JP6047094B2 - 高転化率での酢酸の製造 - Google Patents

高転化率での酢酸の製造 Download PDF

Info

Publication number
JP6047094B2
JP6047094B2 JP2013531734A JP2013531734A JP6047094B2 JP 6047094 B2 JP6047094 B2 JP 6047094B2 JP 2013531734 A JP2013531734 A JP 2013531734A JP 2013531734 A JP2013531734 A JP 2013531734A JP 6047094 B2 JP6047094 B2 JP 6047094B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon monoxide
stream
mol
acetic acid
reactor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013531734A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013540763A (ja
Inventor
トーレンス,ジー・ポール
ホッカネン,ブライアン
ナット,マイケル・オー
パン,ティアンシュ
シェーヴァー,ロナルド・デーヴィッド
Original Assignee
セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US12/892,348 external-priority patent/US8394988B2/en
Application filed by セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション filed Critical セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
Publication of JP2013540763A publication Critical patent/JP2013540763A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6047094B2 publication Critical patent/JP6047094B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/10Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide
    • C07C51/12Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide on an oxygen-containing group in organic compounds, e.g. alcohols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/42Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C51/43Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation
    • C07C51/44Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives by change of the physical state, e.g. crystallisation by distillation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

[0001]本出願は、2010年9月28日出願の米国出願12/892,348の一部継続出願であり、これに対する優先権を主張する2011年9月13日出願の米国出願13/231,205(これらの開示事項を参照として本明細書中に包含する)に関連する。
[0002]本発明は、一酸化炭素から酢酸を製造する方法に関し、特に残留一酸化炭素を反応させて更なる酢酸を形成し、これにより全一酸化炭素効率を向上させる改良された方法に関する。
[0003]酢酸を合成するための広範囲に用いられて成功している商業的プロセスは、一酸化炭素によるメタノールの接触カルボニル化を含む。この反応において用いる触媒は、通常はロジウム及び/又はイリジウム、並びにハロゲン促進剤、例えばヨウ化メチルを含む。カルボニル化反応は、その中に触媒を溶解させた液体反応媒体を通して一酸化炭素を連続的にバブリングすることによって行うことができる。触媒に加えて、反応媒体には、酢酸メチル、水、ヨウ化メチル、及び触媒も含ませることができる。メタノールをカルボニル化するための従来の商業的プロセスとしては、米国特許3,769,329、5,001,259、5,026,908、及び5,144,068(これらの開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているものが挙げられる。また、米国特許6,617,471(この開示事項を参照として本明細書中に包含する)においては、低級アルキルアルコール、低級アルキルアルコール生成化合物、及びこれらの混合物を含む反応物質からエステル及びカルボン酸を製造するための蒸気相カルボニル化方法が開示されている。他の従来のメタノールカルボニル化プロセスとしては、Jones, J.H. (2002), "The CativaTM Process for the Manufacture of Acetic Acid", Platinum Metals Review, 44 (3): 94-105(この開示事項を参照として本明細書中に包含する)において議論されているCativa(商標)プロセスが挙げられる。
[0004]メタノールカルボニル化反応中においては、粗酢酸生成物が形成されるにつれて、一酸化炭素、副生成物ガス、並びに一酸化炭素供給流中に初めに存在している供給流不純物、例えば水素、窒素、アルゴン、メタン、及び二酸化炭素が反応器内に蓄積する可能性がある。全反応効率及び触媒効率を向上させ、これらの気体の蓄積を阻止するために、通常は、パージ流、例えばオフガス流を反応器から排気する。排気されるパージ流は、一酸化炭素、不活性物質、揮発性のハロゲン促進剤、酢酸、水、未反応のメタノール、酢酸メチル、及び/又は供給流不純物を含む可能性がある。通常は、パージ流は、全体として反応器から直接排出し、例えばパージ流の成分を個々には排出しない。パージ流中の一酸化炭素がプロセスから排気されるので、これは酢酸に転化されない。このように、一酸化炭素のこの損失は、システムの一酸化炭素効率の低下の一因となる。パージ流による一酸化炭素の損失に加えて、一次反応の後に粗酢酸生成物中に残留する残留一酸化炭素はしばしば分離してパージするが、これは更に一酸化炭素効率の低下の一因となる。したがって、全一酸化炭素効率を向上させるために、従来のメタノールカルボニル化システムにおいては、排気パージ流の寸法及びその中の一酸化炭素の量を減少させようと試みられている。
[0005]従来のパージ流の寸法はしばしば最小にされているが、パージ流は更に処理してその成分を回収及び/又は利用することができる。例えば、パージ流は、排出されたら処理して、揮発性ハロゲン促進剤、酢酸、水、未反応のメタノール、及び/又は酢酸メチルを回収することができ、これらは次に反応器に再循環することができる。他の例としては、排気流中の少量の一酸化炭素を用いて、システムのユニット内での触媒安定性を向上させる、例えば触媒の沈殿を減少させることができる。
[0006]他の例として、米国特許5,917,089においては、パージ流、例えば反応器からの「オフガス」を新しいメタノールと一緒に第2の反応器に直接供給して、更なるカルボニル化生成物、即ち酢酸を生成させることができることが開示されている。このオフガスは、当該技術において公知なように誘導流ではない。パージ流中の一酸化炭素を転化させることができ、この場合には効率を僅かに向上させることができるが、触媒安定化のために利用できる一酸化炭素の量が減少する。
[0007]また、上記したように、従来の一酸化炭素供給流不純物はまた、オフガスを通しても排気される。オフガス流は反応器から全体として排気されるので、従来のプロセスにおいては、例えばパージされる不要な不純物に同伴する一酸化炭素の損失を最小にするために、一酸化炭素供給流中の不純物の量を可能な限り低く維持している。したがって、従来のカルボニル化プロセスにおいては、非常に少量の不純物を含む高純度の一酸化炭素供給流をしばしば用いている。非常に少量の不純物の結果として、より少量のオフガスしか反応器から排気する必要がない。
[0008]一般的に言えば、反応器からの粗酢酸生成物は、次に精製系列を通して処理して不純物を除去し、高品質の酢酸生成物を与える。精製系列は、非凝縮性のガスをパージする幾つかの排気を含む可能性がある。精製系列の排気を通してパージされる気体は、米国公開2008/0293966(その全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、回収ユニット内で処理して、ハロゲン促進剤のような低沸点の成分を回収することができる。殆どの場合において、非凝縮性のガス、例えば一酸化炭素の少なくとも一部は、それらを回収ユニットに通すかどうかにかかわらず、通常はパージ又は燃焼させる。上記したように、この残留一酸化炭素の損失は、一酸化炭素効率の更なる減少の一因となる。
米国特許3,769,329 米国特許5,001,259 米国特許5,026,908 米国特許5,144,068 米国特許6,617,471 米国特許5,917,089 米国公開2008/0293966
Jones, J.H. (2002), "The Cativa Process for the Manufacture of Acetic Acid", Platinum Metals Review, 44 (3): 94-105
[0009]したがって、これらの参照文献を考慮すると、(1)触媒安定剤として供することができる増加した量の一酸化炭素;及び(2)高い全一酸化炭素効率を維持しながらより低い純度の一酸化炭素供給流を使用する能力;を与えるメタノールカルボニル化プロセスに対する必要性が存在する。
[0010]本発明は酢酸の製造方法に関する。第1の態様においては、本方法は、反応器内において、粗酢酸生成物を生成させるのに有効な条件下で、(i)一酸化炭素供給流;並びに(ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ;を反応させる工程を含む。好ましい態様においては、一酸化炭素供給流は、より低い純度の一酸化炭素供給流、例えば99.5モル%未満の一酸化炭素を含む一酸化炭素供給流である。例えば、一酸化炭素供給流は20モル%〜99.5モル%の一酸化炭素を含んでいてよい。本方法は、幾つかの態様においては、第1の量の残留一酸化炭素及び1種類以上の不純物を含む一酸化炭素パージ流を第1の反応器からパージする工程を更に含む。好ましくは、第1の量は、パージ流の全モル数を基準として20モル%より多い。本方法は、粗酢酸生成物を少なくとも1つの誘導流に分離する工程を更に含む。1つ又は複数の誘導流の少なくとも1つは、残留一酸化炭素、例えば第2の量の残留一酸化炭素を含む。本方法は、第2の反応器内において、(i)第2の量の残留一酸化炭素の少なくとも一部;並びに(ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つを、更なる酢酸を生成させるのに有効な条件下で反応させる工程を更に含む。これらの工程の結果として、本発明は、一酸化炭素供給流中の一酸化炭素の全量を基準として少なくとも95%の全一酸化炭素転化率を達成する。
[0011]他の態様においては、本方法は、第2の反応器内において、(i)第1及び第2の量の残留一酸化炭素;並びに(ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ;を、更なる酢酸を生成させるのに有効な条件下で反応させる工程を含む。その結果、幾つかの態様においては、合計で第1及び第2の残留一酸化炭素の10モル%未満がプロセスから排気される。
[0012]下記において添付の図面を参照して本発明を詳細に記載する。図面において同様の番号は同様の構成要素を表す。
[0013]図1は、本発明の一態様にしたがって酢酸精製セクションからのパージ誘導流を処理するための、代表的な高圧液相カルボニル化二次反応器の概要図である。 [0014]図2は、本発明の一態様にしたがって酢酸精製セクションからのパージ誘導流を処理するための、代表的な低圧気相カルボニル化二次反応器の概要図である。 [0015]図3は、本発明の一態様にしたがって酢酸精製セクションからのパージ誘導流を処理するための、代表的な高圧液相カルボニル化二次反応器の詳細な概要図である。 [0016]図4は、本発明の一態様にしたがって酢酸精製セクションからのパージ誘導流を処理するための、代表的な低圧気相カルボニル化二次反応器の詳細な概要図である。 [0017]図5は、本発明の一態様による、反応及び分離を含む代表的な酢酸反応プロセスの概要図である。
序論:
[0018]本発明は、概して、粗酢酸生成物の誘導流、或いは一次反応器からパージされるパージ流、例えばオフガス流のいずれかの中に存在する残留又は未反応の一酸化炭素から酢酸を製造することに関する。1つ又は複数の誘導流は、粗酢酸生成物の精製中に得ることができる。従来は、1つ又は複数の誘導流中の残留一酸化炭素は、排気、パージ、及び/又は使用しないままである。残留一酸化炭素を更なる酢酸に転化させる本発明の能力の結果として、より高い全一酸化炭素効率を得ることができる。幾つかの態様においては、残留一酸化炭素を転化させて廃棄しないので、第1の反応器、例えば一次反応器から、より多い一酸化炭素を含む1つ又は複数のパージ流をパージすることができる。好ましくは、これらのパージ流は、より高い体積%の一酸化炭素を含む。1つ又は複数のより多いパージ流を単独か或いは1つ又は複数の誘導流と組み合わせる結果として、本発明方法は、カルボニル化プロセス全体にわたって用いるため、例えば触媒安定化のためのより多い量の一酸化炭素の利用可能性を与える。これらのより多い量の一酸化炭素は、システムに更なる一酸化炭素を供給することなく、且つ従来のカルボニル化システムのものと同等か又はこれよりも大きい全一酸化炭素効率をなお達成しながら達成される。更に、残留一酸化炭素の少なくとも一部を転化するので、本発明方法は、従来の供給流よりも多い不純物を含む一酸化炭素供給流を使用することが可能である。これらの場合においても、全一酸化炭素効率は従来のカルボニル化システムのものと同等か又はこれよりも大きく保持される。例えば、本発明の一酸化炭素供給流は、99.5モル%未満、例えば95モル%未満、又は90モル%未満の一酸化炭素を含んでいてよい。これらのより純度の低い供給流によって、原材料の入手における大きな柔軟性を可能にすることができる。
[0019]本発明の目的のためには、分離区域とは、粗酢酸生成物を精製し、及び/又は粗酢酸生成物から不純物を分離するプロセスの部分を指す。好ましい態様においては、誘導流は分離区域の排気流である。誘導流は、反応器から排気される従来の「オフガス」流は排除される。一態様においては、本発明は、誘導流中の残留一酸化炭素を利用して更なる酢酸を形成することによって、全一酸化炭素効率を有利に増加させる。本発明の他の態様は、例えば精製及び分離セクションからパージ又は燃焼される一酸化炭素の量を有利に減少させる。
