JPH09235250A - 酢酸の製造方法 - Google Patents

酢酸の製造方法

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JPH09235250A
JPH09235250A JP8069099A JP6909996A JPH09235250A JP H09235250 A JPH09235250 A JP H09235250A JP 8069099 A JP8069099 A JP 8069099A JP 6909996 A JP6909996 A JP 6909996A JP H09235250 A JPH09235250 A JP H09235250A
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秀樹 杉山
Fumihiko Uemura
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武志 皆見
Tetsuo Maejima
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 反応生成液から含まれるロジウム錯体を効率
よくかつ経済的に分離する酢酸の製造方法を提供する。 【解決手段】 メタノールまたはジメチルエーテルの含
酸素化合物と一酸化炭素を原料とする酢酸の製造方法に
おいて、i)ロジウム錯体を用い含酸素化合物と一酸化
炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応
工程、ii)iで得た反応生成液からロジウム錯体を吸着
させる吸着工程、iii)iで得た反応生成ガス中に含ま
れるヨウ化アルキルを有機溶媒に溶解させるヨウ化アル
キル回収工程、iv)iiで得たロジウム錯体が分離され
た後の反応生成液を蒸留し、酢酸からなる重質成分と、
軽質成分とに分離する蒸留工程、v)iiiで得た有機
溶媒を吸着剤と接触させてロジウム錯体を脱着させる脱
着工程、vi)vで得たロジウム錯体を含む液体をiの工
程へ循環させる循環工程からなる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタノール及びジ
メチルエーテルの中から選ばれる含酸素化合物と一酸化
炭素を反応原料とする酢酸の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】酢酸を製造するために、多孔質架橋構造
を有するビニルピリジン系樹脂に担持させたロジウム錯
体をカルボニル化反応用触媒として用い、ヨウ化アルキ
ルの存在下、有機溶媒中でメタノールと一酸化炭素とを
カルボニル化反応させる方法は知られている(特開平6
−315637号)。このメタノールのカルボニル化反
応工程においては、反応生成液と反応生成ガスが得られ
る。反応生成液は、メタノールのカルボニル化反応によ
り生成した酢酸の他、未反応のメタノール:酢酸メチ
ル、プロピオン酸、水、ヨウ化水素等の副生物;反応に
際して用いた有機溶媒及びヨウ化アルキル;ビニルピリ
ジン系樹脂から脱離したロジウム錯体等を含有する。一
方、反応生成ガスは、未反応の一酸化炭素の他、C
2、H2、CH4等の副生物;反応に際して用いたヨウ
化アルキル等を含有する。ところで、反応生成液は、そ
れに含まれる酢酸を分離回収するために、蒸留処理され
るが、この場合、反応生成液をそのまま蒸留処理する
と、反応生成液中に含まれるロジウム錯体は蒸留液や蒸
留残液中に移行し、酢酸の純度低下原因となる等の不都
合を生じる。また、一部のロジウム錯体は蒸留工程にお
いて析出等の理由により、蒸留残液と共に反応工程に循
環されず損失となる。ロジウム錯体は高価であることか
ら、この様な損失は、プロセスの経済性の点からも好ま
しいものではない。従って、反応生成液中に含まれるロ
ジウム錯体は、反応生成液を蒸留する以前に、反応生成
液から分離回収し反応工程に循環することが望ましい
が、現在のところ、反応生成液からそれに含まれるロジ
ウム錯体を効率よくかつ経済的に分離する方法は未だ開
発されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反応生成液
からそれに含まれるロジウム錯体を効率よくかつ経済的
に分離する工程を含む酢酸の製造方法を提供することを
その課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、メタノール及びジメ
チルエーテルの中から選ばれる含酸素化合物と一酸化炭
素を反応原料とする酢酸の製造方法において、(i)ロ
ジウム錯体を含有する固体触媒を用い、ヨウ化アルキル
の存在下、有機溶媒中で含酸素化合物と一酸化炭素とを
反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程、
(ii)該カルボニル化反応工程で得られた反応生成液を
ロジウム錯体に対して吸着性を示す吸着剤と接触させ
て、反応生成液中に含まれるロジウム錯体を吸着させる
吸着工程、(iii)該カルボニル化工程で得られた反応
生成ガスを含酸素化合物及び/又は有機溶媒と接触させ
て、反応生成ガス中に含まれるヨウ化アルキルを含酸素
化合物及び/又は有機溶媒に溶解させるヨウ化アルキル
回収工程、(iv)該吸着工程で得られたロジウム錯体が
分離された後の反応生成液を蒸留し、酢酸からなる重質
成分と、ヨウ化アルキル、酢酸メチル及び水からなる軽
質成分とに分離する蒸留工程、(v)該ヨウ化アルキル
回収工程で得られたヨウ化アルキルを含む含酸素化合物
及び/又は有機溶媒を、ロジウム錯体を吸着した吸着剤
と接触させて、吸着剤に吸着されているロジウム錯体を
脱着させる脱着工程、(vi)該脱着工程で得られたロジ
ウム錯体を含む液体を前記カルボニル化反応工程へ循環
させる循環工程、からなることを特徴とする酢酸の製造
方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明でロジウム錯体担持用に用
いる担体は、多孔質架橋構造を有するビニルピリジン系
樹脂(以下、VP樹脂とも言う)である。本発明で用い
るVP樹脂の場合、その架橋度は、10〜70%、通
常、30〜60%に規定する。触媒を高温、例えば50
〜180℃で用いる場合には、そのVP樹脂の架橋度を
30%以上、好ましくは50〜60%に規定するのがよ
い。VP樹脂の架橋度が前記範囲より低くなると、VP
樹脂の耐熱性及び機械的強度が低くなり、触媒の耐久性
及び耐摩耗性が低下するので好ましくない。一方、その
架橋度が前記範囲を超えると、触媒の活性が不十分にな
るので好ましくない。
【0006】本発明で用いる前記VP樹脂は、多孔質構
造を有するものであるが、その表面積は5〜80m2
g、好ましくは10〜40m2/gであり、その細孔容
積は0.15〜0.5cc/g、好ましくは0.2〜
0.4cc/gであり、その平均細孔径は20〜100
nm、好ましくは30〜90nmである。VP樹脂の細
孔容積が前記範囲より小さくなると、触媒活性の低下の
問題を生じるので好ましくなく、一方、前記範囲より大
きくなると、VP樹脂の耐摩耗性の低下等の問題を生じ
るので好ましくない。さらに、VP樹脂の平均細孔径が
前記範囲より小さくなると、触媒活性の低下の問題を生
じるので好ましくなく、一方、前記範囲より大きくなる
と、VP樹脂の耐摩耗性の低下等の問題を生じるので好
ましくない。
【0007】本明細書において、VP樹脂に関して言う
架橋度は以下のように定義される。またVP樹脂に関し
て言う細孔容積及び表面積は以下のようにして測定され
たものである。さらに、VP樹脂に関して言う平均細孔
径は以下のようにして算出されたものである。 (架橋度) 架橋度(%)=A/B×100 A:樹脂中に含まれる架橋剤の重量 B:樹脂中に含まれるビニルピリジン系モノマーの重量 (細孔容積)マーキュリー・プレッシャー・ポロシーメ
ーター・モデル70(イタリア国ミラノ市のカルロ・エ
ルバ社製)を用いる方法(いわゆる水銀圧入法)により
測定した。この場合、水銀の表面張力は25℃で474
dyne/cmとし、使用接触角は140度とし、絶対
水銀圧力を1〜200kg/cm2まで変化させて測定
した。 (表面積)B.E.T法により測定された。 (平均細孔径)前記のようにして測定された細孔容積及
