表面積、高
α化率の窒化珪素インゴットが得られた。これに対し、
金属シリコンの結晶子径が本発明の範囲内にない比較例
1〜7では、窒化反応率は低く、低比表面積、そして低
α化率のインゴットであり、窒化珪素焼結用原料粉末と
しては適当ではなかった。
【0026】実施例8〜14 比較例8〜14 実施例1〜7及び比較例1〜7で製造された原料200
gを嵩密度0.7g/cm3 の板状体に成形してから窒
化炉内に充填し、温度1100℃迄は200℃/hで昇
温し、1450℃迄は10℃/hで昇温したこと以外
は、実施例1と同様にして窒化珪素インゴットを製造し
た。
【0027】得られた窒化珪素インゴットを窒化珪素製
乳鉢で0.2mm以下に粗・中砕した後、窒化珪素製ボ
ールを用いたボールミルにより窒素雰囲気中で8時間粉
砕し、表2に示す比表面積を有する窒化珪素粉末を製造
した。
【0028】得られた窒化珪素粉末90重量部、Al2
3 粉末3重量部、Y2 3 粉末5重量部及び有機バイ
ンダー15重量%を加え湿式混合し、スプレードライヤ
ーで造粒・乾燥した後、それを金型プレス成形後2.0
トン/cm2 の圧力でCIP成形してから、温度180
0℃で6時間焼成して窒化珪素焼結体を製造し、JIS
R1601に準拠して室温における4点曲げ強度を測
定した。それらの結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、従来のような長時間な
いしは特殊な解砕・粉砕工程や、湿式の精製工程のよう
な手間のかかる後処理を行わなくても高品質の窒化珪素
粉末を製造することができる。
【0031】本発明によれば、窒化触媒を添加しなくて
も反応率を高めて窒化珪素インゴットを製造することが
できるので高純度であり、しかも容易に高比表面積の窒
化珪素粉末とすることもできるので、その焼結体は自動
車部品やガスタービン部品に適したものとなる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属シリコン粉末を窒化して窒化珪素を
    製造する方法において、上記金属シリコン粉末が、X線
    回折により求められた結晶子径が100nm以上のもの
    であることを特徴とする窒化珪素の製造方法。
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