JP3035642B2 - メタノールのカルボニル化による酢酸の製造方法 - Google Patents

メタノールのカルボニル化による酢酸の製造方法

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JP3035642B2 JP4131791A JP13179192A JP3035642B2 JP 3035642 B2 JP3035642 B2 JP 3035642B2 JP 4131791 A JP4131791 A JP 4131791A JP 13179192 A JP13179192 A JP 13179192A JP 3035642 B2 JP3035642 B2 JP 3035642B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメタノールのカルボニル
化による酢酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】メタノールのカルボニル化
による酢酸の製造方法としては、メタノールを、ロジウ
ム化合物とヨウ化アルキルを溶解させた水含有酢酸溶媒
中でメタノールと一酸化炭素を反応させる方法が知られ
ている(特公昭47−3334号)。この方法は、モン
サント・カンパニーにより開発されたもので、いわゆる
「モンサント法」として世界的に広く実施されている。
このモンサント法は、メタノールから高収率で酢酸を製
造し得る点で非常にすぐれた方法ではあるものの、溶解
度の低い触媒を酢酸に溶解させた触媒液を用いて反応を
均一で行っていることから、その触媒を均一に溶解させ
るために大量の酢酸を必要とし、その結果、反応器や得
られた反応液の処理装置が必然的に大型のものとなる
上、反応液処理装置から反応器に循環させる触媒液量も
多くなり、その結果、酢酸製造プラントの建設費が大き
くなるとともに、そのプラントの運転費用も高くなると
いう欠点がある。さらに、このモンサント法では、触媒
液から触媒を分離回収し、再生し、反応系に循環させる
ことから、そのための大きな装置を必要とするという欠
点もある。
【0003】モンサント法が包含する前記欠点を克服し
ようとして、これまでにもいくつかの方法が提案されて
おり、その代表的なものに、特開昭63−253047
号公報に記載の方法がある。この公報に記載の方法は、
ピリジン基を含む不溶性樹脂にロジウムを10wt%未
満の割合で担持させた固体触媒の存在下において、一酸
化炭素分圧:65〜80バール、温度:170〜200
℃でメタノールをカルボニル化する方法である。しか
し、この方法は、高反応速度を得るために、反応温度1
70〜200℃において、65〜85バールという高い
一酸化炭素分圧を用いることから、その全反応圧力は必
然的に95kg/cm2G以上という高圧になり、反応
器を耐圧性の大きなものにする必要がある。その結果、
反応器コストが必然的に高くなるという問題がある。ま
た、Hjortkjaerら(Applied Cat
alysis,67,269〜278、(1991))
によると、ピリジン基を含む不溶性樹脂触媒を用い、反
応温度140℃、反応圧力20kg/cm2G(CO分
圧としては20kg/cm2以下となる)で、メタノー
ル及びヨウ化メチルからなる原料を固定床流通式反応装
置を用いてカルボニル化を行っているが、この場合、初
期に触媒樹脂からのロジウムの解離が起って反応活性が
低下し、均一系触媒の約1/5程度の低い活性しか得ら
れていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、メタノール
をロジウム含有固体触媒の存在下及びヨウ化アルキルの
存在下で一酸化炭素と反応させるに際し、低い反応圧力
下で高い触媒活性条件下で反応を効率的に行わせること
ができる経済性にすぐれた酢酸の製造方法を提供するこ
とをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、ロジウム含有固体触
媒及びヨウ化アルキルの存在下、反応溶媒中でメタノー
ルと一酸化炭素を反応させて酢酸を生成させる方法であ
って、(i)ロジウム含有固体触媒として、架橋度が10
%以上で、ピリジン環を樹脂構造に含む不溶性樹脂にロ
ジウムを担持させたものを用いること、(ii)反応溶媒
として、炭素数2以上のカルボニル基含有有機溶媒を含
む反応溶媒を用い、反応器内における溶媒量がメタノー
ル1wt部に対し0.30wt部以上であること、(ii
i)反応系における一酸化炭素分圧が7〜30kg/cm
2でかつ全反応圧が15〜60kg/cm2Gであるこ
と、(iv)反応温度が140〜250℃であること、を
特徴とするメタノールのカルボニル化による酢酸の製造
方法が提供される。
【0006】本発明で用いる触媒は、ピリジン環を樹脂
構造に含む不溶性樹脂にロジウムを固定化させたもので
ある。この場合、ピリジン環には、置換又は未置換のピ
リジン環の他、キノリン環のように縮合環を形成するピ
リジン環が包含される。また、置換ピリジン環における
置換基としては、アルキル基やアルコキシ基等のカルボ
ニル化反応に不活性な置換基が挙げられる。このような
ピリジン環を樹脂構造に含む不溶性樹脂の代表例として
は、例えば、ビニルピリジンと、ジビニルモノマーとを
反応させることによって、あるいはビニルピリジンと、
ジビニルモノマーを含むビニルモノマーを反応させるこ
とによって得ることができる。このようなピリジン環含
有不溶性樹脂の具体例としては、例えば、4−ビニルピ
リジン・ジビニルベンゼン共重合体、2−ビニルピリジ
ン・ジビニルベンゼン共重合体、スチレン・ビニルピリ
ジン・ジビニルベンゼン共重合体、ビニルメチルピリジ
ン・ジビニルベンゼン共重合体、ビニルピリジン・アク
リル酸メチル・ジアクリル酸エチル共重合体等が挙げら
れる。
【0007】本発明で用いるピリジン環を樹脂構造に含
む不溶性樹脂(以下、単に不溶性樹脂とも言う)におい
て、その架橋度は10%以上、好ましくは15〜40%
である。架橋度が10%より低いと、樹脂構造が酢酸等
の反応溶媒によって膨潤や収縮を大きく受けやすいもの
となり、破損や変質などが生じるので好ましくない。一
方、架橋度の上限は、40%するのがよく、これより高
い架橋度になると、不溶性樹脂中のピリジン環の含有率
が低くなりすぎ、その結果、樹脂中のロジウム含有率も
低くなり、触媒効率のよい触媒が得られなくなる。ま
た、樹脂中のピリジン環含有率は、その塩基当量が2.