[0020]本発明は酢酸の製造方法に関する。一態様においては、本方法は、反応器内において、粗酢酸生成物を生成させるのに有効な条件下で、(i)一酸化炭素供給流;並びに(ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ;を反応させる工程を含む。一態様においては、反応器は第1の反応器、例えば一次反応器である。本発明のシステムには、1つ又は複数の更なる反応器、例えば1つ又は複数の二次反応器を更に含ませることができる。好ましい態様においては、一酸化炭素供給流は、(従来の一酸化炭素供給流と比べて)低い純度の一酸化炭素供給流、例えば、99.5モル%未満、例えば95モル%未満、90モル%未満、又は60モル%未満の一酸化炭素を含む一酸化炭素供給流である。下限にしては、一酸化炭素供給流は、10モルより多く、例えば20モルより多く、50モルより多く、又は75モル%より多い一酸化炭素を含んでいてよい。範囲に関しては、一酸化炭素供給流は、10モル%〜99.5モル%、例えば50モル%〜95モル%、75モル%〜90モル%、又は60モル%〜70モル%の一酸化炭素を含んでいてよい。本発明のより低い純度の一酸化炭素供給流は、従来の一酸化炭素供給流よりも少ない量の一酸化炭素及び/又は多い量の不純物を含む。このように、本発明のより低い純度の一酸化炭素供給流は、従来は利用できなかった多様な入手の選択肢、例えばより低い価格及び増加した入可能性を有利に示すことができる。例えば、本発明の一酸化炭素供給流は、例えばアルケンからアルデヒドを形成するためのヒドロホルミル化の廃棄排気流;例えばより高級なアルコールを形成するためのホモロゲーション;例えば液体炭化水素プロセスを形成するためのフィシャー・トロプシュ;製鋼プロセスからの廃棄流;ガス化バイオマス;及び/又は他の廃棄流、例えば低イオウ含量の廃棄流;から得られるものであってよい。本発明は、かかるより低い純度の供給流を用いて、なお許容できる一酸化炭素効率を達成することができる。
[0021]一酸化炭素に加えて、本発明の一酸化炭素供給流は、幾つかの態様においては不純物を更に含む。代表的な供給流不純物としては、水素、窒素、アルゴン、メタン、及び二酸化炭素が挙げられる。このリストは排他的ではなく、他の不純物が存在する可能性がある。一態様においては、一酸化炭素供給流は、少量、例えば1モル%未満、0.1モル%未満、又は0.01モル%未満のイオウを含む。一態様においては、一酸化炭素供給流はイオウを含まない。好ましくは、一酸化炭素供給流は、少なくとも0.5モル%、例えば少なくとも5モル%、又は少なくとも10モル%の不純物を含む。上限としては、一酸化炭素供給流は、80モル%未満、例えば70モル%未満、又は50モル%未満の不純物を含んでいてよい。範囲に関しては、一酸化炭素供給流は、0.5モル%〜80モル%、例えば5モル%〜70モル%、又は10モル%〜50モル%の不純物を含んでいてよい。一態様においては、一酸化炭素供給流は、30モル%〜50モル%の不純物、及び50モル%〜70モル%の一酸化炭素を含む。かかる流れの1つの例は、製鋼プロセスからの廃棄流である。
[0022]本方法は、幾つかの態様においては、(i)第1の量の残留一酸化炭素、及び(ii)1種類以上の不純物を含む一酸化炭素パージ流を第1の反応器からパージする工程を更に含む。好ましくは、残留一酸化炭素の第1の量は、少なくとも20モル%、例えば少なくとも30モル%、又は少なくとも70モル%の残留一酸化炭素である。上限としては、残留一酸化炭素の第1の量は、95モル%未満、例えば50モル%未満、又は20モル%未満の一酸化炭素である。範囲に関しては、残留一酸化炭素の第1の量は、20モル%〜95モル%、例えば30モル%〜50モル%の一酸化炭素の範囲であってよい。パージ流中には不純物も存在する。一態様においては、パージ流は、0.5モル%〜80モル%、例えば5モル%〜70モル%、又は10モル%〜50モル%の不純物を含む。一態様においては、パージ流は、0.5モル%〜50モル%、例えば1モル%〜30モル%、又は1モル%〜10モル%の水素を含む。一態様においては、パージ流は、0.5モル%〜20モル%、例えば1モル%〜10モル%の窒素を含む。一態様においては、パージ流は、0.5モル%〜20モル%、例えば1モル%〜10モル%のアルゴンを含む。一態様においては、パージ流は、0.5モル%〜20モル%、例えば1モル%〜10モル%のメタンを含む。一態様においては、パージ流は、0.5モル%〜30モル%、例えば5モル%〜25モル%の二酸化炭素を含む。一態様においては、パージ流は、少量、例えば1モル%未満、0.1モル%未満、又は0.01モル%未満のイオウを含む。一態様においては、パージ流はイオウを含まない。パージ流は、一酸化炭素供給流のものと同等の濃度の不純物を含んでいてよい。
[0023]好ましい態様においては、パージによって、反応器内の一酸化炭素分圧を、0.13MPa〜1.1MPa、例えば0.45MPa〜0.85MPa、又は0.65MPa〜0.80MPaの範囲の所定のレベルに維持する。下限に関しては、パージによって、反応器内の一酸化炭素分圧を、0.0.13MPaより高く、例えば0.45MPaより高く、又は0.65MPaより高く維持することができる。上限に関しては、パージによって、反応器内の一酸化炭素分圧を、1.1MPaより低く、例えば0.85MPaより低く、又は0.80MPaより低く維持することができる。
[0024]粗酢酸生成物は、酢酸及び残留一酸化炭素を含む。残留一酸化炭素は、粗酢酸生成物中に溶解及び/又は同伴している可能性がある。一態様においては、粗酢酸生成物は、20モル%未満、例えば10モル%未満、5モル%未満、又は3モル%未満の量の残留一酸化炭素を含む。他の態様においては、フラッシングした蒸気相粗酢酸生成物は、フラッシングした粗酢酸生成物の全圧の20%未満、例えば10%未満、5%未満、又は3%未満の一酸化炭素分圧を有する。他の態様においては、フラッシングした粗酢酸生成物は、0.3MPaの全圧において、0.06MPa未満、例えば0.03MPa未満、0.015MPa未満、又は0.009MPa未満の一酸化炭素分圧を有する。勿論、一酸化炭素をメタノール及び/又はメタノール誘導体と反応させて更なる酢酸を形成するためには、多少の量の一酸化炭素が存在していなければならない。例えば、粗酢酸生成物は、0.1モル%より多く、0.5モル%より多く、又は1モル%より多い量の残留一酸化炭素を含んでいてよい。分圧に関しては、フラッシングした粗酢酸生成物は、フラッシングした粗酢酸生成物の全圧の少なくとも0.1%、例えば少なくとも0.5%、又は少なくとも1%の(残留)一酸化炭素分圧を有していてよい。例えば、フラッシングした粗酢酸生成物が0.3MPaの全圧である場合には、一酸化炭素分圧は、少なくとも0.0003MPa、例えば少なくとも0.0015MPa、又は少なくとも0.003MPaであってよい。更に、粗酢酸生成物は、少なくとも50モル%、例えば少なくとも75モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%の酢酸を含んでいてよい。他の態様においては、粗酢酸生成物は、粗酢酸生成物の全圧の少なくとも50%、例えば少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の酢酸分圧を有していてよい。範囲に関しては、粗酢酸生成物は、場合によっては、0.1モル%〜20モル%、例えば0.5モル%〜10モル%、又は1モル%〜5モル%の残留一酸化炭素;或いは50モル%〜99.9モル%、例えば60モル%〜99モル%、又は75モル%〜95モル%の酢酸を含む。分圧に関しては、粗酢酸生成物は、場合によっては、粗酢酸生成物の全圧の0.1%〜20%、例えば0.5%〜10%、又は1%〜5%の一酸化炭素分圧;並びに、粗酢酸生成物の全圧の50%〜99.9%、例えば60%〜99%、又は75%〜95%の酢酸分圧;を有する。場合によっては、粗酢酸生成物は、ヨウ化メチル(液体及び/又は蒸気)、酢酸メチル、プロピオン酸、水、残留触媒、及びアセトアルデヒドを更に含む。一態様においては、粗酢酸生成物は、酢酸、残留触媒、溶解及び/又は同伴一酸化炭素、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)、及び/又は二酸化炭素、水素、及びメタンのような他の溶解ガスを含んでいてよい。
[0025]一態様においては、本方法は、粗酢酸生成物を少なくとも1つの誘導流、例えば複数の誘導流に分離する工程を更に含む。誘導流の少なくとも1つ、例えば誘導流の少なくとも2つ又は少なくとも3つは、第2の量の残留一酸化炭素を含む。第2の量の一酸化炭素は、オフガス流である第1の量の残留一酸化炭素とは別であり、異なる。好ましくは、誘導流の少なくとも1つは蒸気である。残留一酸化炭素は、カルボニル化反応において反応しなかった一酸化炭素を含み、それ自体は粗酢酸生成物中及び/又はオフガス中に残留する。一態様においては、1つ又は複数の誘導流中の残留一酸化炭素は、それぞれの流れの中に同伴される。理論には縛られないが、一酸化炭素の同伴は、一酸化炭素が液体反応混合物によって運ばれることに起因すると考えられる。対照的に、通常のオフガス流は、反応器内に蓄積される蒸気から取り出される流れである。而して、従来のオフガス流中の一酸化炭素は、通常はこの流れの中に同伴されない。一態様においては、1つ又は複数の誘導流は、一次反応器に供給される一酸化炭素よりも少ない一酸化炭素を含む。一態様においては、1つ又は複数の誘導流は、95モル%未満、例えば80モル%未満、75モル%未満、60モル%未満、50モル%未満、又は40モル%未満の一酸化炭素を含む。他の態様においては、1つ又は複数の蒸気相誘導流は、1つ又は複数の蒸気相誘導流の全圧の95%未満、例えば75%未満、60%未満、50%未満、又は40%未満の一酸化炭素分圧を有する。範囲に関しては、1つ又は複数の誘導流は、場合によっては10モル%〜95モル%、例えば25モル%〜75モル%、又は40モル%〜60モル%の残留一酸化炭素を含む。好ましくは、1つ又は複数の誘導流は60モル%〜70モル%の一酸化炭素を含む。分圧に関しては、1つ又は複数の誘導流は、場合によっては、1つ又は複数の誘導流の全圧の10%〜95%、例えば25%〜75%、又は40%〜60%の一酸化炭素分圧を有する。一態様においては、誘導流は、メタノール及び/又は1種類又は複数のメタノール誘導体を更に含む。例えば、1つ又は複数の誘導流は、50モル%未満、例えば40モル%未満、25モル%未満、又は15モル%未満の量のメタノール及び/又はメタノール誘導体を更に含んでいてよい。範囲に関しては、1つ又は複数の誘導流は、5モル%〜90モル%、例えば10モル%〜60モル%、又は15モル%〜30モル%のメタノール及び/又はメタノール誘導体を含んでいてよい。
[0026]更に、本方法は、第2の反応器内において、(i)第2の量の残留一酸化炭素の少なくとも一部;並びに(ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ、例えば酢酸メチル又はジメチルエーテル;を反応させて更なる酢酸を生成させる工程を含む。第2の反応器における反応は、好ましくは固定床反応器又はトリクルベッド反応器内で行う。これらの反応器は好ましくは、触媒、例えば固相金属触媒を含む。第2の反応器は残留一酸化炭素の反応を提供し、これによって全プロセス効率が向上する。本発明の複数の工程の組み合わせの結果として、本発明方法は、一酸化炭素供給流中の一酸化炭素の全量を基準として少なくとも95%、例えば少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の全一酸化炭素転化率を達成する。好ましい態様においては、本発明の二次反応器を用いると、本発明方法によって(低純度の一酸化炭素供給流を用いて)達成される全一酸化炭素転化率は、少なくとも、高純度の一酸化炭素供給流を用いるが、二次反応を利用しない従来のプロセスにおいて達成される全一酸化炭素転化率と同等である。好ましい態様においては、本発明方法によって(低純度の一酸化炭素供給流を用いて)達成される全一酸化炭素転化率は、少なくとも、高純度の一酸化炭素供給流を用いる従来のプロセスにおいて達成される全一酸化炭素転化率よりも少なくとも1%高く、例えば少なくとも5%高く、少なくとも10%高く、又は少なくとも25%高い。
[0027]一態様においては、第2の反応器内において、パージ流中の一酸化炭素の少なくとも一部を、メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つと、更なる酢酸を生成させるのに有効な条件下で反応させる。好ましくは、パージ流中の一酸化炭素の少なくとも一部、及び誘導流中の一酸化炭素の少なくとも一部を第2の反応器に送り、場合によっては混合した後に送って、メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ、例えば酢酸メチル又はジメチルエーテルと反応させて更なる酢酸を生成させる。かかる態様においては、更なる酢酸に転化する全残留一酸化炭素の量は、パージ流及び1つ又は複数の誘導流の両方の中の残留一酸化炭素を転化させない従来のプロセスにおいて転化させることができる全残留一酸化炭素の量よりも多く、例えば少なくとも1%多く、少なくとも5%、少なくとも10%多く、又は少なくとも25%多い。したがって、幾つかの態様においては、合計で第1及び第2の量の残留一酸化炭素の10モル%未満、例えば5モル%未満、又は1モル%未満がプロセスから排気される。
[0028]他の態様においては、本発明は、二次一酸化炭素供給流、例えば、(従来の一酸化炭素供給流と比べて)低い濃度の一酸化炭素、例えば10モル%〜95モル%、25モル%〜75モル%、又は40モル%〜60モル%の一酸化炭素を含む二次低一酸化炭素含量の供給流を、メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つと接触させる工程を含む酢酸の製造方法に関する。一態様においては、二次一酸化炭素供給流は、分離して例えば凝縮性の液体を除去していてもよい先のカルボニル化反応の反応生成物、又はかかる反応生成物の誘導体である。好ましくは、低一酸化炭素含量の供給流は、60モル%〜約70モル%の一酸化炭素を含む。分圧に関しては、低一酸化炭素含量の供給流は、場合によっては、1つ又は複数の誘導流の全圧の10%〜95%、例えば25%〜75%、又は40%〜60%の一酸化炭素分圧を有する。限界値に関しては、低一酸化炭素供給流は、好ましくは、95モル%未満、例えば80モル%未満、70モル%未満、50モル%未満、又は40モル%未満の一酸化炭素を含む。他の態様においては、低一酸化炭素供給流は、低一酸化炭素供給流の全圧の95%未満、例えば80%未満、70%未満、50%未満、又は40%未満の一酸化炭素分圧を有する。ここでも、一酸化炭素をメタノールと反応させて酢酸を形成するためには、多少の量の一酸化炭素が一酸化炭素供給流中に存在していなければならない。例えば、一酸化炭素供給流は、0.1モル%より多く、0.5モル%より多く、又は1モル%より多い量の残留一酸化炭素を含んでいてよく;或いは、一酸化炭素供給流は、低一酸化炭素供給流の全圧の0.1%より大きく、例えば0.5%より大きく、又は1%より大きい一酸化炭素分圧を有していてよい。一酸化炭素供給流は、例えばメタノール及び/又はメタノール誘導体、例えば酢酸メチル又はジメチルエーテルを更に含んでいてよく、これは酢酸組成物を生成させるために用いられる。本発明方法は、場合によって排出ガスから得られる低一酸化炭素供給流を反応させ、これによりその廃棄を回避する。好ましくは、接触工程は、固定床反応器又はトリクルベッド反応器内において、触媒、例えば固相金属触媒(これらは触媒床内に固定することができる)の上で行う。触媒は、具体的には低濃度一酸化炭素供給流と共に用いるように選択することができる。
