JP2017523154A - プロセス - Google Patents

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Abstract

一つの酢酸生産ユニットにおける一つのヘビーエンドカラムを運転する一つの方法であって、該生産ユニットは、少なくとも一つの反応区画、一つのライトエンド蒸留カラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここで、酢酸およびプロピオン酸を含む該ライトエンド回収区画から得られた一つのストリームが、前記ヘビーエンドカラムの一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通して該ヘビーエンドカラムに供給され、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、該供給物入口の上方の一つのサイドドロー生成物出口を通して該ヘビーエンドカラムから引き出され、そしてプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームが、該供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通して該ヘビーエンドカラムから引き出され、ここで、該ヘビーエンドカラムは以下の運転条件、すなわち前記供給物入口の上方の該ヘビーエンドカラム内の圧力が、該ヘビーエンドカラムに供給される酢酸およびプロピオン酸を含むストリームに比べ低く、且つ、ここで、該ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が1.0バールより低く、前記供給物入口と前記サイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ該供給物入口と該サイドドロー生成物出口の間の前記ヘビーエンドカラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件で運転される方法。【選択図】図1

Description

本発明は、酢酸生産ユニット内のヘビーエンドカラムを運転する一つの方法に関する。本発明はさらに、酢酸およびプロピオン酸を含むストリームから酢酸を分離するための一つのプロセスにも関連する。
酢酸はよく知られた汎用化学製品であり、それは多くの工業的用途を有している。
工業的に酢酸を生産するための様々の方法が周知であり、多くのそのようなプロセスが、副生成物または副産物として、プロピオン酸を生成する、その酢酸が、使用および/または販売のための必要な仕様を満たすようにするため、酢酸生成物を、しばしばプロピオン酸を取り除くための一つのプロセスに供する必要がある。
EP 0 849 250 A1は、酢酸プロセスストリームの生産のための一つのプロセスを開示しており、その酢酸プロセスストリームは400ppm未満のプロピオン酸および1500ppm未満の水を含むものであって、そのプロセスは以下の複数のステップ:
(a) メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体並びに一酸化炭素を一つのカルボニル化反応器に供給すること、その反応器では、そのプロセスの間中、一つのイリジウム触媒、ヨウ化メチル共触媒、任意に一つまたは複数の促進剤であって、ルテニウム、オスミウム、レニウム、カドミウム、水銀、亜鉛、ガリウム、インジウムおよびタングステンからなるグループから選択される促進剤、重量に基づいて約8%未満の一つの濃度の限られた量の水、酢酸メチル、酢酸並びにプロピオン酸副生成物およびその複数の前駆体、を含む一つの液体反応組成物が維持される;
(b) 液体反応組成物を上述のカルボニル化反応器から引き出すこと、およびその引き出された液体反応組成物の少なくとも一部を、熱を加えまたは加えることなく、フラッシュゾーンに導入して、水、酢酸生成物、プロピオン酸副生成物、酢酸メチル、ヨウ化メチルおよび複数のプロピオン酸前駆体を含む一つの蒸気留分、並びに不揮発性のイリジウム触媒、不揮発性の任意の促進剤または複数の促進剤、酢酸および水を含む一つの液体留分を形成すること;
(c) 上記フラッシュゾーンからの上記液体留分を上記カルボニル化反応器へと再利用すること;
(d) 上記フラッシュゾーンからの上記蒸気留分を第1蒸留ゾーンへと導入すること;
(e) 上記第1蒸留ゾーンから上記フラッシュゾーン蒸気留分の導入点の上方にある一点において、水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、酢酸および複数のプロピオン酸前駆体を含む一つのライトエンド再利用ストリームであって、その全部または一部が上記カルボニル化反応器へと再利用されるストリームを分離すること;および
(f) 上記フラッシュゾーン蒸気留分の導入点の下方にある一点において上記第1蒸留領域から、酢酸生成物、プロピオン酸副生成物、および1500ppm未満の水を含む一つのプロセスストリームを取り除くこと、および
(g) ステップ(f)で取り除かれる上記プロセスストリームが、400ppmを超えるプロピオン酸を含む場合、そのストリームを一つの第2蒸留カラムに導入し、(f)からの上述のストリームの導入点の下方の一点からプロピオン酸副生成物を取り除き、且つ(f)からの上述のストリームの導入点の上方の一点から400ppm未満のプロピオン酸と1500ppm未満の水を含む一つの酢酸プロセスストリームを取り除くこと
を含む。
上記のステップ(g)における任意的な第2蒸留カラムの構成および運転に関しては、EP 0 849 250 A1に限られた詳細が与えられているだけである。
WO 2009/042078 A1は、酢酸を製造するための一つの方法および装置が改善された精製とともに開示されている。WO 2009/042078 A1に与えられている精製における改善点は、本明細書に開示されるヘビーエンドカラムの構成および運転に直接関連するものではなく、且つヘビーエンドカラムの構成および運転についての限られた詳細が与えられているだけである。
WO 2012/014393 A1は、高純度の酢酸を製造するための一つのプロセスを与えている。WO 2012/014393 A1に開示されているものは、一つの第2蒸留カラムであって、これは少なくとも一つの高沸点成分(例えば、プロピオン酸)をそのカラムの底部から分離するものである。第2蒸留カラムの構成および運転に関しては、WO 2012/014393 A1の第2蒸留カラムの構成および運転に関しては、限られた詳細が与えられているだけである。
US 2010/0063319 A1は、酢酸生産のための一つのプロセスを与えており、そのプロセスは、一つの触媒、触媒安定剤、酢酸、メタノール、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水および一酸化炭素を含む一つの反応混合物を形成するためのメタノールのカルボニル化、およびその反応混合物の少なくとも一部を一つの蒸留カラムに導入して、触媒および触媒安定剤を含む一つのボトムストリーム、酢酸及び水を含む一つのサイドドローストリーム、並びにメタノール、酢酸メチル、ヨウ化メチルおよび水を含む一つのオーバーヘッドストリームに分離すること、を含む。US 2010/0063319 A1によって与えられるプロセスは、フラッシュタンクの使用を除去する。蒸留カラムから取り除かれたサイドドローストリームは、任意にさらなる蒸留に供され、それは例えば水を取り除くための乾燥蒸留および例えばプロピオン酸などの重不純物を取り除くためのヘビーエンド蒸留などである。US 2010/0063319 A1は、任意的なヘビーエンド蒸留の構成または運転について如何なる詳細をも与えていない。
酢酸生成物からプロピオン酸を取り除くためのヘビーエンドカラムの運転には、大量のエネルギーが必要であり、それは副生成物プロピオン酸が酢酸に比べより高い沸点を有しているという事実に起因する。
当分野には、酢酸生産ユニットにおけるヘビーエンドカラムの運転の改善の必要性が残っており、それは例えばヘビーエンド蒸留カラムの運転におけるエネルギー使用の改善などである。