0〜10ミリ当量/g、好ましくは3.5〜6.5ミリ
当量/gの範囲になるような量に規定するのがよい。な
お、本明細書において、ピリジン環を樹脂構造に含む不
溶性樹脂について言う架橋度は、その樹脂中に含まれて
いる架橋を形成するジビニルモノマー含有率(重量%)
で表わされるものである。
【0008】本発明で用いる触媒において、そのピリジ
ン環は、遊離塩基状であることができる他、その塩基性
窒素原子があらかじめ4級化されたものである4級化ピ
リジウム塩類や酸化されたものであるN−酸化物等であ
ることができる。ピリジン環を樹脂構造に含む不溶性樹
脂は、粒径が0.01〜2mm、好ましくは0.1〜1
mm、より好ましくは0.25〜0.7mmの粒状体と
して用いられ、その好ましい形状は球状体である。ピリ
ジン環を樹脂構造に含む不溶性樹脂は既に市販されてお
り、例えば、「Reillex−425」(ライリー・
タールケミカル社)や、「KEX−316」「KEX−
501」、「KEX−212」(いずれも広栄化学社)
等がある。本発明ではこれらの市販品をロジウム担持用
の不溶性樹脂として用いることができる。
【0009】ピリジン環を樹脂構造に含む不溶性樹脂に
ロジウムを担持固定化させる方法としては、従来公知の
方法が採用される。例えば、ピリジン環を樹脂構造に含
む不溶性樹脂を、一酸化炭素加圧下において、ヨウ化ア
ルキルを含む溶媒中でロジウム塩と接触させることによ
って、ロジウムの固定化された不溶性樹脂を得ることが
できる。一般的には、メタノールのカルボニル化反応条
件下で、ロジウム塩と不溶性樹脂とを接触させればよ
い。このようにして得られるロジウム含有固体触媒は、
不溶性樹脂に含まれるピリジン環がヨウ化アルキルによ
って4級化されてピリジニウム塩となり、このピリジニ
ウム塩に、ロジウム塩とヨウ化アルキルと一酸化炭素と
の反応により生成したロジウムカルボニル錯体(〔Rh
2(CO)2-)がイオン的に結合した構造を有する
ものと考えられる。ロジウム塩と接触させる不溶性樹脂
において、そのピリジン環は遊離塩基状又は4級化ピリ
ジニウム塩又はN−酸化物であることができるが、その
塩基性窒素原子は、メタノールのカルボニル化反応の条
件下においてはヨウ化アルキルにより4級化されるもの
と考えられる。
【0010】前記ロジウム塩としては、塩化ロジウム
や、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム等のハロゲン化ロジ
ウムが挙げられる。また、ヨウ化アルキルとしては、ヨ
ウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル等の炭素数
1〜6の低級アルキル基を有するものが挙げられる。ロ
ジウム塩に対するヨウ化アルキルの使用割合は、ロジウ
ム塩1モル当り、ヨウ化アルキル2〜2000モル、好
ましくは50〜500モルの割合である。また、ロジウ
ム塩とヨウ化アルキルを接触させる際の一酸化炭素圧
は、7〜30kg/cm2G、好ましくは10〜20k
g/cm2Gである。本発明で用いる好ましいロジウム
固定化不溶性樹脂は、反応に際しての不溶性樹脂からの
ロジウム解離の防止の点から、その樹脂中、ロジウムを
ロジウム金属換算量で、0.2〜15wt%、好ましく
は0.3〜8wt%、より好ましくは0.5〜1wt%
の割合で含有するものである。
【0011】本発明におけるメタノールのカルボニル化
反応は、種々の反応器を用いて実施することができる。
このような反応器の形式としては、固定床、混合槽、膨
脹床等が挙げられる。反応器内におけるロジウム含有不
溶性樹脂の量は、一般には、反応器内溶液に対して2〜
40wt%であるが、混合槽反応器の場合、2〜25w
t%に選ぶのがよい。また、固定床反応器では20〜4
0wt%、膨張床反応器では2〜25wt%に選ぶのが
よい。
【0012】本発明は、触媒として前記ロジウム固定化
不溶性樹脂を用いるとともに、反応溶媒として炭素数が
2以上のカルボニル基含有有機溶媒を含むものを用い
る。このような反応溶媒としては、酢酸、酢酸メチル等
のカルボン酸やカルボン酸エステルが挙げられる。本発
明に用いる反応溶媒は、水を含有することができる。こ
の場合、反応溶媒中の水の含有率は、0.05〜50w
t%、好ましくは0.1〜20wt%である。従来、ロ
ジウム錯体固定化触媒を用いるメタノールのカルボニル
化においては、前述したカルボニル基含有溶媒の効果に
ついては全く知られておらず、前記した特開昭63−2
53047号公報に見られるように、カルボニル化反応
速度を高めるため65〜85バールという高いCO分圧
を用いることが必須と考えられていた。また、固定化ロ
ジウムの解離流出を防ぐという観点から溶媒としてはベ
ンゼン等の誘電率の低い溶媒を反応溶媒として用いるこ
とが提案されていた(Inorg.Chem;Sty,
20,641−644(1984))。しかしながら、
ロジウム錯体固定化触媒の反応活性の向上及びロジウム
の解離流出防止には、従来の知見に全く反して誘電率の
高い酢酸や酢酸メチルなどのカルボニル基含有有機溶媒
が、極めて高い効果を示すことが知見された。
【0013】本発明においては、反応器内における反応
溶媒量を、メタノール1wt部に対し0.30wt部以
上に規定する。好ましい反応溶媒量はメタノール1wt
部に対し2.40wt部以上である。反応溶液中の反応
溶媒量を前記範囲内に保持することにより、ロジウム固
定化不溶性樹脂触媒の活性中心であるロジウムカルボニ
ル錯体(〔RhI2CO2-)の反応活性が高められると
ともに、ロジウムカルボニル錯体とピリジニウム塩との
結合安定性も向上し、高い反応速度でかつ不溶性樹脂か
らのロジウムの解離を効果的に防止して、メタノールの
カルボニル化反応を円滑に進行させることができる。さ
らに重要なことには、反応器内の反応溶媒量を前記の範
囲に保持することによって、7kg/cm2という極め
て低いCO分圧条件下においてもロジウムカルボニル錯
体が安定に存在し、高い反応速度でメタノールのカルボ
ニル化反応を進行させることができる。このことは、反
応器として特別の耐圧容器を使用する必要がなくなり、
反応器コストを大幅に節約でき、実用性ある経済的酢酸
プロセスが得られることを意味する。前記した特開昭6
3−253047号公報にも見られるように、メタノー
ルのカルボニル化反応を高い反応速度で進行させるに
は、CO分圧として65〜85バールといい圧力が必須
であると考えられていたが、前記のように、本発明によ
り、7kg/cm2という低いCO分圧で高いしかも反
応速度でメタノールのカルボニル化反応が進行すること
は、本発明者らが初めて見出した意外な事実である。
【0014】本発明におけるCO分圧(一酸化炭素分
圧)は、7kg/cm2以上であればよく、好ましくは
10kg/cm2以上である。CO分圧を特に高くして
も反応速度はあまり向上せず、格別の反応上の利点は得
られず、経済的観点からはそのCO分圧の上限は30k
g/cm2程度にするのがよい。従って、本発明のCO
分圧は、7〜30kg/cm2、好ましくは10〜20
kg/cm2の範囲に規定するのがよい。CO分圧をこ
のような範囲に保持することにより、全反応圧を経済的
な15〜60kg/cm2G、特に15〜40kg/c
2G、更に好ましくは15〜30kg/cm2G以下と
いう低圧に保持することが可能になる。本発明において
は、(1)架橋度が10%以上のピリジン環を樹脂構造
に含む不溶性樹脂を用い、(2)反応溶媒として炭素数
2以上のカルボニル基含有有機溶媒を含む反応溶媒を、
メタノール1wt部に対し、0.30wt部以上の割合
で添加し、(3)CO分圧が7〜30kg/cm2、全
圧が15〜60kg/cm2Gで、(4)反応温度が1
40〜250℃であることを必須要件とし、いずれが欠
けても所望の効果は発揮されない。従来反応溶媒を用い
ずに圧力20kg/cm2でメタノールをカルボニル化
した例〔(Applied Catalysis 6
7,269〜278(1991)〕はあったが、活性は
低くかつロジウムの解離という問題があった。一方、反
応溶媒を用いているが、反応温度120℃、反応圧力1
1kg/cm2Gにてメタノールをカルボニル化した例
(USP−4,328,125)はあったが、CO分圧
が低すぎるため、安定なカルボニル錯体を形成できず、
低い反応速度しか得られていない。また、反応溶媒、反
応温度、圧力が満たされていても、ピリジン樹脂に架橋
度が10%より低いものを用いると、溶媒による膨潤、
破損、変質だけでなく、ロジウム錯体の固定化が強固に
なりすぎて触媒活性が低下する問題がある。本発明は、
上記(1),(2),(3),(4)の要件を必須要件
とするもので、これらの要件の採用により初めて目的物
である酢酸を効率よくかつ経済的に得ることが可能とな
る。
【0015】本発明のカルボニル化反応における反応温
度は140〜250℃、好ましくは160〜230℃で
あるが、その上限は、使用する不溶性樹脂の耐熱性に応
じて適当に選定する。また、反応系におけるヨウ化アル
キルの存在量は、反応器内溶液中、1〜40重量%、好
ましくは5〜30重量%である。さらに、反応系におけ
るロジウム濃度は、反応器内溶液中、50wtppm以
上、好ましく300wtppm以上、より好ましくは5
00wtppm以上である。反応器内溶液中のロジウム
濃度は、反応器に対する不溶性樹脂充填量と不溶性樹脂
に担持させるロジウム量を調節することによりコントロ
ールすることができる。例えば、1wt%のロジウムが
担持されている不溶性樹脂を反応器内溶液100重量部
に対して0.05重量部混合することにより、500w
tppmのロジウム濃度を持つ反応器内溶液を得ること
ができる。また、3wt%のロジウムが担持されている
不溶性樹脂を反応器内溶液100重量部に対して0.0
7重量部混合することにより、2100wtppmのロ
ジウム濃度を持った反応器内溶液を得ることができる。
ここで、ロジウム濃度はロジウム含有不溶性樹脂を除い
た溶液に対するロジウム金属量のwt%である。反応器
内における反応溶媒の量の規定は反応器の形式により、
次のように行う。バッチ式反応器では反応器に仕込んだ
原料液中のメタノールに対する反応溶媒の量とする。反
応の進行に伴いメタノール濃度は減少するので反応器内
の反応溶媒の濃度は仕込み原料以上となる。混合槽流通
式反応器では、反応器内の溶液は均一に混合され、反応
器出口から抜出される反応生成液の組成に実質上等し
い。即ち、この場合、反応器内溶媒の量の規定として
は、実質上、反応器出口から抜出される反応生成物中の
メタノールに対する反応溶媒の量である。ピストンフロ
ー式反応器では、反応器に供給される全供給液中のメタ
ノールに対する反応溶媒の量として定められる。この場
合、反応器入口から出口にいくに従って、メタノール濃
度は減少し、反応溶媒の量は増加するので、メタノール
に対する反応溶媒の量は反応器出口にいくに従って増加
する。従って、反応溶媒量としては反応器入口に供給さ
れる全供給液中のメタノールに対する反応溶媒の量と規
定される。
【0016】メタノールのカルボニル化反応において
は、下記反応式(1)の主反応とともに、下記反応式
(2)、(3)の副反応が起る。 CH3OH+CO →CH3COOH (1) CH3COOH+CH3OH→CH3COOCH3+H2O (2) 2CH3OH →CH3OCH3+H2O (3)
【0017】本発明において、酢酸を収率よく製造する
には、前記副反応(2),(3)を抑え、メタノールの
カルボニル化反応(1)を選択的に進行させることが必
要になる。このためには、反応溶媒として、酢酸メチル
や水を含むものを用いるのが有効である。本発明により
酢酸メチルを反応系に存在させて酢酸収率を高める場
合、酢酸メチルは、これをあらかじめメタノールに添加
して反応系に供給するのが好ましい。酢酸メチルは、メ
タノール1wt部に対して、1.5wt部以上、好まし
くは3wt部以上の割合で添加するのがよく、これによ
り酢酸メチルの副生を抑制して酢酸収率を高めることが
できる。また、本発明により添加水を反応系に存在させ
て酢酸収率を高める場合、添加水は、これをあらかじめ
メタノールに添加して反応系に供給するのが好ましい。
添加水は、メタノール1wt部に対して、0.3wt部
以上、好ましくは0.5wt部以上の割合で添加するの
がよく、これにより、酢酸メチル及びジメチルエーテル
の副生を抑制して酢酸収率を高めることができる。本発
明においては、反応溶媒として、酢酸メチルや水を含ま
ない酢酸溶媒を用いても、メタノール転化率が96%以
上、好ましくは99%以上になるまでメタノールのカル
ボニル化を行うことによって、酢酸メチル及びジメチル
エーテルの副生を抑制して、酢酸収率を高めることがで
きる。この場合、反応生成液中のメタノール濃度は0.
3wt%以下、好ましくは0.2wt%以下になるよう
に、メタノール転化率を調節するのがよい。
【0018】本発明におけるメタノールのカルボニル化
反応は、流通式反応器を用いて有利に実施される。流通
式反応器には、混合槽流通式反応器と、ピストンフロー
式反応器があるが、以下、これらの反応器を用いた本発
明のメタノールのカルボニル化による酢酸製造例につい
て詳述する。図1に混合槽流通式反応器を用いる本発明
の酢酸製造方法のフローシートの1例を示す。図1にお
いて、R−1は混合槽流通式反応器、7は冷却器、Sは
分離系を示す。反応器R−1には、反応溶媒としての酢
酸と、触媒としてのロジウム含有不溶性樹脂と、反応促
進剤としてのヨウ化メチルを充填し、これらの充填物
は、その反応器内に付設された撹拌器により均一に撹拌
混合される。この反応器R−1に対して、その底部から
ヨウ化メチルを含むメタノールをライン1及び2を介し
て導入するとともに、一酸化炭素をライン3から反応器
内に付設されたガス分散器を介して導入する。この場
合、メタノールに対しては、必要に応じ、水や酢酸メチ
ルを添加することができる。反応器R−1内に導入され
たメタノールと一酸化炭素は、ここでロジウム含有不溶
性樹脂及びヨウ化メチルの存在下で反応し、酢酸を生成
する。この反応により生成した酢酸を含む反応生成液
は、ライン4を通って抜出され、その一部はライン5を
通って分離系Sに導入され、他の一部はライン6を介し
て、冷却器7を通り、ここで冷却された後、ライン2を
通って、反応器R−1に循環される。反応生成液の一部
をこのように冷却器を介して反応器に循環させることに
より、反応器内で発生した反応熱を除去することができ
る。未反応一酸化炭素を含むガス状物は、ライン8を通
って抜出され、流量バルブ9及びライン10を通って排
出される。このガス状物からは、それに含まれるヨウ化
メチル等の低沸点物が分離され、反応器に循環される。
【0019】分離系Sに導入された酢酸を含む反応生成
液は、ここで蒸留を含む分離処理に付され、酢酸がライ
ン11を通って回収され、反応生成液から酢酸を分離し
た後の副生物を含む反応生成液残液はライン12,13
を通り、メタノールライン1に導入され、ライン2を通
って反応器R−1に循環される。残液の一部は、必要に
応じて、ライン14を通って系外へ排出される。この循
環液には、ヨウ化メチル、水、ヨウ化水素、酢酸メチ
ル、ジメチルエーテル等の副生物の他、未反応メタノー
ル、酢酸メチル等を含む。また、この循環液には、分離
された酢酸の一部を混入させることもできる。
【0020】この混合槽流通反応器を用いるメタノール
のカルボニル化反応では、メタノールに対する反応溶媒
の比率を、メタノール1wt部に対し、50wt部以
上、好ましくは150〜1000wt部という高い値に
保持することが容易であるため、触媒を安定かつ高活性
に保持して、メタノールのカルボニル化反応を迅速に行
うことができる。
【0021】本発明においては、反応器R−1内に供給
されるメタノールや循環液の各量を調節し、反応器内溶
液の組成を前記した特定範囲に保持するとともに、一酸
化炭素分圧を7〜30kg/cm2、反応温度を140
〜250℃に保持する。このような条件下でメタノール
のカルボニル化反応を行うことにより、反応圧力15〜
60kg/cm2G、特に15〜40kg/cm2Gとい
う低められた圧力でメタノールのカルボニル化反応を迅
速に行わせることができる。
【0022】本発明におけるメタノールのカルボニル化
反応は、発熱反応であり、反応温度を所定温度に保持す
るには、反応熱を除去する必要がある。この反応熱を除
去するための代表的方法としては、図1に示すように、
反応器内溶液の一部を外部へ抜出し、これを冷却器によ
り間接的に冷却した後反応器へ戻す方法を示すことがで
きる。このような方法の他、反応熱を除去するためには
種々の方法が可能である。例えば、反応器内溶液をフラ
ッシャーに導入してその一部を気化させてその溶液を断
熱冷却し、この冷却された溶液を反応器に循環すること
もできる。
【0023】反応器R−1内における溶液の撹拌は、撹
拌器以外の方法によって行うことも可能であり、例え
ば、反応器内に導入された一酸炭素ガスによって反応器
内溶液を流動撹拌させるたり、あるいは反応器内への循
環液流を用いて流動撹拌させることもできる。
【0024】次に、本発明によるピストンフロー式反応
器を用いたメタノールのカルボニル化反応による酢酸の
製造方法について説明する。図2は、ピストンフロー式
反応器を用いた酢酸製造方法のフローシートの1例を示
す。図2において、R−2はピストンフロー式反応器、
21は気液分離器、Sは分離系を示す。
【0025】ピストンフロー式反応器R−2は、その内
部に複数の触媒管を立設した構造を有する。この場合の
触媒管は、その内部に触媒としてロジウム含有不溶性樹
脂を充填した構造のもので、触媒が流動しないように充
填された固定床式のものであってもよく、また触媒が流
動する膨張床式のものであってもよい。
【0026】この反応器R−2内の触媒管は、その外表
面に冷媒を接触流通させることにより冷却される。冷媒
としては好ましくはスチームが用いられる。スチームは
反応器から抜出され、蒸留塔の熱源等として利用され
る。ヨウ化メチルを含む原料メタノールはライン1を通
り、ライン13から循環される循環液及びライン3を通
して供給される一酸化炭素とともにライン2を通って反
応器R−2の入口部に導入される。この場合、メタノー
ルに対しては、必要に応じ、酢酸メチルや水を添加する
ことができる。反応器R−2の入口底部に導入された一
酸化炭素と、メタノール及び酢酸を含む液体とからなる
気液混合物は、その反応器の入口部において気液が充分
分散され、複数の触媒管に液及びガスが均一に供給され
る。触媒管内においては、メタノールと一酸化炭素は、
反応溶媒としての酢酸中において、触媒及びヨウ化メチ
ルの存在下で反応して、酢酸に変換される。酢酸を含む
反応生成液はライン20を通して抜出され、気液分離器
22に導入され、ここで未反応の一酸化炭素を含むガス
状物がライン23を通って抜出され、流量バルブ24及
びライン25を通って排出される。このガス状物からは
ヨウ化メチル等の低沸点物が分離され、反応器R−2に
循環される。未反応の一酸化炭素を含むガス状物が分離
された後の反応生成液は、ライン22を通って分離系S
に導入され、ここで酢酸が分離され、分離された酢酸は
ライン26を通って回収される。分離系Sにおいて、反
応生成液から酢酸を分離した後の残液は、ライン12,
13を通ってメタノールライン1に導入され、ライン2
を通って反応器R−2に循環される。この循環残液の一
部は、必要に応じてライン14を通して系外へ排出され
る。この循環液は、ヨウ化メチル、ヨウ化水素及び水、
酢酸メチル、ジメチルエーテル等の副生物及び未反応メ
タノール、酢酸メチルを含有する。また、この中には分
離された酢酸の1部を混入させることもできる。
【0027】本発明においては、反応器R−2内に供給
されるメタノール、酢酸及び循環液の各量を調節し、反
応器内溶液の組成を前記した特定範囲に保持するととも
に、一酸化炭素分圧を7〜30kg/cm2、反応温度
を140〜250℃に保持する。このような条件下でメ
タノールのカルボニル化反応を行うことにより、反応圧
力を15〜60kg/cm2G、特に15〜40kg/
cm2Gという低められた圧力で、メタノールのカルボ
ニル化反応を迅速に行わせることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、メタノールのカルボニ
ル化反応を、7〜30kg/cm2という低い一酸化炭
素分圧下及び15〜60kg/cm2Gという低い全圧
下でかつ高い反応速度で選択的に行わせ、副生物含有量
の少ない酢酸を生産性よくかつ経済的に製造することが
できる。
【0029】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 6.8gの十分乾燥させたポリ4−ビニルピリジン・ジ
ビニルベンゼン共重合体樹脂(商品名「Reillex
425」、架橋度25%、Reilly社)をメタノー
ルに十分なる時間含浸した後、次に8wt%のヨウ化メ
チル、40wt%のメタノール、52wt%の酢酸から
成る溶液140gとなるようにヨウ化メチルと酢酸を加
え、250ccチタン製撹拌器付オートクレーブ反応器
に仕込み、0.07gのRhCl3・3H2Oを加えた。
この混合物を一酸化炭素で数回脱気した後、190℃に
昇温したところでオートクレーブ全圧が約40kg/c
2G(COの初期分圧では15kg/cm2G)となる
ようにCOを自力式調節弁を通して補給した。60分
後、反応器を冷却し、窒素パージ後、反応生成液をデカ
ンテーションで除去し、メタノールで洗浄を数回くり返
した。この反応液体中のRhを原子吸光法により分析し
たが、Rhはほとんど検出されなかった。このようにし
て調製したRh担持触媒樹脂を分析したところ、加えた
RhCl3・3H2OのほとんどのRhが樹脂に固定化さ
れ、その量は0.4wt%であり、またピリジン基の大
部分に相当する当量のヨウ素が固定されていることがわ
かった。次に、このようにして調製した触媒の全量に、
8wt%ヨウ化メチル、41wt%のメタノール、51
wt%の酢酸から成る溶液140gを加え、250cc
チタン製オートクレーブ反応器に仕込み、COで数回脱
気した。次いでこの混合物を190℃に昇温し、オート
クレーブ全圧が約40kg/cm2G(COの初期分圧
で15kg/cm2)となるようにし、COを自力式で
調節弁にて補給し、反応を行った。2時間後、反応器か
ら反応生成液を反応条件下で高圧サンプラーにサンプリ
ングし、FIDガスクロマトグラフィーにより反応生成
液組成を分析し、COの消費量を求めてメタノールのカ
ルボニル化反応速度を求めたところ、3.1mol/l
hであった。ここで反応の進行に伴い、反応生成液の蒸
気圧が変化するため、気相中のCO分圧は15kg/c
2から25kg/cm2に上昇した。
【0030】実施例2 ポリ−4−ビニルピリジン樹脂として、架橋度が約10
%のKEX−316(広栄化学社)を用い、0.14g
のRhCl3・3H2Oを加えた他は実施例1と同様にし
て0.8wt%のRhを担持固定化したKEX−316
樹脂触媒を調製した。この触媒を用いた以外は実施例1
と同様にして反応を行い、2時間後に反応生成液をサン
プリングし、分析した。この反応におけるカルボニル化
反応速度は4.7mol/l・hであった。
【0031】実施例3 ポリ−4−ビニルピリジン樹脂として、架橋度約20%
のKEX−212(広栄化学社)を用い、0.14gの
RhCl3・3H2Oを加えた他は実施例1と同様にして
0.8wt%のRhを担持固定化したKEX−212樹
脂触媒を調製した。この触媒の全量に、9.5wt%の
ヨウ化メチル、39.5wt%のメタノール、51wt
%の酢酸から成る溶液140gを加えた以外は実施例1
と同様にして反応を行い、2時間後に反応生成液をサン
プリングし、分析した。この反応におけるメタノールカ
ルボニル化反応速度は3.6mol/1hであった。
【0032】実施例4 ポリ−4−ビニルピリジン樹脂としてKEX−501
(架橋度約30%)を用いた他は実施例2と全く同じよ
うにして、0.8wt%のRhを担持固定化したKEX
−501樹脂触媒を得た。この触媒を用いて、実施例2
と同様に反応を行い、2時間後に反応生成液をサンプリ
ングし、分析した。この反応におけるメタノールのカル
ボニル化反応速度は3.4mol/l・hであった。
【0033】実施例5 実施例1に用いた触媒を再度使用するためにメタノール
洗浄した。この洗浄触媒に、8.0wt%のヨウ化メチ
ル、24wt%のメタノール、68wt%の酢酸から成
る溶液140gを加え、250ccチタン反応器にて反
応温度175℃で実施例1と同様に反応を行い、2時間
後に反応生成液をサンプリングし、分析した。メタノー
ルのカルボニル化速度は2.0mol/l・hであっ
た。
【0034】実施例6 実施例5において、反応温度を205℃とした以外は同
様にして反応を行った。その結果、メタノールのカルボ
ニル化速度は3.3mol/l・hであった。
【0035】実施例7 0.70gのRhCl3・3H2Oを加えた他は、実施例
1と同様触媒調製を行ったところ、2.0wt%のRh
がピリジン樹脂に固定化された触媒が得られた。なお、
この場合、実施例1〜6のものと異なり、使用したロジ
ウムの全量は固定されず、約1/2しか固定されなかっ
た。このようにして得た触媒に、8.0wt%のヨウ化
メチル、24wt%のメタノール、68wt%の酢酸か
ら成る溶液140gを加え、250ccチタン製オート
クレーブ反応器に仕込み、COで数回脱気した後、19
0℃に昇温し、オートクレーブ全圧が約30kg/cm
2G(初期CO分圧で15kg/cm2)となるように
し、COを自力式調節弁にて補給し反応を行った。30
分後、反応器から反応生成液を反応条件下で高圧サンプ
リングし、分析した。メタノールのカルボニル化反応速
度は5.1mol/lhであった。この反応において
は、反応の進行に伴い気相への反応生成液の蒸気圧が低
下するためCO分圧は15kg/cm2から20kg/
cm2に上昇した。
【0036】実施例8 実施例7と同様の方法により5.0wt%のRhが固定
化された触媒を調製した。このようにして調製した触媒
を用い、実施例7と同様にして反応を行い、30分後に
反応生成液をサンプリングし、分析したところ、メタノ
ールのカルボニル化反応速度は9.4mol/l・hで
あった。
【0037】実施例9 0.14gのRhCl3・3H2Oを用いた他は、実施例
1と同様にして0.8wt%Rhが担持された触媒を調
製した。このようにして得た触媒に,実施例7と同じ組
成の溶液70gを加え、実施例7と同様に反応を行っ
た。30分後に反応生成液をサンプリングし、分析した
ところ、メタノールのカルボニル化反応速度は7.3m
ol/l・hであった。次に表1に前記実施例1〜9に
おける反応条件中及び反応結果をまとめて示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例10 0.05gのRhCl3・3H2Oを用いた他は、実施例
1と同様に触媒調製を行い、0.6wt%のRhが担持
固定化されたReilex425樹脂触媒を得た。この
触媒に、8wt%ヨウ化メチル、70wt%のメタノー
ル、22wt%の酢酸から成る溶液140gを加え、2
50ccチタン製オートクレーブ反応器に仕込み、CO
で数回脱気し、オートクレーブ内全圧が60kg/cm
2G(初期CO分圧で15kg/cm2)となるように
し、COを自力式調節弁にて補給し、反応を行った。2
時間後、反応器から反応生成液を反応条件下で高圧サン
プラーにサンプリングして、FIDガスクロマトグラフ
ィーにより反応生成液組成を分析し、COの消費量を求
めてメタノールのカルボニル化反応速度を求めたとこ
ろ、3.0mol/lhであった。この反応において
は、反応の進行に伴い気相への反応生成液の蒸気圧が低
下するため、反応終了時にはCO分圧は15kg/cm
2から20kg/cm2に上昇した。
【0040】実施例11 実施例10で用いた触媒に、8wt%ヨウ化メチル、5
1wt%のメタノール、41wt%の酢酸から成る溶液
140gを加え、250ccチタン製オートクレーブ反
応器に仕込みCOで数回脱気し、オートクレーブ内全圧
が45kg/cm2G(初期CO分圧で15kg/c
2)となるようにし、COを自力式調節弁にて補給
し、反応を行った。2時間後、反応器から反応生成液を
反応条件下で高圧サンプラーにサンプリングして、FI
Dガスクロマトグラフィーにより反応生成液組成を分析
し、COの消費量を求めてメタノールのカルボニル化反
応速度を求めたところ、3.6mol/lhであった。
この反応においては、反応の進行に伴い気相への反応生
成液の蒸気圧が低下するため、反応終了時にはCO分圧
は15kg/cm2から20kg/cm2に上昇した。
【0041】実施例12 実施例11で用いた触媒に、8wt%ヨウ化メチル、4
1wt%のメタノール、51wt%の酢酸から成る溶液
140gを加え、250ccチタン製オートクレーブ反
応器に仕込みCOで数回脱気し、オートクレーブ内全圧
が40kg/cm2G(初期CO分圧で15kg/c
2)となるようにし、COを自力式調節弁にて補給
し、反応を行った。2時間後、反応器から反応生成液を
反応条件下で高圧サンプラーにサンプリングしてFID
ガスクロマトグラフィーにより反応生成液組成を分析
し、CO消費量を求めてメタノールのカルボニル化反応
速度を求めたところ、3.6mol/lhであった。こ
の反応においては、反応の進行に伴い気相への反応液の
蒸気圧が低下するため反応終了時にはCO分圧は15k
g/cm2から25kg/cm2に上昇した。
【0042】実施例13 実施例11で用いた触媒と、8wt%ヨウ化メチル、2
4wt%のメタノール、68wt%の酢酸から成る溶液
140gをオートクレーブに充填し、オートクレーブ内
全圧が40kg/cm2G(初期CO分圧28kg/c
2)の条件で実施例11と同様に反応を行い、1時間
後、反応生成液をサンプリングし、分析したところ、反
応速度は3.7mol/lhであった。また、CO分圧
は28kg/cm2から30kg/cm2に上昇した。
【0043】実施例14 実施例13において、オートクレーブ内全圧を30kg
/cm2G(初期CO分圧18kg/cm2)とした以外
は同様に反応を行い、1時間後、2時間後及び3時間後
の反応生成液を分析した。カルボニル化反応速度は、反
応時間1時間及び2時間では3.7mol/lhであ
り、3時間目までの平均速度は、1.8mol/lhで
あった。尚、反応終了時にはCO分圧は15kg/cm
2より20kg/cm2に上昇した。反応液生成分析結果
は表2のとおりであった。
【0044】実施例15 実施例13において、オートクレーブ内全圧を20kg
/cm2G(初期CO分圧は8kg/cm2)とした以外
は、同様に反応を行ない、1時間後の反応生成液を分析
したところ、カルボニル化反応速度は2.5mol/l
hであった。尚、反応終了時にはCO分圧は8kg/c
2から10kg/cm2に上昇した。
【0045】実施例16 実施例11で用いた触媒と、8wt%ヨウ化メチル、3
1wt%のメチル、45wt%の酢酸及び16wt%の
水から成る溶液140gをオートクレーブに充填し、オ
ートクレーブ内全圧が40kg/cm2G(初期CO分
圧19kg/cm2)の条件で反応を行ない、反応時間
2時間、2.5時間での反応生成液を分析した。カルボ
ニル化反応速度は3.8mol/lhであった。反応生
成液分析結果は表2のとおりであった。
【0046】実施例17 実施例11で用いて触媒と、ヨウ化メチル9wt%、メ
タノール12wt%、酢酸45wt%、酢酸メチル23
wt%、水10wt%の溶液140gをオートクレーブ
に充填し、実施例1と同様にして全圧40kg/cm2
G(初期CO分圧11kg/cm2)の条件で反応を行
い、1時間後の反応生成液を分析した。カルボニル化反
応速度は3.7mol/lhであった。反応生成液の分
析結果は表2の通りであった。
【0047】実施例18 内液量が120ccに制御された混合槽流通式のオート
クレーブを用いて、連続的に100時間メタノールのカ
ルボニル化を行った。この実験においては、触媒として
は実施例11のものを用い、この触媒をオートクレーブ
内に予め酢酸とヨウ化メチルとともに仕込んだ。反応温
度は190℃、反応圧力はCOで加圧し全圧を30kg
/cm2Gに保った。反応器に供給する原料はCO:1
8NI/Hr、メタノール:15g/Hr、ヨウ化メチ
ル:2g/Hrで供給し、ジメチルエーテル:0.1、
ヨウ化メチル8.3、メタノール:0.4、酢酸63.
2、酢酸メチル:22.4、水:5.6(wt%)から
なる反応生成液を連続的に得ることができた。
【0048】
【表2】
【0049】比較例1 実施例11の触媒と、ヨウ化メチル10wt%とメタノ
ール90wt%からなる溶液をオートクレーブに入れ全
圧を70kg/cm2G(初期CO分圧35kg/c
2)に保持して実施例11と同様に反応行を行った。
2時間後反応液をサンプリングし、分析したところ、カ
ルボニル化反応はほとんど起こっていなかった。尚、反
応器内CO分圧は、メタノールのエーテル化反応による
反応液蒸気圧上昇のために、15kg/cm2まで上昇
した。
【0050】比較例2 実施例11と触媒と、ヨウ化メチル8wt%、メタノー
ル84wt%、酢酸8wt%の溶液をオートクレーブに
入れ、全圧を50kg/cm2G(初期CO分圧15k
g/cm2)に保持して実施例11と同様に反応を行っ
た。2時間後の反応生成液の分析値から求めたメタノー
ルのカルボニル化反応速度は0.7mol/lhであっ
た。
【0051】比較例3 実施例11において、全圧を約16kg/cm2G(初
期CO分圧4kg/cm2)に保持した他は実施例11
と同様に反応を行った。2時間後の反応生成液を分析し
たところ、カルボニル化反応速度は0.3mol/lh
であり、実施例11の場合の反応速度より大きな低下が
みられた。
【0052】比較例4 実施例11において、オートクレーブ全圧を約65kg
/cm2G(初期CO分で45kg/cm2)に保持した
他は実施例11と同様に反応を行なった。2時間後の反
応生成液を分析したところ、カルボニル化反応速度は
3.7mol/lhであり、実施例11と全く等しく、
CO分圧を上げることによる反応速度の向上効果はみら
れなかった。尚、反応終了時のCO分圧は55kg/c
2まで上昇した。
【0053】比較例5 ビニルピリジン樹脂として、商品名Reilex402
(架橋度2%)を用いて実施例1と同様に触媒を調製
し、この触媒を用いて実施例1と同様に反応を行った。
2時間後の反応生成液の分析を行ったところ、反応原料
はCOと全く反応していなかった。また反応後の樹脂の
形状は破損され、タール状となった。
【0054】次に、表3に前記実施例10〜18、比較
例1〜5における反応条件及び反応結果をまとめて示
す。
【0055】
【表3】
【0056】表3に示した反応結果からわかるように、
反応溶媒量をメタノール1wt部に対して0.3wt部
以上、CO分圧を7kg/cm2G以上に保持すること
により、Rh固定化樹脂触媒を安定化し、高いカルボニ
ル化反応速度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】混合槽流通式反応器を用いる本発明の酢酸製造
方法のフローシートの1例を示す。
【図2】ピストンフロー式反応器を用いる本発明の酢酸
製造方法のフローシートの1例を示す。
【符号の説明】
R−1 混合槽流通式反応器 R−2 ピストンフロー式反応器 S 分離系
フロントページの続き (72)発明者 浅岡 佐知夫 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12 番1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 前島 哲夫 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12 番1号 千代田化工建設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−253047(JP,A) 特公 昭47−47237(JP,B1) 特公 昭47−3331(JP,B1) 特表 平6−503808(JP,A) Chemical Abstract s,105(1986),210768 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 53/08 C07C 51/12 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロジウム含有固体触媒及びヨウ化アルキ
    ルの存在下、反応溶媒中でメタノールと一酸化炭素を反
    応させて酢酸を生成させる方法であって、(i)ロジウム
    含有固体触媒として、架橋度が10%以上で、ピリジン
    環を樹脂構造に含む不溶性樹脂にロジウムを担持させた
    ものを用いること、(ii)反応溶媒として、炭素数2以
    上のカルボニル基含有有機溶媒を含む反応溶媒を用い、
    反応器内における反応溶媒量がメタノール1wt部に対
    し0.30wt部以上であること、(iii)反応系におけ
    る一酸化炭素分圧が7〜30kg/cm2でかつ全反応
    圧が15〜60kg/cm2Gであること、(iv)反応
    温度が140〜250℃であること、を特徴とするメタ
    ノールのカルボニル化による酢酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ヨウ化アルキルとしてヨウ化メチルを用
    い、反応溶媒として酢酸及び/又は酢酸メチル含む反応
    溶媒を用いる請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 反応器内におけるロジウム濃度が、反応
    器内溶液中500wtppm以上である請求項1又は2
    の方法。
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