[0029]他の態様においては、本発明は、一酸化炭素供給流の全圧の95%未満、例えば90%未満、80%未満、70%未満、50%未満、又は40%未満の一酸化炭素分圧を有する二次一酸化炭素供給流を、メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つと接触させて酢酸組成物を生成させる工程を含む酢酸の製造方法に関する。而して、本発明のこの態様は、従来のプロセスよりも低く、例えば少なくとも5%低く、少なくとも10%低く、少なくとも20%低く、又は少なくとも50%低い一酸化炭素の分圧を有する二次供給流を用いる。一態様においては、二次一酸化炭素供給流は、先のカルボニル化反応の反応生成物又はかかる反応生成物の誘導体(これは分離して例えば凝縮性の液体を除去していてもよい)である。好ましくは、接触は固相金属触媒上で行う。上述したように、一酸化炭素をメタノールと反応させて酢酸を形成するためには、多少の量の一酸化炭素が一酸化炭素供給流中に存在していなければならない。有利には、このプロセスは、従来の一酸化炭素供給流よりも純度の低い一酸化炭素流を使用することができる。
[0030]また、更なる態様は、一酸化炭素供給流、並びにメタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つを、粗酢酸生成物を含む反応生成物及び分離排気流を生成させるのに有効な条件下で接触させる工程を含む酢酸の製造方法に関する。分離排気流は、一態様においては、粗酢酸生成物の分離から得られる。分離排気流は、少量、例えば60モル%未満、例えば50モル%未満、25モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、又は1モル%未満の一酸化炭素を含む。範囲に関しては、分離排気流は、0.1モル%〜60モル%、例えば1モル%〜50モル%、又は5モル%〜25モル%の一酸化炭素を含んでいてよい。他の態様においては、分離排気流は、排気流の全圧の60%未満、例えば50%未満、25%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満の一酸化炭素分圧を有する。このように、より少ない一酸化炭素が精製系列内の排気を通して廃棄され、全一酸化炭素転化率を有利に向上させることができる。一態様においては、全一酸化炭素転化率とは、第1の反応における初めの一酸化炭素供給流の転化率、及び第2の反応における残留一酸化炭素の転化率に関する。全一酸化炭素転化率は、好ましくは90%より大きく、例えば95%より大きく、99%より大きく、又は99.5%より大きい。
カルボニル化:
[0031]本発明の特徴は、任意の好適なメタノールカルボニル化プロセスに適用することができる。一酸化炭素/メタノールカルボニル化反応による酢酸の形成は、メタノール及び/又はメタノール誘導体を一酸化炭素と反応させることによって行うことができる。代表的なカルボニル化システム100を図1〜5に示す。カルボニル化システム100は、カルボニル化反応区域101、分離区域102、及び二次反応区域103を含む。本発明の幾つかの態様にしたがって用いることができる反応区域及び分離区域を含む他の代表的なカルボニル化システムとしては、米国特許7,223,886、7,005,541、6,6657,078、6,339,171、5,731,252、5,144,068、5,026,908、5,001,259、4,994,608、及び米国公開2008/0287706、2008/0293966、2009/0107833、2009/0270651(これらの全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているものが挙げられる。代表的な反応区域101及び分離区域102を、図3〜5に関して下記に議論する詳細な概要図において示す。
[0032]図1〜5に示すように、メタノール供給流104及び一酸化炭素供給流105を、反応区域101に供給、好ましくは連続的に供給して、粗酢酸生成物106を生成させる。粗酢酸生成物106は分離区域102に供給することができ、ここで精製酢酸生成物107、並びに誘導流108及び109、並びに随意的な誘導流110を生成させる。誘導流108は、二次反応区域103に供給することができる。再循環された化合物を含んでいてよい誘導流109は、反応区域101に供給することができる。随意的な態様においては、随意的な誘導流110も二次反応区域103に供給することができる。一態様においては、1つ又は複数の誘導流は、粗酢酸生成物から誘導される流れである。例えば、1つ又は複数の誘導流は、粗酢酸生成物の分離から得られる流れであってよい。他の例としては、誘導流はフラッシャー131によって生成される1つ又は複数の流れであってよい。一態様においては、1つ又は複数の誘導流は従来のオフガス流を含まない。上記したように、従来のオフガス流は、粗酢酸生成物を排出する、例えばフラッシャー中に排出するにつれて反応器内に蓄積される副生成物ガスの流れである。これらのオフガス流は、実質的に反応副生成物及び一酸化炭素を含み、粗酢酸生成物の分離からは得られない。而して、従来のオフガス流は誘導流とはみなされない。
[0033]本発明は、残留一酸化炭素、例えば1つ又は複数の誘導流中の残留一酸化炭素の効率的な利用を与えるので、本発明方法及びシステムによって、より多量のオフガスを反応器及び/又はフラッシャーから排出することが可能になる。これらのより多い量のオフガスは、例えば触媒安定化のため、再循環流のため、又はポンプアラウンド流のためのカルボニル化/分離プロセス全体の他の流れを補給するために有益に使用することができる。従来のシステムにおいては、1つ又は複数の誘導流中の残留一酸化炭素の二次転化を行わないので、パージされるより多い量のオフガスは単に一酸化炭素の増加した廃棄をもたらし、これにより全一酸化炭素効率が低下するであろう。1つ又は複数の誘導流中の残留一酸化炭素を利用することによって、許容できる全一酸化炭素効率を未だ維持しながら、例えば全一酸化炭素効率を低下させることなく、より大きいオフガスパージが可能になる。
[0034]誘導流108は、液相又は蒸気相であってよく、好ましくは、溶解及び/又は同伴されている一酸化炭素、並びに場合によってはメタノール及び/又はその反応性誘導体、好ましくは酢酸メチルを含む。好ましい態様においては、誘導流108は蒸気相である。図1においては、誘導流108は、好ましくは高圧液相カルボニル化二次反応器である二次反応器111に供給する。図2においては、誘導流108は、好ましくは低圧気相カルボニル化二次反応器である二次反応器112に供給する。
[0035]二次反応器111、112内での追加のカルボニル化反応に関するプロセス条件は、広く変化させることができる。反応は、均一又は不均一触媒、例えば固相金属触媒上で行うことができる。二次カルボニル化反応は、均一反応又は不均一反応であってよい。一態様においては、触媒は、下記において更に議論する反応区域101内でのカルボニル化反応のために用いる触媒と同様であってよい。他の態様においては、触媒は液相触媒であってよい。また、第2の反応器内の反応は(及び場合によっては第1の反応器内の反応も)、対向流又は並流法で行うことができ、蒸気相並流反応が好ましい。二次反応器111、112内での反応のための触媒は反応区域101内における触媒と同じであってよいが、二次反応器111、112内における触媒は反応区域101内における触媒と異なることが好ましい。好ましくは、二次反応器111、112内における触媒は、より少量の一酸化炭素を含む一酸化炭素流を処理するように調整する。好ましくは、第2の反応器内の触媒は、好適な樹脂、例えばポリビニルピリジン又は炭素にイオン結合している二ヨウ化ロジウムジカルボニルアニオンである。
[0036]二次反応器111、112は、一般に、比較的低一酸化炭素の供給流を用いるメタノールのカルボニル化のために好適な任意の反応器であってよい。好ましい態様においては、二次反応器111、112は、それぞれ独立して、トリクルベッド反応器及び/又は固定床反応器である。トリクルベッド反応器及び固定床反応器は、好ましくは、触媒床内に固定又は充填されている固相金属触媒を含む。一態様においては、二次反応器111、112のそれぞれに、触媒セクション113及びヘッドスペース114を含ませることができる。
[0037]二次反応区域103に供給される誘導流108は、好ましくは、カルボニル化反応区域101に供給されるものよりも相対的に低い濃度の一酸化炭素を含む。一態様においては、誘導流108中の一酸化炭素の濃度は、反応区域101に供給される一酸化炭素の濃度よりも少なくとも5%低く、例えば少なくとも10%低く、少なくとも25%低く、又は少なくとも50%低くてよい。他の態様においては、誘導流108の一酸化炭素濃度は(モル%か又は一酸化炭素分圧で)、従来のオフガス流中の濃度よりも少なくとも5%低く、例えば少なくとも10%低く、少なくとも25%低く、又は少なくとも50%低くてよい。一態様においては、供給流中の一酸化炭素の比較的低い量のために、第2の反応器内における他の反応物質、例えばメタノール及び/又はメタノール誘導体と一酸化炭素とのモル比は、0.02:1より大きく、例えば0.1:1より大きく、0.25:1より大きく、又は0.5:1より大きい。
[0038]好ましい態様においては、二次反応器111、112内で反応させる反応物質、例えばメタノール及び/又はメタノール誘導体は、誘導流108中に存在していてよい。一態様においては、誘導流108は、5モル%〜90モル%、例えば25モル%〜75モル%、又は40モル%〜60モル%の範囲の量のメタノール及び/又はメタノール誘導体を含む。他の態様においては、誘導流108は蒸気相であり、誘導流108の全圧の10%〜90%、例えば25%〜75%、又は40%〜60%のメタノール及び/又はメタノール誘導体の分圧を有する。好ましい態様においては、二次反応器111、112内のメタノール及び/又はメタノール誘導体反応物質は、酢酸メチルである。随意的な態様においては、新しいメタノール及び/又はメタノール誘導体を、ライン115を通して二次反応器111、112に供給することができる。他の随意的な態様においては、それぞれ図1及び2に示すように、分離区域102からの随意的な誘導流110中に含まれるメタノール及び/又はメタノール誘導体を二次反応器111、112に供給することができる。他の態様においては、誘導流108はアセトアルデヒドを含む。これらの態様においては、二次反応器111は、誘導流108中のアセトアルデヒドを反応させて他の物質を形成することができる。例えば、アセトアルデヒドを反応させてエタノールを形成することができ、これを次にプロピオン酸に転化させることができ、これは生成物流から容易に取り出される。誘導流108中のアセトアルデヒドを転化させることによって、誘導流108からアセトアルデヒドが有利に取り出される。このアセトアルデヒドの反応によって、生成物流中のアセトアルデヒドの量が低下し、その後のアセトアルデヒド除去ユニット、例えばPRSユニットに関する必要性が減少する。
[0039]図1において、二次反応器111は、好ましくは高圧液相カルボニル化二次反応器である。二次反応器111内での追加のカルボニル化反応は、液相均一触媒又は固体不均一触媒上で行うことができる。一態様においては、液相均一触媒は、溶液中に溶解している金属、例えば酢酸中に溶解しているロジウム及び/又はイリジウムを含む。一態様においては、二次反応器111内での反応は、0.1MPa〜10MPa、例えば1MPa〜5MPa、又は2MPa〜3MPaの圧力、及び100℃〜350℃、例えば150℃〜300℃、又は175℃〜250℃の温度において行う。二次反応器111は、好ましくは一次反応器のものよりも低い圧力で運転する。一態様においては、二次反応器111は一次反応器のものと同等の温度で運転する。他の態様においては、二次反応器11は、一次反応器の温度よりも高く、例えば少なくとも5%高く、又は少なくとも10%高い温度で運転する。
[0040]誘導流108は、好ましくは、液体又は凝縮蒸気流として、場合によっては新しい反応物質115と共に二次反応器111に供給して、酢酸を含む二次粗生成物流116、及び塔頂流117を生成させる。塔頂流117は、ヨウ化メチル、残留一酸化炭素、気化メタノール、気化酢酸メチル、及びメタンのような他の非凝縮性の気体を含む。塔頂流117は、凝縮し、ノックアウトポット118に供給して液体流119及び蒸気流120を取り出す。液体流119は、随意的な誘導流110と一緒に、二次反応器111内の触媒セクション114上に噴霧する。
[0041]二次粗生成物流116は、更に処理して分離区域102に供給することができ、或いは精製酢酸生成物107と混合することができる。幾つかの態様においては、二次粗生成物流116は、精製酢酸生成物107とは独立して回収することができる。好ましくは、二次粗生成物流116は、誘導流108と比べて酢酸に富む。一態様においては、二次粗生成物流116は、30モル%〜95モル%、例えば50モル%〜75モル%、又は45モル%〜70モル%の酢酸を含む。限界値に関しては、二次粗生成物流116は、少なくとも25モル%、例えば少なくとも50モル%、少なくとも40モル%、又は少なくとも60モル%の酢酸を含む。分圧に関しては、二次粗生成物流116は、(蒸気相の場合には)二次粗生成物流116の全圧の30%〜95%、例えば50%〜75%、又は45%〜70%の酢酸分圧を有していてよい。一態様においては、二次粗生成物流116は、少量の一酸化炭素、例えば40モル%未満、例えば25モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、又は3モル%未満の一酸化炭素を更に含んでいてよい。他の態様においては、二次粗生成物流116は、50モル%未満、例えば40モル%未満、25モル%未満、又は15モル%未満の量のメタノール及び/又はメタノール誘導体を更に含んでいてよい。範囲に関しては、二次粗生成物流116は、10モル%〜50モル%、例えば10モル%〜40モル%、又は15モル%〜30モル%のメタノール及び/又はメタノール誘導体を含んでいてよい。
[0042]蒸気流120は、示されているようにパージ又は燃焼させることができる。好ましい態様においては、蒸気流120は、誘導流108よりも実質的により少ない一酸化炭素を含み、より好ましくは一酸化炭素を実質的に含まない。更に、蒸気流120の一部を1以上の回収ユニット121に供給することができる。図1に示すように、1つの回収ユニット121が与えられている。好ましくは25℃未満に冷却されているスクラビング溶媒122を回収ユニット121に供給して、蒸気流120をスクラビングしてヨウ化メチルのような低沸点成分をライン123を通して除去し、好ましくは反応区域101に戻す。代表的なスクラビング溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、酢酸、及びこれらの混合物が挙げられる。回収ユニット121の塔頂流は、パージガス124として排出することができる。
