JPH09235327A - 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途 - Google Patents

不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途

Info

Publication number
JPH09235327A
JPH09235327A JP34746196A JP34746196A JPH09235327A JP H09235327 A JPH09235327 A JP H09235327A JP 34746196 A JP34746196 A JP 34746196A JP 34746196 A JP34746196 A JP 34746196A JP H09235327 A JPH09235327 A JP H09235327A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
general formula
carbon atoms
group
tetraene
alkyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP34746196A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3640116B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Tsutsui
俊之 筒井
Masaaki Kawasaki
川崎  雅昭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP34746196A priority Critical patent/JP3640116B2/ja
Publication of JPH09235327A publication Critical patent/JPH09235327A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3640116B2 publication Critical patent/JP3640116B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐
オゾン性、耐熱老化性および低温特性に優れるととも
に、化学反応性、加工性、スチレン・ブタジエンゴム
(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共
加硫性にも優れ、種々のゴム製品の材料や樹脂改質剤な
どの用途に利用できる不飽和オレフィン系共重合体を提
供する。 【解決手段】 炭素数2〜20のα−オレフィンから誘
導される構造単位30〜99.8モル%、芳香環含有ビ
ニルモノマーから誘導される構造単位0.1〜60モル
%、および一分子内に1個のビニル基を有する鎖状非共
役トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単位
0.1〜10モル%を含有し、135℃、デカリン中で
測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gである
不飽和性オレフィン系共重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な不飽和性オ
レフィン系共重合体、製造方法および用途に関し、さら
に詳しくは二重結合を有する側鎖が主鎖に結合している
共重合体であって、種々のゴム製品の材料や樹脂改質剤
などの用途に利用できる不飽和性オレフィン系共重合
体、製造方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】α−オレフィンと非共役ジエンとの共重
合体は、ポリマ−が反応性を有することから、加硫ゴム
用途、変性用途および樹脂改質などとして用いられてい
る。中でもエチレン−α−オレフィン−ジエン系共重合
体は、耐熱性および耐オゾン性が良好であるため、自動
車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用
品およびゴム引布等のゴム製品の材料や、ポリプロピレ
ンおよびポリスチレン等へのプラスチックブレンド用材
料として広く用いられている。しかし、このエチレン−
α−オレフィン−ジエン系共重合体は耐動的疲労性に劣
るため、特定の用途、例えば防振ゴム、ゴムロール、ベ
ルト、タイヤ、振動部のカバー材等には使用されていな
い。一方、天然ゴムは耐動的疲労性に優れるものの、耐
熱性および耐オゾン性に劣り、実用上問題がある。
【0003】また、高級α−オレフィンと非共役ジエン
との共重合体に関して、USP No. 3,933,769、4,064,335
および4,340,705には、高級α−オレフィンと、メチル-
1,4-ヘキサジエンまたはα,ω-ジエンとの共重合体が開
示されている。しかし、上記のメチル-1,4-ヘキサジエ
ンは、4-メチル-1,4-ヘキサジエンと5-メチル-1,4-ヘキ
サジエンとの混合物であって、それぞれのモノマーの反
応率が異なるため、連続で重合を行う場合にモノマーを
回収して用いることが困難である。また高級α-オレフ
ィンとの共重合反応性が、4-メチル-1,4-ヘキサジエン
と5-メチル-1,4-ヘキサジエンとでは異なるため、モノ
マー転化率が悪く効率がよくないという問題点がある。
さらにα,ω-ジエンを用いた場合には、共重合体中にゲ
ルが生じ、これが最終製品での物性に悪影響を及ぼす場
合がある。
【0004】また、上記公報で開示されている高級α−
オレフィン系共重合体の製造方法では、三塩化チタン系
触媒または四塩化チタンと有機アルミニウムとからなる
触媒を用いているため、触媒活性が十分に高くなく、製
造コストが高くなるという不利益がある。さらにこのよ
うにして得たα−オレフィン−非共役ジエン共重合体
は、ジエン系ゴム、例えばSBRなどとの相溶性、共加
硫性が十分ではなく、用途が制限される場合がある。
【0005】本発明者らは、耐動的疲労性(耐屈曲疲労
性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性および低温特性
に優れるとともに、化学反応性、加工性、SBR等の芳
香環含有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れた
重合体を得るべく鋭意検討した結果、α−オレフィン、
特定の芳香環含有ビニルモノマーおよび特定の鎖状ポリ
エンから導かれる構造単位を有し、かつ側鎖に二重結合
を有する不飽和性オレフィン系共重合体は、耐動的疲労
性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性
および低温特性に優れるとともに、化学反応性、加工
性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含
有ポリマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、種々の
ゴム製品の材料や樹脂改質剤などの用途に利用できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来の問題点を解決するため、耐動的疲労性(耐屈曲疲
労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性および低温特
性に優れるとともに、化学反応性、加工性、スチレン・
ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの
相溶性および共加硫性にも優れ、種々のゴム製品の材料
や樹脂改質剤などの用途に利用できる不飽和オレフィン
系共重合体を提供することである。本発明の他の目的
は、上記不飽和オレフィン系共重合体を効率よく製造す
る方法を提案することである。本発明のさらに他の目的
は、上記不飽和オレフィン系共重合体を含み、耐動的疲
労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化
性および低温特性に優れるとともに、化学反応性、加工
性、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含
有ポリマーとの相溶性および共加硫性に優れたゴム組成
物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の不飽和オ
レフィン系共重合体、製造方法および用途である。 (1)(I)炭素数2〜20のα−オレフィン(a−
1)と、下記一般式(1)で表される芳香環含有ビニル
モノマー(a−2)と、一分子中に1個のビニル基を有
する鎖状非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)と
のランダム共重合体であり、(II)炭素数2〜20のα
−オレフィン(a−1)から誘導される構造単位(b−
1)30〜99.8モル%、下記一般式(1)で表され
る芳香環含有ビニルモノマー(a−2)から誘導される
構造単位(b−2)0.1〜60モル%、および前記非
共役トリエンまたはテトラエン(a−3)から誘導され
る構造単位(b−3)0.1〜10モル%を含有し、(I
II)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]が
0.05〜10dl/gである不飽和性オレフィン系共重
合体。
【化13】 〔一般式(1)中、mは0〜5の整数であり、R1、R2
およびR3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素
原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕 (2)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が、
ビニル基に隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭化水素基
と2個の水素原子とが結合している非共役トリエンまた
はテトラエンである上記(1)記載の不飽和性オレフィ
ン系共重合体。 (3)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が下
記一般式(2−1)で表される化合物であり、非共役ト
リエンまたはテトラエンから誘導される構造単位(b−
3)が下記一般式(3−1)で表される構造単位である
上記(2)記載の不飽和性オレフィン系共重合体。
【化14】 〔一般式(2−1)中、pおよびqは0または1(ただ
しpとqとは同時に0ではない)、fは0〜5の整数
(ただしpとqの両方が1の場合fは0ではない)、g
は1〜6の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6および
7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8
炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1
〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)
12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10
よびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、
12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(ただ
し、pとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭
素数1〜5のアルキル基である)。一般式(3−1)
中、p、q、f、gおよびR1〜R9は一般式(2−1)
と同じである。〕 (4)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が下
記一般式(2−2)で表される化合物であり、非共役ト
リエンまたはテトラエンから誘導される構造単位(b−
3)が下記一般式(3−2)で表される構造単位である
上記(3)記載の不飽和性オレフィン系共重合体。
【化15】 〔一般式(2−2)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水
素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数
1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5の
アルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12
表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR
11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12
炭素数1〜5のアルキル基である)である。一般式(3
−2)中、f、gおよびR1〜R9は一般式(2−2)と
同じである。〕 (5)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が下
記一般式(2−3)で表される化合物であり、非共役ト
リエンまたはテトラエンから誘導される構造単位(b−
3)が下記一般式(3−3)で表される構造単位である
上記(3)記載の不飽和性オレフィン系共重合体。
【化16】 〔一般式(2−3)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
ルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基
または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基
(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
5のアルキル基である)である。一般式(3−3)中、
f、g、R1、R2およびR5〜R9は一般式(2−3)と
同じである。〕 (6)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が下
記一般式(2−4)で表される非共役テトラエンであ
り、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構
造単位(b−3)が下記一般式(3−4)で表される構
造単位である上記(5)記載の不飽和性オレフィン系共
重合体。
【化17】 〔一般式(2−4)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
ルキル基、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
5のアルキル基である。一般式(3−4)中、f、g、
1、R2、R5〜R8、nおよびR10〜R12は一般式(2
−4)と同じである。〕 (7)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が下
記一般式(2−5)で表される非共役トリエンであり、
非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単
位(b−3)が下記一般式(3−5)で表される構造単
位である上記(5)記載の不飽和性オレフィン系共重合
体。
【化18】 〔一般式(2−5)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
ルキル基、R9は水素原子または炭素数1〜5のアルキ
ル基である。 一般式(3−5)中、f、g、R1、R2
およびR5〜R9は一般式(2−5)と同じである。〕 (8)(I)炭素数2〜20のα−オレフィン(a−
1)と、前記一般式(1)で表される芳香環含有ビニル
モノマー(a−2)と、一分子中に1個のビニル基を有
する鎖状非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)と
を、遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物および
/またはイオン化イオン性化合物とから形成される触媒
の存在下にランダム共重合させて、(II)炭素数2〜2
0のα−オレフィン(a−1)から誘導される構造単位
(b−1)30〜99.8モル%、前記一般式(1)で
表される芳香環含有ビニルモノマー(a−2)から誘導
される構造単位(b−2)0.1〜60モル%、および
前記非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)から誘
導される構造単位(b−3)0.1〜10モル%を含有
し、(III)135℃、デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.05〜10dl/gである不飽和性オレフィ
ン系共重合体を得る不飽和性オレフィン系共重合体の製
造方法。 (9)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が、
ビニル基に隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭化水素基
と2個の水素原子とが結合している非共役トリエンまた
はテトラエンであり、非共役トリエンまたはテトラエン
から誘導される構造単位(b−3)が、ポリマー主鎖に
隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭化水素基と2個の水
素原子とが結合している構造単位である上記(8)記載
の製造方法。 (10)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が
前記一般式(2−1)で表される化合物であり、非共役
トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単位(b
−3)が前記一般式(3−1)で表される構造単位であ
る上記(9)記載の製造方法。 (11)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が
前記一般式(2−2)で表される化合物であり、非共役
トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単位(b
−3)が前記一般式(3−2)で表される構造単位であ
る上記(9)記載の製造方法。 (12)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が
前記一般式(2−3)で表される化合物であり、非共役
トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単位(b
−3)が前記一般式(3−3)で表される構造単位であ
る上記(9)記載の製造方法。 (13)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が
前記一般式(2−4)で表される非共役テトラエンであ
り、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構
造単位(b−3)が前記一般式(3−4)で表される構
造単位である上記(9)記載の製造方法。 (14)非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)が
前記一般式(2−5)で表される非共役トリエンであ
り、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構
造単位(b−3)が前記一般式(3−5)で表される構
造単位である上記(9)記載の製造方法。 (15)上記(1)ないし(7)のいずれか記載の不飽
和性オレフィン系共重合体(A)と、下記(B)、
(C)および(D)の中の少なくとも1種の成分とを含
むゴム組成物。(B)不飽和性オレフィン系共重合体
(A)100重量部に対して300重量部以下の量の補
強剤、(C)不飽和性オレフィン系共重合体(A)10
0重量部に対して200重量部以下の量の軟化剤、
(D)不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量
部に対して0.05〜15重量部の量の加硫剤。
【0008】《不飽和性オレフィン系共重合体(A)》
本発明で用いられる炭素数2〜20のα−オレフィン
(a−1)としては、具体的にはエチレン、プロピレ
ン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-
ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、
4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメ
チル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル
-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デ
セン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、
1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどがあげられる。
【0009】これらの中ではエチレン、プロピレン、1-
ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテ
ンおよび1-デセンが好ましい。特にエチレン単独、また
はエチレンとプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メ
チル-1-ペンテン、1-オクテンおよび/または1-デセン
とを組合せて用いるのが好ましい。エチレンと他のα−
オレフィンとの比は、エチレン/α−オレフィンのモル
比で100/0〜45/55、好ましくは100/0〜
55/45であることが望ましい。特に95/5〜60
/40が、ゴムとしての低温特性により優れている。上
記モル比が上記範囲にある場合、加硫特性および低温特
性に優れた不飽和性オレフィン系共重合体(A)が得ら
れる。また炭素数6以上のα−オレフィンを単独で、ま
たは炭素数2〜5のα−オレフィンと組合せて用いるこ
とも好ましい。この場合炭素数6以上のα−オレフィン
が全α−オレフィンの40〜100モル%、好ましくは
60〜100モル%であることが望ましい。炭素数6以
上のα−オレフィンとしては直鎖状のものが好ましい。
α−オレフィン(a−1)は、単独であるいは2種以上
組合せて用いられる。
【0010】本発明で用いられる前記一般式(1)で表
される芳香環含有ビニルモノマー(a−2)としては、
例えばスチレン、アリルベンゼン、4-フェニルブテン-
1、3-フェニルブテン-1、4-(4-メチルフェニル)ブテ
ン-1、4-(3-メチルフェニル)ブテン-1、4-(2-メチル
フェニル)ブテン-1、4-(4-エチルフェニル)ブテン-
1、4-(4-ブチルフェニル)ブテン-1、5-フェニルペン
テン-1、4-フェニルペンテン-1、3-フェニルペンテン-
1、5-(4-メチルフェニル)ペンテン-1、4-(2-メチル
フェニル)ペンテン-1、3-(4-メチルフェニル)ペンテ
ン-1、6-フェニルヘキセン-1、5-フェニルヘキセン-1、
4-フェニルヘキセン-1、3-フェニルヘキセン-1、6-(4-
メチルフェニル)ヘキセン-1、5-(2-メチルフェニル)
ヘキセン-1、4-(4-メチルフェニル)ヘキセン-1、3-
(2-メチルフェニル)ヘキセン-1、7-フェニルヘプテン
-1、6-フェニルヘプテン-1、5-フェニルヘプテン-1、4-
フェニルヘプテン-1、8-フェニルオクテン-1、7-フェニ
ルオクテン-1、6-フェニルオクテン-1、5-フェニルオク
テン-1、4-フェニルオクテン-1、3-フェニルオクテン-1
および10-フェニルデセン-1などがあげられる。これら
の中ではスチレン、アリルベンゼンおよび4-フェニルブ
テン-1が好ましく、特にスチレンおよび4-フェニルブテ
ン-1が好ましい。これらの芳香環含有ビニルモノマー
(a−2)は、単独であるいは2種以上組合せて用いら
れる。
【0011】本発明で用いられる鎖状非共役トリエンま
たはテトラエン(a−3)は、一分子中に1個のビニル
基(CH2=CH−)を有し、かつ3個または4個の炭
素−炭素二重結合(C=C)を有する炭化水素化合物で
ある。なお3個または4個の炭素−炭素二重結合には、
ビニル基の炭素−炭素二重結合も含まれる。
【0012】本発明で用いられる非共役トリエンまたは
テトラエン(a−3)の一分子当たりの総炭素数(2種
以上の非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)を併
用する場合にはそれらの平均炭素数)は特に限定されな
いが、好ましくは9〜30個、さらに好ましくは10〜
25個、特に好ましくは10〜22個であることが望ま
しい。炭素数が上記範囲にある非共役トリエンまたはテ
トラエン(a−3)は、精製などの取扱いが容易である
ので有利である。
【0013】また本発明で用いられる非共役トリエンま
たはテトラエン(a−3)の一分子中に含まれる全ての
炭素−炭素二重結合に隣接した全ての炭素原子に直接結
合している水素原子の合計は特に限定されないが、好ま
しくは9〜33個、さらに好ましくは12〜33個、特
に好ましくは14〜33個であることが望ましい。なお
この水素数は、2種以上の非共役トリエンまたはテトラ
エン(a−3)を併用する場合、これらの平均水素数で
ある。水素原子の合計がこのような範囲にある非共役ト
リエンまたはテトラエン(a−3)は、加硫速度の速い
不飽和性オレフィン系共重合体(A)が得られるので好
ましい。
【0014】上記「水素数の数え方」について、具体的
に説明する。下記式(4)の化合物では、全ての炭素−
炭素二重結合は、1−2炭素(ビニル基のもの)、4−
5炭素、12−14炭素および16−17炭素の4個で
ある。そして、これらの炭素−炭素二重結合に隣接する
全ての炭素原子は、付番3、6、7、11、13、1
5、18の炭素となる(付番8、9、10および19の
炭素は含まれない)。従って全ての炭素−炭素二重結合
に隣接する全ての炭素原子に結合している水素数の合計
は、付番3番に2個、6番に3個、7番に2個、11番
に2個、13番に3個、15番に2個、および18番に
2個であるから、16個となる。
【0015】
【化19】
【0016】また、後述する本発明に対する比較例とし
て用いられる下記式(5)の化合物(5-エチリデン-2-
ノルボルネン)では、全ての炭素−炭素二重結合は、2
−3炭素および5−8炭素の2個である。そして、これ
らの炭素−炭素二重結合に隣接する全ての炭素原子は、
付番1、4、6および9となる(付番7の炭素は含まれ
ない)。従って全ての炭素−炭素二重結合に隣接する全
ての炭素原子に結合している水素数の合計は、付番1番
に1個、4番に1個、6番に2個、および9番に3個で
あるから、7個となる。
【0017】
【化20】
【0018】本発明では、鎖状非共役トリエンまたはテ
トラエン(a−3)は、少なくとも1種以上用いられ
る。本発明においては、非共役トリエンまたはテトラエ
ン(a−3)としては、ビニル基に隣接した炭素原子
に、1個の鎖状炭化水素基と2個の水素原子とが結合し
ている非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。す
なわち、非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)中
のビニル基に、メチレン基(−CH2−)が隣接してい
る非共役トリエンまたはテトラエンが好ましい。このよ
うな非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)として
は、下記一般式(2−1)で表される化合物があげられ
る。
【0019】
【化21】 〔一般式(2−1)中、pおよびqは0または1(ただ
しpとqとは同時に0ではない)、fは0〜5の整数
(ただしpとqの両方が1の場合fは0ではない)、g
は1〜6の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6および
7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8
炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1
〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)
12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10
よびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、
12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(ただ
し、pとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭
素数1〜5のアルキル基である)。〕
【0020】一般式(2−1)の化合物において、R1
〜R12で示される炭素数1〜5のアルキル基としては、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-
ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基およ
びペンチル基などがあげられる。
【0021】一般式(2−1)で表される非共役トリエ
ンまたはテトラエン(a−3)の中では、一般式(2−
2)または(2−3)で表される非共役トリエンまたは
テトラエン(a−3)などが好ましい。一般式(2−
3)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−
3)は、一般式(2−4)で表される非共役テトラエン
および一般式(2−5)で表される非共役トリエンであ
る。以下、これらの非共役トリエンまたはテトラエン
(a−3)について順次説明する。
【0022】《非共役トリエンまたはテトラエン(a−
3)》一般式(2−1)で表される非共役トリエンまた
はテトラエン(a−3)の中では、下記一般式(2−
2)で表される鎖状非共役トリエンまたはテトラエン
(a−3)が好ましい。
【化22】 〔一般式(2−2)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水
素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数
1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5の
アルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12
表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR
11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12
炭素数1〜5のアルキル基である)である。〕
【0023】一般式(2−2)で表される非共役トリエ
ンまたはテトラエン(a−3)は、前記一般式(2−
1)において、pが0、qが1の化合物である。一般式
(2−2)において、R1、R2、R3、R4、R5および
6は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ま
しくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、特に
好ましくはR1、R2、R5およびR6が全て水素原子であ
る。R1、R2、R5およびR6が全て水素原子である場
合、重合反応性に優れ、しかも加硫速度および熱安定性
に優れた不飽和性オレフィン系共重合体(A)が得られ
る。
【0024】一般式(2−2)において、R7は水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原
子または炭素数1〜3のアルキル基である。一般式(2
−2)において、R8は炭素数1〜5、好ましくは1〜
3のアルキル基である。一般式(2−2)において、R
9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基(好ましくは
1〜3のアルキル基)または−(CH2)n−CR10=C
(R11)R12で表される基[ここで、nは1〜5、好まし
くは1〜3の整数、R10およびR11は水素原子または炭
素数1〜5のアルキル基、好ましくは水素原子または炭
素数1〜3のアルキル基、R12は炭素数1〜5、好まし
くは1〜3のアルキル基である]である。
【0025】一般式(2−2)において、炭素数1〜5
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピ
ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブ
チル基、t-ブチル基、ペンチル基などがあげられる。
【0026】一般式(2−2)で表される非共役トリエ
ンまたはテトラエン(a−3)としては、具体的には下
記化合物などがあげられる。下記化合物の中では、式
(6−1)の6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン(D
MUT)、式(6−2)の5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエ
ン(DMDT)、式(6−11)、(6−15)、(6−3
2)および(6−52)が好ましい。
【0027】
【化23】
【0028】
【化24】
【0029】
【化25】
【0030】
【化26】
【0031】
【化27】
【0032】
【化28】
【0033】
【化29】
【0034】これらは、単独であるいは2種以上組合せ
て用いられる。一般式(2−2)で表される非共役トリ
エンまたはテトラエン(a−3)は、公知の方法によっ
て調製することができる。例えば、まずビニル基含有ハ
ロゲン化物(例えばハロゲン化アリル、ハロゲン化ビニ
ル)と金属Mgとを反応させてグリニヤール試薬(アリ
ル−MgXまたはビニル−MgX)を調製する。次い
で、このグリニヤール試薬と、非共役二重結合含有鎖状
炭化水素のハロゲン化物(例えばハロゲン化ゲラニル)
とを反応させると、遊離基反応により、一般式(2−
2)で表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−
3)を製造することができる。
【0035】《一般式(2−3)で表される非共役トリ
エンまたはテトラエン》一般式(2−1)で表される非
共役トリエンまたはテトラエン(a−3)の中では、下
記一般式(2−3)で表される非共役トリエンまたはテ
トラエン(a−3)も好ましい。
【0036】
【化30】 〔一般式(2−3)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
ルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基
または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基
(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
5のアルキル基である)である。〕
【0037】一般式(2−3)で表される非共役トリエ
ンまたはテトラエン(a−3)は、前記一般式(2−
1)において、pが1、qが0の化合物である。一般式
(2−3)において、R1、R2、R5、R6およびR7
水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは
水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、特に好まし
くはR1、R2、R5およびR6が全て水素原子である。R
1、R2、R5およびR6が全て水素原子である場合、重合
反応性に優れ、しかも加硫速度および熱安定性に優れた
不飽和性オレフィン系共重合体(A)が得られる。
【0038】一般式(2−3)において、R8は炭素数
1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である。一般式
(2−3)において、R9は水素原子、炭素数1〜5の
アルキル基(好ましくは1〜3のアルキル基)、または
−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基[ここ
で、nは1〜5、好ましくは1〜3の整数、R10および
11は水素原子または炭素数1〜5、好ましくは1〜3
のアルキル基、R12は炭素数1〜5、好ましくは1〜3
のアルキル基である]である。R9としては、最も好ま
しくは上記炭素数のアルキル基である。
【0039】一般式(2−3)で表される非共役トリエ
ンまたはテトラエン(a−3)の具体的なものとして、
下記一般式(2−4)で表される非共役テトラエンまた
は下記一般式(2−5)で表される非共役トリエンがあ
げられる。これらの中では、特にR1、R2、R5および
6が全て水素原子である非共役トリエンまたはテトラ
エンが好ましい。R1、R2、R5およびR6が全て水素原
子である場合、重合反応性に優れ、しかも加硫速度およ
び熱安定性に優れた不飽和性オレフィン系共重合体
(A)が得られる。R1、R2、R5およびR6が全て水素
原子である非共役トリエンの例を下記一般式(2−6)
に示す。
【0040】
【化31】 〔一般式(2−4)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
ルキル基、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
5のアルキル基である。一般式(2−5)中、fは0〜
5の整数、gは1〜6の整数、R1、R2、R5、R6およ
びR7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8
は炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子または炭
素数1〜5のアルキル基である。一般式(2−6)中、
f、g、R7およびR8はいずれも一般式(2−5)と同
じである。R7およびR8の中で好ましいものは一般式
(2−3)のものと同じである。R9は水素原子または
炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基であ
る。〕
【0041】一般式(2−4)で表される非共役テトラ
エン(a−3)としては、具体的には下式(7−1)〜
(7−73)の化合物などがあげられる。これらの中で
は式(7−30)の4-エチリデン-8,12-ジメチル-1,7,1
1-トリデカトリエン(EDT)が好ましい。
【0042】
【化32】
【0043】
【化33】
【0044】
【化34】
【0045】
【化35】
【0046】
【化36】
【0047】
【化37】
【0048】
【化38】
【0049】
【化39】
【0050】一般式(2−6)で表される非共役トリエ
ン(a−3)としては、具体的には下記(8−1)〜
(8−24)の化合物などがあげられる。これらの中で
は(8−5)、(8−6)、(8−9)、(8−1
1)、(8−14)、(8−19)および(8−20)
の化合物が好ましい。 (8−1):4-エチリデン-1,6-オクタジエン、 (8−2):7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエ
ン、 (8−3):7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、 (8−4):7-エチル--4-エチリデン-1,6-ノナジエ
ン、 (8−5):6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジ
エン、 (8−6):6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエ
ン、 (8−7):4-エチリデン-1,6-デカジエン、 (8−8):7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、 (8−9):7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-
オクタジエン、 (8−10):4-エチリデン-1,7-ノナジエン、 (8−11):8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン
(EMN)、 (8−12):4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン、 (8−13):8-メチル-4-エチリデン-1,7-ウンデカジエ
ン、 (8−14):7,8-ジメチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエ
ン、 (8−15):7,8-ジメチル-4-エチリデン-1,7-デカジエ
ン、 (8−16):7,8-ジメチル-4-エチリデン-1,7-ウンデカ
ジエン、 (8−17):8-メチル-7-エチル-4-エチリデン-1,7-ウ
ンデカジエン、 (8−18):7,8-ジエチル-4-エチリデン-1,7-デカジエ
ン、 (8−19):9-メチル-4-エチリデン-1,8-デカジエン、 (8−20):8,9-ジメチル-4-エチリデン-1,8-デカジエ
ン、 (8−21):10-メチル-4-エチリデン-1,9-ウンデカジ
エン、 (8−22):9,10-ジメチル-4-エチリデン-1,9-ウンデ
カジエン、 (8−23):11-メチル-4-エチリデン-1,10-ドデカジエ
ン、 (8−24):10,11-ジメチル-4-エチリデン-1,10-ドデ
カジエン。
【0051】上記化合物(8−1)〜(8−24)の化
学式を以下に示す。
【化40】
【0052】
【化41】
【0053】
【化42】
【0054】これらは、単独であるいは2種以上組合せ
て用いられる。本発明においては、非共役トリエンまた
はテトラエン(a−3)は1種または2種以上組合せて
用いることができる。例えば、前記一般式(2−2)で
表される非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)を
2種以上組合せて用いることもできるし、前記一般式
(2−4)で表される非共役テトラエンと、一般式(2
−5)または(2−6)で表される非共役トリエンとを
組合せて用いることもできるし、前記一般式(2−2)
で表される非共役トリエンまたはテトラエンと、一般式
(2−3)で表される非共役トリエンまたはテトラエン
とを組合せて用いることもできる。
【0055】非共役トリエンまたはテトラエン(a−
3)の構造は、質量分析、赤外線吸収スペクトル、プロ
トンNMRスペクトル等を測定することにより決定する
ことができる。本発明で用いる非共役トリエンまたはテ
トラエン(a−3)には、二重結合に起因する幾何異性
体が存在するが、本発明ではシス形またはトランス形の
いずれのものでも使用できる。またシス形とトランス形
との混合物を使用することもできる。なお本明細書中に
おける構造式、例えば式(6−1)〜(6−63)、
(7−1)〜(7−73)、(8−1)〜(8−24)
などは、立体構造を限定するものではない。
【0056】次に一般式(2−3)で表される非共役ト
リエンまたはテトラエン(a−3)の製造方法について
説明する。一般式(2−3)で表されるトリエンまたは
テトラエン(a−3)は、例えば本願出願人が出願した
特開平6−154952号に記載されている方法により
製造することができる。すなわち、エチレンと下記一般
式(9−1)または(9−2)で表される共役ジエン化
合物(E)とを反応させることにより合成することがで
きる。
【0057】
【化43】
【0058】〔一般式(9−1)および(9−2)中、
f、g、R1、R2およびR5〜R9は一般式(2−3)と
同じである。〕
【0059】なおエチレンと上記一般式(9−1)また
は(9−2)で表される共役ジエン化合物(E)との反
応の際に、下記一般式(10−1)または(10−2)
で表される副生物が副生する場合がある。このような副
生物は、蒸留などにより分離してもよいし、分離するこ
となく不飽和性オレフィン系共重合体(A)の重合に供
することもできる。
【化44】 〔一般式(10−1)および(10−2)中、f、g、
1、R2およびR5〜R9は一般式(2−3)と同じであ
る。〕
【0060】一般式(9−2)で表される共役ジエン化
合物(E)としては、例えば下記化合物などがあげられ
る。3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-3-メチレ
ン-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-3-メチレン-1,5-オク
タジエン、6-エチル-3-メチレン-1,5-オクタジエン、5,
6-ジメチル-3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、5,6-ジメチ
ル-3-メチレン-1,5-オクタジエン、3-メチレン-1,5-ノ
ナジエン、6-メチル-3-メチレン-1,5-ノナジエン、6-メ
チル-5-プロピル-3-メチレン-1,5-ヘプタジエン、3-メ
チレン-1,6-オクタジエン、7-メチル-3-メチレン-1,6-
オクタジエン、3-メチレン-1,6-デカジエン、7-メチル-
3-メチレン-1,6-デカジエン、6,7-ジメチル-3-メチレン
-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-3-メチレン-1,6-ノ
ナジエン、6,7-ジメチル-3-メチレン-1,6-デカジエン、
7-メチル-6-エチル-3-メチレン-1,6-デカジエン、6,7-
ジエチル-3-メチレン-1,6-ノナジエン、8-メチル-3-メ
チレン-1,7-ノナジエン、7,8-ジメチル-3-メチレン-1,7
-ノナジエン、9-メチル-3-メチレン-1,8-デカジエン、
8,9-ジメチル-3-メチレン-1,8-デカジエン、10-メチル-
3-メチレン-1,9-ウンデカジエン、9,10-ジメチル-3-メ
チレン-1,9-ウンデカジエン。
【0061】共役ジエン化合物(E)とエチレンとの反
応は、共役ジエン化合物(E)の種類によっても異なる
が、通常50〜200℃、好ましくは70〜150℃の
温度で、エチレン圧0.049〜9.8MPa(0.5
〜100kgf/cm2、ゲージ圧)、好ましくは0.98〜
9.8MPa(1〜100kgf/cm2、ゲージ圧)、さら
に好ましくは0.49〜6.9MPa(5〜70kgf/cm
2、ゲージ圧)の圧力下に0.5〜30時間行われる。エ
チレンは、反応容器に連続して加えてもよく、また間欠
的に加えてもよい。
【0062】この反応は、窒素、アルゴンなどの不活性
ガス雰囲気下で行ってもよい。また溶媒を使用しないで
この反応を行うことができるが、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ト
リデカン、トルエン、キシレンなどの不活性な炭化水素
系溶媒の共存下にこの反応を行うこともできる。
【0063】上記反応では、目的とする非共役トリエン
またはテトラエン(a−3)は、通常トランス形とシス
形との混合物として得られるが、一方の立体異性体が単
一物として得られる場合もある。混合物は、蒸留によっ
てトランス形とシス形とに分離することができる。また
両者を分離することなく、不飽和性オレフィン系共重合
体(A)の重合に供することもできる。
【0064】共役ジエン化合物(E)とエチレンとの反
応は、通常触媒の存在下に行われる。特にこの反応を、
遷移金属化合物(F)と有機アルミニウム化合物(G)
とからなる触媒の存在下に行うと、目的とする非共役ト
リエンまたはテトラエン(a−3)が効率よく得られ
る。
【0065】上記遷移金属化合物(F)としては、鉄、
ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケ
ルおよびパラジウム等の周期律表第VIII族から選ばれる
遷移金属の塩化物、臭化物、アセチルアセトナート塩、
1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロアセチルアセトナート塩ま
たはジピバロイルメタン塩などがあげられる。これらの
中ではコバルト、鉄、ニッケル、ロジウム、パラジウム
の化合物(塩化物)が好ましく、コバルト化合物(塩化
物)がさらに好ましく、塩化コバルトが最も好ましい。
【0066】このような遷移金属化合物(F)(例えば
遷移金属塩化物)は、そのままでも触媒の調製のための
反応に用いることができるが、触媒の調製に際しては、
この遷移金属化合物(F)に有機配位子が配位した遷移
金属錯体として用いることが好ましい。すなわちこの遷
移金属化合物(F)とともに遷移金属の配位子となりう
る有機化合物(配位化合物)を反応系に共存させるか、
あるいは予め遷移金属化合物(F)と上記のような配位
化合物とから遷移金属錯体を形成して、触媒調製反応に
使用するのが好ましい。
【0067】このような配位子となりうる化合物として
は、例えばビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-
ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフ
ェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホ
スフィノ)ブタン、トリエチルホスフィン、トリブチル
ホスフィン、トリフェニルホスフィン、シクロオクタジ
エン、シクロオクタテトラエンなどがあげられる。
【0068】また予め遷移金属化合物(F)に有機配位
子が配位された錯体としては、[1,2-ビス(ジフェニル
ホスフィノ)エタン]コバルト(II)クロリド、[1,2-ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)クロ
リド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ク
ロリドなどが好ましく用いられる。
【0069】前記有機アルミニウム化合物(G)として
は、後述する有機アルミニウム化合物と同様のものを用
いることができ、トリエチルアルミニウムが好ましく用
いられる。有機アルミニウム化合物(G)はそのまま用
いてもよく、またトルエン溶液あるいはヘキサン溶液に
して用いることもできる。
【0070】共役ジエン化合物(E)とエチレンとの反
応においては、触媒の量は特に限定されないが、遷移金
属化合物(F)は共役ジエン化合物(E)に対して、好
ましくは0.001〜10モル%、特に好ましくは0.0
1〜1モル%の量で用いられる。また配位化合物は遷移
金属化合物(F)1モルに対して、好ましくは0〜20
モル、特に好ましくは0.1〜5モルの量で用いられ
る。有機アルミニウム化合物(G)は遷移金属化合物
(F)1モルに対して、好ましくは1〜200モル、特
に好ましくは3〜100モルの量で用いられる。
【0071】共役ジエン化合物(E)とエチレンとを含
む反応系において、上記のような遷移金属化合物または
遷移金属錯体(F)と有機アルミニウム化合物(G)と
をその場で反応させて調製してもよいが、予め遷移金属
化合物または遷移金属錯体(F)と有機アルミニウム化
合物(G)とを接触させて得られた反応生成物を、触媒
として用いることが好ましい。
【0072】すなわち、触媒は、例えば不活性雰囲気
下、前記反応媒体と同じ溶媒中、例えばデカン中で遷移
金属化合物(F)と配位化合物とを室温で混合した後、
これに有機アルミニウム化合物(G)を加え、室温で撹
拌することによって調製することができる。
【0073】共役ジエン化合物(E)として下記一般式
(11)で表される化合物を用いると、前記一般式(2
−4)で表される非共役テトラエン(a−3)が得られ
る。
【化45】 〔一般式(11)中、f、g、nおよびR7〜R11は一
般式(2−4)と同じである。〕
【0074】なお、上記一般式(11)で表される共役
ジエン化合物(E)とエチレンとの反応の際には、エチ
レンを0.049〜9.8MPa(0.5〜100kgf/
cm2、ゲージ圧)、好ましくは0.098〜4.9MP
a(1〜50kgf/cm2、ゲージ圧)の圧力下に反応容器
に加えることが望ましい。その他の条件はエチレンと前
記一般式(9−1)で表される共役ジエン化合物(E)
との反応の場合と同様である。
【0075】前記一般式(11)で表される共役ジエン
化合物(E)を用いた場合、下記一般式(12)で表さ
れる副生物が副生する場合がある。この副生物は蒸留な
どにより分離してもよいし、分離することなく重合に供
することもできる。
【化46】 〔一般式(12)中、f、g、nおよびR7〜R12は一
般式(11)と同じである。〕
【0076】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)には、α−オレフィン(a−1)、芳香環含有ビ
ニルモノマー(a−2)、あるいは非共役トリエンまた
はテトラエン(a−3)と共重合可能な他の単量体が、
本発明の目的を損なわない範囲で共重合されていてもよ
い。このような他の単量体としては、(a−1)〜(a
−3)成分と共重合可能なものであれば特に制限されな
いが、例えば(a−1)〜(a−3)成分と共重合可能
な炭素・炭素二重結合を1分子内に1個有する脂肪族系
非共役ジエン(a−4)または脂環族系非共役ジエン
(a−5)、共重合可能な炭素・炭素二重結合を1分子
内に2個有する非共役ジエン(a−6)などがあげられ
る。
【0077】上記脂肪族系非共役ジエン(a−4)とし
ては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、
1,6−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−
デカジエン、1,12−テトラデカジエン、3−メチル
−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサ
ジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチ
ル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4
−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、
5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,
5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエ
ン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチル−
1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジ
エン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル
−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタ
ジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチ
ル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オク
タジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メ
チル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オ
クタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6
−ブチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6
−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5
−メチル−1,4−ノナジエン、4−エエチル−1,4
−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−
メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノ
ナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチ
ル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジ
エン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−
1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエ
ン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−
1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエ
ン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−
1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエ
ン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−
1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエ
ン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−
1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエ
ン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−
1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエ
ン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−
1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエ
ン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−
1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジ
エン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンなどがあげ
られる。これらの中では、7−メチル−1,6−オクタ
ジエンなどが好ましい。これらは1種単独で用いてもよ
いし、2種以上組合せて用いてもよい。
【0078】前記脂環族系非共役ジエン(a−5)とし
ては、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピ
リデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノル
ボルネン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2
−エチル−2,5−ノルボルナジエンなどがあげられ
る。これらの中では、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2
種以上組合せて用いてもよい。
【0079】前記非共役ジエン(a−6)としては、5
−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボ
ルネン等の5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5
−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ノルボル
ナジエン、テトラシクロ[4,4,0,12.5
7,10]デカ−3,8−ジエン等の脂環族ジエン;1,
7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−ジ
エンなどがあげられる。これらの中では、5−アルケニ
ル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2,5
−ノルボルナジエン、1,7−オクタジエン、1,9−
デカジエンなどが好ましく、特に5−ビニル−2−ノル
ボルネンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよい
し、2種以上組合せて用いてもよい。前記脂肪族系非共
役ジエン(a−4)および/または脂環族系非共役ジエ
ン(a−5)と、非共役ジエン(a−6)とは組合せて
用いることができる。
【0080】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、前記α−オレフィン(a−1)、芳香環含有
ビニルモノマー(a−2)、および非共役トリエンまた
はテトラエン(a−3)から誘導される構造単位が、そ
れぞれランダムに配列して結合している。そして非共役
トリエンまたはテトラエン(a−3)に起因する不飽和
結合を有している。本発明の不飽和性オレフィン系共重
合体(A)の主鎖は実質的に線状構造であり、この主鎖
に単量体に由来する側鎖、例えば二重結合を有する側鎖
が結合している。不飽和性オレフィン系共重合体(A)
が実質的に線状構造を有しており実質的にゲル状架橋重
合体を含有しないことは、共重合体(A)が有機溶媒に
溶解し、不溶分を実質的に含まないことにより確認する
ことができる。例えば極限粘度[η]を測定する際に、
共重合体(A)が135℃、デカリンに完全に溶解する
ことにより確認することができる。
【0081】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、炭素数2〜20のα−オレフィン(a−1)
から誘導される構造単位(b−1)を30〜99.8モ
ル%、好ましくは40〜98モル%、さらに好ましくは
50〜95モル%、より好ましくは65〜95モル%、
特に好ましくは80〜95モル%、芳香環含有ビニルモ
ノマー(a−2)から誘導される構造単位(b−2)を
0.1〜60モル%、好ましくは1〜50モル%、さら
に好ましくは2〜40モル%、より好ましくは2〜30
モル%、特に好ましくは2〜20モル%、非共役トリエ
ンまたはテトラエン(a−3)から誘導される構造単位
(b−3)を0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜
7モル%、さらに好ましくは0.3〜5モル%、より好
ましくは0.4〜5モル%、特に好ましくは0.5〜5
モル%の量で含有している。(b−3)の構造単位が上
記範囲にある場合、得られるゴム組成物の加硫速度は向
上し、しかもこのゴム組成物を加硫すると、特に優れた
物性の加硫ゴム組成物が得られる。
【0082】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、α−オレフィンから誘導される構造単位(b
−1)と芳香環含有ビニルモノマーから誘導される構造
単位(b−2)とのモル比〔(b−1)/(b−2)〕
が50/50〜98/2、好ましくは55/45〜96
/4、さらに好ましくは60/40〜94/6であるも
のが好ましい。上記モル比が上記範囲にある場合、加硫
物性に優れ、低温特性に優れた加硫ゴム組成物が得られ
る。
【0083】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)において、非共役トリエンまたはテトラエン(a
−3)が前記一般式(2−1)で表される場合には、不
飽和性オレフィン系共重合体(A)中においては非共役
トリエンまたはテトラエン(a−3)から誘導される構
造単位(b−3)は、実質的に下記一般式(3−1)で
表される構造を有している。また非共役トリエンまたは
テトラエン(a−3)が前記一般式(2−2)、(2−
3)、(2−4)または(2−5)で表される場合に
は、これらの単量体から誘導される構造単位(b−3)
は、それぞれ実質的に下記一般式(3−2)、(3−
3)、(3−4)または(3−5)で表される構造を有
している。
【0084】
【化47】 〔一般式(3−1)〜(3−5)中、f、g、p、nお
よびR1〜R12は、それぞれ一般式(2−1)〜(2−
5)と同じである。〕
【0085】なお非共役トリエンまたはテトラエン(a
−3)から誘導される構造単位(b−3)が上記各構造
を有していることは、不飽和性オレフィン系共重合体
(A)の13C−NMRスペクトルを測定することによっ
て確認することができる。
【0086】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、135℃、デカリン中で測定した極限粘度
[η]が0.05〜10dl/g、好ましくは0.1〜7
dl/g、さらに好ましくは0.2〜5dl/gである。
【0087】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、耐動的疲労性(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐
オゾン性、耐熱老化性および低温特性に優れるととも
に、化学反応性、加工性、スチレン・ブタジエンゴム
(SBR)等の芳香環含有ポリマーとの相溶性および共
加硫性にも優れている。本発明の不飽和性オレフィン系
共重合体(A)は、未加硫のまま用いてもよく、また後
述するような加硫方法により加硫して加硫状態で用いて
もよいが、加硫状態で用いるとその特性が一層発揮され
る。加硫する場合には加硫速度は速いが、スコーチ時間
は短くならない。
【0088】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、種々のゴム製品の材料または樹脂改質剤とし
て特に好ましく用いられる。ゴム製品としては自動車工
業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品お
よびゴム引布などがあげられる。具体的なものとして
は、グラスランチャネル、ウェザーストリップ、スポン
ジ、ホース類、グロメット、タイヤサイドウォール、電
線被覆材、ガスケットなどがあげられる。
【0089】また不飽和性オレフィン系共重合体(A)
を樹脂改質剤として用い、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリブテン、ポリスチレンなどの樹脂に添加する
と、樹脂の耐衝撃性および耐ストレスクラック性などが
飛躍的に向上する。
【0090】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は単独で加硫してもよいし、他のゴム材料と共加
硫してもよい。本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は加硫速度が速いため、加硫剤を多量に用いなく
ても従来の不飽和性のオレフィン系共重合体に比べて短
い時間で、あるいは低温で加硫することができ、加硫ゴ
ムを生産性よく製造することができる。
【0091】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)は、特に天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、
イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロ
ロプレンゴムなどのジエン系ゴムとの共加硫性に優れて
いる。不飽和性オレフィン系共重合体(A)とジエン系
ゴムとの共加硫物は、ジエン系ゴムが本来有する優れた
機械的特性、耐摩耗性、耐動的疲労性および耐油性など
を有するとともに耐候性、耐オゾン性および耐熱老化性
などにも優れている。例えば、本発明の不飽和性オレフ
ィン系共重合体(A)と天然ゴムとの共加硫物は、強
度、耐候性、耐オゾン性および動的特性などに優れてい
る。また不飽和性オレフィン系共重合体(A)とニトリ
ルゴムとの共加硫物は、耐候性、耐オゾン性および耐油
性などに優れている。また不飽和性オレフィン系共重合
体(A)とブタジエンゴムとの共加硫物は、耐候性、耐
オゾン性および耐摩耗性などに優れている。
【0092】《不飽和性オレフィン系共重合体(A)の
製造》本発明の不飽和性オレフィン系共重合体(A)
は、前記α−オレフィン(a−1)と、芳香環含有ビニ
ルモノマー(a−2)と、非共役トリエンまたはテトラ
エン(a−3)とを、触媒の存在下に共重合させること
により製造することができる。上記触媒としては、バナ
ジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)
などの遷移金属化合物(H)と、有機アルミニウム化合
物もしくは有機アルミニウムオキシ化合物(J)および
/またはイオン化イオン性化合物(K)とからなる触媒
などが使用できる。
【0093】触媒の具体的なものとしては、(1)固体
状チタン触媒成分(h−1)と、有機アルミニウム化合
物(j−1)とからなるチタン系触媒、(2)可溶性バ
ナジウム化合物(h−2)と、有機アルミニウム化合物
(j−1)とからなるバナジウム系触媒、および(3)
周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化
合物(h−3)と、有機アルミニウムオキシ化合物(j
−2)および/またはイオン化イオン性化合物(k−
1)とからなるメタロセン系触媒などがあげられる。
【0094】これらの中ではメタロセン系触媒が好まし
い。メタロセン系触媒は活性が高く、また得られる不飽
和性オレフィン系共重合体(A)は分子量分布および組
成分布が狭く、さらに芳香環含有ビニルモノマー(a−
2)および非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)
の転化率も高い。
【0095】前記固体チタン触媒成分(h−1)は、下
記のようなチタン化合物、マグネシウム化合物、および
電子供与体を接触させることにより調製される。上記チ
タン化合物としては3価のチタン化合物または4価のチ
タン化合物が用いられるが、4価のチタン化合物が好ま
しい。4価のチタン化合物としては、例えばTi(OR)
j4-j(Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、0≦j≦
4)で表される4価のチタン化合物をあげることができ
る。これらの中ではハロゲン含有チタン化合物が好まし
く、さらにテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四
塩化チタンが好ましい。
【0096】前記固体チタン触媒成分(h−1)の調製
に用いるマグネシウム化合物は、還元性を有するマグネ
シウム化合物であってもよいし、還元性を有しないマグ
ネシウム化合物であってもよい。還元性を有するマグネ
シウム化合物としては、マグネシウム・炭素結合および
マグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物な
どをあげることができる。還元性を有しないマグネシウ
ム化合物としては、上記還元性を有するマグネシウム化
合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に
誘導した化合物などが使用できる。またこれらのマグネ
シウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物または
他の金属化合物との混合物を使用することもできる。こ
れらマグネシウム化合物は2種以上組合せた混合物であ
ってもよい。マグネシウム化合物としては還元性を有し
ないマグネシウム化合物が好ましく、さらにハロゲン含
有マグネシウム化合物が好ましく、特に塩化マグネシウ
ム、アルコキシ塩化マグネシウムおよびアリロキシ塩化
マグネシウムが好ましい。
【0097】前記固体チタン触媒成分(h−1)の調製
に用いられる電子供与体としては、有機カルボン酸エス
テルおよび多価カルボン酸エステルなどがあげられる。
固体チタン触媒成分(h−1)は、上記のようなチタン
化合物、マグネシウム化合物(もしくは金属マグネシウ
ム)、および電子供与体を接触させることにより製造す
ることができる。固体チタン触媒成分(h−1)を製造
するには、チタン化合物、マグネシウム化合物および電
子供与体から高活性チタン触媒成分を調製する公知の方
法を採用することができる。なお上記の成分は、例えば
ケイ素、リン、アルミニウムなどの他の反応試薬の存在
下に接触させてもよい。
【0098】チタン系触媒を形成する有機アルミニウム
化合物(j−1)としては、分子内に少なくとも1個の
Al−炭素結合を有する化合物が使用できる。このよう
な化合物としては、例えば一般式(13) (R1)mAl(OR2)npq …(13) 〔一般式(13)中、R1およびR2は炭素原子を通常1
〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基であり、
これらは互いに同一でも異なってもよい。Xはハロゲン
原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0
≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかも
m+n+p+q=3である。〕で表される有機アルミニ
ウム化合物、あるいは一般式(14) (M1)Al(R1)4 …(14) 〔一般式(14)中、M1はLi、NaまたはKであ
り、R1は一般式(13)のR1と同じである。〕で表さ
れる第I属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物など
をあげることができる。
【0099】チタン系触媒の調製には必要により電子供
与体を用いることができる。このような電子供与体とし
ては、下記一般式(15)または(16)で表される有
機ケイ素化合物などがあげられる。 RnSi(OR’)4-n …(15) SiR12 m(OR3)3-m …(16) 〔一般式(15)中、RおよびR’は炭化水素基、nは
0<n<4を満たす数である。一般式(16)中、R1
はシクロペンチル基、またはアルキル基を有するシクロ
ペンチル基、R2はアルキル基、シクロペンチル基、ま
たはアルキル基を有するシクロペンチル基、R3は炭化
水素基、mは0≦m≦2を満たす数である。〕
【0100】上記一般式(16)において、R1のアル
キル基を有するシクロペンチル基としては、2-メチルシ
クロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチル
シクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基など
をあげることができる。
【0101】本発明で用いられるチタン系触媒を形成す
る触媒成分にはα-オレフィンが予備重合されていても
よい。予備重合の際、オレフィン重合用触媒1g当り、
0.1〜500g、好ましくは0.3〜300g、特に好
ましくは1〜100gの量でα-オレフィンを予備重合
させるのが望ましい。予備重合は、不活性炭化水素媒体
にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件
下に行うことが好ましい。予備重合で使用されるα-オ
レフィンは、不飽和性オレフィン系共重合体(A)の重
合で使用されるα-オレフィンと同一であっても、異な
ってもよい。
【0102】本発明で用いられるバナジウム系触媒を形
成する可溶性バナジウム化合物(h−2)としては、下
記一般式(17)または(18)で表されるバナジウム
化合物などがあげられる。 VO(OR)ab …(17) V(OR)cd …(18) 〔一般式(17)および(18)中、Rは炭化水素基、
Xはハロゲン原子である。a、b、cおよびdはそれぞ
れ0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦
4、0≦d≦4、3≦c+d≦4を満たす。〕
【0103】上記可溶性バナジウム化合物(h−2)と
しては、電子供与体を接触させて得られる可溶性バナジ
ウム化合物の電子供与体付加物を用いることもできる。
バナジウム系触媒を形成する有機アルミニウム化合物
(j−1)としては、チタン系触媒を形成する前記有機
アルミニウム化合物(j−1)と同様のものを用いるこ
とができる。
【0104】本発明で用いられるメタロセン系触媒を形
成するメタロセン化合物(h−3)は、周期律表第IVB
族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具
体的には下記一般式(19)で表される。 MLx …(19) 〔一般式(19)中、Mは周期律表第IVB族から選ばれ
る遷移金属、xは遷移金属Mの原子価、Lは配位子であ
る。〕
【0105】一般式(19)において、Mで示される遷
移金属の具体的なものとしては、ジルコニウム、チタン
およびハフニウムなどがあげられる。一般式(19)に
おいて、Lは遷移金属に配位する配位子であり、これら
のうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニ
ル骨格を有する配位子である。このシクロペンタジエニ
ル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
【0106】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシ
クロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル
基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、
i-、sec-、t-、ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチ
ルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペン
タジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、
メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルま
たはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さら
にインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、
フルオレニル基などがあげられる。上記シクロペンタジ
エニル骨格を有する基は、ハロゲン原子またはトリアル
キルシリル基などで置換されていてもよい。
【0107】一般式(19)で表される化合物が配位子
Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以
上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニ
ル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレン等のア
ルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等
の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレ
ン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン
基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよ
い。
【0108】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配
位子)Lとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アル
コキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO
3a)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、Ra
アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、ア
リール基、またはハロゲン原子もしくはアルキル基で置
換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0109】配位子Lの炭素数1〜12の炭化水素基と
しては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基お
よびアラルキル基などがあげられる。より具体的には、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、
n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基お
よびドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ト
リル基等のアリール基;ベンジル基、ネオフィル基等の
アラルキル基などがあげられる。
【0110】配位子Lのアルコキシ基としては、メトキ
シ基、エトキシ基、n-プロポキシ基などがあげられる。
アリーロキシ基としては、フェノキシ基などがあげられ
る。スルホン酸含有基(−SO3a)としては、メタン
スルホナト基、p-トルエンスルホナト基、トリフルオロ
メタンスルホナト基、p-クロルベンゼンスルホナト基な
どがあげられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素があげられる。
【0111】前記一般式(19)で表されるメタロセン
化合物は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、よ
り具体的には下記一般式(20)で表される。 R2 k3 l4 m5 nM …(20) 〔一般式(20)中、Mは一般式(19)の遷移金属、
2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位
子)、R3、R4およびR5はそれぞれ独立にシクロペン
タジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)
である。kは1以上の整数、k+l+m+n=4であ
る。〕
【0112】以下に、Mがジルコニウムであり、かつシ
クロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2
個含むメタロセン化合物(h−3)を例示する。ビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモ
ノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペ
ンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタン
スルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリドなど。上記の1,3-位置換シ
クロペンタジエニル基を1,2-位置換シクロペンタジエニ
ル基に置換えた化合物を本発明で用いることもできる。
【0113】またメタロセン化合物(h−3)として
は、前記一般式(20)において、R 2、R3、R4およ
びR5の少なくとも2個、例えばR2およびR3がシクロ
ペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この
少なくとも2個の基はアルキレン基、置換アルキレン
基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合
されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用す
ることもできる。このときR 4およびR5はそれぞれ独立
に一般式(19)中で説明したシクロペンタジエニル骨
格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0114】このようなブリッジタイプのメタロセン化
合物(h−3)としては、エチレンビス(インデニル)
ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペン
タジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)
ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。
【0115】またメタロセン化合物(h−3)として
は、下記一般式(21)で表される特開平4-2683
07号記載のメタロセン化合物があげられる。
【化48】
【0116】一般式(21)において、M1は周期律表
の第IVB族の金属であり、具体的にはチタニウム、ジ
ルコニウム、ハフニウムをあげることができる。一般式
(21)において、R1およびR2は、水素原子;炭素数
1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;炭素数1〜
10、好ましくは1〜3のアルコキシ基;炭素数6〜1
0、好ましくは6〜8のアリール基;炭素数6〜10、
好ましくは6〜8のアリールオキシ基;炭素数2〜1
0、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭素数7〜4
0、好ましくは7〜10のアリールアルキル基;炭素数
7〜40、好ましくは7〜12のアルキルアリール基;
炭素数8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケ
ニル基;またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子であ
る。R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよ
い。
【0117】一般式(21)において、R3およびR4
水素原子;ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、塩素
原子または臭素原子;ハロゲン化されていてもよい炭素
数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基;炭素数6
〜10、好ましくは6〜8のアリール基;−N
(R10)2、−SR10、−OSi(R10)3、−Si(R10)3
または−P(R10)2基である。上記R10はハロゲン原
子、好ましくは塩素原子;炭素数1〜10、好ましくは
1〜3のアルキル基;または炭素数6〜10、好ましく
は6〜8のアリール基である。R3およびR4は互いに同
じでも異なっていてもよい。R3およびR4は特に水素原
子であることが好ましい。
【0118】一般式(21)において、R5およびR6
水素原子を除くR3およびR4と同様のものである。R5
およびR6は互いに同じでも異なっていてもよく、好ま
しくは同じである。R5およびR6は、好ましくはハロゲ
ン化されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、具体
的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基およびイソブチル基またはトリフルオロメ
チル基等があげられ、特にメチル基が好ましい。
【0119】一般式(21)において、R7
【化49】 =BR11、=AlR11、−Ge−、−Sn−、−O−、
−S−、=SO、=SO 2、=NR11、=CO、=PR
11または=P(O)R11である。上記R11、R12およびR
13は水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜10、好まし
くは1〜4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基;
炭素数1〜10のフルオロアルキル基、好ましくはCF
3基;炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール
基;炭素数6〜10のフルオロアリール基、好ましくは
ペンタフルオロフェニル基;炭素数1〜10、好ましく
は1〜4のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基;
炭素数2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基;炭
素数7〜40、好ましくは7〜10のアリールアルキル
基;炭素数8〜40、好ましくは8〜12のアリールア
ルケニル基;または炭素数7〜40、好ましくは7〜1
2のアルキルアリール基である。「R11とR12」または
「R11とR13」とは、それぞれそれらが結合する原子と
一緒になって環を形成してもよい。R11、R12およびR
13は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0120】上記M2はケイ素、ゲルマニウムまたは
錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。一般
式(21)において、R7は、=CR1112、=SiR
1112、=GeR1 112、−O−、−S−、=SO、=
PR11または=P(O)R11であることが好ましい。
【0121】一般式(21)において、R8およびR9
しては上記R11と同じものがあげれらる。R8およびR9
は互いに同じであっても異なっていてもよい。一般式
(21)において、mおよびnはそれぞれ0、1または
2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1また
は2、好ましくは0または1である。mおよびnは互い
に同じであっても異なっていてもよい。
【0122】一般式(21)で表されるメタロセン化合
物(h−3)としては、下記化合物などがあげられる。
rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウ
ム-ジクロライド、rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-
インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド。一般式
(21)で表されるメタロセン化合物(h−3)は、公
知の方法にて製造することができる(例えば、特開平4
-268307号)。
【0123】メタロセン化合物(h−3)としては、下
記一般式(22)で表されるメタロセン化合物を用いる
こともできる。
【化50】
【0124】一般式(22)において、Mは周期律表第
IVB族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、
ジルコニウム、ハフニウムなどである。
【0125】一般式(22)において、R1およびR2
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜
20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水
素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素
含有基またはリン含有基を示す。R1およびR2の具体的
なものとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハ
ロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキ
シル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、
アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキ
ル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのア
ルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロ
ピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジ
メチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニ
ル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチル
ナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリ
ール基などの炭素数1〜20の炭化水素基;前記炭化水
素基にハロゲン原子が置換した炭素数1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基;メチルシリル、フェニルシリルなどの
モノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニル
シリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリ
ル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシク
ロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェ
ニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリ
ル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリ
ル、トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリ
ルのシリルエーテル、トリメチルシリルメチルなどのケ
イ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどの
ケイ素置換アリール基、などのケイ素含有基;ヒドロオ
キシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシな
どのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジ
メチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリロ−キシ基、
フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールア
ルコキシ基などの酸素含有基;前記酸素含有基の酸素が
イオウに置換した置換基などのイオウ含有基;アミノ
基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、
ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシル
アミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフ
ェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メ
チルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアル
キルアリールアミノ基などの窒素含有基;ジメチルフォ
スフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ
基などのリン含有基などがあげられる。
【0126】これらのうちR1は炭化水素基であること
が好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素
数1〜3のアルキル基であることが好ましい。またR2
は水素または炭化水素基が好ましく、特に水素、あるい
はメチル、エチルまたはプロピルの炭素数1〜3のアル
キル基であることが好ましい。
【0127】一般式(22)において、R3、R4、R5
およびR6は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原
子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハ
ロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素、炭化
水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好まし
い。R3とR4、R4とR5、R5とR6のうち少なくとも1
組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を
形成する基以外の基は、炭化水素基またはハロゲン化炭
化水素基が2種以上ある場合には、これらが互いに結合
して環状になっていてもよい。なおR6が芳香族基以外
の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。
【0128】一般式(22)のR3、R4、R5およびR6
において、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素
基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、
前記R 1およびR2と同様のものがあげられる。
【0129】一般式(22)において、X1およびX
2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素
数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化
炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示す。ハ
ロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜
20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基の具体的なも
のとしては、前記R1およびR2と同様のものが例示でき
る。
【0130】またイオウ含有基としては、前記R1、R2
と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロ
メタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベン
ジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリ
メチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼ
ンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、
ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォ
ネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネ
ート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネ
ート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフル
オロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が
例示できる。
【0131】一般式(22)において、Yは、炭素数1
〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハ
ロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲル
マニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO
−、−S−、−SO−、−SO 2−、−NR7−、−P
(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7−または−AlR7
−(ただし、R7は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1
〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化
水素基)を示す。
【0132】一般式(22)において、Yの具体的なも
のとしては、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレ
ン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-
テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘ
キシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジ
フェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基な
どの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;クロロメチレ
ンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロ
ゲン化したハロゲン化炭化水素基;メチルシリレン、ジ
メチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シ
リレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)
シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレ
ン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリ
レンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレ
ン、アリールシリレン基、テトラメチル-1,2-ジシリレ
ン、テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジ
シリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシ
リレン基などの2価のケイ素含有基;上記2価のケイ素
含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマ
ニウム含有基;上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズ
に置換した2価のスズ含有基置換基などであり、R
7は、前記R1、R2と同様のハロゲン原子、炭素数1〜
20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水
素基である。
【0133】これらの中では2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが
好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ま
しく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリー
ルシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0134】一般式(22)において、R3とR4、R4
とR5、R5とR6のうち少なくとも1組が互いに結合し
て形成する単環の芳香族環を含む、Mに配位する配位子
としては、下記一般式(23)〜(25)で表されるも
のなどがあげられる。
【0135】
【化51】 〔一般式(23)〜(25)中、Yは一般式(22)と
同じである。〕
【0136】本発明においては、また下記一般式(2
6)で表される遷移金属化合物(メタロセン化合物)を
用いることもできる。
【化52】 〔一般式(26)中、M、R1、R2、R3、R4、R5
よびR6は、前記一般式(22)と同じである。〕
【0137】一般式(26)において、R3、R4、R5
およびR6のうち、R3を含む2個の基がアルキル基であ
ることが好ましく、R3とR5、またはR3とR6がアルキ
ル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級ま
たは3級アルキル基であることが好ましい。またこのア
ルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されて
いてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R
1、R2で例示した置換基があげられる。
【0138】一般式(26)におけるR3、R4、R5
よびR6のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であ
ることが好ましい。炭素数1〜20の炭化水素基として
は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチ
ル、i-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、
ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチ
ルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;ベンジ
ル、フェニルエチル、フエニルプロピル、トリルメチル
などのアリールアルキル基などがあげられ、2重結合、
3重結合を含んでいてもよい。
【0139】また一般式(26)におけるR3、R4、R
5およびR6は、これらから選ばれる2種の基が互いに結
合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していて
もよい。ハロゲン原子としては、前記R1およびR2と同
様のものがあげられる。X1、X2およびYとしては、前
記一般式(22)の場合と同様のものがあげられる。
【0140】前記一般式(26)で表されるメタロセン
化合物(h−3)の具体的な例を下記に示す。rac-ジメ
チルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコ
ニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-
トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、ra
c-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド。
【0141】本発明では、上記のような化合物において
ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属
に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。上記
遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、
R型またはS型を用いることもできる。
【0142】一般式(26)で表されるメタロセン化合
物(h−3)として、次のような化合物を使用すること
もできる。R1としては炭化水素基であることが好まし
く、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素
数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0143】X1およびX2としては、ハロゲン原子、炭
素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。R3
は、炭素数6〜16のアリール基を示し、具体的には、
フェニル、α-ナフチル、β-ナフチル、アントラセニ
