JPH09251217A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

Info

Publication number
JPH09251217A
JPH09251217A JP24144696A JP24144696A JPH09251217A JP H09251217 A JPH09251217 A JP H09251217A JP 24144696 A JP24144696 A JP 24144696A JP 24144696 A JP24144696 A JP 24144696A JP H09251217 A JPH09251217 A JP H09251217A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
component
acid
electrostatic charge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP24144696A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3585666B2 (ja
Inventor
Shigeru Emoto
茂 江本
Yoichi Maekawa
陽一 前川
Hisami Hasegawa
久美 長谷川
Kazuto Watanabe
和人 渡辺
Mitsuteru Kato
光輝 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP24144696A priority Critical patent/JP3585666B2/ja
Publication of JPH09251217A publication Critical patent/JPH09251217A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3585666B2 publication Critical patent/JP3585666B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に熱ロール定着方式に適した静電荷像現像
用トナーを提供する。 【解決手段】 バインダー樹脂に着色剤、必要に応じて
磁性粉を分散させてなる電子写真用トナーにおいて、バ
インダー樹脂がポリカルボン酸成分(A)とポリオール
成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂、又は
このポリエステル樹脂にビニル樹脂をブレンドしたもの
であり、かつ、(B)の少なくとも一部がノボラック型
フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)で
あり、しかもテトラヒドロフラン不溶解分を含まな
い、及び分子量1×107以上の成分を5〜20重量
%含有するの状態でトナー中に存在することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷などにおける静電荷像を現像するためのト
ナーに関するもので、特にレーザプリンタ用、その他熱
ロール定着機構を有する複写機に適した静電荷像現像用
トナー(静電荷像現像用磁性一成分トナーを含む)に関
する。
【0002】
【従来の技術】加熱ローラーの定着機構を備えた複写装
置に使用される現像用トナーは、加熱ローラー表面とト
ナー像が溶解状態で加圧下で接触するため、トナー像の
一部がローラーの表面を介しペーパーオフセット現象を
生じさせる。オフセット現象を回避するための手段とし
て、結着樹脂として架橋された重合体を用いたトナー
(特公昭51−23354号公報)や、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等の低分子量のポリオレフィンを含有
させたトナー(特開昭49−6523号公報)などが提
案されている。これらの方式に従がえば、耐オフセット
性及び耐摩擦性の改良には効果があるが、同時に定着性
までも満足するものは得られていない。
【0003】また、結着樹脂として、低温定着性と高温
下での耐オフセット性にすぐれるポリエステル樹脂にそ
の構成単位としてノボラック型フェノール樹脂を用いる
ものが提案されている。これによれば、耐オフセット、
低温定着ともに効果が認められるはずであるが、それら
を満足するのに必要な温度巾が十分でないため、双方満
足する結果は得られていない。更に、オレフィンを含有
するトナーにおいて、オレフィンが比較的軟質であるた
めわずかな力によりオレフィンが遊離し、これがキャリ
ア粒子の表面に付着して汚染する。この汚染によりトナ
ーとキャリアの摩擦帯電性が大きく阻害され、その結
果、帯電不安定さが早期に発生し画像にカブリがみられ
るようになる。またオレフィンを含有するトナーは流動
性が低いため現像部へのトナー供給量が不安定となり画
像ムラが発生しやすくなる。
【0004】また従来より、加熱ローラー定着方式で
は、定着ローラー表面にトナーを付着させないために、
例えば定着ローラー表面を弗素系樹脂などのトナーに対
して離型性の優れた材料で形成するとともにその表面に
さらにシリコンオイルなどのオフセット防止用液体を供
給して、液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行
われている。この方法はトナーのオフセット防止する点
では極めて有効なものであるが、オフセット防止用液体
が加熱されることにより臭気を発生し、またオフセット
防止用液体を供給するための装置を必要とするため、複
写装置の機構が複雑になるとともに、安定性のよい画像
を得るために高い精度が要求されるので、複写装置が高
価なものになるという欠点がある。
【0005】これらに加えて、静電荷像現像用トナーが
磁性トナーである場合には、定着法として好ましい熱ロ
ーラ定着法により磁性トナー像を定着処理すると、磁性
トナー中に熱的に溶融しない磁性体粒子が存在するた
め、特に低温低湿の環境条件下において定着不良が発生
しやすい問題がある。また、磁性トナーに含有される磁
性体粒子が硬質であり、しかも磁性トナー粒子の表面に
も露出した状態で磁性体粒子が存在するため、このよう
な磁性トナーを用いて磁気ブラシ現像法により現像を行
なうと、潜像担持体の表面に磁気ブラシによる擦過傷が
発生しやすく、特に低温低湿の環境条件下においては擦
過傷が顕著に発生する。更に、多数回にわたる画像の形
成を繰り返すと、上記擦過傷が増大し、その結果、擦過
傷が生じやすい有機感光層を備えた潜像担持体を用いた
場合に、上記クリーニング不良が著しくなり、擦過傷部
分の現像性が低下して画像荒れが顕著となる。
【0006】オフセット現象の生じないトナーを得るこ
とは、定着器に多くの電力を使わず、しかもヒートロー
ルを使用した高速な複写機、いわゆる省力高速複写機へ
の適用を考えるとき、より困難な問題にあう。即ち、オ
フセット現象がおこらないためにはトナーに使うバイン
ダーポリマーは、できるだけ強靱であり、かつ十分な溶
融流動性が要求される。だが、溶融流動性を持たせるた
めには相当高温までトナーを加熱しなければならず、こ
のことは省力という要請を満たさないことになる。従っ
て、省力であるためには、低温で定着することが要求さ
れ、ガラス転移点および分子量の低い樹脂を使用するこ
とが好ましい。しかし、分子量の低い樹脂は当然強靱性
がなくオフセット現象を生じやすくなる。
【0007】従来、オフセット防止のためのトナーの強
靱化は、通常約10万以上の平均分子量の高分子ポリマ
ー、特にビニル系ポリマーを用いる場合が多い。高分子
量ビニルポリマーを用いたトナーを低温で定着させるた
めには、ポリマーのガラス転移点をブロッキングをおこ
さない限りできるだけ低く下げるか或いは可塑剤の添加
によって定着温度を下げる等の方法がある。しかしなが
ら、これらの方法はただ定着点(完全に定着の行われる
最低温度)を下げるだけでなくホットオフセット温度
(オフセットのおこりはじめる温度)をも同時に下げて
しまい、このため定着点とホットオフセット温度との間
の温度範囲、いわゆるフュージング・ラッテイチュード
を低温側に移動するだけになるという結果を招く。ま
た、重量平均分子量の増大によりホットオフセット温度
の下降を防止しようとすると、樹脂の高粘度化のため、
ガラス転移点降下や可塑剤添加の効果が減殺され、さら
には架橋分が多いことによる粉砕性悪化を伴う。
【0008】一方、ポリエステル樹脂は、ビニル系ポリ
マーと異なりガラス転移点が低く、しかも低分子量の樹
脂を容易に得ることができる。このことは低温定着性ト
ナーが容易に得られることを意味する。しかしながら、
ポリエステル樹脂は低分子量樹脂であるためオフセット
の程度がはげしくヒートロール用トナーには、そのまま
では使用することはできない。
【0009】そこで、ビニル系ポリマーの高温までオフ
セットのおこらない性質とポリエステルの低温において
も定着可能であるという両者の長所を生かすために、両
方の樹脂をブレンドすることが考えられ、例えば特開昭
54−114245号公報に記載されている。だが、高
分子量のビニル系ポリマーと低分子量のポリエステル樹
脂では、樹脂同士の相溶性が悪く不均一な分散状態とな
る。特に両者の分子量が異なるほど相溶性が悪化し、分
散状態を位相差顕微鏡などで観察すると海の中に島があ
るような状態で観察される。こうしたことは相溶性の悪
いプラスチックをブレンドした時にも観察され、海−島
理論として、プラスチックス、13、No.9,1(1
962)に掲載されている。
【0010】トナー樹脂中に上記のような海−島が形成
されると、トナーの他の成分である染料のような極性制
御剤やカーボンブラック、磁性体等の着色剤は分散が不
十分となり、くり返しコピーで逆帯電トナーなどが発生
し、いわゆるかぶりが発生する。他方、ポリエステル樹
脂とビニル系ポリマーとの分散性を改良するために、両
者に共通セグメントを導入し、グラフト共重合体を形成
する方法も提案されている。しかし、このような共重合
体になった樹脂では、耐ホットオフセット性及び低温定
着性の互いの樹脂の長所を生かせず平均化されてしま
う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、熱ロール定着方式に適し、低温定着が行なえかつホ
ットオフセット性のすぐれた静電荷像現像用トナーを提
供することにある。本発明第2の目的は、帯電環境安定
性の良好な静電荷像現像用トナ−を提供することにあ