[0043]図2においては、二次反応器112は、好ましくは低圧気相カルボニル化二次反応器である。二次反応器112内での追加のカルボニル化反応は、不均一触媒を用いて反応させることができる。一態様においては、二次反応器内での反応は、0.01MPa〜10MPa、例えば0.05MPa〜5MPa、又は0.05MPa〜1MPaの圧力、及び150℃〜350℃、例えば150℃〜300℃、又は175℃〜250℃の温度で行う。二次反応器内での反応をより低い圧力で行うことによって、システム構成要素、例えばポンプ及び圧縮機に対する負荷を減少させることができる。また、より低い温度及び/又はより低い圧力での運転は腐食性がより低いので、高価な耐腐食性の金属で容器を形成する必要がなく、より安価な金属、例えば標準的なステンレススチールを用いることができる。
[0044]誘導流108は、好ましくは、蒸気として、場合によっては誘導流110と共に二次反応器112に供給して二次粗生成物流125を生成させる。随意的な態様においては、新しい反応物質を二次反応器112のヘッドスペース114に加えることができる。二次粗生成物流125は、凝縮してノックアウトポット126に供給して、酢酸を含む液体流127及び蒸気流128を取り出す。液体流127は、更に処理して分離区域102に供給することができ、或いは精製酢酸生成物107と混合することができる。幾つかの態様においては、二次粗生成物流125は、精製酢酸生成物107とは独立して回収することができる。好ましくは、液体流127は、誘導流108と比べて酢酸に富む。一態様においては、液体流127は、30モル%〜95モル%、例えば50モル%〜75モル%、又は45モル%〜70モル%の酢酸を含む。限界値に関しては、流れ127は、少なくとも25モル%、例えば少なくとも50モル%、少なくとも40モル%、又は少なくとも60モル%の酢酸を含む。一態様においては、流れ127は、少量の一酸化炭素、例えば40モル%未満、25モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、又は3モル%未満の一酸化炭素を更に含んでいてよい。他の態様においては、流れ127は、50モル%未満、例えば40モル%未満、25モル%未満、又は15モル%未満の量のメタノール及び/又はメタノール誘導体を更に含んでいてよい。範囲に関しては、流れ127は、10モル%〜50モル%、例えば10モル%〜40モル%、又は15モル%〜30モル%のメタノール及び/又はメタノール誘導体を含んでいてよい。
[0045]幾つかの態様においては、二次反応を蒸気相中で行う場合には、反応温度は酢酸の露点より低い温度に維持することができる。かかる場合においては、得られる酢酸生成物は一定量のロジウムを含む。このロジウムの量は、本発明の方法及び/又はシステムを用いない従来の酢酸生成物中に存在する場合のロジウムの量よりも大きい可能性がある。
[0046]図2中の蒸気流128は、示されているようにパージ又は燃焼させることができる。好ましい態様においては、蒸気流128は、誘導流108よりも実質的に少ない一酸化炭素を含み、より好ましくは一酸化炭素を実質的に含まない。更に、図1を参照して上記で議論したように、蒸気流128の一部を1以上の回収ユニット121に供給することができる。
[0047]反応区域に戻り、代表的な反応区域101を図3〜5に示す。反応区域101は、第1の反応器130、フラッシャー131、及び反応器回収ユニット132を含む。本発明の幾つかの態様においては、一次カルボニル化反応は第1の反応器130内で行う。低純度の一酸化炭素供給流105は上記で議論した特徴を有する。一態様においては、カルボニル化は、第1の反応器130、例えば連続撹拌タンク反応器(CSTR)内において、一酸化炭素をメタノールと反応させることによって行う。CSTRを用いる場合には、反応溶媒中に触媒を溶解し、液体メタノール及び一酸化炭素ガスを反応原材料として底部から注入して互いに反応させる。CSTRを用いる場合には、CSTRは、インペラーのような撹拌装置によって反応溶液を撹拌するように適合させることができる。或いは、カルボニル化を行う第1の反応器として、バブルカラム反応器を用いることができる。バブルカラム反応器を用いる場合には、円筒形の反応器に反応溶媒及び固体触媒を充填する。液体メタノールを反応原材料として底部から供給し、一方で、一酸化炭素ガスをジェット流として底部から上向きに注入する。注入された一酸化炭素ガスは円筒形の反応器内に含まれる液体中を上昇するにつれてバブルを形成し、触媒の粒子もガスリフト効果によって円筒形の反応器内を上向きに移動して液体中に分散される。一例として、特開平6−340242(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)に開示されているように、反応器内において固体触媒の粒子を移動させる目的で、円筒形の反応器の底部に配置されているノズルを用いて、一酸化炭素を円筒形の反応器内に含まれる液体中にジェット流として注入することができる。他の態様においては、複数の一次反応器を用いることができ、一次反応器の種々の構成が本発明の範囲内であると考えられる。好ましくは、カルボニル化プロセスは、米国特許5,001,259(その全部を参照として本明細書中に包含する)において例示されているようなメタノールの酢酸への低水分接触、例えばロジウム接触カルボニル化である。
[0048]本発明は、例えば、反応溶媒、メタノール及び/又はその反応性誘導体、第VIII族触媒、少なくとも限定濃度の水、及び場合によってはヨウ化物塩を含む均一接触反応系中における一酸化炭素によるメタノールのカルボニル化に関連して評価することができる。
[0049]好適な第VIII族触媒としてはロジウム及び/又はイリジウム触媒が挙げられる。ロジウム触媒を用いる場合には、ロジウム触媒は、活性ロジウム触媒がヨウ化カルボニルコンプレックスであるような任意の好適な形態で加えることができる。代表的なロジウム触媒は、Michael Gaussら, Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds: A Comprehensive Handbook in Two Volume, 2.1章, p.27-200(1版, 1996)に記載されている。本明細書に記載のプロセスの反応混合物中に場合によって保持されるヨウ化物塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、或いは第4級アンモニウム又はホスホニウム塩の形態であってよい。幾つかの態様においては、触媒共促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物である。塩共促進剤は、ヨウ化物塩を生成する非ヨウ化物塩として加えることができる。ヨウ化物触媒安定剤は、反応システム中に直接導入することができる。或いは、反応システムの運転条件下においては、広範囲の非ヨウ化物塩前駆体が、反応媒体中のヨウ化メチル又はヨウ化水素酸と反応して対応する共促進剤のヨウ化物塩安定剤を生成するので、ヨウ化物塩をその場で生成させることができる。ロジウム触媒反応及びヨウ化物塩の生成に関する更なる詳細については、米国特許5,001,259、5,026,908、及び5,144,068(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)を参照。
[0050]イリジウム触媒を用いる場合には、イリジウム触媒に、液体反応組成物中に可溶の任意のイリジウム含有化合物を含ませることができる。イリジウム触媒は、液体反応組成物中に溶解するか、或いは可溶性の形態に転化させることができる任意の好適な形態で、カルボニル化反応のための液体反応組成物に加えることができる。液体反応組成物に加えることができる好適なイリジウム含有化合物の例としては、IrCl、IrI、IrBr、[Ir(CO)I]、[Ir(CO)Cl]、[Ir(CO)Br]、[Ir(CO)、[Ir(CO)Br、[Ir(CO)、[Ir(CH)I(CO)、Ir(CO)12、IrCl・3HO、IrBr・3HO、Ir(CO)12、イリジウム金属、Ir、Ir(acac)(CO)、Ir(acac)、酢酸イリジウム、[IrO(OAc)(HO)][OAc]、及びヘキサクロロイリジウム酸[HIrCl]が挙げられる。酢酸塩、シュウ酸塩、及びアセト酢酸塩のようなイリジウムの塩素を含まないコンプレックスが、出発材料として通常用いられる。液体反応組成物中のイリジウム触媒の濃度は、100〜6000ppmの範囲であってよい。イリジウム触媒を用いるメタノールのカルボニル化は周知であり、米国特許5,942,460;5,932,764;5,883,295;5,877,348;5,877,347;及び5,696,284(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)に概して記載されている。
[0051]第VIII族金属触媒成分と組み合わせて、アルキルハロゲン化物共触媒/促進剤が一般的に用いられる。アルキルハロゲン化物促進剤としてはヨウ化メチルが好ましい。好ましくは、液体反応組成物中のアルキルハロゲン化物の濃度は、1〜50重量%、好ましくは15〜25重量%の範囲である。
[0052]ハロゲン促進剤は、塩安定剤/共促進剤化合物(第IA又は第IIA族の金属の塩、第4級アンモニウム、ホスホニウム塩、或いはこれらの混合物を挙げることができる)と組み合わせることができる。ヨウ化物又は酢酸塩、例えばヨウ化リチウム又は酢酸リチウムが特に好ましい。
[0053]米国特許5,877,348(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような他の促進剤及び共促進剤を、本発明の触媒系の一部として用いることができる。好適な促進剤は、ルテニウム、オスミウム、タングステン、レニウム、亜鉛、カドミウム、インジウム、ガリウム、水銀、ニッケル、白金、バナジウム、チタン、銅、アルミニウム、スズ、アンチモンから選択され、より好ましくはルテニウム及びオスミウムから選択される。具体的な共促進剤は、米国特許6,627,770(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
[0054]促進剤は、液体反応組成物、及び/又は酢酸回収段階からカルボニル化反応器に再循環される任意の液体プロセス流中におけるその溶解度限界以下の有効な量で存在させることができる。用いる場合には、促進剤は、好適には、0.5:1〜15:1、好ましくは2:1〜10:1、より好ましくは2:1〜7.5:1の促進剤と金属触媒とのモル比で液体反応組成物中に存在させる。好適な促進剤濃度は400〜5000ppmである。
[0055]一態様においては、第1の反応器内におけるカルボニル化反応の温度は、好ましくは150℃〜250℃、例えば150℃〜225℃、又は150℃〜200℃である。カルボニル化反応の圧力は、好ましくは、1〜20MPa、好ましくは1〜10MPa、最も好ましくは1.5〜5MPaである。酢酸は、通常は、約150〜200℃の温度及び約2〜約5MPaの全圧において液相反応で製造される。
[0056]一態様においては、反応混合物は反応溶媒又は複数の溶媒の混合物を含む。溶媒は、好ましくは触媒系と相溶性であり、純粋なアルコール、アルコール供給材料の混合物、及び/又は所望のカルボン酸及び/又はこれらの2種類の化合物のエステルを挙げることができる。一態様においては、(低水分)カルボニル化プロセスのための溶媒及び液体反応媒体は、好ましくは酢酸である。
[0057]メタノール供給流104は、好ましくはメタノール及び/又はその反応性誘導体を含む。メタノールの好適な反応性誘導体としては、酢酸メチル、ジメチルエーテル、及びギ酸メチルが挙げられる。一態様においては、メタノール及びその反応性誘導体の混合物を、本発明方法における反応物質として用いることができる。好ましくは、メタノール及び/又は酢酸メチルを反応物質として用いる。メタノール及び/又はその反応性誘導体の少なくとも一部が、酢酸生成物又は溶媒との反応によって酢酸メチルに転化し、それによって液体反応組成物中に酢酸メチルとして存在する。液体反応組成物中の酢酸メチルの濃度は、好適には0.5重量%〜70重量%、例えば0.5重量%〜50重量%、1重量%〜35重量%、又は1重量%〜20重量%の範囲である。
[0058]一酸化炭素供給流105は、上記に記載したようにより低い純度の一酸化炭素供給流である。水ガスシフト反応によって、一酸化炭素供給流中に水素が生成する可能性がある。好ましくは、水素の存在は種々の水素化生成物の形成をもたらす可能性があるので、水素の分圧は低いレベル、例えば0.1MPa未満、又は0.05MPa未満に維持する。一態様においては、反応中の一酸化炭素の分圧は、0.1MPa〜7MPa、例えば0.1MPa〜3.5MPa、又は0.1MPa〜1.5MPaの範囲である。
[0059]例えばメタノール反応物質と酢酸生成物との間のエステル化反応によって、水が液体反応組成物中においてその場で形成される可能性がある。水は、液体反応組成物の他の成分と一緒か又はこれらとは別々にカルボニル化反応器に導入することができる。水は、反応器から排出される反応組成物の他の成分から分離することができ、制御された量で再循環して液体反応組成物中の水の必要濃度を維持することができる。好ましくは、液体反応組成物中において維持される水の濃度は、0.1重量%〜16重量%、例えば1重量%〜14重量%、又は1重量%〜10重量%の範囲である。
[0060]本発明による好ましいカルボニル化プロセスによれば、反応媒体中に、所望のカルボン酸とアルコール、望ましくはカルボニル化において用いるアルコールとのエステル、並びにヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に更なるヨウ化物イオンを保持することによって、低い水濃度においても所望の反応速度が得られる。好ましいエステルの例は酢酸メチルである。更なるヨウ化物イオンは望ましくはヨウ化物塩であり、ヨウ化リチウム(LiI)が好ましい。米国特許5,001,259に記載されているように、低い水濃度下においては、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、比較的高い濃度のこれらの成分のそれぞれが存在している場合にのみ速度促進剤として機能し、これらの成分の両方が同時に存在している場合に促進がより高いことが分かっている。好ましいカルボニル化反応システムの反応媒体中において維持されるヨウ化物イオンの濃度は、この種の反応システムにおいてハロゲン化物塩を用いることに取り組んでいる僅かな従来技術のものと比べて非常に高いと考えられる。ヨウ化物イオン内容物の絶対濃度は、本発明の有用性に対して限定を与えるものではない。
[0061]メタノールの酢酸生成物へのカルボニル化反応は、メタノール供給流を、カルボニル化生成物を形成するのに好適な温度及び圧力の条件において、触媒、例えばロジウム又はイリジウム、ヨウ化メチル促進剤、酢酸メチル、及び/又は更なる可溶性ヨウ化物塩を含む酢酸溶媒反応媒体を通してバブリングさせている気体状一酸化炭素と接触させることによって行うことができる。一般に、重要なのはヨウ化物と会合するカチオンではなく、触媒系中のヨウ化物イオンの濃度であり、ヨウ化物の与えられたモル濃度においては、カチオンの性質はヨウ化物濃度の効果ほどは重要ではないと認識されるであろう。塩がヨウ化物の所望のレベルを与えるのに十分に反応媒体中に可溶であるならば、任意の金属ヨウ化物塩、或いは任意の有機カチオンの任意のヨウ化物塩、或いはアミン又はホスフィン化合物をベースとするもののような他のカチオン(場合によっては3級又は4級カチオン)を反応媒体中に保持することができる。ヨウ化物が金属塩である場合には、好ましくはこれは、"Handbook of Chemistry and Physics", CRC Press刊, Cleveland, Ohio, 2002-03(83版)に示されているような周期律表第IA及び第IIA族の金属からなる群の元素のヨウ化物塩である。特に、アルカリ金属ヨウ化物が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。
