JPH09226332A - サスペンション装置のバンパラバー取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数が少なく、かつ金属部品との加硫接
着工程を必要とせずに、簡単にバンパラバー１を取り付
ける。 【解決手段】 コイルスプリング４のばね力によってス
プリングシートラバー９がシートブラケット７との間に
保持されている。スプリングシートラバー９のボス部７
ａに設けたバンパラバー支持孔１３内周面に環状の突起
部１４が形成されているとともに、バンパラバー１基部
に環状の凹溝１２が形成されており、両者の嵌合によっ
て、バンパラバー１がスプリングシートラバー９に固定
されている。バンパラバー１とスプリングシートラバー
９は、それぞれ異なる硬度のゴムにて成形されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、自動車のサスペ
ンション装置に用いられているバンパラバーの取付構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、自動車のリヤサスペンション装
置においては、複数のリンク部材を介して支持されてい
るアクスルと車体側との間に、コイルスプリングが介装
されているとともに、該コイルスプリングの過大な変位
を規制するために、円柱状のバンパラバーが設けられて
いる。

【０００３】図３は、従来のバンパラバー３１の取付構
造を示すもので、車体側パネル３２とアクスル３３との
間にコイルスプリング３４が圧縮状態で介装されている
とともに、その中心部にバンパラバー３１が配設されて
いる。このバンパラバー３１は、硬度の高いゴムからな
り、予めボルト３５を固着してなる取付プレート３６
が、基端面に加硫接着されている。また、車体側に、コ
イルスプリング３４を位置決めするためのボス部３７ａ
を有するシートブラケット３７が取り付けられており、
そのボス部３７ａ先端面に、ナット３８を介して上記取
付プレート３６が固定されている。なお、コイルスプリ
ング３４とシートブラケット３７との間には、環状のシ
ートラバー３９が介装されている（実公平５−９９２６
号公報等参照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成においては、バンパラバー３１を取り付けるた
めに、ボルト３５、取付プレート３６およびナット３８
といった部品が必要であり、部品点数が多いとともに、
取付プレート３６をバンパラバー３１に加硫接着する工
程が必要となり、コストが嵩む欠点がある。

【０００５】また、車体に取り付ける際にも、ナット３
８の締付作業が必要であり、作業時間がかかるという不
具合がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、自
動車のアクスルと車体側との間に設けられたコイルスプ
リングの中心部に配設され、該コイルスプリングの変位
を規制する略円柱状のバンパラバーにおいて、車体側の
シートブラケットと上記コイルスプリングの上端との間
に介装されるスプリングシートラバーの中心部に、バン
パラバー支持孔を開口形成するとともに、このバンパラ
バー支持孔内周に、第１の係合部を設け、かつバンパラ
バーの基部外周に第２の係合部を設け、両係合部を互い
に係合させてバンパラバーをスプリングシートラバーと
ともに車体に支持するようにしたことを特徴としてい
る。

【０００７】バンパラバーは、アクスル側から入力され
る大きな力を支承し得るように、比較的硬度の高いゴム
から構成されている。またスプリングシートラバーは、
コイルスプリングと車体側との間の振動伝達を遮断する
ために、比較的硬度の低いゴムから構成されている。こ
のスプリングシートラバーは、コイルスプリングのばね
力でもって車体側に押し付けられており、これによって
固定されている。

【０００８】そして、バンパラバーは、スプリングシー
トラバーの支持孔に基部が係合して支持されている。こ
のバンパラバーには、アクスル側との当接による圧縮力
のみが作用し、引張方向には力を受けることがないの
で、脱落することはない。

【０００９】請求項２の発明においては、第１の係合部
および第２の係合部のいずれか一方を、周方向に沿った
環状の凹溝とし、他方を、この凹溝に嵌合する環状の突
起部とした。

【００１０】この構成においては、バンパラバー基部を
スプリングシートラバーの支持孔内に押し込むことによ
り、上記突起部が上記凹溝に嵌合する。これによって、
バンパラバーがスプリングシートラバーに固定される。
そして、コイルスプリングのばね力によって、両者一体
に車体側に保持される。

【００１１】請求項３の発明においては、第２の係合部
として、バンパラバーの基端に鍔状のフランジ部を形成
し、第１の係合部として、バンパラバー支持孔の上端部
分に、上記フランジ部が嵌合する大径部を形成した。つ
まり、バンパラバーをスプリングシートラバーの上面側
から支持孔に挿入すると、バンパラバー基端のフランジ
部が支持孔の大径部に嵌合し、かつここに引っ掛かった
状態となる。これにより、バンパラバーがスプリングシ
ートラバーとともに車体側に保持される。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明の好ましい実施の
形態を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１３】図１は、この発明の第１実施例を示してい
る。これは、例えば自動車のリヤサスペンション装置に
適用したもので、図示せぬ複数のリンク部材を介して支
持されているアクスル３と車体側パネル２との間に、車
体懸架用のコイルスプリング４が圧縮状態で介装されて
いるとともに、該コイルスプリング４の過大な変位を規
制するために、円柱状のバンパラバー１が、コイルスプ
リング４の中心部に配設されている。

【００１４】上記コイルスプリング４の下端を受けるロ
アブラケット５は、コイルスプリング４の内周に嵌合す
るボス部５ａを有し、このボス部５ａに、バンパラバー
１先端と当接する僅かに窪んだ当接面６が設けられてい
る。また、車体側パネル２の下面には、コイルスプリン
グ４上端を位置決めするための円錐台形状のボス部７ａ
を有する金属板からなるシートブラケット７が、ボルト
１０，ナット１１によって固定されている。

【００１５】上記バンパラバー１は、アクスル３側から
加わる大きな入力に抗し得るように、比較的硬度の高い
ゴムから一体に成形されており、下方へ向かう先端側が
僅かに小径となった緩いテーパ状をなしている。このバ
ンパラバー１の基部には、第２の係合部として、全周に
亙って連続した環状の凹溝１２が形成されている。この
凹溝１２は、断面矩形状に凹んでいる。

【００１６】また、コイルスプリング４上端とシートブ
ラケット７との間には、環状のスプリングシートラバー
９が介装されている。このスプリングシートラバー９
は、コイルスプリング４から車体側への振動伝達を遮断
するために、比較的硬度の低いゴムから一体に成形され
ており、シートブラケット７に沿った形状をなしてい
る。具体的には、コイルスプリング４上端が当接する環
状のフランジ部９ａと、シートブラケット７のボス部７
ａ外表面に合致する円錐台形状のカップ部９ｂとを有し
ており、シートブラケット７のボス部７ａ下面を覆って
いる。なお、カップ部９ｂの基部外径は、コイルスプリ
ング４の内径に一致している。スプリングシートラバー
９の中心部となるカップ部９ｂの頂部には、バンパラバ
ー支持孔１３が開口形成されている。この支持孔１３の
径は、バンパラバー１の基部の径に等しく設定されてお
り、その内周面には、バンパラバー１の凹溝１２に合致
する第１の係合部となる環状の突起部１４が内周側へ突
出形成されている。

【００１７】そして、バンパラバー１の凹溝１２と上記
突起部１４とが密に嵌合することにより、バンパラバー
１がスプリングシートラバー９に取り付けられている。
またスプリングシートラバー９は、コイルスプリング４
のばね力によってシートブラケット７に押し付けられて
おり、これによって、スプリングシートラバー９とバン
パラバー１の双方が車体側に保持される。ここで、シー
トブラケット７に取り付けた状態において、バンパラバ
ー１の基端面がシートブラケット７のボス部７ａ頂面に
当接している。なお、上記突起部１４は、周方向に部分
的な切欠部を有するもの、つまり環状に完全に連続して
いないものであってもよい。

【００１８】上記の構成においては、バンパラバー１の
基部をスプリングシートラバー９の支持孔１３に押し込
むことにより、ゴムの弾性変形を利用して、凹溝１２と
突起部１４とが嵌合し、両者が一体化される。サスペン
ション装置の組み立て時には、上記のようにして予めバ
ンパラバー１とスプリングシートラバー９とを一体化し
たものを、コイルスプリング４とシートブラケット７と
の間に挟み込めばよい。この取付状態においては、バン
パラバー１は、単に凹溝１２と突起部１４との係合のみ
で保持されることになるが、バンパラバー１は下方から
当接面６によって圧縮方向に押圧されるだけであるの
で、脱落するような虞れはなく、十分な取付剛性を維持
できる。

【００１９】なお、上記実施例においては、バンパラバ
ー１側に凹溝１２を、スプリングシートラバー９側に突
起部１４をそれぞれ設けているが、逆にスプリングシー
トラバー９側に凹溝を、バンパラバー１側に突起部をそ
れぞれ設けることも可能である。

【００２０】次に、図２は、この発明の第２実施例を示
している。この実施例においては、バンパラバー１の基
端に、鍔状に広がった環状のフランジ部２１が形成され
ている。また、スプリングシートラバー９のバンパラバ
ー支持孔１３の上端部分に、上記フランジ部２１が嵌合
する大径部１３ａが設けられている。この大径部１３ａ
の内径は、上記フランジ部２１の径に等しく、また大径
部１３ａの軸方向の深さは、上記フランジ部２１の軸方
向の厚さに等しい。上記大径部１３ａを設けることによ
って、支持孔１３内周に段部２２が残される形となり、
この段部２２と上記フランジ部２１との係合により、バ
ンパラバー１が抜け止めされる。

【００２１】すなわち、バンパラバー１をスプリングシ
ートラバー９の上面側から支持孔１３に挿入すると、バ
ンパラバー１基端のフランジ部２１が支持孔１３の大径
部１３ａに嵌合するとともに、該フランジ部２１が段部
２２に引っ掛かった状態となる。そして、スプリングシ
ートラバー９をコイルスプリング４上端とシートブラケ
ット７との間に挟み込めば、バンパラバー１がスプリン
グシートラバー９とともに車体側に保持されるのであ
る。

【００２２】この実施例によれば、バンパラバー１とス
プリングシートラバー９とを一体化する作業が、前述し
た第１実施例に比べて一層簡単となる。

【００２３】なお、この図２の実施例においては、シー
トブラケット７がボルト結合ではなく、溶接により車体
側パネル２に固定されている。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、この発明
に係るサスペンション装置のバンパラバー取付構造によ
れば、ボルト，ナット等を全く用いずにバンパラバーを
取り付けることができ、従来の構成に比べて部品点数を
削減できるとともに、金属部品との加硫接着工程が不要
となる。しかも、車体への組み付け時には、スプリング
シートラバーを単にコイルスプリングと車体側との間に
挟み込めばよく、極めて簡単な作業となる。

【００２５】また、バンパラバーとスプリングシートラ
バーとは従来のものと同様にそれぞれ別部品であるの
で、それぞれに最適なゴムの材質を選択することができ
るとともに、バンパラバーのみを種々用意しておくこと
により、サスペンションストローク等のチューニングが
容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１実施例を示す一部切欠断面図。

【図２】この発明の第２実施例を示す一部切欠断面図。

【図３】従来のバンパラバー取付構造を示す断面図。

【符号の説明】

１…バンパラバー ４…コイルスプリング ７…シートブラケット ９…スプリングシートラバー １２…凹溝 １３…支持孔 １３ａ…大径部 １４…突起部 ２１…フランジ部 ２２…段部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車のアクスルと車体側との間に設け
   られたコイルスプリングの中心部に配設され、該コイル
   スプリングの変位を規制する略円柱状のバンパラバーに
   おいて、 車体側のシートブラケットと上記コイルスプリングの上
   端との間に介装されるスプリングシートラバーの中心部
   に、バンパラバー支持孔を開口形成するとともに、この
   バンパラバー支持孔内周に、第１の係合部を設け、かつ
   バンパラバーの基部外周に第２の係合部を設け、両係合
   部を互いに係合させてバンパラバーをスプリングシート
   ラバーとともに車体に支持するようにしたことを特徴と
   するサスペンション装置のバンパラバー取付構造。
2. 【請求項２】 第１の係合部および第２の係合部のいず
   れか一方を、周方向に沿った環状の凹溝とし、他方を、
   この凹溝に嵌合する環状の突起部としたことを特徴とす
   る請求項１記載のサスペンション装置のバンパラバー取
   付構造。
3. 【請求項３】 第２の係合部として、バンパラバーの基
   端に鍔状のフランジ部を形成し、第１の係合部として、
   バンパラバー支持孔の上端部分に、上記フランジ部が嵌
   合する大径部を形成したことを特徴とする請求項１記載
   のサスペンション装置のバンパラバー取付構造。