び表面積の各測定値を用い、以下の式により算出した。 平均細孔径(nm)=4(C/D)×103 C:細孔容積(cc/g) D:表面積(m2/g)
【0008】VP樹脂は、ビニルピリジン系単量体と、
架橋剤としての2個のビニル基を持つ化合物を共重合さ
せることによって製造される。VP樹脂を得るために用
いるビニルピリジン系単量体としては、4−ビニルピリ
ジン、2−ビニルピリジン等が挙げられる。また、この
ビニルピリジン系単量体には、他のビニル単量体、例え
ば、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族系ビニル単量
体又はアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの脂
肪族系ビニル単量体を混入することができる。これらの
ビニル単量体の混入量は、全単量体中、30モル%以
下、好ましくは20モル%以下にするのがよい。前記ビ
ニルピリジン系単量体に共重合させる架橋剤は、2個の
ビニル基を有する化合物である。このようなものとして
は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族化
合物の他、ジアクリル酸エチレングリコール、ブタジエ
ン等の脂肪族化合物を挙げることができる。工業的に用
いられるジビニルベンゼンは通常約50モル%のエチル
ビニルベンゼンを含んでいるが、本発明では、このよう
なジビニルベンゼンを用いることもできる。この架橋剤
の使用量は、所望するVP樹脂の架橋度に応じて適宜決
める。前記VP樹脂に関しては、特開平6−31563
7号公報に詳述されている。
【0009】VP樹脂の粒径は、0.01〜4mm、好
ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.4〜2m
mの粒状体として用いられ、その好ましい形状は球状体
である。
【0010】本発明で用いる触媒は、VP樹脂に担持さ
せたロジウム錯体からなるものである。ロジウム錯体の
担持量は、VP樹脂に対して、金属ロジウム換算量で、
0.2〜2重量%、好ましくは0.5〜1重量%の範囲
である。
【0011】本発明で用いる好ましい触媒の1つの例
は、VP樹脂中に含まれるピリジン環の少なくとも一部
が、下記式(1)で表わされるロジウム錯体陰イオンが
結合したピリジン環に形成されたものである。
【化1】 前記式中、Rは水素又は低級アルキル基を示す。
【0012】本発明で触媒として用いるロジウム錯体陰
イオンが結合したピリジン環を有するVP樹脂は、以下
の方法で得ることができる。 (1)VP樹脂のピリジン環の窒素原子に水溶液中でロ
ジウムイオンを担持させた後、有機溶媒中でヨウ化アル
キルと一酸化炭素の存在下にてロジウム錯体に変化させ
る方法。 この方法におけるピリジン環とロジウムとの反応は次式
で表わされる。また、その反応条件としては、一般的に
は、ロジウムの担持は常温、常圧下の条件を、担持ロジ
ウムの錯体化はメタノールのカルボニル化条件と同様の
条件を用いることができる。
【0013】
【化2】
【0014】(2)VP樹脂を、一酸化炭素加圧下にお
いて、ヨウ化アルキルを含む溶媒中でロジウム塩と接触
させる方法。 この方法の場合、一般的には、メタノールのカルボニル
化反応条件下で、ロジウム塩とVP樹脂とを接触させれ
ばよい。この場合の接触反応においては、VP樹脂に含
まれるピリジン環がヨウ化アルキルによって4級化され
てピリジニウム塩となり、このピリジニウム塩に、ロジ
ウム塩とヨウ化アルキルと一酸化炭素との反応により生
成したロジウムカルボニル錯体[Rh(CO)22]~
がイオン的に結合する。
【0015】前記ロジウム塩としては、塩化ロジウム
や、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム等のハロゲン化ロジ
ウム;酢酸ロジウムやプロピオン酸ロジウム等のカルボ
ン酸ロジウム塩が挙げられる。また、ヨウ化アルキルと
しては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル
等の炭素数1〜5の低級アルキル基を有するものが挙げ
られるが、特にヨウ化メチルの使用が好ましい。ロジウ
ム塩に対するヨウ化アルキルの使用割合は、ロジウム塩
1モル当り、ヨウ化アルキル2〜2000モル、好まし
くは50〜500モルの割合である。また、ロジウム塩
とヨウ化アルキルを接触させる際の一酸化炭素圧は、7
〜30kg/cm2G、好ましくは10〜20kg/c
2Gである。
【0016】本発明で反応生成液中に含まれるロジウム
錯体を吸着分離するために用いる吸着剤としては、ロジ
ウム錯体に対して吸着性を示すものであれば任意のもの
が使用可能である。このような吸着剤としては、例え
ば、VP樹脂からなり、その樹脂中に含まれるピリジン
環の窒素原子の少なくとも一部が4級化されているもの
を用いることができる。このVP樹脂において、その4
級化窒素原子を有するピリジン環は、次の一般式(3)
で表わされる。
【化3】 前記式中、Rは水素又は低級アルキル基を示し、Xはハ
ロゲンを示す。好ましいRはメチル基であり、好ましい
Xはヨウ素である。前記VP樹脂としては、ロジウム錯
体の担持用担体として前記で示したVP樹脂を用いるこ
とができる。VP樹脂中に含まれるピリジン環は、その
全てを前記一般式(3)で表わされる4級化構造のピリ
ジン環に変換するのが好ましいが、反応液中にヨウ化ア
ルキルが存在するため、吸着脱着工程においてピリジン
環はほぼ全てが4級化される。従って必ずしも予め4級
化構造とする必要はない。
【0017】VP樹脂中のピリジン環を予め一般式
(3)の4級化構造に変換させて吸着剤を調製する場合
には、VP樹脂にハロゲン化アルキルを反応させてVP
樹脂中のピリジン環を4級化すればよい。
【化4】 (式中、Rはアルキル基又は水素を示し、Xはハロゲン
原子を示す) 前記4級化構造のピリジン環を有するVP樹脂を用いる
ことにより、ロジウム錯体陰イオンを含む反応生成液か
ら、それに含まれるそのロジウム錯体陰イオンを吸着分
離させることができる。この場合の吸着反応は次式の通
りである。
【化5】
【0018】前記反応は、イオン交換反応に基づくもの
であり、有機溶媒中で実施される。その反応温度は常温
以上の温度であり、その上限は200℃以下、好ましく
は180℃以下である。また、圧力は有機溶媒を沸とう
させない圧力であり、常圧以上の圧力で、その上限は、
通常、300kg/cm2G以下、好ましくは200k
g/cm2G以下である。有機溶媒中に含まれるロジウ
ム錯体陰イオンの濃度は、通常、ロジウム金属換算濃度
で、0.1〜50wtppm、好ましくは0.3〜10
wtppmである。また、有機溶媒には、アルコール、
カルボン酸、エステル、エーテル、ケトン、炭化水素等
が包含される。アルコールとしては、メタノール、エタ
ノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オク
チルアルコール、ベンジルアルコール等の一価アルコー
ルの他、エチレングリコール、プロピレングリコール、
グリセリン等の多価アルコールが挙げられる。カルボン
酸としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。エス
テルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、安息香
酸メチル等が挙げられる。エーテルとしては、ジメチル
エーテル、メチルエチルエーテル等が挙げられる。ケト
ンとしては、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等が
挙げられる。炭化水素としては、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等が挙げられる。本発明で用いる好ましい有機溶媒
はメタノールや酢酸である。
【0019】前記反応により、有機溶媒中に溶存するロ
ジウムを含有する錯体陰イオンは、VP樹脂に吸着され
るが、この場合、錯体がカルボニル錯体の場合には、そ
の錯体の安定化のために、一酸化炭素を含む液体雰囲気
を用いるのが好ましい。この場合、その一酸化炭素濃度
は、その液体と気液平衡にあるガスのCO分圧で、0.