[0062]低水分カルボニル化においては、有機ヨウ化物促進剤に加えて、2重量%〜20重量%、例えば2重量%〜15重量%、又は3重量%〜10重量%の範囲の量の更なるヨウ化物を触媒溶液中に存在させることができ;酢酸メチルは、0.5重量%〜30重量%、例えば1重量%〜25重量%、又は2重量%〜20重量%の範囲の量で存在させることができ;ヨウ化リチウムは、5重量%〜20重量%、例えば5重量%〜15重量%、又は5重量%〜10重量%の範囲の量で存在させることができる。触媒は、200wppm〜2000wppm、例えば200wppm〜1500wppm、又は500wppm〜1500wppmの範囲の量で触媒溶液中に存在させることができる。
[0063]第1の反応器130は、好ましくは、撹拌容器、例えばCSTR、或いは攪拌機を有するか又は有しないバブルカラムタイプの容器のいずれかであり、その内部において反応媒体を好ましくは自動的に所定のレベルに維持する。この所定のレベルは、通常運転中は実質的に一定に維持することができる。必要に応じて、メタノール、一酸化炭素、及び、反応媒体中における水の少なくとも限定濃度を維持するのに十分な水を、第1の反応容器130中に連続的に導入することができる。
[0064]一態様においては、例えば気体状態の一酸化炭素を、望ましくは内容物を撹拌するのに用いる攪拌機の下方で第1の反応器130中に連続的に導入する。第1の反応器130の温度は、上記に示すように制御することができる。一酸化炭素供給流105は、所望の全反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入する。
[0065]気体供給流は、好ましくは撹拌手段によって反応媒体中に十分に分散させる。一酸化炭素パージ流、例えばオフガス132を、第1の反応器130からパージする。パージ流132は、一酸化炭素供給流から残留する不純物、例えば不活性物質、及び気体状副生成物、例えばメタン、二酸化炭素、及び水素の蓄積を阻止し、且つ与えられた全反応器圧力において設定一酸化炭素分圧を維持する。パージ流132は、上記で議論したように誘導流ではない。パージ流132は、有利には従来のパージ流、例えばオフガス流よりも大きい。一態様においては、パージ流132は従来のパージ流と比べて高い体積%の一酸化炭素を含むが、他の態様においては、パージ流132中の一酸化炭素の体積%は従来のパージ流のものと同等である。より大きいパージ流の結果として、本発明方法は、カルボニル化プロセス全体で用いるため、例えば触媒の安定化のためのより多量の一酸化炭素を与えることができる。これらのより多量の一酸化炭素は、更なる一酸化炭素をシステムに供給することなく、且つ従来のカルボニル化システムのものと同等か又はこれよりも大きい全一酸化炭素効率をなお達成しながら達成される。
[0066]図3〜5に示すように、反応器回収ユニット133を用いて、ライン132内のパージ流から不純物を分離して、不純物流(図示せず)及び精製オフガス(図示せず)を形成することができる。一態様においては、反応器回収ユニットは、パージ流132から低沸点の成分を取り出す。勿論、他の分離法を用いてパージ流132を分離及び/又は精製することができる。第1の反応器130からの1つ又は複数のパージ流は混合するか又は別々にスクラビングすることができ、通常は酢酸、メタノール、又は酢酸とメタノールとの混合物のいずれかでスクラビングして、ヨウ化メチルのような低沸点成分がプロセスから失われることを阻止する。パージ流スクラビング液体溶媒としてメタノールを用いる場合には、反応器回収ユニット133からの富化メタノール(ヨウ化メチルを含む)は、通常は例えばライン134を通してプロセスに戻すが、フラッシャー残渣又は軽質留分若しくは脱水カラム塔頂流のような反応器へ再循環して戻される任意の流れの中に戻すこともできる。パージ流スクラビング液体溶媒として酢酸を用いる場合には、スクラバーからの富化酢酸(ヨウ化メチルを含む)は、通常は吸収された軽質留分をストリッピングして、得られる貧化酢酸をスクラバー(図示せず)に再循環して戻す。富化酢酸スクラビング溶媒からストリッピングされる軽質留分成分は、例えばライン134を通して主プロセスに直接、或いは第1の反応器130、例えばライン135を通してフラッシャー131、又は分離区域102内の好適な領域などの幾つかの異なる位置に間接的に戻すことができる。一態様においては、反応器回収ユニット133の頂部から排出される流れは、ライン139を通して例えば更なる分離又はスクラビングを伴っていてよい更なる処理に排出する。好ましくは、とりわけ(残留)一酸化炭素及びメタノールを含む可能性があるライン136の内容物は、好ましくは二次反応区域103内において更に反応させて更なる酢酸を生成させることができる。場合によっては、気体パージ流は、フラッシャーのベース液又は軽質留分カラムの下部部分を通して排気してロジウムの安定性を向上させることができ、及び/又はスクラビングの前に他の気体プロセス排気(例えば精製カラム塔頂流受容器排気)と混合することができる。
[0067]パージ流132は、一定量の残留一酸化炭素、例えば第1の量の残留一酸化炭素を含む。一態様においては、パージ流132の少なくとも一部、例えばアリコート部分を反応器、例えば一次反応器130に送り、ここで残留一酸化炭素を酢酸に転化させることができる。他の態様においては、パージ流132を二次反応器113に送り、ここで残留一酸化炭素を酢酸に転化させることができる。他の態様においては、パージ流132は、一次反応器130又は二次反応器113以外の反応器に送る。他の態様においては、パージ流132は、残留一酸化炭素を含む1以上の誘導流と混合して、その後に一次反応器130、二次反応器113、及び/又は他の反応器に送ることができる。他の態様においては、パージ流132の少なくとも一部、例えばアリコート部分を、第1の反応器130の下流に形成されている分離区域102、例えば分離区域102の1以上の構成要素に送ることができる。これらの場合においては、一例として、パージ流132中の一酸化炭素を用いて、分離区域102のプロセス流中に存在する可能性がある触媒を安定化することができる。例えば、パージ流132の少なくとも一部を軽質留分カラム140に送ることができる。他の態様においては、パージ流132の少なくとも一部をフラッシャー131に送ることができる。これらの場合においては、パージ流132の少なくとも一部は、少なくとも20モル%、例えば少なくとも40モル%、又は少なくとも60モル%の一酸化炭素を含んでいてよい。一態様においては、パージ流132は、2以上の一酸化炭素含有オフガス流に分離して、それぞれを分離区域102及び/又は反応器及び/又はフラッシャー131に送ることができる。一態様においては、パージ流132の全部をフラッシャー131に送る。一態様においては、パージ流132の全部を分離区域102、例えば分離区域102の1以上の構成要素に送る。一態様においては、パージ流132の一部をフラッシャー131に送ることができ、パージ流132の他の部分を二次反応器113及び/又は他の反応器に送ることができる。
[0068]粗酢酸生成物は、一定量の未反応の一酸化炭素、例えば第2の量の残留一酸化炭素を含む。上述したように、幾つかの態様においては、粗酢酸生成物中の酢酸を、精製酢酸、及び少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ又は少なくとも3つの誘導流に分離する。好ましい態様においては、少なくとも1つ、例えば少なくとも2つ又は少なくとも3つのこれらの誘導流は、残留一酸化炭素を含む。残留一酸化炭素を含む誘導流は、有益には更に反応させて更なる酢酸を形成することができる。
[0069]粗酢酸生成物は、その中の一定のレベルを維持するのに十分な速度で第1の反応器130から引き抜き、流れ136を通してフラッシャー131に供給する。フラッシャー131内においては、粗生成物をフラッシュ分離工程で分離して、酢酸を含む揮発性(蒸気)塔頂流137、及び触媒含有溶液を含む揮発性のより低い流れ138を得る。触媒含有溶液は、ロジウム及びヨウ化物塩を、より少量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、及び水と一緒に含む酢酸を含む。揮発性のより低い流れ138は、好ましくは反応器130に再循環する。蒸気塔頂流137はまた、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、PRCも含む。第1の反応器130から排出されてフラッシャー131に導入される溶解及び/又は同伴ガスは一酸化炭素の一部を含み、メタン、水素、及び二酸化炭素のような気体状副生成物も含む可能性がある。溶解ガスは、塔頂流137の一部としてフラッシャー131から排出される。幾つかの態様においては、低沸点の塔頂蒸気流137を、二次反応区域103、例えば二次反応器に供給することができる。
[0070]フラッシャー131からの塔頂流137は分離区域102に送る。分離区域102は、軽質留分カラム140、デカンター141、及び乾燥カラム142を含む。更に、分離区域102にはまた、過マンガン塩還元性化合物(PRC)を除去するための1以上のカラム、保護床、重質留分カラム、抽出器等を含ませることもできる。
[0071]軽質留分カラム140においては、流れ137によって、低沸点の塔頂蒸気流143、好ましくは側流144を通して取り出される精製酢酸生成物、及び高沸点の残渣流145が生成する。側流144を通して取り出される酢酸は、好ましくは、例えば米国特許6,627,770(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような水から酢酸を選択的に分離するための乾燥カラム142及び/又は随意的な重質留分カラム(図示せず)内での更なる精製にかける。好ましくは、側流144及び残渣流145は、一酸化炭素を実質的に含まず、或いは検出しうる量の一酸化炭素を含まない。
[0072]ライン143内の低沸点の塔頂蒸気は、溶解及び/又は同伴一酸化炭素;ヨウ化メチル;酢酸メチル;水素;水;PRC;酢酸;窒素、アルゴン、及びヘリウムのような不活性物質;並びに他の溶解ガス;を含む可能性がある。上限に関しては、ライン143内の低沸点の塔頂蒸気は、75モル%未満、例えば60モル%未満、50モル%未満、又は40モル%未満の一酸化炭素を含んでいてよく;及び/又は低沸点の塔頂蒸気の全圧の75%未満、例えば60%未満、50%未満、又は40%未満の一酸化炭素分圧を有していてよい。好ましくは、ライン143内の溶解及び/又は同伴一酸化炭素の量は、供給流105中の一酸化炭素の量よりも少なく、例えば少なくとも5%少なく、少なくとも10%少なく、少なくとも25%少なく、又は少なくとも50%少ない。範囲に関しては、ライン143内の一酸化炭素の量は、10モル%〜75モル%、例えば25モル%〜60モル%、又は40モル%〜50モル%の範囲であってよく;或いは、一酸化炭素分圧は、低沸点の塔頂蒸気の全圧の10%〜75%、例えば25%〜60%、又は40%〜50%の範囲であってよい。好ましくは、ライン143内の低沸点の塔頂蒸気は、少なくとも0.1モル%、例えば少なくとも0.5モル%、又は少なくとも1の一酸化炭素を含み;及び/又は、低沸点の塔頂蒸気の全圧の少なくとも0.1%、例えば少なくとも0.5%、又は少なくとも1%の一酸化炭素分圧を有する。また、流れ143内の低沸点の塔頂蒸気は、少なくとも0.1モル%、例えば少なくとも1モル%、又は少なくとも5モル%のヨウ化メチルを含んでいてよい。範囲に関しては、流れ143は、0.1モル%〜30モル%、例えば1モル%〜25モル%、又は5モル%〜20モル%のヨウ化メチルを含んでいてよい。幾つかの態様においては、ライン143内の粗酢酸生成物の誘導流は、二次反応区域103に供給することができる。
[0073]米国特許6,143,930及び6,339,171においては、軽質留分カラム140から排出される低沸点の塔頂蒸気流143中においては、一般に、高沸点残渣流145中よりも高い濃度のPRC、特にアセトアルデヒドが存在することが開示されている。幾つかの態様においては、PRCを含む低沸点の塔頂蒸気流140は、場合によってはPRC除去システム(PRS)(図示せず)内で更なる処理にかけて、存在するPRC(又はその一部)の量を減少及び/又はそれを除去することができる。PRCは、第VIII族金属カルボニル化触媒の存在下でのメタノールのカルボニル化中に形成される。PRCとしては、例えば、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒドなど、並びにこれらのアルドール縮合生成物のような化合物を挙げることができる。
[0074]示されるように、低沸点の塔頂蒸気流143は、好ましくは凝縮して、塔頂流受容器デカンター141によって示される塔頂相分離ユニットに送る。このプロセスにおける条件は、望ましくは、低沸点の塔頂蒸気流143がデカンター141内に入ったら軽質相及び重質相に分離されるように保持する。一般に、低沸点の塔頂蒸気流143は、凝縮性のヨウ化メチル、酢酸メチル、アセトアルデヒド、及び他のカルボニル成分、及び水を凝縮して2つの相に分離するのに十分な温度に冷却する。流れ143の気体部分は、一酸化炭素、並びにヨウ化メチル、二酸化炭素、水素などのような他の非凝縮性のガスを含んでいてよく、ライン146を通してデカンター141から排気される。ライン146は、好ましくは、ライン146の全圧の95%未満、例えば80%未満、75%未満、60%未満、50%未満、又は40%未満の一酸化炭素の分圧を有する。本明細書において用いる全ての分圧は、特定の流れ又は容器内での全ての非凝縮性成分の全圧を基準とする。更に、又は或いは、ライン146は、95モル%未満、例えば80モル%未満、75モル%未満、60モル%未満、50モル%未満、又は40モル%未満の一酸化炭素を含んでいてよい。ライン146は、好ましくは、第1の反応器130に供給される一酸化炭素供給流105よりも低く、例えば5%低く、10%低く、25%低く、又は50%低い一酸化炭素の分圧及び/又は重量%を有する。範囲に関しては、ライン146内の一酸化炭素の量は、場合によっては10モル%〜95モル%、例えば25モル%〜75モル%、又は40モル%〜60モル%の範囲である。場合によっては、ライン146は、ライン146の全圧の10%〜95%、例えば25%〜75%、又は40%〜60%の一酸化炭素分圧を有する。ライン146は、好ましくは、場合によっては10モル%〜60モル%、例えば15モル%〜50モル%、又は25モル%〜45モル%の範囲の酢酸メチルのモル%;及び/又はライン146の全圧の10%〜60%、例えば15%〜50%、又は25%〜45%の酢酸メチル分圧;を有する。一酸化炭素を含むライン146内のこの誘導流は、図1及び2において上記で議論したように、メタノールと反応させて更なる酢酸を形成するために二次反応区域103に送ることができる。