ル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナ
レニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどで
ある。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好
ましい。これらのアリール基は、前記R1と同様のハロ
ゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1
〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよ
い。
【0144】このような遷移金属化合物(メタロセン化
合物)の具体的な例を示す。rac-ジメチルシリレン-ビ
ス(4-フェニル-1−インデニル)ジルコニウムジクロリ
ド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4−フェニ
ル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメ
チルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリ
レン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-
ビス(2-メチル-4-(1-アントラセニル)-1-インデニル)
ジルコニウムジクロリドなど。また上記化合物におい
て、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウ
ム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもでき
る。
【0145】また本発明では、メタロセン化合物(h−
3)として、下記一般式(27)で表されるを用いるこ
ともできる。 LaMX2 ・・・・(27) 〔一般式(27)中、Mは周期率表第IV族またはランタ
ニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導
体であり、金属M活性サイトに拘束幾何形状を付与して
いる基である。Xはそれぞれ独立に水素、ハロゲンまた
は20以下の炭素、ケイ素またはゲルマニウムを含有す
る炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である。〕
【0146】一般式(27)で表される化合物の中で
は、下記一般式(28)で表される化合物が好ましい。
【化53】
【0147】一般式(28)中、Mはチタン、ジルコニ
ウムまたはハフニウム、Xは一般式(27)と同様であ
る。CpはMにπ結合しており、かつ置換基Zを有する
置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオ
ウ、ホウ素または周期率表第IVA族の元素(例えばケイ
素、ゲルマニウムまたは錫)、Yは窒素、リン、酸素ま
たはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形
成してもよい。
【0148】このような一般式(28)で表される化合
物としては、(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメ
チル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジク
ロリド、((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シ
クロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジク
ロリドなどがあげられる。また上記メタロセン化合物に
おいて、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置換
えた化合物をあげることもできる。
【0149】一般式(27)または(28)で表される
メタロセン化合物(h−3)としては、中心の金属原子
がジルコニウムであり、少なくとも2個のシクロペンタ
ジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物
が好ましく用いられる。なお前記のメタロセン化合物
[VI]では、中心の金属原子がチタンであることが好
ましい。
【0150】本発明では、メタロセン化合物(h−3)
は単独であるいは2種以上組合せて用いられる。またメ
タロセン化合物(h−3)は、炭化水素またはハロゲン
化炭化水素などに希釈して用いてもよい。さらにメタロ
セン化合物(h−3)は、粒子状担体化合物と接触させ
て用いることもできる。
【0151】メタロセン化合物(h−3)を担持させる
担体化合物としては、SiO2、Al23、B23、Mg
O、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2、BaO、
およびThOなどの無機担体化合物;ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテ
ン、およびスチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの
樹脂を用いることができる。これらの担体化合物は、単
独であるいは2種以上組合せて用いられる。
【0152】次にメタロセン系触媒を形成する際に用い
られる有機アルミニウムオキシ化合物(j−2)および
イオン化イオン性化合物(k−1)について説明する。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(j
−2)は、公知のアルミノオキサンであってもよく、ま
たベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物(j
−2)であってもよい。
【0153】このような公知のアルミノオキサンは、具
体的には下記一般式(29)または(30)で表され
る。
【化54】 〔一般式(29)および(30)において、Rはメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基
であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましく
はメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の
整数である。〕
【0154】一般式(29)または(30)において、
アルミノオキサンは一般式(OAl(R1))で表されるア
ルキルオキシアルミニウム単位および一般式(OAl(R
2))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位[ここ
で、R1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示するこ
とができ、R1およびR2は相異なる基を表す]からなる
混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されてい
てもよい。なお本発明で用いられる有機アルミニウムオ
キシ化合物(j−2)は、少量のアルミニウム以外の金
属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0155】イオン化イオン性化合物(イオン性イオン
化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)(k
−1)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化
合物およびカルボラン化合物を例示することができる。
上記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル
基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していても
よいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合
物があげられる。ルイス酸の具体的なものとしては、ト
リフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フ
ルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェ
ニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボ
ロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリ
ス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、ト
リス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどがあげられ
る。
【0156】前記イオン性化合物としては、トリアルキ
ル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム
塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォ
ニウム塩などがあげられる。イオン性化合物としてのト
リアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルア
ンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルア
ンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげ
られる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウ
ム塩としては、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシル
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などがあげられ
る。
【0157】前記イオン性化合物としては、トリフェニ
ルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげること
もできる。
【0158】前記ボラン化合物としては、デカボラン
(14);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナ
ボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカ
ボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス
(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩
(III)などの金属ボランアニオンの塩などがあげられ
る。
【0159】前記カルボラン化合物としては、4-カルバ
ノナボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(1
3)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウ
ンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッ
ケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩など
があげられる。
【0160】上記のようなイオン化イオン性化合物(k
−1)は、単独であるいは2種以上組合せて用いられ
る。また有機アルミニウムオキシ化合物(j−2)およ
びイオン化イオン性化合物(k−1)は、前記担体化合
物に担持させて用いることもできる。またメタロセン系
触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化
合物(j−2)またはイオン化イオン性化合物(k−
1)とともに、前記有機アルミニウム化合物を用いても
よい。
【0161】本発明では、上記のような遷移金属化合物
と、有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イ
オン性化合物とから形成される触媒の存在下に、α−オ
レフィン(a−1)、芳香環含有ビニルモノマー(a−
2)および非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)
を、通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素
溶媒が用いられるが、α-オレフィンを溶媒として用い
てもよい。
【0162】α−オレフィン(a−1)、芳香環含有ビ
ニルモノマー(a−2)および非共役トリエンまたはテ
トラエン(a−3)は、バッチ法あるいは連続法いずれ
の方法で共重合されてもよい。共重合をバッチ法で実施
するに際しては、前記触媒は以下のような濃度で用いら
れる。
【0163】固体状チタン触媒成分(h−1)と有機ア
ルミニウム化合物(j−1)とからなるチタン系触媒が
用いられる場合には、固体状チタン触媒成分(h−1)
は、重合容積1 liter当たり、チタン原子に換算して、
通常約0.001〜約1.0ミリモル、好ましくは約
0.005〜0.5ミリモルの量で用いられる。また有
機アルミニウム化合物(j−1)は、固体状チタン触媒
成分(h−1)中のチタン原子1モルに対して、有機ア
ルミニウム化合物(j−1)中の金属原子として通常約
10〜500モル、好ましくは20〜200モルとなる
ような量で用いられる。電子供与体を使用する場合は、
有機アルミニウム化合物(j−1)中の金属原子1モル
当たり、通常約0.001〜10モル、好ましくは0.
01〜2モル、特に好ましくは0.05〜1モルとなる
ような量で用いられる。
【0164】可溶性バナジウム化合物(h−2)と有機
アルミニウム化合物(j−1)とからなるバナジウム触
媒が用いられる場合には、重合系内の可溶性バナジウム
化合物の濃度は、通常0.01〜5ミリモル/liter
(重合容積)、好ましくは0.05〜3ミリモル/lite
rである。可溶性バナジウム化合物(h−2)は、重合
系内に存在する可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍
以下、好ましくは1〜7倍、さらに好ましくは1〜5倍
の濃度で供給されることが望ましい。また有機アルミニ
ウム化合物(j−1)は、重合系内のバナジウム原子に
対するアルミニウム原子のモル比(Al/V)で、2以
上、好ましくは2〜50、さらに好ましくは3〜20の
量で供給される。
【0165】可溶性バナジウム化合物(h−2)および
有機アルミニウム化合物(j−1)は、通常前記炭化水
素溶媒および/または液状のα−オレフィン(a−1)
および上記非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)
で希釈されて供給される。この際、可溶性バナジウム化
合物(h−2)は上記濃度に希釈されることが望ましい
が、有機アルミニウム化合物(j−1)は重合系内にお
ける濃度の例えば50倍以下の任意の濃度に調整して重
合系内に供給されることが望ましい。
【0166】またメタロセン化合物(h−3)と有機ア
ルミニウムオキシ化合物(j−2)またはイオン化イオ
ン性化合物(k−1)とからなるメタロセン系触媒が用
いられる場合には、重合系内のメタロセン化合物(h−
3)の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/
liter(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.0
5ミリモル/literである。また有機アルミニウムオキ
シ化合物(j−2)は、重合系内のメタロセン化合物中
の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/
遷移金属)で、1〜10000、好ましくは10〜50
00の量で供給される。
【0167】イオン化イオン性化合物(k−1)の場合
は、重合系内のメタロセン化合物(h−3)に対するイ
オン化イオン性化合物(k−1)のモル比(イオン化イ
オン性化合物(k−1)/メタロセン化合物(h−
3))で、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供
給される。また有機アルミニウム化合物(j−1)が用
いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/liter(重
合度積)、好ましくは約0〜2ミリモル/literとなる
ような量で用いられる。
【0168】本発明において、前記チタン系触媒の存在
下に(a−1)ないし(a−3)の単量体を共重合させ
る場合には、共重合反応は、通常温度が−20〜+15
0℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜
100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/
cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9M
Pa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われ
る。
【0169】本発明において、前記バナジウム系触媒の
存在下に(a−1)ないし(a−3)の単量体を共重合
させる場合には、共重合反応は、通常温度が−50〜+
100℃、好ましくは−30〜+80℃、さらに好まし
くは−20〜+60℃で、圧力が0を超えて4.9MP
a(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超
えて2.0MPa(20kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条
件下に行われる。
【0170】本発明において、前記メタロセン触媒の存
在下に(a−1)ないし(a−3)の単量体を共重合さ
せる場合には、共重合反応は、通常温度が−20〜+1
50℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0
〜100℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kg
f/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9
MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行わ
れる。
【0171】本発明では、α−オレフィン(a−1)、
芳香環含有ビニルモノマー(a−2)および非共役トリ
エンまたはテトラエン(a−3)は、上記特定組成の不
飽和性オレフィン系共重合体(A)が得られるような量
で重合系に供給される。共重合に際しては、水素などの
分子量調節剤を用いることもできる。
【0172】上記のようにしてα−オレフィン(a−
1)、芳香環含有ビニルモノマー(a−2)および非共
役トリエンまたはテトラエン(a−3)を共重合させる
と、不飽和性オレフィン系共重合体(A)は通常これを
含む重合液として得られる。この重合液は、常法により
処理され、不飽和性オレフィン系共重合体(A)が得ら
れる。
【0173】上記のようにして得られる本発明の不飽和
性オレフィン系共重合体(A)は、耐動的疲労性(耐屈
曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性および低
温特性に優れるとともに、化学反応性、加工性、スチレ
ン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマー
との相溶性および共加硫性にも優れ、種々のゴム製品の
材料や樹脂改質剤などの用途に利用できる。
【0174】《不飽和性オレフィン系共重合体(A)の
グラフト変性物》本発明の不飽和性オレフィン系共重合
体(A)は、不飽和性オレフィン系共重合体(A)に極
性モノマーをグラフト重合させることにより、変性して
用いることができる。グラフト変性された不飽和性オレ
フィン系共重合体(A)(グラフト変性不飽和性オレフ
ィン系共重合体(A)ともいう)は、ラジカル開始剤の
存在下あるいは不存在下に、不飽和性オレフィン系共重
合体(A)と、極性モノマーとを反応させることにより
得ることができる。
【0175】上記極性モノマーとしては、水酸基含有エ
チレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和
化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香
族ビニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導
体、ビニルエステル化合物および塩化ビニルなどがあげ
られる。
【0176】上記水酸基含有エチレン性不飽和化合物と
しては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェ
ノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリン
モノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ
(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチ
ルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;10
-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタ
ノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイ
ルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモ
ノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタ
ノール、2-ブテン-1,4-ジオールおよびグリセリンモノ
アルコールなどがあげられる。
【0177】前記アミノ基含有エチレン性不飽和化合物
は、エチレン性二重結合とアミノ基とを有する化合物で
ある。このような化合物としては、下記一般式(31)
で表されるアミノ基または置換アミノ基を少なくとも1
種類有するビニル系単量体をあげることができる。
【0178】
【化55】
【0179】一般式(31)中、R1は水素原子、メチ
ル基またはエチル基、R2は水素原子、炭素数1〜1
2、好ましくは1〜8のアルキル基、または炭素数6〜
12、好ましくは6〜8のシクロアルキル基である。な
お上記のアルキル基、シクロアルキル基は置換基を有し
ていてもよい。
【0180】このようなアミノ基含有エチレン性不飽和
化合物としては、具体的には(メタ)アクリル酸アミノ
エチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸
アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルお
よびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等のアク
リル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体
類;N-ビニルジエチルアミンおよびN-アセチルビニルア
ミン等のビニルアミン系誘導体類;アリルアミン、メタ
クリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチル
アクリルアミン、およびN,N-ジメチルアミノプロピルア
クリルアミン等のアリルアミン系誘導体;アクリルアミ
ドおよびN-メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系
誘導体;p-アミノスチレン等のアミノスチレン類;6-ア
ミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸
イミドなどがあげられる。
【0181】前記エポキシ基含有エチレン性不飽和化合
物は、一分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ
基を少なくとも1個以上有するモノマーである。このよ
うなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、
具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート等;マレイン酸のモノおよびジグリシジルエス
テル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、ク
ロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒ
ドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタ
コン酸のモノおよびグリシジルエステル、ブテントリカ
ルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコ
ン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸
(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステ
ル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-
メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)の
モノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモ
ノおよびジグリシジルエステル等のジカルボン酸モノお
よびジアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエ
ステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12);p-スチ
レンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリル
グリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテ
ル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-
ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキ
シ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、
5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノ
オキシドなどがあげられる。
【0182】前記芳香族ビニル化合物としては、下記一
般式(32)で表される化合物があげられる。
【化56】
【0183】一般式(32)において、R1およびR2
それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキ
ル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル
基およびイソプロピル基をあげることができる。R3
炭素数1〜3の炭化水素基またはハロゲン原子を表し、
具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基およびイソ
プロピル基ならびに塩素原子、臭素原子およびヨウ素原
子などをあげることができる。またnは通常は0〜5、
好ましくは1〜5の整数を表す。
【0184】このような芳香族ビニル化合物の具体的な
ものとしては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチ
ルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-
クロロスチレン、m-クロロスチレンおよびp-クロロメチ
ルスチレンなどがあげられる。複素環芳香族ビニル化合
物も使用することができ、例えば4-ビニルピリジン、2-
ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン、2-メチ
ル-5-ビニルピリジン、2-イソプロペニルピリジン、2-
ビニルキノリン、3-ビニルイソキノリン、N-ビニルカル
バゾール、N-ビニルピロリドンなどをあげることができ
る。
【0185】前記不飽和カルボン酸としては、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒド
ロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、
イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ
[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸等の不飽和
カルボン酸、またはこれらの酸無水物あるいはこれらの
誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステル
など)などがあげられる。具体的なものとしては、塩化
マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン
酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン
酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタ
ル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-
ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノ
エチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどをあげる
ことができる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、
無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジルメタクリレートおよびメタクリル酸アミ
ノプロピルが好ましい。
【0186】前記ビニルエステル化合物の例としては、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ
酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バ
ーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン
酸ビニル、安息香酸ビニル、p-t-ブチル安息香酸ビニ
ル、サリチル酸ビニルおよびシクロヘキサンカルボン酸
ビニルなどをあげることができる。
【0187】変性に使用する極性モノマーは、不飽和性
オレフィン系共重合体(A)100重量部に対して、通
常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量
部の量で使用される。
【0188】変性に使用するラジカル開始剤としては、
有機過酸化物あるいはアゾ化合物などをあげることがで
きる。上記有機過酸化物の具体的なものとしては、ジク
ミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジ
メチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-
ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、
1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、
1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)バラレート、ベンゾイル
ペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、アセ
チルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタ
ノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルペル
オキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシドおよび
m-トルイルペルオキシドなどをあげることができる。前
記アゾ化合物としてはアゾイソブチロニトリル、ジメチ
ルアゾイソブチロニトリルなどをあげることができる。
【0189】このようなラジカル開始剤は、不飽和性オ
レフィン系共重合体(A)100重量部に対して、一般
には0.001〜10重量部の量で使用されることが望
ましい。
【0190】ラジカル開始剤は、そのまま不飽和性オレ
フィン系共重合体(A)および極性モノマーと混合して
使用することもできるが、ラジカル開始剤を少量の有機
溶媒に溶解して使用することもできる。ここで使用され
る有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機
溶媒であれば特に限定することなく使用することができ
る。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン
およびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等
の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサンおよびデカヒドロナフタレン等の脂環族炭化
水素系溶媒;クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリ
クロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化
炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素;
メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパ
ノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブ
タノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチ
ルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル
系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-
アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシア
ニソール等のエーテル系溶媒などをあげることができ
る。
【0191】不飽和性オレフィン系共重合体(A)をグ
ラフト変性するに際しては、還元性物質を用いてもよ
い。還元性物質は、得られるグラフト変性不飽和性オレ
フィン系共重合体(A)におけるグラフト量を向上させ
る作用を有する。
【0192】還元性物質としては、鉄(II)イオン、ク
ロムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、パラジ
ウムイオン、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン、ヒドラジ
ンなどのほか、−SH、SO3H、−NHNH2、−CO
CH(OH)−などの基を含む化合物などがあげられる。
このような還元性物質としては、具体的には塩化第一
鉄、重クロム酸カリウム、塩化コバルト、ナフテン酸コ
バルト、塩化パラジウム、エタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、N,N-ジメチルアニリン、ヒドラジン、エチ
ルメルカプタン、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスル
ホン酸などがあげられる。
【0193】上記の還元性物質は、不飽和性オレフィン
系共重合体(A)100重量部に対して、通常0.00
1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の量で使用
される。
【0194】不飽和性オレフィン系共重合体(A)のグ
ラフト変性は、公知の方法で行うことができ、例えば不
飽和性オレフィン系共重合体(A)を有機溶媒に溶解
し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶
液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃
の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間
反応させることにより行われる。
【0195】不飽和性オレフィン系共重合体(A)をグ
ラフト変性する際に用いられる有機溶媒としては、不飽
和性オレフィン系共重合体(A)を溶解し得る有機溶媒
であれば特に限定することなく使用することができる。
このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒などがあげられ
る。
【0196】また押出機などを使用して、無溶媒で不飽
和性オレフィン系共重合体(A)と極性モノマーとを反
応させて、グラフト変性不飽和性オレフィン系共重合体
(A)を製造することができる。反応温度は、通常不飽
和性オレフィン系共重合体(A)の融点以上、具体的に
は120〜250℃の範囲である。このような温度条件
下における反応時間は、通常0.5〜10分間である。
【0197】このようにして調製されたグラフト変性不
飽和性オレフィン系共重合体(A)中における極性モノ
マーから誘導されるグラフト基のグラフト量は、通常は
0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%の範
囲内にある。
【0198】このようにして得られた変性不飽和性オレ
フィン系共重合体(A)は、金属および極性樹脂との接
着性に優れる。また変性不飽和性オレフィン系共重合体
(A)を極性樹脂とブレンドすることにより、耐衝撃性
および低温耐衝撃性を改良することができる。
【0199】また変性不飽和性オレフィン系共重合体
(A)を成形して得られる成形体は、成形体表面への印
刷性および塗装性に優れている。またポリオレフィンに
ガラス繊維や無機化合物などの充填剤と共に変性不飽和
性オレフィン系共重合体(A)をブレンドすることによ
り、充填剤の分散性が改良された樹脂組成物を得ること
ができる。このようにすれば、充填剤を配合する場合の
利点が保持され、しかも機械強度が向上した樹脂組成物
を得ることができる。
【0200】《加硫可能なゴム組成物》本発明のゴム組
成物は、前記本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
(A)と、補強剤(B)、軟化剤(C)および加硫剤
(D)の中の少なくとも1種の成分とを含むゴム組成物
である。このような本発明のゴム組成物は、加硫可能な
ゴム組成物であり(以下、加硫可能なゴム組成物という
場合がある)、未加硫のままで用いることもできるが、
加硫物として用いると、より一層優れた特性を発現する
ことができる。加硫は、加硫剤(D)を使用して加熱す
る方法、あるいは加硫剤(D)を用いずに電子線を照射
する方法などにより行うことができる。
【0201】《補強剤(B)》補強剤(B)としては、
SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、
SAF、FT、MT等のカーボンブラック;これらカー
ボンブラックをシランカップリング剤などで表面処理し
た表面処理カーボンブラック;シリカ、活性化炭酸カル
シウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微
粉タルク、タルク、微粉ケイ酸、クレー等の無機充填剤
などがあげられる。
【0202】本発明のゴム組成物は、補強剤(B)を、
不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量部に対
して300重量部以下、好ましくは10〜300重量
部、さらに好ましくは10〜200重量部の量で含有す
る。このような量の補強剤(B)を含有するゴム組成物
からは、引張強度、引裂強度および耐摩耗性などの機械
的性質が向上された加硫ゴムが得られる。また加硫ゴム
の他の物性を損なうことなく硬度を高くすることがで
き、さらにコストを引下げることができる。
【0203】《軟化剤(C)》軟化剤(C)としては、
従来ゴムに配合されている軟化剤が広く用られる。具体
的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パ
ラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化
剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールター
ル系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等
の脂肪油系軟化剤;トール油、ファクチス、蜜ロウ、カ
ルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カル
シウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;石
油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデ
ン樹脂等の合成高分子物質などがあげられる。これらの
中では石油系軟化剤が好ましく、特にプロセスオイルが
好ましい。
【0204】本発明のゴム組成物は、軟化剤(C)を、
不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量部に対
して200重量部以下、好ましくは10〜200重量
部、さらに好ましくは10〜150重量部、特に好まし
くは10〜100重量部の量で含有する。
【0205】《加硫剤(D)》本発明のゴム組成物を加
熱により加硫する場合には、ゴム組成物中に加硫剤
(D)、加硫促進剤、加硫助剤などの加硫系を構成する
化合物を配合することができる。上記加硫剤(D)とし
ては、イオウ、イオウ系化合物および有機過酸化物など
を用いることができる。
【0206】イオウの形態は特に限定されず、例えば粉
末イオウ、沈降イオウ、コロイドイオウ、表面処理イオ
ウ、不溶性イオウなどを用いるこができる。前記イオウ
系化合物としては、具体的には塩化イオウ、二塩化イオ
ウ、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキ
ルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジス
ルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどがあ
げられる。
【0207】前記有機過酸化物としては、具体的にはジ
クミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-
ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t
-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシ
ド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキ
シン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキ
シ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオ
キシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルペルオキシ-
m-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルヒドロペルオキシ
ド等のアルキルペルオキシド類;t-ブチルペルオキシア
セテート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチ
ルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシマレイン
酸、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペ
ルオキシベンゾエート、ジ−t-ブチルペルオキシフタレ
ート等のペルオキシエステル類;ジシクロヘキサノンペ
ルオキシド等のケトンペルオキシド類などがあげられ
る。これらは2種以上組合わせて用いてもよい。
【0208】これらの中では、1分半減期温度が130
〜200℃である有機過酸化物が好ましく、具体的には
ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-
t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサ
ン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオ
キシドおよびt-ブチルヒドロペルオキシドなどが好まし
い。
【0209】本発明では、上記のような各種加硫剤
(D)の中でも、イオウまたはイオウ系化合物、特にイ
オウを用いると優れた特性のゴム組成物を得ることがで
きるため好ましい。
【0210】加硫剤(D)がイオウまたはイオウ系化合
物である場合は、不飽和性オレフィン系共重合体(A)
100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは
0.5〜5重量部の量で用いることができる。また加硫
剤(D)が有機過酸化物である場合は、不飽和性オレフ
ィン系共重合体(A)100重量部に対して0.05〜
15重量部、好ましくは0.15〜5重量部の量で用い
ることができる。
【0211】《加硫促進剤》加硫剤(D)としてイオウ
またはイオウ化合物を用いる場合には、加硫促進剤を併
用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的に
はN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンア
ミド(CBS)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾ
ールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾ
チアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化
合物;2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-
(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾー
ル、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチア
ゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール
系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニ
ジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバ
イグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグ
アニジン化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、
ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテ
トラミン、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒド
アミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2-メル
カプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカ
ルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリ
ア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア
等のチオユリア系化合物;テトラメチルチウラムモノス
ルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMT
D)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチ
ルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテト
ラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフ
ィド(DPTT)等のチウラム系化合物;ジメチルジチ
オカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜
鉛、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェ
ニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカ
ルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウ
ム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチ
オカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチ
ルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;亜鉛華
などがあげられる。
【0212】上記のような加硫促進剤は、不飽和性オレ
フィン系共重合体(A)100重量部に対して0.1〜
20重量部、好ましくは0.2〜10重量部の量で用い
ることが望ましい。
【0213】《加硫助剤》加硫剤(D)として有機過酸
化物を用いる場合には、加硫助剤を有機過酸化物1モル
に対して0.5〜2モル、好ましくはほぼ等モルの量で
併用することが好ましい。
【0214】加硫助剤としては、具体的にはイオウ;p-
キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物に加え
て、多官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパン
トリアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート等の(メタ)アクリレート系化合物;ジアリルフ
タレート、トリアリルシアヌレート等のアリル系化合
物;m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合
物;ジビニルベンゼンなどがあげられる。
【0215】《他の成分》本発明のゴム組成物には、上
記成分の他にも、他の成分として酸化防止剤(安定
剤)、加工助剤、さらには発泡剤、発泡助剤等の発泡系
を構成する化合物、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤な
ど、種々の薬剤などを配合することができる。他の成分
は、用途に応じてその種類、含有量が適宜選択される。
【0216】《酸化防止剤》本発明のゴム組成物は、酸
化防止剤を含有していると材料寿命を長くすることがで
きて好ましい。この酸化防止剤としては、具体的にはフ
ェニルナフチルアミン、4,4'-(α,α−ジメチルベン
ジル)ジフェニルアミン、N,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェ
ニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6-ジ
-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス-[メチレ
ン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス
[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-
5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安
定剤;2-メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミ
ダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケ
ル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4-トリメチ
ル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定
剤などがあげられる。これらは2種以上併用することも
できる。このような酸化防止剤は、不飽和性オレフィン
系共重合体(A)100重量部に対して5重量部以下、
好ましくは3重量部以下の量で用いることができる。
【0217】《加工助剤》加工助剤としては、一般的に
加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用するこ
とができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン
酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の酸、これら高級脂肪
酸の塩、例えばステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウムまたはエステル類などがあ
げられる。加工助剤は、不飽和性オレフィン系共重合体
(A)100重量部に対して10重量部以下、好ましく
は5重量部以下の量で用いることができる。
【0218】《発泡剤》本発明のゴム組成物は、発泡
剤、発泡助剤などの発泡系を構成する化合物を含有する
場合には、発泡成形することができる。発泡剤として
は、一般的にゴムを発泡成形する際に用いられる発泡剤
を広く使用することができる。具体的には、重炭酸ナト
リウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ア
ンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N'
-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、N,N'-ジ
ニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合
物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリ
ル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼ
ン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒ
ドラジド、p,p'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒド
ラジド)、ジフェニルスルホン-3,3'-ジスルホニルヒド
ラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムア
ジド、4,4-ジフェニルジスルホニルアジド、p-トルエン
スルホルニルアジド等のアジド化合物などがあげられ
る。これらの中では、ニトロソ化合物、アゾ化合物、ア
ジド化合物が好ましい。
【0219】発泡剤は、不飽和性オレフィン系共重合体
(A)100重量部に対して0.5〜30重量部、好ま
しくは1〜20重量部の量で用いることができる。この
ような量で発泡剤を含有するゴム組成物からは、見かけ
比重0.03〜0.8g/cm3の発泡体を製造することが
できる。
【0220】また発泡剤とともに発泡助剤を用いること
もでき、発泡助剤を併用すると、発泡剤の分解温度の低
下、分解促進、気泡の均一化などの効果がある。このよ
うな発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステア
リン酸、シュウ酸等の有機酸、尿素またはその誘導体な
どがあげられる。発泡助剤は、不飽和性オレフィン系共
重合体(A)100重量部に対して0.01〜10重量
部、好ましくは0.1〜5重量部の量で用いることがで
きる。
【0221】《他のゴム》本発明のゴム組成物は、本発
明の目的を損なわない範囲で、公知の他のゴムを含んで
いてもよい。このような他のゴムとしては、天然ゴム
(NR)、イソプレンゴム(IR)等のイソプレン系ゴ
ム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴ
ム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(N
BR)、クロロプレンゴム(CR)等の共役ジエン系ゴ
ムなどをあげることができる。
【0222】さらに公知のエチレン・α−オレフィン系
共重合ゴムを用いることもでき、例えばエチレン・プロ
ピレンランダム共重合体(EPR)、エチレン・α-オ
レフィン・ポリエン共重合体、例えばEPDMなどを用
いることができる。
【0223】本発明の加硫可能なゴム組成物は、不飽和
性オレフィン系共重合体(A)を、全ゴム組成物中20
重量%以上、好ましくは25重量%以上の量で含有して
いることが望ましい。不飽和性オレフィン系共重合体
(A)の含有量がこの範囲にある場合、ゴム組成物とし
ての良好な物性が発現する。
【0224】本発明の加硫可能なゴム組成物は、不飽和
性オレフィン系共重合体(A)および上記のような成分
から、一般的なゴム配合物の調製方法によって調製する
ことができる。例えばバンバリーミキサー、ニーダー、
インターミックス等のインターナルミキサー類を用い
て、不飽和性オレフィン系共重合体(A)および配合す
る成分を、80〜170℃の温度で3〜10分間混練し
た後、必要に応じて加硫剤(D)、加硫促進剤または加
硫助剤などを加えて、オープンロールなどのロ−ル類あ
るいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5
〜30分間混練した後、分出しすることにより調製する
ことができる。このようにして通常リボン状またはシー
ト状のゴム組成物(配合ゴム)が得られる。上記のイン
ターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、加硫
剤(D)、加硫促進剤、発泡剤などを同時に混練するこ
ともできる。
【0225】《加硫ゴム》本発明のゴム組成物の加硫物
(加硫ゴム)は、上記のような未加硫のゴム組成物を、
通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェ
クション成形機またはトランスファー成形機などの成形
機を用いた種々の成形法よって所望形状に予備成形し、
成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱す
るか、あるいは電子線を照射することにより加硫して得
ることができる。
【0226】上記ゴム組成物を加熱により加硫する場合
には、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波
電磁波)、スチームまたはLCM(熱溶融塩槽)などの
加熱形態の加熱槽を用いて、150〜270℃の温度で
1〜30分間加熱することが好ましい。
【0227】また加硫剤(D)を使用せずに電子線照射
により加硫する場合は、予備成形されたゴム組成物に、
0.1〜10MeV、好ましくは0.3〜2MeVのエネ
ルギーを有する電子線を、吸収線量が0.5〜35Mr
ad、好ましくは0.5〜10Mradになるように照
射すればよい。成形・加硫に際しては、金型を用いても
よく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場
合には、ゴム組成物は通常連続的に成形・加硫される。
【0228】上記のように成形・加硫された加硫ゴム
は、ウェザーストリップ、ドアーグラスランチャンネ
ル、窓枠、ラジエータホース、ブレーキ部品、ワイパー
ブレード、ブレーキキャップ、天井材、エアバッグカバ
ー、インストゥルメントパネル、トリム、コントロール
ノブ、シートベルトカバーなどの自動車工業部品、ゴム
ロール、ベルト、パッキン、ホースなどの工業用ゴム製
品、アノードキャップ、グロメット、電線などの電気絶
縁材、建築用ガスケット、土木用シートなどの土木建材
用品、ゴム引布、導電性ゴム、高硬度ゴム、表皮シート
などの用途に用いることができる。
【0229】また発泡剤を含有するゴム配合物を加熱発
泡させて得られる加硫発泡体は、断熱材、クッション
材、シーリング材などの用途に用いることができる。
【0230】
【発明の効果】本発明の不飽和性オレフィン系共重合体
は、α−オレフィン(a−1)と、芳香環含有ビニルモ
ノマー(a−2)と、一分子中に1個のビニル基を有す
る鎖状非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)とラ
ンダム共重合体であり、これらの単量体から誘導される
構造単位を特定量を含有しているので、耐動的疲労性
(耐屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性お
よび低温特性に優れるとともに、化学反応性、加工性、
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポ
リマーとの相溶性および共加硫性にも優れ、種々のゴム
製品の材料や樹脂改質剤などの用途に利用できる。
【0231】本発明の製造方法は、α−オレフィン(a
−1)と、芳香環含有ビニルモノマー(a−2)と、一
分子中に1個のビニル基を有する鎖状非共役トリエンま
たはテトラエン(a−3)とを、遷移金属化合物と、有
機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン性
化合物とから形成される触媒の存在下に共重合させてい
るので、上記不飽和性オレフィン系共重合体を効率よく
製造することができる。特に、触媒としてメタロセン系
触媒を使用した場合、芳香環含有ビニルモノマー(a−
2)および非共役トリエンまたはテトラエン(a−3)
を高転化率で効率よく共重合することができ、しかも分
子量分布および組成分布の狭い不飽和性オレフィン系共
重合体を容易に得ることができる。
【0232】本発明のゴム組成物は、上記不飽和性オレ
フィン系共重合体と、補強剤(B)、軟化剤(C)また
は加硫剤(D)とを含んでいるので、耐動的疲労性(耐
屈曲疲労性)、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性および
低温特性に優れるとともに、化学反応性、加工性、スチ
レン・ブタジエンゴム(SBR)等の芳香環含有ポリマ
ーとの相溶性および共加硫性にも優れている。
【0233】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例によってさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によ
って何等限定されるものではない。
【0234】参考例1 《6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン(DMUT)
の合成》一般式(2−1)において、p=0,q=1,
f=1,g=2である下式(33)で表される6,10-ジ
メチル-1,5,9-ウンデカトリエン(DMUT)を次のよ
うにして合成した。この化合物の全ての炭素−炭素二重
結合に隣接する全ての炭素原子に直接結合している水素
原子の合計は17個である。
【化57】
【0235】スターラー、ジムロート冷却管、滴下ロー
トおよび温度計を備えた容量1 literの三つ口フラスコ
の中に、窒素雰囲気下で、削り状マグネシウム金属2
5.5g(1.05グラム原子)、無水ジエチルエーテ
ル200mlおよび200mgの1,2-ジブロモエタンを
入れ、その中に臭化アリル127g(1.05モル)の
無水ジエチルエーテル(200ml)溶液を少量滴下し
た。操作は撹拌しながら行った。
【0236】フラスコ内容物の発熱が始まり臭化アリル
マグネシウム(グリニアール試薬)が生成し始めた後
に、無水ジエチルエーテル400mlをフラスコ内に追
加し、さらに残りの臭化アリルの無水ジエチルエーテル
溶液を氷浴下、5時間かけてフラスコ内に滴下し(フラ
スコ内部温度5℃以下)した。この臭化アリルの無水ジ
エチルエーテル溶液の滴下終了後、さらに0.5時間撹
拌を続けて、臭化アリルマグネシウム溶液を得た。
【0237】得られた臭化アリルマグネシウム溶液中に
残存する不溶物をデカンテーションして除去し、窒素雰
囲気下の2 liter容量三つ口フラスコに移液した。この
ように臭化アリルマグネシウム溶液が入れられた三つ口
フラスコを氷浴で冷却しながら、このフラスコ内に、臭
化ゲラニル150g(0.69モル)の無水ジエチルエ
ーテル200ml溶液をフラスコ内部温度5℃以下に保
持しつつ2時間かけて滴下した。臭化ゲラニルの無水ジ
エチルエーテル溶液の滴下終了後、さらに室温で8時間
撹拌した。
【0238】得られた反応混合物を氷浴で冷却しなが
ら、この反応混合物内に飽和塩化アンモニウム水溶液を
徐々に滴下し、さらにジエチルエーテルおよび水を加え
て有機層と水層とに分液した。有機層を飽和重曹水、飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
得られた乾燥物から溶媒を留去し、残査を減圧蒸留する
と、目的物である6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエ
ン(DMUT)が104g得られた(収率85%、臭化
ゲラニル基準)。
【0239】得られた6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカト
リエン(DMUT)の性状、および物性を以下に示す。 1)性状:無色油状。 2)沸点:58−60℃/266Pa(2mmHg)。 3)MSスペクトル:178(M+:分子イオンピー
ク)。 4)1H NMRスペクトル(CDCl3溶液): δ1.64(6H,singlet) 1.70(3H,singlet) 2.1 (8H,multiplet) 5.0 (4H,multiplet) 5.8 (1H,multiplet)。 5)IR吸収スペクトル(ニート, cm-1):3075, 29
70, 2920, 2850, 1640, 1440, 1380, 1105, 995, 905。
【0240】参考例2 《4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMN)の
合成》一般式(2−1)において、p=1,q=0,f
=1,g=1である下式(34)で表される4-エチリデ
ン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMN)を次のようにし
て合成した。この化合物の全ての炭素−炭素二重結合に
隣接する全ての炭素原子に直接結合している水素原子の
合計は15個である。
【化58】
【0241】[触媒の調製]アルゴン雰囲気下、スター
ラー撹拌子を入れた50mlフラスコ中に、無水塩化コ
バルト(II)43mg(0.33ミリモル)、1,2-ビス
(ジフェニルホスフィノ)エタン263mg(0.66
ミリモル)および無水デカン23mlを入れ、25℃で
2時間撹拌した。次いで25℃で、濃度1モル/liter
のトリエチルアルミニウム/トルエン溶液17ml(ト
リエチルアルミニウム17ミリモル)を加え、2時間撹
拌することにより触媒を調製した。
【0242】300mlステンレス(SUS316)製
オートクレーブ中に、アルゴン雰囲気下、7-メチル-3-
メチレン-1,6-オクタジエン(β−ミルセン)100g
(734ミリモル)と上記触媒を全量加えて密閉した。
次いでオートクレーブにエチレンボンベを直結してエチ
レンを導入し、オートクレーブ内を3.4MPa(35
kgf/cm2、ゲージ圧)まで加圧した。次いで95℃に加
熱し、消費されたエチレンを間欠的に5回追加して、合
計で15時間反応を行った。
【0243】反応終了後にオートクレーブを冷却した後
開放し、得られた反応混合物を100mlの水中に注い
で有機層と水層とに分離した。分離された有機層から、
エバポレータで低沸点物を除去した。その後、20段の
精密減圧蒸留を行い、目的物であるEMNを83g得た
(収率69%)。また反応副生物として、5,9-ジメチル
-1,4,8-デカトリエンが16g生成した(収率13
%)。
【0244】得られた4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナ
ジエン(EMN)の分析結果を以下に示す。 1)沸点:103〜105℃/4000Pa(30mm
Hg) 2)GC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析):
m/z 164(M+分子イオンピーク)、149、1
23、95、69、41、27 3)IR吸収スペクトル(ニート、cm-1):308
0、2975、2925、2850、1670、164
0、1440、1380、1235、1110、99
5、910、830 4)1H NMRスペクトル(溶媒:CDCl3): δ1.59 (3H,doublet, J=7Hz) 1.60 (3H,singlet) 1.68 (3H,singlet) 2.00 (2H,multiplet) 2.06 (2H,multiplet) 2.80 (2H,doublet, J=7Hz) 4.9〜5.2(3H,multiplet) 5.30 (1H,quartet, J=7Hz) 5.75 (1H,multiplet)
【0245】参考例3 《5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)の合
成》一般式(2−1)において、p=0,q=1,f=
0,g=2である下式(35)で表される5,9-ジメチル
-1,4,8-デカトリエン(DMDT)を次のようにして合
成した。この化合物の全ての炭素−炭素二重結合に隣接
する全ての炭素原子に直接結合している水素原子の合計
は15個である。
【化59】
【0246】スターラー、ジムロート冷却管、滴下ロー
トおよび温度計を備えた容量1 literの三つ口フラスコ
の中に、窒素雰囲気下、0.87モル/literのビニル
マグネシウムブロミドの無水テトラヒドロフラン溶液5
00ml(0.435モル)を入れ、フラスコ内容物を
氷浴で冷却した。次に、フラスコ内容物を撹拌しなが
ら、このフラスコ内に臭化ゲラニル75g(0.346
モル)の無水テトラヒドロフラン溶液100mlを30
分間かけて滴下し、さらに8時間室温で撹拌した。
【0247】得られた反応混合物を氷浴で冷却しなが
ら、このフラスコ内に飽和塩化アンモニウム水溶液を徐
々に滴下し、さらにジエチルエーテルおよび水を加えて
有機層と水層とに分液した。分取された有機層を飽和重
曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。得られた乾燥物中の溶媒を留去し、残査を減圧
蒸留すると、目的物である5,9-ジメチル-1,4,8-デカト
リエン(DMDT)が21.9g得られた(収率39
%、臭化ゲラニル基準)。
【0248】得られた5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエ
ン(DMDT)の性状、および物性を以下に示す。 1)性状:無色油状。 2)沸点:56−58℃/266Pa(2mmHg)。 3)MSスペクトル:164(M+)。 4)1H NMRスペクトル(CDCl3溶液): δ1.64(6H,singlet) 1.70(3H,singlet) 2.04(4H,singlet) 2.76(2H,multiplet) 5.0 (4H,multiplet) 5.8 (1H,multiplet)。 5)IR吸収スペクトル(ニート、cm-1):3075, 29
70, 2920, 2850, 1640, 1440, 1380, 1105, 995, 905。
【0249】実施例1 [メタロセン系触媒溶液の調製]充分に窒素置換したガ
ラス製フラスコに[ジメチル(t-ブチルアミド)(テト
ラメチルシクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロ
リドを40.5mg入れた後、メチルアルミノキサンの
トルエン溶液(Witco社製メチルアルミノキサンを
乾固してトルエンに再溶解したもの、Al;1.1モル
/liter)55mlを添加することによりメタロセン系
触媒溶液を得た。
【0250】[重合]充分に窒素置換した内容積1 lit
erのガラス製オートクレーブにトルエン400ml、ス
チレン100mlおよび参考例2で製造した4-エチリデ
ン-8-メチル-1,7-ノナジエンを主として含む4-エチリデ
ン-8-メチル-1,7-ノナジエン混合物(以下「EMN」と
記す)2mlを装入し、系内の温度を40℃に昇温し
た。引き続き、エチレンを毎時100 literの量で流通
させながら上記メタロセン系触媒溶液30ml(Tiと
して0.06ミリモル)を添加することにより重合を開
始した。その後、エチレンのみを連続的に供給すること
により常圧下、40℃で1時間重合を行った。少量のエ
タノールを系内に添加することにより重合を停止した
後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー
溶液を大過剰の塩酸/メタノール混合溶液中に投入する
ことによりポリマーを析出させた。ポリマーを濾過によ
り回収し、安定剤[Irganox1010(チバガイギー
製)10mgおよびMark329K(旭電化製)10m
g]を混合した後、80℃で減圧下に一晩乾燥した。
【0251】その結果、極限粘度[η]が1.1dl/
g、エチレンから導かれた構造単位の含量が65.6モ
ル%、スチレンから導かれた構造単位の含量が32.8
モル%、EMNから導かれた構造単位の含量が1.6モ
ル%であるエチレン・スチレン・EMN共重合体を7.
8g得た。
【0252】実施例2 実施例1の重合において、トルエンおよびスチレンの使
用量をそれぞれ480mlおよび20mlとした以外は
同様に行った。その結果、極限粘度[η]が1.5dl
/g、エチレンから導かれた構造単位の含量が91.9
モル%、スチレンから導かれた構造単位の含量が6.7
モル%、EMNから導かれた構造単位の含量が1.4モ
ル%であるエチレン・スチレン・EMN共重合体を1
1.7g得た。
【0253】実施例3 実施例1の重合において、トルエン、スチレンおよびE
MNの使用量をそれぞれ450ml、50mlおよび3
mlとした以外は同様に行った。その結果、極限粘度
[η]が1.1dl/g、エチレンから導かれた構造単
位の含量が80.4モル%、スチレンから導かれた構造
単位の含量が17.8モル%、EMNから導かれた構造
単位の含量が1.8モル%であるエチレン・スチレン・
EMN共重合体を10.3g得た。
【0254】実施例4 [固体チタン触媒成分(h−1)の調製]無水塩化マグ
ネシウム95.2g、デカン442mlおよび2-エチル
ヘキシルアルコール390.6gを130℃で2時間加
熱反応を行って均一溶液とした。その後、この溶液中に
無水フタル酸21.3gを添加し、さらに130℃にて
1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に
溶解させた。このようにして得られた均一溶液を室温に
冷却した後、75mlを−20℃に保持した四塩化チタ
ン200ml中に1時間にわたって全量滴下装入した。
装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃
に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタ
レート5.22gを添加した。その後、2時間同温度に
て撹拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過して固
体部を採取した。この固体部を275mlの四塩化チタ
ンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反
応を行った。反応終了後、再び熱濾過して固体部を採取
し、110℃デカンおよびヘキサンにて、洗液中に遊離
のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
以上の操作によって調製したチタン触媒成分(h−1)
はデカンスラリーとして保存したが、この中の一部を触
媒組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られ
た固体チタン触媒成分(h−1)の組成はチタン2.5
重量%、塩素65重量%、マグネシウム19重量%およ
びジイソブチルフタレート13.5重量%であった。
【0255】[重合]充分に窒素置換した内容積1 lit
erのガラス製オートクレーブにデカン400ml、1-オ
クテン100ml、4-フェニル-1-ブテン20mlおよ
び参考例3の5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DM
DT)5mlを装入し、系内の温度を50℃に昇温し
た。次いで、水素を毎時0.8 literおよび窒素を毎時
50 literの量で流通させながら、トリイソブチルアル
ミニウムを2ミリモル、トリメチルメトキシシランを
0.6ミリモルおよび上記固体チタン触媒成分(h−
1)をTi原子に換算して0.02ミリモル添加するこ
とにより重合を開始した。系内を50℃に保ち、30分
間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加するこ
とにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージ
した。得られたポリマー溶液を大過剰の塩酸/メタノー
ル混合溶液中に投入することによりポリマーを析出させ
た。ポリマーを濾過により回収し、安定剤[Irgan
ox1010(チバガイギー製)10mgおよびMark32
9K(旭電化製)10mg]を混合した後、130℃で減
圧下に一晩乾燥した。
【0256】その結果、極限粘度[η]が4.7dl/
g、1-オクテンから導かれた構造単位の含量が73.9
モル%、4-フェニル-1-ブテンから導かれた構造単位の
含量が23.2モル%、DMDTから導かれた構造単位
の含量が2.9モル%である1-オクテン・4-フェニル-1
-ブテン・DMDT共重合体を12.8g得た。
【0257】実施例5 充分に窒素置換した内容積1.5 literのステンレス製
オートクレーブにトルエン360ml、スチレン120
mlおよびEMN8mlを装入し、系内の温度を40℃
に昇温した。引き続き、エチレンを10kg/cm2
なるように導入し、前記実施例1で調製したメタロセン
系触媒溶液9ml(Tiとして0.018ミリモル)を
添加することにより重合を開始した。その後、エチレン
のみを10kg/cm2になるように連続的に供給する
ことにより、40℃で30分間重合を行った。その後、
実施例1と同様な操作を行った。
【0258】その結果、極限粘度[η]が2.4dl/
g、エチレンから導かれた構造単位の含量が83.1モ
ル%、スチレンから導かれた構造単位の含量が15.1
モル%、EMNから導かれた構造単位の含量が1.8モ
ル%であるエチレン・スチレン・EMN共重合体を10
g得た。結果を表1にまとめる。
【0259】実施例6 実施例5の重合において、トルエン、スチレンおよびE
MNの使用量をそれぞれ380ml、100mlおよび
6.5mlとし、さらにプロピレンを2.2kg/cm
2、エチレンを6kg/cm2となるように導入した以外
は同様に行った。その結果、極限粘度[η]が2.2d
l/g、エチレンから導かれた構造単位の含量が71.
2モル%、プロピレンから導かれた構造単位の含量が1
5.0モル%、スチレンから導かれた構造単位の含量が
12.3モル%、EMNから導かれた構造単位の含量が
1.5モル%であるエチレン・プロピレン・スチレン・
EMN共重合体を18g得た。結果を表1にまとめる。
【0260】実施例7 実施例5の重合において、トルエン、スチレン、1−オ
クテンおよびEMNの使用量をそれぞれ375ml、8
0ml、25mlおよび6mlとし、エチレンを7kg
/cm2となるように導入し、反応温度を60℃にした
以外は同様に行った。その結果、極限粘度[η]が1.
7dl/g、エチレンから導かれた構造単位の含量が8
0.8モル%、1−オクテンから導かれた構造単位の含
量が8.2モル%、スチレンから導かれた構造単位の含
量が9.6モル%、EMNから導かれた構造単位の含量
が1.4モル%であるエチレン・1−オクテン・スチレ
ン・EMN共重合体を20g得た。結果を表1にまとめ
る。
【0261】比較例1 実施例5の重合において、EMNの代わりにエチリデン
ノルボルネン(ENB)を用い、トルエン、スチレンお
よびENBの使用量をそれぞれ360ml、120ml
および17mlとし、エチレンを6kg/cm2となる
ように導入し、反応温度を60℃にした以外は同様に行
った。その結果、極限粘度[η]が2.5dl/g、エ
チレンから導かれた構造単位の含量が81.3モル%、
スチレンから導かれた構造単位の含量が15.0モル
%、ENBから導かれた構造単位の含量が3.7モル%
であるエチレン・スチレン・ENB共重合体を23g得
た。結果を表1にまとめる。
【0262】
【表1】 *1 単位:gヨウ素/100gポリマー
【0263】実施例8〜11、比較例2 表1の共重合ゴムおよび実施例4の共重合ゴムを用い
て、前ロール/後ロールを50/60℃(16/18r
pm)に調整した6インチオープンロールにより、表2
の配合のコンパウンドを作製した。
【0264】
【表2】 *1 旭カーボン#60(旭社製、商標) *2 三新化学社製、商標 *3 三新化学社製、商標
【0265】表2の配合ゴムを用いて、キャラストメー
タ(JSR製)により160℃における90%加硫時間
(t90)を測定した。また160℃に加熱されたプレ
スにより20分間加熱して加硫シートを作製し、引張試
験、硬さ試験、老化試験および屈曲試験を、下記のよう
にして行った。結果を表3に示す。
【0266】試験方法はJIS K 6301に従って
行った。すなわち、引張試験では引張強度(TB)およ
び伸び(EB)、硬さ試験ではJIS A 硬度(HS
を測定した。老化試験では、120℃で70時間空気加
熱老化試験を行い、老化前の物性に対する保持率、すな
わち引張強度保持率AR(TB)および伸び保持率AR
(EB)を測定した。屈曲試験では、デマッチャー試験
機による亀裂成長に対する抵抗性を調べた。すなわち、
亀裂が15mmになるまでの屈曲回数を測定した。
【0267】
【表3】 *1 AR(TB)およびAR(EB)は、100%に近いほど 耐熱老化性が優れていることを示す。
【0268】表3の結果から、各実施例は比較例に比べ
て加硫速度が速いこと、および耐熱老化性に優れている
ことがわかる。
【0269】実施例12〜13、比較例3 実施例5の共重合体とスチレン/ブチレン共重合体ゴム
(SBR)との共加硫性を評価するため、表4の3種類
の配合のコンパウンドを作製した。そしてそのコンパウ
ンドを150℃に加熱されたプレスにより30分間加熱
して加硫シートを作製した。この加硫シートについて引
張試験を行い、共加硫性の尺度とした。実施例6または
比較例1の共重合体についても同様にして行った。結果
を表5に示す。
【0270】
【表4】 *1 スチレン/ブタジエン共重合体ゴム(日本ゼオン社製、 ゼットポール1502、商標) *2 実施例5、6または比較例1の共重合体ゴム
【0271】
【表5】 *1 下式で求めた値。なおこの値は大きい値であるほ
ど共架橋性がよいことを示す。すなわち、100を超え
た値であれば、基本配合1の加硫ゴムの物性と基本配合
2の加硫ゴムの物性との相加平均を上回っているという
ことを意味する。また100を下回れば、相加平均を下
回っているということを意味する。
【数1】共架橋性={(2×評価配合の強度)/(基準配
合1の強度+基準配合2の強度)}×100
【0272】表5の結果から、各実施例は比較例に比べ
て共架橋性に優れていることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08F 210/00 212:06 236:22)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (I)炭素数2〜20のα−オレフィン
    (a−1)と、 下記一般式(1)で表される芳香環含有ビニルモノマー
    (a−2)と、 一分子中に1個のビニル基を有する鎖状非共役トリエン
    またはテトラエン(a−3)とのランダム共重合体であ
    り、 (II)炭素数2〜20のα−オレフィン(a−1)から
    誘導される構造単位(b−1)30〜99.8モル%、 下記一般式(1)で表される芳香環含有ビニルモノマー
    (a−2)から誘導される構造単位(b−2)0.1〜
    60モル%、および前記非共役トリエンまたはテトラエ
    ン(a−3)から誘導される構造単位(b−3)0.1
    〜10モル%を含有し、 (III)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]
    が0.05〜10dl/gである不飽和性オレフィン系共
    重合体。 【化1】 〔一般式(1)中、mは0〜5の整数であり、R1、R2
    およびR3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素
    原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
  2. 【請求項2】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が、ビニル基に隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭
    化水素基と2個の水素原子とが結合している非共役トリ
    エンまたはテトラエンである請求項1記載の不飽和性オ
    レフィン系共重合体。
  3. 【請求項3】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が下記一般式(2−1)で表される化合物であり、
    非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単
    位(b−3)が下記一般式(3−1)で表される構造単
    位である請求項2記載の不飽和性オレフィン系共重合
    体。 【化2】 〔一般式(2−1)中、pおよびqは0または1(ただ
    しpとqとは同時に0ではない)、fは0〜5の整数
    (ただしpとqの両方が1の場合fは0ではない)、g
    は1〜6の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6および
    7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8
    炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1
    〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)
    12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10
    よびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、
    12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(ただ
    し、pとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭
    素数1〜5のアルキル基である)。一般式(3−1)
    中、p、q、f、gおよびR1〜R9は一般式(2−1)
    と同じである。〕
  4. 【請求項4】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が下記一般式(2−2)で表される化合物であり、
    非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単
    位(b−3)が下記一般式(3−2)で表される構造単
    位である請求項3記載の不飽和性オレフィン系共重合
    体。 【化3】 〔一般式(2−2)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水
    素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数
    1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5の
    アルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12
    表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR
    11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12
    炭素数1〜5のアルキル基である)である。一般式(3
    −2)中、f、gおよびR1〜R9は一般式(2−2)と
    同じである。〕
  5. 【請求項5】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が下記一般式(2−3)で表される化合物であり、
    非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構造単
    位(b−3)が下記一般式(3−3)で表される構造単
    位である請求項3記載の不飽和性オレフィン系共重合
    体。 【化4】 〔一般式(2−3)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
    は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
    ルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基
    または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基
    (ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
    子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
    5のアルキル基である)である。一般式(3−3)中、
    f、g、R1、R2およびR5〜R9は一般式(2−3)と
    同じである。〕
  6. 【請求項6】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が下記一般式(2−4)で表される非共役テトラエ
    ンであり、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導さ
    れる構造単位(b−3)が下記一般式(3−4)で表さ
    れる構造単位である請求項5記載の不飽和性オレフィン
    系共重合体。 【化5】 〔一般式(2−4)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
    は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
    ルキル基、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
    子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
    5のアルキル基である。一般式(3−4)中、f、g、
    1、R2、R5〜R8、nおよびR10〜R12は一般式(2
    −4)と同じである。〕
  7. 【請求項7】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が下記一般式(2−5)で表される非共役トリエン
    であり、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導され
    る構造単位(b−3)が下記一般式(3−5)で表され
    る構造単位である請求項5記載の不飽和性オレフィン系
    共重合体。 【化6】 〔一般式(2−5)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
    は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
    ルキル基、R9は水素原子または炭素数1〜5のアルキ
    ル基である。一般式(3−5)中、f、g、R1、R2
    よびR5〜R9は一般式(2−5)と同じである。〕
  8. 【請求項8】 (I)炭素数2〜20のα−オレフィン
    (a−1)と、 下記一般式(1)で表される芳香環含有ビニルモノマー
    (a−2)と、 一分子中に1個のビニル基を有する鎖状非共役トリエン
    またはテトラエン(a−3)とを、遷移金属化合物と、
    有機アルミニウム化合物および/またはイオン化イオン
    性化合物とから形成される触媒の存在下にランダム共重
    合させて、 (II)炭素数2〜20のα−オレフィン(a−1)から
    誘導される構造単位(b−1)30〜99.8モル%、 下記一般式(1)で表される芳香環含有ビニルモノマー
    (a−2)から誘導される構造単位(b−2)0.1〜
    60モル%、および前記非共役トリエンまたはテトラエ
    ン(a−3)から誘導される構造単位(b−3)0.1
    〜10モル%を含有し、 (III)135℃、デカリン中で測定した極限粘度[η]
    が0.05〜10dl/gである不飽和性オレフィン系共
    重合体を得る不飽和性オレフィン系共重合体の製造方
    法。 【化7】 〔一般式(1)中、mは0〜5の整数、R1、R2および
    3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子ま
    たは炭素数1〜8のアルキル基を表す。〕
  9. 【請求項9】 非共役トリエンまたはテトラエン(a−
    3)が、ビニル基に隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭
    化水素基と2個の水素原子とが結合している非共役トリ
    エンまたはテトラエンであり、非共役トリエンまたはテ
    トラエンから誘導される構造単位(b−3)が、ポリマ
    ー主鎖に隣接した炭素原子に、1個の鎖状炭化水素基と
    2個の水素原子とが結合している構造単位である請求項
    8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 非共役トリエンまたはテトラエン(a
    −3)が下記一般式(2−1)で表される化合物であ
    り、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構
    造単位(b−3)が下記一般式(3−1)で表される構
    造単位である請求項9記載の製造方法。 【化8】 〔一般式(2−1)中、pおよびqは0または1(ただ
    しpとqとは同時に0ではない)、fは0〜5の整数
    (ただしpとqの両方が1の場合fは0ではない)、g
    は1〜6の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6および
    7は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8
    炭素数1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1
    〜5のアルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)
    12で表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10
    よびR11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、
    12は炭素数1〜5のアルキル基である)である(ただ
    し、pとqの両方が1の場合、R9は水素原子または炭
    素数1〜5のアルキル基である)。一般式(3−1)
    中、p、q、f、gおよびR1〜R9は一般式(2−1)
    と同じである。〕
  11. 【請求項11】 非共役トリエンまたはテトラエン(a
    −3)が下記一般式(2−2)で表される化合物であ
    り、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構
    造単位(b−3)が下記一般式(3−2)で表される構
    造単位である請求項9記載の製造方法。 【化9】 〔一般式(2−2)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は水
    素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数
    1〜5のアルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5の
    アルキル基または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12
    表される基(ここで、nは1〜5の整数、R10およびR
    11は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、R12
    炭素数1〜5のアルキル基である)である。一般式(3
    −2)中、f、gおよびR1〜R9は一般式(2−2)と
    同じである。〕
  12. 【請求項12】 非共役トリエンまたはテトラエン(a
    −3)が下記一般式(2−3)で表される化合物であ
    り、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導される構
    造単位(b−3)が下記一般式(3−3)で表される構
    造単位である請求項9記載の製造方法。 【化10】 〔一般式(2−3)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
    は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
    ルキル基、R9は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基
    または−(CH2)n−CR10=C(R11)R12で表される基
    (ここで、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
    子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
    5のアルキル基である)である。一般式(3−3)中、
    f、g、R1、R2およびR5〜R9は一般式(2−3)と
    同じである。〕
  13. 【請求項13】 非共役トリエンまたはテトラエン(a
    −3)が下記一般式(2−4)で表される非共役テトラ
    エンであり、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導
    される構造単位(b−3)が下記一般式(3−4)で表
    される構造単位である請求項9記載の製造方法。 【化11】 〔一般式(2−4)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
    は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
    ルキル基、nは1〜5の整数、R10およびR11は水素原
    子または炭素数1〜5のアルキル基、R12は炭素数1〜
    5のアルキル基である。一般式(3−4)中、f、g、
    1、R2、R5〜R8、nおよびR10〜R12は一般式(2
    −4)と同じである。〕
  14. 【請求項14】 非共役トリエンまたはテトラエン(a
    −3)が下記一般式(2−5)で表される非共役トリエ
    ンであり、非共役トリエンまたはテトラエンから誘導さ
    れる構造単位(b−3)が下記一般式(3−5)で表さ
    れる構造単位である請求項9記載の製造方法。 【化12】 〔一般式(2−5)中、fは0〜5の整数、gは1〜6
    の整数、R1、R2、R5、R6およびR7は水素原子また
    は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数1〜5のア
    ルキル基、R9は水素原子または炭素数1〜5のアルキ
    ル基である。 一般式(3−5)中、f、g、R1、R2
    およびR5〜R9は一般式(2−5)と同じである。〕
  15. 【請求項15】 請求項1ないし7のいずれか記載の不
    飽和性オレフィン系共重合体(A)と、 下記(B)、(C)および(D)の中の少なくとも1種
    の成分とを含むゴム組成物。 (B)不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量
    部に対して300重量部以下の量の補強剤、 (C)不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量
    部に対して200重量部以下の量の軟化剤、 (D)不飽和性オレフィン系共重合体(A)100重量
    部に対して0.05〜15重量部の量の加硫剤。
JP34746196A 1995-12-29 1996-12-26 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途 Expired - Fee Related JP3640116B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34746196A JP3640116B2 (ja) 1995-12-29 1996-12-26 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-353315 1995-12-29
JP35331595 1995-12-29
JP34746196A JP3640116B2 (ja) 1995-12-29 1996-12-26 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09235327A true JPH09235327A (ja) 1997-09-09
JP3640116B2 JP3640116B2 (ja) 2005-04-20

Family

ID=26578510

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34746196A Expired - Fee Related JP3640116B2 (ja) 1995-12-29 1996-12-26 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3640116B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101497718B1 (ko) * 2006-10-25 2015-03-02 제이에스알 가부시끼가이샤 변성 중합체의 제조 방법, 그 방법에 의해 얻어진 변성 중합체와 그의 고무 조성물
KR101520958B1 (ko) * 2007-03-29 2015-05-18 모멘티브 퍼포먼스 머티리얼즈 인크. 실리콘 컴포지션들 및 그 제조 방법들
US10919997B2 (en) 2014-02-13 2021-02-16 Mitsui Chemicals, Inc. Ethylene α-olefin non-conjugated polyene copolymer, use thereof, and manufacturing method thereof

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101497718B1 (ko) * 2006-10-25 2015-03-02 제이에스알 가부시끼가이샤 변성 중합체의 제조 방법, 그 방법에 의해 얻어진 변성 중합체와 그의 고무 조성물
KR101520958B1 (ko) * 2007-03-29 2015-05-18 모멘티브 퍼포먼스 머티리얼즈 인크. 실리콘 컴포지션들 및 그 제조 방법들
US10919997B2 (en) 2014-02-13 2021-02-16 Mitsui Chemicals, Inc. Ethylene α-olefin non-conjugated polyene copolymer, use thereof, and manufacturing method thereof
EP4043500A1 (en) 2014-02-13 2022-08-17 Mitsui Chemicals, Inc. Ethylene·alpha-olefin·non-conjugated polyene copolymer, use thereof, and manufacturing method thereof
US11613595B2 (en) 2014-02-13 2023-03-28 Mitsui Chemicals, Inc. Ethylene alpha-olefin non-conjugated polyene copolymer, use thereof, and manufacturing method thereof
US11760819B2 (en) 2014-02-13 2023-09-19 Mitsui Chemicals, Inc. Ethylene α-olefin non-conjugated polyene copolymer, use thereof, and manufacturing method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP3640116B2 (ja) 2005-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100385786B1 (ko) 불포화성 올레핀계 공중합체, 그 제조방법 및 용도
JP5287018B2 (ja) 非共役環状ポリエン系共重合体を含むゴム組成物
KR100632822B1 (ko) 에틸렌계 공중합체 고무, 그 제조방법 및 용도
JP3483176B2 (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体および該共重合体の用途
US6300416B1 (en) Rubber compositions for tires
EP0691354B1 (en) Unsaturated copolymer of ethylene and process for preparing the same
JPH0971616A (ja) エチレン系共重合体ゴム、該共重合体ゴムが含まれた加硫可能なゴム組成物並びに該ゴムの製造方法
JP3570790B2 (ja) エチレン系共重合体ゴムおよびその製造方法並びに該共重合体ゴムが含まれた加硫可能なゴム組成物
JP4817482B2 (ja) 非共役環状ポリエン系共重合体および用途
JP2003268043A (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体およびその用途
JP3640116B2 (ja) 不飽和性オレフィン系共重合体、製造方法および用途
JP3497925B2 (ja) 不飽和性エチレン系共重合体およびその製造方法
JP2005344101A (ja) ゴム組成物およびその用途
JP4154001B2 (ja) 鎖状ポリエン基含有ノルボルネン化合物およびその製造方法、該ノルボルネン化合物を用いた不飽和性エチレン系共重合体およびその製造方法、並びに該不飽和性エチレン系共重合体を含有するゴム組成物
JP3611388B2 (ja) 不飽和性高級α−オレフィン系共重合体およびその製造方法
JP3535923B2 (ja) エチレン系共重合体ゴムおよびその製造方法並びに該共重合体ゴムが含まれた加硫可能なゴム組成物
JP3578431B2 (ja) 不飽和性オレフィン系共重合体およびその製造方法
JP3918384B2 (ja) エチレン系共重合体ゴム、その製造方法および加硫可能なゴム組成物
JP3675140B2 (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
JP3575778B2 (ja) エチレン系共重合体ゴムおよびその製造方法並びに該共重合体ゴムが含まれた加硫可能なゴム組成物
JP2001151822A (ja) エチレン系共重合体ゴム、その製造方法およびゴム組成物
JP3575779B2 (ja) エチレン系共重合体ゴムおよびその製造方法並びに該共重合体ゴムが含まれた加硫可能なゴム組成物
JP3736202B2 (ja) 鎖状トリエン化合物、製造方法、共重合体、組成物および成形体
JP3742497B2 (ja) ポリエン系エラストマー組成物
JP2000080128A (ja) 不飽和性エチレン系共重合体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20041228

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20050110

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090128

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees