JP5428015B2 - 軽留塔の改良により生産性を向上させた酢酸製造装置および酢酸製造方法 - Google Patents

軽留塔の改良により生産性を向上させた酢酸製造装置および酢酸製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、概して、軽留塔(ライトエンド塔)の蒸留域の中間部の蒸気を付加的に凝縮することにより、生産性を向上させた酢酸の製造装置および製造方法に関するものである。
カルボニル化法が、当業者にはよく知られている。その中でも、メタノールをカルボニル化して酢酸を生成する方法、およびメチル酢酸をカルボニル化して無水酢酸を生成する方法が商業的に特に重要である。これらについては、Applied Homogeneous Catalyst With Organometallic Compounds, Cornils et al., Ed. (Bench Edition) (Wylie, Weinheim, Federal Republic of Germany 2000), Chapter 2, Parts 2.1.2 and following, pp. 104− 137を参照されたし。また、米国特許第6,642,413号(Thiebaut)、および米国特許第6,114,576号(Leet et al.)も参照されたし。
酢酸の製造方法としては、ロジウムを触媒として用い、均一反応媒質中でメタノールをカルボニル化する方法が選択肢の一つである。一般的に、反応媒質は、触媒、水、酢酸、溶解した一酸化炭素(CO)、メタノール、酢酸メチル(MeAc)、ヨウ化水素酸(HI)、ヨウ化メチル、および任意に一種類以上の反応促進剤および/または安定化剤を含む。メタノールおよび一酸化炭素は、原料として反応器に供給される。反応媒質の一部は、連続的に取り除かれ、気化器(フラッシャー)に供給される。ここで、生成物は気化し、(蒸気として)精製棟に送られる。精製棟は、“軽い”あるいは沸点の低い成分をオーバーヘッドとして取り除き、生成物ストリームをさらなる精製段へと供給する軽留塔を含む。特に好ましいカルボニル化方法は、米国特許第5,144,068号(Smith et al.)に教示されている。いわゆる“低水”法では、メタノールのようなアルコールを、ヨウ素塩(特にヨウ化メチルおよび酢酸メチルを特定の配合比率で伴ったヨウ化リチウム)で安定化されたロジウム触媒を含む液体反応媒質中で、一酸化炭素と反応させる。反応媒質中の水の濃度が限定される場合、例えば、生成物は、酸無水物ではなく、カルボン酸である。前出の米国特許第5,144,068号の反応系では、予期しえないほどの好ましい比率で、生成物である酸と、並外れた低濃度の水とが、生成される。加えてこの反応系では、予期しえないほど、触媒が高い安定性を示す。それは、触媒が反応媒質中で沈殿しにくいことである。
メタノールをカルボニル化する方法の別の選択肢は、反応器中で均一なイリジウム触媒を用いることである。この方法は、例えば米国特許第5,883,295号(Sunley et al.)に開示されている。この方法では、金属反応促進剤、および/またはイオン性ヨウ素共反応促進剤を実質的に含まず、カルボニル化用イリジウム触媒、ヨウ化メチル共触媒、水、酢酸、酢酸メチルと液体反応成分とを含むカルボニル化反応器中で、一酸化炭素、メタノール、および/または反応性誘導体を用いてカルボニル化反応を行い、酢酸を製造する。液体反応成分は、次の条件に維持される:(a)5重量%未満の濃度の水、(b)12重量%を超える濃度のヨウ化メチル、(c)カルボニル化反応器中の全圧50bar未満。また、米国特許第5,877,348号(Ditzel et al.)、および米国特許第5,887,347号(これもDitzel et al.)も参照されたし。
酢酸製造における精製区域でのよくある制約は、軽留塔である。メタノールカルボニル化処理による典型的な酢酸製造では、反応器からの高温高圧の液体は、バルブを通過して圧力が下がり、気化容器の低圧下で気化する。この工程で放出された蒸気は、軽留(LE)塔の底部付近に供給される。酢酸を多く含む凝縮した液体は、供給部上方にある側部取り出し口から取り除かれ、さらなる精製段へと供給される。一方、塔オーバーヘッドに存在する蒸気は、凝縮して、液−液デカンターに供給される。デカンターからの軽相は軽留塔に還流され、重相は反応器に供給され再利用される。つまり、軽留塔は、高温蒸気の生成物ストリームを気化器から受け取り、次段で生成物ストリームから水を除去する前に、生成物ストリームから殆どのメチル酢酸とヨウ化メチルを取り除くように稼動する。
