JP3484912B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

静電潜像現像用トナー

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JP3484912B2
JP3484912B2 JP04912197A JP4912197A JP3484912B2 JP 3484912 B2 JP3484912 B2 JP 3484912B2 JP 04912197 A JP04912197 A JP 04912197A JP 4912197 A JP4912197 A JP 4912197A JP 3484912 B2 JP3484912 B2 JP 3484912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電潜像現像用トナ−
に関し、特にデジタル方式の電子写真装置に使用する静
電潜像現像用トナ−に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より画像形成装置として、光源から
の光を原稿に照射し、その反射光を感光体に照射するこ
とにより感光体上に静電潜像を形成する複写機等のアナ
ログ方式の画像形成装置が一般に使用されている。ま
た、デジタル書き込みされて得られた静電潜像にトナー
を含む現像剤を供給して現像を行うデジタル方式の画像
形成装置として、コンピューター端末の出力に使用する
プリンタ−やイメージリ−ダ−によって読み取った画像
情報に基づいて画像形成を行うデジタル複写機、電子写
真方式のファクシミリ等が実用化されている。
【0003】デジタル方式の画像形成装置においては、
光ビームを照射する等のデジタル書き込みにより感光体
上にドット単位で静電潜像を形成し、この潜像をトナ−
により現像し、得られたトナ−像を記録紙等の記録媒体
上に転写し、定着することにより記録画像を形成してい
る。このようにデジタル方式に使用されるトナーには、
転写時および加熱定着時にトナーのつぶれに起因するド
ットの太りが小さいこと、即ちドット再現性に優れてい
ることが要求される。ドット再現性が悪いと、中間調の
とびや画像のつぶれ等が生じ、画質が低下してしまうと
いう問題が生じてしまう。
【0004】また近年画像形成装置の高速化や多機能化
に伴い、自動原稿送り装置や両面複写装置を搭載した画
像形成装置が採用されている。これらの装置による原稿
送り時や裏面複写時において紙送りの際にローラで画像
表面がこすられて画像ににじみや汚れ等の現象による画
質低下が生じる。
【0005】さらにこのようなトナーには、加熱定着時
にオフセット現象による画像汚染が生じないこと、即ち
耐オフセット性に優れていることも要求されている。耐
オフセット性を向上させるためにはワックス等の離型剤
をトナーに含有させることが有効であるが、トナーの製
造時にワックスの遊離が発生し、遊離ワックスが原因と
なって感光体へのフィルミングの問題が生じたり、感光
体に付着した遊離ワックスが核となってそこにトナー組
成物が固着するブラックスポットの問題が生じたりして
しまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題を解決することを目的とするものであり、こすれによ
る画質低下の問題を解消した静電潜像現像用トナーを提
供することを目的とするものである。
【0007】本発明は、優れた耐オフセット性を有する
静電潜像現像用トナ−を提供することを目的とするもの
である。
【0008】本発明は、フィルミングやブラックスポッ
トの問題を解消した静電潜像現像用トナ−を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】さらに、本発明は、ドット再現性に優れた
静電潜像現像用トナーを提供することを目的とするもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともバ
インダー樹脂、着色剤およびワックスを含有してなる静
電潜像現像用トナーにおいて、バインダー樹脂として酸
価5〜50KOHmg/g、軟化点95〜120℃およ
びガラス転移点50〜75℃である第1ポリエステル系
樹脂と、酸価5〜50KOHmg/g、軟化点130〜
160℃およびガラス転移点50〜75℃である第2ポ
リエステル系樹脂とを重量比7:3〜2:8で使用する
とともに、ワックスとしてポリエチレンワックスとポリ
プロピレンワックスとを使用して製造され、ポリプロピ
レンワックスが非酸化型ポリプロピレンワックスおよび
酸価20〜70KOHmg/gの酸化型ポリプロピレン
ワックスの溶融ブレンド物であり、その溶融ブレンド物
酸価が1〜20KOHmg/gかつバインダー樹脂1
00重量部に対する添加量が0.5〜5重量部であり、
ポリエチレンワックスの160℃における溶融粘度が1
000〜8000cps軟化点が130〜150℃
よびバインダー樹脂100重量部に対する添加量が0.
1〜5重量部である静電潜像現像用トナーに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のトナーは、バインダー樹
脂の主成分として、酸価が5〜50KOHmg/g、好
ましくは10〜40KOHmg/gのポリエステル系樹
脂を使用する。このような酸価を有するポリエステル系
樹脂を用いることによって、後述するポリエチレンワッ
クスやポリプロピレンワックスの分散性を向上させ、遊
離ワックスの発生を抑えて感光体フィルミングの問題を
解消することができる。酸価が5KOHmg/gより小
さくなると上述した効果が小さくなり、また酸価が50
KOHmg/gより大きくなると環境変動、特に湿度変
動に対するトナー帯電量の安定性が損なわれる。
【0012】本発明において、ポリエステル系樹脂とし
ては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮
合させることにより得られたポリエステル樹脂が使用可
能である。
【0013】多価アルコール成分のうち2価アルコール
成分としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロ
ピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンポリオキシエチレン(2,0)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェ
ノールAアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が
挙げられる。
【0014】3価以上のアルコール成分としては、例え
ば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、2−メチルプロパントリオー
ル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,
5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0015】また、多価カルボン酸成分のうち2価のカ
ルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル
酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼラ
イン酸、マロン酸、nードデセニルコハク酸、イソドデ
セニルコハク酸、nードデシルコハク酸、イソドデシル
コハク酸、nーオクテニルコハク酸、イソオクテニルコ
ハク酸、nーオクチルコハク酸、イソオクチルコハク
酸、これらの酸の無水物あるいは低級アルキルエステル
が挙げられる。
【0016】3価以上のカルボン酸成分としては、例え
ば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリッ
ト酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,
5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフ
タレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボ
ン酸、1,2,5−ヘキサンントリカルボン酸、1,3
−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキ
シプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン
酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,
7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、
エンポール三量体酸、これらの酸の無水物、低級アルキ
ルエステル等が挙げられる。
【0017】また、本発明においてはポリエステル系樹
脂として、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル
系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと
反応するモノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリ
エステル樹脂を得る縮重合反応およびスチレン系樹脂を
得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られた樹脂
も好適に使用可能である。なお、両方の樹脂の原料モノ
マーと反応するモノマーとは、換言すれば縮重合反応お
よびラジカル重合反応の両反応に使用し得るモノマーで
ある。即ち縮重合反応し得るカルボキシ基とラジカル重
合反応し得るビニル基を有するモノマーであり、例えば
フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が
挙げられる。
【0018】ポリエステル樹脂の原料モノマーとしては
上述した多価アルコール成分および多価カルボン酸成分
が挙げられる。
【0019】またビニル系樹脂の原料モノマーとして
は、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン等
のスチレンまたはスチレン誘導体;エチレン、プロピレ
ン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノ
オレフィン類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−
プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n
−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−
ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソ
ペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3
−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリ
ル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシ
ル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等
のメタクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリ
ル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル
酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリ
ル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、
アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリ
ル酸アルキルエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリ
ロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステ
ル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニル
メチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメ
チルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソ
ブチルエーテル等が挙げられる。ビニル系樹脂の原料モ
ノマーを重合させる際の重合開始剤としては、例えば、
2,2'ーアゾビス(2,4ージメチルバレロニトリ
ル、2,2'ーアゾビスイソブチロニトリル、1,1'ー
アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、
2,2'ーアゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオ
キサイド、イソプロピルパーオキシカーボネート、ラウ
ロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙
げられる。
【0020】本発明においては、定着性を向上させ且つ
耐オフセット性を向上させるためにポリエステル系樹脂
として軟化点の異なる2種類のポリエステル系樹脂を使
用することが好ましい。即ち定着性を向上させるために
軟化点が95〜120℃の第1ポリエステル系樹脂を使
用し、耐オフセット性を向上させるために軟化点が13
0〜160℃の第2ポリエステル系樹脂を使用すること
が好ましい。この場合に第1ポリエステル樹脂の軟化点
が95℃より低くなると耐オフセット性が低下したりド
ットの再現性が低下し、120℃より高いと定着性向上
の効果が不十分となる。また第2ポリエステル系樹脂の
軟化点が130℃より低いと耐オフセット性向上の効果
が不十分となり、160℃より高くなると定着性が低下
する。このような観点からより好ましい第1ポリエステ
ル系樹脂の軟化点は100〜115℃で、第2ポリステ
ル系樹脂の軟化点は135〜155℃である。また第1
および第2ポリエステル系樹脂のガラス転移点は50〜
75℃、好ましくは55〜70℃とすること望ましい。
これはガラス転移点が低いとトナーの耐熱性が不十分と
なり、また高すぎると製造時の粉砕性が低下し生産効率
が低くなるためである。
【0021】第1ポリエステル系樹脂としては、上述し
た多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合さ
せて得られたポリエステル樹脂、特に多価アルコール成
分としてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物
を主成分とし、多価カルボン酸成分としてテレフタル
酸、フマル酸、ドデセニルコハク酸、ベンゼントリカル
ボン酸のみからなる群より選択される少なくとも1種を
主成分として用いて得られたポリエステル樹脂が好まし
い。
【0022】また、第2ポリエステル系樹脂としては、
ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原
料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応する両
反応性モノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエ
ステル樹脂を得る縮重合反応およびビニル系樹脂を得る
ラジカル重合反応を並行して行わせて得られたポリエス
テル系樹脂がワックスの分散性、トナーの強靱性、定着
性、耐オフセット性を向上させる観点から好ましい。第
2ポリエステル系樹脂中のビニル系樹脂の含有量は5〜
40重量%、好ましくは10〜35重量%とする。これ
はビニル系樹脂の含有量が5重量%より低いとポリエチ
レンワックスの分散性が低下したりトナーの定着強度が
低下したりする。40重量%を越えるとポリプロピレン
ワックスの分散性の低下、耐オフセット性やトナーの強
靱性の低下、負の帯電レベルの低下等が生じ易くなる。
【0023】第1ポリエステル系樹脂と第2ポリエステ
ル系樹脂との重量比は7:3〜2:8、好ましくは6:
4〜3:7とすることが好ましい。第1ポリエステル系
樹脂と第2ポリエステル系樹脂とをこのような範囲で使
用することにより、トナ−として定着時のつぶれによる
広がりが小さくドット再現性に優れており、さらに低温
定着性に優れ低速および高速の画像形成装置においても
優れた定着性を確保することができる。また、両面画像
形成時(定着機を2度通過時)にも優れたドット再現性
を維持することができる。第1ポリエステル系樹脂の割
合が上記範囲より少ない場合は、低温定着性が不十分と
なり幅広い定着性を確保できなくなる。また、第2ポリ
エステル系樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、耐
オフセット性が低下するとともに定着時のトナーのつぶ
れが大きくなりドット再現性が低下する傾向がある。
【0024】なお、樹脂の軟化点はフローテスター(C
FT−500:島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔
(径1mm、長さ1mm)、加圧20kg/cm2、昇
温速度6℃/minの条件下で1cm2の試料を溶融流
出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/
2に相当する温度を軟化点とした。ガラス転移点は示差
走査熱量計(DSC−200:セイコー電子社製)を用
いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を
昇温速度10℃/minの条件で20〜120℃の間で
測定し、メイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移
点とした。酸価は、10mgの試料をトルエン50ml
に溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノー
ルレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/1
0水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10
水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した
値である。
【0025】本発明のトナーは、ポリエチレンワックス
を含有することにより、こすれによる画質低下の問題
(スミア性)を解消している。ポリエチレンワックスと
しては、160℃における溶融粘度が1000〜800
0cpsおよび軟化点が130〜150℃であるポリエ
チレンワックスを使用することが好ましい。即ち、上記
溶融粘度および軟化点を有するポリエチレンワックスを
使用することにより、定着画像表面の摩擦係数を低減さ
せてスミア性を向上させるとともに、製造時にトナーか
ら遊離したポリエチレンワックス粒子がトナー中に混入
することを低減させ感光体フィルミングの問題を解消す
ることができる。なお、ワックスの溶融粘度はブルック
フィールド型粘度計により測定した。
【0026】ポリエチレンワックスのバインダー樹脂1
00重量部に対する添加量は0.1〜5重量部、好まし
くは0.3〜3重量部である。添加量が0.1重量部よ
り少ないと上述したポリエチレンワックス添加の効果が
不十分となる。
【0027】さらに、本発明のトナーは、非酸化型ポリ
プロピレンワックスおよび酸価20〜70KOHmg/
gの酸化型ポリプロピレンワックスの溶融ブレンド物で
あるポリプロピレンワックスを添加し、オフセット現象
の問題をフィルミング等の新たな問題を生じることなく
解消している。この場合、ポリプロピレンワックス中の
酸化型プロピレンワックスの含有量を3〜15重量%に
調整し、最終的にプロピレンワックスの酸価を1〜20
KOHmg/g、好ましくは3〜15KOHmg/gに
調整する。このようなポリプロピレンワックスは上述し
た酸価を有するポリエステル系樹脂に対する分散性が向
上しており、遊離ワックスが生じにくくなる。酸価が1
KOHmg/gより小さいと分散性向上の効果が不十分
となり、20KOHmg/gより大きいと耐オフセット
性が低下する。さらにポリプロピレンワックスとして、
160℃における溶融粘度が50〜300cps、軟化
点が130〜160℃のものを使用することが高温オフ
セット現象の解消に特に有効であるため好ましい。ま
た、上記溶融ブレンドにより得られたポリプロピレンワ
ックスは粉砕によりその体積平均粒径を10〜20μm
に調整したものをトナーの製造に用いることが好まし
い。
【0028】ポリプロピレンワックスのバインダー樹脂
100重量部に対する添加量は0.5〜5重量部、好ま
しくは1〜4.5重量部である。添加量が0.5重量部
より少ないと上述したポリプロピレンワックス添加の効
果が不十分となる。さらに、ポリプロピレンワックスと
ポリエチレンワックスの合計の含有量は、バインダー樹
脂100重量部に対して5重量部以下、好ましくは4重
量部以下にすることが望ましい。これは合計の添加量が
5重量部より多くなると得られるトナーはもとより製造
段階でのトナー中間体粒子(粗粉砕粒子、微粉砕粒子
等)における流動性が低下し、各製造装置や装置間の輸
送装置等の機壁にこれらの粒子が付着しやすくなって生
産効率の低下を招くため好ましくない。
【0029】本発明のトナーには、必要に応じて負荷電
制御剤、磁性粉等を添加するようにしてもよい。
【0030】負荷電制御剤としては、例えば、クロム錯
塩型アゾ染料S−32、33、34、35、37、3
8、40(オリエント化学工業社製)、アイゼンスピロ
ンブラックTRH、BHH(保土谷化学社製)、カヤセ
ットブラックT−22、004(日本化薬社製)、銅フ
タロシアニン系染料S−39(オリエント化学工業社
製)、サリチル酸クロム錯塩E−81、82(オリエン
ト化学工業社製)、サリチル酸亜鉛錯塩E−84(オリ
エント化学工業社製)、サリチル酸アルミニウム錯塩E
−86(オリエント化学工業社製)、カリックスアレン
系化合物E89(オリエント化学工業社製)、ベンジル
酸ホウ素錯塩等が挙げられる。
【0031】磁性粉としては、例えば、フェライト、マ
グネタイト、鉄等の公知の磁性体の微粒子が使用可能で
あり、トナー飛散防止等の観点で添加してもよいが、そ
の添加量はバインダー樹脂100重量部に対して10重
量部以下、好ましくは8重量部以下である。添加量が1
0重量部を越えるとトナーに対する現像剤担持体(マグ
ネットローラ内蔵)の磁気的拘束力が強くなって現像性
が低下する。
【0032】さらに、本発明のトナーは、その表面に無
機微粒子を外添処理してもよい。無機微粒子の添加処理
は、トナーと無機微粒子とを機械的に混合処理すること
により行うことができる。無機微粒子としては、シリカ
微粒子、二酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、フッ化
マグネシウム微粒子、炭化ケイ素微粒子、炭化ホウ素微
粒子、炭化チタン微粒子、炭化ジルコニウム微粒子、窒
化ホウ素微粒子、窒化チタン微粒子、窒化ジルコニウム
微粒子、マグネタイト微粒子、二硫化モリブデン微粒
子、チタン酸バリウム微粒子、チタン酸ストロンチウム
微粒子、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン
酸マグネシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等を単
独であるいは2種以上組み合わせて使用できる。好まし
くはシリカ微粒子と二酸化チタン微粒子とを併用して外
添処理したものである。無機微粒子の添加量は、トナー
に対して0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1重
量%である。このような添加量で使用することにより、
現像剤の環境安定性を損なうことなく流動性を向上させ
ることができる。また、無機微粒子としては環境安定性
向上の観点から疎水化処理されているものを使用するこ
とが好ましく、疎水化処理剤としてはシランカップリン
グ剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーン
オイル等が使用できる。上述した無機微粒子としてBE
T比表面積が80〜180m2/gであるものを使用す
ることが好ましい。このようなBET比表面積を有する
無機微粒子を使用することにより、流動性が低下する平
均粒径5〜9μm程度の小粒径トナーに対して、200
2/g以上の無機微粒子を使用する場合に較べて、環
境安定性を損なうことなく添加量を増加させることがで
き流動性を向上させることができる。また、単に流動性
の向上のみならず、感光体表面に形成されたトナー像を
記録紙等の記録媒体上に転写する際の転写性を向上させ
ることができ、ドット再現性を向上させることができ
る。
【0033】また、本発明のトナーは、キャリアととも
に使用する2成分現像剤、あるいはキャリアを使用しな
い1成分現像剤として使用することができる。2成分現
像剤に用いるキャリアとしては、従来より公知のものが
使用可能である
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するがこ
れに限定されるものではない。
【0035】(ポリエステル系樹脂L1の製造例) 温度計、攪拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管
を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプ
ロピレン(2,2)−2,2ービス(4ーヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−
2,2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン、イ
ソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸およびフマル
酸を重量比82:77:16:32:30に調整して重
合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。
これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、220
℃で攪拌しつつ反応させた。得られたポリエステル系樹
脂L1の軟化点は110℃、ガラス転移点は60℃、酸
価は17.5KOHmg/gであった。
【0036】(ポリエステル樹脂L2の製造例) 温度計、攪拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管
を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプ
ロピレン(2,2)−2,2ービス(4ーヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−
2,2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン、テ
レフタル酸および無水1,2,4ーベンゼントリカルボ
ン酸を重量比73:30:45:3に調整して重合開始
剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これを
マントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、220℃で攪
拌しつつ反応させた。得られたポリエステル系樹脂L2
の軟化点は111.5℃、ガラス転移点は70℃、酸価
は19.3KOHmg/gであった。
【0037】(ポリエステル系樹脂H1の製造例) スチレンおよび2ーエチルヘキシルアクリレートを重量
比17:3.2に調整し、重合開始剤であるジグミルパ
ーオキサイドとともに滴下ロートに入れた。一方、温度
計、攪拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取
り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピ
レン(2,2)−2,2ービス(4ーヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2
ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデ
セニル無水コハク酸、テレフタル酸、無水1,2,4ー
ベンゼントリカルボン酸およびアクリル酸を重量比4
2:11:11:11:8:1に調整して重合開始剤で
あるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマン
トルヒーター中で窒素雰囲気下にて、135℃で攪拌し
つつ、滴下ロートよりスチレン等を滴下した後、昇温し
て230℃で反応させた。得られたポリエステル系樹脂
H1の軟化点は150℃、ガラス転移点は62℃、酸価
は24.5KOHmg/gであった。
【0038】(ポリエステル系樹脂H2の製造例) 温度計、攪拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管
を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプ
ロピレン(2,2)−2,2ービス(4ーヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−
2,2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン、イ
ソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸および無水
1,2,4ーベンゼントリカルボン酸を重量比73:3
0:18:25:3に調整して重合開始剤であるジブチ
ル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒータ
ー中で窒素雰囲気下にて、220℃で攪拌しつつ反応さ
せた。得られたポリエステル系樹脂H2の軟化点は15
4℃、ガラス転移点は64℃、酸価は20.4KOHm
g/gであった。
【0039】(溶融ブレンドポリプロピレンワックスA
の製造例) 酸価0KOHmg/gの非酸化型ポリプロピレンワック
ス(ビスコール550P;三洋化成工業社製)と酸価5
2KOHmg/gの酸化型ポリプロピレンワックス(ユ
ーメックス1010;三洋化成工業社製)とを重量比9
2:8で混合後溶融混練し、冷却後粉砕して酸価4.0
KOHmg/g、160℃における溶融粘度205cp
s、軟化点150℃の溶融ブレンドポリプロピレンワッ
クスAを得た。
【0040】(溶融ブレンドポリプロピレンワックスB
の製造例) 溶融ブレンドポリプロピレンワックスAの製造例におい
て、非酸化型ポリプロピレンワックスと酸化型ポリプロ
ピレンワックスとの重量比を87:13にすること以外
は同様にして酸価6.8KOHmg/g、160℃にお
ける溶融粘度210cpsおよび軟化点150℃の溶融
ブレンドポリプロピレンワックスBを得た。
【0041】(実施例1) ポリエステル系樹脂L1を40重量部、ポリエステル系
樹脂H1を60重量部、ポリエチレンワックス(800
P;三井石油化学工業社製;160℃における溶融粘度
5400cps;軟化点140℃)1重量部、上記溶融
ブレンドポリプロピレンワックスA3重量部、酸性カー
ボンブラック(モーガルL;キャボット社製;pH2.
5;平均1次粒径24nm)8重量部および下記式で示
される負荷電制御剤1.5重量部;
【0042】
【化1】
【0043】をヘンシェルミキサーで充分混合し、二軸
押出混練機で溶融混練後、冷却しその後、ハンマーミル
で粗粉砕しジェット粉砕機で微粉砕した後、分級して体
積平均粒径7.5μmのトナー粒子を得た。
【0044】このトナー粒子にBET比表面積140m
2/gの疎水性シリカ微粒子(H2000:ヘキスト社
製)0.4重量%およびBET比表面積110m2/g
の疎水性二酸化チタン微粒子(STT30A:チタン工
業社製)0.2重量%を加えて混合しトナーを得た。
【0045】(実施例2) 実施例1において、ポリエステル系樹脂L1の添加量を
60重量部およびポリエステル系樹脂H1の添加量を4
0重量部に変更すること、ポリエチレンワックスをポリ
エチレンワックス400P(三井石油化学工業社製;1
60℃における溶融粘度1600cps;軟化点136
℃)1.5重量部に変更すること、溶融ブレンドポリプ
ロピレンワックスAを溶融ブレンドポリプロピレンワッ
クスBに変更すること、且つ負荷電制御剤をボントロン
S−34(オリエント化学工業社製)3重量部に変更す
ること以外は同様にしてトナーを得た。
【0046】(実施例3) 実施例1において、ポリエステル系樹脂L1に代えてポ
リエステル系樹脂L2を50重量部使用し、ポリエステ
ル系樹脂H1に代えてポリエステル系樹脂H2を50重
量部使用し、且つ負荷電制御剤をボントロンS−34
(オリエント化学工業社製)3重量部に変更すること以
外は同様にしてトナーを得た。
【0047】(実施例4) 実施例1において、ポリエチレンワックスの添加量を
0.5重量部に変更すること以外は同様にしてトナーを
得た。
【0048】(比較例1) 実施例1において、溶融ブレンドポリプロピレンワック
スAをポリプロピレンワックス(ユーメックス101
0;三洋化成工業社製;酸価52KOHmg/g、16
0℃における溶融粘度7000cps;軟化点145
℃)に変更し、且つ負荷電制御剤をボントロンS−34
(オリエント化学工業社製)3重量部に変更すること以
外は同様にしてトナーを得た。
【0049】(比較例2) 実施例1において、ポリエチレンワックスを添加しない
こと、および負荷電制御剤をボントロンS−34(オリ
エント化学工業社製)3重量部に変更すること以外は同
様にしてトナーを得た。
【0050】(比較例3) 実施例1において、ポリエチレンワックスの添加量を2
重量部に変更し、ポリプロピレンワックスを添加しない
こと、および負荷電制御剤をボントロンS−34(オリ
エント化学工業社製)3重量部に変更すること以外は同
様にしてトナーを得た。
【0051】(比較例4) 実施例1において、ポリエステル系樹脂L1およびH1
に代えてスチレンーアクリル系樹脂(MX−9500;
三洋化成工業社製)100重量部を使用すること、およ
び負荷電制御剤をボントロンS−34(オリエント化学
工業社製)3重量部に変更すること以外は同様にしてト
ナーを得た。
【0052】(比較例5) 比較例1において、ポリプロピレンワックスをビスコー
ル550P(三洋化成工業社製;酸価0KOHmg/
g、160℃における溶融粘度200cps;軟化点1
50℃)に変更すること以外は同様にしてトナーを得
た。
【0053】得られた各トナーとデジタル複写機(Di
30;ミノルタ社製)用のキャリアとを重量比でトナ
ー:キャリア=5:95となるように混合して現像剤を
調整して以下の評価を行い、結果を表1に示した。
【0054】(耐オフセット性) 定着器の設定温度を可変に改造したデジタル複写機Di
30を用いて、画像濃度(ID)=1.4のベタ画像
(2×5cm)を形成し、得られた画像を目視によって
確認して、オフセットが発生した時の温度を高温オフセ
ット発生温度とした。高温オフセット発生温度が240
℃以上であるものを○、220℃以上240℃未満のも
のを△、220℃未満のものを×として評価した。
【0055】(耐スミア性(こすり汚れ性)) Di30を用いて、画像濃度(ID)=1.4のベタ画
像(2×5cm)を形成し、得られた画像上に白紙を載
せて200gの荷重をかけて3回白紙を往復させた。こ
のときの画像上の汚れを目視にて評価し、全く汚れが生
じていないものを○、僅かに汚れが生じているが実用上
問題のないものを△、汚れが生じて実用上問題のあるも
のを×とした。
【0056】(フィルミングおよびブラックスポット) Di30を用いて12万枚の耐久画出し評価を行い、そ
の後の感光体表面を目視によってフィルミングの有無
(フィルミングが発生すると感光体表面の光沢がツヤ消
し状になる)およびトナー成分の固着(ブラックスポッ
ト)の発生の有無を確認した。フィルミングおよびブラ
ックスポットのどちらも発生していないものを○、フィ
ルミングおよびブラックスポットのどちらかが発生した
ものを×として評価した。
【0057】(ドット再現性) 定着ローラ温度を180℃に設定したDi30改造機を
用いて2×2dot(400dpi)の網点画像を形成
した。得られた網点画像を画像解析装置を用い各網点画
像の直径を測定し、約80〜100個の網点のデータを
得て、その最大直径値Dmaxを求め以下のようにランク
付けを行った。Dmaxが185μm未満をランク10、
185μm以上187.5μm未満をランク9、18
7.5μm以上190μm未満をランク8、190μm
以上192.5μm未満をランク7、192.5μm以
上195μm未満をランク6、195μm以上197.
5μm未満をランク5とし、ランク9および10のもの
を○、ランク7および8のものを△、ランク6以下のも
のを×として評価した。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、こすれによる画質低下
の問題を解消した静電潜像現像用トナーを提供すること
ができる。
【0060】また、本発明によれば、優れた耐オフセッ
ト性を有する静電潜像現像用トナーを提供することがで
きる。
【0061】また本発明によれば、フィルミングやブラ
ックスポットの問題を解消した静電潜像現像用トナーを
提供することができる。
【0062】さらに、本発明によれば、ドット再現性に
優れた静電潜像現像用トナーを提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 福田 洋幸 大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大 阪国際ビル ミノルタ株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−166686(JP,A) 特開 平8−114946(JP,A) 特開 平6−208244(JP,A) 特開 平5−224457(JP,A) 特開 平4−124676(JP,A) 特開 平1−284863(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともバインダー樹脂、着色剤およ
    びワックスを含有してなる静電潜像現像用トナーにおい
    て、バインダー樹脂として酸価5〜50KOHmg/
    、軟化点95〜120℃およびガラス転移点50〜7
    5℃である第1ポリエステル系樹脂と、酸価5〜50K
    OHmg/g、軟化点130〜160℃およびガラス転
    移点50〜75℃である第2ポリエステル系樹脂とを重
    量比7:3〜2:8で使用するとともに、ワックスとし
    てポリエチレンワックスとポリプロピレンワックスとを
    使用して製造ざれ、ポリプロピレンワックスが非酸化型
    ポリプロピレンワックスおよび酸価20〜70KOHm
    g/gの酸化型ポリプロピレンワックスの溶融ブレンド
    物であり、その溶融ブレンド物の酸価が1〜20KOH
    mg/gかつバインダー樹脂100重量部に対する添加
    量が0.5〜5重量部であり、ポリエチレンワックスの
    160℃における溶融粘度が1000〜8000cp
    軟化点が130〜150℃およびバインダー樹脂1
    00重量部に対する添加量が0.1〜5重量部であるこ
    とを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 前記溶融ブレンド物における酸化型プロ
    ピレンワックスの含有量が3〜15重量%であることを
    特徴とする請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 前記ポリプロピレンワックスの160℃
    における溶融粘度が50〜300cps、軟化点が13
    0〜160℃であることを特徴とする請求項1記載の静
    電潜像現像用トナー。
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