01kg/cm2以上、好ましくは0.07kg/cm2
以上にするのがよい。VP樹脂とロジウム錯体陰イオン
を含む溶液とを接触させる装置としては、従来各種の固
液接触装置が用いられる。このような装置としては、固
定床方式の接触装置、懸濁床方式の接触装置等を挙げる
ことができる。
【0020】本発明では、吸着剤に吸着されたロジウム
錯体は、該吸着剤にヨウ化アルキルを含む含酸素化合物
及び/又は有機溶媒を接触させて、ロジウム錯体を脱着
させる。この際、該脱着用溶媒はロジウムカルボニル錯
体安定化のため、一酸化炭素を含むことが必要で、その
濃度はその液体と気液平衡にあるガスのCO分圧で0.
01kg/cm2以上、好ましくは0.07kg/cm2
以上にするのがよい。本発明では、該脱着用溶媒にヨウ
化アルキル回収工程で得られたヨウ化アルキルを含む含
酸素化合物、酢酸、酢酸メチル、水などの混合溶媒を用
いることができ、この溶媒は該ヨウ化アルキル回収工程
にて、CO、ヨウ化アルキルを含む反応生成ガスに接触
し、COを十分溶解している。更に、該脱着用溶媒は、
蒸留工程で得られた含酸素化合物、酢酸、酢酸メチル、
水などを混合して用いることができる。
【0021】本発明において反応原料として用いる含酸
素化合物は、これをヨウ化アルキル回収工程に導入し、
ここで反応生成ガスを接触させてそのガス中に含まれる
ヨウ化アルキルを溶解回収し、このヨウ化アルキルを含
む含酸素化合物に蒸留工程から得られる軽質成分を混合
し、この混合物を脱着工程における脱着用溶媒として用
いた後、カルボニル化反応工程に導入するのが好まし
い。
【0022】本発明における含酸素化合物と一酸化炭素
を反応させるカルボニル化工程は、前記したVP樹脂に
担持させたロジウム錯体触媒を用い、ヨウ化アルキルの
存在下、有機溶媒中でメタノールと一酸化炭素とを反応
させることにより実施される。このカルボニル化反応
は、種々の反応器を用いて実施することができる。この
ような反応器の形式としては、固定床、混合槽、膨脹床
等が挙げられる。反応器内における触媒充填量は、一般
には、反応器内溶液に対して2〜40wt%であるが、
混合槽反応器の場合、2〜25wt%に選ぶのがよい。
また、固定床反応器では20〜40wt%、膨張床反応
器では2〜25wt%に選ぶのがよい。
【0023】有機溶媒(反応溶媒)としては、従来公知
の各種のものが用いられるが、一般的には、炭素数が2
以上のカルボニル基含有有機溶媒を含むものが用いられ
る。このような有機溶媒としては、酢酸、酢酸メチル等
のカルボン酸やカルボン酸エステルが挙げられるが、メ
タノールや酢酸を用いるのが好ましい。また、有機溶媒
は、水を含有することができる。この場合、有機溶媒中
の水の含有率は、反応生成液中の水分濃度が、0.05
〜50wt%、好ましくは0.1〜20wt%、さらに
好ましくは0.5〜10wt%となるような量である。
ヨウ化アルキルとしては、炭素数1〜5のヨウ化アルキ
ルが用いられるが、特に、ヨウ化メチルの使用が好まし
い。
【0024】反応器内における反応溶媒量は、含酸素化
合物(メタノール及び/又はジメチルエーテル)1重量
部部に対し0.30重量部以上に規定するのがよい。好
ましい有機溶媒量は含酸素化合物1重量部に対し2.4
0重量部以上である。反応溶液中の有機溶媒量を前記範
囲内に保持することにより、触媒の活性中心であるロジ
ウム錯体の反応活性が高められるとともに、ロジウム錯
体とVP樹脂との結合安定性も向上し、高い反応速度で
かつVP樹脂からのロジウムの脱離を効果的に防止し
て、含酸素化合物のカルボニル化反応を円滑に進行させ
ることができる。さらに重要なことには、反応器内の有
機溶媒量を前記の範囲に保持することによって、7kg
/cm2という極めて低いCO分圧条件下においてもロ
ジウム錯体が安定に存在し、高い反応速度で含酸素化合
物のカルボニル化反応を進行させることができる。この
ことは、反応器として特別の耐圧容器を使用する必要が
なくなり、反応器コストを大幅に節約でき、実用性ある
経済的酢酸プロセスが得られることを意味する。
【0025】含酸素化合物のカルボニル化反応を行う際
のCO分圧(一酸化炭素分圧)は、7kg/cm2以上
であればよく、好ましくは10kg/cm2以上であ
る。CO分圧を特に高くしても反応速度はあまり向上せ
ず、格別の反応上の利点は得られず、経済的観点からは
そのCO分圧の上限は30kg/cm2程度にするのが
よい。従って、CO分圧は、7〜30kg/cm2、好
ましくは10〜20kg/cm2の範囲に規定するのが
よい。CO分圧をこのような範囲に保持することによ
り、全反応圧を経済的な15〜60kg/cm2G、特
に15〜40kg/cm2G、更に好ましくは15〜3
0kg/cm2G以下という低圧に保持することが可能
になる。
【0026】カルボニル化反応における反応温度は14
0〜250℃、好ましくは160〜230℃であるが、
その上限は、使用するVP樹脂の耐熱性に応じて適当に
選定する。また、反応系におけるヨウ化アルキルの存在
量は、反応器内溶液中、1〜40重量%、好ましくは5
〜30重量%である。さらに、反応系におけるロジウム
濃度は、反応器内溶液中、50wtppm以上、好まし
く300wtppm以上、より好ましくは400wtp
pm以上である。なお、ここで言うロジウム濃度は、反
応器内からVP樹脂を除いた溶液に対するロジウム金属
量のwt%である。
【0027】反応器内における有機溶媒の量の規定は反
応器の形式により、次のように行う。バッチ式反応器で
は反応器に仕込んだ原料液中の含酸素化合物に対する有
機溶媒の量とする。反応の進行に伴い含酸素化合物濃度
は減少するので反応器内の有機溶媒の濃度は仕込み原料
以上となる。混合槽流通式反応器では、反応器内の溶液
は均一に混合され、反応器出口から抜出される反応生成
液の組成に実質上等しい。即ち、この場合、反応器内有
機溶媒の量の規定としては、実質上、反応器出口から抜
出される反応生成物中の含酸素化合物に対する有機反応
溶媒の量である。ピストンフロー式反応器では、反応器
に供給される全供給液中の含酸素化合物に対する有機溶
媒の量として定められる。この場合、反応器入口から出
口にいくに従って、含酸素化合物濃度は減少し、有機溶
媒の量は増加するので、含酸素化合物に対する有機溶媒
の量は反応器出口にいくに従って増加する。従って、有
機溶媒量としては反応器入口に供給される全供給液中の
含酸素化合物に対する有機溶媒の量と規定される。
【0028】含酸素化合物としてメタノールを用いる場