[0075]デカンター141内の凝縮された軽質相147は、好ましくは、水、酢酸、及びPRC、並びに一定量のヨウ化メチル及び酢酸メチルを含む。デカンター141内の凝縮された重質相148は、一般に、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及びPRCを含む。デカンター141内の凝縮された重質の液相148は、反応器130に直接か又は間接的のいずれかで好都合に再循環することができる。例えば、この凝縮された重質の液相148の一部を反応器に再循環し、スリップ流(図示せず)、一般に少量、例えば5〜40モル%、又は5〜20モル%の重質の液相をPRSに送ることができる。この重質液相148のスリップ流は個々に処理することができ、或いは、本発明の一態様にしたがってカルボニル不純物の更なる蒸留及び抽出を行うために凝縮された軽質液相147と混合することができる。
[0076]図3〜5に示すように、軽質相は流れ147を通してデカンター141から排出される。軽質相流147の第1の部分、例えばアリコート部分は、還流流として軽質留分カラム140の頂部に再循環することができる。軽質相流147の第2の部分、例えばアリコート部分は、例えば流れ149によって示されるように随意的なPRS(図示せず)に送ることができる。軽質相流147の第3の部分、例えばアリコート部分は、場合によっては、反応器130内において更なる水が所望か又は必要な場合には、例えば随意的な再循環流150によって示されるように反応器130に再循環することができる。好ましい形態においては、反応器130への再循環流150は、酢酸の循環を望ましくなく引き起こし、反応器130に対する負荷を不必要に増加させるので、反応器内の水のレベルは、流れ150を反応器130に再循環しないで所望のレベルに維持する。
[0077]軽質留分カラム140はまた、好ましくは主として酢酸及び水を含む残渣又は塔底流145も形成する。軽質留分塔底流145は通常は若干の残留触媒を含むので、随意的なライン150によって示されるように、軽質留分塔底流145の全部又は一部を反応器130に再循環することが有益である可能性がある。好ましくは、軽質留分塔底流145は、フラッシャー131からの触媒相138と混合して、一緒に反応器130に戻すことができる。
[0078]上記に示すように、塔頂相に加えて、軽質留分カラム140はまた、好ましくは主として酢酸及び水を含む酢酸側流144も形成する。場合によっては、米国公開2008/0287706(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、側流144の一部を、軽質留分カラム、好ましくは側流144を軽質留分カラムから取り出す位置よりも低い位置に再循環することができる。
[0079]側流144は酢酸に加えて水を含むので、軽質留分カラム140からの側流144は好ましくは乾燥カラム142に送って、そこで酢酸及び水を互いから分離する。示されるように、乾燥カラム142は、酢酸側流144を、主として水を含む塔頂流151、及び主として精製し乾燥した酢酸を含む塔底流152に分離する。塔頂流151は、好ましくは相分離ユニット、例えばデカンター153内で冷却及び凝縮させて、軽質相154及び重質相155を形成する。示されるように、軽質相154の一部は流れ156によって示されるように還流し、軽質相の残りは流れ157によって示されるように反応器130に戻す。通常は水及びヨウ化メチルを含むエマルジョンである重質相は、好ましくは、流れ155によって示されるように、場合によっては流れ157と混合した後にその全部を反応器130に戻すが、一部を更に処理(図示せず)することもできる。
[0080]乾燥カラム塔底流152は、好ましくは酢酸を含むか又はこれから実質的に構成される。好ましい態様においては、乾燥カラム塔底流は、90モル%より多く、例えば95モル%より多く、又は98モル%より多い量の酢酸を含む。場合によっては、乾燥カラム塔底流152は、貯蔵又は商業的な使用のために輸送する前に、重質留分カラム(図示せず)又はヨウ化物保護床(図示せず)内で更に処理することができる。勿論、図3〜5の分離システムは、単に本発明において用いることができる分離スキームの例である。分離ユニットの他の組み合わせを同じように容易に用いることができる。好ましい分離システムは、粗酢酸生成物から残留一酸化炭素の少なくとも一部を分離及び/又は回収するものである。
[0081]軽質留分カラム140の塔頂流デカンター141からの排気流146に戻る。好ましい態様においては、一定量の残留一酸化炭素を含む排気流146は、二次反応区域103に送ることができる。図3及び4においては、排気流146は、まず回収ユニット160内で処理して、ヨウ化メチルのような任意の低沸点化合物を取り出す。
[0082]好ましくは25℃未満に冷却したスクラビング溶媒161を回収ユニット160に供給して、蒸気流146をスクラビングしてヨウ化メチルのような低沸点成分をライン162を通して除去し、好ましくは反応区域101に戻す。スクラビング溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、酢酸、及びこれらの混合物が挙げられる。回収ユニット160の塔頂流はパージガス163として排出することができる。1つの随意的な態様においては、排気流146の一部を、ライン164内で回収ユニット160を迂回させて、塔頂蒸気163と混合することができる。
[0083]回収ユニット160の頂部から排出されるスクラビングされたガス163は、一酸化炭素、酢酸メチル、及び場合によってはヨウ化メチルを含む。好ましい態様においては、スクラビングされたガス163は圧縮機165に通して、高圧の誘導流166を形成する。好ましい態様においては、高圧の誘導流166中の蒸気の全圧は、0.1MPa〜10MPa、例えば0.5MPa〜5MPa、又は0.5MPa〜2MPaである。一態様においては、スクラビングされたガスは実質的にヨウ化メチルを含まない(これは回収ユニット160によって取り出されている)。高圧の誘導流166は、図3の二次反応区域103に供給する。二次反応区域103は、図1において上記した二次反応器111を含む。二次粗生成物流116は、分離区域102に戻して、側流144と共に乾燥カラム142に共供給する。重質相流148からの誘導流110も、液体流119と共に二次反応器111に供給することができる。
[0084]図4においては、塔頂流デカンター141からの排気流146を、回収ユニット160に通してスクラビングされたガス163を生成させる。一態様においては、スクラビングされたガス163は圧縮機には通さずに、図3における高圧の誘導流166よりも相対的に低い圧力に維持する。スクラビングされたガス163は二次反応区域103に供給する。図4の二次反応区域103は、図2において上記したような二次反応器112を含む。場合によっては、スクラビングされたガス163と一緒に、ライン115内の新しい反応物質、及び誘導流110も二次反応器112に供給することができる。二次反応器112によって二次粗生成物流125が生成し、これは凝縮してノックアウトポット126に供給して、酢酸を含む液体流127を取り出す。液体流127は分離区域102に戻して、側流144と共に乾燥カラム142に共供給する。
[0085]図5においては、排気流146を二次反応区域103に供給する。一態様においては、図5において教示されるように、塔頂流デカンター141からの排気流146を圧縮機167に通して高圧の誘導流168を形成することができ、これを二次反応器111に直接供給する。好ましい態様においては、高圧の誘導流168中の蒸気の全圧は、0.1MPa〜10MPa、例えば0.5MPa〜5MPa、又は0.5MPa〜2MPaである。高圧の誘導流168は、図3において教示する高圧の誘導流166と比べて多い量のヨウ化メチルを含んでいてよい。別の態様においては、排気流146は、回収ユニット内で圧縮又は処理することなく、誘導流として二次反応器に供給することができる。
[0086]上記で議論したように、本発明は、1つ又は複数の一酸化炭素誘導流を用いて更なる酢酸を生成させ、これにより全プロセス効率が向上する。図1〜5は、本発明の二次反応において用いることができる種々の誘導流を示す。勿論、一酸化炭素を含む他の誘導流を本発明にしたがって用いることもできる。
[0087]一態様においては、誘導流は、CN−101439256A(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸製造プロセスから誘導することができる。一態様においては、このプロセスには、(1)カルボニル化反応器内でメタノールをカルボニル化して酢酸を形成すること;及び(2)水素化反応器内において、少なくとも部分的にカルボニル化プロセス又は水素化プロセスのいずれかで形成された排ガス流から誘導された水素によって酢酸を水素化すること;を含ませることができる。また、排ガスから一酸化炭素も回収することができる。一例においては、一酸化炭素及び水素を含む排ガスは、粗酢酸流及び/又は粗エタノール流から誘導することができる。この排ガスを本発明にしたがって用いて更なる酢酸を生成させることができる。勿論、システム内の他の一酸化炭素含有誘導流を用いることもできる。
[0088]他の態様においては、誘導流は、CN−1537840(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸プロセスから誘導することができる。このプロセスは、反応区域及び分離区域を用いることができる。幾つかの態様においては、分離区域は、とりわけ、水、ヨウ化メチル、及び酢酸を分離するためのカラム;相分離器;及び精留カラム;を含む。任意の好適な一酸化炭素含有流、例えばこれらのプロセスからの排気流を、本発明にしたがって用いて更なる酢酸を生成させることができる。
[0089]他の態様においては、誘導流は、米国特許5,334,755(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸プロセスから誘導することができる。このプロセスは、反応区域及び分離区域を用いることができる。幾つかの態様においては、分離区域は、とりわけ、熱交換器、蒸留カラム、及び/又は気液分離器を含む。任意の好適な一酸化炭素含有流、例えばこれらのプロセスからの排気流を、本発明にしたがって用いて更なる酢酸を生成させることができる。
[0090]一態様においては、誘導流は、米国特許6,140,535(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸製造プロセスから誘導することができる。この酢酸製造プロセスは、(i)イリジウムカルボニル化触媒;(ii)ヨウ化メチル共触媒;(iii)ルテニウム、オスミウム、レニウム、カドミウム、水銀、亜鉛、ガリウム、インジウム、及びタングステンからなる群から選択される金属促進剤;(iv)約8重量%未満の濃度の限定量の水;(v)酢酸メチル;(vi)酢酸;及び(vii)プロピオン酸副生成物及びその前駆体;を含む液体反応組成物中で、一酸化炭素をメタノール及び/又はメタノール誘導体と反応させる。このプロセスは、カルボニル化反応器から液体反応組成物を排出し、排出された液体反応組成物の少なくとも一部を、熱を加えるか又は加えないでフラッシュ区域に導入して、水、酢酸生成物、プロピオン酸副生成物、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及びプロピオン酸前駆体を含む蒸気フラクション;並びに非揮発性のイリジウム触媒、非揮発性の随意的な1種類又は複数の促進剤、酢酸、及び水を含む液体フラクション;を形成する工程を更に含む。フラッシュ区域からの蒸気出口は、塔頂流凝縮器及びデカンターを備える第1の蒸留区域に接続する。使用にあたっては、蒸留区域からの蒸気をデカンター中に凝縮して、ヨウ化メチルに富む相及び水性相の2つの相を形成する。重質のヨウ化メチルに富む相はカルボニル化反応器に再循環し、より軽質の水性相は分割して、一部は蒸留区域への還流として用い、一部はカルボニル化反応器へ再循環する。このシステムにおいては、残留一酸化炭素を含む可能性がある任意の1つ又は複数のプロセス流、例えばデカンターから排出される可能性がある蒸気流を、本発明の二次反応区域において用いることができる。
[0091]一態様においては、誘導流は、米国特許5,391,821(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸製造プロセスから誘導することができる。このプロセスは、反応区域及び分離区域を用いることができる。幾つかの態様においては、分離区域は、とりわけ、水、ヨウ化メチル、及び酢酸を分離するためのカラム;相分離器;及び精留カラム;を含む。任意の好適な一酸化炭素含有流、例えばこれらのプロセスからの排気流を、本発明にしたがって用いて更なる酢酸を生成させることができる。
[0092]一態様においては、誘導流は、米国特許7,678,940(参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸製造プロセスから誘導することができる。このプロセスはカルボン酸を製造し、反応区域及び分離区域を用いることができる。幾つかの態様においては、分離区域は、とりわけ、触媒分離カラム、及び第1の蒸留カラムを含む。カルボン酸、例えば酢酸に対応するアルコール又はエステルを、第1の蒸留カラムに供給することができる。分離区域には、第2の蒸留カラム、凝縮器、及び/又は相分離器を更に含ませることができる。任意の好適な一酸化炭素含有流、例えばこれらのプロセスからの排気流を、本発明にしたがって用いて更なる酢酸を生成させることができる。
[0093]一態様においては、誘導流は、上記で議論したJones, J.H. (2002), "The CativaTM Process for the Manufacture of Acetic Acid", Platinum Metals Review, 44 (3): 94-105に記載されているような酢酸製造プロセスから誘導することができる。任意の好適な一酸化炭素含有流、例えばこれらのプロセスからの排気流を、本発明にしたがって用いて更なる酢酸を生成させることができる。
[0094]他の態様においては、誘導流は、Noriyuki Yoneda及びYasuo Hosono (2004), "Acetic Acid Process Catalyzed by Ionically Immobilized Rhodium Complex to Solid Resin Support", Journal of Chemical Engineering of Japan, vol.37, No.4(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような酢酸製造プロセスから誘導することができる。これらの酢酸製造プロセスは、メタノールカルボニル化プロセス、例えばMonsantoプロセスにおいてイオン固定化均一ロジウム触媒を用いる。
[0095]本発明を詳細に記載したが、本発明の精神及び範囲内の修正は当業者には容易に明らかであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(それらの開示事項を全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると。更に、下記及び/又は特許請求の範囲において示す本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができると理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。

