JP2004169913A - ダイナミックダンパ - Google Patents

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Abstract

【課題】構造を簡単にするとともに、コストの増加を防止できる、マスの脱落を防止したダイナミックダンパを提供する。
【解決手段】振動部材14に取付けられる一対の取付金具1,2の相互の対向面板3,4のそれぞれに、円柱状をなすマス7の端面を、それぞれの弾性体5,6を介して連結し、各対向面板3,4の下端に、マス7の中心軸線方向から見て、それの直径Dより小さい間隔をおいて位置して、対をなす対向面板側へ延びる一対の脱落防止爪8,9を、マス7の周面から間隔をおいて設けてなる。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車その他の車両、産業機械等の各種の振動部材に取付けられて、その振動部材の、とくには共振振幅を有効に低減させるダイナミックダンパに関し、マスの不測の脱落を簡易に防止できる技術を提案するものである。
自動車の車体その他の構成部材に取付けられるダイナミックダンパにおいて、マスの不測の脱落を防止できるものとしては、たとえば、特開平11−117990号公報および特開2000−18317号公報に開示されたものがある。
ここで、前者のダイナミックダンパは、一側面に振動部材への組付プレートを取り付け、他側面にマス部材支持プレートを加硫接着したゴム製の弾性体と、マス部材支持プレートに支持されるマス部材と、マス部材をマス部材支持プレートに取り付けるマス部材取付手段と、弾性体からマス部材支持プレートが剥離したときに、該プレートが組付プレートから分離するのを防止する脱落防止手段とを備えてなるものであり、ここにおけるマス部材取付手段は、リベット等で構成され、脱落防止手段は、金属板をプレス加工により折り曲げること、または打ち抜くことにより形成され、上記リベットによって上記支持プレートに共締めされている。
そして、かかるダイナミックダンパでは、溶接等の手段を用いずに、簡単な構造で確実に、マス部材をプレートに取り付けることができる、とする。
また後者のダイナミックダンパは、取付金具の取付部間に弾性体を介して取付けたマス金具が外れた場合であってもマス金具の脱落を防止できるようにすることを課題として、取付金具の一対の取付部とマス金具とを弾性体で加硫接着したものにおいて、取付金具の取付部における弾性体加硫接着個所に隣接した取付部に貫通孔を設け、この貫通孔に挿通され孔内で移動可能な両端棒状部を備えたプレートを2つの貫通孔間にさしわたし、このプレートにマス金具を固定してマス金具の動きにプレートを追随させるものである。
特開平11−117990号公報 特開2000−18317号公報
しかるに、特開平11−117990号公報に開示された前者のダイナミックダンパでは、マス部材の脱落防止のために、金属板のプレス加工になる脱落防止手段、組付けプレートに形成した脱落防止手段の挿通孔ならびに、マス部材支持プレートおよびマス部材の、脱落防止手段への取付手段が必要となり、また、特開2000−18317号公報に開示された後者のダイナミックダンパでは、マス金具に固定されて両端部分を棒状部としたプレートおよび、取付金具の取付部に形成されてプレートの棒状部の挿通を許容する貫通孔が必要になるため、これらのいずれの従来技術にあっても、構造の複雑化および、ダイナミックダンパの製造工数の増加に伴うコスト増が不可避となるという問題があった。
この発明は、従来のダイナミックダンパが抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、とくにはマスを円柱形状とすることにより、構造を簡単にするとともに、コストの増加を抑制したダイナミックダンパを提供するにある。
この発明に係るダイナミックダンパは、たとえばエンジンその他の振動部材に取付けられる一対の取付金具の相互の対向面板のそれぞれに、円柱状をなすマスの端面を、それぞれの弾性体を介して連結し、各対向面板、たとえばその下端に、マスの中心軸線方向から見て、それの直径より小さい間隔をおいて位置して、対をなす対向面板側へ延びる一対の脱落防止爪を、マスの周面から間隔をおいて設けたものである。
これによれば、マスおよび弾性体がダイナミックダンパのばね−質量系を構成して、その系の固有振動数の下で、振動部材の振動を有効に吸収することができる。
またここでは、たとえば、マスが弾性体から剥離等した場合に、たとえばそれの下方側にあって、マスの直径より小さい間隔をおいて位置する各対の脱落防止爪が、そのマスを、対をなすそれぞれの爪の対向側縁で、確実にかつ十分安定に支持することができるので、そのマスの脱落を効果的に防止することができ、このことは、対をなす脱落防止爪の間隔をマスの直径に近づけて、マスを、それが脱落防止爪間から下方側へより大きく突出した姿勢で、それらの脱落防止爪に掛合支持させるときにとくに顕著である。
ところで、ここにおける各対の脱落防止爪は、極めて簡単にして単純なものであり、しかも、取付金具それ自体のプレス加工その他に当って簡易に形成することができ、また場合によっては、脱落防止爪の形成のための特別の工程を追加するまでもなくその脱落防止爪を形成することができるので、ダイナミックダンパ全体としての構造を簡単にするとともに、ダイナミックダンパの製造工数等の増加を防いで、それのコストを十分低く抑えることがでる。
なおここで、円柱状をなすマスを、それぞれの対の脱落防止爪間からの突出姿勢で対向面板間に連結した場合には、たとえば、ダイナミックバンパを、脱落防止爪が振動部材の側方に向く状態で使用して、マスの、弾性体からの剥離等が生じていても、そのマスの脱落を、脱落防止爪によって有効に防止することができ、このことは、マスの直径をできるだけ大きくして脱落防止爪間からのマスの初期突出量をより大きく設定したときにとくに効果的である。
ここで好ましくは、弾性体をゴムとするとともに、それぞれのゴムを、対向面板および、マスの端面のそれぞれに、直接的または間接的に接合させる。
弾性体をゴムとした場合には、弾性体の、所要の部材への取付けは、接着剤による接着、加硫接着等によってそれらを接合させることで、簡単かつ確実に行うことができる。ところで、このようなゴム弾性体は、対向面板および、マスの端面のそれぞれに、接着等によって直接的に接合させることができる他、弾性体を接合させたそれぞれの中間取付板を、対向面板およびマスのそれぞれに固定もしくは固着させることで間接的に接合させることもでき、前者の場合には、部品点数の減少を実現し、そして後者によれば、弾性体の簡易迅速な変更、交換等を可能とすることができる。
そしてこの場合は、弾性体の横断面輪郭形状を、たとえば、マスと同心の円形とすることがより好ましく、これによれば、マスの中心軸線と直交する各方向の振動入力に対して、ダイナミックダンパの固有振動数を常に一定とすることができるので、ダイナミックダンパを、様々な方向からの入力に対して所期した通りに機能させることができる。
ここで、それぞれの対向面板に形成されて、相互に向き合う方向に延びる脱落防止爪のそれぞれを一体的に連結した場合には、脱落防止爪の剛性を高めて、それらに、所期した通りのマス支持機能をより十分に発揮させることができ、併せて、対をなす取付金具を一体構造として、それらの製造、取扱い等を一層容易にすることができる。
また好ましくは、それぞれの対向面板の、脱落防止爪の形成位置とは反対側の端部に、相互に離反する方向に突出する取付部を設ける。これによれば、取付金具の、振動部材への取付けを、マス、弾性体等との干渉なしに簡易に行うことができる。
ところで、弾性体の最大直径を、対をなす脱落防止爪の間隔より小さく設定したときは、未加硫ゴム弾性体の、マスおよび両対向面板への加硫接合に当って、二分割タイプの加硫モールドを、それらの対向面板間へ所要の方向から差し込むことが可能となり、製造上の自由度が大きく高まることになる。
かくして、この発明によれば、マスを円柱形状とすることで、そのマスの周面に掛合してそれを十分安定に支持する脱落防止手段を、それぞれの取付金具の対向面板の、たとえば下端から、相互に向き合う方向に突出させて設けた、単純にして簡単な構造で、形成が容易な、ともに対をなすそれぞれの直状脱落防止爪にて構成することができるので、ダイナミックダンパの全体構造を簡単にし、また、ダイナミックダンパの製造工数等の増加を有利に抑制して、そのコストを十分低く抑えることができる。
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明の実施の形態を示す正面図、図2はそれの側面図、そして図3はそれの底面図である。
ここでは、図1の左右に離隔して位置して相互に対向する一対の取付金具1,2を一体的に構成して、それらの相互の、図では垂直姿勢をなす対向面板3,4のそれぞれの内面に、好ましくはゴムからなる、ほぼ円柱状のそれぞれの弾性体5,6の一方の端面を、加硫接着その他によって、共通の軸線上に直接的に接合させるとともに、それらの弾性体5,6の他端面を、これも円柱状をなすマス7のそれぞれの端面に、同様にして直接的に同心接合させる。
またここでは、各対向面板3,4の下端に、図2に例示するように、マス7の中心軸線方向から見て、それの直径Dより小さい間隔Cをおいて位置して、対をなす対向面板側へ延びる脱落防止爪8,9を、マス7の周面から所定の間隔をおいて設け、そしてこの図に示すところでは、各対の脱落防止爪8,9の、相互に向き合う爪どうしをそれらの先端で一体的に連結する。
従って、図示の一対の対向面板3,4および二対の脱落防止爪8,9は、それらの底面視では、図3に示すようにほぼ方形枠状をなす。
なおここで、各対の脱落防止爪8,9は、それらの先端を、図4に正面図で示すように、相互に連続させることなく終了させ得ることはもちろんであり、この場合には、左右一対の取付金具3,4は相互に別体となる。
そしてさらに、それぞれの対向面板3,4の上端に相互に離反する方向に突出するそれぞれの取付部10,11を設け、これにより、相互に一体構造とした両取付金具1,2の全体形状を、それの正面視でほぼクランク状とする。また、このようにして設けた各取付部10,11に、複数、図では二個ずつのボルト挿通孔12,13を設けて、ダイナミックダンパの、振動部材への取付けを可能ならしめる。
ところで、このように構成してなるダイナミックダンパにおいては、マス7を、脱落防止爪8,9よりも相対的に下方へ突出する姿勢で対向面板3,4に連結することが好ましい。なお、円柱状のマス7の周面と各脱落防止爪8,9との間の最小間隔は5mm程度とすることができ、このことは、マス周面と取付部上面との最小距離についても同様である。すなわち、振動部材の振動に基づいて、ダイナミックダンパのマス7が上下等に振動して、ダイナミックダンパがそれ本来の機能を発揮するに当って、マス7の上下方向等に5mm程度の間隔があれば、そのマス7の作用に当っての、それと、振動部材および脱落防止爪8,9との干渉を有効に防止することができる。
かかるダイナミックダンパは、たとえば、それを、図1に仮想線で示すように、振動部材14の下面にボルト15,16によって締め付け固定することにより、弾性体5,6およびマス7からなる、ともに選択されたばね力および、質量の大きさを有するばね−質量系の作用下で、ダイナミックダンパ本来の機能を十分に発揮することができる。
これに対し、ダイナミックダンパの長期間の使用に伴う、弾性体5,6としてのゴムの疲労、劣化等に起因して、マス7が、それから剥離等してそれの弾性支持が行われなくなった場合には、そのマス7は、図5に示すように、対をなすそれぞれの脱落防止爪8,9間に入り込んで、それらの爪8,9をもって、確実にして安定に掛合支持されるので、そのマス7の、取付金具1,2からの不測の脱落は十分に防止されることになる。そして、マス7のこのような掛合支持は、対をなす脱落防止爪8,9の間隔をマス7の直径に近づけて、そのマス7の、爪間からの下方への突出量をより多くすることで、一層安定に行われることになる。
また、脱落防止爪のこのような作用は、図4に示すダイナミックダンパにおいても同様に行われることになる。
ところで、このようなダイナミックダンパは、各弾性体5,6をほぼ円柱状として、それの横断面輪郭形状を、方向性のない円形、より好ましくは、マス7と同心をなす円形とした場合には、図示の上下方向のみならず、マス7の中心軸線と直交する方向の各種の振動入力に対し、常に一定の固有振動数の下で、振動部材の共振振幅を有効に低減させることができ、このことは、ダイナミックダンパの、振動部材14への取付け姿勢を、図1に示すところに対し、時計回りにもしくは反時計回りに所要の角度範囲にわたって回動変位させた姿勢とした場合にもまた同様である。
そして、ダイナミックダンパのこのような取付け姿勢にあって、マス7が弾性体5,6から剥離等した場合は、円柱状のそのマス7を、脱落防止爪間から突出姿勢で対向面板間に連結することによって、図示のダンパ姿勢で、脱落防止爪8,9の上面と、取付部材10,11の上面との間の距離Hをマス7の直径Dより小さくすることに基づく、脱落防止爪8,9の作用の下で、先の場合と同様に、マス7の不測の脱落を十分に防止することができる。
なおここで、弾性体5,6の最大直径dを、図示のように、対をなす脱落防止爪8,9の間隔Cより小さく設定したときは、未加硫ゴム弾性体を、マス7および、それぞれの対向面板3,4に、二分割タイプの加硫モールドを用いて加硫接合させるに当り、図6(a)に示すように、対をなすモールドM1,M2を、左右方向から両対向面板間へ差し込むことができる他、図6(b)に示すように、一対のモールドM3,M4を、上下方向から対向面板間へ差し込むことも可能となる。
この発明の実施の形態を示す正面図である。 図1の側面図である。 図1の底面図である。 他の実施形態を示す正面図である。 脱落防止爪の作用を示す側面図である。 未加硫ゴム弾性体の、マスおよび対向面板への加硫接合態様を例示する図である。
符号の説明
1,2 取付金具
3,4 対向面板
5,6 弾性体
7 マス
8,9 脱落防止爪
10,11 取付部
12,13 ボルト挿通孔
14 振動部材
D マス直径
C 落下防止爪間隔
d 弾性体最大直径
H 距離

Claims (7)

  1. 振動部材に取付けられる一対の取付金具の相互の対向面板のそれぞれに、円柱状をなすマスの端面を、それぞれの弾性体を介して連結し、各対向面板に、マスの中心軸線方向から見て、それの直径より小さい間隔をおいて位置して、対をなす対向面板側へ延びる一対の脱落防止爪を、マスの周面から間隔をおいて設けてなるダイナミックダンパ。
  2. 前記マスを、それぞれの対の脱落防止爪間からの突出姿勢で対向面板に連結してなる請求項1に記載のダイナミックダンパ。
  3. 弾性体をゴムとするとともに、それぞれのゴムを、対向面板および、マスの端面のそれぞれに接合させてなる請求項1もしくは2に記載のダイナミックダンパ。
  4. 弾性体の横断面輪郭形状を円形としてなる請求項1〜3のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
  5. それぞれの対向面板に形成されて、相互に向き合う方向に延びる脱落防止爪のそれぞれを一体的に連結してなる請求項1〜4のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
  6. それぞれの対向面板の、脱落防止爪の形成位置とは反対側の端部に、相互に離反する方向に突出する取付部を設けてなる請求項1〜5のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
  7. 弾性体の最大直径を、対をなす脱落防止爪の間隔より小さくしてなる請求項4〜6のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
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