本発明は、一つの酢酸生産ユニットにおける一つのヘビーエンドカラムの一つの運転方法を提供するものであり、その生産ユニットは、少なくとも一つの反応区画、一つのライトエンド蒸留カラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここで、酢酸およびプロピオン酸を含みライトエンド回収区画から得られた一つのストリームが、ヘビーエンドカラムの一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通してヘビーエンドカラムに供給され、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、上述の供給物入口の上方の一つのサイドドロー生成物出口位置を通してヘビーエンドカラムから引き出され、そしてプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームが、上述の供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通してヘビーエンドカラムから引き出されるのであり、ここで、そのヘビーエンドカラムは以下の運転条件で運転され、それは、上述の供給物入口の上方のヘビーエンドカラム内の圧力が、酢酸およびプロピオン酸を含み、ヘビーエンドカラムに供給されるストリームに比べ低く、且つ、ここで、ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が1.0バールより低く、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ供給物入口とサイドドロー生成物出口の間のヘビーエンドカラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件である。
本発明はさらに、酢酸とプロピオン酸を含む一つのストリームから酢酸を分離するための一つのプロセスを提供するものであり、ここで、そのプロセスでは、酢酸とプロピオン酸を含むそのストリームは、蒸留カラムの中間点配置された一つの供給物入口を通して蒸留カラムに供給され、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、その供給物入口の上方の一つのサイドドロー生成物出口位置を通してその蒸留カラムから引き出され、およびプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームが、その供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通してその蒸留カラムから引き出されるのであり、ここで、その蒸留カラムは以下の運転条件で運転され、それは、上述の供給物入口の上方の蒸留カラム内の圧力が、酢酸およびプロピオン酸を含み、その蒸留カラムに供給されるストリームに比べ低く、且つ、ここで、蒸留カラムは以下のように構成されており、それはそのヘッド圧力が1.0バールより低く、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の蒸留カラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件である。
本発明はさらにまた、一つの酢酸生産ユニットにおいて酢酸を生産するための一つのプロセスを提供するものであり、そのユニットは、一つの反応区画、一つのライトエンドカラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここで、このプロセスは次の複数のステップ:
(a) 反応区画において、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体を、一酸化炭素を使って、一つのVIII族の金属カルボニル化触媒、一つのヨウ化メチル触媒、酢酸、水、酢酸メチル、プロピオン酸副生成物、および任意に一つの促進剤を含む一つの液体反応性組成物中でカルボニル化すること;
(b) 上述の液体反応性組成物の少なくとも一部を上述の反応区画から引き出し、そしてその引き出した液体反応性組成物を一つのフラッシュゾーンに導入して、水、酢酸、酢酸メチル、ヨウ化メチル、およびプロピオン酸副生成物を含む一つの蒸気留分、並びに上述の触媒を含む一つの液体留分を生成すること;
(c) 上述のフラッシュゾーンからの液体留分を上述の反応区画へ向けて再利用すること;
(d) 上述のフラッシュゾーンからの上述の液体留分を上述の反応区域に供給すること;
(e) 上述のライトエンドカラムから酢酸およびプロピオン酸を含む一つのストリームを取り除くこと;
(f) 任意に、上述のライトエンドカラムから取り除かれた酢酸とプロピオン酸を含む上述のストリームを一つの別個の乾燥カラムにおいて乾燥させること;
(g) 酢酸とプロピオン酸を含むそのストリームを、上述のヘビーエンドカラム内の一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通してそのヘビーエンドカラムに供給し、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームを、その供給物入口の上方に位置する一つのサイドドロー生成物出口を通して引き出し、そしてプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームを、その供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通して引き出すこと、ここで、そのヘビーエンドカラムは以下の運転条件で運転され、それは、上述の供給物入口の上方のヘビーエンドカラム内の圧力が、酢酸およびプロピオン酸を含み、ヘビーエンドカラムに供給されるストリームに比べ低く、且つ、ここで、ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が1.0バールより低く、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の理論段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ供給物入口とサイドドロー生成物出口の間のヘビーエンドカラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件である。
本発明は、一つの酢酸生産ユニット内の一つのヘビーエンドカラムの運転の一つの方法を提供するものであり、そのユニットはリボイラーのためのエネルギー必要量が、典型的に使用されているヘビーエンドカラムに比べ、減少されている。本発明はまた、基本的に酢酸を含む一つのストリームを、酢酸とプロピオン酸を含む一つのストリームから、本明細書において一つの蒸留カラムとして定義された一つのヘビーエンドカラムを用いて分離するための一つのプロセスを独立に提供する。
一つの酢酸生産ユニットにおける一つのヘビーエンドカラムのための上述のリボイラーのエネルギー必要量は、分離の理論段当たりの圧力降下が小さいカラム物質移動装置(留分を改善するために用いられる蒸留カラム内の複数の構造物、例えばトレーまたはパッキングなど)を用いることによって改善できることが見出され、且つ驚くべきことに、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間のカラム部分における分離の理論段当たりの圧力降下が小さなカラム間隔を用いることは、上述のリボイラーのエネルギー必要量を、そのようなカラム物質移動装置をヘビーエンド蒸留カラムの他の部分で用いる場合に比べ、さらに大幅に減少させることが見出されたのである。
したがって、驚くべきことに、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間のヘビーエンドカラムの部分に理論分離段当たりの圧力降下が小さな一つのヘビーエンドカラムを、1.0バール未満のヘッド圧力との組み合わせで運転することによって、極めて低い一つのリボイラー熱負荷(エネルギーに関して)が、一方で同じ分離性能を維持しつつ利用され得るということが見出されたのである。供給物入口とサイドドロー生成物出口の間のヘビーエンドカラムの部分における理論分離段当たりの圧力降下が小さくない構成に対しては、リボイラー熱負荷(エネルギーに関して)は、サイドドロー生成物出口の上方および供給物入口の下方のヘビーエンドカラムの部分における理論分離段当たりの圧力降下を減少させても、顕著には減少しないということがまた、驚きをもって見出されたのであり、それはたとえ供給物入口およびサイドドロー生成物出口の間の分に比べ、サイドドロー生成物出口の上方および供給物入口の下方のヘビーエンドカラムの部分に、極めて多くの総数の理論段が存在する場合でさえ変わらないのである。
用語「一つの酢酸生産ユニット」によって、本明細書において使用するように、一つのユニットであって一つの精製された酢酸生成物を生産するユニットが意味される。
本発明では、酢酸生産ユニットは、一つの反応区画、一つのライトエンドカラムを含む一つのライトエンド回収カラム、および一つのヘビーエンドカラムを含む。典型的には、一つのフラッシュゾーンが、反応区画とライトエンド回収カラムの間において用いられる。その他の複数の反応器または蒸留区画もまた存在し得る。
本発明では、それによって酢酸が生産されるプロセスはまた、プロピオン酸を、一つの副生成物として、または一つの副産物のいずれかとしてとして生産するプロセスであり、それはプロピオン酸への複数の前駆化合物を生産する複数のプロセスを含み、その複数の前駆化合物は次いでその酢酸生産ユニット内でプロピオン酸に転換される。本発明の一つの具体的な実施形態では、それによって酢酸が生産されるプロセスは、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体を、一酸化炭素を使って、一つのVIII族金属触媒システムの存在下においてカルボニル化することによるものである。酢酸の製造のための生産ユニット設備であって、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体を、一酸化炭素を使って、一つのVIII族金属触媒システムの存在下においてカルボニル化することによる設備、およびその運転は、当分野において周知である。
本明細書で述べた酢酸生産ユニットの反応区画は、反応ユニットが一つの酢酸含有生成物ストリームを生産するために用いられ得るどのような適切な反応ユニットでもよい。一つの具体的な実施形態では、酢酸生産ユニットの反応区画は、一つの反応器または複数の反応器であって、その内部で酢酸がメタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体を、一酸化炭素を使って、一つのVIII族金属触媒システムの存在下においてカルボニル化することによって生産され得るものである。適切な複数の反応器および複反応器の構成であって、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体のカルボニル化に用いられ得るものは、当分野において周知である。
酢酸生産ユニットの反応区画内では、酢酸の生産のための一つの適切な反応が遂行され;一つの具体的な実施形態では、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体の、一酸化炭素を使った、一つのVIII族金属カルボニル化触媒とヨウ化メチル存在下におけるカルボニル化が遂行され、酢酸が生産される。そのメタノールのカルボニル化のための複数のプロセスおよび複数のVIII族金属触媒は当分野において周知である。
メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体の、一酸化炭素を使った、一つのVIII族金属触媒システムの存在下におけるカルボニル化のための複数のプロセスは、一つの均質プロセスとして、または一つの不均質プロセスとして実行し得る。
適切には、一つの不均質カルボニル化プロセスでは、VIII族金属カルボニル化触媒、例えばロジウムおよび/またはイリジウムのような、は、一つの不活性担体、例えばカーボンおよび活性化カーボンなどの上に担持される。任意に、その触媒はまた、少なくとも一つの金属促進剤を含み得る。適切な複数の金属促進剤は、ルテニウム、鉄、ニッケル、リチウムおよびコバルトを含む。メタノール反応物は、液相および/または気相状態でプロセスに供給され得る。ヨウ化メチルおよび任意に水は、好適には気相状態でプロセスに供給される。
適切には、一つの均質液相カルボニル化プロセスは、一つのVIII族金属カルボニル化触媒、ヨウ化メチル、酢酸メチルおよび水を含む一つの液体反応組成物を採用し、その液体反応組成物はまた、プロピオン酸副生成物のある量を含むものである。
適切には、液体反応組成物中のVIII族金属カルボニル化触媒は、一つのイリジウムおよび/またはロジウム含有化合物であり、その化合物は液体反応組成物中に溶解するものである。そのイリジウムおよび/またはロジウムカルボニル化触媒は、液体反応組成物中に任意の適切な形態で添加され得るものであり、その形態は液体反応組成物中で溶解するものか、または一つの可溶型に変換可能なものである。
適切な複数のイリジウム含有化合物であって、液体反応組成物中に使用され得るものの複数の例は、IrCl、IrI、IrBr、[Ir(CO)I]、[Ir(CO)Cl]、[Ir(CO)Br]、[Ir(CO)、[Ir(CO)Br、「Ir(CO)、[Ir(CH)I(CO)、Ir(CO)12、IrCl・4HO、IrBr・4HO、Ir(CO)12、イリジウム金属、Ir、IrO、Ir(acac)(CO)、Ir(acac)、酢酸イリジウム、[IrO(OAc)(HO)][OAc]、およびヘキサクロロイリジウム酸[HIrCl]、好適には、イリジウムの塩素を含まない複数の錯体、例えば酢酸エステル、シュウ酸塩およびアセトアセテートである。
適切には、液体反応組成物中のイリジウム触媒の濃度は、イリジウムの重量に基づいて100から6000ppmの範囲内にある。
適切な複数のロジウム含有化合物であって、液体反応組成物中に使用され得るものの複数の例は、[Rh(CO)Cl]、[Rh(CO)I]、[Rh(Cod)Cl]、塩化ロジウム(III)、塩化ロジウム(III)三水和物、臭化ロジウム(III)、ヨウ化ロジウム(III)、酢酸ロジウム(III)、ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート、RhCl(PPh、およびRhCl(CO)(PPhである。
適切には、液体反応組成物中のロジウム触媒の濃度は、1ppmからその反応器および/または生成物回収システム中での溶解限度までの範囲内にあり、典型的にはロジウムの重量に基づいて10から1500ppmまでの範囲内にある。
VIII族金属カルボニル化触媒が一つのイリジウムカルボニル化触媒である場合、液体反応組成物は、任意にルテニウム、オスミウムおよびレニウムからなるグループから選択される一つの促進剤を含み得る。
VIII族金属カルボニル化触媒が一つのロジウムカルボニル化触媒である場合、液体反応組成物は、任意にアルカリ金属および/または一つの有機ヨウ化物、例えば第四級アンモニウムヨウ化物のような、から選択される一つの促進剤を含み得る。好適には、その促進剤はヨウ化リチウムである。
ロジウム触媒カルボニル化のための液体反応組成物中の酢酸メチルの濃度は、適切には重量に基づいて0.1から70%の範囲内にあり、且つイリジウム触媒カルボニル化のためには、適切には重量に基づいて1から70%の範囲内にある。
水がその液体反応組成物中に存在する。水は、メタノールと酢酸生成物の間のエステル化反応によってその液体反応組成物中にその場で形成される。追加的な水をこのカルボニル化反応器に、その液体反応組成物の他の複数の成分とともに、または独立して導入することができる。好適には、その液体反応組成物中の水の濃度は、重量に基づいて0.1から15%までの範囲内にあり、より好適には重量に基づいて1から15%までである。
副生成物プロピオン酸もまたその液体反応組成物中に存在する。液体反応組成物中のプロピオン酸の濃度は正に触媒システムおよび採用される条件に依存するものではあるが、液体反応組成物中のプロピオン酸の一つの典型的な濃度は200から3500ppmwの範囲内にあり得るのであり、より典型的には400から2000ppmwの範囲内、例えば600から1400ppmwの範囲内などにある。
液体反応組成物中に用いられるヨウ化メチルの濃度は、好適には重量に基づいて1から20%の範囲内にある。
溶媒、好適には酢酸、が、液体反応組成物中に用いられ得る。
カルボニル化反応は一酸化炭素を使用する。一酸化炭素は基本的に純粋であり得るか、または複数の不純物、例えば二酸化炭素、メタン、窒素水素および希ガス元素などを含み得る。
適切には、一酸化炭素の分圧は約1から約70バールまでであり、例として約1から約35バールまでである。
適切には、カルボニル化プロセスは約10から約100バールまでの一つの全圧において実行される。
適切には、カルボニル化プロセスは約100から約300℃までの一つの温度において実行される。
カルボニル化プロセスは、一つのバッチまたは連続、好適には一つの連続プロセスとして運転され得る。
フラッシュゾーンは、好適には酢酸生産ユニットの反応区域とライトエンド回収区域の間において利用される。フラッシュゾーンの目的は反応区域からの液体反応組成物を、(i)水、酢酸生成物、酢酸メチル、ヨウ化メチルおよびプロピオン酸を含む一つの蒸気留分、これは次いで一つのライトエンドカラムに導入される、および(ii)触媒を含む一つの液体留分に分離することである。液体留分は反応区画へと再利用されることが可能である。
フラッシュゾーンで利用するための適切な設備および複数の条件は、多分当分野の当業者には周知であろう。
酢酸生産ユニットのライトエンド回収区画は、反応区画からライトエンド回収区画(またはフラッシュゾーンが反応区画とライトエンド回収区画の間に配置されているとき、フラッシュゾーン)に渡されるストリームから、少なくとも酢酸より揮発性が高い成分を分離する目的に役立つ。
そのプロセスによって酢酸が、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体の、一酸化炭素を使った、一つのVIII族金属触媒システムの存在下におけるカルボニル化によって生産される実施形態では、酢酸生産ユニットのライトエンド回収区画は、(反応区画からの液体反応組成物の、および/またはフラッシュゾーンからの蒸気留分液体反応組成物の)粗酢酸の純化および反応区画への再利用のためのヨウ化メチルおよび酢酸メチルの純化という二つの目的に役立つ。
そのプロセスによって酢酸が、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体の、一酸化炭素を使った、一つのVIII族金属触媒システムの存在下におけるカルボニル化によって生産される実施形態では、「ライトエンドカラム」は一つの蒸留カラムであって、それはライトエンドから酢酸とプロピオン酸を含む粗酢酸生成物、ヨウ化メチルおよび酢酸メチルを分離する。したがって、本明細書で使用しているようにライトエンドという用語は、そのような複数の蒸留カラムを包含するものであり、それらの蒸留カラムは、当分野では「ライトエンド蒸留カラム」および「複合ライトエンドおよび乾燥カラム」と呼ばれる。一つの複合ライトエンドおよび乾燥カラムは、一つのライトエンドカラムであって、そこでは水が前述の粗酢酸生成物から取り除かれ、酢酸とプロピオン酸を含む一つの乾燥した酢酸生成物が生産される。
本明細書において酢酸および任意にプロピオン酸をも含む複数のストリームに関連して使用される「乾燥」、「乾燥された」という用語およびそれと同類のものは、最大で1500ppmwの水を含む複数のストリームを意味する。
典型的には、酢酸がメタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体のカルボニル化によって生産される場合、ライトエンドカラムへの供給ストリームは、酢酸、水、一酸化炭素、酢酸メチル、ヨウ化メチルおよびプロピオン酸を含む一つの蒸気ストリームである。より典型的には、その蒸気ストリームはフラッシュゾーンから得られる蒸気留分とすることができる。
ライトエンドカラムでは、高沸点の酢酸およびプロピオン酸が、例えばヨウ化メチルおよび酢酸メチルなどのような低沸点成分から分離される。
ライトエンドカラムが運転される複数の条件および構成は、本発明にとって決定的に重要な意味をもつわけではないが、ただし、それはヨウ化メチルおよび酢酸メチルからの酢酸とプロピオン酸の分離が達成されるという条件の下においてである。適切には、ライトエンドカラムは40理論段までを有し得る。そのカラムは任意の適切な圧力で運転され得るものであり、例として1.0から3.0バールまでの一つのヘッド圧力、典型的には1.0から2.5バールまで、および1.2から3.8バールまでのベース圧力、典型的には1.2から3.5バールまでである。ライトエンドカラムの運転温度は多くの要因に依存するものであり、それらは供給物、ヘッドおよびベースストリームの組成並びに運転圧力を含む。典型的なベース温度は125℃から180℃までの範囲内とし得るものであり、および典型的なヘッド温度は105℃から140℃までの範囲内とし得る。
一般的には、少なくとも二つのストリームがライトエンドカラムから取り除かれ、それらは、酢酸およびプロピオン酸を含む一つのストリーム、および、そのカラムからの一つのオーバーヘッドとしての、酢酸メチル、水、酢酸および一酸化炭素を含む一つの蒸気留分であり、そして、ここで酢酸はメタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体、さらにヨウ化メチルのカルボニル化によって生成される。
酢酸およびプロピオン酸を含むストリームはライトエンドカラムの任意の適切な点から取り除かれ得るものであり、例として、供給点の下方から、または一つの液体または蒸気としてそのカラムのベースから取り除かれ得る。
ライトエンドカラムから取り除かれる酢酸とプロピオン酸を含むストリームは、もし必要なら、例として一つの乾燥カラム内で、乾燥され得る。一つの別個の乾燥カラムは一般に、そのライトエンドカラムが複合ライトエンド蒸留および乾燥カラムである場合、必要ない。
分離された水は反応器へと再利用され、および/またはそのプロセスから取り除かれ得る。
ライトエンド回収区画の第2部分は、ライトエンドカラムからのオーバーヘッド蒸気留分を凝集して一つの液体留分を形成するための一つまたは複数の凝集器および/または複数の冷却器を含む一つの凝集区画からなる。オーバーヘッド留分をその液相に凝集することが知られている任意の適切な方法を利用することが可能であるが、しかし、典型的にはこれは冷却によって達成され、例として少なくとも一つの熱交換器、を用いて達成される。その熱交換器(複数)は、冷却媒体として水を供給され得る。
タイトエンドカラムからのオーバーヘッド蒸気留分のそれらの複数の成分であって、凝集されないもの、例として一酸化炭素、二酸化炭素、複数の不活性ガス、複数の反応副生成物ガス、は、一つの排ガスストリームとしてその凝集区画から取り除かれる。酢酸がメタノールおよび/またはその反応性誘導体のカルボニル化によって生成される場合、この排ガスストリームは、ヨウ化メチル、同伴ヨウ化メチルおよび/または蒸発したヨウ化メチルとして存在するものを含み、並びに幾らかの酢酸メチルおよび水をも含む。
凝集区画からの液体留分は、主に酢酸メチル、水および酢酸、並びに、酢酸がメタノールおよび/またはその反応性誘導体のカルボニル化によって生成される場合、ヨウ化メチル、を含むが、しかし、それはまた同伴されたまたは溶解した複数のガス成分、例えば一酸化炭素、二酸化炭素および複数の不活性ガスをも含む。
その凝集区画から、その液体留分は一つのデカンターに送られ得るものであり、そこでその液体留分は二つの層、酢酸メチル、および、酢酸がメタノールおよび/またはその反応性誘導体のカルボニル化によって生成される場合、ヨウ化メチルを含む一つの下層(有機)、並びに水を含む一つの上層(水性)に分離される。少なくとも一部の、好適には全ての、デカンターからの上層(水性)が、典型的にはライトエンドカラムの頂部またはその近傍の一点に向けて一つの還流として戻される。少なくとも一部の、好適には全ての、デカンターからの下層(有機)が、典型的にはその反応区画に向けて再利用される。
排ガスはまたそのデカンターから引き出され得る。
ライトエンドカラムおよび任意にデカンターから引き出されたその排ガスは、典型的には廃棄前に一つの排ガス洗浄ユニットに送られることがある。
本発明では、ライトエンド回収区画から得られた酢酸およびプロピオン酸を含むストリームであって、ヘビーエンドカラムに供給されるストリームは、好適には酢酸およびプロピオン酸を含む一つの乾燥酢酸生成物である。したがって、ライトエンド回収区画から得られた酢酸およびプロピオン酸を含むそのストリームは、1500ppmwを超える水を含み、ヘビーエンドカラムに渡す前に一つの別個の乾燥カラム内で乾燥されることが望ましい。複数の酢酸ストリーム、プロピオン酸を含む複数のものを含む、であって1500ppmwを超える水を含むストリームを乾燥させるための複数のカラムおよび条件は当分野において周知であり、且つ任意の適切なプロセスを使用することができる。
酢酸とプロピオン酸を含むストリーム、好適には酢酸とプロピオン酸を含む一つの乾燥ストリーム、であって、ライトエンド回収区画から得られたストリームは、次いで一つのヘビーエンドカラム内の一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通してそのヘビーエンドカラムに供給され、そして基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、一つのサイドドロー生成物出口を通してそのヘビーエンドカラムから引き出される。プロピオン酸を含む一つの生成物ストリームもまた、そのヘビーエンドカラムから一つのヘビー生成物出口を通して引き出される。酢酸を含む付加的な複数のストリームもまた、そのヘビーエンドカラムから、例えばそのヘビーエンドカラムから一つのオーバーヘッドとして取り除かれる酢酸ストリームなどとして、取り除かれ得る。
基本的に酢酸を含みヘビーエンドカラムから引き出される本発明における生成物ストリームは、典型的には最大でも400ppmwのプロピオン酸を含むものであり、好適には400ppmw未満のプロピオン酸、より好適には300ppmw未満のプロピオン酸、例えば250ppmwまたはそれ未満のプロピオン酸を含むものである。好適には、基本的に酢酸を含みヘビーエンドカラムから引き出される本発明におけるその生成物ストリームは、最大でも400ppmwのプロピオン酸を含むものであり、好適には400ppmw未満のプロピオン酸、より好適には300ppmw未満のプロピオン酸、例えば250ppmwまたはそれ未満のプロピオン酸、および最大でも1500ppmw、好適には1500ppmw未満の水を含むものである。
本発明の一つの具体的な実施形態では、基本的に酢酸を含みヘビーエンドカラムから引き出される本発明におけるその生成物ストリームは、400ppmw未満のプロピオン酸(より好適には300ppmw未満のプロピオン酸、例えば250ppmwまたはそれ未満のプロピオン酸)、1500ppmw未満の水を含むものであり、およびここで、プロピオン酸と水を合わせた総計は最大でも1500ppmwである。
本発明のヘビーエンドカラムは、一つの蒸留カラムであって、そのカラム内の一つの中間点に配置された一つの供給物入口、その供給物入口の上方にあるそのカラム上の一つの点に配置された一つのサイドドロー生成物出口およびその供給物入口の下方にあるそのカラム上の一つの点に配置されたヘビー生成物出口を含む。本発明のヘビーエンドカラムは、供給物入口およびサイドドロー生成物出口に関連して規定された三つの部品により規定され得るものであり;すなわち、一つの頂部区画であって、それは蒸留カラムから成り、サイドドロー生成物出口の上方にある頂部区画、サイドドロー生成物出口と供給物入口の間にある一つの中間区画、および供給物入口の下方にある一つの底部区画である。
本発明のヘビーエンドカラムでは、中間区画(供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の部分)における理論分離段の数は少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10である。本発明のある具体的な実施形態では、中間区画における理論分離段の数は10から20までの範囲内にあり、好適には12から16までの範囲内である。
ヘビーエンドカラムの中間区画における圧力降下は、最大でも理論分離段当たり10ミリバールであり;つまり、ヘビーエンドカラムの中間区画における全圧力降下は、ヘビーエンドカラムの中間区画内に存在する理論分離段の数と10ミリバールを乗算することによって計算される全圧力降下値を超えてはいけないということ、例として、ヘビーエンドカラムの中間区画が15理論分離段を含む場合、ヘビーエンドカラムの中間区画における最大圧力降下は150ミリバールである。本発明のある具体的な実施形態では、ヘビーエンドカラムの中間区画全体の圧力降下(すなわち、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の全圧力降下)は、最大でも80ミリバールであり、好適には最大60ミリバールである。
ヘビーエンドカラムの上部区画および底部区画における理論分離段の数は、本発明にとって決定的に重要なものではなく、且つそれは当分野の当業者によって容易に決定され得るものである。
ヘビーエンドカラムはまた蒸留カラムの他の標準的な複数の特徴を含むことができ、例えばそのカラムの頂部に一つの出口を有することであり、それは凝集器に連結されていて、そして、ヘビーエンドカラムの底部に一つのリボイラーがあり、またはヘビーエンドカラムの底部にあるリボイラーに連結される。付加的な複数の入口および/または複数の出口もまた、ヘビーエンドカラムに存在し得るものであり、例えば一つの還流入口であり、これはそのカラムの頂部または近傍に配置されていて凝集機で凝集される任意の液体を戻すものなどであり、付加的な複数の生成物出口もまたヘビーエンドカラム上に存在し得るものであり、および、リボイラーが蒸留カラムの部分を形成しない複数の構成では、そのカラムの底部において、または近傍に、一つの入口が存在し得る。
基本的に酢酸を含む生成物ストリームは、一つのサイドドロー出口を通してヘビーエンドカラムから引き出される。適切なサイドドロー生成物出口の構成が当分野において周知であり、且つ任意のそのような適切なサイドドロー出口構成が用いられ得る。
サイドドロー生成物出口の一つの具体的な実施形態では、そのサイドドロー生成物出口は、カラム物質移動装置、好適には一つのトレーであって、それはサイドドロー位置に存する、の上に蓄積される液体流のある部分を取り出す。液体は一つのドローオフボックスに集まり、それは実質的にはサイドドロートレーの周囲上に配置される一つの液体溜めであり、そして次いでそのカラムの側面上の一つのサイドドローノズルを通って出ていく。残りの液体であって、それによって引き出されないものは、次の理論分離段に下る内部還流に供給するために利用される。サイドドロー生成物出口の中のこのサイドドローノズルの寸法および位置は、その流れがヘビーエンドカラムを出る際の圧力損失が、そのサイドドローノズルの上部にあるサイドドローボックス内で利用可能な液体の静水頭に比べ著しく低いことを確保するように注意深く設定される。そのサイドドローノズル寸法およびトレーの下方のそれが引き出される高さ(すなわち、ドローオフボックスの長さ)は、二相流を防ぐために特別の計算方法に従って設定されなければならない。
サイドドロー生成物出口のこの構成では、出口圧力損失は、液体生成物出口速度から一つの水中オリフィス方程式を用いて計算される。サイドドローノズルからドローオフボックスの頂部までの高さは、一つの明確な静水頭であって、水中オリフィス方程式からのヘッド損失当量より大きな静水頭を与えるように設定され、1.5から2.5までの一つの安全因子もまた、ドローオフボックスの泡の程度を減ずるために用いられる。このようにして、出口サイドドローノズルは、その液体をその飽和圧力以下に弱め、およびフラッシングを引き起こし得る圧力損失を生じないように十分大きなものである。サイドドローノズルの頂部からドローオフボックスの上部までの距離もまた、サイドドローノズルの直径より大きく設定され、これにより、トレーの上部から蒸気が液体ストリーム中に取り込まれて蒸気を生じさせ得るボルテックシングの形成が防がれる;一つのボルテックス破砕機、典型的には一つの「格子型」または「横断型」、が、垂直空間が制限された環境において同じ結果を達成するためにドローオフボックスの中で用いられ得る。別の方法として、基準点としてのサイドドローノズルの出口の中心線(頂部よりむしろ)の上方では、ボルテックスまたはフラッシングを防ぐために、十分な液体の高さが確保される必要がある。これらの手段を用いることは常に液体だけが出口サイドドローノズルに存在することを保証し、且つしたがって不安定な運転を防ぐことができ、並びに二相流を生じ得る如何なる生産ボトルネックをも防ぐことができる。
ヘビーエンド蒸留カラムの複数のカラム物質移動装置に制限はないが、それはヘビーエンドカラムの理論分離段の数およびヘビーエンドカラムの中間区画に対する圧力降下基準が満たされているという条件の下においてである。従来型の複数のカラム物質移動装置であって複数の蒸留カラムで用いられているものはトレー型および充填型である。トレー型は、理論分離段当たりの圧力降下が充填型に比べて大きい傾向がある。トレー型の利用は、しかしながら、利点を有し得るものであって、特にヘビーエンドカラムの底部区画で用いる場合であり、そこでは充填型に比べより厚い材料から構成される傾向にあり、そしてその結果として故障に至るまで侵食に対して高度に耐えることができ得る。
ヘビーエンドカラムの中間区画が必要とされる数の理論分離段を含み、且つ最大規定圧力降下を超えないという仮定の下では、ヘビーエンドカラムの中間区画は、複数のトレー、充填またはそれらの組み合わせを含み得る。本発明のある好適な実施形態では、ヘビーエンドカラムの中間区画は充填を含む。
充填型が本発明のヘビーエンドカラムの中間区画に用いられる場合、任意の適切な種類の充填型であって、必要とされる数の理論分離段を、最大許容圧力降下を超過することなく有するものが利用され得る;利用され得る充填型の適切な種類の複数の例は以下のものを含むが、それらに限定されない、ポールリング、サドル、ラシヒリング、波型シート構造充填、ワイヤーメッシュ構造充填およびグリッド充填;用いられ得る複数の具体例は、Koch Glitsch IMTP(商標)、ULTRA(商標)、FLEXIRING(商標)、HYPAK(商標)、INTALOX saddle(商標)、CMR(商標)、B−ETA ring(商標)、Sulzer I−Rings(商標)、C−Rings(商標)、P−rings(商標)、Nutter Rings(商標)、R−Rings(商標)、Sulzer Mellapak(商標)(またはMellapak Plus(商標))、Koch Glitsch Flexipac(商標)(またはFlexipac HC(商標))、およびKoch Glitsch INTALOX(商標)を含む。
ヘビーエンドカラムの頂部区画は、複数のトレー、充填、またはそれらの組み合わせを含み得る。
本発明の一つの実施形態では、ヘビーエンドカラムの頂部は充填を含む。理論に拘束されるものではないが、ヘビーエンドカラムの頂部区画内に充填を使用することは、リボイラー熱負荷(エネルギーの観点から)を幾分減少させ得ると考えられている。
本発明の別の実施形態では、ヘビーエンドカラムの頂部区画は複数のトレーを含む。
ヘビーエンドカラムの底部区画は、複数のトレー、充填、またはそれらの組み合わせを含み得る。
本発明の一つの実施形態では、ヘビーエンドカラムの底部区画は充填を含む。理論に拘束されるものではないが、ヘビーエンドカラムの底部区画に充填を用いることは、リボイラー熱負荷(エネルギーの観点から)を幾分減少させ、およびリボイラー温度を幾分減少させ得ると考えられている。
本発明の別の実施形態では、ヘビーエンドカラムの底部区画は複数のトレーを含む。
本発明の一つの実施形態では、酢酸とプロピオン酸を含むストリームであって、ヘビーエンドカラムに供給されるストリームは、少なくとも一部が気相であり、好適にはヘビーエンドカラムに一つの蒸気−液体供給混合物として供給される。ある好適な実施形態では、供給物入口位置におけるヘビーエンドカラム内の圧力は1.0バール未満である。供給物入口であって、そこで酢酸とプロピオン酸を含むストリームがヘビーエンドカラムに供給される供給物入口での圧力は、ヘビーエンドカラムのヘッド圧力およびそのカラムのヘッドと供給物入口位置の間の圧力降下によって決定される。蒸留分野の当業者は、ヘビーエンドカラムの供給物入口位置における圧力を容易に決定し、および制御することができるものである。
本発明のヘビーエンドカラムの供給物入口は、任意に一つの供給物分配装置を含み得るのであって;そのような複数の装置およびそれらの使用は当分野で周知である。
本発明のヘビーエンドカラムは、供給物入口の上方のヘビーエンドカラム内の圧力が、ヘビーエンドカラムに供給される酢酸およびプロピオン酸を含むストリームの圧力より低いような条件下で運転される。
本発明のヘビーエンドカラムは、ヘッド圧力が1.0バール未満であるように運転される。本発明の一つの具体的な実施形態では、ヘビーエンドカラムは、ヘッド圧力が0.9バール未満であるように運転され、好適には0.8バール未満であり、より好適には0.7バール未満である。別の具体的な実施形態では、ヘビーエンドカラムは、ヘッド圧力が0.3から0.9バールまでの範囲内にあるように運転され、好適には0.4から0.8バールまでの範囲内であり、より好適には0.5から0.7バールまでの範囲内である。
複数の蒸留カラムにおけるヘッド圧力の制御、例えば本発明のヘッドエンドカラムの制御は、当分野で周知であり、且つヘビーエンドカラムの真空運転のための任意の適切な方法が適用され得る。
1.0バール未満の一つのヘッド圧力で運転している本発明のヘビーエンドカラムによれば、大気圧未満のカラムの複数の部分内の空気侵入を制限し、または防ぐための予防措置は、例えばフランジ型の接続部よりはむしろ溶接された接続部を採用することなどを必要とし得る。
供給物入口の位置におけるヘビーエンドカラム内の圧力が1.0バール未満であるような実施形態では、ヘビーエンドカラムの中間および上部区画の圧力は1.0バール未満となるものであり、且つヘビーエンドカラムの頂部および中間区画内の空気侵入を制限し、または防ぐための予防措置は、例えばフランジ型の接続部よりはむしろ溶接された接続部などを採用することを必要とし得る。好適には、そのカラムの頂部および中間区画内の全ての接続部、供給物入口を含む、は、溶接される。
本発明の実施形態であって、そこではヘビーエンドカラムのベースにおける圧力が1.0バールまたはそれ未満である場合、ヘビーエンドカラムの底部区画内の空気侵入を制限し、または防ぐための予防措置は、例えばフランジ型の接続部よりはむしろ溶接された接続部などを採用することを必要とし得る。好適には、そのカラムの底部区画内の全ての接続部は溶接される。
有利なことに、本発明のヘビーエンドカラムの底部区画であって、そのカラムのベースにおける圧力が大気圧より高いような十分な圧力降下を有する底部区画にカラム物質移動装置を利用することによって、従来型の接続部、例えば複数のフランジ型の接続部を、ヘビーエンドカラムの底部区画内部の圧力が空気侵入を防ぐために十分である場合には、ヘビーエンドカラムの底部区画内で使用することが可能である。誤解を避けるため、ヘビーエンドカラムの底部区画は供給物入口を含まないが、その供給物入口の下方のヘビーエンドカラムの部分を包含するものとする。フランジ型の接続部を使用することは、溶接型の接続部を使用する場合に比べ、本発明のヘビーエンドカラムのより高い費用対効果と簡略化された構成を提供し得る。
したがって、本発明のある好適な実施形態では、ヘビーエンドカラムは、複数のトレーをその底部区画に含み、且つ10ミリバール以上のヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たりの圧力降下を有しており、好適にはヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たり15ミリバールであり、さらにより好適にはヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たり20ミリバールである。
本発明の別の好適な実施形態では、ヘビーエンドカラムは、その底部区画に複数のトレーを含み、且つヘビーエンドカラムのベースにおける圧力が大気圧より高いような一つの圧力降下を有する。
本発明の別の実施形態では、ヘビーエンドカラムはその底部区画に複数のトレーを含み、且つヘビーエンドカラムのベースにおける圧力降下が少なくとも1.05バールであり、好適には少なくとも1.1バールである一つの圧力降下を有する。
本発明の別の実施形態では、ヘビーエンドカラムはその底部区画に複数のトレーを含み、10ミリバールを超えるヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たりの一つの圧力降下を有し、好適にはヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たり少なくとも15ミリバールであり、さらにより好適にはヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たり20ミリバールであり、且つヘビーエンドカラムのベースにおける圧力が大気圧より高いような一つの圧力降下を有する。
本発明の別の実施形態では、ヘビーエンドカラムはその底部区画に複数のトレーを含み、10ミリバールを超えるヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たりの一つの圧力降下を有し、好適にはヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たり少なくとも15ミリバールであり、さらにより好適にはヘビーエンドカラムの底部区画の理論分離段当たり20ミリバールであり、且つヘビーエンドカラムのベースにおける圧力が少なくとも1.05バールであるような一つの圧力降下を有し、好適には少なくとも1.1バールである。
本発明の第一の側面によれば、酢酸生産ユニット内のヘビーエンドカラムを運転する一つの方法が提供されるものであり、その生産ユニットは少なくとも一つの反応区画、一つのライトエンド蒸留カラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここでそのライトエンド回収区画からの酢酸とプロピオン酸を含む一つのストリームがそのヘビーエンドカラムにヘビーエンドカラムの一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通して供給され、そして基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、そのヘビーエンドカラムから供給物入口の上方に位置する一つのサイドドロー生成物出口を通して引き出され、およびプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームが、そのヘビーエンドカラムから供給物入口の下方に位置する一つのヘビーエンド生成物出口を通して引き出され、ここで、そのヘビーエンドカラムは以下のような条件下で運転され、その運転条件は、供給物入口の上方のヘビーエンドカラム内の圧力が、ヘビーエンドカラムに供給される酢酸とプロピオン酸を含むストリームの圧力に比べ低く、そして、そのヘビーエンドカラムのヘッド圧力が1.0バール未満であり、供給物入口とサイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ供給物入口とサイドドロー生成物出口の間のヘビーエンドカラムの部分内での圧力降下が最大でも理論分離段当たり10ミリバールであるような運転条件である。
本発明の一つのさらなる側面によれば、酢酸とプロピオン酸を含む一つのストリームから酢酸を分離するための一つのプロセスが提供されるのであり、そこでは、そのストリームは、上述したようなヘビーエンドカラムに対応する複数の特徴を有し、且つ上述したようなヘビーエンドカラムの運転に従って運転される一つの蒸留カラムに供給される。
本発明の一つのさらなる側面によれば、一つの酢酸生産ユニットにおいて酢酸を生産するための一つのプロセスが提供されるのであり、そのユニットは、一つの反応区画、一つのライトエンドカラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここで、このプロセスは次の複数のステップ:
(a) 反応区画において、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体を、一酸化炭素を使って、一つのVIII族の金属カルボニル化触媒、一つのヨウ化メチル触媒、酢酸、水、酢酸メチル、プロピオン酸副生成物、および任意に一つの促進剤を含む一つの液体反応性組成物中でカルボニル化すること;
(b) 上述の液体反応性組成物の少なくとも一部を上述の反応区画から引き出し、そしてその引き出した液体反応性組成物を一つのフラッシュゾーンに導入して、水、酢酸、酢酸メチル、ヨウ化メチル、およびプロピオン酸副生成物を含む一つの蒸気留分、並びに上述の触媒を含む一つの液体留分を生成すること;
(c) 上述のフラッシュゾーンからの液体留分を上述の反応区画へ向けて再利用すること;
(d) 上述のフラッシュゾーンからの上述の液体留分を上述の反応区域に供給すること;
(e) 上述のライトエンドカラムから酢酸およびプロピオン酸を含む一つのストリームを取り除くこと;
(f) 任意に、上述のライトエンドカラムから取り除かれた酢酸とプロピオン酸を含む上述のストリームを一つの別個の乾燥カラムにおいて乾燥させること;
(g) 酢酸とプロピオン酸を含むそのストリームを、上述のヘビーエンドカラム内の一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通してそのヘビーエンドカラムに供給し、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームを、その供給物入口の上方に位置する一つのサイドドロー生成物出口を通して引き出し、そしてプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームを、その供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通して引き出すこと、ここで、そのヘビーエンドカラムは、上述したようなヘビーエンドカラムに対応する複数の特徴を有し、且つ上述したようなヘビーエンドカラムの運転に従って運転される一つのヘビーエンドカラムである。
実施例
本発明によるヘビーエンドカラムと本発明に入らない複数のヘビーエンドカラムの運転を、ASPEN PLUS (商標)(第7.3版)コンピューターモデルを用いてシミュレートした。そのシミュレーションにおけるヘビーエンドカラムは、ヘビーエンドカラム内の一つの中間点に配置された一つの供給物入口、その供給物入口の上方に位置する一つのサイドドロー生成物出口、およびその供給物入口の下方に位置する一つのヘビー生成物出口を含んでいたものであり、且つ三つの区画に分割されたものであって、それらは:サイドドロー生成物出口の上方のそのカラムの部分として定義される一つの頂部区画;サイドドロー生成物出口と供給物入口の間のそのカラムの部分として定義される一つの中間区画;および、供給物入口の下方のそのカラムの部分として定義される一つの底部区画である。そのカラムの区画の各々に対して、二つの異なる種類のカラム内部装置、複数のトレーおよび充填、をシミュレートした。ヘビーエンドカラムの三つの区画の各々で用いられた複数のパラメータの詳細が表1に与えられている。
Figure 2017523154
ヘビーエンドカラムのシミュレートされた運転は、下の表2に規定されている一つの固定された供給物入口組成および一つの固定されたサイドドロー生成物出口組成を用いて実施された。
Figure 2017523154
ヘビーエンドカラムの全八つの可能な順列の運転が、156℃の一つの固定入口温度、6バールの一つの固定された入口圧力、0.565バールの一つの固定されたヘッド圧力、および凝集装置内の70℃の一つのサブクール温度設定点を用いてシミュレートされた。そのシミュレーションの結果が下の表3に与えられている。
Figure 2017523154
図1は、酢酸生成物のリボイラー熱負荷を1トン当たりのMW(メガワット)を単位として描いたものであり、およびシミュレートされたヘビーエンドカラムの全ての順列に対する供給圧力を描いたものである。 図2は、酢酸生成物のリボイラー熱負荷を1トン当たりのMW(メガワット)を単位として描いたものであり、およびシミュレートされたヘビーエンドカラムの全ての順列に対するカラムベース温度を描いたものである。
これらの結果から明確に理解できるように、ヘビーエンドカラムの中間区画が充填を含む場合に必要とされるリボイラー熱負荷は、ヘビーエンドカラムの中間区画が複数のトレーを含む場合に比べ、大幅に減少されている。供給圧力もまた、全ての順列に亘って見られるリボイラー熱負荷の一般的傾向に従っていた(すなわち、供給圧力が低下されると、リボイラー熱負荷も減少する)。
底部区画に充填が使用された場合、カラムベース温度の最大低下が観察されたのであるが、しかしながら、底部区画に充填を用いることは、リボイラー熱負荷を減少させるということに関して、中間区画に充填を含むヘビーエンドカラム内で生じるようなより低い供給圧力を用いる場合に比べ、極めて小さな顕著効果しか有しない。

Claims (15)

  1. 一つの酢酸生産ユニットにおける一つのヘビーエンドカラムを運転する方法であって、該生産ユニットは、少なくとも一つの反応区画、一つのライトエンド蒸留カラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここで、酢酸およびプロピオン酸を含む該ライトエンド回収区画から得られた一つのストリームが、該ヘビーエンドカラムの一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通して該ヘビーエンドカラムに供給され、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、該供給物入口の上方の一つのサイドドロー生成物出口を通して該ヘビーエンドカラムから引き出され、そしてプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームが、該供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通して該ヘビーエンドカラムから引き出され、ここで、該ヘビーエンドカラムは以下の運転条件、すなわち前記供給物入口の上方の該ヘビーエンドカラム内の圧力が、該ヘビーエンドカラムに供給される酢酸およびプロピオン酸を含むストリームに比べ低く、且つ、ここで、該ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が1.0バールより低く、前記供給物入口と前記サイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ該供給物入口と該サイドドロー生成物出口の間の前記ヘビーエンドカラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件で運転される方法。
  2. 前記供給物入口における前記ヘビーエンドカラム内の圧力が1.0バール未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヘビーエンドカラムは、前記供給物入口および前記サイドドロー生成物出口の間の前記ヘビーエンドカラムの部分内に充填を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ヘビーエンドカラムは、前記供給物入口の下方の前記ヘビーエンドカラムの部分内に複数のトレーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ヘビーエンドカラムは、前記サイドドロー生成物出口の上方の前記ヘビーエンドカラムの部分内に複数のトレーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が0.9バール未満、好適には0.8バール未満、より好適には0.7バール未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が0.3から0.9バールまでの範囲内、好適には0.4から0.8バールまでの範囲内、より好適には0.5から0.7バールまでの範囲内にある、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記供給物入口および前記サイドドロー生成物出口の間の前記ヘビーエンドカラムの部分における理論段の数が10から20までの範囲内、好適には12から16までの範囲内にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記供給物入口および前記サイドドロー生成物出口の間の前記ヘビーエンドカラムの部分における圧力降下が最大でも80ミリバール、好適には最大でも60ミリバールである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ヘビーエンドカラムは、前記供給物入口の下方の該ヘビーエンドカラムの部分に複数のトレーを含み、且つ該ヘビーエンドカラムの底部における圧力が大気圧より大きいような一つの圧力降下を有する請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記酢酸生産ユニットの前記ライトエンド回収区画は、一つのライトエンド蒸留カラムおよび一つの乾燥カラムを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記酢酸生産ユニットの前記ライトエンド回収区画は、一つの複合ライトエンド蒸留および乾燥カラムを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記酢酸生産ユニットは、前記反応区画および前記ライトエンド回収区画の間に一つのフラッシュゾーンを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 酢酸とプロピオン酸を含む一つのストリームから酢酸を分離するための一つのプロセスであって、ここで、該プロセスでは酢酸とプロピオン酸を含む該ストリームが、一つの蒸留カラムの一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通して該蒸留カラムに供給され、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームが、該供給物入口の上方に位置する一つのサイドドロー生成物出口を通して該蒸留カラムから引き出され、およびプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームが、該供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通して該蒸留カラムから引き出され、ここで、該蒸留カラムは以下の運転条件、すなわち前記供給物入口の上方の該蒸留カラム内の圧力が、該蒸留カラムに供給される酢酸およびプロピオン酸を含むストリームに比べ低く、且つ、ここで、該蒸留カラムは、そのヘッド圧力が1.0バールより低く、前記供給物入口と前記サイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ該供給物入口と該サイドドロー生成物出口の間の前記蒸留カラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件で運転される方法。
  15. 一つの酢酸生産ユニットにおいて酢酸を生産するための一つのプロセスであって、該ユニットは、一つの反応区画、一つのライトエンドカラムを含む一つのライトエンド回収区画、および一つのヘビーエンドカラムを含み、ここで、該プロセスは次の複数のステップ:
    (a) 前記反応区画において、メタノールおよび/またはその一つの反応性誘導体を、一酸化炭素を使って、一つのVIII族の金属カルボニル化触媒、一つのヨウ化メチル触媒、酢酸、水、酢酸メチル、プロピオン酸副生成物、および任意に一つの促進剤を含む一つの液体反応性組成物中でカルボニル化すること;
    (b) 該液体反応性組成物の少なくとも一部を前記反応区画から引き出し、そして引き出された該液体反応性組成物を一つのフラッシュゾーンに導入して、水、酢酸、酢酸メチル、ヨウ化メチル、およびプロピオン酸副生成物を含む一つの蒸気留分、並びに前記触媒を含む一つの液体留分を生成すること;
    (c) 前記フラッシュゾーンからの前記液体留分を前記反応区画へ向けて再利用すること;
    (d) 前記フラッシュゾーンから得られた前記液体留分を前記ライトエンド回収区画の前記ライトエンドカラムに供給すること;
    (e) 酢酸およびプロピオン酸を含む一つのストリームを前記ライトエンドカラムから取り除くこと;
    (f) 任意に、該ライトエンドカラムから取り除かれた酢酸とプロピオン酸を含む該ストリームを一つの別個の乾燥カラムにおいて乾燥させること;および
    (g) 酢酸とプロピオン酸を含む該ストリームを、前記ヘビーエンドカラム内の一つの中間点に配置された一つの供給物入口を通して該ヘビーエンドカラムに供給し、基本的に酢酸を含む一つの生成物ストリームを、該供給物入口の上方に位置する一つのサイドドロー生成物出口を通して引き出し、そしてプロピオン酸を含む一つの生成物ストリームを、該供給物入口の下方に配置された一つのヘビー生成物出口を通して引き出すこと、
    ここで、前記ヘビーエンドカラムが、以下の運転条件、すなわち前記供給物入口の上方の前記ヘビーエンドカラム内の圧力が、該ヘビーエンドカラムに供給される酢酸およびプロピオン酸を含む前記ストリームに比べ低く、且つ、ここで、該ヘビーエンドカラムのヘッド圧力が1.0バールより低く、前記供給物入口と前記サイドドロー生成物出口の間の理論分離段の数が少なくとも5、好適には少なくとも7、より好適には少なくとも10であり、且つ該供給物入口と該サイドドロー生成物出口の間の該ヘビーエンドカラムの部分における圧力降下が、理論分離段当たり最大でも10ミリバールであるような運転条件で運転される方法。
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