る。本発明の第3の目的は、粉砕式トナー生産ラインに
おいてトナー混練時動力負荷の少ないバインダー樹脂を
提供し高い生産性(原料の粉砕性)を発揮させることの
できる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、 (1)バインダー樹脂に着色剤を分散させ、該バインダ
ー樹脂がポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分
(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂であり、ポ
リオール成分(B)の少なくとも一部がノボラック型フ
ェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)であ
って、しかも下記(イ)及び(ロ) (イ)テトラヒドロフラン(THF)不溶解分を含まな
いこと、(ロ)分子量1×107以上の成分を5〜20
重量%含有すること、の状態でトナー中に存在すること
を特徴とする静電荷像現像用トナー、 (2)前記(1)において、粒径0.1μm以下の磁性
体粒子を分散含有していることを特徴とする静電荷像現
像用トナー(磁性一成分トナー)、が提供される。
【0013】また、本発明によれば、 (3)前記(1)又は(2)において、バインダー樹脂
がポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)と
を構成単位としたポリエステル樹脂にビニル樹脂をブレ
ンドしたものである(ここでビニル樹脂の量はバインダ
ー樹脂全体の30重量%以下となる量が適当である)こ
とを特徴とする静電荷像現像用トナー、 (4)前記(1)(2)又は(3)において、バインダ
ー樹脂はそのTHF溶解分のゲルパーミエーションクロ
マトグラフィ(GPC)による分子量分布が2000〜
10000の領域にメインピークを有し、かつ、分子量
10000以下が50〜70重量%であることを特徴と
する静電荷像現像用トナー、 (5)前記(1)(2)(3)又は(4)において、バ
インダー樹脂は、ガラス転移点50〜65℃、酸価が1
〜5mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH
/gの特性を有することを特徴とする静電荷像現像用ト
ナー、 (6)前記(1)(2)(3)(4)又は(5)におい
て、バインダー樹脂の含水率が30℃、60%(24時
間調湿)において5000ppm以下好ましくは300
0ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用ト
ナー、 (7)前記(1)(2)(3)(4)(5)又は(6)
において、ワックスを含有し、このワックスの分散粒子
径が2μm以下であることを特徴とする静電荷像現像用
トナー、 (8)前記(1)(2)(3)(4)(5)(6)又は
(7)において、高架式フローテスターにおいて軟化点
が70〜85℃でかつ流出開始温度が115〜135℃
の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。本発明トナーにおけるバインダー樹脂は、ポリカ
ルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単
位としたポリエステル樹脂、又はこのポリエステル樹脂
にビニル樹脂をブレンドしたものであるが、ポリオール
成分(B)の少なくとも一部は(イ)実質的にテトラヒ
ドロフラン不溶解分を含まないで、かつ、(ロ)分子量
1×107以上の成分を5〜20重量%含有するノボラ
ック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B
1)である。ここで前記(イ)、(ロ)の状態は、トナ
ー製造における混練的な機械的エネルギーによる分子剪
断により得ることができる。なお、前記(ロ)で「分子
量1×107以上」としたのは107以上の分子量は現在
のところ測定できないためである。
【0015】また、本発明のトナーはバインダー樹脂の
THF溶解分のGPCによる分子量分布において重量平
均分子量が2000〜10000の領域にメインピーク
を有し、かつ、分子量10000以下が50〜70重量
%含有することにより粉砕性、低温定着性が向上する。
THF不溶解分の存在又は分子量1×107以上の成分
が20重量%超えると定着性の低下や顔料、ワックスの
分散性低下が生じる。
【0016】さらに、ポリエステル樹脂特有の環境安定
性悪化傾向に対しては空気中の水分の影響が受けにくく
するためノボラック型フェノール樹脂を用いると効果が
有るが、その際、バインダー樹脂のTgを50〜65℃
にし、酸価、水酸基を可能な限り減らし酸価が1〜5m
gKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH/g、
の範囲にすると低温定着性がさらに向上し、高温環境下
での帯電安定性が改善される。
【0017】加えて、ビニル樹脂を樹脂系の30%以下
の量でブレンドすると、ビニル樹脂の環境性の良さがポ
リカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構
成単位としたポリエステル樹脂単独で使用することより
更に向上する。 この時バインダー樹脂の含水分は(3
0℃、60%、24時間調湿)で5000ppm以下
(好ましくは3000以下)にすると高温環境下での帯
電安定性はさらに向上する。
【0018】上記の他、さらにホットオフセット性を向
上させる手段として離型性に効果があるワックスを含有
させるのが有利である。しかし、ワックスは増すに従い
キャリアとのスペント化、帯電制御剤との分散性低下に
よる帯電低下等の問題を引き起こすので、ワックスの分
散粒径を2μm以下としてスペント化を防止するのが望
ましい。また、クリーニング性を向上させるには、トナ
ー中に粒径0.1μm以下の磁性体粒径を含有させてお
くのが望ましい。このクリーニング性向上のために添加
される磁性体粒子の量はトナー全体の30〜50重量%
くらいが適当である。
【0019】その他、トナーの定着領域を広げる為(定
着とホットオフセットの範囲)トナーの混練中の条件を
バインダー樹脂が剪断エネルギーを適度に与えトナー溶
融開始温度が最適な領域を得るのも効果的である。この
時のトナー溶融範囲を高架式フローテスターにより軟化
温度と流出開始温度を測定した結果軟化点が70〜85
℃、流出開始温度が115〜135℃である。
【0020】従来より、トナー製造においては架橋分
(THF(テトラヒドロフラン)不溶解分として測定)
の割合とTHF可溶分の割合を工夫することで定着性、
粉砕性、ホットオフセットのバランスをとってきてい
る。そして、分子量分布に基づく粉砕性と定着性及びホ
ットオフセット等の関係はバインダー樹脂をTHFなど
の溶剤に溶すと不溶解分と可溶分に分離でき、可溶分は
GPCで分子量分布を測定することができる。
【0021】THF不溶解分と可溶分の分子量分布のピ
ーク位置及び成分量に着目すると、THF不溶解分は定
着性に不利に働くがホットオフセットには有効となる。
不溶解分が多すぎると混練機でトナーを混練する際負荷
がかかりすぎるため材料の供給量を少なくしなければな
らないという生産性に悪い結果や品質がバラツキやすい
等の問題を発生させる。
【0022】これまでにも、1×107未満の分子量域
をもつバインダー樹脂を使用したトナーは幾つか知られ
ているが、いずれも満足する結果とはなっていない。本
発明者らはこれらについて研究した結果、新しい分子量
分布に基づく粉砕性と定着性及びホットオフセット等に
ついて既に若干触れた、及び後記の事実を発見した。そ
の結果、ポリエステル樹脂の課題である帯電の環境安定
性について、本発明におけるポリエステル樹脂とビニル
樹脂とのブレンドタイプのバインダー樹脂は改善され湿
度依存性を押さえ、良好な帯電特性を示すトナーを得る
に至ったものである。
【0023】ここで、GPCによる測定法を説明してお
けば次のとおりである。すなわち、40℃のヒートチャ
ンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム
に、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料
濃度として0.05〜0.6重量%に調製した樹脂のT
HF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試
料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布
を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された
検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検
量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばP
ressureChemical Co.或いは東洋ソ
ーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4
×103、1.75×104、5.1×104、1.1×
105、3.9×105、8.6×105、2×106
4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度
の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0024】検出器にはRI(屈折率)検出器を用い
る。この様にしてトナーの分子量分布を測定するわけで
あるが、現在のカラムでは分子量107以上の検出は実
質的に難しい。一方、THF可溶部の中にも実験的にG
PCの分子量測定検出限界107以上の分子量域の存
在、つまりミクロゲル分が発見され、かつこの分子量域
が定着性、粉砕性、オフセットに影響を与えている。ミ
クロゲル分の測定方法としてはトナーの分別方法を利用
すると求めることができる。つまりTHFにトナー不溶
解な溶剤を加えていき、分子量分布を見ながらTHFと
その溶剤の比率を決定してやればよい。
【0025】此の度、THFとイソドデカンの混合溶剤
を使用し25℃において分別を行った。THF/イソド
デカンの比率(容量割合)は2±0.5/3±1.5が
適当であり、この比率でトナーを溶解した液がGPCの
分子量測定範囲域である。また、THF不溶解分及び分
別する場合の試験法は次の様にして行う。トナー約1.
