JPH09241814A - Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09241814A
JPH09241814A JP33810296A JP33810296A JPH09241814A JP H09241814 A JPH09241814 A JP H09241814A JP 33810296 A JP33810296 A JP 33810296A JP 33810296 A JP33810296 A JP 33810296A JP H09241814 A JPH09241814 A JP H09241814A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
galvanized steel
dip galvanized
hot
plating bath
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33810296A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Oi
利彦 大居
Akira Takase
朗 高瀬
Takafumi Yamaji
隆文 山地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP33810296A priority Critical patent/JPH09241814A/ja
Publication of JPH09241814A publication Critical patent/JPH09241814A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板表面の不均一が存在する鋼板でも、スパ
ングルの均一性が確保され、良好な表面外観品質が得ら
れる。 【解決手段】 鋼板を連続式溶融めっき設備に装入し
て、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっきを行うに
際し、めっき浴中に設けられるシンクロールの位置を変
動させて、鋼板がめっき浴中を通過する際の浸漬時間を
所定の時間に制御するAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法であり、また、前記浸漬時間を2秒以上とする。更
には上記方法により製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼
板の表面にクロメート処理液、樹脂含有クロメート処理
液等で処理する方法及びそれらの処理により得られるAl
含有溶融亜鉛めっき鋼板も同様に良好な表面外観品質が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続式溶融めっき
設備を使用した、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法及びその製造方法により製造された
Al含有溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Al含有溶融亜鉛めっき鋼板はめっき外観
が美麗でかつ耐食性に優れていることから、クロメート
液、樹脂含有クロメート処理液等による化成処理を施し
て、無塗装状態のままロールフォーミングにより成形加
工され、建屋の屋根、あるいは外壁等に広く用いられて
いる。
【0003】Al含有溶融亜鉛めっきが施される鋼板(め
っき母材という)は、熱間圧延→酸洗工程を経た後の熱
延鋼板、または熱間圧延→酸洗→冷間圧延工程を経た後
の冷延鋼板が使用される。これらのめっき前工程を経た
鋼板は、例えば特開昭51−81743 号公報に開示されてい
る、図4に示すような連続式溶融めっき設備に装入され
る。
【0004】装入された鋼板1は、先ず還元雰囲気を持
つ焼鈍炉2内に入り、加熱され還元焼鈍された後に、下
端をめっき浴5に浸漬したスナウト3の中からめっき浴
5内に入る。ここで鋼板1の表面には溶融金属が付着す
る。この後、鋼板1はシンクロール6を経由し、めっき
浴5内より排出される過程で、ワイピングノズル7から
鋼板1の表面に向かって気体が噴射されて、めっき付着
量が調整され、めっき皮膜が形成される。
【0005】このように製造されるAl含有溶融亜鉛めっ
き鋼板の表面には、付着した溶融金属の凝固組織に対応
したスパングルと称される模様が現れる。このスパング
ルの大きさが均一になる(これをスパングルの均一性が
確保されるという)と、表面外観品質の良好なめっき鋼
板が得られることが知られている。
【0006】また、スパングルの大きさは、主に、鋼板
の表面に付着した溶融金属の凝固過程における核生成や
デンドライト成長によって決定される。このため、従来
より、めっき浴組成、めっき後の冷却速度等のめっき操
業条件を所定の管理範囲に精度良く管理して、スパング
ルの均一性の確保に努めてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同一鋼
板製造条件で製造された鋼板を使用し、しかも上述のめ
っき操業条件が精度良く管理されても、めっき後のスパ
ングルの大きさは、コイル間あるいはコイル内の位置
(幅方向および長手方向)で大きくバラツイてしまい、
従来より問題となっていた。
【0008】この原因は、めっき前工程の鋼板製造過程
において、鋼板表面に生じる酸化状態や濃化元素の不均
一性(バラツキ)に起因し、この不均一性が存在したま
ま、Al含有溶融亜鉛めっきすると、鋼板表面の不均一性
に対応して、スパングルの大きさはバラツイてしまい、
表面外観品質が劣化することが、本発明者らの調査によ
り明らかにされた。
【0009】加えて、詳しくは後述するように、不均一
性が存在する鋼板表面にAl含有溶融亜鉛めっきを施す場
合、Zn−Al合金の凝固特性から、Al含有量が20重量%以
下の場合に比べ、Al含有量が20重量%以上の場合の方
が、スパングルの不均一性が助長され易く、表面外観品
質が劣化し易いことが、本発明者らの調査により明らか
にされた。
【0010】上記のような不均一性が存在するAl含有溶
融亜鉛めっき鋼板の表面にクロメート液、樹脂含有クロ
メート処理液等による化成処理を施しても、同様に表面
外観品質が劣化することが、本発明者らの調査により明
らかにされた。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るために提案されたものであって、Alを20重量%以上含
有する溶融亜鉛めっきを施す場合において、鋼板表面の
不均一性が存在する鋼板を使用しても、スパングルの均
一性が確保されて、良好な表面外観品質の得られるAl含
有溶融亜鉛めっき鋼板、更にはその鋼板表面にクロメー
ト、樹脂等の処理を施したAl含有溶融亜鉛めっき鋼板及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、鋼板
を連続式溶融めっき設備に装入して、Alを20〜95重量%
含有する溶融亜鉛めっきを行うに際し、めっき浴中に設
けられるシンクロールの位置を変動させて、鋼板がめっ
き浴中を通過する際の浸漬時間を所定の時間に制御する
ことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
である。
【0013】本発明者らは、前述の課題を解決するた
め、Al含有溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際の、Zn−Al
合金の凝固特性とスパングルとの関係について鋭意調
査、研究を行った。
【0014】この結果、Al含有量が20重量%未満では、
スパングル模様はZnがAlを固溶して凝固したデンドライ
ト組織に対応し、Al含有量が20重量%以上では、AlがZn
を固溶して凝固したデンドライト組織に対応した凝固組
織が生成する。言い換えると、Al含有量が20重量%を境
に、異なる金属凝固組織が生成し、同じスパングルと称
するものでも、凝固組織に対応してめっき後の表面外観
品質は異なることを見出した。
【0015】前者のAl含有量が20重量%未満のめっき鋼
板は、後述するAl含有量が20重量%以上のめっき鋼板に
比べ、スパングルの均一性を確保しても、良好な表面外
観品質は得られ難く、外観品質が問題にならない用途に
使用されたり、また耐食性も十分でないため、めっき後
の表面に塗装を施して使用される。このため、前述の課
題を解決できず、本発明範囲から外れる。
【0016】一方、後者のAl含有量が20重量%以上のめ
っき鋼板は、スパングル自体が美麗な光沢を有し、また
Al含有量が多く耐食性が良好であるため塗装を行わず
に、スパングル模様自体に意匠性を持たせて使用するこ
とが可能となる。
【0017】また、Al含有量が95重量%を超えると、Al
めっきに近くなり、鋼板表面にスパングル模様が鮮明に
現れなくなってくるため、95重量%を上限とする。
【0018】以上説明したことより、スパングルの不均
一性が問題となるのは、Al含有量が20重量%以上、95重
量%以下の範囲であり、本発明ではAl含有量をこの範囲
に限定し、加えて後述する手段によりスパングルの均一
性を確保することにより、良好な表面外観品質が得られ
る。
【0019】次に、本発明者らは、前記課題を解決する
ため、鋼板がめっき浴中を通過する際の浸漬時間と、ス
パングルとの関係について調査、研究した。この結果、
浸漬時間が長くなるほど、スパングルの不均一性(大き
さのバラツキ)は解消されることを見出した。
【0020】これは、凝固初期には、鋼板表面の酸化状
態や濃化元素の不均一性が、直接、溶融亜鉛めっきの凝
固進行に反映して、めっき浴内での凝固が不均一に進行
するが、浸漬時間が長くなるに従い、不均一凝固が解消
されて、スパングルの不均一性が除去されるためであ
る。
【0021】このようにスパングルの均一性に直接、影
響を与えることが判明したため、浸漬時間は、めっき浴
組成等のめっき操業条件や、鋼板の品種等に対応して、
最適な浸漬時間が設定されて、スパングルの均一性が確
保されるべきである。
【0022】しかしながら、コイル接続等の非定常操業
時や、板厚が増加した場合、焼鈍炉の加熱能力制約か
ら、通板速度は低下してしまい、最適な浸漬時間が確保
されない。このため、従来技術では、スパングルの均一
性が確保されず、メッキ表面外観品質は劣化してしま
う。
【0023】本発明では、上述のように通板速度が変化
した場合でも、連続式溶融めっき設備を構成するめっき
槽内に配置されるシンクロールの位置を変動させるもの
である。このシンクロールの位置を変動させることによ
り、めっき浴内に浸漬する鋼板長さは変動し、鋼板がめ
っき浴中を通過する際の浸漬時間を所定の時間(言い換
えると、最適な浸漬時間)に制御することが可能とな
る。この結果、スパングルの均一性が確保されて、良好
な表面外観品質が得られる。
【0024】請求項2の発明は、請求項1に係る発明に
おいて、浸漬時間を2秒以上とすることを特徴とするAl
含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0025】前述の浸漬時間とスパングルとの調査結果
より、浸漬時間を2秒以上とすることにより、本発明者
らの提唱するスパングル均一性インデックスは1.0〜1.5
の範囲に確保されることが判明した。2秒以上確保する
ことにより、スパングルの均一性が確保されて、良好な
表面外観品質が得られる。
【0026】請求項3に係る発明は請求項1又は請求項
2に係る発明により製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼
板の表面に、クロメート処理を施すことを特徴とするAl
含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0027】Al含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロ
メート処理を施すことを必須としている。前述のよう
に、Alを20〜95重量%含有するめっき鋼板は、スパング
ル模様自体に意匠性を持たせて使用されることが多い。
溶融めっき処理を行った後、表面にそれ以上何も処理を
施さないと、製品が使用されるまでの保管中および運送
中に、鋼板表面に錆を生じてしまうことがある。
【0028】そうなると、いかにスパングル模様の均一
性が良好でも、表面外観品質としては劣化してしまうこ
とになる。
【0029】ゆえに、クロメート処理は、このような保
管中および運送中の錆発生を防止するために行われる。
なお、クロメート処理の方法には、反応型、塗布型、電
解型等があるが、どのような方法で行っても良い。
【0030】また、クロメート処理設備を連続式溶融め
っき設備に設置して連続で行ってもよいし、連続式溶融
めっき設備とは別に設けて行っても良い。
【0031】請求項4に係る発明は請求項3に係る発明
において、全クロム含有量に対する6価クロム含有量の
比がモル比で0.5以上であるクロメート処理液でクロ
メート処理を施すことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法である。
【0032】全クロム含有量に対する6価クロム含有量
の比を規定したのは、0.5未満であると、製品が使用
されるまでの保管中および運送中に、鋼板表面が黒変し
やすくなり、やはり表面外観品質の劣化をもたらすから
である。
【0033】請求項5に係る発明は請求項3又は請求項
4に係る発明において、クロメート処理を施した後に、
樹脂を塗布することを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法である。
【0034】樹脂を塗布するのは、上述したクロメート
処理による効果を保持させ、又は補完するものであり、
Al含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に形成されたスパング
ル模様の均一性を保持し、表面外観品質を良好に保持さ
せる。
【0035】樹脂はスパングル模様の均一性を劣化させ
ないものであれば良く、アクリルエマルジョン樹脂等を
用いることができる。
【0036】請求項6に係る発明は請求項3又は請求項
4に係る発明において、樹脂を含有させたクロメート処
理液でクロメート処理を施すことを特徴とするAl含有溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0037】樹脂を塗布するのは、上述したように、ク
ロメート処理による効果を保持させ、又は補完するもの
であることから、樹脂を含有させたクロメート処理液で
クロメート処理を施しても、同様の効果ができることに
よる。
【0038】これによって、Al含有溶融亜鉛めっき鋼板
の表面に形成されたスパングル模様の均一性を保持し、
表面外観品質を良好に保持させる。
【0039】請求項7に係る発明は鋼板を連続式溶融め
っき設備に装入して、Alを20〜95重量%含有する溶融亜
鉛めっきを行うに際し、めっき浴中に設けられるシンク
ロールの位置を変動させて、鋼板がめっき浴中を通過す
る際の浸漬時間を所定の時間に制御して製造されたAl含
有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、金属クロム換算で2〜
100mg/m2 のクロメート皮膜を形成させたことを
特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0040】上記のようにして製造されたAl含有溶融亜
鉛めっき鋼板の表面に、クロメート皮膜を形成させたの
は、請求項3に係る発明の際に述べた理由によるもので
ある。この場合、全クロメート付着量が金属クロム換算
で2〜100mg/m2 の皮膜を形成させることが必要
である。
【0041】下限を金属クロム換算で2mg/m2 とし
たのは、これよりも少ないと前述した保管中及び運送中
の錆発生防止効果が充分ではないためである。上限を金
属クロム換算で100mg/m2 としたのは、これより
も多いと製造コスト等の面から経済的に不利になるだけ
でなく、着色が目立つようになって、やはり表面外観品
質の劣化をもたらすためである。
【0042】請求項8に係る発明は、鋼板を連続式溶融
めっき設備に装入して、Alを20〜95重量%含有する溶融
亜鉛めっきを行うに際し、めっき浴中に設けられるシン
クロールの位置を変動させて、鋼板がめっき浴中を通過
する際の浸漬時間を所定の時間に制御して製造されたAl
含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、全クロメート付着量
が金属クロム換算で2〜100mg/m2 で樹脂を含む
皮膜を形成させたことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっ
き鋼板である。
【0043】本発明によれば、クロメート皮膜の上に樹
脂皮膜を形成した場合と、樹脂とクロメートの混った皮
膜を形成した場合が適用できる。
【0044】請求項5または請求項に係る発明の際に述
べた理由によるものである。どちらの場合でも全クロメ
ート付着量が金属クロム換算で2〜100mg/m 2
皮膜を形成させることが必要である。限定理由は請求項
7の発明の際に述べた理由によるものである。
【0045】樹脂はスパングル模様の均一性を劣化させ
ないものであれば良く、アクリルエマルジョン樹脂等を
用いることができる。
【0046】通常用いられる樹脂の付着量は0.5〜
4.0g/m2 である。0.5g/m2 未満では効果が
期待できず、4.0g/m2 を超えた場合は効果が横這
いである。
【0047】請求項9に係る発明は請求項7又は請求項
8に係る発明において、めっき浴中を通過する際の浸漬
時間を2秒以上とすることを特徴とするAl含有溶融亜鉛
めっき鋼板である。浸漬時間を2秒以上に限定したの
は、請求項2に述べた理由による。
【0048】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る連続式溶融
めっき設備の一実施の形態を示す。本実施形態では、ス
ナウト3側(めっき浴侵入部)に鋼板侵入角度変更ロー
ル8が設けられている。また図示していないが、シンク
ロール6の位置を上下に可動させるための上下可動用駆
動装置、可動距離測定装置が設けられ、更に図示してい
ないが、図4と同様に焼鈍炉、ワイパーノズルが備えら
れている。
【0049】シンクロール6は、ロールの両軸端部を2
本の吊下げアームによって吊り下げられて、めっき浴内
に浸漬される。この吊下げアームには、シンクロール6
の上下可動用駆動装置および可動距離測定装置が設けら
れている。
【0050】鋼板侵入角度変更ロール8は、2個の小ロ
ールと、この小ロール1個を上下に可動させるための可
動用駆動装置(図示しない)から構成される。シンクロ
ール位置が上下に可動すると、鋼板1のめっき浴への侵
入角度θが変化する。このため、小ロールの可動用駆動
装置はシンクロール6の位置に連動して可動して、鋼板
1とスナウト3との接触が避けられる。
【0051】図1のようにシンクロールが配置される場
合、めっき浴内に浸漬している鋼板浸漬長さは、幾何学
的に下記の(1) 式により表され、めっき浴内を通過する
際の鋼板の浸漬時間は、下記の(2) 式により算出され
る。
【0052】 Y=L(1+1/sin θ) +r(cosθ/ sin θ+π/2+θ) ・・・・・・・・・・(1) 式 T=60×{L(1+1/sin θ) +r(cosθ/ sin θ+π/2+θ) }/ S ・・・・・・・・・ (2) 式 ここで、Yは鋼板浸漬長さ (m)、L(m)はめっき浴面〜
シンクロール中心間の距離(シンクロールの浸漬深さで
あり、以降、シンクロールの位置Lという)、θ(rad)
は鋼板侵入角度、r(m)はシンクロール半径、S(mpm)
は通板速度、T(sec)は鋼板の浸漬時間、X(m)はスナ
ウト中心からシンクロール中心までの水平距離である。
【0053】シンクロールの位置L、シンクロール半径
rまたは水平距離Xを変化させることにより、鋼板浸漬
長さYの値〔(1) 式により算出される値〕が変化する
が、浸漬時間Tは(2) 式により精度良く計算できる。
【0054】上記3つの浸漬時間Tの変動要因の内、ど
の要因を変動させても良いが、本発明では、シンクロー
ルの位置Lを上下方向に可動させて、浸漬時間T(sec)
を所定の時間(最適な浸漬時間)に制御する。
【0055】また、通板速度を制御する制御装置と、シ
ンクロールの上下可動用駆動装置、可動距離測定装置と
は、電気回路上連絡しており、通板速度Sが変化した場
合、この速度変化に対応してシンクロールの位置Lは、
瞬時にかつ自在に上方向または下方向に所定距離だけ可
動して、浸漬時間Tは所定の時間(最適な浸漬時間)に
制御される。
【0056】更に通板速度Sは、めっき操業条件の他
に、焼鈍炉の加熱能力によって決まるものであるが、加
熱能力に余裕があり、めっき品質に問題がなければ、通
板速度Sを変動させて、浸漬時間Tを所定の時間に制御
しても良い。
【0057】また、本発明においては、図1で述べたよ
うに、鋼板を連続式溶融めっき設備に装入して、Alを20
〜95重量%含有する溶融亜鉛めっきを行うに際し、めっ
き浴中に設けられるシンクロールの位置を変動させて、
鋼板がめっき浴中を通過する際の浸漬時間を所定の時間
に制御して製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面
に、クロメート処理を施し、クロメート処理を施した後
に、樹脂を塗布し、又は樹脂を含有させたクロメート処
理液でクロメート処理を施すことを行う。
【0058】その場合はクロメート処理設備又はクロメ
ート処理設備と樹脂塗布設備の両方を連続式溶融めっき
設備に設置して連続で行なう。
【0059】この場合、樹脂塗布設備は連続式溶融めっ
き設備とは別に設けても良い。あるいはクロメート処理
設備と樹脂塗布設備の両方を連続式溶融式めっき設備と
は別に設けて行っても良い。
【0060】また、樹脂を含有させたクロメート処理液
でクロメート処理を施す場合は、クロメート処理設備を
一部改造して使用することができる。
【0061】
【実施例】
(実施例1)本発明の効果を確認するため、図1の連続
式溶融めっき設備を使用し、溶融亜鉛めっき鋼板の製造
試験を行った。
【0062】めっき母材として、板幅1050mm、板
厚が0.30〜1.0mm範囲の低炭素Alキルド鋼の冷
延鋼板を使用した。鋼板を連続式溶融めっき設備に装入
し、焼鈍炉内で750℃に加熱し、還元焼鈍した。その
後、炉内で板温を580℃まで冷却した後、溶融めっき
浴に装入した。めっき浴組成は55% Al-1.5 %Si-Zn、
めっき付着量は両面で150g/m2以上とした。
【0063】また、クロメート処理と樹脂塗布は、クロ
メート処理設備と樹脂塗布設備の両方を連続式溶融めっ
き設備に設置して連続で行った。この際のラインスピー
ド(通板速度)Sは120mpm 一定とし、鋼板侵入角度
θは40〜70度の範囲、シンクロール6の位置Lは
0.48〜2.13mの範囲とし、めっき浴内を通過す
る際の浸漬時間Tは1.31〜2.83sec の範囲で変
化させて製造試験を行った。その他の製造条件は同等材
を通板するときの標準的な条件とした。
【0064】めっき後の表面外観品質は、本発明者らの
提唱する「スパングル均一性インデックス」を用いてス
パングルの大きさおよび形状の均一性を評価した。ここ
で、「スパングル均一性インデックス」とは、10cm×10
cmの鋼板サンプルから任意に10箇所選定し、1cmの長さ
を横切るスパングルの数をカウントした時に、「スパン
グル均一性インデックス」=「最大カウント値」/「最
小カウント値」と定義する。「スパングル均一性インデ
ックス」が、1.0〜1.5の範囲にあればスパングルの均一
性は良好であると判定する。
【0065】表1、表2は試験条件とその結果を示す。
また図2は、表1、表2の結果より鋼板の浸漬時間と平
均スパングル径との関係を図示したものであり、図3
は、鋼板の浸漬時間とスパングル均一性インデックスと
の関係を図示したものである。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】図2より、鋼板浸漬時間が長くなるに従
い、平均スパングル径は減少する傾向を示し、また板厚
が薄くなる程、平均スパングル径は小さく、微細化され
た。このスパングルが微細化するのは、めっき浴/鋼板
界面における合金相が、めっき浴浸漬中に発達して、ス
パングルの凝固核が増大するためと考えられる。
【0069】図3より、鋼板浸漬時間が長くなるに従
い、スパングル均一性インデックスは減少する傾向を示
し、2sec以上の浸漬時間が確保される実施例では、
スパングル均一性インデックスが1.0〜1.5の範囲にあ
り、スパングルの均一性が確保され、良好な表面外観品
質が得られた。しかし、2sec未満の比較例では、ス
パングル均一性インデックスは1.5を超えてしまい、ス
パングルの均一性が確保されず、良好な表面外観品質も
得られなかった。
【0070】(実施例2)次に、実施例1の表1に示さ
れる実験番号14、15と同じ条件のAl含有溶融亜鉛め
っき鋼板を供試料として、それにクロメート処理を施し
場合(該当○印)、クロメート処理を施した後に、樹脂
を塗布した場合(該当○印)、及び樹脂を含有させたク
ロメート処理液でクロメート処理を施した場合(該当○
印)に区分してAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の外観目視評
価を行った。外観目視評価は良好(○印)、不良(×
印)で表示した。
【0071】クロメート処理液は全クロム含有量に対す
る6価クロム含有量の比がモル比で0.75とした。
【0072】クロメート付着量は金属クロム換算で15
mg/m2 とした。樹脂にはアクリルエマルジョン樹脂
を用い、樹脂付着量を2.0g/m2 とした。
【0073】比較例として実施例1の表1に示される実
験番号12、13と同じ条件のAl含有溶融亜鉛めっき鋼
板を供試料として用いた。
【0074】表3は試験条件とその結果を示す。
【0075】
【表3】
【0076】表3から明らかなように、本発明例では、
クロメート処理を施し場合、クロメート処理を施した後
に、樹脂を塗布した場合、及び樹脂を含有させたクロメ
ート処理液でクロメート処理を施した場合のいずれも外
観目視評価は良好であった。
【0077】しかし、比較例では、クロメート処理を施
した場合、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布し
た場合、及び樹脂を含有させたクロメート処理液でクロ
メート処理を施した場合のいずれも外観目視評価は不良
であった。
【0078】
【発明の効果】本発明法によれば、連続式溶融めっき設
備におけるシンクロールの位置を変動することにより、
めっき操業条件が変化しても、鋼板がめっき浴中を通過
する際の浸漬時間を所定の時間に制御することができ
る。この結果、スパングルの均一性が確保され、良好な
表面外観品質が得られる。
【0079】また、浸漬時間を2秒以上とすることによ
り、スパングル均一性インデックスは1.0〜1.5の範囲が
確保され、より良好な表面外観品質が得られるAlを20〜
95重量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが
できる。
【0080】さらに、上記のようにして製造されたAlを
20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、ク
ロメート処理を施した場合、クロメート処理を施した後
に、樹脂を塗布した場合、又は樹脂を含有させたクロメ
ート処理液でクロメート処理を施した場合によって製造
されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板は、いずれの場合もそ
の表面に形成されたスパングル模様の均一性を保持し、
表面外観品質を良好に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続式溶融めっき設備の一実施の
形態を示す図である。
【図2】鋼板の浸漬時間と平均スパングル径との関係を
示す図である。
【図3】鋼板の浸漬時間とスパングル均一性インデック
スとの関係を示す図である。
【図4】連続式溶融めっき設備を使用して溶融亜鉛めっ
き鋼板を製造している状況を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 焼鈍炉 3 スナウト 4 めっき槽 5 めっき浴 6 シンクロール 7 ワイピングノズル 8 侵入角度変更ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 28/00 C23C 28/00 C

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を連続式溶融めっき設備に装入し
    て、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっきを行うに
    際し、めっき浴中に設けられるシンクロールの位置を変
    動させて、鋼板がめっき浴中を通過する際の浸漬時間を
    所定の時間に制御することを特徴とするAl含有溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記浸漬時間を2秒以上とすることを
    特徴とする請求項1に記載のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の方法によ
    り製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロ
    メート処理を施すことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっ
    き鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 全クロム含有量に対する6価クロム含
    有量の比がモル比で0.5以上であるクロメート処理液
    でクロメート処理を施すことを特徴とする請求項3記載
    のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 クロメート処理を施した後に、樹脂を
    塗布することを特徴とする請求項3又は請求項4記載の
    Al含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 樹脂を含有させたクロメート処理液で
    クロメート処理を施すことを特徴とする請求項3又は請
    求項4記載のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 鋼板を連続式溶融めっき設備に装入し
    て、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっきを行うに
    際し、めっき浴中に設けられるシンクロールの位置を変
    動させて、鋼板がめっき浴中を通過する際の浸漬時間を
    所定の時間に制御して製造されたAl含有溶融亜鉛めっき
    鋼板の表面に、金属クロム換算で2〜100mg/m2
    のクロメート皮膜を形成させたことを特徴とするAl含有
    溶融亜鉛めっき鋼板。
  8. 【請求項8】 鋼板を連続式溶融めっき設備に装入し
    て、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっきを行うに
    際し、めっき浴中に設けられるシンクロールの位置を変
    動させて、鋼板がめっき浴中を通過する際の浸漬時間を
    所定の時間に制御して製造されたAl含有溶融亜鉛めっき
    鋼板の表面に、全クロメート付着量が金属クロム換算で
    2〜100mg/m2 で、樹脂を含む皮膜を形成させた
    ことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板。
  9. 【請求項9】 めっき浴中を通過する際の浸漬時間を
    2秒以上とすることを特徴とする請求項7又は請求項8
    記載のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板。
JP33810296A 1996-01-05 1996-12-18 Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 Pending JPH09241814A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33810296A JPH09241814A (ja) 1996-01-05 1996-12-18 Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17896 1996-01-05
JP8-178 1996-01-05
JP33810296A JPH09241814A (ja) 1996-01-05 1996-12-18 Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09241814A true JPH09241814A (ja) 1997-09-16

Family

ID=26333100

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33810296A Pending JPH09241814A (ja) 1996-01-05 1996-12-18 Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09241814A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011024290A1 (ja) * 2009-08-28 2011-03-03 大和鋼管工業株式会社 金属めっき鋼管の製造方法及び製造システム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011024290A1 (ja) * 2009-08-28 2011-03-03 大和鋼管工業株式会社 金属めっき鋼管の製造方法及び製造システム
CN102482754A (zh) * 2009-08-28 2012-05-30 大和钢管工业株式会社 金属镀敷钢管的制造方法及制造系统
JP5669739B2 (ja) * 2009-08-28 2015-02-12 大和鋼管工業株式会社 金属めっき鋼管の製造方法及び製造システム
US9249489B2 (en) 2009-08-28 2016-02-02 Daiwa Steel Tube Industries Co., Ltd. Method and system for manufacturing metal-plated steel pipe

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20030168134A1 (en) Alloyed zinc dip galvanized steel sheet
JPH0688187A (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP4102144B2 (ja) 均一塗装性と耐食性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼材およびその製造方法
JP3367442B2 (ja) 意匠性に優れたZn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法
JPH11350164A (ja) 溶融Zn−Al系合金めっき鋼板及びその製造方法
JPH09241814A (ja) Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JPH0355542B2 (ja)
JP3367443B2 (ja) 意匠性に優れたZn−Al−Si合金めっき鋼板の製造方法
JP3367456B2 (ja) スパングル模様の均一な溶融めっき鋼板の製造方法
JPH06212383A (ja) 珪素含有鋼板の溶融亜鉛めっき方法
JPH09157823A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の合金化処理方法およびその合金化 制御装置
JPH08170160A (ja) Si含有高張力(合金化)溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH10158784A (ja) 高強度熱延鋼板
JP3016122B2 (ja) 塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製法
JPH09235661A (ja) Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法
JPH06256925A (ja) プレス成形性に優れた亜鉛−鉄合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JP3400289B2 (ja) めっき密着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2000336466A (ja) 溶融Zn−Al系合金めっき鋼板の製造方法
JP3376914B2 (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法および装置
JP2841898B2 (ja) 表面平滑性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
JPH042758A (ja) プレス成形性及び塗装耐食性に優れた溶融系合金亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH0726360A (ja) 低表面粗度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP3496637B2 (ja) 意匠性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板とその製造方法
JP3643559B2 (ja) 加工性と加工部耐食性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JPH09157819A (ja) 薄目付け溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法