JP2006308764A - 電子写真用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 保存安定性、低温定着性、耐オフセット性、環境安定性、環境低負荷性、流動性、粉砕性のいずれにも優れ、かつ、感光体汚染を生じることなく、長期にわたって優れた帯電量を維持することができる、リサイクル方式に適した電子写真用トナーを提供する。
【解決手段】 (1) 樹脂(A): 軟化点が120〜170(℃)、ガラス転移点が58〜75(℃)、かつクロロホルム不溶分率が5〜50(質量%)である樹脂、
樹脂(B): 軟化点が90〜120(℃)、ガラス転移点が58〜75(℃)、かつクロロホルム不溶分率5(質量%)未満である樹脂、
のいずれをも結着樹脂の構成成分として、結着樹脂中、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量が80〜95(質量%)の範囲内で含んでなり、該結着樹脂中に融点が80〜140(℃)である生分解性樹脂(C)を含有し、荷電制御剤量(a)が1〜10(質量部)であり、トナー粒子表面層に存在する荷電制御剤量を(b)とした場合、式a/b=2〜10を満足することを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される静電潜像の現像に用いられる電子写真用トナーに関する。
従来からキャリア粒子とトナー粒子との混合物からなるいわゆる二成分系乾式現像剤はよく知られている。この二成分系乾式現像剤は、比較的大きな粒子表面上に微小なトナー粒子が、両粒子の摩擦により発生した電気力により保持されており、静電潜像に近接すると、静電潜像が形成する電界によるトナー粒子に対する潜像方向への吸引力が、トナー粒子とキャリア粒子間の結合力に打ち勝って、トナー粒子は静電潜像上に吸引付着されて静電潜像が可視化されるものである。そして、現像剤は現像によって消費されたトナーを補充しながら反復使用される。
従来、そのような現像システムにおいて静電潜像を転写紙に転写後、感光体上に残った未転写トナーは、ゴム状弾性ブレードを感光体に当接することにより取り除く機構により回収され廃棄されていた。しかし、リサイクルの気運が高まる中でそのような回収トナーを再びトナーボトルへ循環搬送し再利用するシステムが提案され実用化され始めている。しかし該システムにおいて良好な画質の画像を形成するにはトナーが高い流動性を有することが必要であり、この点から、シリカ微粒子などよりなる流動化剤をトナー粉末に混合することが行われている。
例えば、特開昭51−120631号公報(特許文献1)、特開昭48−47346号公報(特許文献2)、特開昭51−101535号公報(特許文献3)などに開示されているように、珪素、チタニウム、もしくはアルミニウムなどの酸化物を現像剤組成物に添加する方法があるが、近年、低温定着、高速複写に使用されるトナーのように低軟化点の樹脂やワックスを使用したトナーでは、その樹脂のもつ粘着性のため、流動性は充分ではなく、流動性がさらに向上する添加剤が望まれている。
さらにこれを解決する方法として、2種類の特性の異なる添加剤を混合して使用する方法が提案されている。例えば特開昭60−136755号公報(特許文献4)には、シリカとチタンとの混合が開示されている。特開昭61−188546号公報(特許文献5)、特開平2−151872号公報(特許文献6)には、粒径の異なる添加剤を混合することが開示されている。さらに特開昭61−249059号公報(特許文献7)には、疎水性シリカと親水性シリカとの混合が、また特開昭61−20053号公報(特許文献8)には、正極性の添加剤と負極性の添加剤との混合が開示されている。これらの添加剤の使用により、従来技術における欠点が比較的改良されるようになったものの、低軟化点樹脂やワックスを使用したリサイクルシステムに適用するトナーでは、流動性及び画像上の地肌汚れに関し、まだ不充分なものであった。
またトナー像の定着法として広く採用されているヒートロール定着方式は、非接触方式に比べて、定着に必要な温度を下げることができ、省エネルギー化や複写機の小型化に有効である。しかしながら、この接触式加熱定着法においては、定着時に溶融したトナーの一部が熱ローラーに移り、後続の転写紙等に転写されるオフセット現象という問題が生じやすい。この現象を防止するため、従来より、熱ローラーの表面をフッ素系樹脂等の離型性の優れた材料で加工したり、熱ローラーの表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布したりしている。しかし、シリコーンオイル等を用いる方法は、定着装置が大きく複雑になるので、コスト高となったりトラブルの原因となることが考えられ好ましくない。
従来より、この種のトナーにはスチレンアクリル共重合体に代表されるビニル系樹脂が用いられている。ビニル系樹脂の場合、耐オフセット性を向上させようとすると樹脂の軟化点や架橋密度を上げざるを得なくなり、低温定着性が犠牲となる。逆に低温定着性を重視すると耐オフセット性や耐ブロッキング性に支障をきたす。また、特開昭50−81342号公報(特許文献9)に記載の如くパラフィンワックス、低分子量ポリオレフィン等をオフセット防止剤として、トナー化時に添加する方法が知られているが、添加量が少ないと効果がなく、多すぎると現像剤の劣化が早い等の問題があった。
また、トナー化時にワックスを添加し均一に分散させるために強く混合すると、樹脂のポリマー鎖が切断するおそれがあるため、樹脂の物性を保持したまま、ワックスを均一に分散させることは容易ではない。一方、トナー用の結着樹脂としては、ポリエステルが用いられている。ポリエステルは本質的に定着性がよく、非接触定着方式においても充分に定着されるが、オフセット現象が発生し易いためヒートローラー定着方式には使用が困難であった。
そこで、定着性に優れたポリエステルと、スチレンアクリル樹脂を混合して用いる、次のような試みがなされている。
・ポリエステルとスチレンアクリル樹脂を混合する方法(特開平2−161464号公報(特許文献10)など);
・ポリエステルとスチレンアクリル樹脂を化学的に結合する方法;
・不飽和ポリエステルにビニル系モノマーを共重合させる方法(特開平2−5073号公報(特許文献11)など);
・(メタ)アクリロイル基を有するポリエステルにビニル系モノマーを共重合させる方法;
・ポリエステル存在下で、反応性ポリエステルとビニルモノマーを共重合させる方法(特開平2−29664号公報(特許文献12));
しかしながら、ポリエステルとスチレンアクリル樹脂は、本来相溶性が悪いため、単に機械的に混合を行う場合、混合比率によっては、トナー化を行う際に樹脂及びカーボンブラック等の内添剤の分散が悪くなり、帯電性が不均一となるため、画像評価において地肌汚れ等の弊害が生じる。また、2種類の樹脂の分子量が異なる場合には、双方の溶融粘度に差異を生じることがあり、このため、分散相の樹脂の分散粒径を細かくすることが困難となり、トナー化を行うとカーボンブラック等の内添剤の分散が非常に悪く、画像安定性に大きく欠けるという問題が生じる。更に、反応性ポリエステルにビニルモノマーを重合させる場合、ゲル化を防ぐため組成が制限されるという問題もあった。
また、軟化点の違う2種のポリエステル(非線状と線状のポリエステル)を混合してなる結着樹脂(特開平4−362956号公報(特許文献13))が開示されているが、高軟化点の非線状ポリエステルと低軟化点の線状ポリエステルとを溶融混練させる際には、互いの溶融粘度が大きく異なるため、トナー中に線状ポリエステルを均一に分散させることが困難である。この方法で混合する樹脂の低軟化点側の割合を増やしてゆくと定着性は良好になるものの耐ブロッキング性に問題が生じ、一方、低軟化点側のガラス転移点を高くすると耐ブロッキング性は解消されるもののその割合を増やしても定着性に限界が生じる等、最近の複写機の高速化、小型化、省エネルギー化に鑑みれば、更なる低温定着性、及び耐オフセット性の改善が望まれる。
そこで、定着温度を低くする方法として、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有したトナーが知られている。例えば、特公平5−44032号公報(特許文献14)には、軟化点が50(℃)〜100(℃)の結晶性ポリエステルと高軟化点の結晶性ポリエステルとを含有したトナーが開示されているが、両者のポリエステルの基本骨格が同じ場合には、トナー製造時の混練りの際に樹脂が互いに相溶してしまい、低融点側のポリエステルの軟化点が粉砕性または保存安定性に悪影響を及ぼす。
また、トナー及びキャリアを主体とする二成分現像剤を用いる磁気ブラシ法,カスケード法等が幅広く実用化されている。これらの方法は、いずれも比較的安定して良画像が得られる優れた方法であり、鮮明かつ原稿に忠実な色再現性が要求されるフルカラートナーにおいて構成される場合が多い。しかし、一方でこれらの方法は、キャリア表面へのトナースペントや、トナーとキャリアとの混合比の変動といった二成分現像剤に関連した問題点を有する。
このように、電気的潜像を現像するためのトナーにおいては、耐久性向上の面からも、特に帯電特性の安定化を達成する為に種々の荷電制御剤が使用されている。現在、市場における複写機では負荷電性のトナーを用いるのが主流であるが、一般に該荷電制御剤を用いてトナーへ負電荷を付与させる場合は、含金属染料を用いる場合が多い。これらの含金属染料を用いてトナーを製造する際は、これらの含金属染料をトナー中に均一に分散させるために、非常に高温で溶融混練を行わなければならず、この時に染料が熱分解を起こしたりして色調が変化したりする場合が多々ある。また、現像器内でキャリアとトナーが混合される際に機械的摩擦及び衝撃により付与される電荷が不均一になり、画像濃度ムラやかぶり現象を起こし、画質低下を招く結果となる。
これらの問題を解決するために、すでに特開昭57−167033号公報に開示の如く、金属化可能なアゾ化合物を公知の方法によって金属付与剤で処理した後、酸性又は鉱酸等を含む水で希釈して沈殿させ、濾過することにより得られるアゾ系金属錯体を使用することにより、帯電特性が安定した負帯電性トナーを得ることが可能となった。
しかしながら、上記公報に記載されているようなアゾ系金属錯体等の荷電制御剤を用いたトナーにおいても、低温定着用トナー等に用いられるシャープメルトな結着樹脂の場合は、必ずしも良好な結果を得ることができないことが判明した。具体的には、帯電量が過大になり、現像〜転写の過程の中で最終的に感光体上からトナーが転写しにくくなり感光体上の残留トナーが多くなり、クリーニング機構で捕集しきれないトナーがフィルミングを生じたり、クリーニング不良を発生する原因となってしまう。またトナーの帯電が均一に行われにくくなり、充分に帯電しきれないトナーや逆極性に帯電したトナーを生じ、得られる可視画像の背景部にかぶりを生じてしまうことになる。
また、一方で特開平4−21862号公報においては、トナー粒子の表面層に存在する荷電制御剤の量とトナー粒子に全体に存在する荷電制御剤の量との比を規定することによってトナーの摩擦帯電性の安定化が達成されている。しかしながら、トナー粒子の表面層に存在する荷電制御剤は静電気力,機械的衝撃力によってトナー粒子の外側から固着される手段をとるために、長期の連続複写評価等を行った場合、キャリア粒子等との混合によるトナー粒子表面の劣化(トナースペントや衝撃等による固着物の離脱)が考えられ、現像剤調製後、好適な範囲で摩擦帯電したとしても該電荷は徐々に不安定となり、結果的に画像濃度の急激な変化や、かぶりといった電子写真特性に関する問題を引き起こす結果となる。
また、当該公報によればトナー粒子の表面層と内部層に存在する荷電制御剤は確かに安定な帯電能を得るために有効なものではあるが、荷電制御剤をトナー粒子の表面層へ固着させた場合、該荷電制御剤がトナー粒子の外部表面層にも存在する可能性があるために、感光体上に何らかの傷や残留トナー等の核が存在したりすると、該核部に荷電制御剤がトラップされ易くなり、クリーニングブレードからのトナーすり抜けや、トナーフィルミングの発生といった複写後の画像品質に支障をきたす恐れがある。
また、特開昭60−118851号公報においては、負荷電性ポリエステル樹脂を使用したトナーで、荷電制御剤の一部がトナー表面へ露出する様に均一分散させる方法が提案されているが、該公報では樹脂100(質量部)に対する荷電制御剤の含有量が0.05(質量部)〜0.7(質量部)と非常に少なく、トナー粒子の内部とトナー粒子の表面層近傍での存在比量に有位な差をつけづらく、意図する効果が得られにくい。さらに特開昭61−36757号公報によれば、メタノール抽出による表面染料濃度を用い、荷電制御剤の10(%)〜70(%)〔好ましくは30(%)〜60(%)〕が表面にあることとしているが、予備混合を剪断力が作用しないV型混合機等で行わなければ該形態をとりづらく、それゆえ、充分な予備混合を行わないことには荷電制御剤の均一分散が望めないことが記されている。然るに分散が悪い状態で粒子表面層近傍に多く荷電制御剤を存在させると、逆に偏積を生じ易くなり、不安定な帯電性を呈することによって、かぶりや画像濃度の低下といった弊害を生ずるだけでなく、粉砕工程等を経てトナー粒子化した場合に遊離した荷電制御剤の存在が増し、フィルミングが生ずる要因となりやすい恐れがある。
さらにまた、特開平3−31857号公報においても、トナー表面の染料濃度と全染料濃度との比を規定しているが結着樹脂としてスチレン−アクリル共重合体を用いており、充分に溶融した状態で色を重ね合わせ彩度の高い色を発色させる様なフルカラートナーには適合しにくいことや、含有量が5(質量部)以下であることから、特開昭61−36757号公報と同様にフィルミングを生じやすくなる恐れがある。一方で、フルカラートナー用として着色剤にカーボンブラックを用いたブラックトナー等においては、顔料自体の抵抗が低いために、樹脂中での顔料の分散性の低下や樹脂中の顔料の含有量のバランス等が悪かったりするとトナーとしての帯電安定性に欠け、画像濃度の低下や、掃き目,色調のバラツキに代表されるようなコピー品質の低下を招くことから、荷電制御剤による帯電安定化が要求されることとなる。
一方、電子写真方式の複写機、プリンターから発生する回収トナーは、近年、販売メーカーが回収する機運が高まっているが、回収後は産業廃棄物として大部分が焼却または埋め立てられているのが現状である。特開2003−270852号公報(特許文献15)に記載の如く、保存安定性、低温定着性、耐オフセット性及び環境安定性のいずれにも優れた改善効果を発揮する電子写真用トナーであっても、生分解性がないため、土中に永久に残存してしまうという問題を抱えてしまっており、廃棄物処理、環境保全、及びリサイクルの見地から、望ましくない。
特開2001−166537号公報(特許文献16)に記載の如く、ポリ乳酸系生分解性樹脂を混合することで優れた生分解性を発揮する試みがなされているものもあるが、軟化点が170(℃)と高く、低温定着性を満足するものではない。
特開昭51−120631号公報 特開昭48−47346号公報 特開昭51−101535号公報 特開昭60−136755号公報 特開昭61−188546号公報 特開平2−151872号公報 特開昭61−249059号公報 特開昭61−20053号公報 特開昭50−81342号公報 特開平2−161464号公報 特開平2−5073号公報 特開平2−29664号公報 特開平4−362956号公報 特公平5−44032号公報 特開2003−270852号公報 特開2001−166537号公報
かかる現状から、本発明は保存安定性、低温定着性、耐オフセット性、環境安定性、環境低負荷性、流動性、粉砕性のいずれにも優れ、かつ、感光体汚染を生じることなく、長期にわたって優れた帯電量を維持することができる、リサイクル方式に適した電子写真用トナーを提供することを目的とする。
本発明は、
(1) 下記の樹脂(A),(B)、すなわち、
樹脂(A): 軟化点が120(℃)〜170(℃)、ガラス転移点が58(℃)〜75
(℃)、かつクロロホルム不溶分率が5〜50(質量%)である樹脂、
樹脂(B): 軟化点が90(℃)〜120(℃)、ガラス転移点が58(℃)〜75(
℃)、かつクロロホルム不溶分率5(質量%)未満である樹脂、
のいずれをも結着樹脂の構成成分として、結着樹脂中、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量が80(質量%)〜95(質量%)の範囲内で含んでなり、
(2) 更に、該結着樹脂中に融点が80(℃)〜140(℃)である生分解性樹脂(C)を含有し、
(3) 荷電制御剤量(a)が1(質量部)〜10(質量部)であり、トナー粒子の表面層に存在する荷電制御剤量を(b)とした場合、次式
a/b=2〜10
を満足することを特徴とする電子写真用トナーに関する。
本発明により、保存安定性、低温定着性、耐オフセット性、環境安定性、環境低負荷性、流動性、粉砕性のいずれにも優れ、かつ、感光体汚染を生じることなく、長期にわたって優れた帯電量を維持することができる、リサイクル方式に適した電子写真用トナーを提供することが可能となった。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも軟化点の異なる2種以上の樹脂(A)と(B)を主成分としてなる結着樹脂中に、さらに融点が80(℃)〜140(℃)である低融点の生分解性樹脂(C)を含有してなるものである。通常、高軟化点の結着樹脂とこれより低融点の生分解性樹脂とを溶融混練させる際には、互いの溶融粘度が大きく異なるため、トナー中に生分解性樹脂を均一に分散させることが困難である。しかし、本発明のトナーには、軟化点等の異なる少なくとも2種類の樹脂(A)と(B)が含有されているため、低融点の生分解性樹脂(C)を溶融混練する際に、低軟化点の樹脂(B)が高軟化点の樹脂(A)と低融点物質の生分解性樹脂(C)のつなぎの役割を果たし、結着樹脂中に生分解性樹指(C)が均一に分散される。
本発明において、樹脂(A)及び樹脂(B)の物性及び配合比率は、それぞれの樹脂が有する特性を充分に発現させて、低温定着性、耐オフセット性、耐ブロッキング性及び耐久性のいずれにも優れたトナーとするために、以下のように規定される。先ず樹脂(A)の軟化点(以下、Tm(A)と記す。)は、耐オフセット性及び耐久性の観点から120(℃)以上、最低定着温度の観点から170(℃)以下の範囲であり、好ましくは130(℃)〜165(℃)の範囲である。
また樹脂(A)のガラス転移点(以下、Tg(A)と記す。)は、耐ブロッキング性の観点から58(℃)以上、最低定着温度の観点から75(℃)以下の範囲であり、好ましくは58(℃)〜70(℃)の範囲である。さらに樹脂(A)のクロロホルム不溶分率は、耐オフセット性及び耐久性の観点から5(質量%)以上で、最低定着温度の観点から50(質量%)以下の範囲であり、好ましくは10(質量%)〜50(質量%)の範囲である。なお、本発明でのクロロホルム不溶分率とは、25(℃)においてクロロホルムに溶解しない樹脂成分の質量分率をいう。ここでクロロホルム不溶分は、高分子量の重合体成分もしくは架橋された重合体成分であり、クロロホルム不溶分率が高いものほど、高分子量タイプであることを示している。
本発明においては、高軟化点の樹脂(A)に対する生分解性樹脂(C)の相溶性を高めるため、樹脂(B)の軟化点(以下、Tm(B)と記す。)は90(℃)〜120(℃)、好ましくは90(℃)〜110(℃)であり、ガラス転移点(以下、Tg(B)と記す。)は58(℃)〜75(℃)の範囲内、好ましくは58(℃)〜70(℃)である。また、クロロホルム不溶分率は5(質量%)未満、好ましくは0〜3(質量%)、より好ましくは0(質量%)である。クロロホルム不溶分率が5(質量%)以上では低温定着性及び生産性がともに低下するため、好ましくない。
また、樹脂(A)/樹脂(B)の配合質量比は、10/1〜10/8、好ましくは10/1〜10/5である。さらに、樹脂(A)/樹脂[(B)+(C)]の配合質量比は、好ましくは10/3〜10/14、より好ましくは10/4〜10/10であり、樹脂(B)/樹脂(C)の質量比は、1/1〜4/1、好ましくは1/1〜3/1である。また、結着樹脂中における樹脂(C)の配合率は5(質量%)〜35(質量%)、特に5(質量%)〜20(質量%)が好ましい。さらにまた、樹脂(A)と樹脂(B)の軟化点の差は20(℃)以上が好ましい。
なお、以上に説明した樹脂(A),(B)の種類は上記の条件を満足する限り特に限定されないが、生分解性樹脂(C)との相溶性をより高めるためには、樹脂(A),(B)は相互溶解性を有することが望ましい。かかる点でポリエステル系同士、さらに低温定着性、耐久性、及び着色剤の分散性の観点から、特に非晶性ポリエステル系同士が好ましい。なお、非晶質とは結晶質のように明確な融点を有しないものであり、融解に必要なエネルギー量が少なくトナー定着性が向上できる。また、樹脂(A),(B)および(C)はそれぞれ単独の樹脂からなるものであっても、2種以上を混合してなるものであってもよい。
本発明の樹脂(A),(B)に使用されるポリエステルは、通常、構成モノマーとして2価以上のアルコール単量体成分と2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸単量体成分を原料モノマーとして、これらを縮重合反応することによって調製される。特に非晶性ポリエステルは、上記の単量体に少なくとも3価以上の多価アルコール単量体及び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体等を用いて縮重合することによって調製される。好ましい2価のアルコール単量体成分は、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2又は3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜10)、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等である。また、好ましい3価以上のアルコール単量体成分は、ソルビトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
また酸成分としての、2価のカルボン酸単量体成分としては、各種ジカルボン酸、炭素数1〜20のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸、これらの酸の無水物及びアルキル(炭素数1〜12)エステル等が挙げられ、好ましくは、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸及び炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸である。また好ましい3価以上のカルボン酸成分は、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等である。ポリエステルの製造方法は、特に限定されることなく、上記の2価以上のアルコール単量体とカルボン酸単量体等を組み合わせてエステル化反応、又はエステル交換反応により製造することができる。原料モノマーを重合させる際には、反応を促進させるため、酸化ジブチル錫等の通常使用されているエステル化触媒等を適宜使用してもよい。
これらのうち、ポリエステル成分は、前記したごとく2価以上のアルコール単量体成分と2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等のカルボン酸単量体成分を原料モノマーとして、これらを縮重合反応することによって調製される。また、ポリエステル・ポリアミド又はポリアミド中のアミド成分を形成するために用いる原料モノマーとしては、公知の各種ポリアミン、アミノカルボン酸類、アミノアルコール等が挙げられ、好ましくはヘキサメチレンジアミン及びε−カプロラクタムである。
次に、本発明に使用される生分解性樹脂(C)は、電子写真用トナーの低温定着性と耐ブロッキング性(保存性)を改善するために結着樹脂中に均一に分散配合するものであり、特に融点は、示差走査熱量分析計(以下、DSCと略す)による吸熱ピーク温度で表され、保存性と低温定着性の観点から通常80(℃)〜140(℃)であり、好ましくは80(℃)〜120(℃)である。生分解性樹脂(C)の融解は保存性の観点から狭い温度範囲で起こることが好ましく、融解ピークの半値幅は通常20(℃)以下、好ましくは15(℃)以下である。なお、生分解性樹脂(C)は前記した樹脂(B)をつなぎ役として樹脂(A)に均一に分散させるためには、生分解性樹脂(C)の融点は樹脂(B)の軟化点に近いことが好ましい。また、低温定着性の観点からは、生分解性樹脂(C)の150(℃)における溶融粘度は通常5(センチポイズ)〜1,000(センチポイズ)、好ましくは5(センチポイズ)〜800(センチポイズ)、更に好ましくは10(センチポイズ)〜500(センチポイズ)である。
ここで、センチポイズとは、粘度に関する単位であって、1[ポイズ]は、0.1[Pa・s]であるから、1[センチポイズ]は、0.01[Pa・s]に対応する。
本発明に使用される生分解性樹脂(C)は環境安定性の観点から水酸基価は通常0.5(mgKOH/g)〜5(mgKOH/g)、好ましくは0.5(mgKOH/g)〜4(mgKOH/g)である。通常のポリエステルでは水酸基価を低くするため酸成分を多く反応させることによって対処されているが、酸価が高くなり過ぎると、トナーにしたときにトナーの帯電性が悪くなる結果となる。また、酸成分としてカルボン酸の低級アルキルエステルを使用することも考えられるが、酸成分が昇華しやすかったり、反応が充分進みにくいことが原因して、水酸基価を5(mgKOH/g)以下にすることは困難である。さらに酸成分とアルコール成分との反応率を上げるだけでは粘度が高くなりすぎ、低温定着性の効果が小さくなる。生分解性樹脂(C)は、残存する水酸基をモノカルボン酸無水物でエステル化することで、水酸基価を0.5(mgKOH/g)〜5(mgKOH/g)にすることができる。また、トナーの帯電性の観点から酸価は通常3(mgKOH/g)〜20(mgKOH/g)、好ましくは3(mgKOH/g)〜15(mgKOH/g)である。
生分解性樹脂(C)の重量平均分子量は比較的低分子量であって、通常1,000〜20,000であり、好ましくは2,000〜10,000である。
本発明に用いる生分解性樹脂としては、乳酸系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリエチレンサクシネート、及びポリブチレンサクシーネート・カーボネート等のポリアルキレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸・ヒドロキシ吉草酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、乳酸系ポリマーが好ましい。
上記乳酸系ポリマーとしては、ポリ乳酸、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーが挙げられる。コモノマーとして用いられる他のヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が例示される。
これらの乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸および他のヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド、およびカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。
ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、およびD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。
本発明で使用するポリ乳酸の製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、乳酸の二量体であるラクチドを溶融し、公知の重合触媒(例えばオクチル酸スズ、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸亜鉛、テトラブチルチタネート等)を使用して加熱開環重合させる方法や、加熱及び減圧による直接脱水重縮合を行う方法等が挙げられる。
なお、前記で説明した、樹脂(A)〜(C)のそれぞれの物性、すなわち軟化点、融点、ガラス転移点及びクロロホルム不溶分率の調整は、各樹脂を製造する際の原料モノマー、重合開始剤又は触媒等の種類、その量及び反応条件の選択等により容易に行うことができる。
本発明に用いられる結着樹脂は、樹脂(A)〜(C)の粉末状のものや、ペレット状のものが単に混合されたものであってもよく、それらの樹脂が溶融混練により均一に混合分散された後、粉砕等によって粉末状やペレット状にされたものであってもよい。また、本発明のトナーの粘弾性測定における150(℃)でのtanδは0.05〜1.5、かつ、同温度でのG”が5.0×10(Pa)以下であることが好ましい。これは、低温定着性、高温オフセット性のバランス、最適な低温定着性を適用するために規定される。また、トナー中の生分解性樹脂(C)の分散粒径は、定着性、保存安定性のバランスを最適化するために0.05(μm)〜0.2(μm)とすることが必要である。分散性が不良であると帯電量分布が広がり着色度も低下するので好ましくない。
なお、tanδは、G’/G”で定義され、G’,G”は、それぞれ貯蔵弾性率および損失弾性率を意味する。
さらに本発明のトナーには、定着性向上のためにワックスが含有されていることが好ましい。ワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス、エステル系ワックス等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されていてもよく、またこれらのなかでは、結着樹脂との相溶性の観点から、カルナウバワックス、ポリプロピレンワックス及びフィッシャートロプッシュが好ましい。ワックスの融点は、生分解性樹脂(C)の融点よりも10(℃)以上低いことが好ましく、10(℃)〜50(℃)低いことがより好ましい。又、トナー中のワックスの含有量は、結着樹脂100(質量部)に対して、0.5(質量部)〜10(質量部)が好ましい。
次に荷電制御剤に関して説明する。本発明では荷電制御剤量(a)が1(質量部)〜10(質量部)であり、トナー粒子の表面層に存在する荷電制御剤量を(b)とした場合、式a/b=2〜10を満足することを特徴とする。該式を満たすことにより、トナー粒子中に荷電制御剤が均一に分散されている状態で該トナー粒子の内部表面層にある荷電制御剤の分散濃度が高い状態となり、それによってトナー粒子の飽和帯電速度が高められ、かつ飽和帯電量を安定に維持することが可能となる。つまり、トナー粒子の内部層と内部表面層に存在する荷電制御剤の分散濃度を異なる状態にさせることによって、通常の帯電付与以外に二成分系でのキャリア粒子との混合時における帯電能の失速をカバーすることが容易となるといった効果が得られる。本発明において、内部層よりも内部表面層での荷電制御剤濃度が高いことで該効果が得られることが見出された。本発明においては、外的手段等で外部表面層へ荷電制御剤を付着(固着)させることは必要ではない。
なお、本明細書における「内部層」及び「内部表面層」は、いずれもトナー1粒子の表面層から粒子中心方向に位置する内部層を意味し、それ以外の微粒子等が表面層へ付着した状態や外気に曝されている表面層は、本明細書においては「外部表面層」と表わすこととする。
さらに具体的に内部層はトナー1粒子中の全体積分を示し、内部表面層とはトナー粒子の表面から深さ方向(粒子の中心方向)へ50(Å)までの体積分を示す。つまり本発明では、トナー粒子の内部層よりも内部表面層において、荷電制御剤の分散濃度を高める手段として、トナー粒子の表面へ荷電制御剤を機械的衝撃により埋め込ませることを行わずに、あらかじめ剪断力の高い混合機を用いて使用原料の一つである結着樹脂の表面に荷電制御剤を均一に分散させ、その後、微弱なシェアを得る方法にて溶融し、粉砕,分級することにより該状態を作り出す。
しかも該手段を用いれば、機械的衝撃によってトナー粒子の表面に荷電制御剤が固着するのを防げるために、粉砕等の工程を経た段階で荷電制御剤の欠落や遊離した荷電制御剤を生じにくい状態を導き出せる。その製法は結着樹脂の粒子表面に荷電制御剤を予備混合にて均一に分散させた状態で付着せしめた後、更に着色剤を添加し溶融時の機械的負荷が弱い状態で混練を行う。それにより混練物中における荷電制御剤が網目状に存在するようになり、局所的に該荷電制御剤の分散濃度の高い所が点在することとなる。ちなみに、該分散濃度の高い所において、荷電制御剤自体の偏在は確認されない。その後、粉砕工程を経てトナー粒子を微粒子化する際、該分散濃度の高い界面で混練物が割れ易くなり、本発明において提案されるようなトナー粒子が得られることとなる。この場合、予備混合は一般的に剪断応力作用を利用する混合機の方が望ましく、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等が適している。
本発明においてトナー粒子の内部層における荷電制御剤の存在量は、トナー1粒子に含有される荷電制御剤の総量であって、その測定手段等は制約されるものではない。例えば蛍光X線を用い、そのX線強度から算出してもよく、実際に該当する荷電制御剤を抽出して定量する手段によっても見積もることが出来る。
一方、トナー粒子の内部表面層における荷電制御剤の存在量はXPS(X線光電子分光分析装置)によって求められる。まず、トナーを構成する各材料の原子数を求め、次いでトナー粒子の内部表面層に存在する原子数を求める。この両者の値及び分子構造から換算し、荷電制御剤の質量比を算出する。
本発明では上記に示す式の通り、トナー1粒子に含有されている荷電制御剤の量とトナー1粒子の表面層に存在する荷電制御剤の量との比を規定しているが、該式における値が2未満の場合には現像剤を調製した直後の帯電量は比較的安定しているものの、複写枚数が増すにつれて帯電量が急激に低下してしまい、トナー飛散や背景部のかぶりといった問題が生じてくる。
一方、その比が10を超える場合には、トナー粒子の帯電量が過大となり画像濃度の低下を生じ、著しく画像品質を損なう結果となってしまう。
また該式が示す効果は、トナー100(質量部)に対する荷電制御剤の含有量が1〜10(質量部)であるときに有用であって、1(質量部)未満のときには表面層での分散濃度が低くなり安定な帯電量が得られない。さらに10(質量部)を超える場合はトナー粒子の内部で荷電制御剤が偏在し、トナー粒子の帯電が不均一になり、中間調の多い画像においては画像むらを生じ易くなる。
帯電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、トリメチルエタン系染料、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料等が必要に応じて用いられる。これらの中にはオリエント化学(株)製「ボントロンS−32」、保土ヶ谷化学(株)製「Aizen Spilon Black TRH」等がある。
カラートナーにおいては無色の帯電制御剤を使用するのが望ましく、サリチル酸またはサリチル酸とアルキルアルコールのエステルの金属錯化合物である、オリエント化学(株)製「ボントロンE−84」、日本カーリット(株)製「LR−147」等が挙げられる。
本発明のトナーはキャリアを併用して二成分現像剤として使用することが望ましいが、キャリアとしては例えば表面酸化又は未酸化の鉄,ニッケル,銅,亜鉛,コバルト,マンガン,クロム,希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物及び磁性フェライト等が使用できる。また、上記キャリアの表面を樹脂等で浸漬する系は、特に好ましい。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させた後、これをキャリア表面に、こうして得たキャリアをトナー粒子に付着させる方法、あるいは、単に粉体状態のトナー粒子とキャリア粒子とを混合する方法等、トナーに関する公知の方法のいずれもが適用できる。
キャリア表面への固着物質としては電気絶縁性樹脂を用い、トナー材料、キャリア芯材に応じ適宜選択される。この場合、キャリア芯材表面との接着性を向上するために、少なくともアクリル酸(又はそのエステル)単量体及びメタクリル酸(又はそのエステル)単量体から選ばれる少なくとも一種の単量体を含有することが必要である。特にトナー材料として、負帯電能の高いポリエステル樹脂粒子を用いた場合、帯電を安定する目的で更にスチレン系単量体との共重合体とすることが好ましく、スチレン系単量体の共重合体を5(質量%)〜70(質量%)とすることが好ましい。
また、使用できるキャリア芯材の被覆樹脂用モノマーとしては、例えばスチレンモノマー,クロロスチレンモノマー,α−メチルスチレンモノマー,スチレン−クロロスチレンモノマー等があり、アクリル系モノマーとしては、例えばアクリル酸エステルモノマー(アクリル酸メチルモノマー,アクリル酸エチルモノマー,アクリル酸ブチルモノマー,アクリル酸オクチルモノマー,アクリル酸フェニルモノマー,アクリル酸2エチルヘキシルモノマー)等があり、メタクリル酸エステルモノマー(メタクリル酸メチルモノマー,メタクリル酸エチルモノマー,メタクリル酸ブチルモノマー,メタクリル酸フェニルモノマー)等がある。
これらキャリアの被覆材料は本発明のトナーにおいて比較的好適であるが、必ずしもこれらに限定はされず、例えばトナー融着等のキャリアへのスペント化を防ぐために有用な表面エネルギーの小さい樹脂等を用いてもよい。そのようなキャリアの被覆材料用の樹脂として、例えばフッ素樹脂,シリコーン樹脂等が挙げられるが、これらはキャリア芯材に対する接着性が悪いため、種々の添加物を併用し被膜の強靭性を高めなければ、その効果は得られない。特にシリコーン樹脂を被覆する際は使用する被覆樹脂希釈溶剤中に水を添加することで、得られる被覆キャリアの耐久性及び帯電特性が更に改良される。これは、水の添加により、硬化型シリコーン樹脂の架橋点及びシランカップリング剤の加水分解が促進され、硬化反応がより進行すること、及び短時間であるがシリコーン樹脂の表面エネルギーが増加し、キャリアコア材との密着性が向上することによるものである。
上記に見られる被覆樹脂のキャリア芯材に対する塗布量は、樹脂固形分が0.05(質量%)〜30(質量%)、好ましくは0.1(質量%)〜15(質量%)である。0.05(質量%)未満ではキャリア芯材の樹脂により被覆効果が充分でなく、30(質量%)を超える塗布量は無意味であり、また製造上からも過剰な樹脂が単独で存在する場合もあり、好ましくない。また、これらキャリアの平均粒径は25(μm)〜100(μm)、好ましくは25(μm)〜75(μm)であることが望ましく、その測定はレーザー回折式粒度分布測定装置HELOS(SYMPATEC社製)に乾式分散装置RODOS(SYMPATEC社製)を装備し、分散圧3.0(bar)の条件下で各サンプルについて3回の測定を行い、3回の測定値の平均をとってキャリアの平均粒径とした。
なお、このときの平均粒径は、累積頻度が50(%)となる体積メディアン径の3回の測定値から導かれる平均値を意味している。
本発明に係るトナーと上記形態のキャリアを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2(質量%)〜10(質量%)であることが好ましく、3(質量%)〜8(質量%)であることがより好ましい。前記のトナー濃度にした場合、画像かぶりやトナーの機内飛散がほとんどない良好なトナーが得られる。一方、トナー濃度が2(質量%)未満では画像濃度が低く実用に適さないものとなり、10(質量%)を超える場合には画像かぶりやトナーの機内飛散が増加し、現像剤の耐用寿命を縮める。さらに、本発明の電子写真用トナーには、着色剤、離型剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。着色剤の含有量は、結着樹脂100(質量部)に対して、1(質量部)〜10(質量部)が好ましい。
外添剤としては、例えば疎水性シリカを挙げることができる。シリカは他の添加剤に比べ流動性向上効果が特に優れているためである。また、これら添加剤の添加量は2種類混合時に母体トナーに対し0.1(質量部)〜5.0(質量部)、好ましくは0.2(質量部)〜2.0(質量部)である。この範囲より少ない場合は充分な帯電量と流動性をトナーに付与することができず、逆にこの範囲より多い場合には帯電量や流動性の環境依存性が大きくなる。
本発明のトナーにおいて用いられる外添剤として、例えば、シリカ微粉体、アルミナ微粉体、酸化チタン微粉体、酸化ジルコニウム微粉体、酸化マグネシウム微粉体、酸化亜鉛の如き金属酸化物の微粉体;チッ化ホウ素微粉体、チッ化アルミニウム微粉体、チッ化炭素微粉体の如きチッ化物;さらにチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウムが挙げられる。本発明においては特に平均一次粒子径0.001(μm)〜0.2(μm)の無機微粉体を用いるのが好ましい。
上記添加剤においては、トナーの流動性を高めるばかりでなく、トナーの帯電性を阻害しないことも重要な因子となる。よって本発明のトナーにおいては、無機微粉体が表面疎水化処理されていることが更に好ましく、流動性の付与と帯電の安定化を同時に満足し得ることが可能となる。すなわち疎水化処理されていることにより、帯電量を左右する因子である水分の影響を除外し、高湿下及び低湿下での帯電量の格差を低減することで環境特性を向上させることが可能になる点と、製造工程の中で疎水化処理を入れることで一次粒子の凝集を防ぐことが可能となり、トナーに均一な帯電付与を行うことが可能になる。
一次粒子径が0.001(μm)未満のものは、凝集しやすい一方で、トナー表面へ埋め込まれやすいことから、撹拌時などに、トナーに変化を生じてしまう。一方、0.2(μm)を超えるものが多いとトナーの流動性が不充分となる。
更に、また、リサイクル過程において回収したトナー粒子が、繰り返して画像形成プロセスに用いられるため、トナー粒子が頻繁に機械的外力を受け、その結果添加剤がトナーへ埋没し、トナーの凝集性が悪化するため、強固に付着した添加剤の外側に弱く付着した添加剤が存在するトナーを用いることによりトナーへの埋没が少なくなり、凝集性が悪化することなく、トナーの凝集性を防止することができる。
本発明のトナーは、混練粉砕法等により得られる粉砕トナーが好ましく、例えば、結着樹脂、着色剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。さらにトナーの表面には、必要に応じて流動性向上剤等を添加してもよい。このようにして得られるトナーの質量平均粒子径は、好ましくは4(μm)〜10(μm)である。粒径が4(μm)以下では、通常、用紙に複写した際に、紙の繊維にトナー粒子が埋まり、ソリッド画面が荒れた感じとなり、10(μm)以上では階調性、細線再現性が悪くなるため、上記範囲にあることが好適である。本発明の電子写真用トナーは、磁性体微粉末を含有するときは単独で現像剤として、また磁性体微粉末を含有しないときは非磁性一成分系現像剤として、もしくはキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
以下に具体的に実施例により本発明を説明する。
〈物性値測定方法〉
〔軟化点(Tm)〕
高化式フローテスター((株)島津製作所製、CFT−500)を用い、サンプルの半分が流出する温度を軟化点とする。
・試料:1(g)
・昇温速度:6(℃/min)
・荷重:20(kg/cm
・ノズル:1(mmφ)×1(mm)
〔ガラス転移点(Tg)〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC210)を用いて昇温速度10(℃/min)で測定する。
〔分子量測定〕
昭和電工(株)製 SYSTEM−11装置を用い、
・カラム: 東ソー(株)製 TSK gel GMHXL 2本 直列
・測定温度:40(℃)
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・注入量:100(ml)
・検出器 :屈折率検出器
にて測定した。
なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
〔クロロホルム不溶分率〕
100(cc)のふた付きガラス瓶に樹脂粉体5(g)、ラジオライト「#700」5(g)(昭和化学工業(株)製)及びクロロホルム100(ml)を入れ、ボールミルにて25(℃)で5(時間)攪拌した後、ラジオライト5(g)を均一に敷き詰めた濾紙(東洋濾紙(株)製、No.2)で加圧濾過する。濾紙上の固形物をクロロホルム100(ml)で2回洗浄し、乾燥させた後、以下の式に従い不溶分率を算出する。
不溶分率(質量%)=(濾紙上の固形物の質量−ラジオライト10g)/5g×100
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC210)を用いて昇温速度10(℃/分)で測定した際に得られる吸熱ピークの頂点の温度とする。
[製造例1](生分解性樹脂(C)が請求項の範囲内)
<ポリ乳酸(C−1)>
L−ラクチド30(kg)、DL−ラクチド20(kg)、オクチル酸スズ15(g)を重合反応槽に仕込み、窒素雰囲気下、190(℃)で3(時間)加熱開環重合させて、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が0.05、分子量が、重量平均分子量Mw:11000、数平均分子量Mn:4100、融点129(℃)、酸価4.1、水酸基価1.2のポリ乳酸(C−1)を得た。
[製造例2](生分解性樹脂(C)が請求項の範囲内)
<ポリ乳酸(C−2)>
[製造例1]と同様の方法により、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が20、分子量が、重量平均分子量Mw:12000、数平均分子量Mn:4300、融点123(℃)、酸価4.8、水酸基価1.9のポリ乳酸(C−2)を得た。
[製造例3](生分解性樹脂(C)が請求項の範囲外)
<ポリ乳酸(C−3)>
[製造例1]と同様の方法により、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が4、融点66(℃)、水酸基価が2、酸価が10のポリ乳酸(C−3)を得た。
[製造例4](生分解性樹脂(C)が請求項の範囲外)
<ポリ乳酸(C−4)>
[製造例1]と同様の方法により、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が4、融点が92(℃)、水酸基価が36、酸価が15のポリ乳酸(C−4)を得た。
[製造例5](生分解性樹脂(C)が請求項の範囲内)
<ポリ乳酸(C−5)>
[製造例1]と同様の方法により、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L/D)が4、融点が85(℃)、水酸基価が3.3、酸価が18のポリ乳酸(C−5)を得た。
[製造例6]
<樹脂(A)、(B)の製造例>
表1に示す縮重合系樹脂の原料を、窒素雰囲気下、220(℃)で反応させ、軟化点が所定の温度に達したときに反応を終了し、冷却後、粉砕し、A−1,2,B−1〜4を得た。得られた樹脂の軟化点、ガラス転移点及びクロロホルム不溶分率を表2に示す。
すなわち、表1は、樹脂(A),(B)の製造例を示す表であり、表2は、表1に記載された原料及びそれらの所定量を使用することによって得られた結着樹脂A−1,2,B−1〜4の軟化点、ガラス転移点及びクロロホルム不溶分率を示す表である。
Figure 2006308764
(表1についての説明)
BPA・PO:ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
BPA・EO:ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
i−DSA:イソドデセニル無水コハク酸
TPA:テレフタル酸
TMA:無水 1,2,4−ベンゼントリカルボン酸
FA:フマル酸(両反応性モノマー)
HMDA:ヘキサメチレンジアミン
DBO:ジブチル錫オキシド(エステル化触媒)
Figure 2006308764
[製造例7]
<結着樹脂TB−1〜TB−16の製造例>
上記で得られた(A−1,2)と(B−1,2,3,4)及び(C−1,2,3,4,5)をそれぞれ樹脂(A),樹脂(B),樹脂(C)として表3に示す配合率で各種組み合わせて混合した結着樹脂TB−1〜TB−16を調製した。
すなわち、表3は、結着樹脂TB−1〜TB−16の製造例を示す表である。
Figure 2006308764
(表3についての説明)
TB−9:C成分の融点が請求項の範囲外
TB−10:C成分の水酸基価が請求項の範囲外
TB−11:成分A,B,Cの質量比が請求項の範囲外
TB−12:成分A,B,Cの質量比が請求項の範囲外
TB−13:C成分の配合率が請求項の範囲外
TB−14:C成分の配合率が請求項の範囲外
TB−15:B成分の軟化点が請求項の範囲外
TB−16:C成分の融点がワックスの融点より低い
(A)/(B),(A)/(B+C)及び(B)/(C)は、いずれも樹脂の質量比を意味する。
[トナー製造例]
<トナーTN−1〜TN−15の製造例>
表3に記載のTB−1〜TB−15の結着樹脂の各々100(質量部)にカーボンブラック「モーガルL」〔キャボットコーポレーション社製〕5(質量部)、ポリプロピレンワックス「ビスコール550P」〔三洋化成(株)製、融点:120(℃)〕2(質量部)及び荷電制御剤「T−77」〔保土谷化学工業(株)製〕2.5(質量部)、ワックス「MDP−7000」〔日本精蝋(株)製〕1(質量部)をヘンシェルミキサーを用いて混合した後、二軸押出機により溶融混練した。得られた溶融混練物を、高速ジェットミル粉砕分級機「IDS−2型」〔日本ニューマチック工業(株)製〕を用いて、質量平均粒径が8(μm)となるよう、粉砕、分級した。
得られた粉体100(質量部)に疎水性シリカ「R−972」〔日本アエロジル(株)製〕0.5(質量部)を添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナーTN−1〜TN−15を得た。
トナーTN−1〜TN−15の各々4(質量部)にフェライトキャリア(パウダーテック(株)製F−150)96(質量部)を均一混合し、市販複写機(シャープ(株)製AR450M)を用いて紙上にトナー像を転写し、転写された紙上のトナーを市販複写機(シャープ(株)製AR450M)の定着部を改造して、A4紙45(枚/分)のスピードで複写して、下記に示す物性評価試験(実施例1〜8、比較例1〜7)を行った。
〈物性評価の試験方法〉
(1)定着性
定着ローラーの温度を100(℃)〜240(℃)の間でコントロールし、定着機を通して定着された画像の上を学振式堅牢度試験機(砂消しゴムに1(kg)の荷重を載せて使用)により、3往復こすり、こする前後でマクベス社の反射濃度計にて光学反射密度を測定し、以下の定義による定着率が70(%)を越える際の定着ローラー温度をもって、定着性の評価を行った。
定着率(%)=[(こすった後の像濃度)/(こする前の像濃度)]×100
○:160(℃)未満
△:160(℃)以上175(℃)未満
×:175(℃)以上
(2)ホットオフセット発生温度(H.O.)
上記最低定着温度の測定に準じて、トナー像を転写して上述の定着ローラーにより定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該定着ローラーに送って、これにトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記定着ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナー汚れの生じた最低の設定温度をもって、ホットオフセット発生温度とした。
○:210(℃)以上
△:190(℃)以上210(℃)未満
×:190(℃)未満
(3)耐ブロッキング性
100(ml)のガラス瓶に10(g)のトナーを入れ、温度50(℃)の恒温槽に2日間放置し、以下の基準で評価した。
○:全くブロッキングが見られない。
△:ソフトケーキング状態。
×:ハードケーキングしている。
(4)生分解性
トナーを厚さ約50(μm)のフィルム状に溶融形成し、土壌中に12ケ月放置し、以下の基準で評価した。
○:フィルム形状が完全に消失している。
△:フィルム形状が大部分消失している。
×:フィルム形状がそのまま残っている。
(5)感光体汚染
黒化率5(%)のA4相当の原稿を30万(枚)連続複写し、連続複写終了後の感光体汚染を目視にて判断した。
〔評価基準〕
○:全く問題なし。(感光体汚染は全く認められない。)
△:感光体汚染がわずかに認められる。
×:感光体汚染が明らかに認められる。
(6)粉砕性
〔評価基準〕
○:全く問題なく質量平均粒径8(μm)の粉体が得られる。
×:粉砕途中に融着が生じ、連続粉砕ができない。
(7)流動性(搬送量)
リサイクル方式のトナー供給機から時間当りに搬送できるトナー量を測定した。
〔評価基準〕
○:搬送量が15(g/min)以上。
×:搬送量が15(g/min)未満。
(8)帯電量
黒化率5(%)のA4相当の原稿を30万(枚)連続複写し、連続複写前後、即ち、複写初期(1000枚複写後)と連続複写後〔30万(枚)連続複写後〕に少量のトナーをサンプリングし、「E−SPARTアナライザー」(ホソカワミクロン(株)製EST-3型)にて、トナーの帯電量を測定した。
なお、長期にわたって優れた帯電量を維持するとは、連続複写前後の帯電量がどちらも17(μC/g)以上でかつ、連続複写前後の帯電量の差が5(μC/g)以内であることを意味する。
トナーTN−1〜TN−15の製造例、及び上記の各テスト結果を表4にまとめて示す。
Figure 2006308764
<実施例9〜11及び比較例8>
表3に記載の結着樹脂(実施例9〜11ではTB−1、比較例8ではTB−16)100(質量部)を、実施例11ではポリプロピレンワックス「ビスコール550P」(三洋化成社製、融点:140℃)3(質量部)〔以下、PPと略す。〕及び、フィッシャートロプッシュ「サゾールワックスSP−105」(サゾール社製、融点:105℃)2(質量部)〔以下、FTと略す。〕を、比較例8では、ポリプロピレンワックスの代りにフィッシャートロプッシュ「サゾールワックスSP−105」(サゾール社製、融点:105℃)5(質量部)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、粉砕性を評価し、得られた粉体に疎水性シリカをそれぞれ適量添加し、ヘンシェルミキサーで混合してトナーTN−16〜TN−19を得た。表5にワックス種類及びワックス添加量をまとめて示す。すなわち、表5は、トナーTN−16〜TN−19の製造例を示している。
トナーTN−16〜TN−19の各々4(質量部)にフェライトキャリア(パウダーテック(株)製F−150)96(質量部)を均一混合し、市販複写機(シャープ(株)製AR450M)を用いて紙上にトナー像を転写し、転写された紙上のトナーを市販複写機(シャープ(株)製AR450M)の定着部を改造して、A4紙45(枚/分)のスピードで複写して、前記物性評価試験(実施例9〜11、比較例8)を行った。
トナーTN−16〜TN−19の各テスト結果を、表6にまとめて示す。
Figure 2006308764
(表5についての説明)
比較例8:C成分の融点がワックスの融点より低い。
Figure 2006308764
<比較例9>
実施例1において荷電制御剤「T−77」(保土谷化学工業(株)製)を8(質量部)使用した以外は同様にしてトナーTN−20を得た。該トナーに含有される荷電制御剤の存在量を蛍光X線によりCrを検出し、そのX線強度から換算した値(a)、更にXPSを用いて内部表面層(深さ方向約50Å)に存在する原子数から換算した荷電制御剤の質量(b)との比を算出したところ、(a)/(b)の値は10.2であった。さらに上記トナーを使った現像剤を用いて複写機にて画出し評価を行ったが、連続複写評価において、初期はマクベス濃度で1.7〜1.8といった高い画像濃度を呈していたものの、約500(枚)複写後には、1.2〜1.4にまで濃度低下を生じてしまった。さらには約1000(枚)複写後には、感光体上にフィルミングが発生し、著しく画像品質を低下させるに至った。上記結果に至った理由としては、比較的含有量の多い荷電制御剤を予備混合の段階で充分に分散させるまでには至らなかったためと推察される。
<比較例10>
実施例1において荷電制御剤「T−77」(保土谷化学工業(株)製)が0.75(質量部)である以外は同様にしてトナーTN−21を得、該トナーを用いて現像剤を調製し、かつ同様に評価を行ったところ初期からの画像濃度が1.5であったが、1500(枚)複写後にトナー飛散を生じてしまった。そのときの(a)/(b)の値は4.3であった。トナー飛散を生じた理由としては荷電制御剤量が少ないため、連続複写評価中でのトナー補給の段階で、所望の帯電量に達するまでの帯電速度が足らず、帯電が追随しきれなかったことによるものと推察される。
トナーTN−20〜TN−21の各テスト結果を、表7にまとめて示す。
Figure 2006308764
(表7についての説明)
比較例9: a/bが請求項の範囲外。
比較例10: aが請求項の範囲外。

Claims (10)

  1. 下記の樹脂(A),(B)、すなわち、
    樹脂(A): 軟化点が120(℃)〜170(℃)、ガラス転移点が58(℃)〜75
    (℃)、かつクロロホルム不溶分率が5〜50(質量%)である樹脂、
    樹脂(B): 軟化点が90(℃)〜120(℃)、ガラス転移点が58(℃)〜75(
    ℃)、かつクロロホルム不溶分率5(質量%)未満である樹脂、
    のいずれをも結着樹脂の構成成分として、結着樹脂中、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計量が80(質量%)〜95(質量%)の範囲内で含んでなり、
    該結着樹脂中に融点が80(℃)〜140(℃)である生分解性樹脂(C)を含有し、
    荷電制御剤量(a)が1(質量部)〜10(質量部)であり、トナー粒子表面層に存在する荷電制御剤量を(b)とした場合、次式
    a/b=2〜10
    を満足することを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 樹脂(A)/樹脂(B)の質量比が10/1〜10/8であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
  3. 樹脂(A)/[樹脂(B)+樹脂(C)]の質量比が10/3〜10/14であり、かつ、樹脂(B)/樹脂(C)の質量比が1/1〜4/1であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の電子写真用トナー。
  4. 樹脂(A),(B)がポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
  5. 結着樹脂中における樹脂(C)の配合率が5(質量%)〜20(質量%)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
  6. 生分解性樹脂(C)が、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
  7. 生分解性樹脂(C)の融点よりも10(℃)以上低い融点を有するワックスを少なくとも1種、さらに含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
  8. 平均粒子径が4(μm)〜10(μm)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
  9. 有機光半導体上の静電潜像を現像したトナー像を転写後、該有機光半導体上の残存する未転写トナーを、ゴム状弾性ブレードを該有機光半導体に当接することにより取り除く機構を有するトナー回収装置により回収し、回収した該トナーを現像装置に循環して再使用することを特徴とする請求項1から8に記載の電子写真用トナー。
  10. 画像形成方法に用いることを特徴とする請求項9に記載の電子写真用トナー。
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