0gを秤量しこれにTHF約50gを加えて20℃で2
4時間静置する。これをまず遠心分離で分けJIS規格
(P3801による)5種Cの定量濾紙を用いて常温で
濾過する。続いて濾紙残渣が不溶分であり、用いたトナ
ーと濾紙残渣の比(重量%)で表わす。この残渣の中に
はカーボン、その他の固形物が存在するので熱分析によ
り別途求める。分別用の溶剤の場合はTHFをこの溶剤
に変更すれば良い。THF溶解成分の量からTHF/イ
ソドデカン可溶分及びTHF不溶解分を計算することに
よりミクロゲル分が算出できる。
【0026】本発明においてポリカルボン酸成分(A)
は、2価カルボン酸類(A1)および必要により3価以
上のカルボン酸類(A2)からなる。2価カルボン酸類
(A1)の具体例としては、(1)マレイン酸、フマー
ル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、
アゼライン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン
酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸;(2)シ
クロヘキサンジカルボン酸、メチルメジック酸等の炭素
数8〜20の脂環式ジカルボン酸;(3)フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナ
フタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20の芳香族ジ
カルボン酸;(4)イソドデセニルコハク酸、n−ドデ
セニルコハク酸等の側鎖に炭素数4〜35の炭化水素基
を有するアルキルもしくはアルケニルコハク酸;並び
に、これら2価カルボン酸の無水物や低級アルキル(メ
チル、ブチルなど)エステルが挙げられる。
【0027】これらの中では上記(1)、(3)、
(4)およびこれらジカルボン酸の無水物や低級アルキ
ルエステルが好ましく、(無水)マレイン酸、フマール
酸、イソフタル酸、テレフタ酸、ジメチルテレフタレー
ト、n−ドデセニル(無水)コハク酸が更に好ましい。
(無水)マレイン酸及びフマール酸は反応性が大きい点
で好ましく、イソフタル酸及びテレフタル酸はポリエス
テルのガラス転移温度を高くする点で好ましい。また、
アルキルもしくはアルケニル(無水)コハク酸はトナー
の粉砕性を良くする利点がある。
【0028】3価以上のポリカルボン酸類(A2)の具
体例としては、(1)1,2,4−ブタントリカルボン
酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジ
カルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプ
ロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,
2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の炭素数7〜
20の脂肪族ポリカルボン酸;(2)1,2,4−シク
ロヘキサントリカルボン酸等の炭素数9〜20の脂環式
ポリカルボン酸;(3)1,2,4−ベンゼントリカル
ボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,
5,7−ナフタレントリカルボン酸および1,2,4−
ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸等の炭素数9〜20の芳香族ポ
リカルボン酸;並びにこれらの無水物や低級アルキル
(メチル、ブチル等)エステルが挙げられる。(A2)
を用いる場合、これらの中では(3)およびその無水物
や低級アルキルエステルが好ましく、特に1,2,4−
ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカ
ルボン酸およびこれらの無水物や低級アルキルエステル
が価格及びトナーの耐オフセット性付与の点で好まし
い。ポリカルボン酸成分(A)中の(A2)の使用割合
は、通常0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%、
さらに好ましくは0〜10モル%である。
【0029】本発明において、ポリオール成分(B)
は、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエ
ーテル(B1)、必要により他の2価アルコール類(B
2)及び他の3価アルコール類(B3)からなる。
【0030】ノボラック型フェノール樹脂のオキシアル
キレンエーテル(B1)は、ノボラック型フェノール樹
脂(a)と分子中1個のエポキシ環を有する化合物
(b)との反応物である。
【0031】ノボラック型フェノール樹脂(a)として
は、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸又はパラトルエン
スルホン酸、シュウ酸などの有機酸又は酢酸亜鉛などの
金属塩を触媒として、フェノール類とアルデヒド類とか
らの重縮合により製造されるものが挙げられる。
【0032】フェノール類としては、フェノールや炭素
数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以
上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置
換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ
体、メタ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニ
ルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノー
ル、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノー
ル、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、
3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6
−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4
−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノ
ール、ジクロルキシレノール、ジブロムフェノール、
2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2
−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は2
種以上併用してよい。
【0033】これらの中ではフェノール及び炭化水素基
で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特
にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよ
びノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾー
ルは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好
ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに
代表される炭化水素基で置換された置換フェノールはト
ナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。
アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルム
アルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。ノボラ
ック型フェノール樹脂(a)の数平均分子量は通常30
0〜8000、好ましくは450〜3000、更に好ま
しくは400〜2000である。
【0034】ノボラック型フェノール樹脂(a)中の数
平均のフェノール類の核体数は通常3〜60、好ましく
は3〜20、更に好ましくは4〜15である。また
(a)の軟化点(JIS K2531;環球法による)
は、通常40〜180℃、好ましくは40〜150℃、
更に好ましくは50〜130℃である。(a)の軟化点
が40℃未満では常温でブロッキングし取り扱いが困難
となる。また軟化点が180℃を越えるとポリエステル
樹脂の製造過程でゲル化を引き起こし好ましくない。
【0035】分子1個のエポキシ環を有する化合物
(b)の具体例としてはエチレンオキサイド(EO)、
1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチ
レンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレ
ンオキサイド、エピクロルヒドリン等を挙げることがで
きる。また(b)として炭素数1〜20の脂肪族1価ア
ルコールもしくは1価フェノールのグリシジルエーテル
も使用できる。これらの中ではEOおよび/またはPO
が好ましい。
【0036】ノボラック型フェノール樹脂のオキシアル
キレンエーテル(B1)を構成する(a)1モルに対す
る(b)の付加モル数は通常1〜30モル、好ましくは
2〜15モル、更に好ましくは2.5〜10モルであ
り、また(a)中のフェノール性水酸基1個に対する
(b)の平均付加モル数は通常0.1〜10モル、好ま
しくは0.1〜4モル、更に好ましくは0.2〜2モル
である。
【0037】(B1)の数平均分子量は通常300〜1
0000、好ましくは350〜5000、更に好ましく
は450〜3000である。(B1)の数平均分子量が
300未満ではトナーの耐オフセット性が充分でなく、
10000を越えるとポリエステル樹脂の製造過程でゲ
ル化を引き起こして好ましくない。(B1)の水酸基価
(アルコール性及びフェノール性水酸基の合計)は通常
10〜550、好ましくは50〜500、更に好ましく
は100〜450mgKOH/gである。また、水酸基
価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500、好
ましくは0〜350、更に好ましくは5〜250mgK
OH/gである。
【0038】(B1)の製法を例示すると、必要により
触媒(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック
型フェノール樹脂(a)に分子中1個のエポキシ環を有
する化合物(b)を付加反応させることによりノボラッ
ク型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B
1)が得られる。反応温度は通常20〜250℃、好ま
しくは70〜200℃であり、常圧下、又は加圧下、更
には減圧下においても行うことができる。また反応は溶
媒(例えばキシレン、ジメチルホルムアミドなど)ある
いは他の2価アルコール類(B2)及び/又は他の3価
以上のアルコール類(B3)の存在下で行うこともでき
る。
【0039】他の2価アルコール類(B2)としては、
例えば(1)エチレングリコール、1,2−プロピレン
グリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブ
テンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール等の炭素数2〜12のアルキレングリコ
ール;(2)ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等のアルキレンエーテルグリコール類;
(3)1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加
ビスフェノールA等の炭素数6〜30の脂環式ジオー
ル;および(4)ビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS等のビスフェノール類;並びに、
(5)上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド(E
O、PO、ブチレンオキシド等)2〜8モル付加物を挙
げることができる。(B2)を用いる場合、これらのう
ち(1)及び(5)が好ましく、(5)が更に好まし
い。上記(1)の中ではエチレングリコールは反応速度
を増大し、1,2−プロピレングリコール及びネオペン
チルグリコールは低温定着性の点で好ましい。また、上
記(5)の中では、特にビスフェノールAのEO及び/
又はPO2〜4モル付加物がトナーに良好な耐オフセッ
ト性を与える点で好ましい。
【0040】他の3価以上のアルコール類(B3)の具
体例としては、(1)ソルビトール、1,2,3,6−
ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリ
スリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリ
スリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,
5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプ
ロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタント
リオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロ
パン等の炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール;
(2)1,3,5−トリヒドロキシルメチルベンゼン等
の炭素数6〜20の芳香族多価アルコール;並びにこれ
らのアルキレンオキサイド付加物を挙げることができ
る。(B3)を用いる場合、これらの中では(1)の化
合物が好ましく、その中でも安価な点からグリセロー
ル、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール
が好ましい。
【0041】ポリオール成分(B)中の(B1)、(B
2)、(B3)の構成割合は、それぞれ通常(B1)2
〜100%、(B2)0〜98%、(B3)0〜20
%、好ましくは(B1)4〜70%、(B2)30〜9
6%、(B3)0〜10%、更に好ましくは(B1)4
〜50%、(B2)50〜96%、(B3)0〜5%で
あり、B1+B2+B3=100%である。
【0042】本発明におけるポリエステル樹脂に必要に
よりバインダー樹脂全体の30重量%以下の量でブレン
ドされるビニル樹脂(ビニル系重合体)は、その成分と
して、スチレンが50〜100重量%、好ましくは60
〜90重量%重合されたビニル系共重合体を使用するの
が好ましい。スチレン共重合量が50重量%未満である
と、トナーの熱溶融性が劣り、その結果、定着性が不充
分となる傾向にある。
【0043】本発明において、ビニル系重合体の成分と
なるスチレン以外のビニル系単量体としては、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチ
ルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体、
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル
酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニ
ル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メ
タクリル酸ドデシル、メタクリル酸グリシジル、メタク
リル酸メトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチ
ル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸メトキ
シジエチレングリコール、メタクリル酸エトキシジエチ
レングリコール、メタクリル酸メトキシエチレングリコ
ール、メタクリル酸ブトキシトリエチレングリコール、
メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタク
リル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシジエ
チレングリコール、メタクリル酸フェノキシテトラエチ
レングリコール、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリ
ル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジ
シクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸N−ビニ
ル−2−ピロリドン、メタクリロニトリル、メタクリル
アミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロ
ピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸−
2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、ジアセ
トンアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブ
チル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アク
リル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニ
ル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリ
ル酸ドデシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メト
キシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸
ブトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコ
ール、アクリル酸エトキシジエチレングリコール、アク
リル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸ブトキ
シトリエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロ
ピレングリコール、アクリル酸フェノキシエチル、アク
リル酸フェノキシジエチレングリコール、アクリル酸フ
ェノキシテトラエチレングリコール、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸テトラヒド
ロフルフリル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリ
ル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸N−
ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロ
キシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェニル
オキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリロニト
リル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピリジン等の1
分子中に1個のビニル基を有するビニルモノマーを主成
分として用いるが、加えてジビニルベンゼン、グリコー
ルとメタクリル酸或いはアクリル酸との反応生成物、例
えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブ
チレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジ
オールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジ
メタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリ
レート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリ
レート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール
エステルジメタクリレート、トリメチロールエタントリ
メタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリ
レート、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペン
タエリトリットテトラメタクリレート、トリスメタクリ
ロキシエチルホスフェート、ビス(メタクリロイルオキ
シエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス
(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エ
チレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレング
リコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジア
クリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプ
ロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリ
ン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチ
ロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレ
ート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、トリス
アクリロキシエチルホスフェート、ビス(メタクリロイ
ルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、
トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌー
ト、メタクリル酸グリシジルとメタクリル酸或いはアク
リル酸の半エステル化物、ビスフェノール型エポキシ樹
脂とメタクリル酸或いはアクリル酸の半エステル化物、
アクリル酸グリシジルとメタクリル酸或いはアクリル酸
の半エステル化物等の1分子中に2個以上のビニル基を
有するビニルモノマーを使用する。
【0044】これらのうち、好ましいビニル系単量体と
しては、1分子中に1個のビニル基を有するビニル系単
量体では、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エ
ステル、アクリル酸エステル等であり、特にスチレン並
びにアルキル基に1〜5個の炭素原子を有するメタクリ
ル酸或いはアクリル酸のアルキルエステルが好ましい。
1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル系単量体
では、ジビニルベンゼン、炭素原子数2〜6のメチレン
グリコールのジメタクリレート及びジアクリレート等が
好ましい。
【0045】これらの単量体は、合計が100重量%に
なるように配合される。このうち、1分子中に2個以上
のビニル基を有するビニル系単量体の量は0.1〜1重
量%であるのが好ましい。
【0046】上記の単量体又は単量体混合物は、懸濁重
合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、任意の方法で重
合させることができるが、経済性、製造時の安定性等の
点から、水性懸濁重合によって製造するのが好ましい。
【0047】上記の単量体又は単量体混合物の重合に用
いられるラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、
過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化ラウロイル、過
酸化アセチル、過酸化イソブチリル、過酸化オクタノイ
ル、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブ
チルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メチル
エチルケトンペルオキシド、4,4,6−トリメチルシ
クロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケター
ル、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキ
サノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、
シクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタ
ール、2−オクタノンジ−tert−ブチルペルオキシ
ケタール、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケ
タール、ジイソプロピルペンゼンヒドロペルオキシド等
の過酸化物系ラジカル開始剤、2,2’−アゾビスイソ
ブチロイトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルパレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−ア
ゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾビス系ラジカ
ル開始剤などがある。これらは、単量体の総量に対して
好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.