Claims (19)

  1. 酢酸の製造方法であって、
    (a)第1の反応器内において、
    (i)99.5モル%未満の一酸化炭素;並びに
    (ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ;
    を含む一酸化炭素供給流を反応させて、粗酢酸生成物を生成させ;
    (b)20モル%より多い第1の量の残留一酸化炭素及び1種類以上の不純物を含む一酸化炭素パージ流を該第1の反応器からパージし;
    (c)該粗酢酸生成物を少なくとも1つの誘導流に分離し、ここで少なくとも1つの該誘導流の少なくとも1つは第2の量の残留一酸化炭素を含み、かつ該粗酢酸生成物の分離から得られる;そして
    (d)第2の反応器内において、該少なくとも1つの誘導流からの該第2の量の残留一酸化炭素の少なくとも一部、並びにメタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つを反応させて、更なる酢酸を生成させる;
    工程を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、該第2の反応器内において、該パージ流中の一酸化炭素の少なくとも一部を、メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つと反応させて、更なる酢酸を生成させる方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    該パージ流の少なくとも一部を該第1の反応器の下流に形成されている精製区域に送り、ここで該パージ流の少なくとも一部は少なくとも20モル%の一酸化炭素を含み;及び/又は
    該パージ流の少なくとも一部をフラッシャーに送り、ここで該パージ流の少なくとも一部は少なくとも20モル%の一酸化炭素を含み;及び/又は
    該パージ流の少なくとも一部を軽質留分カラムに送り、ここで該パージ流の少なくとも一部は少なくとも20モル%の一酸化炭素を含む;
    工程を更に含む方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、
    残留一酸化炭素を含む該少なくとも1つの誘導流が、
    10モル%〜95モル%の一酸化炭素;及び
    5モル%〜90モル%のメタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ;
    を含む方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、該パージによって、反応器内の一酸化炭素分圧を0.13MPa〜1.1MPaの範囲の所定のレベルに維持する方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、
    該パージ流が、
    20モル%〜95モル%の範囲の量の一酸化炭素;
    0.5モル%〜20モル%の範囲の量の窒素;
    0.5モル%〜20モル%の範囲の量のメタン;
    0.5モル%〜30モル%の範囲の量の二酸化炭素;及び
    0.5モル%〜50モル%の範囲の量の水素;
    を含む方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、該第2の反応器内における反応温度が100℃〜350℃の範囲であり、及び/又は該第2の反応器内における反応圧力が0.01MPa〜10MPaの範囲である方法。
  8. 酢酸の製造方法であって、
    (a)第1の反応器内において、
    (i)99.5モル%未満の一酸化炭素、並びに
    (ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ、
    を含む一酸化炭素供給流を反応させて、粗酢酸生成物を生成させ;
    (b)該粗酢酸生成物を少なくとも1つの誘導流に分離し、ここで該少なくとも1つの誘導流の少なくとも1つは残留一酸化炭素を含み、かつ該粗酢酸生成物の分離から得られる;そして
    (c)第2の反応器内において、該少なくとも1つの誘導流からの該残留一酸化炭素の少なくとも一部、並びにメタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つを反応させて、更なる酢酸を生成させる;
    ことを含む方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、全一酸化炭素転化率が少なくとも90%である方法。
  10. 請求項8に記載の方法であって、該一酸化炭素供給流が10モル%〜99.5モル%の一酸化炭素を含む方法。
  11. 請求項8に記載の方法であって、該一酸化炭素供給流が60モル%〜70モル%の一酸化炭素を含む方法。
  12. 酢酸の製造方法であって、
    (a)第1の反応器内において、
    (i)99.5モル%未満の一酸化炭素、並びに
    (ii)メタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つ、
    を含む一酸化炭素供給流を反応させて、粗酢酸生成物を生成させ;
    (b)不純物及び第1の量の残留一酸化炭素を含むパージ流を該第1の反応器から排出し;
    (c)該粗酢酸生成物を少なくとも1つの誘導流に分離し、ここで該少なくとも1つの誘導流の少なくとも1つは第2の量の残留一酸化炭素を含み、かつ該粗酢酸生成物の分離から得られる;そして
    (d)第2の反応器内において、該第1及び第2の量の残留一酸化炭素、並びにメタノール及びメタノール誘導体の少なくとも1つを反応させて、更なる酢酸を生成させる;
    ことを含む方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、該パージ流を該少なくとも1つの誘導流と混合して混合流を形成し、該混合流を該第2の反応器に送る方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、合計で10モル%未満の該第1及び第2の量の残留一酸化炭素をプロセスから排気する方法。
  15. 請求項1に記載の方法であって、
    該分離が、
    該粗酢酸生成物を、酢酸及び残留一酸化炭素を含む第1の蒸気流、及び第1の反応器に再循環する触媒を含む第1の液体残渣流にフラッシングし;
    該フラッシングした蒸気流を、一酸化炭素を含む第2の蒸気流、精製酢酸生成物、及び第2の液体残渣流に分離し;
    該第2の蒸気流をデカンテーションして、残留一酸化炭素を含む第3の蒸気流、及びヨウ化メチル、酢酸メチル、アセトアルデヒドを含む第3の液体残渣流を形成し;及び/又は
    該第3の蒸気流をスクラビングして、残留一酸化炭素を含む第4の蒸気流、及びヨウ化メチルを含む第4の液体残渣を形成する;
    ことを含む方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、該第2の反応器が、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、ニッケル、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1種類の金属を含む固体金属触媒を含む方法。
  17. 請求項1に記載の方法であって、全一酸化炭素転化率が、該一酸化炭素供給流中の一酸化炭素の全量を基準として95%より大きい方法。
  18. 請求項8に記載の方法であって、該一酸化炭素供給流が95モル%未満の一酸化炭素を含む方法。
  19. 請求項8に記載の方法であって、該一酸化炭素供給流が60モル%未満の一酸化炭素を含む方法。
JP2013531734A 2010-09-28 2011-09-27 高転化率での酢酸の製造 Expired - Fee Related JP6047094B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US12/892,348 2010-09-28
US12/892,348 US8394988B2 (en) 2010-09-28 2010-09-28 Production of acetic acid with high conversion rate
US13/231,205 US8877963B2 (en) 2010-09-28 2011-09-13 Production of acetic acid with high conversion rate
US13/231,205 2011-09-13
PCT/US2011/053539 WO2012050846A1 (en) 2010-09-28 2011-09-27 Production of acid with high conversion rate

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013540763A JP2013540763A (ja) 2013-11-07
JP6047094B2 true JP6047094B2 (ja) 2016-12-21

Family

ID=45890359

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013531734A Expired - Fee Related JP6047094B2 (ja) 2010-09-28 2011-09-27 高転化率での酢酸の製造

Country Status (10)

Country Link
US (1) US8877963B2 (ja)
EP (1) EP2621882B1 (ja)
JP (1) JP6047094B2 (ja)
CN (1) CN103189344B (ja)
AR (1) AR083198A1 (ja)
BR (1) BR112013007161B1 (ja)
RS (1) RS58561B1 (ja)
SG (1) SG188633A1 (ja)
TW (1) TW201223936A (ja)
WO (1) WO2012050846A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8394988B2 (en) 2010-09-28 2013-03-12 Celanese International Corporation Production of acetic acid with high conversion rate
US8877963B2 (en) 2010-09-28 2014-11-04 Celanese International Corporation Production of acetic acid with high conversion rate
US9663437B2 (en) 2011-09-13 2017-05-30 Celanese International Corporation Production of acetic acid with high conversion rate
CN103402965A (zh) * 2012-02-08 2013-11-20 国际人造丝公司 以高的转化率生产乙酸
US9193657B2 (en) * 2012-08-17 2015-11-24 Celanese International Corporation Catalyst stability in carbonylation processes
JP6416193B2 (ja) * 2013-03-15 2018-10-31 セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション カルボニル化法を用いて合成ガスを分離する方法

Family Cites Families (51)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3769329A (en) 1970-03-12 1973-10-30 Monsanto Co Production of carboxylic acids and esters
US5391821A (en) 1983-09-02 1995-02-21 Daicel Chemical Industries, Ltd. Process for producing carboxylic acids
US5001259A (en) 1984-05-03 1991-03-19 Hoechst Celanese Corporation Methanol carbonylation process
US5144068A (en) 1984-05-03 1992-09-01 Hoechst Celanese Corporation Methanol carbonylation process
US5026908A (en) 1984-05-03 1991-06-25 Hoechst Celanese Corporation Methanol carbonylation process
CA1299195C (en) 1986-06-16 1992-04-21 G. Paull Torrence Addition of hydrogen to carbon monoxide feed gas in producing acetic acid by carbonylation of methanol
DE3823645C1 (ja) * 1988-07-13 1989-11-30 Hoechst Ag
US5334755A (en) 1992-04-24 1994-08-02 Chiyoda Corporation Process for the production of acetic acid from methanol and carbon monoxide using supported rhodium catalyst
DE9211421U1 (de) 1992-08-25 1993-01-21 TRW Repa GmbH, 7077 Alfdorf Gassack-Rückhaltesystem für Fahrzeuge
US5672743A (en) 1993-09-10 1997-09-30 Bp Chemicals Limited Process for the production of acetic acid
JP3308392B2 (ja) * 1994-06-02 2002-07-29 ダイセル化学工業株式会社 カルボニル化反応方法
JP2972904B2 (ja) 1994-12-29 1999-11-08 千代田化工建設株式会社 カルボニル化反応方法及び反応器
US5599976A (en) 1995-04-07 1997-02-04 Hoechst Celanese Corporation Recovery of acetic acid from dilute aqueous streams formed during a carbonylation process
DE19519197A1 (de) 1995-05-24 1996-11-28 Linde Ag Verfahren zum Rückgewinnen von Kohlenmonoxid aus einem wenigstens Kohlenmonoxid, Stickstoff und Wasserstoff enthaltenden Purgegas der Essigsäuresynthese
US5696284A (en) 1995-06-21 1997-12-09 Bp Chemicals Limited Process for the carbonylation of alkyl alcohols and/or reactive derivatives thereof
GB9517184D0 (en) 1995-08-22 1995-10-25 Bp Chem Int Ltd Process
CA2234853C (en) 1995-10-27 2005-01-11 Hoechst Celanese Corporation Process for improving productivity of a carbonylation catalyst solution by removing corrosion metals
IN192600B (ja) 1996-10-18 2004-05-08 Hoechst Celanese Corp
US6339171B1 (en) 1996-10-18 2002-01-15 Celanese International Corporation Removal or reduction of permanganate reducing compounds and alkyl iodides from a carbonylation process stream
DK136196A (da) 1996-11-29 1998-05-30 Haldor Topsoe As Fremgangsmåde til fremstilling af eddikesyre
GB9625335D0 (en) 1996-12-05 1997-01-22 Bp Chem Int Ltd Process
GB9626428D0 (en) 1996-12-19 1997-02-05 Bp Chem Int Ltd Process
GB9626317D0 (en) 1996-12-19 1997-02-05 Bp Chem Int Ltd Process
GB9626429D0 (en) 1996-12-19 1997-02-05 Bp Chem Int Ltd Process
GB9626324D0 (en) 1996-12-19 1997-02-05 Bp Chem Int Ltd Process
US5883764A (en) 1997-10-03 1999-03-16 International Business Machines Corporation Magnetoresistive sensor having multi-layered refractory metal conductor leads
US6153792A (en) 1997-12-18 2000-11-28 Uop Llc Carbonylation process using a flash step with washing
JP4282829B2 (ja) 1999-06-16 2009-06-24 株式会社クラレ カルボン酸及びアルコールの製造方法
US6232352B1 (en) 1999-11-01 2001-05-15 Acetex Limited Methanol plant retrofit for acetic acid manufacture
US6627770B1 (en) 2000-08-24 2003-09-30 Celanese International Corporation Method and apparatus for sequesting entrained and volatile catalyst species in a carbonylation process
GB0026241D0 (en) 2000-10-26 2000-12-13 Bp Chem Int Ltd Process
US6657078B2 (en) 2001-02-07 2003-12-02 Celanese International Corporation Low energy carbonylation process
US6617471B2 (en) 2001-06-20 2003-09-09 Eastman Chemical Company Method for carbonylation of lower aliphatic alcohols using tin promoted iridium catalyst
US7115772B2 (en) 2002-01-11 2006-10-03 Celanese International Corporation Integrated process for producing carbonylation acetic acid, acetic anhydride, or coproduction of each from a methyl acetate by-product stream
US6667418B2 (en) 2002-04-16 2003-12-23 Celanese International Corporation Oxidation treatment of a recycle stream in production of acetic acid by methanol carbonylation
GB0211560D0 (en) 2002-05-20 2002-06-26 Bp Chem Int Ltd Process
US7005541B2 (en) 2002-12-23 2006-02-28 Celanese International Corporation Low water methanol carbonylation process for high acetic acid production and for water balance control
MY141209A (en) 2003-03-13 2010-03-31 Chiyoda Corp Method of manufacturing acetic acid
CN1288124C (zh) 2003-04-18 2006-12-06 上海吴泾化工有限公司 降低杂质的醋酸生产的铑/无机碘化合物催化剂体系
US7208624B2 (en) 2004-03-02 2007-04-24 Celanese International Corporation Process for producing acetic acid
US7223886B2 (en) 2004-03-02 2007-05-29 Celanese International Corporation Removal of permanganate reducing compounds from methanol carbonylation process stream
KR101300960B1 (ko) 2005-07-14 2013-08-27 가부시끼가이샤 다이셀 카르복실산의 제조 방법
TWI465424B (zh) 2006-03-21 2014-12-21 Bp Chem Int Ltd 製造醋酸的方法
EP1916233A1 (en) 2006-10-20 2008-04-30 BP Chemicals Limited Process for the conversion of hydrocarbons to alcohols
US7989659B2 (en) 2007-05-17 2011-08-02 Celanese International Corporation Method and apparatus for making acetic acid with improved light ends column productivity
US8017802B2 (en) 2007-05-21 2011-09-13 Celanese International Corporation Control of impurities in reaction product of rhodium-catalyzed methanol carbonylation
US8062482B2 (en) 2007-10-30 2011-11-22 Celanese International Corporation Acetaldehyde removal from methyl acetate by distillation at elevated pressure
US7820855B2 (en) 2008-04-29 2010-10-26 Celanese International Corporation Method and apparatus for carbonylating methanol with acetic acid enriched flash stream
RU2469783C2 (ru) 2008-04-29 2012-12-20 Селаниз Интернэшнл Корпорейшн Устройство для карбонилирования метанола, имеющее абсорбер с возможностью выбора из нескольких растворителей
CN101439256B (zh) 2008-11-14 2011-01-12 江苏索普(集团)有限公司 膜法回收羰基化生产乙酸高压尾气中co的方法及其装置
US8877963B2 (en) 2010-09-28 2014-11-04 Celanese International Corporation Production of acetic acid with high conversion rate

Also Published As

Publication number Publication date
BR112013007161A2 (pt) 2016-06-14
TW201223936A (en) 2012-06-16
CN103189344B (zh) 2015-09-23
US8877963B2 (en) 2014-11-04
RS58561B1 (sr) 2019-05-31
US20120083623A1 (en) 2012-04-05
SG188633A1 (en) 2013-04-30
EP2621882A1 (en) 2013-08-07
EP2621882B1 (en) 2018-12-19
AR083198A1 (es) 2013-02-06
CN103189344A (zh) 2013-07-03
WO2012050846A1 (en) 2012-04-19
JP2013540763A (ja) 2013-11-07
BR112013007161B1 (pt) 2020-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6324722B2 (ja) 高転化率での酢酸の製造
JP5438758B2 (ja) 複数の溶媒のオプションを有する吸収器を有するメタノールカルボニル化システム
JP4976383B2 (ja) 酢酸の製造方法
JP5507544B2 (ja) 酢酸に富むフラッシュ流を与えるメタノールをカルボニル化するための方法及び装置
EP2220022B1 (en) Method and apparatus for making acetic acid with improved productivity
US11014867B2 (en) Processes for producing an acetic acid product having low butyl acetate content
EP2069281B1 (en) Purification of acetic acid
JP6047094B2 (ja) 高転化率での酢酸の製造
KR20100061846A (ko) 개선된 정제효율로 아세트산을 제조하는 방법 및 장치
JP5995995B2 (ja) 高転化率での酢酸の製造
JP2014504278A (ja) 増加した製造速度での酢酸の製造
EP2864283A1 (en) Process for the production of acetic acid
US9663437B2 (en) Production of acetic acid with high conversion rate
EP3444235B1 (en) Production of acetic acid with an increased production rate

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150902

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20151125

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20160104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160928

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6047094

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees