JP2004317710A - 電子写真用トナー及びそれを用いる画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉砕、分級工程で発生する微粒子や粗粒子(副製品)を再び元の混練工程に戻して再練りしても不具合を生じることなく、トナー補給型の一成分現像方式も満足し、分散性に優れ、また、フィルミングなどの汚染もなく、更に環境に対して悪影響を及ぼすこともない(メタルフリー)電子写真用トナーを提供する。
【解決手段】非磁性一成分現像方法に用いる、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有する電子写真用トナーであって、該負帯電制御剤が、ビニル重合性スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であることを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】 なし
【解決手段】非磁性一成分現像方法に用いる、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有する電子写真用トナーであって、該負帯電制御剤が、ビニル重合性スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であることを特徴とする電子写真用トナー。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【従来の技術】
近年、オフィスにおけるOA化、カラー化が一段と進み、従来の文字のみからなる原稿の複写だけではなく、パーソナルコンピュータで作成したグラフ等を含む原稿をプリンターにて出力し、プレゼンテーション用の資料等として多数枚複写する機会が増している。プリンター出力画像は、ベタ画像、ライン画像、ハーフトーン画像が多く、それにともない画像品質に求められる市場の要求が変化しつつあり、また、高信頼性等の要求も更に高まっている。
【0002】
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている潜像担持体(代表的には感光体)に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像する為の現像剤としては、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としないでトナーのみからなる一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。二成分現像方式は、トナー粒子がキャリア表面に付着することにより現像剤が劣化し、また、トナーのみが消費されるため現像剤中のトナー濃度が低下するので、キャリアとトナーとの混合比を一定割合に保持しなければならず、そのため現像装置が大型化するといった欠点がある。一方、一成分現像方式では、上記欠点が無く、装置が小型化等の利点を有しているため、現像方式の主流になりつつある。
【0003】
ところで、一成分系現像剤を用いた一成分現像方式は、磁性トナーを用いる磁性一成分現像方式と、非磁性トナーを用いる非磁性一成分現像方式とに分類される。
磁性一成分現像方式は、内部にマグネットなどの磁界発生手段を設けた現像スリーブを用いて、マグネタイトなどの磁性体を含有する磁性トナーを保持し、層厚規制部材により、薄層化し現像するもので、近年小型プリンターなどで多数実用化されている。
【0004】
これに対して、非磁性一成分現像方式は、トナーが磁気力を持たないため、現像スリーブにトナー補給ローラなどを圧接して現像スリーブ上にトナーを供給し、静電気的に保持させ、層厚規制部材により、薄層化して現像するものであり、有色の磁性体を含有しないためカラー化に対応できるという利点があり、また現像スリーブにマグネットを用いないため、装置のより軽量化、低コスト化が可能となり、近年小型フルカラープリンター等で実用化されている。
【0005】
しかしながら、一成分現像方式では、未だ改善すべき課題が多いのが現状である。二成分現像方式では、トナーの帯電、搬送手段としてキャリアを用い、トナーとキャリアは現像器内部において十分撹拌、混合された後現像スリーブに搬送され現像に供されるため、比較的長時間の使用においても安定した帯電、搬送を持続することが可能であり、また、高速の現像装置にも対応しやすい。
【0006】
これに比べ、一成分現像方式ではキャリアのような安定した帯電、搬送手段がないため、長時間使用や高速化による帯電、搬送不良が起こりやすい。即ち、一成分現像方式は現像スリーブ上へトナーを搬送した後、層厚規制部材にてトナーを薄層化させて現像するが、トナーと現像スリーブ、または層厚規制部材などの摩擦帯電部材との接触・摩擦帯電時間が非常に短いため、キャリアを用いた二成分現像方式より低帯電、逆帯電トナーが多くなりやすい。
【0007】
特に非磁性一成分現像方法においては、通常少なくとも1つのトナー搬送部材によってトナーを搬送し、かつ、搬送されたトナーによって潜像担持体に形成された静電荷像を現像する手段が採られているが、その際、トナー搬送部材表面のトナーの層厚は極力薄くしなければならないとされている。このトナー層が厚いとトナー層の表面近くだけが帯電し、トナー層全体が均一に帯電されにくくなるからである。このため、非磁性一成分トナーにはより迅速な帯電速度が与えられ、適度な帯電量を維持することが要求される。
【0008】
さらに、非磁性一成分現像方式では、トナーだけでなく供給部材や、層厚規制部材、現像スリーブ等の材料選択を十分考慮し、トナーに高い帯電を与えられるようにする必要がある。その際トナーを供給部材、層厚規制部材等へある程度強制的に擦りつけ(圧力)を行う。従って長期に渡って信頼性の高い画質を確保するためには、トナー主要成分の結着樹脂は機械的な衝撃力に耐えられなければならない。しかしそのような条件ではトナーが摩擦により発熱し、帯電部材へ融着するいわゆるフィルミングが発生し易くなってしまい、現像スリーブの寿命が短くなり、長期の使用においてトナーの帯電性が不安定になるという問題が生じてしまう。あるいはトナーは現像機内中で粉砕され、微粒子化しやすくなり、これらが画像濃度低下や搬送の阻害を発生させ白抜け画像を発生させたりしていた。
【0009】
このため、帯電量の安定化には従来より帯電制御剤を添加することが実施されている。帯電制御剤は、トナーの摩擦帯電量を制御し、その摩擦帯電量を維持する働きをする。負帯電性の代表的な帯電制御剤としては、モノアゾ染料、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸の金属塩・金属錯塩、ジアゾ化合物、ホウ素による錯化合物などが挙げられ、正帯電性の代表的な帯電制御剤としては、四級アンモニウム塩化合物、イミダゾール化合物、ニグロシン、アジン系染料などが挙げられる。しかし、これらの帯電制御剤は、有色のものが多く、これらは色相をかえてしまうため、フルカラートナー用帯電制御剤としては使用できない問題がある。
そのため色相に影響を与えない無色、白色あるいは淡色の帯電制御剤が提案されている。
【0010】
例えば、サリチル酸誘導体の金属錯塩化合物(特公昭55−42752号、特開昭61−69073号、特開昭61−221756号、特開平9−124659号)、芳香族ジカルボン酸金属塩化合物(特開昭57−111541号)、アントラニル酸誘導体の金属錯塩化合物(特開昭62−94856号)、有機ホウ素化合物(特公平7−31421、特公平7−104620)がある。しかしながら、これらの帯電制御剤は、今後重要視されると思われる環境安全性に対して懸念されるクロム化合物であったり、帯電付与効果の不足、環境安定性の不足、特に1成分現像の場合必要となる帯電立ち上り性の不足等の欠点があり、帯電制御剤として充分満足する性能を有するものはなかった。
【0011】
また、このような帯電制御剤は結着樹脂への相溶性が悪いため、帯電に大きく関与しているトナー表面に存在しているものが脱離しやすく、トナーの帯電のバラツキや現像ローラや感光体フィルミングなど汚染しやすい欠点がある。そのためトナーに負担のかかりやすい1成分現像方式においては、従来、初期においては良好な画像が得られるが、トナーの劣化が促進されることにより、徐々に画質が変化し、地汚れやボソツキが生じてくるという現象が生じ、特にカラー複写に応用し、トナーを補給しながら連続使用しようとすると、トナーの帯電量が低下してきて、初期の複写画像の色調とは顕著に異なった画像となり、長期間の使用に耐えられ無くなってしまう。このため1成分現像方式の多くは数千枚程度で使いきりにするプロセスカートリッジと呼ばれる作像ユニット方式を用い、全体を早期に交換しなくてはならない欠点を有していた。そのためコストがかかり、環境に対する負荷も大きく、ユーザーの手間もかかっていた。更にこれらの多くにはクロム等の重金属が含まれるため、近年安全性の面から問題となりつつある。
【0012】
また画像再現性の点から現像剤の粒子径も小さいものが求められる傾向にある。このため主に粉砕、分級工程で発生する製品以外の微粒子や粗粒子(以下副製品と呼ぶ)の量も多くなり、製造速度や歩留まりが落ちる傾向にある。これらの現像剤は高価な染顔料、帯電制御剤を用いることが多いことから、より低コスト化を狙うためにそれら副製品を、元の混練製造工程に戻して、再び製品粒径に調整する試みがなされている。
【0013】
しかし、上記帯電制御剤を使用したトナーは、結着樹脂との相溶性が悪く、分散されにくい上に、帯電性を高くしたいがために混練時に分散性をむしろ悪くし、粉砕時に表面に偏在させ、帯電性を維持する方法や、また使用量を多くし、帯電性を持たせるため、
1.再練りの際には、分散性が変わり、狙いの帯電が出ない。
2.相溶性が悪いCCAでは強い剪断力を欠けても十分に分散されず粉砕時の割れ界面に成りやすく副製品と製品に入る帯電制御剤の分量が均一にならない。
3.結着樹脂分子の切断が起こり易く、低分子量成分が発生する為、保存性の悪化や現像ローラへのフィルミング、がおこりやすくなり、また定着性(特に光沢性を有するようなトナー)を変えてしまう場合もあった。
【0014】
上記の理由の為、副製品の再利用が非常に困難であり、コスト低減を妨げていた。
そこで上記問題を改善するものとして、特開昭63−88564、63−184762号公報、特開平3−56974,6−230609号公報において、結着樹脂への相溶性、トナー定着像の透明性、安全性を改善した樹脂帯電制御剤が開示されている。これらの樹脂帯電制御剤は結着樹脂と相溶性が良いため、安定した帯電性、透明性に優れている。しかしこれらの樹脂帯電制御剤は、モノアゾ染料、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸の金属塩・金属錯塩を用いたトナーと比較すると、帯電量、帯電速度が劣るという欠点がある。また、樹脂帯電制御剤の添加量を増やすことで帯電性は向上するが、トナー定着性(低温定着性、耐オフセット性)に悪影響を与える。さらにこれらの化合物は帯電量の環境安定性(耐湿度)が大きい。そのため地汚れ(かぶり)を生じやすいという問題もある。
【0015】
そこで、また、特開平8−30017、9−171271、9−211896、11−218965号公報では、スルホン酸塩基等有機酸塩を含むモノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマーとの共重合体が提案されている。しかし、スルホン酸塩基等有機酸塩を含むモノマーに起因すると思われる吸湿性や粘着性により、十分な帯電量は確保されるが、結着樹脂への分散が十分でなく、長時間に亘りトナーの帯電のバラツキ抑制や、現像ローラや感光体フィルミングなどを防止する効果は十分でない。また、結着樹脂であるスチレン系樹脂やポリエステル系樹脂への相溶性を向上するため、それぞれスルホン酸塩基等有機酸塩を含むモノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマーと、結着樹脂がスチレン系樹脂の時はスチレン系モノマーに、結着樹脂がポリエステル系樹脂の時はポリエステル系モノマーとの共重合体も提案されているが、長期間にわたる帯電量の維持、現像ローラや感光体フィルミング防止効果は十分でない。特にフルカラートナー用結着樹脂としては、発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂に対しては不十分であった。
【0016】
一方、定着工程についてもトナー主要成分の結着樹脂の有する熱的特性は重要であることが知られている。
定着工程は従来より広く加熱ローラー等による圧着加熱方式が使用されている。この方式はトナーに対し加熱ローラー等の表面に転写体のトナー画像を加圧下で接触しながら、転写体を通過させ、トナー画像の定着を行うものである。この方法によれば、加熱ローラー等の表面と転写体上のトナー画像とが加圧下で接触するため、トナー画像を転写体上に融着する際の熱効率が良好であり、迅速に定着を行うことができ、プリンター等の高速化が可能となることから好まれている。さらにこの様な圧着加熱方式で高速定着を行う場合、トナーには良好な低温定着性(定着下限温度が低いこと)が要求され、またこのためにバインダー樹脂としては軟化点温度の低いものが使用される。
【0017】
しかしながら、この方法では加熱ローラー等とトナー表面が接触する際、溶融したトナーが加熱ローラー等へ付着し、後方から送られてくる紙等の転写体へ移る、いわゆるオフセット現象が生じやすい。このためオフセットを防ぐために離型性を有する材料で表面を形成した加熱ローラを使用したり、さらにその表面にシリコーンオイルのような液体の離型剤を塗布し、オフセット防止を行っている。しかしこれらは耐オフセットには有効であるものの、低温定着性や剥離性、保存安定性等には寄与しない。
【0018】
さらにフルカラープリントにおいては、減色混合法を採用し、複数回の現像、転写後、同一転写体へ少なくとも異なる3種のトナー像(マゼンタ、シアン、イエローの各種からなるトナー像、必要に応じて、さらにブラックのトナー像が加わる。)を重ね、次いで重ね合わされたトナー像を一回で定着させるものである。このため数種のトナー層でトナー像は厚くなり、トナー強度不足に起因して画像に亀裂が生じたり、光沢が損なわれたり、折り曲げた際に画像欠損を生じることがしばしば起こる。このため定着されるカラートナーは適度な光沢と強度が要求される。
【0019】
一般にトナーの定着特性を支配する要因はトナーの主成分である結着樹脂の物性であり、代表的なトナーの結着樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリオール系樹脂があげられるが、スチレン−アクリル系樹脂は一般に軟化点温度が高く、低光沢を有する出力画像を得るには適しているが低温定着性や画像強度の点でポリエステルやポリオール系樹脂に劣ることは一般に知られている。
【0020】
一方ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂は低温定着性に優れるという利点があるものの、オフセットを発生し易いという欠点がある。そこでこれらを改善すべくポリマーの重合度を上げたり、多価の単量体を導入し架橋を行ったり、ゲル成分を導入しトナー溶融時の表面凝集力を高め、オフセットを防ぐ手段がとられている。しかしこれらのことは低温定着性を悪くするだけでなく、トナー製造工程での粉砕性を悪くしてしまう。特に近年デジタル画像のハーフトーン階調性、粒状性を得る等の高画質化の要求からトナーの小粒径化は進んでおり、分子凝集力の高いこれらのポリエステル系樹脂やポリオール系樹脂はトナーを製造する粉砕工程等で粉砕性が劣り、かつ粉砕機内への固着や凝集が発生しやすくなる。
【0021】
さらに、望ましい粒径に粉砕されたトナーは粒径が小さいほどファンデルワールス力が大きくなるため、トナー同士が凝集し、分級工程においても分級効率が悪化する。このように、結果として生産効率が低下し、製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0022】
そこで、粉砕性を改善する手段の一つとして、バインダー樹脂の分子量を減少させることが考えられるが、これに伴って、ガラス転移点の低下が予測される。トナーにおいて、バインダー樹脂のガラス転移点が低下すると、粉体としての長期保存安定性、すなわち耐ブロッキング性に問題が生じる。また、熱ローラー定着時に、ローラー表面に融着したトナーが次の画像に移行してしまう、いわゆるオフセット性の悪化や、前述した定着画像のフィルム強度を低下させるという問題点がある。
【0023】
また、ポリオキシエチレン系ビスフェノールAやポリオキシプロピレン系ビスフェノールAをジオール成分とするポリエステル樹脂が、特開平2−269364号公報に記載されている。しかし、このような樹脂では、カラー画像を形成したときに、画像に亀裂が発生したり、また低温定着や保存安定性に問題を生じていた。
【0024】
これらの問題を解決するものとして、特性の異なる二種類のポリエステル樹脂を用いる方法がいくつか提案されている。たとえば、非線状ポリエステル樹脂と線状ポリエステル樹脂を混合させる方法(特開昭60−90344号公報)、Tg50℃以上、軟化点200℃以下の架橋ポリエステル樹脂と軟化点150℃以下MW3,000〜50,000の直鎖ポリエステル樹脂を混合させる方法(特開昭64−15755号公報)、MW5,000以上、分散比20以上の非線状高分子ポリエステル樹脂とMW1,000〜5,000、分散比4以下の非線状ポリエステル樹脂を含有させる方法(特開平2−82267号公報)、酸価5〜60の線状ポリエステル樹脂と酸価5未満の非線状ポリエステル樹脂からなる有機金属化合物を含有させる方法(特開平3−229264号公報)、飽和ポリエステル樹脂で酸価の比が1.5以上の異なるポリエステル樹脂を混合する方法(特開平3−41470号公報)等である。しかしながら、これらは定着特性を満足できても一成分現像方式での耐衝撃力を満足できるものではなかった。
【0025】
【特許文献1】
特公昭55−42752号公報
【特許文献2】
特開昭61−69073号公報
【特許文献3】
特開昭61−221756号公報
【特許文献4】
特開平9−124659号公報
【特許文献5】
特開昭57−111541号公報
【特許文献6】
特開昭62−94856号公報
【特許文献7】
特公平7−31421号公報
【特許文献8】
特公平7−104620号公報
【特許文献9】
特開平8−30017号公報
【特許文献10】
特開平9−171271号公報
【特許文献11】
特開平9−211896号公報
【特許文献12】
特開平11−218965号公報
【特許文献13】
特開平2−269364号公報
【特許文献14】
特開昭64−15755号公報
【特許文献15】
特開平2−82267号公報
【特許文献16】
特開平3−229264号公報
【特許文献17】
特開平3−41470号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした実情の下に、非磁性1成分現像方式において使用する電子写真用トナーに要求される諸条件を満足する、すなわち、高い帯電性を有しかつ維持することが出来、定着特性を満足し、粉砕、分級工程で発生する微粒子や粗粒子(副製品)を再び元の混練工程に戻して再練りしても不具合を生じることなく、トナー補給型の一成分現像方式も満足し、分散性に優れ、また、フィルミングなどの汚染もなく、更に環境に対して悪影響を及ぼすこともない(メタルフリー)電子写真用トナーを提供することを目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の共重合体系の負帯電制御剤を使用することが有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
【0028】
(1) 潜像保持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を現像剤担持体上の現像剤を用いて現像する現像工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写する転写工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有し、かつ該現像工程は層厚を均一に規制する現像ブレードを備えた現像ローラを回転させながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって前記静電潜像を可視化する非磁性一成分現像方法に用いる、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有する電子写真用トナーであって、該負帯電制御剤が、スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であり、また、該電子写真用トナーは少なくとも機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)も含有し、更に外添剤を含むことを特徴とする電子写真用トナー。
【0029】
(2) 前記スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が前記樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真用トナー。
【0030】
(3) 前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の電子写真用トナー。
(4) 前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(5) 前記樹脂負帯電制御剤の重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(6) 前記樹脂負帯電制御剤を、トナー粒子に対して0.1〜20重量%含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
【0031】
(7) 前記結着樹脂の酸価が20KOHmg/g以下であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(8) 前記結着樹脂が少なくとも2種類の結着樹脂からなることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(9) 前記結着樹脂は下記(A)、(B)に示される2種類の樹脂からなることを特徴とする前記(8)記載の電子写真用トナー。
(A)THF不溶成分を含まず、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、かつ分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有するポリエステル及び/またはポリオール樹脂
(B)THF不溶成分を含まない、少なくとも多価カルボン酸とジオール成分からなるポリエステル樹脂であり、かつ該ジオール成分が少なくとも下記式(1)で示されるジオール成分からなるポリエステル樹脂
【0032】
【化3】
【0033】
(10) 結着樹脂(B)のジオール成分がプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体からなることを特徴とする前記(9)記載の電子写真用トナー。
(11) 結着樹脂(A)、(B)における分子量ピークが(A)<(B)であることを特徴とする前記(9)または(10)に記載の電子写真用トナー。
(12) 結着樹脂における(A)、(B)の重量比率が60:40〜85:15であることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(13) 少なくとも2種以上の添加剤を更に含むことを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(14) 前記添加剤のうち少なくとも1種が疎水化処理したシリカからなることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(15) 前記添加剤が少なくとも疎水化処理したシリカと疎水化処理した酸化チタンからなることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
【0034】
(16) 潜像保持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を現像剤担持体上の現像剤を用いて現像する現像工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写する転写工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であって、該現像工程は現像剤の層厚を均一に規制する現像ブレードを備えた現像ローラを回転させながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって前記静電潜像を可視化する非磁性一成分現像方法を用い、かつ電子写真用トナーとして、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有し、該負帯電制御剤が、スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であり、かつ該トナーは少なくとも機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)も含有し、更に外添剤を有する電子写真用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0035】
(17) 電子写真用トナーにおける前記樹脂帯電制御剤は、前記ビニル重合性スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が前記樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする前記(16)に記載の画像形成方法。
【0036】
(18) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(16)または(17)に記載の画像形成方法。
(19) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(20) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤の重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする前記(16)〜(19)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(21) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤を、トナー粒子に対して0.1〜20重量%含有することを特徴とする前記(16)〜(20)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【0037】
(22) 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂の酸価が20KOHmg/g以下であることを特徴とする前記(16)〜(21)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(23) 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂が少なくとも2種類の結着樹脂からなることを特徴とする前記(16)〜(22)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(24) 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂は下記(A)、(B)に示される2種類の樹脂からなることを特徴とする前記(23)記載の電子写真用トナーを用いる画像形成方法。
(A)THF不溶成分を含まず、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、かつ分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有するポリエステル及び/またはポリオール樹脂
(B)THF不溶成分を含まない、少なくとも多価カルボン酸とジオール成分からなるポリエステル樹脂であり、かつ該ジオール成分が少なくとも下記式(1)で示されるジオール成分からなるポリエステル樹脂
【0038】
【化4】
【0039】
(25) 結着樹脂(B)のジオール成分がプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体からなることを特徴とする前記(24)記載の画像形成方法。
(26) 電子写真用トナーにおける結着樹脂(A)、(B)における分子量ピークが(A)<(B)であることを特徴とする前記(24)または(25)に記載の画像形成方法
(27) 電子写真用トナーにおける結着樹脂における(A)、(B)の重量比率が60:40〜85:15であることを特徴とする前記(24)〜(26)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(28) 電子写真用トナーが更に少なくとも2種以上の添加剤を含むことを特徴とする前記(16)〜(27)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(29) 電子写真用トナーにおける前記添加剤のうち少なくとも1種が疎水化処理したシリカである特徴とする前記(16)〜(28)のいずれか一項に記載の電子写真用トナーを用いる画像形成方法。
(30) 電子写真用トナーにおける前記添加剤が少なくとも疎水化処理したシリカと疎水化処理した酸化チタンからなることを特徴とする前記(16)〜(29)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
に関する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳述する。
本発明の樹脂帯電制御剤を構成するスルホン酸基含有モノマーとしては、芳香族スルホン酸基含有モノマー及び脂肪族スルホン酸基含有モノマー等が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩基含有モノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸等またはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。芳香族スルホン酸塩基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、スルホフェニルアクリルアミド、スルホフェニルマレイミド、及びスルホフェニルイタコンイミド等またはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。重金属(ニッケル、銅、亜鉛、水銀、クロムなど)の塩は安全性の面から好ましくない。
【0041】
塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーとしては、クロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、ニトロクロロフェニルマレイミド等のフェニルマレイミド置換体、クロロフェニルイタコンイミド、ジクロロフェニルイタコンイミド、ニトロフェニルイタコンイミド、ニトロクロロフェニルイタコンイミド等のフェニルイタコンイミド置換体が挙げられ、帯電性や耐フィルミング性の面で好ましい。
【0042】
アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂帯電制御剤は、上記構成モノマーを含む樹脂状物であり、その重合形態は、線状重合体であっても、グラフトあるいはブロック重合体であってもかまわない。
本発明の樹脂帯電制御剤を構成するモノマーとして、スルホン酸基含有モノマーを添加することにより、樹脂帯電制御剤の負帯電付与効果が向上するが、吸湿性のためトナーの環境安定性(温湿度安定性)が低下するので、電子吸引基を有する芳香族モノマー等で共重合体として用いることは一般に知られているが、数千枚程度の使用であればよいが、数万枚以上の長期間使用するには、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染や感光体フィルミングが発生し、トナーの帯電安定性や高画像品質の維持が十分でなく、生産性も低下するという問題がある。かかる欠点を補うべく、フルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂に対して、スルホン酸基含有モノマーと塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー及びアクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーの3種のモノマーを含有する共重合体を樹脂帯電制御剤として用いることにより、長期に亘り帯電、環境安定性に優れ、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染がなく薄層形成の良く、感光体フィルミングを防止し、高画像品質が維持され、生産性の高い電子写真用トナーが得られるのである。
【0044】
これらの効果は以下に述べる理由からであるものと推定される。すなわち、スルホン酸基含有モノマーと塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーを併用により、負帯電付与効果が高められ、アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーを使用することにより、更に帯電の環境安定性を高めるとともに樹脂硬度が高くなり、粉砕性が良くなるとともに、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染がなく、感光体フィルミングを防止効果が向上し、更にフルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂と組み合わせることにより、十分な分散性が得られ、帯電性に厳しい非磁性一成分現像方式においても帯電分布がシャープな電子写真用トナーが得られる。
【0045】
本発明の樹脂帯電制御剤におけるモノマーの構成比は、スルホン酸基含有モノマーが1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。スルホン酸基含有モノマーが1重量%未満であると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。また30重量%を越えると帯電の環境安定性が悪化し、高温高湿時帯電量が低く、低温低湿時帯電量が高くなり、トナーの帯電安定性や高画像品質の維持が十分でない。さらに現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染が発生しやすくなるという問題がある。塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーが1〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%ある。塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーが1重量%未満であると、帯電量が十分でなく、地汚れやトナー飛散が発生しやすい。また80重量%を越えるとトナー中への分散が悪くなり、トナーの帯電分布が広くなり、地汚れやトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性とうが異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。
【0046】
アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーが10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーが10重量%未満であると、十分な帯電の環境安定性が得られず、また、混練・粉砕工法でのトナー製造時の粉砕性が十分でなく、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染を引き起こす。80重量%を越えると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。芳香族ビニルモノマーが0〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。芳香族ビニルモノマーが30重量%を越えると、樹脂が固くなり、トナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品(再練りを行っていない製品)と帯電性、分散性等が異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。さらに、トナーの定着性、特にカラートナーの混色時の発色性が不良となる。
【0047】
これらの組合せの樹脂帯電制御剤は、更にフルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂と組み合わせることにより、さらに十分な分散性が得られ、帯電分布がシャープな電子写真用トナーが得られ、長期の帯電安定性及び高画像品質が得られる。
【0048】
本発明の樹脂帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることが好ましい。85℃未満であると、トナー中での十分な分散性が得られず、帯電が低下するだけでなく、貯蔵安定性も不良となり固化(凝集)しやすい。混練、粉砕・分級する生産工程から得る方法において、粉砕工程での固着が発生しやすく、生産性を劣化させる。また、110℃を越えるとトナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性とうが異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。さらに、トナーの定着性、特にカラートナーの混色時の発色性が不良となる。見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度は、フローテスターを用いて荷重10kg/cm2、オリフィス1mm×1mm、昇温速度5℃/分で粘度測定し、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度を読み取った値である。フローテスターとしては島津製作所CFT−500型を用いることができる。
【0049】
また、本発明の樹脂帯電制御剤の数平均分子量は、5000〜100000であることが好ましい。5000未満であると、トナー中での適度な分散性が得られず、帯電が低下するだけでなく、混練、粉砕・分級する生産工程から得る方法において、粉砕工程での固着が発生しやすく、生産性を劣化させる。また、100000を越えるとトナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性等が異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。さらにトナーの定着性、発色性が不良となる。
【0050】
本発明の樹脂帯電制御剤の添加量は、トナー粒子に対して、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。0.1重量%未満の場合は、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。20重量%を越える場合は、分散が悪くなり、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやす区なると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性等が異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。
【0051】
結着樹脂としては、フルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂が用いられる。カラー画像は、数種のトナー層が幾重にも重ねられるため、トナー層が厚くなってしまい、トナー層の強度不足による画像の亀裂や欠陥が生じたり、適度な光沢が失われたりする。このことから適度な光沢や優れた強度を保持させるためポリエステル樹脂やポリオール樹脂が用いられる。
【0052】
ポリエステル樹脂は、一般に多価アルコールと多価カルボン酸とのエステル化反応により得ることができる。本発明におけるポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうち、アルコールモノマーとしては、ジオールモノマーとしては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコールトリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタジエンオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、その他の二価のアルコールがあげられ、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ノボラック型のフェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル、その他の3価以上の多価アルコールがあげることができる。3価以上のアルコールモノマーは主に架橋成分として用いられる。
【0053】
これらのモノマーのうち特に、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を主成分モノマーとして用いたものが好適に用いられる。ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を構成モノマーとして用いた場合、ビスフェノールA骨格の性質上、比較的高めのガラス転移点のポリエステルが得られ、耐コピーブロッキング性、耐熱保存性が良好となる。また、ビスフェノールA骨格両側のアルキル基の存在が、ポリマー中でソフトセグメントとして働き、トナー定着時の発色性、画像強度が良好となる。特にビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のうち、エチレン基、プロピレン基のものが好適に用いられる。
【0054】
本発明におけるポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうち酸モノマーとしては、たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、またはn−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、これらの酸の無水物、アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸が、そして、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、アルキルエステル、アルケニルエステル、アリールエステル、その他の3価以上のカルボン酸を挙げることができる。
【0055】
ここで述べているアルキル基、アルケニル基またはアリールエステルの具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリメチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリエチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸イソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリベンジル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−イソプロピルベンジル)等が挙げられる。
【0056】
ポリエステル樹脂の帯電性と酸価との関係はほぼ比例関係にあり、酸価が高くなれば、樹脂の負帯電性も大きくなることが知られており、同時に帯電の環境安定性にも影響する。すなわち酸価が高いと、低温低湿下では帯電量が高くなり、高温高湿下では帯電量が低くなり、地汚れや画像濃度、色再現性の変化が大きくなり、高画像品質の維持が難しい。従って、ポリエステル樹脂の酸価は20KOHmg/g以下が好ましくさらに、5KOHmg/g以下が好適である。
【0057】
本発明で用いられるポリオール樹脂としては、帯電の環境安定性、定着安定性、カラー再現性、光沢安定性、定着後のカール防止性などの面から、エポキシ樹脂の末端をキャッピングし、かつ主鎖にポリオキシアルキレン部をもつものが好適である。例えば、両末端グリシジル基のエポキシ樹脂と両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物を、ジハライドやイソシアネート、ジアミン、ジオール、多価フェノール、ジカルボン酸と反応させることにより得ることができる。このうち2価のフェノールを反応させることが、反応安定性の点でもっとも好ましい。また、ゲル化しない範囲で、多価フェノール類や多価カルボン酸類を2価フェノールと併用することも好ましい。
【0058】
本発明で用いられる両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては以下のものが例示される。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及び、これらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物を、エピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に、下記一般式(2)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルが好ましい。
【0059】
【化5】
(ここでRは、−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−又は−CH2−CH2−CH2−であり、また、n、mは繰り返し単位数であり、各々1以上であってn+m=2〜6である。)
【0060】
この電子写真トナーに使用される結着樹脂は2種類の樹脂を使用したほうが望ましい。2種類の結着樹脂と樹脂帯電制御剤が入ることにより、樹脂界面に樹脂帯電制御剤が分散され易くなり、分散が良くなる効果があるからである。
この2種類の結着樹脂を(A)、(B)としたとき、結着樹脂(A)は上記記述のポリエステル樹脂、ポリオール樹脂であり、THF不溶分がなく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有することをが好ましい。THF不溶分が入ると光沢性が下がるとともに透明性が落ち、OHPシートを使用したときに高品質な画像を得ることができない。また分子量500以下の成分が1〜4重量%にすることで樹脂として脆い成分を低減でき、融着するいわゆるフィルミング成分や現像機内中での微粒子化を抑制することができる。特に副製品を利用する場合、副製品中に含有される結着樹脂には数回に渡る剪断がかかるため、特に脆弱である低分子量成分の量は重要となる。本発明者らは分子量500以下のもの成分をカットすることで数回の剪断にも耐え、分子量の変化が認められないことを発見した。これにより非磁性一成分現像方式においても長期間の使用に耐えることができ、トナー補給方式に於いても使用できるのである。
【0061】
結着樹脂(B)はジオールと多価カルボン酸及び/又は多価アルコールとのエステル化反応により得ることができるポリエステル樹脂からなる。一般に、本発明におけるポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうちアルコールモノマーとしては、上記結着樹脂(A)で示したものがあるが、その中のモノマーのジオール成分として、式(1)で表されるジオール成分が好ましい。
【0062】
【化6】
【0063】
ジオール成分としては式(1)のほかにこれに上記記載のその他のジオール成分を含んでも良いが、単独が望ましい。式(1)で示されるジオール成分は結着樹脂(A)で説明の通りビスフェノールA骨格の性質上、比較的高めのガラス転移点のポリエステルが得られ、耐コピーブロッキング性、耐熱保存性が良好となる。また、ビスフェノールA骨格両側のアルキル基の存在が、ポリマー中でソフトセグメントとして働き、トナー定着時の発色性、画像強度が良好となる。特にビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のうち、エチレン基、プロピレン基のものが好適に用いらているが、検討した結果、プロピレン基を持つものが、エチレン基に比べ耐フィルミング性を落とさずに粉砕性に富むことが新たに判明した。詳細についてはわからないがこれは側鎖となるメチレン基に寄るものと考えられ、これが脆性を有しているものと考えられる。
【0064】
また、架橋成分として上記結着樹脂(A)で示される様な3価以上のアルコールをジオール成分と共に使用しても良い。中でもノボラック型フェノール樹脂はトナーの耐オフセット性及び低温定着性が向上することから特に好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)は、ノボラック型フェノール樹脂(a)と分子中1個のエポキシ環を有する化合物(b)との反応物である。
【0065】
ノボラック型フェノール樹脂(a)としては、例えばエンサイクロベディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリッシャーズ)第10巻1頁のフエノリック・レジンズの項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸又は酢酸亜鉛などの金属塩を触媒として、フェノール類とアルデヒド類との重縮合により製造されるものが挙げられる。
【0066】
フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メタ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノ−ル、ジクロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は2種以上併用してよい。これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよびノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される炭化水素基で置換された置換フェノールはトナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。
【0067】
ノボラック型フェノール樹脂(a)の数平均分子量は通常300〜8000、好ましくは450〜3000、更に好ましくは400〜2000である。アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0068】
結着樹脂(B)のポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうち酸モノマーとしては、結着樹脂(A)と同様なものがあげらる。
この結着樹脂(B)のポリエステル樹脂の帯電性と酸価との関係は、前記の結着樹脂(A)のポリエステル樹脂と同様であり、従って、ポリエステル樹脂の酸価は20KOHmg/g以下が好ましくさらに、5KOHmg/g以下が好適である。
【0069】
本発明の分子量分布は、GPCにより以下のように測定される。40℃のヒートチャンバー内でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mLの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整したトナー母体のTHF試料溶液を200μL注入して測定する。THF試料溶液は注入前に0.45μmの液クロ用フィルターで、THF不溶成分を除去する。トナーの試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0070】
なおバインダー樹脂のTHF不溶分有無は、分子量分布測定のTHF試料溶液作成時に判断される。すなわち、0.45μmのフィルターユニットをシリンジの先に取り付けて液をシリンジ内から押し出す際に、フィルター詰まりのがなければTHF不溶分はないと判断される。
【0071】
結着樹脂に含まれる樹脂(A)の割合は60〜85重量%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜80重量%である。樹脂(A)の割合が60重量%を下回ると、耐フィルミング性が悪くなる。かつ樹脂(A)が85重量%より以上となると、単独樹脂の効果が強まり粉砕性が悪くなってしまう。
【0072】
また樹脂(A)と樹脂(B)の分子量ピークが(A)<(B)が好ましい。これは粉砕性に優れる樹脂(B)は耐フィルミング性に劣る反面があるため、分子量が高いほど好ましく、耐フィルミング性に優位である樹脂(A)の分子量は比較的低分子量に設定できるからである。
【0073】
またこの2種類の樹脂(A)(B)は樹脂間の相溶性とその他の成分(着色剤、帯電制御剤など)との相溶性から樹脂の構成成分が全く同一のものでないことが好ましい。樹脂の相溶性等を表す指標としてよくSP値等が使用されるが、SP値の差が適度にあることが好ましい。
SP値があまりにも異なると、樹脂同士の相溶性が悪くなることから、成分の偏りが多くなるため副製品の利用が出来なく成りやすく、また粉砕性に寄与する樹脂(B)が表面部分に出やすく、耐フィルミング性が劣ってしまう。逆にSP値があまりにも近くなると樹脂同士の相溶性はいいが、樹脂帯電制御剤との相溶性が悪くなるため、副製品の利用が出来なくなり易く、さらに着色剤等の分散不良による画像濃度の低下や、OHPでの透光性の低下、帯電制御剤の分散不良によるフィルミングや、経時での帯電低下等が発生してしまい易くなることからSP値の差が適度にあるのがよく、およそ0.2から1.0の範囲であることが好ましい。
【0074】
本発明でいう溶解度パラメーターSP値(δ)は、以下の求め方により求められるが、これらに限定されない。SP値は、凝集エネルギー密度の関数として次の式で定義されている。
δ=(ΔE/V)1/2
△E:分子間凝集エネルギー(蒸発熱)
V:混合液の全体質
△E/V:凝集エネルギー密度
【0075】
また、SP値を用いて、混合による熱量変化△Hmは次の式で示される。
ΔHm=V(δ1−δ2)・Φ1/Φ2
δ1:溶媒のSP値
δ2:溶質のSP値
Φ1:溶媒の体積分率
Φ2:溶質の体積分率
この式より、δ1、δ2の値が近い程、△Hmは小さくなり、Gibbsの自由エネルギーが小さくなるので、SP値の差が小さいもの同士は親和性が高くなるものと考えられる。実際にSP値を求める方法としては、SP値が既知の各種溶剤との樹脂の溶解性を比較することで、最もよく相溶する溶剤のSP値から未知の樹脂のSP値を設定した。
【0076】
また、その他SP値の求め方としては、樹脂のモノマー組成が判明している場合には以下のFedorらの方法(Polym.Eng.Sci.,14[2](1974)記載の方法)を用いて計算できる。
SP値=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
Δei:原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:原子または原子団のモル体積
本発明では、主にモノマー組成から計算により求めた値を用いた。
【0077】
本発明に用いられる着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用できる。例えば、ブラックトナーに用いる黒色系着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒等が使用でき、イエロートナーに用いる黄色系着色材としては、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー等が使用でき、マゼンタトナーに用いる赤色系着色剤としては、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が使用でき、シアントナーに用いる青色系着色剤としてはコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が使用でき、その他の着色剤としては酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0078】
特に着色剤については前記バインダー樹脂であらかじめ処理することにより、顔料のバインダー樹脂への分散性を高め、前記含有量で十分な着色力を得、トナーの透明性、発色性を高め、帯電制御をしやすくできる。
樹脂による前処理はバインダー樹脂と着色剤を一定の割合で溶融混練し、粗粉砕したものである。混合比は一般に着色剤1重量部に対し樹脂1〜5重量部が望ましい。樹脂1重量部に対し、着色剤が1重量部未満では着色剤を十分分散させることができない。また着色剤1重量部にたいし樹脂5重量部より多くなると着色剤に分散力が働かず十分な分散ができない。2種以上の着色剤を用いる場合は個々で処理を行っても、またあらかじめ顔料を混合してから処理しても良い。
【0079】
製造されるトナーに離型性を持たせる為に、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。前記ワックスは、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。ワックスの融点が過大のときには低温での定着性が不足する場合があり、一方融点が過小のときには耐オフセット性、耐久性が低下する場合がある。なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
【0080】
本発明に用いることができるワックスとしては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。また低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
【0081】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0082】
そして、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子と各種金属酸化物等の無機粉末等を混合して使用する方法が提案されており、添加剤と呼ばれている。また必要に応じて該無機粉末表面の疎水性、帯電特性等を改質する目的で特定のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、有機酸等で処理する方法、特定の樹脂を被覆する方法なども提案されている。前記無機粉末としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化錫等が知られている。
【0083】
特にシリカや酸化チタン微粒子とジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等の有機珪素化合物とを反応させシリカ微粒子表面のシラノール基を有機基で置換し疎水化したシリカ微粒子が用いられている。
これらの中で2種以上の外部添加剤を含有することが好ましい。
【0084】
さらに好ましくはこれらの中で2種以上のBET比表面積の異なる外部添加剤を含有することが好ましい。2種以上のBET比表面積の異なる外部添加剤を含有しない場合は、経時での外部添加剤のトナー母体への埋没が急激に進み、トナー流動性の悪化が急激に進んでしまう。トナーの流動性が低下することによる画像むらが発生しやすく、また、トナーへの付着力が強くなり難く、トナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。2種以上のBET比表面積の異なる外部添加剤を含有すれば、一方の添加剤がスペーサーの役割を果たし、トナー流動性に効果がある小粒径外部添加剤のトナー母体への埋没が防止され、トナー流動性を維持できる。また、原因は不明ではあるが、経時での現像担持体の薄層が均一となる。
【0085】
例えば、大きな外部添加剤とは、BET比表面積が30〜80m2/gの範囲にあるものが好ましく、BET比表面積がこの範囲にあれば、種々の表面処理されたものが使用可能であり、特に、40〜60m2/gのものがより好ましい。30m2/g未満の場合はトナーの流動性が急激に低下することによる画像むらが発生しやすく、また、トナーへの付着力が強くなり難く、トナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。これら大きな粒径の外部添加剤は、トナー100重量部に対して0.1〜5.0重量部の範囲で添加するのが好ましく、0.8〜2.0重量部の範囲で添加するのがより好ましい。0.1重量部未満の場合は転写不良が発生し、5.0重量部を超える場合ではトナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。
【0086】
小さな外部添加剤は、BET比表面積が100〜250m2/gの範囲にあるものが好ましく、BET比表面積がこの範囲にあれば、種々の表面処理されたものが使用可能であり、特に、120〜200m2/gのものがより好ましい。特に、トナーの付着力を低減するため効果がある。これらの外部添加剤は、トナー100重量部に対して0.3〜3重量部の範囲で添加するのが好ましく、0.5〜1.5重量部の範囲で添加するのがより好ましい。0.3重量部未満の場合は、その効果が十分に発揮されにくく、3重量部を超えると、トナーから脱離する外部添加剤が多くなり、感光体傷等を引き起こすし易くなる。
【0087】
また2種類の外部添加剤の基材は異なる物質のものが好ましい。電性および流動性に効果があるとされている、と酸化チタン、アルミナ等を併用するのが好ましい。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0088】
(一成分非磁性トナーの製造方法)
本発明の製造方法は、機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する。このトナーの製造方法において少なくとも、a.結着剤樹脂、b.樹脂帯電制御剤、c.着色剤、d.粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)を含有し母体トナーとし、流動性付与剤を外添することでトナーを作成するものである。
少なくとも結着樹脂、帯電制御剤および着色剤を含む現像剤成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行なえばよく、特に制限はない。
【0089】
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖を必要以上に切断をしないような適正な条件で行なうことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、結着剤樹脂、帯電制御樹脂の軟化点を参考に行なうべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
【0090】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
この粉砕工程が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中で分級し、所定の粒径、例えば平均粒径が4〜12μmの母体トナーを製造する。この際、体積平均粒径が5〜9μmであり、更に4μm以下の粒径を有するトナー粒子が10個数%以下存在するような小粒径で粒度分布をシャープにすると、環境変動が少なくかつフィルミングへの耐久性がさらにあがることから特に好ましい。
【0091】
本発明で使用される副製品は溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や、引き続いて行なわれる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品は、上記記載のように主に所定の粒径より小さいものであることから、例えば再び溶融、粉砕、分級等を行ない、粉砕工程後、流動性付与剤を外添するまでに戻してやる必要がある。その際、どのような方法を用いても可能であり、例えば原料と副製品を混合工程から同時に混ぜる方法から、混練前中後、粉砕前後で混ぜるなどあらゆる方法が可能である。
【0092】
通常、副製品を工程に戻すとき、混練工程の前であると副製品の結着樹脂が再度混練工程の高剪断力を受け、得られる現像剤が脆弱になり易く、保存性や耐久性に問題が生じたりしやすくなる。また混練工程の後であると製品の成分が個々に異なり、帯電のバラツキが多く地肌カブリなどの副作用が起きやすくなる。このため、好ましくは混練工程の途中で戻してやり、適度な混練を行なうことが好ましい。
【0093】
この際副製品の量は、原材料100重量部に対して1重量部〜100重量部が好ましい。これより多いと耐熱保存性が悪化したり、十分な帯電性が得られくなる。更に好ましくは原材料100重量部に対して1〜50重量部である。
このようにして得た母体トナーに流動性や保存性、現像性や転写性を得るため、先に挙げた無機微粒子を添加する。外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるが、ジャケット等装備して内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
【0094】
図1に記すような非磁性1成分の補給タイプの現像部に好ましく用いられる。図1は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、感光体1は導電性支持体上に感光層とフィラーを含有する最表層が設けられてなる。感光体はベルト状の形状を示しているが、ドラム状のものであっても良い。
【0095】
トナー補給容器および現像担持体、薄層規制部材を含む現像装置内のトナーの流れについて説明する。本発明の現像装置は図1に示すようにトナー補給容器と現像部とが分かれており、トナー補給容器内のトナーが無くなれば、トナー補給容器のみを交換する。トナー補給容器と現像部の結合部は仕切があってもなくてもよく、さらに現像部からトナー補給容器へのトナーの逆流を防止できるようにされても構わないが、現像部からトナー補給容器へのトナーの逆流を防止できるように、マイラー等で現像部側にしか開かないように設置し、トナーの逆流を防止する方法が好ましい。
【0096】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また以下の例おいて部および%は、特に断りのない限り重量基準である
(樹脂Aの合成例)
[合成例1]
攪拌装置、温度計、窒素導入口、流下式コンデンサー、冷却管付き4つ口セパラブルフラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン750g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン300g、テレフタル酸ジメチル466g、イソドデセニル無水コハク酸80g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチル114gをエステル化触媒とともに加えた。窒素雰囲気下で前半210℃で8時間反応し、後半210℃減圧にて撹拌しつつ5時間反応させた。これにより分子量500以下の含有量3.3%、分子量ピーク7500、Tg62℃、Mw/Mn比5.1、酸価2.3KOHmg/g、フローテスターによる見掛け粘度103Pa・s温度112℃、のポリエステル樹脂(以下A−1)を得た。
【0097】
[合成例2]
攪拌装置、温度計、窒素導入口、冷却管付きセパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)385.4g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86.0g、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のグリシジル化物(前記式(2)においてn+m:約2.1)191.0g、ビスフェノールF274.5g、p−クミルフェノール70.1g、キシレン200gを加えた。窒素雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.1839g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させた。これにより分子量500以下の含有量2.5%分子量ピーク8200、Tg58℃、酸価0.0KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103Pa・s温度109℃のポリオール樹脂を得た(A−2)。