1〜10重量%使用する。
【0048】その他、重合時にブチルメルカプタン、オ
クチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メチル2
−メルカアプトプロピオネート、エチル2−メルカプト
プロピオネート、ブチル2−メルカプトプロピオネー
ト、オクチル2−メルカプトプロピオネート、ペンタエ
リトリットテトラ(2−メルカプトプロピオネート)、
エチレングリコールジ(2−メルカプトプロピオネー
ト)、グリセリントリ(2−メルカプトプロピオネー
ト)等のメルカプタン類、クロロホルム、ブロモホル
ム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素等のラジカル重
合分子量調整剤を使用することもできる。これらの分子
量調整剤は、単量体の総量に対して0〜3重量%使用さ
れるのが好ましい。
【0049】水性懸濁重合を実施する場合には、部分ケ
ン化ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、ヒド
ロキシ−アルキルセルロース、カルボキシアルキルセル
ロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、
ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、ポリメタクリ
ル酸及びそのアルカリ金属塩等の水溶性高分子分散剤、
燐酸カルシウム、ヒドロキシアバタイト、燐酸マグネシ
ウム、ピロ燐酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、疎水性シリカ等の難溶性無機分散剤を用いるこ
とができる。分散剤は、水溶性高分子分散剤の場合は水
性媒体に対して0.0001〜5重量%、難溶性無機分
散剤の場合は水性媒体に対して0.01〜15重量%使
用するのが好ましい。
【0050】ところで、ポリエステル樹脂をバインダー
樹脂に使用したトナーは高湿時における帯電量変化や帯
電立上りが遅い等があり、複写する場合において環境変
動を受け帯電量不足による濃度低下かぶりが発生する、
といった不都合が報告されている。帯電立上りが遅いこ
とは地汚れの原因になったりする。従って、これらの課
題を防止し鮮明な画像を得る事が必要かつ不可欠であ
る。
【0051】こうしたことから、本発明トナーにおいて
は、バインダー樹脂(ポリエステル樹脂、ポリエステル
樹脂にビニル樹脂をブレンドしたもの)として、Tgが
50〜65℃、酸価が1〜5mgKOH/g、好ましく
は1〜3mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgK
OH/g、好ましくは30〜60mgKOH/gのもの
を用いるのが有利である。バインダー樹脂のTgはDS
C曲線において吸熱ピークが50〜65℃の範囲にある
のが良い。Tgが50℃より低いとトナーが保存時固化
してしまうことがあり、65℃より高いと低温定着性が
満足しにくくなる。特に最近は消費電力を低くおさえる
為、低温定着のバインダーを望む傾向にあるので保存性
が確保できればよりTgは低温が好ましい。
【0052】また、帯電に関しては、環境変動を極力押
さえる為には気中の水分を吸着しにくいバインダー樹脂
を選択することが望ましい。このため、本発明で此の度
使用したノボラック型フェノール樹脂は他のポリオール
成分に比較し、空気中の水分を吸着しにくく好適であ
り、5000ppm以下が可能となり環境安定性が良
い。この材料を使用し、酸価を5mgKOH/g以下、
水酸基価30〜80mgKOH/gにする事により更に
水分の吸着を防ぐことができ、3000ppm以下が可
能となる。3000ppm以下の場合は環境安定性は更
に良くなる。
【0053】酸価は可能な限り低い方が良いが、ポリエ
ステルの反応上、酸価1以下では合成上むずかしいので
範囲として3000ppm以下を得るには1〜5mgK
OH/gとなる。水酸基価もエステル化反応の工業的限
界の30mgKOH/gから80mgKOH/gに押さ
えることが望ましい。30mgKOH/g以下は未確認
の領域であり、また、酸価同様、バインダー樹脂含水分
量をおさえる為に80mgKOH/g以下、好ましくは
60mgKOH/g以下が必要である。酸価、水酸基価
をそれぞれ適当な範囲にすることにより水分3000p
pm以下が得られる。
【0054】ここで、バインダー樹脂の水分量測定法に
ついて説明すれば次のとおりである。まず樹脂を200
μm以下に粉砕し30℃、60%RHの環境下に24時
間保存する。この樹脂をカールフィーシャー水分滴定装
置の気化装置を用い水分量を測定する。この他必要な帯
電量を得る為、帯電調節剤を少なくする効果(安価なト
ナー)もあわせもつ。
【0055】以上の様にして得られるトナーのバインダ
ー樹脂は、着色剤及び/又は磁性粉並びに必要に応じ
て、帯電制御剤、その他の添加剤と適宜溶融混合して静
電荷像現像用トナーとすることができる。
【0056】着色剤としては、カーボンブラック、酸化
鉄顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリー
ン、ローダミン6Gケーキ、ウォッチングレッドストロ
ンチウム等、従来公知のものを使用することができる。
トナー中に含まれる着色剤の量は1〜60重量%の範囲
で適宜選択して使用する。
【0057】帯電制御剤としては、ニグロシン染料、脂
肪酸変性ニグロシン染料、含金属ニグロシン染料、含金
属脂肪酸変性ニグロシン染料、3,5−ジ−tert−
ブチルサリチル酸のクロム錯体等を使用することがで
き、通常、トナー中に0〜20重量%使用する。
【0058】離型剤としては融点が70℃〜170℃に
あるワックスが用いられる。離型剤の具体例としては、
カルナバワックス、モンタンワックス、サゾールワック
ス、パラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、低分
子量ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体などがあ
げられる。これらはトナー中に1〜10重量%の範囲で
加えられる。
【0059】ワックスを加える事は離型性を与え、ホッ
トオフセットは確実に向上するが、一方樹脂との相溶性
に問題があり、量が増すに従い現像性が悪くなる。また
キャリアとのスペントも起こるので、帯電量不足、帯電
不安定が発生する。この為ワックスは極力少ない方が好
ましいが、キャリアスペント化や帯電量不足等を発生さ
せる事なく離型性を得ることができる。
【0060】使用するワックスの粒径を100μm以下
として混練時、高剪断エネルギーで混練する事によりト
ナー中のワックスが2μm以下となることがわかった。
2μm以下になる事によりトナー中に10%加えても上
記のワックスによる副作用は起こる事なく離型性の効果
は得られる。なお、粒径2μm以下のワックスはトナー
の断面をTEM写真で確認する事により行なった。
【0061】その他の添加剤としては、シリカ粉末、疎
水性シリカ粉末、ポリオレフィン、パラフィンワック
ス、フルオロカーボン化合物、脂肪酸エステル、部分ケ
ン化脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩等を使用することが
でき、これらは通常、トナー中に0.1〜5重量%使用
される。
【0062】本発明トナーは乾式一成分系現像剤及び二
成分系現像剤のいずれにも使用できる。一成分系現像剤
の場合の磁性体としては、フェライト、マグネタイトな
どをはじめとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性
を示す元素を含む合金、あるいは化合物又は強磁性元素
を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を示
すようになった合金、例えばマンガン−銅−アルミニウ
ムあるいはマンガン−銅−スズなどのマンガンと銅とを
含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、または二酸
化クロム等を挙げることができる。磁性体は粒径0.3
〜30μmの微粉末の形でバインダー樹脂中に均一に分
散される。磁性体粒子の含有量は、トナー中20〜70
重量%、好ましくは40〜70重量%が望ましい。
【0063】一成分磁性トナーの調整あるいはクリーニ
ング性を良好にするためトナー中に添加される磁性体の
粒径は0.1μm以下でバインダー樹脂中に好ましくは
ワックスと共に微分散される。投入する磁性体は0.1
μm以下を使用するが、今までの事例をみると、磁性体
は0.1μm以下を使用しても十分微分されず凝集体と
なり、TEM観察する限り0.1〜1μmが通常の分散
状態であった。しかし、樹脂(ポリエステル樹脂)の粘
性及び混練時の高エネルギーせん断により磁性体が十分
分散される条件となった。一成分磁性トナーにおける磁
性体の含有量は、トナー中20〜70重量%、好ましく
は40〜70重量%である。
【0064】二成分系現像剤におけるトナーとしては一
般に用いられているのと同様に、着色剤、結着樹脂及び
荷電制御剤を主成分としたもので構成される。
【0065】本発明に係るトナー組成物は任意の周知の
トナー混合法及び粉砕法によって作られる。例えば、す
べての成分をそれぞれ所定量で配合し、混合し、かつ粉
砕することによって全成分を充分に混合し、次いで得ら
れた混合物を微粉化する。トナー粉末を形成する他の周
知の方法においては着色剤、樹脂及び溶媒をボールミル
にかけ、そのトナー調合品混合物を噴霧乾燥させる。
【0066】本発明に係るトナー組成物をカスケード現
像法、磁気ブラシ現像法などによって使用するために
は、該組成物は、重量百分率であらわした平均粒度が約
30μm以下でなければならず、最適結果を生むために
はこの平均粒度が約4〜20μmの間にあることが望ま
しい。粉末雲現像法において使用するためには1μmよ
りもわずかばかり小さい粒径のものが望ましい。
【0067】カスケード現像法、磁気ブラシ現像法など
で使用される被覆されたキャリア及び被覆されていない
キャリアは周知であるが、トナー粉末がキャリア粒子に
付着してそれらを包囲するようにキャリア粒子がトナー
粉末と密接に接触させられる時に、トナー粉末がキャリ
ア粒子の電荷とは反対極性の電荷を獲得するものであれ
ばキャリア粒子は任意の適当な材料で形成されてもよ
い。従って本発明に係るトナー組成物は、従来の光導電
性表面を含んだ任意の適当な静電潜像を帯びた表面上で
静電潜像を現像するために通常のキャリアと混合して使
用される。
【0068】(トナー製造法)ミクロゲル域の成分を5
〜20重量%含まれるものを得る方法として、THF不
溶解分の分子領域の分子を機械的エネルギーにより切断
する方法がある。この方法はTHF不溶解分10〜40
重量%含まれるポリエステル樹脂と、ビニル樹脂とのバ
インダー樹脂を、カーボンブラックや帯電制御剤、磁性
体、その他の添加剤を混合して機械的剪断エネルギーを
与えながら混練する。
【0069】混練する場合はまずVブレンダー、ヘンシ
ェルミキサー等の混合機で予備混合した後、熱ロール、
加圧ニーダ、ハンバリーミキサー、一軸又は二軸連続混
練機等で、一般的には100〜200℃で混練する。こ
のように混練する場合、機械的剪断エネルギーにより分
子が切断される領域がある。これは主に混練時の粘度に
支配される。この粘度は104〜107ポイズが適当であ
る。この粘度域より低い粘度で混練された場合は、分子
は切断されにくくTHF不溶解分がトナー中に残ってし
まう。逆に、高い粘度で混練した場合は他の材料と分散
しないことに加え、機械の負荷が大きく機械破損につな
がるケースもでてくる。分子切断は重量平均分子量でお
よそ1×106付近以上の網目構造をもつ高分子が切断
されることによると考えられる。混練前後の分子量分布
をみると約1×104以下の分子量域は変化していな
い。この分子の切断は合成で得ることは難しい。
【0070】トナー特性としてこの範囲の分子量はホッ
トオフセット、フィルミングに効果がある。しかしその
反面、粉砕性、定着性には不利な方向にはたらくので、
粉砕性、定着性をあげるには混練後の分子量分布を規定
することが望ましい。つまり、前記の粘度範囲内で混練
しGPCにおいて2000〜10000の領域にメイン
ピークを有し、分子量(Mw)10000以下が50〜
70重量%含有することにより、定着性、粉砕性が向上
する。特に分子量(Mw)は低い成分が好ましく、Mw
が2000〜10000好ましくは2000〜4000
にメインピークがあるものが良い。
【0071】本発明におけるバインダー樹脂に占めるビ
ニル樹脂が30重量%を越えると耐塩ビマット性が低下
し定着性も悪くなる。環境安定性においてはビニル樹脂
系、特にスチレンを主体としてアクリル、メタクリル、
又はブタジエンとの共重合体が疎水性を増し、ポリエス
テル単独より環境安定性に効果がある。耐塩ビマット
性、帯電環境安定性、定着性を考慮し30重量%以下で
ビニル樹脂は使われるのがよい。
【0072】混練時の粘度1×104〜1×107ポイズ
はワックス成分を2μm以下に分散するのにも適する。
樹脂としてはビニル系樹脂の他、トナー用として使用可
能な樹脂(例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂など)
も30重量%以下で使用可能である。
【0073】次にさらにポリオレフィンが2μm以下で
微分散されているトナーを得る方法について記す。ポリ
オレフィンワックスの分散性はバインダー樹脂中にミク
ロゲル分が存在することにより非常に良好となる。これ
はミクロゲル分がレオロジー特性におおきなかかわりあ
いがある為である。つまり高分子ポリマーは典型的な粘
弾性性挙動を示す物質である。ポリエステル又はビニル
樹脂の架橋型樹脂分子を切断してできた分岐型構造であ
り、かつ混練時の貯蔵弾性率G’が大きい。トナーの混
練時の温度は100〜200℃の範囲であることが一般
的であるが、この範囲においても分岐型構造を有する高
分子では流動せず、少なくとも103dyne/cm2
度の弾性率が維持されていることが知られている(岡
小天著「レオロジー入門」p83、工業調査会発行)。
弾性率は物質の凝集力に関するものであり、ポリオレフ
ィンワックスはミクロゲル分を含むトナー相全体からの
凝集力をうけた状態で、混練されるため強い剪断がかか
り、分散性が良好になる。
【0074】一方、サブピークを含有していない系、つ
まり線形高分子をバインダー樹脂として使用した場合、
一般的な混練条件下においては樹脂が流動をおこし弾性
率はゼロに向かうことが知られている。これまでポリオ
レフィンワックスを使用した発明は、いくつか提案され
ているが、バインダー樹脂との相溶性が悪く分散不良と
なるケースがほとんどであった。しかしポリエステル樹
脂とビニル樹脂をブレンドしミクロゲル分が含まれた系
は混練に適切な粘弾性挙動を示すことからポリオレフィ
ンワックスが2μm以下で微分散される。
【0075】本発明で用いられるトナーは、その軟化点
が70〜85℃の範囲にあることが望ましい。軟化点が
70℃より低い場合はトナーの保存性が低下し、85℃
を超える場合はトナーの低温定着性が悪化する傾向がみ
られる。また、流出開始点も軟化点と同じように動き1
15〜135℃の範囲であるのが望ましい。これら2つ
の特性は各々に満足して定着性が確保される。ここで軟
化点とは島津製作所社製の高架式フローテスター「CF
T−500型」を用いて、測定条件は荷重10kg/c
2、ノズルの直径1mm、ノズルの長さ1mm、昇温
速度10℃/分として計測器から算出されるTsを軟化
点とし、Ttbを流出開始点とした。
【0076】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に
説明する。ここでの部は重量基準である。
【0077】表1に実施例、比較例で用いられるポリエ
ステル樹脂組成及びその物性を示す。
【0078】
【表1】
【0079】(表1に示した原料の略称) (1)グリコールA:ポリオキシプロピレン(2,2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(水酸基価 315) (2)グリコールB:ポリオキシエチレン(2,3)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水
酸基価 340) (3)グリコールC:ポリ(オキシエチレン−プロピレ
ン)−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(水酸
基価 320) (4)グリコールD:ポリオキシプロピレン(3,1)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(水酸基価 275) (5)EG :エチレングリコール (6)NPG :ネオペンチルグリコール (7)TPA :テレフタル酸 (8)IPA :イソフタル酸 (9)FA :フマール酸 (10)AA :アジピン酸 (11)DMT :ジメチルテレフタレート (12)DSA :ドデセニル無水コハク酸 (13)TMA :無水トリメリット酸
【0080】(ポリエステル樹脂の物性測定法) 1.酸価及び水酸基価 JISK0070に規定の方法による。但し、サンプル
が溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒド
ロフラン等の溶媒を用いる。 2.ガラス転移温度(Tg) ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)
による。
【0081】実施例1〜4及び比較例1 表1の条件よりなる樹脂3000g、カーボンブラック
(三菱化学社製#40)20g、オイルブラックBY
(オリエント化学社製)250gを二本ロールで加熱溶
融混練した。混練条件は及び評価をまとめて表2に示し
た。
【0082】各評価は以下の方法で行った。 (画像評価方法)粒径10〜11μmにそろえたトナー
50部とEFV200/300(日本鉄粉社製)950
部とを混合し充分振り混ぜて現像剤とした。この現像剤
を用い高速複写機(リコー社製FT8200)を用いて
画像評価を実施する。 (最低定着温度)未定着画像を画像形成装置(定着部を
はずす)により作成し、別に用意した熱ロール定着器に
通す。この時、定着ロール温度を任意に変更し定着状態
をチェックする。チェックは定着した画像部を綿でこす
り、綿がトナーで汚れない温度を定着温度とする。 (ホットオフセット温度)画像形成装置にて画像形成す
る際、熱ロールに付着したトナーを白紙ペーパーて通紙
し、通紙ペーパー上のトナー汚れの有無でチェックす
る。判定はトナー汚れが確認されなかった上限の熱ロー
ル温度で表した。 (帯電環境安定性)高温高湿(30℃、90%RH)の
帯電と低温低湿(10℃、30%RH)の帯電とを比較
し変動巾で評価する。 (トナー粉砕性)混練したトナーをハンマーミルで粗粉
砕しジェット式エアーミルで微粉砕した。この時、体積
平均粒径10μmを得るために必要な供給量を測定し粉
砕性の指標とした。吐出エア圧力は5.0kg/cm2
とした。
【0083】
【表2】
【0084】表2の結果から、実施例1〜4に比較し
て、ミクロゲル分が多い比較例1は定温定着性や粉砕性
が悪い。従って、実施例1〜4は定着性、ホットオフセ
ット性、粉砕性、帯電環境安定性のバランスの良いこと
が判る。
【0085】実施例5〜8及び比較例2 実施例1〜4及び比較例1と同様に、樹脂I〜Vを使用
してトナーを作製した。但し、その中にワックスを5重
量%加えた。比較例2としてはワックスの分散粒径が2
μmを超えるものを評価した。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】表2及び表3の比較から、実施例5〜8
(トナー中にワックスを添加したもの)ではホットオフ
セット温度が5〜20℃向上している。
【0088】実施例9〜12及び比較例3、4 表1の樹脂I〜IVで表4の条件よりなる樹脂1500
g、オイルブラックBY(オリエント化学社製)250
g及び磁性体(マグネタイト)1500gを二本ロール
で加熱溶融混練した。混練条件及びトナーの評価をまと
めて表4に示した。なお、評価にはクリーニング性、画
像濃度を加えた。 (クリーニング性)複写画像の形成後、クリーニングブ
レードによりクリーニングされた直後の潜像担持体の表
面を目視により観察し、クリーニング不良物のい有無に
より判定した。評価は、クリーニング不良物がほとんど
認められず良好である場合を「○」、クリーニング不良
物が若干認められるが実用レベルにある場合を「△」、
クリーニング不良物が多く認められ実用的には問題のあ
る場合を「×」とした。 (画像濃度)20万回後の複写画像についてマクベス濃
度計を用いて原稿濃度が0.0の白地部分の複写画像に
対する相対濃度を測定して判定する。実用レベルは0.
8以上である。
【0089】
【表4】
【0090】表4の結果から、実施例9〜12に較べ
て、磁性体の粒径が大きくかつミクロゲル分が多い比較
例3やTHF不溶解分が残存する比較例4は低温定着率
性や粉砕性、クリーニング性が悪い。これに対して、実
施例9〜12は定着性、ホットオクセット性、粉砕性、
クリーニング性などのバランスがよいことが判る。な
お、磁性体を含まない実施例1〜4のクリーニング性は
△である。
【0091】実施例13〜16及び比較例5、6 実施例1〜4及び比較例1において、表1の条件よりな
るポリエステル樹脂300gの代わりに、そのポリエス
テル樹脂240g及び表5のビニル樹脂60gを用いた
以外は、まったく同様にして現像用トナーを作成した。
【0092】ビニル樹脂の合成(ビニル系樹脂A−1、
A−2の合成) 冷却管、撹拌器、ガス導入管及び温度計を取り付けた3
リットルのフラスコにイオン交換水及びモノマーを仕込
む。その処方例は表2にA−1、A−2として記す。液
は撹拌しながら加熱し、規定の反応温度まで昇温し反応
する時間はすべて12時間とした。得られた重合物は水
洗し常温10トールにて乾燥し、揮発分1%以下の粉状
体を得た。
【0093】
【表5】
【0094】これらのトナー品質は表6のように評価さ
れた。
【0095】
【表6】
【0096】実施例17〜20及び比較例7、8 実施例13〜16及び比較例5,6と同様な樹脂を使用
してトナーを作製した。但し、その中にワックスを5重
量%となるように加えた。比較例としてはワックスの分
散粒径が2μmを超えるものも評価した。結果を表7に
示す。
【0097】
【表7】
【0098】実施例21〜24及び比較例9、10 実施例13〜16及び比較例5,6と同様な樹脂を使用
しトナーを作製した。但し、その中にワックスを5重量
%及び磁性体を50重量%となるように加えた。比較例
としてはワックスの分散粒径が2μmを超えるものも評
価した。結果を表8に示す。
【0099】
【表8】
【0100】
【発明の効果】 (1)請求項1に記載したバインダー樹脂を使用し、か
つトナー中にレジンTHF不溶解分を含有せずミクロゲ
ル分を5〜20重量%含有することにより、低温定着性
とホットオフセット性が向上した定着温度範囲の広いト
ナーを得ることが出来る。 (2)請求項2に記載した磁性粉を含有するものは一成
分トナーとして用いられるだけでなく、トナーのクリー
ニング性を良好にすることができる。 (3)請求項3に記載したバインダー樹脂を使用するこ
とにより、上記(1)(2)の効果はより向上したもの
となる。 (4)請求項4のバインダー樹脂を使用することによ
り、低温定温とホットオフセットの温度巾の広いトナー
を得ることが出来る。 (5)請求項5を満足するトナーは帯電環境安定性のす
ぐれたものとである。 (6)請求項6のバインダーレジンを使用することによ
り、トナーの帯電環境安定性にすぐれたトナーを提供で
きる。 (7)請求項7のワックスを使用し、かつ分散粒径を2
μm以下にすることによりホットオフセットを更に向上
させることが出来る。 (8)請求項8を満足するトナーは定着とホットオフセ
ット巾を満足出来るトナーを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 和人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 加藤 光輝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂に着色剤を分散させてな
    る電子写真用トナーにおいて、該バインダー樹脂がポリ
    カルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成
    単位としたポリエステル樹脂であり、ポリオール成分
    (B)の少なくとも一部がノボラック型フェノール樹脂
    のオキシアルキレンエーテル(B1)であり、しかも下
    記(イ)及び(ロ)の状態でトナー中に存在しているこ
    とを特徴とする静電荷像現像用トナー。 (イ)テトラヒドロフラン不溶解分を含まないこと、 (ロ)分子量1×107以上の成分を5〜20重量%含
    有すること。
  2. 【請求項2】 請求項1のトナー中に粒径0.1μm以
    下の磁性体粒子を分散含有させたことを特徴とする静電
    荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 バインダー樹脂がポリカルボン酸成分
    (A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリ
    エステル樹脂にビニル樹脂をブレンドしたものからなる
    請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂はそのテトラヒドロフラ
    ン溶解分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(G
    PC)による分子量分布において2000〜10000
    の領域にメインピークを有し、かつ、分子量10000
    以下が50〜70重量%であることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 【請求項5】 バインダー樹脂はガラス転移点50〜6
    5℃、酸価が1〜5mgKOH/g、水酸基価が30〜
    80mgKOH/gの特性を有することを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 バインダー樹脂の含水率が30℃、60
    %(24時間調湿)において5000ppm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電
    荷像現像用トナー。
  7. 【請求項7】 ワックスを含有し、このワックスの分散
    粒子径が2μm以下であることを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 【請求項8】 高架式フローテスターにおいて軟化点が
    70〜85℃でかつ流出開始温度が115〜135℃の
    範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載の静電荷像現像用トナー。
JP24144696A 1995-08-24 1996-08-23 静電荷像現像用トナー Expired - Fee Related JP3585666B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24144696A JP3585666B2 (ja) 1995-08-24 1996-08-23 静電荷像現像用トナー

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23923795 1995-08-24
JP8-20563 1996-01-11
JP7-239237 1996-01-11
JP2056396 1996-01-11
JP24144696A JP3585666B2 (ja) 1995-08-24 1996-08-23 静電荷像現像用トナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09251217A true JPH09251217A (ja) 1997-09-22
JP3585666B2 JP3585666B2 (ja) 2004-11-04

Family

ID=27283096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24144696A Expired - Fee Related JP3585666B2 (ja) 1995-08-24 1996-08-23 静電荷像現像用トナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3585666B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000047428A (ja) * 1998-07-31 2000-02-18 Canon Inc トナー
JP2002202634A (ja) * 2000-10-25 2002-07-19 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダー
JP2003195554A (ja) * 2001-12-27 2003-07-09 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー
US7001703B2 (en) 2002-09-27 2006-02-21 Canon Kabushiki Kaisha Toner
US7306887B2 (en) 2003-03-19 2007-12-11 Ricoh Company, Ltd. Toner and developer for electrostatic development, production thereof, image forming process and apparatus using the same
JP2010091859A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Toyo Ink Mfg Co Ltd マゼンタトナーおよびマゼンタトナーに用いる着色剤
JPWO2010143385A1 (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 三洋化成工業株式会社 トナーバインダーおよびトナー組成物
US10303072B2 (en) 2017-02-08 2019-05-28 Ricoh Company, Ltd. Toner, developer, and image forming device

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000047428A (ja) * 1998-07-31 2000-02-18 Canon Inc トナー
JP2002202634A (ja) * 2000-10-25 2002-07-19 Sanyo Chem Ind Ltd トナーバインダー
JP2003195554A (ja) * 2001-12-27 2003-07-09 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー
US7001703B2 (en) 2002-09-27 2006-02-21 Canon Kabushiki Kaisha Toner
US7097951B2 (en) 2002-09-27 2006-08-29 Canon Kabushiki Kaisha Toner
US7267919B2 (en) 2002-09-27 2007-09-11 Canon Kabushiki Kaisha Toner
US7306887B2 (en) 2003-03-19 2007-12-11 Ricoh Company, Ltd. Toner and developer for electrostatic development, production thereof, image forming process and apparatus using the same
JP2010091859A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Toyo Ink Mfg Co Ltd マゼンタトナーおよびマゼンタトナーに用いる着色剤
JPWO2010143385A1 (ja) * 2009-06-12 2012-11-22 三洋化成工業株式会社 トナーバインダーおよびトナー組成物
US10303072B2 (en) 2017-02-08 2019-05-28 Ricoh Company, Ltd. Toner, developer, and image forming device

Also Published As

Publication number Publication date
JP3585666B2 (ja) 2004-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5747210A (en) Electrostatic image developing toner and method for producing the toner
US6221549B1 (en) Toner for developing latent electrostatic images, binder resin for use in the toner, and image formation method using the toner
JP4118498B2 (ja) 静電荷現像用トナー、トナー収納容器および画像形成装置
JP2000338718A (ja) 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法
JP3370106B2 (ja) 静電荷像現像トナー
JP2003246920A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP4044229B2 (ja) 電子写真用トナー
JP3585666B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JPH1124312A (ja) 静電荷像現像用トナー及びその製造方法
JP2004163836A (ja) 静電荷像現像用トナー、このトナーを充填した容器及びこれを搭載した画像形成装置
JPH11190913A (ja) 静電荷像現像用トナー及びそれを用いた電子写真用現像剤
JP3707776B2 (ja) 結着樹脂
JP2003280271A (ja) トナー及びプロセスカートリッジ
JP5079311B2 (ja) トナー用バインダー樹脂及び電子写真用トナー
JP2002311635A (ja) トナー
JP3217936B2 (ja) 非磁性一成分トナー
JP3911620B2 (ja) 静電荷像現像用バインダー、静電荷像現像用トナー、及びそれを用いた画像形成方法
JP4919672B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP3484912B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JPH0728275A (ja) 静電荷像現像トナー
JP4213549B2 (ja) トナー
JP7006877B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2004317710A (ja) 電子写真用トナー及びそれを用いる画像形成方法
JPH0588403A (ja) 静電荷像現像トナー
JP2003021934A (ja) 乾式電子写真用トナー、現像剤、画像形成方法および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040803

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080813

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080813

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090813

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090813

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100813

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees