JP3911620B2 - 静電荷像現像用バインダー、静電荷像現像用トナー、及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用バインダー、静電荷像現像用トナー、及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等を利用する画像形成方法において、トナーのリサイクルシステムを採用する画像形成方法に使用されるトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法においては、一般に光導電性材料よりなる感光層を有する潜像担持体(以下感光体ともいう)の表面に、帯電、露光により静電潜像が形成され、次いでこの静電潜像が着色粒子であるトナーによって現像され、得られたトナー像が通常、紙などの記録材に転写された後、定着されてコピー像が形成される。上記トナーの定着方法としては、従来、いろいろな方法が知られているが、特に熱効率が高く高速定着が可能である観点から熱ローラ定着法が採用されている。
【0003】
熱ローラ定着法に適用されるトナーには、基本的に、
(1)低い温度で確実に定着できること、すなわち低温定着性が優れていること、
(2)定着時に溶融トナーが熱ローラに転移し難いこと、すなわちホットオフセット性に優れていること、
等の性能が要求される。
【0004】
また、鮮明なコピー画像を形成するためには、トナーが使用もしくは貯蔵環境下において凝集せずに粉体として安定に存在できること、すなわち保存安定性が優れていることが必要である。さらにカブリのない良好な画像を多数回にわたり安定に形成するためには、トナーが現像器中の機械的衝撃または圧力等により砕け難い性能を有することが必要である。
【0005】
最近、トナーを経済的に使用する観点からクリーニングにより回収したトナーを再び現像器に戻して、これを再使用する、いわゆるトナーのリサイクルシステムを採用した画像形成方法が注目されている。しかし、従来のトナーをリサイクルシステムを採用した画像形成方法に使用すると、コピー画像の増加と共に画像濃度の低下、ペーパーの地汚れ、カブリ、キャリア付着という問題を生じるようになる。これはリサイクル工程で受けたせん断力によりトナーが変形および破壊を生じ、トナーの帯電能力が低下すると共に同時に生じたトナー微粉によりキャリアの帯電付与能が低下したためである。
【0006】
このようなリサイクルシステムに乗せたトナーとしては、架橋ポリエステル樹脂をバインダー樹脂として含有させたものが知られている(特開昭59−14144、同58−14147、同60−176049、同60−176054、同62−127748、同62−127749号公報)。しかし、これらのトナーはトナーのリサイクルにより現像器内で攪拌等の機械的な外力を頻繁に受けるとトナーの粒子が破壊されて微粉が発生しやすく、この微粉がキャリア粒子を汚染しキャリア粒子の帯電能力を低下させ、その結果、帯電量の不十分なトナーが発生し、当該トナーが現像剤搬送担体その他の機器を汚染し現像性が低下する問題を発生させる。
【0007】
リサイクルシステムの研究はトナーのみの研究ではなく、画像形成方法の研究や開発が行われてきた。また、画像形成装置においてもいろいろな工夫や改良が進められている。例えば、静電画像形成プロセスにおいて、受容媒体に転写した後の、像担持体の残トナーを再利用する試みがなされてきた。残トナーは、回収専用ボトルなどに蓄積され、そのボトルを産業廃棄物として廃棄処分することが行われてきている。このような廃棄は地球環境を汚染するものであり、資源の無駄使いであり好ましくない。
【0008】
そこで、このようなトナーの廃棄を無くし、すべてのトナーを使用するためのトナーリサイクル方式の検討が行われてきた。特開昭63−246780号公報にはクリーニング装置から現像装置へ回収トナーを搬送する搬送経路を設け、現像装置への補給トナーの一部として使用する技術が、特開平1−118774号公報にはクリーニング装置を設けず、転写残トナーを現像装置で回収するものが、また、特開平6−51672号公報にはバイアス印加可能な回転部材を設け担持体の通紙部に相当する領域が通過するときは静電気力でトナーを回収し、非通紙部に相当する領域が通過するときはトナーを像担持体に付着されていることが開示されている。
【0009】
しかし、これらの技術は各々欠点を有し満足できるものではなかった。また、上記特開昭63−246780号公報開示の技術はパイプなどのトナーの搬送経路が必要となり、さらにスクリューやベルトなどのトナー搬送手段が不可欠であるため装置が大型化複雑化する。上記特開平1−118874号公報記載のものは一旦転写残トナーとして像担持体に付着したトナーは現像装置で回収しがたく、像担持体に固着したり、または像形成中もしばしば遮られ地肌部分の汚れや画像部の汚れが生じることが多い。また紙詰まりなどの異常事態にも対応し難く、像担持体を汚した後の工程にも悪影響を及ぼすことが多い。これら記載は一部でありこのほかいろいろな報告がされており、未だ満足すべきものはない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、第一に、トナーのリサイクルシステムに採用してトナーの変形、破壊を生ぜず、トナーの表面状態の変化が小さく、現像剤の耐久品質低下、カブリ、画像濃度低下、地汚れ、トナー飛散による機内汚染、トナー環境変動等を生ぜず、良好な画像品質が得られる静電荷像現像用トナー及びそれに用いるバインダー樹脂、及び画像形成方法を提供すること、第二に、トナーリサイクルシステムを備えた熱ロール定着方式に適し、低温定着に対して十分な効果があり、かつ、ホットオフセット性にも優れた静電荷像現像用トナー、及びそのトナーを用いた画像形成方法を提供すること、第三に、粉砕トナーの生産ラインにおいて生産性の高い静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、トナーのリサイクルシステムを採用する画像形成方法に使用される、少なくとも、ポリエステルを主体とするバインダー樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を、溶融、混練した後、粉砕して得られるトナーであって、該トナー中のテトラヒドロフラン(THF)溶解分のゲルパーメーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布において、分子量(重量平均、以下同じ)10万から1000万の間に機械的な剪断により得られるサブピークを有し、且つ該トナーを30℃、60%RHの雰囲気下に24時間放置したときのトナーの含水量が5000ppm以下であり、該バインダー樹脂がTHF溶解成分を5〜40重量%含有し、THF不溶解成分のTHF膨潤度が2〜20%であり、分子量5000〜10000の領域にピークトップを有し、分子量10000以下が35〜55%であり、該トナーが高架式フローテスターで測定した測定値が下記の式1及び式2を満たし、前記帯電制御剤が、少なくとも、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、含金属ニグロシン染料、含金属脂肪酸変性ニグロシン染料、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体の何れか1つを含む、ことを特徴とする静電荷像現像用トナーが提供される。
【数3】
2 × Tfb Tend Ts 15 ・・・式1
【数4】
15 Tend Ts 2 × (F1/2 Tfb) 40 ・・・式2
【0016】
第六に、トナーリサイクルシステムを採用する画像形成方法において、上記第一〜三、第五のいずれかに記載した静電荷像画像用トナーを使用することを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
一般に、リサイクル機構におけるマシーンの場合、トナーの粒径変化、すなわちトナーの微粉化がさまざまな問題となって品質的なトラブルを引き起こす。例えば微粉化による帯電の変動、凝集による流動性低下が引き金となる画像ムラ、回収トナーが混合されることにより帯電立ち上がりが遅くなり高温高湿環境での地汚れの発生など問題は多い。本発明者らはこれらの課題を解決することのできるトナーリサイクルシステム用静電荷像現像用トナーを見出した。
【0018】
すなわち、本発明のトナーリサイクルシステムに有用な静電荷像現像用トナーは、混練りにおける工程中で機械的せん断エネルギーによって得られるもの、すなわち混練りに使用するバインダー樹脂はTHF不溶解分を含有し、この成分が混練り機のせん断力により分子切断され、分子量10万〜1000万の間にサブピークが現われる。このサブピークは混練り前樹脂においては現われないピークである。このピークは樹脂に混練り機の機械的せん断エネルギーがかかる条件の中ではじめて得られる。混練り前に存在した樹脂のTHF不溶解分が分子切断により分子量10万から1000万の間に移行したことが分子量分布のチャートから観察される。
この点の詳細は混練りの説明の中で行うが、このサブピークの存在により、リサイクルシステムにおけるトナーの微粉化を防止する効果が得られ、これによる帯電変動や凝集による流動性低下を抑制することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明のトナーは30℃、60%RHの雰囲気下に24時間放置したときのトナーの含水量が5000ppm以下であることが必要である。これにより、特に高温高湿環境での帯電量の変動を抑制でき、あらゆる環境下において帯電変動の少ないトナーを得ることができる。この効果はリサイクルシステムにおいて顕著に現れる。これはリサイクルにより回収されたトナーが混合されることにより、初期の補給トナーと比較し添加剤含有量が変動しやすいためである。これによりリサイクルレスのシステムと比較し、トナーとしては、あらゆる環境下においても、トナー母体そのものが帯電量や帯電立ち上がり性の変動がより少ないことが要求される。従ってリサイクルシステムにおいては特に30℃、60%RHの雰囲気下に24時間放置したときのトナーの含水量が5000ppm以下であることが必要となったと考えられる。
【0020】
また、本発明のトナーリサイクルシステムに有用な静電荷像現像用トナーはバインダー樹脂がTHF溶解分のGPCによる分子量測定によりピークトップが5000〜10000の領域にあり、かつ、分子量10000以下が35〜55%含有することにより、上記課題解決に対しさらに有利となる。この分子量の範囲にあることにより、リサイクル性を考慮しつつトナー生産性をも確保し、さらには低温定着とホットオフセット性の余裕度をアップさせ、トナーの環境変動に対しても十分な効果を生むトナーリサイクルシステム用静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0021】
バインダー樹脂のピークトップが分子量5000以下になると複写機の搬送や現像タンク内における攪拌によって微粉化が多くなる要因の一つであることが分かった。しかしながら、ピークトップが分子量10000を超えると機内の微粉化は防止することはできるが、生産性の低下や他の材料との分散性が悪くトナーとしての基本的な特性が得難い。その結果、リサイクルシステム機構を用いた装置の中ではピークトップが分子量5000〜10000の間にあり、分子量分布において分子量で10000以下の比率がチャート面積で35〜55%であること、および先に述べた分子量10万〜1000万の領域にサブピークが存在することにより、複雑なトナーの機能を達成し微粉化を抑え画像の鮮明なコピーが得られることで目的を達成することができる。
【0022】
さらに詳しく説明すると、分子量5000がバインダー樹脂中の分子相互間での相溶性が悪くなり機内のストレスにより粉砕されるボーダーラインと考えられる。ピークトップの範囲としては好ましくは分子量5000〜8000である。
【0023】
これらの分子量分布から得られる情報はトナーの必要機能を確保する観点から極めて重要である。本発明者らは良好なトナーを得るためにはフローテスターの温度カーブに最適な範囲があることを見出した。以下それらについても触れておく。
【0024】
熱ロールによるリサイクル用トナーの定着性はトナーの溶融粘弾性と深い関係があり、低温定着を満足させるためには熱特性の低いバインダー樹脂が適している。従来よりこの熱特性の指標としてフローテスターやメルトインデックス、レオメーターの特性が用いられる。一方、低温定着性と相反するホットオフセット性を満足するためにはリサイクル用トナーの性質として、より弾性を上げたバインダー樹脂にするか離型材料として各種のワックスが用いられる。特性としてはレオメーターによる粘弾性が従来より計測されてきた。本発明者らは低温定着性とホットオフセット性を満足させ定着温度領域を広げるための指標としてフローテスターの温度カーブで最適な範囲があることを見出した。
【0025】
フローテスターとしては、例えば島津製作所社製の高架式フローテスターCFT500型がある。このフローテスターのフローカーブは図2(a)および(b)に示されるデータになり、そこから各々の温度を読み取ることができる。図中、Tsは軟化温度、Tfbは流出開始温度であり、1/2法における溶融温度とあるのはF1/2温度のことである。
【0026】
《測定条件》
荷重 :10kg/cm2、昇温速度:3.0℃/min、
ダイ口径:0.50mm、ダイ長さ:10.0mm
【0027】
従来は各々の温度の値を読み、トナーまたはバインダー樹脂の熱特性を指標として用いていたが、近時は以前よりさらなる低温定着性が要求されるに至り、このフローカーブの特性の重要性が増し4つの温度(TS、Tfb、F1/2温度、流出終了点)の範囲のトナーを得ることにより低温定着性とホットオフセット性を満足させる。低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させるためには、次の式1及び式2を満足することが好ましい。
【数5】
2×Tfb−Tend−Ts≦15 ・・・式1
【数6】
15≦Tend−Ts−2×(F1/2−Tfb)≦40 ・・・式2
【0028】
上記規定範囲にあることにより、低温定着性とホットオフセット性という相反する品質の両立が可能となるが、さらに良好とするためには、トナーのバインダー樹脂としてポリエステル樹脂を含有させることが良い。
【0029】
ポリエステル樹脂を含有する場合、本発明では水分を低く抑えるため芳香族モノマーを多く使用する。成分としては、アルコールにビスフェノールPO、EO付加体、カルボン酸にテレフタル酸、クエン酸を使用すると、空気中の水分を吸着しにくくさせ、含水量を5000ppm以下にすることが可能となり環境安定性が良好となる。この芳香族系材料を使用し、酸価を1〜5mgKOH/g、好ましくは1〜3mgKOH/g、水酸基価が30〜80mgKOH/g、好ましくは30〜60mgKOH/gのものを用いることによりさらに水分の吸着を防ぐことができ、含水量を3000ppm以下とすることが可能となる。含水量3000ppm以下の場合は環境安定性はさらに良くなる。
【0030】
次にトナーの作り方について述べる。本発明のトナーは、THF不溶解分を含む架橋型バインダー樹脂の分子領域の分子を機械的せん断エネルギーにより分子切断する方法により得られる。この方法はTHF不溶解分を5〜40重量%含むバインダー樹脂をカーボンブラックや帯電制御剤、その他の添加剤を混合して機械的せん断エネルギーを与えながら混練する。
この時バインダー樹脂のTHF不溶解分のTHF膨潤度が2〜20であることにより、リサイクルシステムにおける画像品質特性、定着性及び耐ホットオフセット性がさらに良好となることが判明した。
【0031】
なお、バインダー樹脂のTHF不溶解分と膨潤度について説明を加えておけば次のとおりである。
まず、THF不溶解分とは架橋構造を有するゲル分のことであり、膨潤とは、弾性ゲルが液体(分散媒)を吸収して体積を増加する現象をいう。これは弾性ゲルの構造、つまり、THF不溶解分の架橋構造に起因する特性であり、架橋密度が高いほど膨潤度が小さいということになる。
【0032】
本発明者らはバインダー樹脂の架橋構造の特性である膨潤度と、樹脂のもつ強度(硬さ)、及び該バインダー樹脂と着色剤、帯電制御剤及び必要であればその他添加剤、離型剤を溶融混練することにより得られる静電荷像現像用トナーを使用したリサイクルシステムを有する電子写真方法により得られる画像品質特性、定着性及び耐ホットオフセット性、製造時の生産性等との相関性について研究した結果、以下の新事実を発見した。
【0033】
像担持体上の静電潜像を現像し、トナー像を転写紙に転写した後、像担持体上に残ったトナーをクリーニングし、しかる後このトナーを現像装置または補給用トナーの中に戻して再利用する乾式2成分系現像方法において、現像時に現像器内でトナーが粉砕されず(微粉化しない)、各材料の分散性が良好で、長期に安定的な画像を提供し、さらに定着性と耐ホットオフセット性に優れた電子写真方法を得るためには、THF不溶解成分を5〜40重量%含有し、THF不溶解成分のTHF膨潤度が2〜20である結着樹脂と、着色剤、帯電制御剤及び必要であればその他添加剤、離型剤を溶融混練することにより得られるトナーを用いることが良い。
【0034】
ここでの膨潤度の定義としてTHF不溶解分(ゲル分)をTHF中にて10℃、20〜30時間膨潤させ、膨潤前の単位重量のTHF不溶解分(ゲル分)がTHFを吸収して膨潤した後のTHF不溶解分(ゲル分)の重量を測定し、膨潤前のTHF不溶解分(ゲル分)の単位重量に対する膨潤後のTHF不溶解分(ゲル分)の重量の比とする。
つまり、ゲル分の膨潤度が大きいということは、それだけゲル分の網目構造が溶剤を吸収して体積を増加できるということで、1つ1つの網目が非常に大きいこと、つまり架橋密度が低く架橋点間距離が長いことをしめす。一方、ゲル分の膨潤度が小さいということは、それだけゲル分の網目構造が溶剤を吸収できないということで、1つ1つの網目が非常に小さいこと、つまり架橋密度が高く架橋点間距離が短いことを示す。
【0035】
この架橋点間距離は樹脂の強度に大きくかかわり、短ければそれだけ強固な硬いゲルとなり、長ければ凝集力の弱いゲルとなる。つまり、この樹脂の強度の尺度がゲル分量の膨潤度に該当するということであり、THF不溶解成分のTHF膨潤度が2〜20の範囲にあることがトナーの品質面、生産面においてさらに良好となる。
【0036】
膨潤度が2未満にあると、凝集力の強いトナーとなるため、微粉発生の抑制化及び耐ホットオフセット性は良いが定着性の悪いトナーとなる。またバインダー樹脂と他材料を溶融混練する工程において、該樹脂のゲルの強度が強いため、分子切断されにくく、本発明における分子量分布を得るためには材料の供給量を少なくしなければならないという生産性に悪い結果となる。また他材料との分散性が悪いため、ワックスによるキャリア汚染や地汚れの発生という品質面に悪い結果となる。
【0037】
膨潤度が20よりも大きくなると混練により分子切断されやすく、凝集力が低下し過粉砕されやすいトナーとなる。また凝集力が低下するために混練時のトルクが低下し他材料の分散性が悪化し、着色剤の凝集体や樹脂の界面が生成し粉砕点となりやすい。このことは現像時に、現像剤との攪拌によりトナーがさらに粉砕されてしまい、微粉化し、トナーの粉体特性や帯電特性が変化し、これにより画像の地汚れやクリーニング不良を生じるという不具合を発生させる。また、帯電制御剤の分散性も悪化するためトナー間の帯電が不均一となり弱帯電トナーを発生する。さらに凝集力が低下することで定着性は良いが耐ホットオフセット性の悪いトナーとなる。
【0038】
また樹脂中のTHF不溶解成分は5〜40重量%含有することが良い。
5未満であれば定着性は良いが耐ホットオフセット性が悪くなり、40を超えると耐ホットオフセット性は良いが定着性が悪く、また混練時の材料の供給性が悪い結果となる。
【0039】
つまり、像担持体上の静電潜像を現像し、トナー像を転写紙に転写した後、像担持体上に残ったトナーをクリーニングし、しかる後このトナーを現像装置または補給用トナーの中に戻して再利用する乾式2成分系現像方法において、現像時に現像器内でトナーが粉砕されず(微粉化しない)、各材料の分散性が良好で、長期に安定的な画像を提供し、さらに定着性と耐ホットオフセット性に優れた最適な電子写真方法を得るためには、バインダー樹脂はTHF不溶解成分5〜40重量%を含有し、THF不溶解成分のTHF膨潤度2〜20が適当である。
【0040】
このバインダー樹脂をカーボンブラック、帯電制御剤、その他と混練する場合には、まずVブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機で予備混合した後、熱ロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、一軸または二軸連続混練機等で、一般的には100〜200℃で混練する。このように混練する場合、機械的せん断エネルギーにより分子が切断される領域がある。これは主に混練時の粘度に支配される。この粘度は104〜107ポイズが適当である。この粘度域より低い粘度で混練された場合は、分子は切断され難くTHF不溶解分がトナー中に残ってしまう。逆に前記の粘度域より高い粘度で混練した場合は、他の材料と分散しないことに加え、機械の負荷が大きく機械破損につながるケースも出てくる。分子切断は分子量でおよそ1×106付近以上の網目構造をもつ高分子が切断され、特にGPCの測定限界である1×107以上の成分のTHF不溶解分が切断され、サブピークが1×106〜1×107付近に表われる。これについて図1の(a)、(b)に示す。図1(a)は混練前のものでサブピークがないが、図1(b)は混練後のもので、図1(a)のTHF不溶解分の成分が分子切断したことがサブピークの存在で確認される。混練前後の分子量分布を見ると約1×104以下の分子量領域は変化していない。この分子の切断は合成で得ることは難しい。
【0041】
この分子切断を伴う混練の結果、GPCの分子量分布において、10万〜1000万の間にサブピークが現われる。このサブピークは混練前の分子量分布には存在しない。現われたサブピークはリサイクル用トナーとしてホットオフセット性向上、機内のトナー微粉化防止に効果がある。また、同時にGPCの分子量分布においてバインダー樹脂は5000〜10000の領域にピークトップを有し、分子量10000以下が35〜55%含有することが好ましい。好ましくはピークトップは分子量5000〜8000の領域に有するのがよい。この理由は分子量5000以下では微粉化が起こり易く、10000以上では低温定着性が少しづつ低下する傾向が認められるからである。
【0042】
ここでGPCによる測定方法を説明する。すなわち40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200ml注入して測定する。試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
このようにしてトナーの分子量分布を測定するわけであるが、現在のカラムでは分子量107以上の検出は実質的に難しい。分子量10000以下が35〜55%についてはGPCの分子量分布をプロットしたチャート面積から求めた値である。
【0043】
本発明におけるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用できる。
【0044】
本発明におけるポリエステル樹脂はポリカルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とを構成単位としたポリエステル樹脂であり、または、これにビニル樹脂を30重量%以下でブレンドしたものである。ポリカルボン酸成分(A)は、2価カルボン酸類(A1)および必要により3価以上のカルボン酸類(A2)からなる。
【0045】
本発明におけるバインダー樹脂に占めるビニル樹脂が30重量%を越えると耐塩ビマット性が低下し定着性も悪くなる。環境安定性においてビニル樹脂系、特にスチレンを主体としてアクリル、メタクリル、またはブタジエンとの共重合体が疎水性を増し、ポリエステル樹脂単独より環境安定性に効果がある。耐塩ビマット性、帯電環境安定性、定着性を考慮し30重量%以下でビニル樹脂は使われるのよい。
【0046】
2価カルボン酸類(A1)の具体例としては、(1)マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、アゼライン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸等の炭素数2〜 20の脂肪族ジカルボン酸;(2)シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数8〜20の脂環式ジカルボン酸;(3)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸;(4)イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等の側鎖に炭素数4〜35の炭化水素基を有するアルキルもしくはアルケニルコハク酸;並びに、これら2価カルボン酸の無水物や低級アルキル(メチル、ブチルなど)エステルが挙げられる。これらの中では上記(1)、(3)、(4)およびこれらジカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルが好ましく、(無水)マレイン酸、フマール酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、n−ドデセニル(無水)コハク酸が更に好ましい。(無水)マレイン酸およびフマール酸は反応性が大きい点で好ましく、イソフタル酸およびテレフタル酸はポリエステルのガラス転移温度を高くする点で好ましい。
【0047】
3価以上のカルボン酸類(A2)の具体例としては、(1)1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−へキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロバン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の炭素数7〜20の脂肪族ポリカルボン酸;(2)1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸等の炭素数9〜20の脂環式ポリカルボン酸;(3)1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸および1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の炭泰数9〜20の芳香族ポリカルボン酸;並びにこれらの無水物や低級アルキル(メチル、ブチル等)エステルが挙げられる。(A2)を用いる場合、これらの中では(3)およびその無水物や低級アルキルエステルが好ましく、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,6−ベンゼントリカルボン酸およびこれらの無水物や低級アルキルエステルが価格およびトナーの耐オフセット性付与の点で好ましい。ポリカルボン酸成分(A)中の(A2)の使用割合は、通常0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%、さらに好ましくは0〜10モル%である。
【0048】
一方、ポリオール成分(B)は、2価アルコール類(B1)および必要により3価以上のアルコール類(B2)からなる。2価アルコール類(B1)としては、例えば(1)エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール等の炭素数2〜12のアルキレングリコール;(2)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレンエーテルグリコール類;(3)1,4−シクロへキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の炭素数6〜30の脂環式ジオール;および(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;並びに、(5)上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド(EO、PO、ブチレンオキシド等)2〜8モル付加物を挙げることができる。これらのうち(1)および(5)が好ましく、(5)がさらに好ましい。上記(1)の中ではエチレングリコールは反応速度を増大し、1,2−プロピレングリコールおよびネオペンチルグリコールは低温定着性の点で好ましい。また、上記(5)の中では、特にビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)および/または1,2−プロピレンオキサイド(PO)2〜4モル付加物がトナーに良好な耐オフセット性を与える点で好ましい。
【0049】
3価以上のアルコール類(B2)の具体例としては、(1)ソルビトール、1,2,3,6−へキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2 −メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロバン等の炭素数3〜20の脂肪族多価アルコール;(2)1,3,5−トリヒドロキシルメチルベンゼン等の炭素数6〜20の芳香族多価アルコール;並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物を挙げることができる。(B2)を用いる場合、これらの中では(1)の化合物が好ましく、その中でも安価な点からグリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが好ましい。ポリオール成分(B)中の(B2)の使用割合は、通常0〜20モル%、好ましくは0〜10モル%、さらに好ましくは0〜5モル%である。
【0050】
本発明において、ビニル系重合体の成分となるスチレン以外のビニル系単量体としては、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、メククリル酸エトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシエチレングリコール、メタクリル酸ブトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシジエチレングリコール、メタクリル酸フェノキシテトラエチレングリコール、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸へキシル、アクリル酸へプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メトキシエチル、 アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸エトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシエチレングリコール、アクリル酸ブトキシトリエチリングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、アクリル酸フェノキシテトラエチレングリコール、アクリル酸べンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルピリジン等の1分子中に1個のビニル基を有するビニルモノマーを主成分として用いるが、加えてジビニルベンゼン、グリコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸との反応生成物、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラメタクリレート、トリスメタクリロキシエチルホスフェート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、トリスアクリロキシエチルホスフェート、メタクリル酸グリシジルとメククリル酸あるいはアクリル酸の半エステル化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂とメタクリル酸あるいはアクリル酸の半エステル化物、アクリル酸グリシジルとメタクリル酸あるいはアクリル酸の半エステル化物等の1分子中に2個以上のビニル基を有するビニルモノマーを使用する。
【0051】
これらのうち、好ましいビニル系単量体としては、1分子中に1個のビニル系単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有するビニル系単量体では、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等であり、特にスチレン並びにアルキル基に1〜5個の炭素原子を有するメタクリル酸あるいはアクリル酸のアルキルエステルが好ましい。1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル系単量体では、ジビニルベンゼン、炭素原子数2〜6のメチレングリコールのジメタクリレートおよびジアクリレート等が好ましい。このうち、1分子中に2個以上のビニル基を有するビニル系単量体の量は0.1〜1重量%であるのが好ましい。
【0052】
上記の単量体または単量体混合物は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等、任意の方法で重合させることができるが、経済性.製造時の安定性等の点から、水性懸濁重合によって製造するのが好ましい。
【0053】
上記単量体または単量体温合物の重合に用いられるラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過安息香酸2−エチルヘキシル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化イソブチリル、過酸化オクタノイル、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、4,4,6−トリメチルシクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、シクロヘキサノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、 2−オクタノンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、アセトンジ−tert−ブチルペルオキシケタール、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド等の過酸化物系ラジカル開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’ーアゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾビス系ラジカル開始剤などがある。これらは単量体の総量に対して好ましくは0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%使用する。
【0054】
その他、重合時にブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メチル2−メルカプトプロピオネート、エチル2−メルカプトプロピオネート、ブチル2−メルカプトプロピオネート、オクチル2−メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリットテトラ(2−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールジ(2ーメルカプトプロピオネート)、グリセリントリ(2−メルカプトプロピオネート)等のメルカプタン類、クロロホルム、ブロモホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素等のラジカル重合分子量調整剤を使用することもできる。これらの分子量調整剤は単量体の総量に対して0〜3重量%使用されるのが好ましい。
【0055】
水性懸濁重合を実施する場合には、部分ケン化ポリビニルアルコール、アルキルセルロース、ヒドロキシ−アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩等の水溶性高分子分散剤、燐酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、燐酸マグネシウム、ピロ燐酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、疎水性シリカ等の難溶性無機分散剤を用いることができる。分散剤は水溶性高分子分散剤の場合は水性媒体に対して0.0001〜5重量%、難溶性無機分散剤の場合は水性媒体に対して0.01〜15重量%使用するのが好ましい。
【0056】
ここで、バインダー樹脂の水分量の測定は、まず樹脂を200μm以下に粉砕し、30℃、60%RHの環境下に24時間保存する。この樹脂をカールフィッシャー水分滴定装置の気化装置を用いて水分量を測定する。
【0057】
以上の様にして得られるリサイクル用トナーのバインダー樹脂は、着色剤および/または磁性粉並びに必要に応じて、帯電制御剤、その他の添加剤と適宜溶融混練して静電荷像現像用トナーとすることができる。
【0058】
着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ローダミン6Gケーキ、ウオッチングレッドストロンチウム等、従来公知のものを使用することができる。リサイクル用トナー中に含まれる着色剤の量は1〜60重量%の範囲で適宜選択して使用する。
【0059】
帯電制御剤としては、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、含金属ニグロシン染料、含金属脂肪酸変性ニグロシン染料、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体等を使用することができ、通常、トナー中に0〜20重量%使用する。
【0060】
離型剤としては融点が70℃〜170℃にあるワックスが用いられる。具体例としてはカルナバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス、パラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体などがあげられる。これらはトナー中に1〜10重量%の範囲で添加される。リサイクル用トナーの課題の一つとしてホットオフセット性の向上がある。そのため従来よりポリプロピレンやポリエチレンをトナーに含有させてきたが、回収したリサイクル用トナーが微粉化や粒子表面形状の変化により、含有させたこれらのワックスが初期トナーに比べ粒子表面への出現確率が低くなる。この原因により結果的にホットオフセット性の低下が起こる。そこで従来の他にさらに改善策が要求される。
【0061】
トナー中にワックスを加えることは、離型性を与え、ホットオフセット性は確実に向上するが、一方、樹脂との相溶性に問題があり、添加量が増すに従い現像性が悪化する。また、キャリアとのスペントも起こるので帯電量不足、帯電不安定が発生する。このためワックスは極力少ない方が好ましいが、キャリアスペント化や帯電量不足等を発生させることなく離型性を得ることができる。特開平9−25127号公報にはトナー中のワックス粒径がTEM観察において、2μm以下がよいとされているが、リサイクル用トナーにおいてはトナー表面中のワックス出現率がワックスレス微粉等の影響で低くなる。そこでワックス粒径を5μm以下にした結果、ホットオフセット性が向上しリサイクルシステムにおいて良好な結果が得られた。ワックス粒径は好ましくは2〜4μmの範囲であり、全て1μm以下とした場合は効果が低減する。
混練時の粘度1×104〜1×107ポイズはワックス成分を5μm以下に分散するのにも適する。
【0062】
その他添加剤としては、シリカ微粉末、疎水性シリカ微粉末、ポリオレフィン、パラフィンワックス、フルオロカーボン化合物、脂肪酸エステル、部分ケン化脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩等を使用することができ、これらは通常、トナー中に0.1〜5重量%使用される。
【0063】
さらにポリオレフインが5μm以下で微分散されているトナーを得る方法について述べる。ポリオレフィンワックスの分散性はバインダー樹脂中にTHF不溶解分が存在することにより非常に良好となる。これはTHF不溶解分がレオロジー特性に大きな関わり合いがあるためである。つまり高分子ポリマーは典型的な粘弾性挙動を示す物質である。ポリエステル樹脂またはビニル樹脂の架橋型樹脂分子を切断してできた分岐構造であり、かつ、混練時の貯蔵粘弾率G′が大きい。トナーの混練時の温度は100〜200℃の範囲であることが一般的であるが、この範囲においても分岐型構造を有する高分子では流動せず、少なくとも109dyne/cm2程度の弾性率が維持されていることが知られている(岡 小天著「レオロジー入門」p.83、工業調査会発行)。
【0064】
一方、サブピークを含有していない系、つまり線形高分子をバインダー樹脂として使用した場合、一般的な混練条件下においては樹脂が流動を起こし弾性率はゼロに向かうことが知られている。これまでポリオレフィンワックスを使用したトナーはいくつか提案されているが、バインダー樹脂との相溶姓が悪く分散不良となるケースが多く見られた。しかしポリエステル樹脂とビニル樹脂をブレンドし架橋成分を含む系は混練に適切な粘弾性挙動を示すことからポリオレフィンワックスが5μm以下で分散される。好ましくは1〜5μmの範囲で分散されているのがよい。5μm以上になるとキャリアが汚染し耐久性はあるが帯電が低下し画質低下が発生する。
【0065】
ところで、従来よりキャリア粒子とトナー粒子との混合からなる二成分現像剤は良く知られているが、この二成分現像剤に使用されるキャリアは長期使用中常にトナー粒子が所望する磁性で、かつ、十分な帯電量に摩擦帯電しなければならない。本発明のトナーがより安定な帯電とキャリア汚染(ワックス、添加剤)のない現像剤を得るためにはシリコーン樹脂を被覆したキャリアとの混合が適する。特に現像剤の耐久品質についてはトナーの帯電安定性が不可欠なので、シリコーン樹脂被覆キャリアとの混合は大きな効果がある。シリコーン樹脂被覆キャリアに使用されるシリコーン樹脂としては市販品として信越化学社製のKR271、KR225などがある。キャリア芯材としては平均粒径50から200ミクロンの砂、ガラスビーズ、コバルト、鉄、フェライト、マグネタイトが使用される。シリコーン樹脂の皮膜形成法としては噴霧法等がある。
【0066】
本発明のトナーを乾式二成分現像剤に適用する場合、トナーとしては一般に用いられているのと同様、着色剤、バインダー樹脂および帯電制御剤を主成分として構成し、周知の粉砕法によって作製される。上記成分をそれぞれ所定量配合して溶融混練し、冷却して粉砕する。また他の方法として着色剤、バインダー樹脂および溶媒をボールミルにかけ、混合物を噴霧乾燥させる。本発明のトナーをカスケード現像法、磁気ブラシ現像法などによって使用するためには、該トナーは平均粒度が約30μm以下でなければならず、最適結果を生むためにはこの平均粒度が約4〜15μmの間にあることが望ましい。
【0067】
カスケード現像法、磁気ブラシ現像法などで使用される被覆されたキャリアおよび被覆されていないキャリアは周知であるが、トナー粉末がキャリア粒子に付着してそれらを包囲するようにキャリア粒子がトナー粉末と密接に接触させられるときに、トナー粉末がキャリア粒子の電荷とは反対極性の電荷を獲得するものであればキャリア粒子は任意の適当な材料で形成されてもよい。従って、本発明のトナーは従来の光導電性表面を含んだ任意の適当な静電潜像を帯びた表面上で静電潜像を現像するために、通常のキャリアと混合して使用される。
【0068】
次に本発明の画像形成方法について説明する。上記により得られたリサイクル用トナーをリサイクル機構を備えた現像器で使用する。図を参照して説明する。図3において、像担持体である感光体ドラムの周囲に近接して現像装置2、感光体ドラム1のトナー像を転写紙に転写する時に帯電するための転写チヤージャ3、感光体ドラム1から転写紙を分離する時に帯電を行う分離チャージヤ4、感光体ドラム1の残留トナーを清掃するクリーニング装置5、感光体ドラム1を帯電するメインチャージャー6が配置され、クリーニング装置5から現像装置2へ回収トナーを搬送するトナー搬送部7がこれらを連結する形で設けられている。
【0069】
この現像装置2は、トナーを補給するためのトナーカートリッジ81を有するトナー補給部8、攪拌スクリュー22、23および現像ローラ20を有する現像槽である現膝タンク21、リサイクルトナー用ホッパー84から構成されており、トナー補給部8の底部には現像タンク21へトナーを供給するための第1補給ローラ82が、リサイクルトナー用ホッパー84の底部には現像タンク21へトナーを供給するための回収トナー補給ローラである第2補給ローラ83、また、クリーニング装置5は、トナー回収室52、クリーニング装置5の前後の側板に回転可能に軸支されたスクリュー型の回転体である第1トナー搬送コイル53、クリーニングブレード51を有しており、トナー搬送部7内には第1トナー搬送コイル53と同様の形状の第2トナー搬送コイル71が設けられている。このクリーニング装置5、トナー搬送部7、リサイクルトナー用ホッパー84、第2補給ローラ83からトナーリサイクル装置が構成されている。
【0070】
なお、第2補給ローラ83と第1補給ローラ82および第1トナ一搬送コイル53と第2トナー搬送コイル71はそれぞれ、回転駆動される図示しない駆動機構に連結されている.上記構成において、感光体ドラム1は時計方向に回転し、メインチャージャ6による帯電、露光(図示しない)動作により、感光体ドラム1上に静電潜像が形成され、現像装置2により静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。次に、転写チャージャ3、分離チャージャ4によって感光体ドラム1上のトナー像を転写紙に転写した後、図示しない定着装置によってトナー像を定着させ、排紙する。
【0071】
一方、転写動作を終えて、感光体ドラム1上に残留したトナーをクリーニングブレード51によってクリーニングし、除去されたトナーはトナー回収室52に回収される.トナー回収室52に回収されたトナーTは、第1トナー搬送コイル53、第2トナー搬送コイル71によって現像装置2のリサイクルトナー用ホッパー84へ搬送され、再び現像タンク21へ補給される。
【0072】
続いて、トナーリサイクル装置の動作について図3および図4を参照して説明する。クリーニング装置5のクリーニングブレード51によって回収された回収トナーTは、トナー回収室52に落下し、第1トナー搬送コイル53が回転することにより、感光体ドラム1の手前側または奥側に移動する。感光体ドラム1の手前側または奥側に搬送された回収トナーTは、トナー搬送部7の第2トナー搬送コイル71の回転により現像装置2のリサイクルトナー用ホッパー84まで搬送され、その底部へ落下する。そして、第2補給ローラ83の回転によって回収トナーTを現像タンク21へ供給される。
【0073】
このような構成のトナーリサイクル装置に使用する本発明の二成分現像剤から回収したトナーは、トナー補給部への搬送、補給ローラでのストレス、現像タンクでの攪拌ストレスを受けるが、装置の構造とリサイクル用トナーの性能がよくマッチし、課題である機内微粉化やトナー粒子の表面性状の変化に伴う品質劣化、および環境変動に対する品質低下に対し十分な効果を発揮する画像形成方法が得られた。
【0074】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下において部は重量基準である。
まず表1に実施例および比較例で使用するPE(ポリエステル樹脂、以下同じ)の組成およびその物性を示す。また、表2にビニル樹脂の組成(合成材料と反応温度等)を示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003911620
【0076】
(表1に示した原料の略称)
(1)glycol A:ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水酸基価:315)
(2)glycol B:ポリオキシエチレン(2,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水酸基価:340)
(3)glycol C:ポリ(オキシエチレン−プロピレン)−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(水酸基価:320)
(4)glycol D:ポリオキシプロピレン(3,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(水酸基価:275)
(5)EG:エチレングリコール
(6)NPG:ネオペンチルグリコール
(7)TPA:テレフタル酸
(8)IPA:イソフタル酸
(9)FA:フマール酸
(10)AA:アジピン酸
(11)DMT:ジメチルテレフタレート
(12)DSA:ドデセニル無水コハク酸
(13)TMA:無水トリメリット酸
【0077】
【表2】
Figure 0003911620
【0078】
(ポリエステル樹脂の物性測定法)
1.酸価および水酸基価
JIS K0070に規定の方法によるが、サンプルを溶解する溶剤をジエチルエーテルとエタノールの混合液に規定しているので、この混合液に、サンプルが溶解しない場合は、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等を用いる。
2.ガラス転移温度(Tg)
ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)による。
3.THF不溶解分測定方法
樹脂又はトナー約1.0g(A)を秤量する。これにTHF約50gを加えて20℃で24時間静置する。これを、まず遠心分離で分けJIS規格(P3801)5種Cの定量用ろ紙を用いてろ過する。このろ液の溶剤分を真空乾燥し樹脂分のみ残査量(B)を計測する。この残査量がTHF溶解分である。THF不溶解分(%)は下記式より求める。
THF不溶解分(%)=(A−B)/A×100
トナーの場合樹脂以外のTHFの溶解成分量(W1)と樹脂以外のTHF溶解成分量(W2)は別途公知の方法で調べておき下記式より求める。
THF不溶解分(%)=(A−B−W2)/(A−W1−W2)×100
4.THF膨潤度の測定方法
樹脂1gを秤量し、これにTHF約100gを加えて10℃で20〜30時間静置する。20〜30時間後THF不溶解分であるゲル分が溶媒であるTHFを吸収し、膨潤して沈降するのでこれを濾紙にて分離して、THFで膨潤したゲル状態での重量を秤量する。この時の重量をW1とする。次にこれを120℃にて3時間加温し、吸収したTHFを揮発させ、残分の重量を秤量する。この時の残分をW2とする。W2は該樹脂のTHF不溶解成分であり、単位THF不溶解分量あたりの、吸収された溶剤量を算出することにより膨潤度を求めることができる。
膨潤度=W1/W2
【0079】
〔比較例1〜4〕樹脂(ビニル樹脂とのブレンドタイプはポリエステル樹脂/ビニル樹脂8/2)300部、カーボンブラック(モーガルLキャボット社製)25部、ニグロシン(オリエント化学社製)6部、ポリプロピレン(三洋化成社製550P)12部を2本ロールで設定条件のもとに加熱溶融した。処方および混練り条件については表4にまとめて記載した。加熱溶融後冷却し、次いでハンマーミルにより粗粉砕しさらにジェットミルより微粉砕し分級して平均粒径10〜11μmのトナーを得た。
【0080】
得られたトナーについて、以下に示すA(トナーの品質)およびB(リサイクル性)に示す方法より評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0081】
(A.トナーの品質)
A−1.トナー製造時の粉砕性
混練したトナーをハンマーミルで粗粉砕しジェット式エアーミルで微粉砕した。この時平均粒径10.0μmを得るために必要な供給量を測定し粉砕性の指標とした。吐出エア圧力は5.0kg/cm2とした。
A−2.最低定着温度
未定着画像を定着部を外した画像形成装置により作製し、別に用意した熱ロール定着器に通す。この時、定着ロール温度を任意に変更し定着状態をチェックする。チェックは定着した画像部を綿でこすり、綿がトナーで汚れない温度を定着温度とする。
A−3.ホットオフセット温度
画像形成装置にて画像形成する際、熱ロールに付着したトナーを白紙ペーパーで通紙し、通紙ペーパー上のトナー汚れの有無でチェックする。判定はトナー汚れが確認されなかった上限の熱ロール温度で表した。
【0082】
(B.リサイクル性)
《現像剤の調製》
粒径10〜1lμmに揃えたトナー50部とシリコン樹脂皮膜キャリア(シリコン樹脂:信越化学社製KR250、芯材キャリア100μm)950部とを混合し十分振り混ぜて現像剤とした。この現像剤を用いリサイクルシステムを搭載したリコー社製スピリオ2700の改造機を用いて10万枚の画像評価を行う。B−1.微紛含有量
10万枚複写後、トナーの粒径分布をコールターカウンターTA−2型(コールター社製)で求めた。この場合、電解液にNaCl1%溶液、分散剤にドライウェルを使用した。コンピュータで出力した粒径分布のデータから、粒径5.04μmを微紛としてその微紛の個数%を求めた。
B−2.トナー凝集度
複写10万回後において現像器内のトナーを抽出してトナーの凝集物の有無を調べた。評価は、トナーの凝集物がほとんど認められず良好である場合を「○」、トナーの凝集物が若干認められたが実用レベルにある場合を「△」、トナー凝集物が多く認められて実用的には問題のある場合を「×」とした。
B−3.トナーの流動性
複写10万回後において現像器内のトナ−を抽出して目視によりトナーの流動性を調べた。評価は良好である場合を「○」、若干劣るが実用レベルにある場合を「△」、著しく劣り実用的には問題のある場合を「×」とした。
B−4.トナーの耐久性
初期のベタ部画像濃度および10万枚コピー後の画像濃度を次の基準で評価した。
○:濃度低下が少なく、鮮明な画像が得られる。
△:濃度低下はあるが許容できるレベル。
×:濃度低下があり許容できないレベル。
B−5.画像地汚れ評価
耐久性評価の中で画像の地汚れレベルを判定する。
ランク1:地汚れの発生がまったくなく、画像が鮮明。
ランク2:地汚れが少し認められるが画質上は許容できるレベル。
ランク3:地汚れの認められ、画質上許容できないレベル。
B−6.画像評価
耐久性評価の中で異常画像のチェックをする。
チェック項目:黒ハン点、画像カスレ、キャリア付着の発生。
B−7.帯電環境安定性
変動巾30%未満を帯電環境安定性が良い(○)とし、変動巾30%以上を帯電環境安定性に問題がある(×)とする。
【0084】
【表4】
Figure 0003911620
【0085】
表4より次のことが分かる。
(1)比較例1はピークトップ分子量が低いため複写機内での粉砕により微粉量が増加し、その結果、リサイクル性に関係する特性が劣る。
(2)比較例1、2、4はポリエステル樹脂の含水量が増えると環境安定性が劣る。また、熱特性が高いため定着温度が上昇した。
(3)比較例3はサブピークが存在しないため微粉量が増加し、リサイクル性に関係する特性が悪化。また、ホットオフセット性が低下した。
(4)比較例4はフローテスターの各温度が高いため、定着品質が悪化した。
【0086】
〔実施例5〜8および比較例5、6〕比較例1〜4と同様に樹脂I〜IV並びにVIおよびVIIを使用してトナーを作製した。比較例にはワックスの分散粒径が5μmを越えるものも評価した。結果を表5及び表6に示す。
【0087】
【表5】
Figure 0003911620
【0088】
【表6】
Figure 0003911620
【0089】
表5、6より次のことが分かる。
(1)比較例5はピークトップの分子量が低いため微粉含有量が増加し、画質が低下した。
(2)比較例5および6は含水分が多く、環境変動の低下は大きい。
(3)これに対して実施例5〜8はいずれも環境変動が少なく、鮮明な画像が得られた。
【0090】
〔参考例〕
表3の実施例1および2について、キャリアをシリコーン樹脂コートマグネタイトとノンコートマグネタイトを使用し現像剤を作製した。その現像剤を用いてリコー社製スピリオ4000(トナーリサイクルシステム搭載)で10万枚のコピーテストを行った。その結果、シリコーンコートキャリアを使った現像剤は、表3の実施例1および2の結果と大差がない良好な結果が得られたが、ノンコートキャリアを使用した現像剤は帯電の変動が大きいことによる画像濃度変化が見られた。
【0091】
【発明の効果】
以上のように、請求項1のトナーのリサイクルシステムを採用する画像形成方法に使用される静電荷像現像用トナーは、そのトナー中のバインダー樹脂がテトラヒドロフラン溶解分のゲルパーメーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布において、分子量10万から1000万の間にサブピークを有し、且つ該トナーを30℃、60%RHの雰囲気下に24時間放置したときのトナーの含水量が5000ppm以下であることとするものであり、これによれば複写機内でのトナーの微粉化が抑えられ、画像の鮮明なリサイクル用トナーを得ることができ、請求項1の静電荷像現像用トナーは、上記トナーにおいて、該トナー中のバインダー樹脂がポリエステル樹脂を含有するものであり、これによれば低温定着性を満足し環境変動の少ない静電荷像現像用トナーを得ることができ、請求項1の静電荷像現像用トナーバインダー樹脂は、THF不溶解成分を5〜40重量%含有し、THF不溶解成分のTHF膨潤度が2〜20であり、これによればトナーの微粉化が少ない電子写真用バインダー樹脂を得ることができ、請求項1の静電荷像現像用トナーは、上記トナーにおいて、該トナーが該バインダー樹脂と、着色剤、帯電制御剤、及び必要であればその他添加剤、離型剤を溶融混練することにより、得られるリサイクルシステムに適した微粉が少ないトナーを供給できる
【0092】
上記静電荷像現像用トナーは、分子量5000〜10000の領域にピークトップを有し、分子量10000以下が35〜55%であり、該トナーが高架式フローテスターで測定した測定値が下記式1及び2
【数7】
2×Tfb−Tend−Ts≦15 ・・・式1
【数8】
15≦Tend−Ts−2×(F1/2−Tfb)≦40 ・・・式2
を充たすものであり、これによれば環境変動に対しても十分な効果をもたらすリサイクル用トナーを得ることができる。
【0096】
請求項の静電荷像現像用トナーは、トナーリサイクルシステムを採用する画像形成方法において、請求項に記載した静電荷像トナーを使用することにより環境変動の少ない鮮明な画像が得られる画像形成方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はGPCによるポリエステル樹脂の分子量分布を示す図。(b)は 本発明トナー中のバインダー樹脂の分子量分布を示す図。
【図2】(a)、(b)は、いずれも本発明トナーのフローテスター値を算出するために用いた図。
【図3】トナーリサイクル機構を備えた複写機の一例を断面によって示す説明図。
【図4】図3の一部を拡大した図。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 現像装置
5 クリーニング装置
7 トナー搬送部
20 現像ロール
21 現像タンク
51 クリーニングブレード
T 回収トナー
52 トナー回収室
53 第1トナー搬送コイル
71 第2トナー搬送コイル
81 トナーカートリッジ
83 第2補給ローラ
84 リサイクルトナー用ホッパー

Claims (2)

  1. トナーのリサイクルシステムを採用する画像形成方法に使用される、少なくとも、ポリエステルを主体とするバインダー樹脂、着色剤、及び帯電制御剤を、溶融、混練した後、粉砕して得られるトナーであって、該トナー中のテトラヒドロフラン(THF)溶解分のゲルパーメーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布において、分子量(重量平均、以下同じ)10万から1000万の間に機械的な剪断により得られるサブピークを有し、且つ該トナーを30℃、60%RHの雰囲気下に24時間放置したときのトナーの含水量が5000ppm以下であり、該バインダー樹脂がTHF不溶解成分を5〜40重量%含有し、THF不溶解成分のTHF膨潤度が2〜20%であり、分子量5000〜10000の領域にピークトップを有し、分子量10000以下が35〜55%であり、該トナーが高架式フローテスターで測定した測定値が下記の式1及び式2を満たし、前記帯電制御剤が、少なくとも、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、含金属ニグロシン染料、含金属脂肪酸変性ニグロシン染料、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯体の何れか1つを含む、ことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    Figure 0003911620
    Figure 0003911620
  2. トナーリサイクルシステムを採用する画像形成方法において、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを使用することを特徴とする画像形成方法。
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