【0098】
[合成例3]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン714g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン663g、イソフタル酸648g、イソオクテニルコハク酸150gをエステル化触媒とともにフラスコに加えた。これらを合成例1と同様の装置、同様の処方にて反応させ、分子量500以下の含有量4.7%、分子量ピーク8200、Tg67℃、Mw/Mn比8.2、酸価22.2KOHmg/g、フローテスターによる見掛け粘度103Pa・s温度126℃、のポリエステル樹脂(A−3)を得た。
【0099】
(樹脂Bの合成例)
[合成例4]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン750g(式(1)の物質)、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン175g、グリセリン160g、テレフタル酸ジメチル650gをエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク9800、Tg61度、酸価3.3KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度121℃のポリエステル樹脂(B−1)を得た。
【0100】
[合成例5]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1250g(式(1)の物質)、、テレフタル酸ジメチル650g、ドデセニルコハク酸80g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸120gをエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク9500、Tg64度、酸価9.1KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度128℃のポリエステル樹脂(B−2)を得た。
【0101】
[合成例6]
ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1270g、テレフタル酸ジメチル650g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸100gをエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク9300、Tg61度、酸価8.5KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度127℃のポリエステル樹脂(B−3)を得た。
【0102】
[合成例7]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン950g(式(1)の物質)、グリセリン160g、テレフタル酸ジメチル650g、をエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク8900、Tg62度、酸価5.5KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度121℃のポリエステル樹脂(B−4)を得た。
【0103】
[合成例8]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(式(1)の物質)1250g、テレフタル酸ジメチル650g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸40gをエステル化触媒とともにフラスコに入れ、これを合成例1と同様に反応させたが、合成例1よりも反応時間を短縮して、分子量ピーク7000、Tg61度、酸価5.5KOHmg/gフロテスターによる見かけ粘度103Pa.s温度123℃のポリエステル樹脂(B−5)を得た。
【0104】
(帯電制御剤の例)
[合成例9]
3,4−ジクロロフェニルマレイミド600部及びパーフルオロオクタンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでスチレン100部、アクリル酸n−ブチルを250部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が95℃、重量平均分子量Mwが10000となる帯電制御樹脂C−1を得た。
【0105】
[合成例10]
3,4−ジクロロフェニルマレイミド600部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸2−エチルヘキシルを250部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が82℃、Mw5000となる帯電制御樹脂C−2を得た。
【0106】
[合成例11]
m−ニトロフェニルマレイミド600部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチル100部、スチレンを200部加え、溶解した後、DMFを減圧乾燥機により瑠去し、体積抵抗11.6(LogΩ・cm)、重量平均分子量50000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が115℃の帯電制御樹脂C−3を得た。
【0107】
[合成例12]
3,4−ジクロロフェニルマレイミド600部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでスチレンを350部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が108℃、Mw70000となる帯電制御樹脂C−4を得た。
【0108】
[合成例13]
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部とアクリル酸2−エチルヘキシルを250部更にスチレンモノマーを700部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が95℃、MW13000の帯電制御樹脂C−5を得た。
他に帯電制御剤としてオリエント社製、ボントロンE−84(C−6とする)ボントロンE−81(C−7とする)を用いた。
【0109】
(微粒子製造例(トナー母体作成例))
製造例1
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
【0110】
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.1μm、4μm以下の個数%が9.8個数%のシアン着色粒子D−1を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−1とする)
【0111】
次にこのとき集めた微粒子R−1を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品R−1 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RD−1)
なお、粒度分布は、コールター社のコールターカウンターTAIIにて測定した。
【0112】
製造例2
製造例1のRD−1作成時の副製品を採取し(RR−1とする)
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品RR−1 20部
【0113】
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RRD−1)
【0114】
製造例3
製造例1の着色剤をC.I.PIGMENT YELLOW 180 12部に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−2(7.0μm 4μm以下8.5個数%)、同様に副生成物を用いた着色粒子RD−2(6.8μm 4μ以下9.8個数%)を得た。
【0115】
製造例4
製造例1の着色剤をC.I.PIGMENT Red57,1 に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−3(6.9μm 4μm以下8.3個数%)、同様に微粒子を用いた着色粒子RD−3(6.5μm 4μ以下7.8個数%)を得た。
【0116】
製造例5
製造例1の着色剤をカーボンブラック 6部に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−4(6.7μm 4μm以下9.3個数%)、同様に微粒子を用いた着色粒子RD−4(7.1μm 4μ以下9.8個数%)を得た。
【0117】
製造例6
製造例1の樹脂A−1をA−2に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−5およびRD−5を得た。
【0118】
製造例7
製造例1の帯電制御剤C−1をC−2に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−6およびRD−6を得た。
【0119】
製造例8
製造例1の帯電制御剤C−1をC−3に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−7およびRD−7を得た。
【0120】
製造例9
製造例1の帯電制御剤C−1をC−4に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−8およびRD−8を得た。
【0121】
製造例10
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−1に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−9およびRD−9を得た。
【0122】
製造例11
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−5に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−10およびRD−10を得た。
【0123】
製造例12
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−3に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−11およびRD−11を得た。
【0124】
製造例13
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−4に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−12およびRD−12を得た。
【0125】
製造例14
樹脂A−1 50部
樹脂B−2 50部
C.I.PIGMENT blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.0μm、4μm以下の個数%が8.3個数%のシアン着色粒子D−13を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−13とする)
【0126】
次にこのとき集めた副製品R−13を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 50部
樹脂B−2 50部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品R−13 20部
これをD−13と同様の方法で作成し着色粒子RD−13を得た。
【0127】
製造例15
樹脂A−1 100部
C.I.PIGMENT blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.1μm、4μm以下の個数%が9.8個数%のシアン着色粒子D−14を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−14とする)
【0128】
次にこのとき集めた副製品R−14を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 100部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品R−14 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、着色粒子を得た。(RD−14)
【0129】
製造例16
製造例1の樹脂A−1を帯電制御剤A−3に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−15およびRD−15を得た。
【0130】
製造例17
製造例1の帯電制御剤C−1を帯電制御剤C−6に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−16およびRD−16を得た。
【0131】
製造例18
RD−16作成時の副製品を採取しRR−16とする。
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−6 3部
副製品RR−16 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RRD−16)
【0132】
製造例19
製造例1の帯電制御剤C−1をC−5に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−17およびRD−17を得た。
【0133】
製造例20
製造例1の帯電制御剤C−1をC−7に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−18およびRD−18を得た。
【0134】
製造例21
製造例19と同様の処方を用いた。
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、再度ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.1μm、4μm以下の個数%が9.8個数%のシアン着色粒子D−19を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−19とする)
【0135】
次にこのとき集めた副製品R−19を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−7 3部
副製品R−19 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RD−19)
【0136】
この微粒子について1次評価として帯電性と粉砕性について確認した。
帯電性については簡易的に測定するためシリコーンコートしたキャリアとの2成分での帯電性を評価した。具体的には、シリコーンコートしたキャリアにトナー母体の濃度が5wt%になるように計量し、ボールミル攪拌機で250rpmで10分攪拌後、ブローオフにて帯電性を測定した(単位−μC/g)。
副製品を用いた微粒子と用いてない微粒子(例えばD−1とRD−1)との帯電性が非常に異なっている物は帯電制御剤の分散性が異なるため、再度の混練工程により分散性が変わり帯電性が変わってしまう物と判断した。
【0137】
粉砕性については微粒子作成時、のジェットミル粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)で一律の粉砕条件で微粒子を作成し、粉砕粒径(重量平均径)を測定した。D−1の粉砕粒径を基準(100)としその他の粉砕品粒径との比を粉砕性指数とした。値の小さい物ほど粉砕性が良好であり粉砕性指数が130以上のものは実用上、厳しい物と判断した。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
(トナー製造例)
(実施例1)
微粒子 D−1 100部
疎水性シリカ RX−200 1.0部
をヘンシェルミキサーにて混合し、さらに超音波振動篩を行い、トナー化した。
(実施例2〜21、比較例1〜5)
実施例2〜21、比較例1〜5は実施例1と同様の方法でトナーを作成した。使用した微粒子と添加剤の種類および量は下記表の通りである。また実施例1で使用していない添加剤は以下のものを用いた。
疎水性シリカ:RX−50
(日本アエロジル社製BET比表面積 50m2/g)
疎水性二酸化チタン:T805
(日本アエロジル社製BETT比表面積45m2/g)
【0141】
【表3】
【0142】
(トナー評価)
(トナー評価機)フルカラーレーザープリンタIpsio color 8000(リコー社製)を、トナー補給型の非磁性一成分現像方式で使用できるように改造し使用した。
画像評価については30℃90%RH環境の高温高湿下において5%の画像面積の画像チャートを10kラン後の評価と更にカートリッジ交換を行い0%画像面積で40kランを行った。(この間はユニット交換は無かった。)
計50kの実機ラン後、更にカートリッジ交換を行った。
【0143】
3−1.帯電量
1成分現像剤の場合:現像ローラ(スリーブ)上にトナーを搬送させ、吸引トリボ測定法にて測定した。なお単位は−μC/gである。
3−2.地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差をX−RITE938にてID測定した。これはIDが悪いほど、転写紙上の地肌汚れと相関がある。これを50k、さらに50kでのカートリッジ交換直後で確認した。
3−3.フィルミング観察
実機ラン終了後現像ローラ、層規制部材及び感光体上のトナーフィルミングの発生状況の有無を観察した。○はフィルミングがなく、△はスジ上のフィルミングが見られる。更に×では全体的に発生しており、転写紙上にてもスジが確認できる。
【0144】
【表4】
【0145】
【発明の効果】
本発明の電子写真用トナーは、粉砕、分級工程で発生する製品以外の微粒子や粗粒子を再利用しても、再利用しない場合のトナーと変わらず、トナーの帯電性が十分でかつ安定であり、耐久性に優れ、プロセス上トナーに厳しい非磁性一成分現像方式においても十分使用出来るトナーを提供できる。この様に長期の耐久性があるためトナー補給型の非磁性一成分現像方式が可能となり、ユーザーメンテが簡単でコストの安い現像ユニットを使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する現像装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 現像装置
6 現像スリーブ
7 層厚規制部材
8 トナー補給ローラ
9 現像剤補給補助部材
10 補給カートリッジ
11 仕切り板
【従来の技術】
近年、オフィスにおけるOA化、カラー化が一段と進み、従来の文字のみからなる原稿の複写だけではなく、パーソナルコンピュータで作成したグラフ等を含む原稿をプリンターにて出力し、プレゼンテーション用の資料等として多数枚複写する機会が増している。プリンター出力画像は、ベタ画像、ライン画像、ハーフトーン画像が多く、それにともない画像品質に求められる市場の要求が変化しつつあり、また、高信頼性等の要求も更に高まっている。
【0002】
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている潜像担持体(代表的には感光体)に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像する為の現像剤としては、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としないでトナーのみからなる一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。二成分現像方式は、トナー粒子がキャリア表面に付着することにより現像剤が劣化し、また、トナーのみが消費されるため現像剤中のトナー濃度が低下するので、キャリアとトナーとの混合比を一定割合に保持しなければならず、そのため現像装置が大型化するといった欠点がある。一方、一成分現像方式では、上記欠点が無く、装置が小型化等の利点を有しているため、現像方式の主流になりつつある。
【0003】
ところで、一成分系現像剤を用いた一成分現像方式は、磁性トナーを用いる磁性一成分現像方式と、非磁性トナーを用いる非磁性一成分現像方式とに分類される。
磁性一成分現像方式は、内部にマグネットなどの磁界発生手段を設けた現像スリーブを用いて、マグネタイトなどの磁性体を含有する磁性トナーを保持し、層厚規制部材により、薄層化し現像するもので、近年小型プリンターなどで多数実用化されている。
【0004】
これに対して、非磁性一成分現像方式は、トナーが磁気力を持たないため、現像スリーブにトナー補給ローラなどを圧接して現像スリーブ上にトナーを供給し、静電気的に保持させ、層厚規制部材により、薄層化して現像するものであり、有色の磁性体を含有しないためカラー化に対応できるという利点があり、また現像スリーブにマグネットを用いないため、装置のより軽量化、低コスト化が可能となり、近年小型フルカラープリンター等で実用化されている。
【0005】
しかしながら、一成分現像方式では、未だ改善すべき課題が多いのが現状である。二成分現像方式では、トナーの帯電、搬送手段としてキャリアを用い、トナーとキャリアは現像器内部において十分撹拌、混合された後現像スリーブに搬送され現像に供されるため、比較的長時間の使用においても安定した帯電、搬送を持続することが可能であり、また、高速の現像装置にも対応しやすい。
【0006】
これに比べ、一成分現像方式ではキャリアのような安定した帯電、搬送手段がないため、長時間使用や高速化による帯電、搬送不良が起こりやすい。即ち、一成分現像方式は現像スリーブ上へトナーを搬送した後、層厚規制部材にてトナーを薄層化させて現像するが、トナーと現像スリーブ、または層厚規制部材などの摩擦帯電部材との接触・摩擦帯電時間が非常に短いため、キャリアを用いた二成分現像方式より低帯電、逆帯電トナーが多くなりやすい。
【0007】
特に非磁性一成分現像方法においては、通常少なくとも1つのトナー搬送部材によってトナーを搬送し、かつ、搬送されたトナーによって潜像担持体に形成された静電荷像を現像する手段が採られているが、その際、トナー搬送部材表面のトナーの層厚は極力薄くしなければならないとされている。このトナー層が厚いとトナー層の表面近くだけが帯電し、トナー層全体が均一に帯電されにくくなるからである。このため、非磁性一成分トナーにはより迅速な帯電速度が与えられ、適度な帯電量を維持することが要求される。
【0008】
さらに、非磁性一成分現像方式では、トナーだけでなく供給部材や、層厚規制部材、現像スリーブ等の材料選択を十分考慮し、トナーに高い帯電を与えられるようにする必要がある。その際トナーを供給部材、層厚規制部材等へある程度強制的に擦りつけ(圧力)を行う。従って長期に渡って信頼性の高い画質を確保するためには、トナー主要成分の結着樹脂は機械的な衝撃力に耐えられなければならない。しかしそのような条件ではトナーが摩擦により発熱し、帯電部材へ融着するいわゆるフィルミングが発生し易くなってしまい、現像スリーブの寿命が短くなり、長期の使用においてトナーの帯電性が不安定になるという問題が生じてしまう。あるいはトナーは現像機内中で粉砕され、微粒子化しやすくなり、これらが画像濃度低下や搬送の阻害を発生させ白抜け画像を発生させたりしていた。
【0009】
このため、帯電量の安定化には従来より帯電制御剤を添加することが実施されている。帯電制御剤は、トナーの摩擦帯電量を制御し、その摩擦帯電量を維持する働きをする。負帯電性の代表的な帯電制御剤としては、モノアゾ染料、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸の金属塩・金属錯塩、ジアゾ化合物、ホウ素による錯化合物などが挙げられ、正帯電性の代表的な帯電制御剤としては、四級アンモニウム塩化合物、イミダゾール化合物、ニグロシン、アジン系染料などが挙げられる。しかし、これらの帯電制御剤は、有色のものが多く、これらは色相をかえてしまうため、フルカラートナー用帯電制御剤としては使用できない問題がある。
そのため色相に影響を与えない無色、白色あるいは淡色の帯電制御剤が提案されている。
【0010】
例えば、サリチル酸誘導体の金属錯塩化合物(特公昭55−42752号、特開昭61−69073号、特開昭61−221756号、特開平9−124659号)、芳香族ジカルボン酸金属塩化合物(特開昭57−111541号)、アントラニル酸誘導体の金属錯塩化合物(特開昭62−94856号)、有機ホウ素化合物(特公平7−31421、特公平7−104620)がある。しかしながら、これらの帯電制御剤は、今後重要視されると思われる環境安全性に対して懸念されるクロム化合物であったり、帯電付与効果の不足、環境安定性の不足、特に1成分現像の場合必要となる帯電立ち上り性の不足等の欠点があり、帯電制御剤として充分満足する性能を有するものはなかった。
【0011】
また、このような帯電制御剤は結着樹脂への相溶性が悪いため、帯電に大きく関与しているトナー表面に存在しているものが脱離しやすく、トナーの帯電のバラツキや現像ローラや感光体フィルミングなど汚染しやすい欠点がある。そのためトナーに負担のかかりやすい1成分現像方式においては、従来、初期においては良好な画像が得られるが、トナーの劣化が促進されることにより、徐々に画質が変化し、地汚れやボソツキが生じてくるという現象が生じ、特にカラー複写に応用し、トナーを補給しながら連続使用しようとすると、トナーの帯電量が低下してきて、初期の複写画像の色調とは顕著に異なった画像となり、長期間の使用に耐えられ無くなってしまう。このため1成分現像方式の多くは数千枚程度で使いきりにするプロセスカートリッジと呼ばれる作像ユニット方式を用い、全体を早期に交換しなくてはならない欠点を有していた。そのためコストがかかり、環境に対する負荷も大きく、ユーザーの手間もかかっていた。更にこれらの多くにはクロム等の重金属が含まれるため、近年安全性の面から問題となりつつある。
【0012】
また画像再現性の点から現像剤の粒子径も小さいものが求められる傾向にある。このため主に粉砕、分級工程で発生する製品以外の微粒子や粗粒子(以下副製品と呼ぶ)の量も多くなり、製造速度や歩留まりが落ちる傾向にある。これらの現像剤は高価な染顔料、帯電制御剤を用いることが多いことから、より低コスト化を狙うためにそれら副製品を、元の混練製造工程に戻して、再び製品粒径に調整する試みがなされている。
【0013】
しかし、上記帯電制御剤を使用したトナーは、結着樹脂との相溶性が悪く、分散されにくい上に、帯電性を高くしたいがために混練時に分散性をむしろ悪くし、粉砕時に表面に偏在させ、帯電性を維持する方法や、また使用量を多くし、帯電性を持たせるため、
1.再練りの際には、分散性が変わり、狙いの帯電が出ない。
2.相溶性が悪いCCAでは強い剪断力を欠けても十分に分散されず粉砕時の割れ界面に成りやすく副製品と製品に入る帯電制御剤の分量が均一にならない。
3.結着樹脂分子の切断が起こり易く、低分子量成分が発生する為、保存性の悪化や現像ローラへのフィルミング、がおこりやすくなり、また定着性(特に光沢性を有するようなトナー)を変えてしまう場合もあった。
【0014】
上記の理由の為、副製品の再利用が非常に困難であり、コスト低減を妨げていた。
そこで上記問題を改善するものとして、特開昭63−88564、63−184762号公報、特開平3−56974,6−230609号公報において、結着樹脂への相溶性、トナー定着像の透明性、安全性を改善した樹脂帯電制御剤が開示されている。これらの樹脂帯電制御剤は結着樹脂と相溶性が良いため、安定した帯電性、透明性に優れている。しかしこれらの樹脂帯電制御剤は、モノアゾ染料、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸の金属塩・金属錯塩を用いたトナーと比較すると、帯電量、帯電速度が劣るという欠点がある。また、樹脂帯電制御剤の添加量を増やすことで帯電性は向上するが、トナー定着性(低温定着性、耐オフセット性)に悪影響を与える。さらにこれらの化合物は帯電量の環境安定性(耐湿度)が大きい。そのため地汚れ(かぶり)を生じやすいという問題もある。
【0015】
そこで、また、特開平8−30017、9−171271、9−211896、11−218965号公報では、スルホン酸塩基等有機酸塩を含むモノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマーとの共重合体が提案されている。しかし、スルホン酸塩基等有機酸塩を含むモノマーに起因すると思われる吸湿性や粘着性により、十分な帯電量は確保されるが、結着樹脂への分散が十分でなく、長時間に亘りトナーの帯電のバラツキ抑制や、現像ローラや感光体フィルミングなどを防止する効果は十分でない。また、結着樹脂であるスチレン系樹脂やポリエステル系樹脂への相溶性を向上するため、それぞれスルホン酸塩基等有機酸塩を含むモノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマーと、結着樹脂がスチレン系樹脂の時はスチレン系モノマーに、結着樹脂がポリエステル系樹脂の時はポリエステル系モノマーとの共重合体も提案されているが、長期間にわたる帯電量の維持、現像ローラや感光体フィルミング防止効果は十分でない。特にフルカラートナー用結着樹脂としては、発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂に対しては不十分であった。
【0016】
一方、定着工程についてもトナー主要成分の結着樹脂の有する熱的特性は重要であることが知られている。
定着工程は従来より広く加熱ローラー等による圧着加熱方式が使用されている。この方式はトナーに対し加熱ローラー等の表面に転写体のトナー画像を加圧下で接触しながら、転写体を通過させ、トナー画像の定着を行うものである。この方法によれば、加熱ローラー等の表面と転写体上のトナー画像とが加圧下で接触するため、トナー画像を転写体上に融着する際の熱効率が良好であり、迅速に定着を行うことができ、プリンター等の高速化が可能となることから好まれている。さらにこの様な圧着加熱方式で高速定着を行う場合、トナーには良好な低温定着性(定着下限温度が低いこと)が要求され、またこのためにバインダー樹脂としては軟化点温度の低いものが使用される。
【0017】
しかしながら、この方法では加熱ローラー等とトナー表面が接触する際、溶融したトナーが加熱ローラー等へ付着し、後方から送られてくる紙等の転写体へ移る、いわゆるオフセット現象が生じやすい。このためオフセットを防ぐために離型性を有する材料で表面を形成した加熱ローラを使用したり、さらにその表面にシリコーンオイルのような液体の離型剤を塗布し、オフセット防止を行っている。しかしこれらは耐オフセットには有効であるものの、低温定着性や剥離性、保存安定性等には寄与しない。
【0018】
さらにフルカラープリントにおいては、減色混合法を採用し、複数回の現像、転写後、同一転写体へ少なくとも異なる3種のトナー像(マゼンタ、シアン、イエローの各種からなるトナー像、必要に応じて、さらにブラックのトナー像が加わる。)を重ね、次いで重ね合わされたトナー像を一回で定着させるものである。このため数種のトナー層でトナー像は厚くなり、トナー強度不足に起因して画像に亀裂が生じたり、光沢が損なわれたり、折り曲げた際に画像欠損を生じることがしばしば起こる。このため定着されるカラートナーは適度な光沢と強度が要求される。
【0019】
一般にトナーの定着特性を支配する要因はトナーの主成分である結着樹脂の物性であり、代表的なトナーの結着樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリオール系樹脂があげられるが、スチレン−アクリル系樹脂は一般に軟化点温度が高く、低光沢を有する出力画像を得るには適しているが低温定着性や画像強度の点でポリエステルやポリオール系樹脂に劣ることは一般に知られている。
【0020】
一方ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂は低温定着性に優れるという利点があるものの、オフセットを発生し易いという欠点がある。そこでこれらを改善すべくポリマーの重合度を上げたり、多価の単量体を導入し架橋を行ったり、ゲル成分を導入しトナー溶融時の表面凝集力を高め、オフセットを防ぐ手段がとられている。しかしこれらのことは低温定着性を悪くするだけでなく、トナー製造工程での粉砕性を悪くしてしまう。特に近年デジタル画像のハーフトーン階調性、粒状性を得る等の高画質化の要求からトナーの小粒径化は進んでおり、分子凝集力の高いこれらのポリエステル系樹脂やポリオール系樹脂はトナーを製造する粉砕工程等で粉砕性が劣り、かつ粉砕機内への固着や凝集が発生しやすくなる。
【0021】
さらに、望ましい粒径に粉砕されたトナーは粒径が小さいほどファンデルワールス力が大きくなるため、トナー同士が凝集し、分級工程においても分級効率が悪化する。このように、結果として生産効率が低下し、製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0022】
そこで、粉砕性を改善する手段の一つとして、バインダー樹脂の分子量を減少させることが考えられるが、これに伴って、ガラス転移点の低下が予測される。トナーにおいて、バインダー樹脂のガラス転移点が低下すると、粉体としての長期保存安定性、すなわち耐ブロッキング性に問題が生じる。また、熱ローラー定着時に、ローラー表面に融着したトナーが次の画像に移行してしまう、いわゆるオフセット性の悪化や、前述した定着画像のフィルム強度を低下させるという問題点がある。
【0023】
また、ポリオキシエチレン系ビスフェノールAやポリオキシプロピレン系ビスフェノールAをジオール成分とするポリエステル樹脂が、特開平2−269364号公報に記載されている。しかし、このような樹脂では、カラー画像を形成したときに、画像に亀裂が発生したり、また低温定着や保存安定性に問題を生じていた。
【0024】
これらの問題を解決するものとして、特性の異なる二種類のポリエステル樹脂を用いる方法がいくつか提案されている。たとえば、非線状ポリエステル樹脂と線状ポリエステル樹脂を混合させる方法(特開昭60−90344号公報)、Tg50℃以上、軟化点200℃以下の架橋ポリエステル樹脂と軟化点150℃以下MW3,000〜50,000の直鎖ポリエステル樹脂を混合させる方法(特開昭64−15755号公報)、MW5,000以上、分散比20以上の非線状高分子ポリエステル樹脂とMW1,000〜5,000、分散比4以下の非線状ポリエステル樹脂を含有させる方法(特開平2−82267号公報)、酸価5〜60の線状ポリエステル樹脂と酸価5未満の非線状ポリエステル樹脂からなる有機金属化合物を含有させる方法(特開平3−229264号公報)、飽和ポリエステル樹脂で酸価の比が1.5以上の異なるポリエステル樹脂を混合する方法(特開平3−41470号公報)等である。しかしながら、これらは定着特性を満足できても一成分現像方式での耐衝撃力を満足できるものではなかった。
【0025】
【特許文献1】
特公昭55−42752号公報
【特許文献2】
特開昭61−69073号公報
【特許文献3】
特開昭61−221756号公報
【特許文献4】
特開平9−124659号公報
【特許文献5】
特開昭57−111541号公報
【特許文献6】
特開昭62−94856号公報
【特許文献7】
特公平7−31421号公報
【特許文献8】
特公平7−104620号公報
【特許文献9】
特開平8−30017号公報
【特許文献10】
特開平9−171271号公報
【特許文献11】
特開平9−211896号公報
【特許文献12】
特開平11−218965号公報
【特許文献13】
特開平2−269364号公報
【特許文献14】
特開昭64−15755号公報
【特許文献15】
特開平2−82267号公報
【特許文献16】
特開平3−229264号公報
【特許文献17】
特開平3−41470号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした実情の下に、非磁性1成分現像方式において使用する電子写真用トナーに要求される諸条件を満足する、すなわち、高い帯電性を有しかつ維持することが出来、定着特性を満足し、粉砕、分級工程で発生する微粒子や粗粒子(副製品)を再び元の混練工程に戻して再練りしても不具合を生じることなく、トナー補給型の一成分現像方式も満足し、分散性に優れ、また、フィルミングなどの汚染もなく、更に環境に対して悪影響を及ぼすこともない(メタルフリー)電子写真用トナーを提供することを目的とするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の共重合体系の負帯電制御剤を使用することが有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
【0028】
(1) 潜像保持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を現像剤担持体上の現像剤を用いて現像する現像工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写する転写工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有し、かつ該現像工程は層厚を均一に規制する現像ブレードを備えた現像ローラを回転させながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって前記静電潜像を可視化する非磁性一成分現像方法に用いる、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有する電子写真用トナーであって、該負帯電制御剤が、スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であり、また、該電子写真用トナーは少なくとも機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)も含有し、更に外添剤を含むことを特徴とする電子写真用トナー。
【0029】
(2) 前記スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が前記樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真用トナー。
【0030】
(3) 前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の電子写真用トナー。
(4) 前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(5) 前記樹脂負帯電制御剤の重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(6) 前記樹脂負帯電制御剤を、トナー粒子に対して0.1〜20重量%含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
【0031】
(7) 前記結着樹脂の酸価が20KOHmg/g以下であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(8) 前記結着樹脂が少なくとも2種類の結着樹脂からなることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(9) 前記結着樹脂は下記(A)、(B)に示される2種類の樹脂からなることを特徴とする前記(8)記載の電子写真用トナー。
(A)THF不溶成分を含まず、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、かつ分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有するポリエステル及び/またはポリオール樹脂
(B)THF不溶成分を含まない、少なくとも多価カルボン酸とジオール成分からなるポリエステル樹脂であり、かつ該ジオール成分が少なくとも下記式(1)で示されるジオール成分からなるポリエステル樹脂
【0032】
【化3】
【0033】
(10) 結着樹脂(B)のジオール成分がプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体からなることを特徴とする前記(9)記載の電子写真用トナー。
(11) 結着樹脂(A)、(B)における分子量ピークが(A)<(B)であることを特徴とする前記(9)または(10)に記載の電子写真用トナー。
(12) 結着樹脂における(A)、(B)の重量比率が60:40〜85:15であることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(13) 少なくとも2種以上の添加剤を更に含むことを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(14) 前記添加剤のうち少なくとも1種が疎水化処理したシリカからなることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
(15) 前記添加剤が少なくとも疎水化処理したシリカと疎水化処理した酸化チタンからなることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
【0034】
(16) 潜像保持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を現像剤担持体上の現像剤を用いて現像する現像工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写する転写工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であって、該現像工程は現像剤の層厚を均一に規制する現像ブレードを備えた現像ローラを回転させながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって前記静電潜像を可視化する非磁性一成分現像方法を用い、かつ電子写真用トナーとして、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有し、該負帯電制御剤が、スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であり、かつ該トナーは少なくとも機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)も含有し、更に外添剤を有する電子写真用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0035】
(17) 電子写真用トナーにおける前記樹脂帯電制御剤は、前記ビニル重合性スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が前記樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする前記(16)に記載の画像形成方法。
【0036】
(18) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(16)または(17)に記載の画像形成方法。
(19) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(20) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤の重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする前記(16)〜(19)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(21) 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤を、トナー粒子に対して0.1〜20重量%含有することを特徴とする前記(16)〜(20)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【0037】
(22) 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂の酸価が20KOHmg/g以下であることを特徴とする前記(16)〜(21)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(23) 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂が少なくとも2種類の結着樹脂からなることを特徴とする前記(16)〜(22)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(24) 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂は下記(A)、(B)に示される2種類の樹脂からなることを特徴とする前記(23)記載の電子写真用トナーを用いる画像形成方法。
(A)THF不溶成分を含まず、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、かつ分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有するポリエステル及び/またはポリオール樹脂
(B)THF不溶成分を含まない、少なくとも多価カルボン酸とジオール成分からなるポリエステル樹脂であり、かつ該ジオール成分が少なくとも下記式(1)で示されるジオール成分からなるポリエステル樹脂
【0038】
【化4】
【0039】
(25) 結着樹脂(B)のジオール成分がプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体からなることを特徴とする前記(24)記載の画像形成方法。
(26) 電子写真用トナーにおける結着樹脂(A)、(B)における分子量ピークが(A)<(B)であることを特徴とする前記(24)または(25)に記載の画像形成方法
(27) 電子写真用トナーにおける結着樹脂における(A)、(B)の重量比率が60:40〜85:15であることを特徴とする前記(24)〜(26)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(28) 電子写真用トナーが更に少なくとも2種以上の添加剤を含むことを特徴とする前記(16)〜(27)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
(29) 電子写真用トナーにおける前記添加剤のうち少なくとも1種が疎水化処理したシリカである特徴とする前記(16)〜(28)のいずれか一項に記載の電子写真用トナーを用いる画像形成方法。
(30) 電子写真用トナーにおける前記添加剤が少なくとも疎水化処理したシリカと疎水化処理した酸化チタンからなることを特徴とする前記(16)〜(29)のいずれか一項に記載の画像形成方法。
に関する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳述する。
本発明の樹脂帯電制御剤を構成するスルホン酸基含有モノマーとしては、芳香族スルホン酸基含有モノマー及び脂肪族スルホン酸基含有モノマー等が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩基含有モノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸等またはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。芳香族スルホン酸塩基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、スルホフェニルアクリルアミド、スルホフェニルマレイミド、及びスルホフェニルイタコンイミド等またはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。重金属(ニッケル、銅、亜鉛、水銀、クロムなど)の塩は安全性の面から好ましくない。
【0041】
塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーとしては、クロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、ニトロクロロフェニルマレイミド等のフェニルマレイミド置換体、クロロフェニルイタコンイミド、ジクロロフェニルイタコンイミド、ニトロフェニルイタコンイミド、ニトロクロロフェニルイタコンイミド等のフェニルイタコンイミド置換体が挙げられ、帯電性や耐フィルミング性の面で好ましい。
【0042】
アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂帯電制御剤は、上記構成モノマーを含む樹脂状物であり、その重合形態は、線状重合体であっても、グラフトあるいはブロック重合体であってもかまわない。
本発明の樹脂帯電制御剤を構成するモノマーとして、スルホン酸基含有モノマーを添加することにより、樹脂帯電制御剤の負帯電付与効果が向上するが、吸湿性のためトナーの環境安定性(温湿度安定性)が低下するので、電子吸引基を有する芳香族モノマー等で共重合体として用いることは一般に知られているが、数千枚程度の使用であればよいが、数万枚以上の長期間使用するには、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染や感光体フィルミングが発生し、トナーの帯電安定性や高画像品質の維持が十分でなく、生産性も低下するという問題がある。かかる欠点を補うべく、フルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂に対して、スルホン酸基含有モノマーと塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー及びアクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーの3種のモノマーを含有する共重合体を樹脂帯電制御剤として用いることにより、長期に亘り帯電、環境安定性に優れ、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染がなく薄層形成の良く、感光体フィルミングを防止し、高画像品質が維持され、生産性の高い電子写真用トナーが得られるのである。
【0044】
これらの効果は以下に述べる理由からであるものと推定される。すなわち、スルホン酸基含有モノマーと塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーを併用により、負帯電付与効果が高められ、アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーを使用することにより、更に帯電の環境安定性を高めるとともに樹脂硬度が高くなり、粉砕性が良くなるとともに、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染がなく、感光体フィルミングを防止効果が向上し、更にフルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂と組み合わせることにより、十分な分散性が得られ、帯電性に厳しい非磁性一成分現像方式においても帯電分布がシャープな電子写真用トナーが得られる。
【0045】
本発明の樹脂帯電制御剤におけるモノマーの構成比は、スルホン酸基含有モノマーが1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。スルホン酸基含有モノマーが1重量%未満であると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。また30重量%を越えると帯電の環境安定性が悪化し、高温高湿時帯電量が低く、低温低湿時帯電量が高くなり、トナーの帯電安定性や高画像品質の維持が十分でない。さらに現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染が発生しやすくなるという問題がある。塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーが1〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%ある。塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーが1重量%未満であると、帯電量が十分でなく、地汚れやトナー飛散が発生しやすい。また80重量%を越えるとトナー中への分散が悪くなり、トナーの帯電分布が広くなり、地汚れやトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性とうが異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。
【0046】
アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーが10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。アクリル酸エステル及びまたはメタアクリル酸エステルモノマーが10重量%未満であると、十分な帯電の環境安定性が得られず、また、混練・粉砕工法でのトナー製造時の粉砕性が十分でなく、現像ローラや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染を引き起こす。80重量%を越えると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。芳香族ビニルモノマーが0〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。芳香族ビニルモノマーが30重量%を越えると、樹脂が固くなり、トナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品(再練りを行っていない製品)と帯電性、分散性等が異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。さらに、トナーの定着性、特にカラートナーの混色時の発色性が不良となる。
【0047】
これらの組合せの樹脂帯電制御剤は、更にフルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂と組み合わせることにより、さらに十分な分散性が得られ、帯電分布がシャープな電子写真用トナーが得られ、長期の帯電安定性及び高画像品質が得られる。
【0048】
本発明の樹脂帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることが好ましい。85℃未満であると、トナー中での十分な分散性が得られず、帯電が低下するだけでなく、貯蔵安定性も不良となり固化(凝集)しやすい。混練、粉砕・分級する生産工程から得る方法において、粉砕工程での固着が発生しやすく、生産性を劣化させる。また、110℃を越えるとトナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性とうが異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。さらに、トナーの定着性、特にカラートナーの混色時の発色性が不良となる。見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度は、フローテスターを用いて荷重10kg/cm2、オリフィス1mm×1mm、昇温速度5℃/分で粘度測定し、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度を読み取った値である。フローテスターとしては島津製作所CFT−500型を用いることができる。
【0049】
また、本発明の樹脂帯電制御剤の数平均分子量は、5000〜100000であることが好ましい。5000未満であると、トナー中での適度な分散性が得られず、帯電が低下するだけでなく、混練、粉砕・分級する生産工程から得る方法において、粉砕工程での固着が発生しやすく、生産性を劣化させる。また、100000を越えるとトナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすくなると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性等が異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。さらにトナーの定着性、発色性が不良となる。
【0050】
本発明の樹脂帯電制御剤の添加量は、トナー粒子に対して、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。0.1重量%未満の場合は、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。20重量%を越える場合は、分散が悪くなり、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやす区なると共に、副製品と製品に入る樹脂帯電制御剤の分量が異なりやすく、再利用すると、基の製品と帯電性、分散性等が異なってしまい、帯電の分布がさらに悪くなってしまいさらに地汚れやトナー飛散等への悪影響を与えてしまう。
【0051】
結着樹脂としては、フルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂が用いられる。カラー画像は、数種のトナー層が幾重にも重ねられるため、トナー層が厚くなってしまい、トナー層の強度不足による画像の亀裂や欠陥が生じたり、適度な光沢が失われたりする。このことから適度な光沢や優れた強度を保持させるためポリエステル樹脂やポリオール樹脂が用いられる。
【0052】
ポリエステル樹脂は、一般に多価アルコールと多価カルボン酸とのエステル化反応により得ることができる。本発明におけるポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうち、アルコールモノマーとしては、ジオールモノマーとしては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコールトリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタジエンオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物、その他の二価のアルコールがあげられ、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ノボラック型のフェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル、その他の3価以上の多価アルコールがあげることができる。3価以上のアルコールモノマーは主に架橋成分として用いられる。
【0053】
これらのモノマーのうち特に、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を主成分モノマーとして用いたものが好適に用いられる。ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を構成モノマーとして用いた場合、ビスフェノールA骨格の性質上、比較的高めのガラス転移点のポリエステルが得られ、耐コピーブロッキング性、耐熱保存性が良好となる。また、ビスフェノールA骨格両側のアルキル基の存在が、ポリマー中でソフトセグメントとして働き、トナー定着時の発色性、画像強度が良好となる。特にビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のうち、エチレン基、プロピレン基のものが好適に用いられる。
【0054】
本発明におけるポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうち酸モノマーとしては、たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、またはn−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルケニルコハク酸類もしくはアルキルコハク酸類、これらの酸の無水物、アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸が、そして、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、アルキルエステル、アルケニルエステル、アリールエステル、その他の3価以上のカルボン酸を挙げることができる。
【0055】
ここで述べているアルキル基、アルケニル基またはアリールエステルの具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリメチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリエチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸イソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリベンジル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリス(4−イソプロピルベンジル)等が挙げられる。
【0056】
ポリエステル樹脂の帯電性と酸価との関係はほぼ比例関係にあり、酸価が高くなれば、樹脂の負帯電性も大きくなることが知られており、同時に帯電の環境安定性にも影響する。すなわち酸価が高いと、低温低湿下では帯電量が高くなり、高温高湿下では帯電量が低くなり、地汚れや画像濃度、色再現性の変化が大きくなり、高画像品質の維持が難しい。従って、ポリエステル樹脂の酸価は20KOHmg/g以下が好ましくさらに、5KOHmg/g以下が好適である。
【0057】
本発明で用いられるポリオール樹脂としては、帯電の環境安定性、定着安定性、カラー再現性、光沢安定性、定着後のカール防止性などの面から、エポキシ樹脂の末端をキャッピングし、かつ主鎖にポリオキシアルキレン部をもつものが好適である。例えば、両末端グリシジル基のエポキシ樹脂と両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物を、ジハライドやイソシアネート、ジアミン、ジオール、多価フェノール、ジカルボン酸と反応させることにより得ることができる。このうち2価のフェノールを反応させることが、反応安定性の点でもっとも好ましい。また、ゲル化しない範囲で、多価フェノール類や多価カルボン酸類を2価フェノールと併用することも好ましい。
【0058】
本発明で用いられる両末端グリシジル基の2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては以下のものが例示される。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及び、これらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物を、エピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に、下記一般式(2)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテルが好ましい。
【0059】
【化5】
(ここでRは、−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−又は−CH2−CH2−CH2−であり、また、n、mは繰り返し単位数であり、各々1以上であってn+m=2〜6である。)
【0060】
この電子写真トナーに使用される結着樹脂は2種類の樹脂を使用したほうが望ましい。2種類の結着樹脂と樹脂帯電制御剤が入ることにより、樹脂界面に樹脂帯電制御剤が分散され易くなり、分散が良くなる効果があるからである。
この2種類の結着樹脂を(A)、(B)としたとき、結着樹脂(A)は上記記述のポリエステル樹脂、ポリオール樹脂であり、THF不溶分がなく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有することをが好ましい。THF不溶分が入ると光沢性が下がるとともに透明性が落ち、OHPシートを使用したときに高品質な画像を得ることができない。また分子量500以下の成分が1〜4重量%にすることで樹脂として脆い成分を低減でき、融着するいわゆるフィルミング成分や現像機内中での微粒子化を抑制することができる。特に副製品を利用する場合、副製品中に含有される結着樹脂には数回に渡る剪断がかかるため、特に脆弱である低分子量成分の量は重要となる。本発明者らは分子量500以下のもの成分をカットすることで数回の剪断にも耐え、分子量の変化が認められないことを発見した。これにより非磁性一成分現像方式においても長期間の使用に耐えることができ、トナー補給方式に於いても使用できるのである。
【0061】
結着樹脂(B)はジオールと多価カルボン酸及び/又は多価アルコールとのエステル化反応により得ることができるポリエステル樹脂からなる。一般に、本発明におけるポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうちアルコールモノマーとしては、上記結着樹脂(A)で示したものがあるが、その中のモノマーのジオール成分として、式(1)で表されるジオール成分が好ましい。
【0062】
【化6】
【0063】
ジオール成分としては式(1)のほかにこれに上記記載のその他のジオール成分を含んでも良いが、単独が望ましい。式(1)で示されるジオール成分は結着樹脂(A)で説明の通りビスフェノールA骨格の性質上、比較的高めのガラス転移点のポリエステルが得られ、耐コピーブロッキング性、耐熱保存性が良好となる。また、ビスフェノールA骨格両側のアルキル基の存在が、ポリマー中でソフトセグメントとして働き、トナー定着時の発色性、画像強度が良好となる。特にビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のうち、エチレン基、プロピレン基のものが好適に用いらているが、検討した結果、プロピレン基を持つものが、エチレン基に比べ耐フィルミング性を落とさずに粉砕性に富むことが新たに判明した。詳細についてはわからないがこれは側鎖となるメチレン基に寄るものと考えられ、これが脆性を有しているものと考えられる。
【0064】
また、架橋成分として上記結着樹脂(A)で示される様な3価以上のアルコールをジオール成分と共に使用しても良い。中でもノボラック型フェノール樹脂はトナーの耐オフセット性及び低温定着性が向上することから特に好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(B1)は、ノボラック型フェノール樹脂(a)と分子中1個のエポキシ環を有する化合物(b)との反応物である。
【0065】
ノボラック型フェノール樹脂(a)としては、例えばエンサイクロベディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリッシャーズ)第10巻1頁のフエノリック・レジンズの項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸又は酢酸亜鉛などの金属塩を触媒として、フェノール類とアルデヒド類との重縮合により製造されるものが挙げられる。
【0066】
フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を1個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メタ体もしくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノ−ル、ジクロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は2種以上併用してよい。これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノールおよびノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される炭化水素基で置換された置換フェノールはトナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。
【0067】
ノボラック型フェノール樹脂(a)の数平均分子量は通常300〜8000、好ましくは450〜3000、更に好ましくは400〜2000である。アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0068】
結着樹脂(B)のポリエステル樹脂を構成しているモノマーのうち酸モノマーとしては、結着樹脂(A)と同様なものがあげらる。
この結着樹脂(B)のポリエステル樹脂の帯電性と酸価との関係は、前記の結着樹脂(A)のポリエステル樹脂と同様であり、従って、ポリエステル樹脂の酸価は20KOHmg/g以下が好ましくさらに、5KOHmg/g以下が好適である。
【0069】
本発明の分子量分布は、GPCにより以下のように測定される。40℃のヒートチャンバー内でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mLの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整したトナー母体のTHF試料溶液を200μL注入して測定する。THF試料溶液は注入前に0.45μmの液クロ用フィルターで、THF不溶成分を除去する。トナーの試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0070】
なおバインダー樹脂のTHF不溶分有無は、分子量分布測定のTHF試料溶液作成時に判断される。すなわち、0.45μmのフィルターユニットをシリンジの先に取り付けて液をシリンジ内から押し出す際に、フィルター詰まりのがなければTHF不溶分はないと判断される。
【0071】
結着樹脂に含まれる樹脂(A)の割合は60〜85重量%の範囲が好ましく、より好ましくは70〜80重量%である。樹脂(A)の割合が60重量%を下回ると、耐フィルミング性が悪くなる。かつ樹脂(A)が85重量%より以上となると、単独樹脂の効果が強まり粉砕性が悪くなってしまう。
【0072】
また樹脂(A)と樹脂(B)の分子量ピークが(A)<(B)が好ましい。これは粉砕性に優れる樹脂(B)は耐フィルミング性に劣る反面があるため、分子量が高いほど好ましく、耐フィルミング性に優位である樹脂(A)の分子量は比較的低分子量に設定できるからである。
【0073】
またこの2種類の樹脂(A)(B)は樹脂間の相溶性とその他の成分(着色剤、帯電制御剤など)との相溶性から樹脂の構成成分が全く同一のものでないことが好ましい。樹脂の相溶性等を表す指標としてよくSP値等が使用されるが、SP値の差が適度にあることが好ましい。
SP値があまりにも異なると、樹脂同士の相溶性が悪くなることから、成分の偏りが多くなるため副製品の利用が出来なく成りやすく、また粉砕性に寄与する樹脂(B)が表面部分に出やすく、耐フィルミング性が劣ってしまう。逆にSP値があまりにも近くなると樹脂同士の相溶性はいいが、樹脂帯電制御剤との相溶性が悪くなるため、副製品の利用が出来なくなり易く、さらに着色剤等の分散不良による画像濃度の低下や、OHPでの透光性の低下、帯電制御剤の分散不良によるフィルミングや、経時での帯電低下等が発生してしまい易くなることからSP値の差が適度にあるのがよく、およそ0.2から1.0の範囲であることが好ましい。
【0074】
本発明でいう溶解度パラメーターSP値(δ)は、以下の求め方により求められるが、これらに限定されない。SP値は、凝集エネルギー密度の関数として次の式で定義されている。
δ=(ΔE/V)1/2
△E:分子間凝集エネルギー(蒸発熱)
V:混合液の全体質
△E/V:凝集エネルギー密度
【0075】
また、SP値を用いて、混合による熱量変化△Hmは次の式で示される。
ΔHm=V(δ1−δ2)・Φ1/Φ2
δ1:溶媒のSP値
δ2:溶質のSP値
Φ1:溶媒の体積分率
Φ2:溶質の体積分率
この式より、δ1、δ2の値が近い程、△Hmは小さくなり、Gibbsの自由エネルギーが小さくなるので、SP値の差が小さいもの同士は親和性が高くなるものと考えられる。実際にSP値を求める方法としては、SP値が既知の各種溶剤との樹脂の溶解性を比較することで、最もよく相溶する溶剤のSP値から未知の樹脂のSP値を設定した。
【0076】
また、その他SP値の求め方としては、樹脂のモノマー組成が判明している場合には以下のFedorらの方法(Polym.Eng.Sci.,14[2](1974)記載の方法)を用いて計算できる。
SP値=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
Δei:原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:原子または原子団のモル体積
本発明では、主にモノマー組成から計算により求めた値を用いた。
【0077】
本発明に用いられる着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用できる。例えば、ブラックトナーに用いる黒色系着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒等が使用でき、イエロートナーに用いる黄色系着色材としては、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー等が使用でき、マゼンタトナーに用いる赤色系着色剤としては、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が使用でき、シアントナーに用いる青色系着色剤としてはコバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が使用でき、その他の着色剤としては酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0078】
特に着色剤については前記バインダー樹脂であらかじめ処理することにより、顔料のバインダー樹脂への分散性を高め、前記含有量で十分な着色力を得、トナーの透明性、発色性を高め、帯電制御をしやすくできる。
樹脂による前処理はバインダー樹脂と着色剤を一定の割合で溶融混練し、粗粉砕したものである。混合比は一般に着色剤1重量部に対し樹脂1〜5重量部が望ましい。樹脂1重量部に対し、着色剤が1重量部未満では着色剤を十分分散させることができない。また着色剤1重量部にたいし樹脂5重量部より多くなると着色剤に分散力が働かず十分な分散ができない。2種以上の着色剤を用いる場合は個々で処理を行っても、またあらかじめ顔料を混合してから処理しても良い。
【0079】
製造されるトナーに離型性を持たせる為に、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。前記ワックスは、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。ワックスの融点が過大のときには低温での定着性が不足する場合があり、一方融点が過小のときには耐オフセット性、耐久性が低下する場合がある。なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
【0080】
本発明に用いることができるワックスとしては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。また低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
【0081】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0082】
そして、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子と各種金属酸化物等の無機粉末等を混合して使用する方法が提案されており、添加剤と呼ばれている。また必要に応じて該無機粉末表面の疎水性、帯電特性等を改質する目的で特定のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、有機酸等で処理する方法、特定の樹脂を被覆する方法なども提案されている。前記無機粉末としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化錫等が知られている。
【0083】
特にシリカや酸化チタン微粒子とジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等の有機珪素化合物とを反応させシリカ微粒子表面のシラノール基を有機基で置換し疎水化したシリカ微粒子が用いられている。
これらの中で2種以上の外部添加剤を含有することが好ましい。
【0084】
さらに好ましくはこれらの中で2種以上のBET比表面積の異なる外部添加剤を含有することが好ましい。2種以上のBET比表面積の異なる外部添加剤を含有しない場合は、経時での外部添加剤のトナー母体への埋没が急激に進み、トナー流動性の悪化が急激に進んでしまう。トナーの流動性が低下することによる画像むらが発生しやすく、また、トナーへの付着力が強くなり難く、トナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。2種以上のBET比表面積の異なる外部添加剤を含有すれば、一方の添加剤がスペーサーの役割を果たし、トナー流動性に効果がある小粒径外部添加剤のトナー母体への埋没が防止され、トナー流動性を維持できる。また、原因は不明ではあるが、経時での現像担持体の薄層が均一となる。
【0085】
例えば、大きな外部添加剤とは、BET比表面積が30〜80m2/gの範囲にあるものが好ましく、BET比表面積がこの範囲にあれば、種々の表面処理されたものが使用可能であり、特に、40〜60m2/gのものがより好ましい。30m2/g未満の場合はトナーの流動性が急激に低下することによる画像むらが発生しやすく、また、トナーへの付着力が強くなり難く、トナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。これら大きな粒径の外部添加剤は、トナー100重量部に対して0.1〜5.0重量部の範囲で添加するのが好ましく、0.8〜2.0重量部の範囲で添加するのがより好ましい。0.1重量部未満の場合は転写不良が発生し、5.0重量部を超える場合ではトナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。
【0086】
小さな外部添加剤は、BET比表面積が100〜250m2/gの範囲にあるものが好ましく、BET比表面積がこの範囲にあれば、種々の表面処理されたものが使用可能であり、特に、120〜200m2/gのものがより好ましい。特に、トナーの付着力を低減するため効果がある。これらの外部添加剤は、トナー100重量部に対して0.3〜3重量部の範囲で添加するのが好ましく、0.5〜1.5重量部の範囲で添加するのがより好ましい。0.3重量部未満の場合は、その効果が十分に発揮されにくく、3重量部を超えると、トナーから脱離する外部添加剤が多くなり、感光体傷等を引き起こすし易くなる。
【0087】
また2種類の外部添加剤の基材は異なる物質のものが好ましい。電性および流動性に効果があるとされている、と酸化チタン、アルミナ等を併用するのが好ましい。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0088】
(一成分非磁性トナーの製造方法)
本発明の製造方法は、機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する。このトナーの製造方法において少なくとも、a.結着剤樹脂、b.樹脂帯電制御剤、c.着色剤、d.粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)を含有し母体トナーとし、流動性付与剤を外添することでトナーを作成するものである。
少なくとも結着樹脂、帯電制御剤および着色剤を含む現像剤成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行なえばよく、特に制限はない。
【0089】
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖を必要以上に切断をしないような適正な条件で行なうことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、結着剤樹脂、帯電制御樹脂の軟化点を参考に行なうべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
【0090】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際、ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
この粉砕工程が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中で分級し、所定の粒径、例えば平均粒径が4〜12μmの母体トナーを製造する。この際、体積平均粒径が5〜9μmであり、更に4μm以下の粒径を有するトナー粒子が10個数%以下存在するような小粒径で粒度分布をシャープにすると、環境変動が少なくかつフィルミングへの耐久性がさらにあがることから特に好ましい。
【0091】
本発明で使用される副製品は溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や、引き続いて行なわれる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品は、上記記載のように主に所定の粒径より小さいものであることから、例えば再び溶融、粉砕、分級等を行ない、粉砕工程後、流動性付与剤を外添するまでに戻してやる必要がある。その際、どのような方法を用いても可能であり、例えば原料と副製品を混合工程から同時に混ぜる方法から、混練前中後、粉砕前後で混ぜるなどあらゆる方法が可能である。
【0092】
通常、副製品を工程に戻すとき、混練工程の前であると副製品の結着樹脂が再度混練工程の高剪断力を受け、得られる現像剤が脆弱になり易く、保存性や耐久性に問題が生じたりしやすくなる。また混練工程の後であると製品の成分が個々に異なり、帯電のバラツキが多く地肌カブリなどの副作用が起きやすくなる。このため、好ましくは混練工程の途中で戻してやり、適度な混練を行なうことが好ましい。
【0093】
この際副製品の量は、原材料100重量部に対して1重量部〜100重量部が好ましい。これより多いと耐熱保存性が悪化したり、十分な帯電性が得られくなる。更に好ましくは原材料100重量部に対して1〜50重量部である。
このようにして得た母体トナーに流動性や保存性、現像性や転写性を得るため、先に挙げた無機微粒子を添加する。外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるが、ジャケット等装備して内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
【0094】
図1に記すような非磁性1成分の補給タイプの現像部に好ましく用いられる。図1は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、感光体1は導電性支持体上に感光層とフィラーを含有する最表層が設けられてなる。感光体はベルト状の形状を示しているが、ドラム状のものであっても良い。
【0095】
トナー補給容器および現像担持体、薄層規制部材を含む現像装置内のトナーの流れについて説明する。本発明の現像装置は図1に示すようにトナー補給容器と現像部とが分かれており、トナー補給容器内のトナーが無くなれば、トナー補給容器のみを交換する。トナー補給容器と現像部の結合部は仕切があってもなくてもよく、さらに現像部からトナー補給容器へのトナーの逆流を防止できるようにされても構わないが、現像部からトナー補給容器へのトナーの逆流を防止できるように、マイラー等で現像部側にしか開かないように設置し、トナーの逆流を防止する方法が好ましい。
【0096】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また以下の例おいて部および%は、特に断りのない限り重量基準である
(樹脂Aの合成例)
[合成例1]
攪拌装置、温度計、窒素導入口、流下式コンデンサー、冷却管付き4つ口セパラブルフラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン750g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン300g、テレフタル酸ジメチル466g、イソドデセニル無水コハク酸80g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチル114gをエステル化触媒とともに加えた。窒素雰囲気下で前半210℃で8時間反応し、後半210℃減圧にて撹拌しつつ5時間反応させた。これにより分子量500以下の含有量3.3%、分子量ピーク7500、Tg62℃、Mw/Mn比5.1、酸価2.3KOHmg/g、フローテスターによる見掛け粘度103Pa・s温度112℃、のポリエステル樹脂(以下A−1)を得た。
【0097】
[合成例2]
攪拌装置、温度計、窒素導入口、冷却管付きセパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)385.4g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86.0g、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のグリシジル化物(前記式(2)においてn+m:約2.1)191.0g、ビスフェノールF274.5g、p−クミルフェノール70.1g、キシレン200gを加えた。窒素雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.1839g加え、更に160℃まで昇温し減圧下でキシレンを留去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させた。これにより分子量500以下の含有量2.5%分子量ピーク8200、Tg58℃、酸価0.0KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103Pa・s温度109℃のポリオール樹脂を得た(A−2)。
【0098】
[合成例3]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン714g、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン663g、イソフタル酸648g、イソオクテニルコハク酸150gをエステル化触媒とともにフラスコに加えた。これらを合成例1と同様の装置、同様の処方にて反応させ、分子量500以下の含有量4.7%、分子量ピーク8200、Tg67℃、Mw/Mn比8.2、酸価22.2KOHmg/g、フローテスターによる見掛け粘度103Pa・s温度126℃、のポリエステル樹脂(A−3)を得た。
【0099】
(樹脂Bの合成例)
[合成例4]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン750g(式(1)の物質)、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン175g、グリセリン160g、テレフタル酸ジメチル650gをエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク9800、Tg61度、酸価3.3KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度121℃のポリエステル樹脂(B−1)を得た。
【0100】
[合成例5]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1250g(式(1)の物質)、、テレフタル酸ジメチル650g、ドデセニルコハク酸80g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸120gをエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク9500、Tg64度、酸価9.1KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度128℃のポリエステル樹脂(B−2)を得た。
【0101】
[合成例6]
ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1270g、テレフタル酸ジメチル650g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸100gをエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク9300、Tg61度、酸価8.5KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度127℃のポリエステル樹脂(B−3)を得た。
【0102】
[合成例7]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン950g(式(1)の物質)、グリセリン160g、テレフタル酸ジメチル650g、をエステル化触媒と共にフラスコに入れこれを合成例1と同様に反応させた。分子量ピーク8900、Tg62度、酸価5.5KOHmg/g、フローテスターによる見かけ粘度103pa.s温度121℃のポリエステル樹脂(B−4)を得た。
【0103】
[合成例8]
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(式(1)の物質)1250g、テレフタル酸ジメチル650g、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸40gをエステル化触媒とともにフラスコに入れ、これを合成例1と同様に反応させたが、合成例1よりも反応時間を短縮して、分子量ピーク7000、Tg61度、酸価5.5KOHmg/gフロテスターによる見かけ粘度103Pa.s温度123℃のポリエステル樹脂(B−5)を得た。
【0104】
(帯電制御剤の例)
[合成例9]
3,4−ジクロロフェニルマレイミド600部及びパーフルオロオクタンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでスチレン100部、アクリル酸n−ブチルを250部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が95℃、重量平均分子量Mwが10000となる帯電制御樹脂C−1を得た。
【0105】
[合成例10]
3,4−ジクロロフェニルマレイミド600部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸2−エチルヘキシルを250部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が82℃、Mw5000となる帯電制御樹脂C−2を得た。
【0106】
[合成例11]
m−ニトロフェニルマレイミド600部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチル100部、スチレンを200部加え、溶解した後、DMFを減圧乾燥機により瑠去し、体積抵抗11.6(LogΩ・cm)、重量平均分子量50000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が115℃の帯電制御樹脂C−3を得た。
【0107】
[合成例12]
3,4−ジクロロフェニルマレイミド600部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでスチレンを350部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が108℃、Mw70000となる帯電制御樹脂C−4を得た。
【0108】
[合成例13]
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部とアクリル酸2−エチルヘキシルを250部更にスチレンモノマーを700部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、見かけ粘度が104Pa(=104g/cm・s)になる温度が95℃、MW13000の帯電制御樹脂C−5を得た。
他に帯電制御剤としてオリエント社製、ボントロンE−84(C−6とする)ボントロンE−81(C−7とする)を用いた。
【0109】
(微粒子製造例(トナー母体作成例))
製造例1
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
【0110】
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.1μm、4μm以下の個数%が9.8個数%のシアン着色粒子D−1を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−1とする)
【0111】
次にこのとき集めた微粒子R−1を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品R−1 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RD−1)
なお、粒度分布は、コールター社のコールターカウンターTAIIにて測定した。
【0112】
製造例2
製造例1のRD−1作成時の副製品を採取し(RR−1とする)
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品RR−1 20部
【0113】
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RRD−1)
【0114】
製造例3
製造例1の着色剤をC.I.PIGMENT YELLOW 180 12部に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−2(7.0μm 4μm以下8.5個数%)、同様に副生成物を用いた着色粒子RD−2(6.8μm 4μ以下9.8個数%)を得た。
【0115】
製造例4
製造例1の着色剤をC.I.PIGMENT Red57,1 に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−3(6.9μm 4μm以下8.3個数%)、同様に微粒子を用いた着色粒子RD−3(6.5μm 4μ以下7.8個数%)を得た。
【0116】
製造例5
製造例1の着色剤をカーボンブラック 6部に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−4(6.7μm 4μm以下9.3個数%)、同様に微粒子を用いた着色粒子RD−4(7.1μm 4μ以下9.8個数%)を得た。
【0117】
製造例6
製造例1の樹脂A−1をA−2に変えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−5およびRD−5を得た。
【0118】
製造例7
製造例1の帯電制御剤C−1をC−2に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−6およびRD−6を得た。
【0119】
製造例8
製造例1の帯電制御剤C−1をC−3に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−7およびRD−7を得た。
【0120】
製造例9
製造例1の帯電制御剤C−1をC−4に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−8およびRD−8を得た。
【0121】
製造例10
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−1に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−9およびRD−9を得た。
【0122】
製造例11
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−5に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−10およびRD−10を得た。
【0123】
製造例12
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−3に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−11およびRD−11を得た。
【0124】
製造例13
製造例1の樹脂B−2を樹脂B−4に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−12およびRD−12を得た。
【0125】
製造例14
樹脂A−1 50部
樹脂B−2 50部
C.I.PIGMENT blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.0μm、4μm以下の個数%が8.3個数%のシアン着色粒子D−13を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−13とする)
【0126】
次にこのとき集めた副製品R−13を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 50部
樹脂B−2 50部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品R−13 20部
これをD−13と同様の方法で作成し着色粒子RD−13を得た。
【0127】
製造例15
樹脂A−1 100部
C.I.PIGMENT blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.1μm、4μm以下の個数%が9.8個数%のシアン着色粒子D−14を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−14とする)
【0128】
次にこのとき集めた副製品R−14を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 100部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−1 3部
副製品R−14 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、着色粒子を得た。(RD−14)
【0129】
製造例16
製造例1の樹脂A−1を帯電制御剤A−3に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−15およびRD−15を得た。
【0130】
製造例17
製造例1の帯電制御剤C−1を帯電制御剤C−6に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−16およびRD−16を得た。
【0131】
製造例18
RD−16作成時の副製品を採取しRR−16とする。
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−6 3部
副製品RR−16 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RRD−16)
【0132】
製造例19
製造例1の帯電制御剤C−1をC−5に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−17およびRD−17を得た。
【0133】
製造例20
製造例1の帯電制御剤C−1をC−7に替えた以外は同様の方法で着色粒子を作成しD−18およびRD−18を得た。
【0134】
製造例21
製造例19と同様の処方を用いた。
上記材料をヘンシェルミキサーで十分に攪拌、混合後、ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、再度ロール表面を100℃にした2本ロールにより、30分間混練を行い、圧延冷却、粗粉砕後、ジェットミル方式の粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級機(DS分級機:日本ニューマチック工業社製)をもちい、粉砕分級を行い重量平均7.1μm、4μm以下の個数%が9.8個数%のシアン着色粒子D−19を得た。
(このとき粉砕分級の際に集めた副製品をR−19とする)
【0135】
次にこのとき集めた副製品R−19を用いて、再度トナーを作成する。
樹脂A−1 80部
樹脂B−2 20部
C.I.PIGMENT Blue15,3 5部
帯電制御剤C−7 3部
副製品R−19 20部
上記材料をD−1と同様にトナー化し、体積平均粒径7.0μm、4μm以下が8.1個数%の着色粒子を得た。(RD−19)
【0136】
この微粒子について1次評価として帯電性と粉砕性について確認した。
帯電性については簡易的に測定するためシリコーンコートしたキャリアとの2成分での帯電性を評価した。具体的には、シリコーンコートしたキャリアにトナー母体の濃度が5wt%になるように計量し、ボールミル攪拌機で250rpmで10分攪拌後、ブローオフにて帯電性を測定した(単位−μC/g)。
副製品を用いた微粒子と用いてない微粒子(例えばD−1とRD−1)との帯電性が非常に異なっている物は帯電制御剤の分散性が異なるため、再度の混練工程により分散性が変わり帯電性が変わってしまう物と判断した。
【0137】
粉砕性については微粒子作成時、のジェットミル粉砕機(I−2式ミル:日本ニューマチック工業社製)で一律の粉砕条件で微粒子を作成し、粉砕粒径(重量平均径)を測定した。D−1の粉砕粒径を基準(100)としその他の粉砕品粒径との比を粉砕性指数とした。値の小さい物ほど粉砕性が良好であり粉砕性指数が130以上のものは実用上、厳しい物と判断した。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
(トナー製造例)
(実施例1)
微粒子 D−1 100部
疎水性シリカ RX−200 1.0部
をヘンシェルミキサーにて混合し、さらに超音波振動篩を行い、トナー化した。
(実施例2〜21、比較例1〜5)
実施例2〜21、比較例1〜5は実施例1と同様の方法でトナーを作成した。使用した微粒子と添加剤の種類および量は下記表の通りである。また実施例1で使用していない添加剤は以下のものを用いた。
疎水性シリカ:RX−50
(日本アエロジル社製BET比表面積 50m2/g)
疎水性二酸化チタン:T805
(日本アエロジル社製BETT比表面積45m2/g)
【0141】
【表3】
【0142】
(トナー評価)
(トナー評価機)フルカラーレーザープリンタIpsio color 8000(リコー社製)を、トナー補給型の非磁性一成分現像方式で使用できるように改造し使用した。
画像評価については30℃90%RH環境の高温高湿下において5%の画像面積の画像チャートを10kラン後の評価と更にカートリッジ交換を行い0%画像面積で40kランを行った。(この間はユニット交換は無かった。)
計50kの実機ラン後、更にカートリッジ交換を行った。
【0143】
3−1.帯電量
1成分現像剤の場合:現像ローラ(スリーブ)上にトナーを搬送させ、吸引トリボ測定法にて測定した。なお単位は−μC/gである。
3−2.地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差をX−RITE938にてID測定した。これはIDが悪いほど、転写紙上の地肌汚れと相関がある。これを50k、さらに50kでのカートリッジ交換直後で確認した。
3−3.フィルミング観察
実機ラン終了後現像ローラ、層規制部材及び感光体上のトナーフィルミングの発生状況の有無を観察した。○はフィルミングがなく、△はスジ上のフィルミングが見られる。更に×では全体的に発生しており、転写紙上にてもスジが確認できる。
【0144】
【表4】
【0145】
【発明の効果】
本発明の電子写真用トナーは、粉砕、分級工程で発生する製品以外の微粒子や粗粒子を再利用しても、再利用しない場合のトナーと変わらず、トナーの帯電性が十分でかつ安定であり、耐久性に優れ、プロセス上トナーに厳しい非磁性一成分現像方式においても十分使用出来るトナーを提供できる。この様に長期の耐久性があるためトナー補給型の非磁性一成分現像方式が可能となり、ユーザーメンテが簡単でコストの安い現像ユニットを使用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する現像装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 現像装置
6 現像スリーブ
7 層厚規制部材
8 トナー補給ローラ
9 現像剤補給補助部材
10 補給カートリッジ
11 仕切り板
Claims (30)
- 潜像保持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を現像剤担持体上の現像剤を用いて現像する現像工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写する転写工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有し、かつ該現像工程は層厚を均一に規制する現像ブレードを備えた現像ローラを回転させながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって前記静電潜像を可視化する非磁性一成分現像方法に用いる、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有する電子写真用トナーであって、該負帯電制御剤が、スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であり、また、該電子写真用トナーは少なくとも機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)も含有し、更に外添剤を含むことを特徴とする電子写真用トナー。
- 前記スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が前記樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
- 前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
- 前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 前記樹脂負帯電制御剤の重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 前記樹脂負帯電制御剤を、トナー粒子に対して0.1〜20重量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 前記結着樹脂の酸価が20KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 前記結着樹脂が少なくとも2種類の結着樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 結着樹脂(B)のジオール成分がプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体からなることを特徴とする請求項9記載の電子写真用トナー。
- 結着樹脂(A)、(B)における分子量ピークが(A)<(B)であることを特徴とする請求項9または10に記載の電子写真用トナー。
- 結着樹脂における(A)、(B)の重量比率が60:40〜85:15であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 少なくとも2種以上の外部添加剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 前記添加剤のうち少なくとも1種が疎水化処理したシリカからなることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 前記添加剤が少なくとも疎水化処理したシリカと疎水化処理した酸化チタンからなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の電子写真用トナー。
- 潜像保持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像を現像剤担持体上の現像剤を用いて現像する現像工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写する転写工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有する画像形成方法であって、該現像工程は現像剤の層厚を均一に規制する現像ブレードを備えた現像ローラを回転させながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する非磁性一成分現像方法を用い、また、電子写真用トナーとして、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤を含有し、該負帯電制御剤が、スルホン酸基含有モノマー、塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマー、及び又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする共重合体からなる樹脂負帯電制御剤であり、かつ該トナーは少なくとも機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末(副製品)も含有し、更に外添剤を有する電子写真用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記樹脂帯電制御剤は、前記ビニル重合性スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が前記樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記塩素原子又はニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び又はメタアクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする請求項16に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする請求項16または17に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤の重量平均分子量が5000〜50000であることを特徴とする請求項16〜19のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記樹脂負帯電制御剤を、トナー粒子に対して0.1〜20重量%含有することを特徴とする請求項16〜20のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂の酸価が20KOHmg/g以下であることを特徴とする請求項16〜21のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂が少なくとも2種類の結着樹脂からなることを特徴とする請求項16〜22のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記結着樹脂は下記(A)、(B)に示される2種類の樹脂からなることを特徴とする請求項23記載の電子写真用トナーを用いる画像形成方法。
(A)THF不溶成分を含まず、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における分子量分布において、分子量500以下の成分の含有割合が1〜4重量%であり、かつ分子量3000〜9000の領域に1つのピークを有するポリエステル及び/またはポリオール樹脂
(B)THF不溶成分を含まない、少なくとも多価カルボン酸とジオール成分からなるポリエステル樹脂であり、かつ該ジオール成分が少なくとも下記式(1)で示されるジオール成分からなるポリエステル樹脂
- 結着樹脂(B)のジオール成分がプロピレンオキサイドを付加したビスフェノールA誘導体からなることを特徴とする請求項24記載の電子写真用トナー。
- 電子写真用トナーにおける結着樹脂(A)、(B)における分子量ピークが(A)<(B)であることを特徴とする請求項24または25に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける結着樹脂における(A)、(B)の重量比率が60:40〜85:15であることを特徴とする請求項24〜26のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーが更に少なくとも2種以上の添加剤を含むことを特徴とする請求項16〜27のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記添加剤のうち少なくとも1種が疎水化処理したシリカである特徴とする請求項16〜28のいずれか一項に記載の電子写真用トナーを用いる画像形成方法。
- 電子写真用トナーにおける前記添加剤が少なくとも疎水化処理したシリカと疎水化処理した酸化チタンからなることを特徴とする請求項16〜29のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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