米国特許第6,642,413号 米国特許第6,114,576号 米国特許第5,144,068号 米国特許第5,883,295号 米国特許第5,877,348号 米国特許第5,887,347号
Applied Homogeneous Catalyst With Organometallic Compounds, Cornils et al., Ed. (Bench Edition) (Wylie, Weinheim, Federal Republic of Germany 2000), Chapter 2, Parts 2.1.2 and following, pp. 104− 137
本発明によれば、軽留塔に蓄積される蒸気が部分的に凝縮されることによって、軽留塔の液圧量が低減される。典型的な実施形態では、軽留塔の側部液体取り出し口のすぐ上方から、蒸気の一部が熱交換器に供給され、例えば200°Fの温度に冷却される。凝縮した液体は、軽留塔の側部液体取り出し口の上方に再供給される、あるいは単純に側部液体取り出し口に合流する。これによって、軽留塔の側部液体取り出し口上方の液圧量が低減される。シミュレーションによれば、側部液体取り出し口から取り出される液体の組成を大きく変えずに、ボトルネックが最大15%軽減されることが示唆される。
以下、本発明を、下記の図面を参照しつつ、詳細に説明する。両図において同じ符号は、同様の部材を示す。
従来のメタノールカルボニル化ユニットの概要を表す図である。 本発明に則るように、図1に示すユニットの軽留塔に、側部凝縮器(サイドコンデンサー)を設けた概要を表す図である。
以下、本発明を各種の実施形態に基づいて詳細に説明するが、下記の実施形態は、本発明の例示の為にのみ用いられる。特許請求の範囲に規定される本発明の精神および視野の範囲内で、特定の実施形態の改変は、当業者にとって自明である。
以下、特に定義のない限り、本明細書の用語は通常の意味に解される。特に断り書きのない限り。%、ppbおよび類似の用語は、重量パーセント、10億分の1重量部、および同様の内容を意味する。
「凝縮器」は、液相に凝縮させる為に、蒸気から熱を除去するように構成された熱交換器を意味する。
第VIII類触媒としては、ロジウム触媒、および/またはイリジウム触媒が挙げられる。ロジウム金属触媒は、適切ないかような形態でも与えられる。例えば、ロジウム金属触媒は、既知のように、[Rh(CO)を含む平衡混合物とした触媒溶液としてもよい。反応に用いられる反応混合物中のヨウ素塩は、任意に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、またはホスホニウム塩として、可溶性塩の形態としてもよい。また、他の実施形態では、触媒の共促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、あるいはこれらの混合物としてもよい。共反応促進剤の塩は、ヨウ素塩を生じる非ヨウ素塩であってもよい。ヨウ素系触媒安定化剤を、反応系に直接加えてもよい。別法として、ヨウ素塩が、反応系の稼動条件下で自然に生成されてもよい。このような条件下では、多種の非ヨウ素塩前駆体がヨウ化メチルと反応して、ヨウ素塩の安定化剤や共反応促進剤を生成してもよい。ロジウム触媒作用およびヨウ素塩生成に関するさらなる詳細は、米国特許第5,001,259号(Smith et al.)、米国特許第5,026,908号(Smith et al.)、および米国特許第5,144,068号(Smith et al.)を参照されたし。これらの明細書の開示は、参照により本願明細書に引用したものとする。
同様に、カルボニル化液体反応組成物中のイリジウム触媒は、液体反応組成物に可溶なイリジウム含有化合物であってもよい。イリジウム触媒は、カルボニル化のための液体反応組成物に、可溶なあるいは可溶な形に変換可能な、適切ないかような形態で加えてもよい。液体反応組成物に加えられるイリジウム含有化合物の好適な例として、IrCl, IrI, IrBr, [Ir(CO)I], [Ir(CO)Cl], [Ir(CO)Br], [Ir(CO)Η, [Ir(CO)BrΗ, [Ir(CO)Η, [Ir(CH)I(CO)Η, Ir(CO)12, IrCl.3HO, IrBr.3HO, Ir(CO)12, イリジウム金属, Ir, Ir(acac)(CO), Ir(acac), 酢酸イリジウム, [IrO(OAc)(HO)][OAc], および塩化イリジウム酸 [HIrCl]が挙げられる。塩素を含まないイリジウム錯体、例えば、酢酸(配位子/塩)、シュウ酸(配位子/塩)、アセト酢酸(配位子/塩)が、通常出発物質として用いられる。液体反応組成物中のイリジウム触媒の濃度は、例えば、100〜6000ppmとすることができる。イリジウム触媒を利用したメタノールのカルボニル化は、一般的によく知られており、米国特許第5,942,460号、米国特許第5,932,764号、米国特許第5,883,295号、米国特許第5,877,348号、米国特許第5,877,347号、および米国特許第5,696,284号に述べられている。これら明細書の開示は全て、参照により本出願に引用したものとする。
ハロゲン化アルキル共触媒/反応促進剤が、一般的に、第VIII類金属触媒成分との組み合わせで用いられる。ヨウ化メチルが、ハロゲン化アルキル反応促進剤としては好ましい。液体反応組成物中のハロゲン化アルキルの濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましい。
ハロゲン化アルキル反応促進剤は、安定化剤/共反応促進剤化合物の塩と組み合わせてもよい。そのような塩としては、第IA類金属塩、第IIA類金属塩、4級アンモニウム塩、またはホスホニウム塩が挙げられる。ヨウ素塩または酢酸塩、例えばヨウ化リチウムまたは酢酸リチウムが特に好ましい。
他の反応促進剤および共反応促進剤も、本発明の触媒系の一部分として使用されうる。例えば、欧州公開公報EP0849248号を参照されたし。この明細書の開示は、本願明細書に取り込まれる。好適な反応促進剤は、ルテニウム、オスミウム、タングステン、レニウム、亜鉛、カドミウム、インジウム、ガリウム、水銀、ニッケル、白金、バナジウム、チタン、銅、アルミニウム、錫、アンチモンから選択され、その中でもルテニウムとオスミウムがより好ましい。特定の共反応促進剤は、米国特許第6,627,770号に述べられており、この開示は、参照により全て本願明細書に引用したものとする。
反応促進剤は、液体反応組成物中、および/または、酢酸回復段からカルボニル化反応器へとリサイクルされる液体処理ストリーム中に、可溶性の範囲内で有効量存在していればよい。使用されるときは、反応促進剤は、液体反応組成物中に、反応促進剤:金属触媒のモル比で[0.5〜15]:1の比率で存在することが好ましく、[2〜10]:1の比率で存在することがより好ましく、[2〜7.5]:1の比率で存在することがさらに好ましい。また、反応促進剤の濃度は、400〜5000ppmであることが好ましい。
本発明の対象となるカルボニル化のための設備または処理は、一般的に、少なくとも反応セクションと精製セクションとを有する。本発明は、例えば、均一な触媒反応系での一酸化炭素によるメタノールのカルボキシル化と関連しうる。かかる均一な触媒反応系は、例えば、反応溶媒(典型的には酢酸)、メタノールおよび/またはその反応誘導体、可溶性ロジウム触媒、少なくとも限定された濃度の水、および付加的にヨウ化物塩を含む。カルボニル化反応は、メタノールおよび一酸化炭素を反応器に連続的に供給するに従い、進行する。反応物である一酸化炭素は、実質的に純粋な一酸化炭素でもよく、不活性な不純物、例えば、二酸化炭素、メタン、窒素、希ガス、水、C〜Cのパラフィン族炭化水素を含んでいてもよい。水素化された生成物を生成しうるので、一酸化炭素中の水素ガスおよび水性ガスシフト反応により自然に生成される水素ガスの存在は、低く(例えば分圧として1bar未満)保たれることが好ましい。反応における一酸化炭素の分圧は、1〜70barの範囲内であることが好ましく、1〜35barの範囲内であることがより好ましく、1〜15barの範囲内であることがさらに好ましい。
カルボニル化反応の圧力は、10〜200barであることが好ましく、10〜100barであることがより好ましく、15〜50barであることがさらに好ましい。カルボニル化反応の温度は、100〜300℃であることが好ましく、150〜220℃であることがより好ましい。酢酸は、典型的に、温度約150〜200℃、全圧約20〜50barの条件下、液相反応で製造される。
酢酸は、典型的に、反応のための溶媒として反応混合物に含まれる。
好適なメタノールの反応性誘導体としては、酢酸メチル、ジメチルエーテル、ギ酸メチル、およびヨウ化メチルが挙げられる。本発明のプロセスに用いられる反応物として、メタノールと反応性誘導体の混合物を用いてもよい。メタノールおよび/または酢酸メチルが、反応物として好ましく用いられる。メタノールおよび/または反応性誘導体の少なくとも一部が、液体反応組成物中で、生成物または溶媒である酢酸と反応して、酢酸メチルに変換されるであろう。液体反応組成物中の酢酸メチルの濃度は、0.5〜70重量%であることが好ましく、0.5〜50重量%であることがより好ましく、1〜35重量%であることがさらに好ましく、1〜20重量%であることが最も好ましい。
水は、反応組成物中で、例えば、反応物であるメタノールと生成物である酢酸とのエステル化によって、自然に生じうる。また、水は、液体反応組成物中の他の成分と共にあるいは別個に、カルボニル化反応器に供給してもよい。さらには、水は、反応器から除去された反応組成物中から分離し、管理された量を再利用して、液体反応組成物中に必要な水の濃度を維持してもよい。液体反応組成物中に維持される水の濃度は、0.1〜16重量%であることが好ましく、1〜14重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。
典型的に、反応液は、反応器から抜き取られ、気化器に供給される。蒸気粗生成物ストリームは、気化器から、精製系に送られる。この精製系は、一般的に、少なくとも軽留塔と、脱水塔を有している。カルボニル化システムは、たった2つの精製塔のみを用いてもよい。さらには、カルボニル化システムは、より詳細に開示されている米国特許第6,657,078号(Scates et al. 表題“Low Energy Carbonylation Process”)に記載されているように、操業することが好ましい。この明細書の開示は、参照により、本願明細書に引用したものとする。
図1および図2には、本発明に用いられるカルボニル化ユニット10が、示されている。カルボニル化ユニット10は、反応器12、気化器14、軽留塔16、乾燥または脱水塔18、および重留塔(ヘビーエンド塔)20を有している。反応器12は、反応媒質を擁しており、メタノールと一酸化炭素が供給される。反応媒質の一部は、ライン22を通じて、連続的に気化器14に供給される。気化器14では、粗生成物が気化して、ライン24を通じて、高温蒸気フィードとして、軽留塔16に送られる。
メタンや二酸化炭素、水素等のガス性副産物が蓄積するのを防ぎ、反応器の全圧に占める一酸化炭素の分圧を所定の範囲内に維持すべく、ガス性浄化ストリームは、典型的に、反応器の上部から排出される。任意に、(中国特許第ZL92108244.4号に示されるように)いわゆる“変換”反応器が、用いられうる。これは、図1に示すように、反応器と気化器14、114との間に設置されうる。“変換器”は、ガス性成分を含む排気ストリームを生じうる。排気ストリームは、典型的に、回復する成分、例えばヨウ化メチルや酢酸メチルと互換性のある溶媒で、洗浄される。反応器および変換器からのガス性浄化ストリームは、組み合わされてあるいは別個に、典型的には、酢酸、メタノール、または酢酸およびメタノールの混合物で、洗浄される。これにより、製造プロセスからヨウ化メチル等の低沸点成分が失われるのが、防がれる。メタノールが排気洗浄溶媒として用いられた場合、洗浄系でエンリッチされたメタノールが、カルボニル化反応器に供給される新鮮なメタノールと共に、製造工程に戻される。なお、エンリッチされたメタノールは、再利用して反応器に戻されるどのストリーム、例えば気化器の残余ストリーム、軽留塔のオーバーヘッドストリーム、脱水塔のオーバーヘッドストリーム等、に戻すこともできる。酢酸が排気洗浄溶媒として用いられた場合、洗浄系のエンリッチされた酢酸から、典型的に、吸収された軽留成分が取り出され、結果生じたリーンな酢酸は、吸収ステップで再利用される。洗浄溶媒としてエンリッチされた酢酸から取り出された軽留成分は、反応器、気化器、精製塔等の各種部材を通して、製造工程に直接あるいは間接的に、返還される。付加的に、ロジウムの安定性を増大させるため、ガス性浄化ストリームは、気化器の底部の液体、または軽留塔の下部から排出されてもよい。また、ガス性浄化ストリームは、洗浄の前段階で、他のガス性処理ストリーム(例えば精製塔オーバーヘッドからの排気)と合流してもよい。このような改変は、特許請求の範囲や下記の記載に認められるように、十分に本発明の範囲内である。
軽留塔16では、生成物の軽い成分が精製される。この軽成分は、ライン26を通じて、塔から給出され、第一凝縮器28で凝縮され、そしてデカンター30に流入する。デカンター30からの軽相は、ライン32を通じて軽留塔16に還流される。一方、デカンター30からの重相は、ライン34および35を通じて、反応器に返却される。図示はしていないが、アブソーバーおよびストリッパーがカルボニル化ユニット10には設けられており、これらによって、系内の物質が再利用される。
精製された生成物ストリーム40は、サイドストリーム(好ましくは液体)として軽留塔16から給出され、乾燥塔18に供給される。ここで、部分的に精製された生成物から水が除去される。そして、乾燥された生成物は、ライン42を通して、重留塔20に供給される。一方、オーバーヘッドおよび生成物である酢酸の一部は、乾燥塔18に還流され、またライン35、44を通じて、反応器へ再循環される。生成物である酢酸は、ライン48を通じて、重留塔20のオーバーヘッドから取り出され、重い廃液は、ライン50を通じて取り除かれる。
軽留塔16は、残余液体ストリーム52を生成する。残余液体ストリーム52は、通常、残余物として、気化器から反応器へと再循環される。
図2でより具体的に参照されるように、軽留塔は、内部に蒸留域60を有している。かかる蒸留域60は、上部62、下部64、および中部66に分けられ、中部66には、生成物側部取り出し口68が設けられている。この側部取り出し口68から、精製された生成物ストリーム40が取り出される。軽留塔16は、第2コンデンサー70を有している。この第2コンデンサー70は、ライン72を介して、側部取り出し口68のすぐ上方から蒸気を取り出し、凝縮して、凝縮した蒸気を液体として、ライン74を介して軽留塔16の中部66に戻す。ライン74は、蒸気が取り出されたところよりも高いところに位置している。蒸留域の中部、上部、下部、および液体側部取り出し口の相対的な位置を、図2に示す。
図2に示す軽留塔16は、図1に示すように接続されている。すなわち、軽留塔16には、ライン24を通じて、気化器14から、高温の蒸気が下部64に供給される。そして、精製されたストリーム40は、水の除去とさらなる精製のため、乾燥塔18に給出される。ここで、本発明における改良部分は、概して、水の存在下でのメタノールまたはその反応性誘導体のカルボニル化、ロジウム触媒、イリジウム触媒およびこれらの混合触媒から選択される触媒、反応器12で酢酸反応混合物を生成するヨウ化メチル反応促進剤、および、反応器へ接続された気化器14へのストリームとしての酢酸反応混合物の供給などが含まれる。気化器14では、酢酸反応混合物のストリームは、液体再循環ストリームと、粗生成物ストリームとに分けられる。粗生成物ストリームは、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、および水を含み、軽留塔16に供給される。軽留塔16は、蒸留域60を有しており、蒸留域60は、上部62、下部64、および中部66とに分けられ、中部66には、生成物側部取り出し口68が設けられている。軽留塔16では、粗生成物ストリームは、蒸留域で精製され、ヨウ化メチルと酢酸メチルとが取り除かれる。これによって、精製された生成物ストリーム40が生成される。精製された生成物ストリームでは、粗生成物ストリームよりも、ヨウ化メチルおよび酢酸メチル濃度が低くなっている。軽留塔16での粗生成物ストリームの精製は、次のものを含む:(i)軽留塔の蒸留域上部からのオーバーヘッド蒸気を第一凝縮器28で凝縮、(ii)凝縮されたオーバーヘッド蒸気の少なくとも一部を、ライン32を介して軽留塔の蒸留域へ、液体還流物として返却、(iii)軽留塔の蒸留域中部からの蒸気を、第2凝縮器70で凝縮。精製された生成物ストリームは、軽留塔の側部取り出し口68から取り出され、水の除去を含むさらなる精製のため、脱水塔18へ給出される。
図1に示すシステムの作用を、経験に基づいたコンピューターモデルによって、シミュレートした。その結果、図2に示したような側部凝縮器の効果が示された。まず、第1の生成物レート(基本例)での施設の動作を、側部凝縮器なし(図1)でシミュレートした。次いで、同じ生成物レートで、側部凝縮器あり(図2)でシミュレートした。側部凝縮器付きで動作させると、軽留塔の蒸気量は、はるかに低い量となった。
蒸気量Qは、下記数1で定義される。
ここで、
= ステージへの、蒸気の体積フローレート
ρ = ステージからの、液体の質量密度
ρ = ステージへの、蒸気の質量密度
軽留塔の生成物サイドストリームの質量フローレート、および軽留塔の生成物サイドストリーム中の酢酸の質量フローレートの相対的な値(シミュレーションによって得られた値/実質的に同一装置、同一フィード、同一条件だが側部凝縮器なしのシミュレーションによって得られた値の比率)を、下記表1に示す。加えて、精製された生成物ストリームの内容物であるヨウ化メチルおよび酢酸メチルの計算値も示す。さらには、図2に示す装置の軽留塔側部凝縮器/生成物サイドストリーム中に凝縮される液体の質量フローレシオも示す。
表1に示されるように、所定の生成物レートでは、側部取り出し口上方の蒸気量Qは、顕著に減少した。よって、生成物の純度は実質的に同一でありながら、さらなる容量が得られる。
本発明の方法および装置は、操業条件下、幅広い範囲で実施できる。例えば、精製された生成物ストリームが軽留塔から質量フローレートRで取り除かれる場合、軽留塔中部の蒸気は、約0.05R〜0.5Rの割合で凝縮されてもよい。多くの場合、第2凝縮器での凝縮レートは、少なくとも、約0.1R、0.2R、または0.3R以上であることが好ましい。実質的に同一条件だが第2凝縮器がない場合に比べ、軽留塔の蒸気量Qは、通常、相対的に、約0.75倍〜0.95倍となる。同一の塔で同一条件下で操業された場合、第2凝縮器がある場合、軽留塔の蒸気量Qは、0.9倍以下となることが好ましい。第2凝縮器は、図2に示すように、軽留塔の外部に側部凝縮器として設けてもよく、また、軽留塔の内部に設けてもよい。好ましい実施形態では、第2凝縮器で凝縮される蒸気は、生成物側部取り出し口のすぐ上方の、軽留塔の蒸留域に由来することが好ましい。また、第2凝縮器で凝縮された蒸気は、軽留塔の蒸留域に、液体として返還されることが好ましい。別実施形態として、第2凝縮器で凝縮された蒸気は、精製された生成物ストリームと組み合わされ、さらなる精製のため、脱水塔18に給出されてもよい。
精製された生成物ストリーム中のヨウ化メチルおよび酢酸メチルの濃度は、実質的に同一の軽留塔で実質的に同一の条件で、第2凝縮器なしで精製した場合の生成物ストリーム中の濃度と、概して同じであり、生成物の質は、保持される。
以上、本発明を各種の実施形態に基づいて、詳細に説明した。本発明の精神および範囲内での各実施形態の改変は、当業者にとって明らかである。そのような改変は、特許請求の範囲に参照されるように、本発明の精神および範囲内である。

Claims (20)

  1. (a)水と、ロジウム触媒、イリジウム触媒およびこれらの混合物から選択される触媒と、ヨウ化メチルとの存在下、メタノールをカルボニル化して、反応器中で酢酸反応混合物を生成させる工程と、
    (b)前記酢酸反応混合物のストリームを、液体として再利用されるストリームと、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチルおよび水を含む粗生成物ストリームとに分ける工程と、
    (c)前記粗生成物ストリームを、上部と、下部と、生成物側部取り出し口が設けられた中部とを有する蒸留域を備えた軽留塔に供給する工程と、
    (d)前記軽留塔の前記蒸留域内の前記粗生成物ストリームから、ヨウ化メチルおよび酢酸メチルを除去して、前記粗生成物ストリームよりも低濃度のヨウ化メチルおよび酢酸メチルを含み、より精製された生成物ストリームを生成させる工程と、
    (e)前記軽留塔の前記側部取り出し口から、前記より精製された生成物ストリームを取り出す工程と、を有する酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法であって、
    前記より精製された生成物ストリームを生成させる工程では、
    (i)前記軽留塔の前記蒸留域の前記上部からのオーバーヘッドの蒸気を凝縮させる工程と、
    (ii)凝縮されたオーバーヘッドの蒸気の少なくとも一部を、液体として、前記軽留塔の前記蒸留域に還流する工程と、
    (iii)前記軽留塔の前記蒸留域の前記中部からの蒸気を凝縮させる工程と、を含むことを特徴とする酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  2. 前記より精製された生成物ストリームを、水の除去を含むさらなる精製へと給出する工程、をさらに含む請求項1に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  3. 前記より精製された生成物ストリームは、質量フローレートRで前記軽留塔から取り出され、前記軽留塔の前記中部からの蒸気は、0.05R〜0.5Rの比率で凝縮される、請求項1に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  4. 前記より精製された生成物ストリームは、質量フローレートRで前記軽留塔から取り出され、前記軽留塔の前記中部からの蒸気は、0.1R以上の比率で凝縮される、請求項1に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  5. 前記より精製された生成物ストリームは、質量フローレートRで前記軽留塔から取り出され、前記軽留塔の前記中部からの蒸気は、0.2R以上の比率で凝縮される、請求項1に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  6. 前記より精製された生成物ストリームは、質量フローレートRで前記軽留塔から取り出され、前記軽留塔の前記中部からの蒸気は、0.3R以上の比率で凝縮される、請求項1に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  7. 前記粗生成物ストリームは、高温の蒸気として、前記軽留塔の前記下部に供給される、請求項1に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  8. (a)水と、ロジウム触媒、イリジウム触媒およびこれらの混合物から選択される触媒と、ヨウ化メチルとの存在下、メタノールをカルボニル化して、反応器中で酢酸反応混合物を生成させる工程と、
    (b)前記酢酸反応混合物のストリームを、液体として再利用されるストリームと、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチルおよび水を含む粗生成物ストリームとに分ける工程と、
    (c)前記粗生成物ストリームを、上部と、下部と、生成物側部取り出し口が設けられた中部とを有する蒸留域を備えた軽留塔に供給する工程と、
    (d)前記軽留塔の前記蒸留域内の前記粗生成物ストリームから、ヨウ化メチルおよび酢酸メチルを除去して、前記粗生成物ストリームよりも低濃度のヨウ化メチルおよび酢酸メチルを含み、より精製された生成物ストリームを生成させる工程と、
    (e)前記軽留塔の前記側部取り出し口から、前記より精製された生成物ストリームを取り出す工程と、を有する酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法であって、
    前記より精製された生成物ストリームを生成させる工程では、
    (i)前記軽留塔の前記蒸留域の前記上部からのオーバーヘッドの蒸気を、第一凝縮器で凝縮させる工程と、
    (ii)凝縮されたオーバーヘッドの蒸気の少なくとも一部を、液体として、前記軽留塔の前記蒸留域に還流する工程と、
    (iii)前記軽留塔の前記蒸留域の前記中部からの蒸気を、第二凝縮器で凝縮させる工程と、を含むことを特徴とする酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  9. 前記軽留塔の相対的な蒸気量QRは、同一の軽留塔で同一の条件下で前記第凝縮器がない場合に比べて、0.75〜0.95倍である、請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  10. 前記軽留塔の相対的な蒸気量QRは、同一の軽留塔で同一の条件下で前記第凝縮器がない場合に比べて、0.9倍以下である、請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  11. 前記第凝縮器は、前記軽留塔の外部側方に設けられている、請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  12. 前記第凝縮器は、前記軽留塔の内部に設けられている、請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  13. 前記第凝縮器により凝縮される蒸気は、前記軽留塔の前記蒸留域の前記生成物側部取り出し口より高い位置に由来する、請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  14. 前記第凝縮器により凝縮された蒸気は、前記軽留塔の前記蒸留域に、液体として還流される、請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  15. 前記第凝縮器により凝縮された蒸気は、前記より精製された生成物ストリームと組み合わされ、さらなる精製へと給出される請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  16. 前記より精製された生成物ストリーム中のヨウ化メチルおよび酢酸メチルの濃度は、前記第凝縮器がない状態で同一の条件下で同一の軽留塔から取り出されたより精製された生成物ストリームのヨウ化メチルおよび酢酸メチルの濃度と、同じである請求項8に記載の酢酸を製造するためのカルボニル化処理方法
  17. (a)水と、ロジウム触媒、イリジウム触媒およびこれらの混合物から選択される触媒と、ヨウ化メチルとの存在下、メタノールをカルボニル化して、酢酸反応混合物を生成させるように構成された反応器と、
    (b)前記反応器に接続され、前記反応混合物のストリームを受け取るように構成され、かつ、前記反応混合物を、(i)液体として再利用されるストリームと、(ii)酢酸を含む粗生成物ストリームとに分けるように構成された気化器と、
    (c)前記気化器に接続され、前記粗生成物ストリームから低沸点成分を分離して、より精製された生成物ストリームを生成するように構成され、上部と、下部と、生成物側部取り出し口が設けられた中部とを有する蒸留域を備え、さらに底部に前記粗生成物ストリームの残余物を排出する排出口を備えた軽留塔と、
    (d)前記軽留塔の前記蒸留域の前記上部に接続され、該上部のオーバーヘッド蒸気を凝縮するように構成され、かつ、凝縮されたオーバーヘッド蒸気の少なくとも一部を、液体として前記軽留塔の前記蒸留域に還流するように構成された第一凝縮器と、
    (e)前記軽留塔の前記蒸留域の前記中部の前記生成物側部取り出し口よりも高い位置に接続され、該位置から給入した蒸気を凝縮するように構成され、かつ前記軽留塔の前記中部の前記蒸気を給入した位置よりも高い位置に前記凝縮した蒸気を液体として還流するように構成された第二凝縮器と、
    (f)前記軽留塔の前記生成物側部取り出し口に接続され、前記より精製された生成物ストリームを受け取り、水を含む該生成物ストリームをさらに精製するように構成された脱水塔と、を有することを特徴とする酢酸製造装置。
  18. 前記第凝縮器は、前記軽留塔の外部側方に設けられている、請求項17に記載の酢酸製造装置。
  19. 前記第凝縮器は、前記軽留塔の内部に設けられている、請求項17に記載の酢酸製造装置。
  20. 前記第凝縮器は、給入口を、前記生成物側部取り出し口より高い位置に有する、請求項18に記載の酢酸製造装置。
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