合のカルボニル化反応においては、下記反応式(6)の
主反応とともに、下記反応式(7)、(8)の副反応が
起る。 CH3OH+CO →CH3COOH (6) CH3COOH+CH3OH⇔CH3COOCH3+H2O (7) 2CH3OH ⇔CH3OCH3+H2O (8)
【0029】本発明において、酢酸を収率よく製造する
には、前記副反応(7)、(8)を抑え、含酸素化合物
のカルボニル化反応(6)を選択的に進行させることが
必要になる。このためには、有機溶媒として、酢酸メチ
ルや水を含むものを用いるのが有効である。酢酸メチル
を反応系に存在させて酢酸収率を高める場合、酢酸メチ
ルは、これをあらかじめ含酸素化合物に添加して反応系
に供給するのが好ましい。酢酸メチルは、含酸素化合物
1wt部に対して、1.5wt部以上、好ましくは3w
t部以上の割合で添加するのがよく、これにより酢酸メ
チルの副生を抑制して酢酸収率を高めることができる。
また、添加水を反応系に存在させて酢酸収率を高める場
合、添加水は、これをあらかじめ含酸素化合物に添加し
て反応系に供給するのが好ましい。添加水は、含酸素化
合物1wt部に対して、0.3wt部以上、好ましくは
0.5wt部以上の割合で添加するのがよく、これによ
り、酢酸メチルの副生を抑制して酢酸収率を高めること
ができる。
【0030】本発明においては、有機溶媒として、酢酸
メチルや水を含まない酢酸溶媒を用いても、含酸素化合
物転化率が96%以上、好ましくは99%以上になるま
で含酸素化合物のカルボニル化を行うことによって、酢
酸メチルの副生を抑制して、酢酸収率を高めることがで
きる。この場合、反応生成液中の含酸素化合物濃度は
0.3wt%以下、好ましくは0.2wt%以下になる
ように、含酸素化合物転化率を調節するのがよい。
【0031】含酸素化合物のカルボニル化に用いる反応
器としては、反応液を撹拌翼で撹拌する撹拌混合式反応
器や反応液を気泡で撹拌する気泡塔型反応器等の反応器
を好ましく用いることができる。これらの反応器を含む
反応装置の例を図1〜図3に示す。図1は、撹拌混合式
反応器からなる反応装置の説明図である。この図におい
て、1は反応器である。2は撹拌翼を示し、4は冷却器
を示す。図1に示した反応装置を用いて含酸素化合物の
カルボニル化反応を行うには、先ず、反応器1に触媒を
充填した後、ライン5を通して含酸素化合物、反応溶媒
(有機溶媒)及びヨウ化アルキルからなる混合液を充填
する。次いで撹拌翼2を回転させるとともに、ライン5
から含酸素化合物、反応溶媒及びヨウ化アルキルからな
る混合液を反応器内に供給し、ライン6を通して一酸化
炭素を含む反応性ガスを反応器内に導入し、ガス噴出ノ
ズル7を介して液中に噴出させる。反応液はライン8を
介して反応器から抜出す。また、未反応ガス(CO)及
び気化した反応液はライン12、冷却器4及びライン1
3を通して反応器外へ抜出すが、この場合、気化した反
応液の少なくとも一部は冷却器4で凝縮され、反応器内
に戻される。
【0032】図2は外部循環形式の気泡塔型反応器から
なる反応装置の説明図である。図2において、21は縦
型反応筒、22は第1ガス分離槽、23は第2ガス分離
槽を示し、49は冷却器を示す。縦型反応筒21は中空
筒体からなる。この反応筒21下部には、反応筒内下部
にガスを噴出させるためのガス噴出ノズル(ガス噴出
口)38が配設され、このガス噴出孔には、ガス導入管
28が連結されている。反応筒21の上端には、逆円錐
台形状の短管26を介して第1ガス分離槽22が連結さ
れている。この第1ガス分離槽22は、反応筒21の水
平断面積と同じもしくはそれよりも大きな断面積を有す
る密閉筒体からなり、その天板25には、その槽内で分
離されたガスを槽外へ抜出すためのガス抜出し管30が
連結され、このガス抜出し管30には、冷却器49が連
結されている。
【0033】第2ガス分離槽23内下部と反応筒21内
下部とは配管35によって連絡されている。配管35の
上端は逆円錐台形状の短管34を介して第2ガス分離槽
23の下端と連結し、その配管35の下端は反応筒底部
に連結している。配管35には、反応筒内下部に液体を
供給するための液体供給管37が連結されている。この
液体供給管37は、必ずしも配管35に連結させる必要
はなく、反応筒21の底部又は下部に連結させることも
できる。
【0034】反応筒21内上部と第2ガス分離槽23内
とは配管31で連絡されている。配管31の一端は、反
応筒上部の周壁に連結され、その他端は第2ガス分離槽
の周壁に連結されている。第2ガス分離槽23は、密閉
筒体からなり、その天板33には、その槽内で分離され
たガスを槽外へ抜出すためのガス抜出し管32が連結さ
れ、その周壁には、槽内の液体を槽外へ抜出すための液
体抜出し管29が連結されている。また、その第2ガス
分離槽23には、液体抜出しガス巻込み防止板36が配
設されている。このものは、液体中にガスが巻込まれて
液体の抜出しが行われることを防止するためのもので、
平板であっても弯曲板であってもよく、その形状は特に
制約されない。ガス抜出し管32は、第1ガス分離槽の
上部又はガス抜出し管30に連結させることができる。
【0035】第1ガス分離槽22の水平断面積S(2)
と反応筒21の水平断面積S(1)との比S(2)/S
(1)は、1〜10、好ましくは2〜5の範囲である。
また、第2ガス分離槽23の水平断面積S(3)と反応
筒21の水平断面積S(1)との比S(3)/S(1)
は、0.5〜5、好ましくは1〜3の範囲である。反応
筒21におけるその内径R(1)とその高さH(1)と
の比H(1)/R(1)は、5〜100、好ましくは1
0〜20である。
【0036】図2に示した反応装置において、ガス噴出
ノズル38は単管ノズルであってもよいが、リング状の
管体の周壁に多数のガス噴出孔を有する環状ノズルであ
ることができる。
【0037】図2に示した構造の反応装置は種々の変更
が可能であり、例えば、配管31は、その傾斜が第2ガ
ス分離槽23に向かって降下するように配設することが
できるし、反応筒21の上端及び下端にそれぞれ連結す
る短管26及び短管27に代えて、中央部に開口を有す
る板体を用いることもできる。
【0038】図2に示した構造の反応装置を用いて含酸
素化合物のカルボニル化反応を行うには、先ず、反応筒
21内に触媒を充填した後、液体供給管37から原料混
合液を反応装置内に充填する。次に、液体供給管37か
ら原料混合液を反応筒21内に供給するとともに、ガス
導入管28から一酸化炭素を含む反応性ガスをガス噴出
ノズル38を介して液体中に噴出させる。ノズル38か
ら液体中に噴出された反応性ガスは気泡となって液体中
を上昇し、その際のガスリフト効果により、触媒は液体
とともに反応筒内を上昇する。このような触媒の上昇に
より、反応筒内の液体中への触媒の分散が達成され、反
応筒内においては、含酸素化合物とCOとの円滑なカル
ボニル化反応が行われる。
【0039】反応筒内でのカルボニル化反応により得ら
れる反応液は、未反応ガス(CO)と触媒を含み、反応
筒の上方に配設されている第1ガス分離槽22内に流入
し、この第1ガス分離槽内に保持される。図2におい
て、Sは反応液の液面を示す。この第1ガス分離槽22
においては、反応液中に含まれていたガス成分及び気化
した反応液が液面から上部空間に放散され、ガス抜出し
管30及び冷却器49を通して槽外へ抜出される。この
場合、気化した反応液の少なくとも一部は冷却器49で
凝縮され、第1ガス分離槽22に戻される。
【0040】反応筒21内を液体とともに上昇した触媒
は、未反応ガスを含む反応液とともに、反応筒上部から
配管31を通って第2ガス分離槽23内に流入し、ここ
で反応液中に含まれていたガス成分が分離され、分離さ
れたガス成分及び気化した反応液は、配管32を通って
抜出される。一方、反応液は、液体抜出し管29を通し
て抜出される。第2ガス分離槽23内には、ガス巻込み
防止板36が配設されているため、抜出される反応液へ
のガスの混入が防止され、反応液を静置状態で液抜出し
管29を通して抜出すことができる。ガス成分が分離さ
れた反応液と触媒はその自重により、第2ガス分離槽2
3から配管35を通って反応筒21内下部に循環され
る。反応筒21内下部に反応液とともに循環された触媒
は、再び、反応筒21内を上昇する。
【0041】触媒を上方向に移動させる力は、液体の上
方向への線速度に関係し、液体の線速度が大きいほど触
媒を上方に移動させる力も大きくなる。従って、液体の
線速度を、液体中に存在する触媒を落下させる重力より
も大きくなるように調節することにより、触媒粒子を上
方に移動させることができる。しかし、図2に示した反
応装置の場合、第1ガス分離槽22の水平断面積S
(2)が反応筒21の水平断面積S(1)よりも大きく
なっているため、液体の線速度は第1ガス分離槽内に入
ると急激に小さくなり、触媒の第1ガス分離槽内への移
動は防止され、反応筒21内上部から配管31を通って
第2ガス分離槽23に選択的に流入する。
【0042】前記のようにして、図2に示した装置にお
いては、反応筒21内を上昇する液体流と、反応筒21
の上部から、配管31、第2ガス分離槽23、配管35
を通って反応筒21内下部へ循環する循環流が形成され
る。
【0043】図3は内部循環形式の気泡塔型反応器から
なる反応装置の説明図である。この図において、51は
反応器を示し、このものは、反応筒52とその上端に連
結されたガス分離槽54からなる。ガス分離槽54の水
平断面積は、反応筒52の水平断面積よりも大きくなっ
ている。53は内筒を示す。この反応装置を用いて含酸
素化合物のカルボニル化反応を行うには、先ず、反応器
内に触媒を充填した後、ライン56から原料混合液を充
填する。次に、ライン56から原料混合液を反応器内へ
供給するとともに、ライン57から一酸化炭素を含む反
応性ガスを内筒53の底部のガス噴出ノズル58を介し
て液中へ気泡状態で噴出させる。この混合ガスの液中へ
の噴出により、内筒53内には、液体と混合ガスの気泡
との混合物からなる上昇流が形成され、また、この上昇
流の形成にともなって、内筒53と反応筒52との間の
環状間隙部に下降流が生じ、反応器内には循環流が形成
される。液体中に分散する触媒はその上昇液体流に同伴
されて内筒53内を上昇する。そして、これらの含酸素
化合物、一酸化炭素及び触媒は、その上昇間に相互に接
触し、含酸素化合物のカルボニル化反応が達成される。
【0044】内筒53を上昇する気液混合物は、反応筒
52の上端に連結されたガス分離槽54内に流入し、反
応液から未反応ガス(CO)等のガス成分の分離が行わ
れる。一方、触媒は液体に分散された状態で内筒53と
反応筒52との間の環状間隙部内を下降し、反応筒52
の底部に循環される。ガス分離槽54において分離され
たガス成分は気化した反応液とともに、ライン60、冷
却器55及びライン61を通って排出されるが、この場
合、気化した反応液の少なくとも一部は冷却器55で凝
縮され、反応器内に戻される。反応液はライン59を通
って反応器から抜出される。
【0045】次に、本発明の方法のフローシートの1例
を図4に示す。図4において、1はカルボニル化反応装
置、2、3は吸着剤充填塔、4は蒸発槽、5は蒸留塔、
6は気液分離器、7、8はスクラバー、9は熱交換器、
10は冷却器を各示す。カルボニル反応装置1は、前記
した各種の方式のものであることができ、その内部に
は、VP樹脂に担持したロジウム錯体触媒が充填されて
いる。吸着剤充填塔2、3は、その内部にロジウム錯体
に吸着性を示す吸着剤が充填されている。スクラバー
7、8は、その内部に気液接触効率を高めるために、充
填材が充填されている。従来公知の各種のもの、例え
ば、ラシッヒリング、テラレット、ポールリング、サド
ル、レッシングリング等を挙げることができる。
【0046】図4に示したフローシートに従って、本発
明の酢酸製造方法について以下に詳述する。反応装置1
には、ライン21、26を通して含酸素化合物が供給さ
れ、また、吸着剤充填塔2からライン41を通して抜出
されたヨウ化アルキル及びロジウム錯体を含有する含酸
素化合物がライン44、53を通して供給される。さら
に、この反応装置1には、ライン22を通して一酸化炭
素が供給される。反応装置1においては、VP樹脂に担
持されたロジウム錯体の存在下で含酸素化合物と一酸化
炭素のカルボニル化反応が行われる。この図4に示した
フローシートの場合、反応溶媒としては含酸素化合物が
兼用されている。含酸素化合物とは別の反応溶媒を用い
る場合には、その反応溶媒は、ライン21やライン26
を通る含酸素化合物に混合することができるし、含酸素
化合物とは別に、直接反応装置1に供給することもでき
る。
【0047】反応装置1からは、ライン31を通して反
応生成液が抜出され、ライン61を通して反応生成ガス
が抜出される。反応生成液は、酢酸、酢酸メチル、ジメ
チルエーテル、プロピオン酸、ヨウ化アルキル、ヨウ化
水素、ロジウム錯体、メタノール等からなり、そのロジ
ウム錯体の含有量は、金属ロジウム換算で、0.1〜5
0wtppm、通常、0.3〜10wtppmである。
反応生成ガスは、ヨウ化アルキル、ヨウ化水素、水素、
メタン、CO2等からなる。反応生成液は、熱交換器9
を通り、ライン33、ライン39、バルブ12、ライン
40を通って吸着剤充填塔3に導入される。一方、反応
生成ガスは、スクラバー7に導入され、ここで、ライン
28を通ってスクラバー7に導入された含酸素化合物と
接触する。これにより、反応生成ガス中のヨウ化アルキ
ルが含酸素化合物中に溶解し、反応生成ガスから分離回
収される。また、反応生成ガス中に含まれるヨウ化水素
や、酢酸メチル、ジメチルエーテル等も含酸素化合物中
に分離回収される。このヨウ化アルキルを含む含酸素化
合物は、ライン62を通してスクラバー7から抜出さ
れ、ライン64、熱交換器9、ライン32、ライン3
5、バルブ13、ライン36を通って吸着剤充填塔2に
導入される。
【0048】前記熱交換器9においては、反応生成液と
ヨウ化アルキルを含む含酸素化合物との間の間接的熱交
換が行われ、これにより、反応生成液の温度は低めら
れ、ヨウ化アルキルを含む含酸素化合物の温度は高めら
れる。熱交換器9に入る以前の反応生成液の温度は、通
常、160〜200℃であるが、前記熱交換器通過後に
は40〜80℃程度低められた温度(通常、100〜1
40℃)となる。一方、熱交換器に入る以前のヨウ化ア
ルキルを含む含酸素化合物の温度は、通常、20〜50
℃であるが、前記熱交換器通過後には50〜90℃程度
高められた温度(通常、100〜140℃)となる。ス
クラバー7を通過した反応生成ガスは、ライン65を通
して排出される。
【0049】吸着剤充填塔3に導入された反応生成液
は、ここで吸着剤と接触し、反応生成液中に含まれるロ
ジウム錯体の95〜100%が吸着分離される。この場
合の吸着温度は100〜140℃に調節するのがよい。
吸着剤充填塔3を出た反応生成液は、ライン45、バル
ブ16、ライン47、ライン49、流量バルブ19を通
って蒸発槽4に導入される。一方、吸着剤充填塔2に導
入されたヨウ化アルキルを含む含酸素化合物は、ここで
吸着剤と接触し、前回の吸着工程で吸着されたロジウム
錯体が吸着剤からその含酸素化合物液中に脱着される。
この場合の脱着温度は、100〜140℃に調節するの
がよい。吸着剤充填塔2を出たヨウ化アルキル、及びロ
ジウム錯体を含む含酸素化合物は、ライン41、ライン
43、バルブ17、ライン44、ライン53を通って反
応装置1に導入される。吸着剤充填塔2及び3は、ロジ
ウム錯体の吸着と脱着を交互に繰返し行うもので、一方
が吸着工程の状態にあるときは、他方は脱着工程の状態
にある。吸着剤充填塔における吸着工程と脱着工程の切
換えは、バルブ操作により行われ、前記した状態にある
ときは、バルブ13、バルブ12、バルブ16、バルブ
17は開の状態にありバルブ14、バルブ11、バルブ
18、バルブ15は閉の状態にある。
【0050】蒸発槽4に導入されたロジウム錯体の分離
された後の反応生成液は、ここで蒸発処理される。この
蒸発処理において、その温度は100〜150℃、好ま
しくは110〜130℃であり、その圧力は1〜5気
圧、好ましくは1〜2気圧である。前記蒸発処理におい
ては、反応生成液中の一部が蒸発気化され、ライン51
を通って蒸留塔5に導入される。一方、蒸発槽における
残液は、ライン53を通って反応装置1に返還される。
蒸発槽4において反応生成液が蒸発気化される割合は特
に制約されないが、その50〜100重量%、好ましく
は90〜100重量%である。蒸発気化された反応生成
液の組成は、酢酸:50〜60重量%、含酸素化合物:
0.1〜1重量%、酢酸メチル:10〜20重量%、ヨ
ウ化アルキル:5〜20重量%、水:5〜20重量%で
ある。一方、蒸発残液の組成は、酢酸:80〜95重量
%、含酸素化合物:0〜0.5重量%、プロピオン酸:
0〜5重量%、酢酸メチル:0〜10重量%、ヨウ化ア
ルキル:0〜1重量%、水:0〜10重量%である。前
記蒸発槽4は必ずしも必要とされず、蒸発槽を用いない
場合は、ライン49を通る反応生成液は、その全量が蒸
留塔5に導入される。
【0051】蒸留塔5においては、反応生成液の蒸留が
行われ、塔頂からの蒸気成分は冷却器10に入り、ここ
で凝縮された後、気液分離器6に入り、ここで気液分離
される。分離された気体は、ライン56を通ってスクラ
バー8に導入され、ここで、ライン27を通って導入さ
れた含酸素化合物と接触し、気体中のヨウ化アルキル、
ヨウ化水素、水等の可溶性成分が含酸素化合物に溶解さ
れ、気体から分離され、含酸素化合物に溶解されなかっ
たガス成分(水素、メタン、CO2等)はライン66を
通って排出され、一方、気体中の可溶性成分を含む含酸
素化合物は、ライン63を通って抜出され、スクラバー
7から抜出されたヨウ化アルキルを含む含酸素化合物に
混合される。また、気液分離器6で得られた液体は、ヨ
ウ化アルキル、酢酸メチル、ヨウ化水素、水、酢酸等か
らなり、このものはライン57を通って、スクラバー7
及び8から抜出されたヨウ化アルキル等の可溶性成分を
含む含酸素化合物と混合される。また、ライン57を通
る液体には、ライン58を通ってヨウ化アルキルが補給
される。蒸留塔5に対しては、必要に応じ、ライン24
を通って含酸素化合物が供給される。この含酸素化合物
は、蒸留塔5の塔底部において、ヨウ化水素と反応す
る。この場合の反応は、含酸素化合物としてメタノール
を用いる場合、次式で表わされる。 CH3OH+HI → CH3I+H2O 蒸留塔5に導入される含酸素化合物とヨウ化水素との割
合は、ヨウ化水素1モルに対して、含酸素化合物は、メ
タノール換算量で1モル以上、好ましくは3〜10モル
の割合である。このような含酸素化合物とヨウ化水素と
の反応により、反応生成液中に溶存していたヨウ化水素
はヨウ化アルキル(ヨウ化メチル)に変換され、そのヨ
ウ化水素の反応生成液中濃度は500wtppb以下、
通常、100wtppb程度にまで減少する。蒸留塔5
の底部からは、ヨウ化水素濃度が500wtppb以
下、通常、100wtppb以下にまで低められた酢酸
がライン59を通って抜出される。この酢酸は、ヨウ化
水素の他、水を約2重量%程度含有する。
【0052】図4に示したフローシートにおいては、気
液分離器6から抜出された液体は、ライン64を通る液
体に直接混合(配管混合)する例が示されているが、好
ましくは混合槽を用いて混合するのがよい。即ち、ライ
ン57の液体とスクラバー7、8からの液体とを混合槽
に導入し、ここで均一に混合した後、ライン64及び熱
交換器9を通って吸着剤充填塔2に導入するのが好まし
い。また、図4に示したフローシートにおいては、2つ
のスクラバー7、8が用いられているが、本発明の場
合、必ずしも2つのスクラバーは必要とされず、1つの
スクラバーを用いてもよい。さらに、気液分離器6から
ライン56を通って抜出される気体はスクラバー8に導
入されているが、必ずしもスクラバー8に導入する必要
はなく、他の排ガス処理法により処理することもでき
る。この場合には、スクラバー8の設置は不要となる。
【0053】前記蒸留塔5の底部から抜出された酢酸
は、これを更に精製するために、さらに第2蒸留塔に導
入して蒸留処理することができる。この場合、第2蒸留
塔に導入する酢酸には、アルカリ金属水酸化物やアルカ
リ金属塩等のアルカリ金属化合物(例えばKOHやNa
OHの水溶液)はこれらのアルカリ金属化合物と次亜リ
ン酸(PH32)との混合物を添加するのが好ましい。
アルカリ金属化合物は、第2蒸留塔内において酢酸中に
残存する微量のヨウ化水素と反応し、ヨウ化水素はアル
カリ金属ヨウ化物となり、酢酸中のヨウ化水素を20w
tppb以下にすることができる。添加するアルカリ金
属化合物の量は、酢酸中のヨウ化水素1モル当り、1モ
ル以上、好ましくは1〜10モルの割合である。第2蒸
留塔からは高純度の酢酸が得られるが、その酢酸中に含
まれるヨウ化アルキル及びヨウ素イオンを含めた総ヨウ
素含有量は、数十wtppb以下である。さらにまた、
この高純度酢酸は、それに含まれるヨウ素成分を吸着除
去することにより、さらに高純度の製品とすることがで
きる。
【0054】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0055】参考例1(触媒の調製) 架橋度60%、細孔容積0.32cc/g、平均細孔径
21nm、平均粒径0.43mmのPV樹脂(4−ビニ
ルピリジン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂)10.5
g(乾燥重量6.7g)をメタノールに十分なる時間浸
漬した後、これにヨウ化メチル、メタノール及び酢酸か
らなる混合溶液(ヨウ化メチル8重量%、メタノール4
5重量%、酢酸47重量%)140gを加え、チタン製
オートクレーブ(250cc)に仕込み、さらに塩化ロ
ジウム3水和物(RhCl3、3H2O)0.14gを加
えた。この混合物を一酸化炭素で数回脱気した後、19
0℃まで昇温したところで、全圧が50kg/cm
2(一酸化炭素の初期分圧では15kg/cm2)となる
ように一酸化炭素を自力式調節弁を介してオートクレー
ブ内に供給した。そして、30分経過後に反応器を冷却
し、窒素でパージした後、PV樹脂をデカンテーション
で除去し、メタノールで洗浄を数回繰り返し、PV樹脂
に担持されたロジウム錯体触媒を得た。このPV樹脂中
のRhを原子吸光法により分析したところ、樹脂重量の
0.8重量%に相当するRhがPV樹脂に担持されてい
ることが確認された。この場合のロジウム錯体は、式
〔RhCOI2-で表わされる陰イオン性のものであ
る。
【0056】参考例2(陰イオン性ロジウム錯体用吸着
剤の調製) 参考例1で用いたのと同じPV樹脂10.5g、及び酢
酸65.2g、ヨウ化メチル11.1gを200mlオ
ートクレーブに入れ100℃、600rpmで1時間処
理し、ピリジン環が4級化構造に変成されたPV樹脂を
得た。反応前後のヨウ化メチルの減少量から求めたVP
樹脂中のNの4級化割合は95%以上であった。回収し
た4級化樹脂をメタノールで十分に洗浄し、陰イオン性
ロジウム錯体用吸着剤を得た。
【0057】図4に示したフローシートに従って酢酸の
製造実験を行った。この場合、反応装置1としては、図
1に示した構造の撹拌混合槽を用い、カルボニル化触媒
としては、参考例1で調製したものを用いた。また、吸
着剤充填塔2、3における吸着剤としては、参考例2で
調製したものを用いた。さらに、スクラバー7、8とし
ては、その内部に充填材として金網を充填したものを用
いた。前記図4のフローシートに従った酢酸の製造実験
における主な操作条件を図4に示した装置及びラインと
の関連で以下に示す。 (1)ライン31 (反応生成液) (i)流量:263重量部/h (ii)温度:180℃ (iii)成分組成 酢酸:57wt% メタノール:0.6wt% ジメチルエーテル:0.07wt% ヨウ化メチル:14.6wt% 水:5.6wt% 酢酸メチル:21wt% (2)ライン61 (反応生成ガス) (i)流量:5.4重量部/h (ii)温度:40℃ (iii)成分組成 一酸化炭素:85wt% ヨウ化メチル:6.6wt% (3)ライン32 (反応生成液冷却物) (i)温度:110℃ (4)吸着剤充填塔3 (吸着工程) (i)温度:110℃ (ii)圧力:30kg/cm2G (5)ライン49 (吸着処理液) (i)ロジウム濃度:0.3wtppm (6)蒸発槽4 温度:121℃ 圧力:0.8kg/cm2G (7)ライン51 (反応生成液蒸発物) (i)流量:258重量部/h (ii)成分組成: 酢酸:57wt% メタノール:0.6wt% ジメチルエーテル:0.07wt% ヨウ化メチル:14.9wt% 水:5.6wt% 酢酸メチル:22wt% (8)ライン53 (反応生成液の蒸発残液) (i)流量:5.0重量部/h (ii)成分組成 酢酸:88wt% ヨウ化メチル:0.9wt% 水:3.8wt% 酢酸メチル:6.7wt% (9)ライン24 (メタノール) (i)流量:3.0重量部/h (ii)温度:25℃ (10)ライン59 (蒸留残液) (i)流量:12.6重量部/h (ii)温度:139℃ (iii)成分組成 酢酸:99.8wt% 水:0.2wt% (11)ライン57 (蒸留物凝縮液) (i)流量:128重量部/h (ii)温度:40℃ (iii)成分組成 酢酸:16wt% メタノール:1.2wt% ジメチルエーテル:0wt% ヨウ化メチル:28wt% 水:11wt% 酢酸メチル:42wt% (12)ライン62 (スクラバー抜出液) (i)流量:35重量部/h (ii)温度:25℃ (iii)成分組成 酢酸:0wt% メタノール:96wt% ジメチルエーテル:0wt% ヨウ化メチル:0.2wt% 水:0.2wt% 酢酸メチル:0.2wt% (13)ライン64 (スクラバー抜出液混合物) (i)流量:200重量部/h (ii)温度:34℃ (iii)成分組成 酢酸:11wt% メタノール:34wt% ジメチルエーテル:0.1wt% ヨウ化メチル:19wt% 水:7wt% 酢酸メチル:28wt% (14)ライン33 温度:110℃ (15)吸着剤充填塔2 (脱着工程) (i)温度:110℃ (ii)圧力:40kg/cm2G (16)ライン41 (脱着処理液) (i)ロジウム濃度:0.4wtppm (17)ライン21 (メタノール) (i)流量:67重量部/h (ii)温度:25℃ (18)ライン22 (一酸化炭素) (i)流量:63重量部/h (ii)温度:30℃ (19)反応装置1 (i)温度:180℃ (ii)圧力:42kg/cm2
【0058】実施例2 触媒として参考例2で得た触媒を用い、吸着剤として参
考例1で示したPV樹脂自体を用い、実施例1と同様に
して酢酸の製造を行った。この場合にも、収率よく酢酸
を製造することができた。また、反応生成液中に含まれ
るロジウム錯体も高分離率で反応生成液から吸着分離す
ることができた。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、含酸素化合物と一酸化
炭素から、収率よくかつ経済的に酢酸を製造することが
できる。しかも、本発明の場合、含酸素化合物のカルボ
ニル化工程において、PV樹脂から脱離し、反応生成液
中に移行したロジウム錯体を、高分離率で分離し、反応
装置に循環させることができ、これにより反応装置内の
反応液中に溶存するロジム錯体濃度は一定濃度に保持さ
れ、PV樹脂からのロジウム錯体の脱離が防止される。
また、ロジウム錯体の製品酢酸への移行が防止され、ロ
ジウム錯体の消失もなくなり、プロセスの経済性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】撹拌混合式反応器からなる反応装置の説明図で
ある。
【図2】外部循環式の気泡塔型反応器からなる反応装置
の説明図である。
【図3】内部循環式の気泡塔型反応器からなる反応装置
の説明図である。
【図4】本発明による酢酸製造方法のフローシートの1
例を示す。
【符号の説明】
(図1〜図3) 1 反応器 2 撹拌翼 21 縦型反応器 22 第1ガス分離槽 23 第2ガス分離槽 51 反応器 53 内筒 54 ガス分離槽 (図4) 1 反応装置 2,3 吸着剤充填塔 4 蒸発槽 5 蒸留塔 6 気液分離器 7,8 スクラバー 9 熱交換器 10 冷却器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 則行 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 皆見 武志 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 前島 哲夫 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 浜戸 一彦 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタノール及びジメチルエーテルの中か
    ら選ばれる少なくとも1種の含酸素化合物と一酸化炭素
    を反応原料として用いる酢酸の製造方法において、 (i)ロジウム錯体を含有する固体触媒を用い、ヨウ化
    アルキルの存在下、有機溶媒中で含酸素化合物と一酸化
    炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応
    工程、 (ii)該カルボニル化反応工程で得られた反応生成液を
    ロジウム錯体に対して吸着性を示す吸着剤と接触させ
    て、反応生成液中に含まれるロジウム錯体を吸着させる
    吸着工程、 (iii)該カルボニル化工程で得られた反応生成ガスを
    含酸素化合物及び/又は有機溶媒と接触させて、反応生
    成ガス中に含まれるヨウ化アルキルを含酸素化合物及び
    /又は有機溶媒に溶解させるヨウ化アルキル回収工程、 (iv)該吸着工程で得られたロジウム錯体が分離された
    後の反応生成液を蒸留し、酢酸からなる重質成分と、ヨ
    ウ化アルキル、酢酸メチル及び水からなる軽質成分とに
    分離する蒸留工程、 (v)該ヨウ化アルキル回収工程で得られたヨウ化アル
    キルを含む含酸素化合物及び/又は有機溶媒を、ロジウ
    ム錯体を吸着した吸着剤と接触させて、吸着剤に吸着さ
    れているロジウム錯体を脱着させる脱着工程、 (vi)該脱着工程で得られたロジウム錯体を含む液体を
    前記カルボニル化反応工程へ循環させる循環工程、から
    なることを特徴とする酢酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 該ヨウ化アルキル回収工程で得られたヨ
    ウ化アルキルを含む含酸素化合物及び/又は有機溶媒
    に、該蒸留工程で得られた軽質成分を混合する請求項1
    の方法。
  3. 【請求項3】 該ヨウ化アルキル回収工程で得られたヨ
    ウ化アルキルを含むメタノール及び/又は有機溶媒と該
    カルボニル化反応工程で得られた反応生成液との間で間
    接的熱交換を行わせ、高められた温度のヨウ化アルキル
    を含む含酸素化合物及び/又は有機溶媒と、低められた
    温度の反応生成液を形成させる請求項1又は2の方法。
  4. 【請求項4】 該ヨウ化アルキル回収工程において反応
    生成ガスを含酸素化合物と接触させることにより得られ
    るヨウ化アルキルを含む含酸素化合物を、該脱着工程に
    おける脱着用溶媒として用いた後、該カルボニル化反応
    工程に循環させる請求項1〜3のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】 該吸着工程で得られたロジウム錯体が分
    離された後の反応生成液を蒸発処理し、蒸発を蒸留工程
    にて蒸留し未蒸留部分をカルボニル化反応工程に循環さ
    せる請求項1〜4のいずれかの方法。
  6. 【請求項6】 該ロジウム錯体が陰イオン性ロジウム錯
    体であり、該吸着剤が樹脂中に含まれるピリジン環の窒
    素原子の少なくとも一部が4級化されているビニルピリ
    ジン系樹脂からなる請求項1〜5のいずれかの方法。
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